JP3997783B2 - 触媒担体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス浄化用に最適な触媒担体とその製造方法、及びこの触媒担体を用いた触媒とその触媒を用いた排ガス浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、希薄燃焼ガソリンエンジンからの排ガスを浄化する触媒として、NOx 吸蔵還元型触媒が実用化されている。このNOx 吸蔵還元型触媒は、アルカリ金属、アルカリ土類金属などのNOx 吸蔵材と貴金属をアルミナ( Al2O3)などの多孔質担体に担持したものである。このNOx 吸蔵還元型触媒では、空燃比を燃料リーン側からパルス状に燃料ストイキ〜リッチ側となるように制御することにより、リーン側ではNOx がNOx 吸蔵材に吸蔵される。そして吸蔵されたNOx はストイキ〜リッチ側で放出され、貴金属の触媒作用によりHCやCOなどの還元性成分と反応して浄化される。したがって、リーン側においてもNOx の排出が抑制されるので、全体として高いNOx 浄化能が発現する。
【0003】
ところが排ガス中には、燃料中に含まれる硫黄(S)が燃焼して生成したSO2 が含まれ、それが酸素過剰雰囲気中で貴金属により酸化されてSO3 となる。そしてこれが排ガス中に含まれる水蒸気により容易に硫酸となり、これらがNOx 吸蔵材と反応して亜硫塩や硫塩が生成し、これによりNOx 吸蔵材が被毒劣化することが明らかとなった。この現象は硫黄被毒と称されている。また、 Al2O3などの多孔質担体はSOx を吸着しやすいという性質があることから、上記硫黄被毒が促進されるという問題があった。そして、このようにNOx 吸蔵材が亜硫塩や硫塩となると、もはやNOx を吸蔵することができなくなり、その結果上記触媒では、耐久後のNOx 浄化能が低下するという不具合があった。
【0004】
そこで特開平 8-99034号公報には、TiO2-Al2O3,ZrO2-Al2O3及びSiO2-Al2O3から選ばれる少なくとも1種の複合担体を用いることが提案されている。また特開平 9-926号公報には、 TiO2-Al2O3-ZrO2複合酸化物を担体とする排ガス浄化用触媒が開示されている。TiO2などは Al2O3に比べて酸性度が大きいため、SOx との親和性が低くなる結果、NOx 吸蔵材の硫黄被毒を抑制することが可能となる。またTiO2及びZrO2を Al2O3と複合酸化物とすることにより、硫黄被毒が抑制されるとともに、耐熱性が向上する。
【0005】
このような複合酸化物担体は、アルコキシド法、共沈法などにより複数の金属元素を含む酸化物前駆体を調製し、それを焼成することで製造されている。中でも共沈法は、アルコキシド法などに比べて原料コストが安価であるため、得られる複合酸化物も安価となる利点があり、複合酸化物の製造に広く用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが近年の排ガス規制の強化、あるいは高速走行の増加などにより、排ガス温度はきわめて高くなっている。そのため上記した複合酸化物担体を用いても、比表面積の低下や貴金属の粒成長が生じて耐熱性が不充分となる場合があり、さらなる耐熱性の向上が求められている。また燃料中の硫黄成分が燃焼して生成したSOx が担体上に吸着し、貴金属を覆うことによる浄化能の低下現象(触媒金属の硫黄被毒)も問題となっている。
【0007】
これらの不具合は、複合酸化物を構成する各金属元素の特徴が十分に発現されていないところにあると考えられる。
【0008】
例えばZrO2−TiO2固溶体は、硫黄被毒に対する耐性が大きいため Al2O3と複合化させることで耐硫黄被毒性に優れ、かつ高比表面積を有する触媒担体とすることができる。そこでAl,Zr及びTiを含む水溶液から共沈法によって生成された沈殿を焼成してなる複合酸化物を担体とすることが想起された。このような担体では、ZrO2−TiO2固溶体と Al2O3とが互いに50nm以下の微粒子状態で共存して高分散しているので、耐硫黄被毒性が一層向上することが期待される。
【0009】
ところがこの複合酸化物では、ZrO2−TiO2固溶体と Al2O3とが共に50nm以下の微粒子状態であるために、高温時に比表面積の低下が生じ耐熱性が十分でないという不具合があった。そこでLaの添加を試みたが、Al,Zr,Ti及びLaを含む水溶液から共沈法によって生成された沈殿を焼成してなる複合酸化物では、塩基性の La2O3がZrO2−TiO2固溶体側に固溶してしまい、Laは Al2O3の安定化に寄与せず、かえって耐硫黄被毒性が低下するという現象が認められた。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、複合酸化物を構成する各金属元素の特徴が最大に発現された触媒担体とすることで、硫黄被毒を抑制できるとともに高い耐久性を有するNOx 吸蔵還元型の触媒を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一つの製造方法の特徴は、Al,Zr及びTiの塩の溶液をそれぞれ用意し、それぞれの塩の溶液とアルカリ溶液とを混合してそれぞれ沈殿を形成し、それぞれの沈殿を混合した沈殿物を 650℃以上で焼成することにある。
【0015】
本発明のもう一つの製造方法の特徴は、Al,Zr及びTiの塩の溶液をそれぞれ用意し、塩の全量を中和可能なアルカリ溶液と混合することで塩の溶液から沈殿物を逐次生成し、沈殿物を 650℃以上で焼成することにある。
【0016】
例えば、Al,Zr及びTiを含む溶液からAl,Zr及びTiを含む第1沈殿を生成し、次いでAlを含む溶液からAlを含む第2沈殿を生成することが好ましい。
【0017】
また上記製造方法において、Alを含む溶液からAlを含む第1沈殿を生成し、次いでAl,Zr及びTiを含む溶液からAl,Zr及びTiを含む第2沈殿を生成することもできる。
【0018】
また上記製造方法において、Al,Zr及びTiを含む溶液からAl,Zr及びTiを含む第1沈殿を生成し、次いで希土類元素及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種及びAlを含む溶液から希土類元素及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種及びAlを含む第2沈殿を生成してもよい。
【0019】
さらに上記製造方法において、希土類元素及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種及びAlを含む溶液から希土類元素及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種及びAlを含む第1沈殿を生成し、次いでAl,Zr及びTiを含む溶液からAl,Zr及びTiを含む第2沈殿を生成することもできる。
【0020】
沈殿物又は第1沈殿及び第2沈殿は、水又は水を含む溶液を分散媒とした懸濁状態または系内に水が十分に存在する状態で熟成されることが望ましい。また熟成は室温以上で行うことが望ましく、熟成は 100〜 200℃さらに望ましくは 100〜 150℃で行うことが望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
従来の触媒担体の製造方法における焼成温度は、高々 500℃程度であった。しかし本発明の触媒担体の製造方法では、沈殿物又は第1沈殿及び第2沈殿を 650 ℃以上で焼成している。これにより本発明の触媒担体は、メソ細孔領域の細孔を有するとともに、テトラゴナル型ジルコニアを含み、かつZrO2及びTiO2の少なくとも一部がZrO2−TiO2固溶体となっている。したがって既に高温で焼成されているため、触媒として使用時の比表面積の低下が抑制される。また高温での焼成によって触媒担体中の不純物が除去され、その結果、担持された貴金属及びNOx 吸蔵材の本来の特性が発現されると考えられる。
【0023】
そして明確な理由は不明であるが、触媒として高温で使用した場合でも、貴金属及びNOx 吸蔵材のシンタリングが抑制されるとともに、耐硫黄被毒性が向上する。しかもこの触媒担体は、高温耐久後でも 120m2/g以上の比表面積を有しているので、高い触媒活性が得られる。
【0024】
本発明によって得られる触媒担体は、粒径が20μm以下の凝集粒子中に Al2O3、ZrO2及びTiO2からなる複合酸化物又は固溶体が50nm以下の微粒子として分散していることが望ましい。この場合には Al2O3、ZrO2及びTiO2が高分散状態であっても、既に凝集した状態であるので更なる凝集が抑制され、耐熱性が向上するとともに耐硫黄被毒性が一層向上する。
【0025】
またこの触媒担体では、凝集粒子は表面と内部とで金属元素の分布が異なっていることが望ましい。例えば表面に Al2O3が多い構成とすれば、担持される貴金属を安定化することができる。また表面にZrO2−TiO2固溶体が多い構成とすれば、SOx が付着しにくくなり耐硫黄被毒性が格段に向上する。
【0026】
この触媒担体においては、凝集粒子はさらに希土類元素酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種を含み、希土類元素酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種の70mol%以上が Al2O3中に固溶していることが望ましい。これにより Al2O3の耐熱性が向上するとともに、希土類元素酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種の固溶によるZrO2−TiO2固溶体の耐硫黄被毒性の低下が抑制される。希土類元素酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種の90mol%以上が Al2O3中に固溶していることがさらに望ましい。この希土類元素酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種は、 Al2O3に対して70〜95mol%の範囲で固溶していることが望ましい。希土類元素酸化物としては、La,Sc,Nd,Sm,Prなどの酸化物が例示され、アルカリ土類金属酸化物としてはBe,Mg,Ca,Sr,Baなどの酸化物が例示される。中でも La2O3が最も好ましい。
【0027】
そして La2O3の70mol%以上が Al2O3中に固溶し、かつ凝集粒子の表面にZrO2−TiO2固溶体が多い構成とした担体から調製された触媒は、高い耐硫黄被毒性を有するとともに耐熱性が格段に向上するため、SOx を含む雰囲気下における高温耐久後にもきわめて高い活性が発現される。
【0028】
本発明によって得られる触媒担体において、それぞれの酸化物の構成比は、モル比で Al2O3:ZrO2:TiO2=19〜82:8〜66:3〜49の範囲とすることが好ましい。 Al2O3の比率がこの範囲より少ないと活性が低下し、この範囲より多くなると耐硫黄被毒性が低下するようになる。またZrO2の比率がこの範囲より少ないとNOx 吸蔵材と担体の固相反応が起こりやすくなり、この範囲より多いと担体の比表面積低下を引き起こす原因となる。さらにTiO2の比率がこの範囲より少ないと耐硫黄被毒性が低下し、この範囲より多くなると担体の比表面積が低下する。
【0029】
なお上記したメソ細孔とは、一般には細孔直径が1〜 100nmの細孔をいう。しかし水銀ポロシメータを用いて細孔を測定する場合は、原理上3nmが下限値である。
【0030】
本発明の一つの製造方法では、Al,Zr及びTiの塩の溶液をそれぞれ用意し、それぞれの塩の溶液とアルカリ溶液とを混合してそれぞれ沈殿を形成し、それぞれの沈殿を混合した沈殿物を 650℃以上で焼成している。
【0031】
また本発明のもう一つの製造方法では、Al,Zr及びTiの塩の溶液をそれぞれ用意し、塩の全量を中和可能なアルカリ溶液と混合することで塩の溶液から沈殿物を逐次生成し、この沈殿物を 650℃以上で焼成している。
【0032】
沈殿物の焼成温度は 650 ℃以上であることが必要であるが、 650 〜 900 ℃であることが特に望ましい。焼成温度が 650 ℃未満であると、触媒として耐久試験を行った場合に貴金属などのシンタリングが生じやすく、耐硫黄被毒性も低下する。また焼成温度が 900℃を超えると、 Al2O3の結晶化並びに相転移による比表面積の低下などが生じるため好ましくない。
【0033】
上記二つ目の製造方法において、Al,Zr及びTiの塩の溶液をアルカリ溶液に逐次添加して沈殿を生成することが望ましい。この方法を逐次共沈法と称する。実際には、複数種の塩が溶解した混合溶液から沈殿させる場合でも、溶解度あるいはイオン化傾向などの差から沈殿は逐次生成している。しかしこれでは制御が困難であるので、逐次共沈法を用いることが好ましい。この逐次共沈法によれば、先ず先に添加された溶液から塩が中和され金属水酸化物として析出する。そして後から添加された塩溶液が中和されると、新しい金属水酸化物は先に生成している析出物を核としてその表面に優先的に析出し、沈殿する。あるいは析出物を介在物としてその粒界に析出し、沈殿する。
【0034】
望ましくは、Al,Zr及びTiを含む溶液からAl,Zr及びTiを含む第1沈殿を生成し、次いでAlを含む溶液からAlを含む第2沈殿を生成する。あるいは逆にAlを含む溶液からAlを含む第1沈殿を生成し、次いでAl,Zr及びTiを含む溶液からAl,Zr及びTiを含む第2沈殿を生成する。又はAl,Zr及びTiを含む溶液からAl,Zr及びTiを含む第1沈殿を生成し、次いで希土類元素及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種及びAlを含む溶液から希土類元素及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種及びAlを含む第2沈殿を生成する。あるいはその逆に、希土類元素及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種及びAlを含む溶液から希土類元素及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種及びAlを含む第1沈殿を生成し、次いでAl,Zr及びTiを含む溶液からAl,Zr及びTiを含む第2沈殿を生成する。
【0035】
第1沈殿と第2沈殿を同一容器内で生成させるには、先ず単一又は複数種の第1金属元素を含む溶液とその酸量を中和する量のアルカリ溶液とを接触させて第1沈殿を生成し、その後さらに複数種又は単一の第2金属元素を含む溶液とその酸量を中和する量のアルカリ溶液を添加して第2沈殿を生成すればよい。なお第3あるいは第4の沈殿をさらに混合してもよいし、第2沈殿生成後に第3あるいは第4の沈殿を生成してもよい。
【0036】
したがってこの沈殿物を焼成して得られる複合酸化物では、一次粒子が凝集して生成する凝集粒子において、中心部分と表面部分とで金属元素の分布が異なることとなり、本発明の製造方法によれば用いる塩の種類を適切に選択することで、表面と内部とで金属元素の分布が異なる本発明の触媒担体を製造することができる。
【0037】
塩としては必要とされる水又はアルコールへの溶解度を有するものであれば特に制限がないが、硝酸塩が特に好ましく用いられる。アルカリ溶液としては、アンモニア、炭酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどを溶解した水溶液、アルコール溶液が使用できる。焼成時に揮散するアンモニア、炭酸アンモニウムが特に好ましい。なお、アルカリ溶液のpHは、9以上であることがより好ましい。
【0038】
沈殿の析出方法には、様々な調節方法があり、アンモニア水などを瞬時に添加し強撹拌する方法や、過酸化水素などを加えることで酸化物前駆体の沈殿し始めるpHを調節した後、アンモニア水などで沈殿を析出させる方法などがある。またアンモニア水などで中和させる際にかかる時間を十分に長くし、好ましくは10分以上で中和させる方法や、pHをモニターしながら段階的に中和する又は所定のpHに保つような緩衝溶液を添加する方法などがある。
【0039】
また塩の溶液を添加するには、塩の溶液を一度に添加するのが好ましい。これにより沈殿粒子の粒径をより微細とすることができ、50nm以下の微粒子が凝集した20μm以下の凝集粒子からなる複合酸化物を容易に製造することができる。そして逐次添加するには、2段階以上の複数段階で行うことができ、段階の上限は特に規制されない。
【0040】
そして、水又は水を含む溶液を分散媒とした懸濁状態または系内に水が十分に存在する状態で混合物を加温する熟成工程を行うことがさらに望ましい。これにより、メカニズムは不明であるが、細孔が制御された触媒担体が得られる。
【0041】
系内に水分が充分に存在している状態で沈殿を熟成するには、沈殿を含む溶液ごと加熱して溶媒を蒸発させ、そのまま焼成することで行うことができる。あるいは濾別された沈殿物を水蒸気の存在下で焼成してもよい。この場合は、飽和水蒸気雰囲気で焼成することが好ましい。
【0042】
上記した熟成工程を行った場合には、加温の熱によって溶解・再析出が促進されるとともに粒子の成長が生じる。この場合は、塩の全てを中和できる当量以上の塩基で中和することが望ましい。これにより酸化物前駆体がより均一に熟成され、細孔が効果的に形成されるとともに、ZrO2−TiO2固溶体の固溶がさらに促進される。
【0043】
この熟成工程は、室温以上、好ましくは 100〜 200℃で、さらに好ましくは 100〜 150℃で行うことが望ましい。 100℃未満の加温では熟成の促進効果が小さく、熟成に要する時間が長大となる。また 200℃より高い温度では、10気圧以上に耐えうる合成装置が必要となり、設備コストが高くなるため触媒担体には適さない。
【0044】
得られた沈殿は、 550℃以上で焼成される。上記したように、焼成温度が 550℃未満であると、触媒として耐久試験を行った場合に貴金属などのシンタリングが生じやすく、耐硫黄被毒性も低下する。また焼成温度が 900℃を超えると、 Al2O3の結晶化並びに相転移による比表面積低下が生じるため好ましくない。
【0045】
そして本発明によって得られる触媒担体に、貴金属及びNOx 吸蔵材を担持することで触媒が得られる。この触媒は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンあるいはガスエンジン( GHP)などからの排ガスの浄化に利用できる。
【0046】
貴金属としては、Pt,Rh,Pd,Ir,Ruなどが利用できるが、NOの酸化活性が高いPtが特に好ましい。この貴金属の担持量は、触媒1リットル当たり 0.1〜20gとすることができる。貴金属の担持量がこの範囲より少ないとNOx 浄化活性が低く、この範囲より多く担持しても活性が飽和するとともにコストが上昇する。
【0047】
NOx 吸蔵材は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類元素から選ばれる少なくとも1種であり、塩基度が高いアルカリ金属及びアルカリ土類金属の少なくとも一方を用いることが望ましい。アルカリ金属は高温域におけるNOx 吸蔵能が高く、アルカリ土類金属は低温域におけるNOx 吸蔵能が高いので、両者を併用することが好ましく中でもK及びBaを併用するとよい。このNOx 吸蔵材は、炭酸塩などの塩あるいは酸化物、水酸化物などの状態で担持される。
【0048】
NOx 吸蔵材の担持量は、触媒1リットル当たり 0.1〜 1.2モル担持されていることが望ましい。なおNOx 吸蔵材の担持量が多すぎると、貴金属がNOx 吸蔵材で覆われる現象が生じ、NOx 浄化活性が低下するようになる。
【0049】
ところで本発明によって得られる触媒においても、担持されている貴金属は高温耐久試験時にシンタリングなどによって劣化することが避けられない。本発明によって得られる触媒担体は、NOx 吸蔵材との固相反応が抑制されているため、KなどのNOx 吸蔵材は高温耐久後も高い活性を維持した状態で担持されている。そのため高温で容易に液状化し、それがPtのシンタリングを促進することが劣化の原因の一つとして挙げられる。またNOx 吸蔵材の塩基性が高いためPtが酸化され易く、Ptの触媒活性が失活することも考えられる。さらにRhは熱的な要因によって劣化すると考えられる。そしてこのように貴金属が劣化すると、 400℃以下の低温から中温域におけるNOx 吸蔵能が低下するという不具合がある。
【0050】
排ガス中にはNOが含まれ、それが触媒上で酸化されNO2 となって初めてNOx 吸蔵材に吸蔵されることがわかっている。しかしPtが劣化していると、NOの酸化反応が進行しにくくなり、 400℃以下の低温から中温域におけるNOx 吸蔵能が低下してしまう。またRhが劣化していると、HCの完全酸化が困難となるために、残存するHCとNO2 とが反応してしまい、見掛け上のNO2 生成量が低下してNOx 吸蔵能が低下する。
【0051】
そこで本発明の排ガス浄化方法では、本発明の触媒にNOx 成分の少なくとも一部が予めNO2 とされた排ガスを供給することとしている。これにより貴金属が劣化していたとしてもNOの酸化が不要となるとともに見掛け上のNO2 生成量が増大するため、 400℃以下の低温から中温域におけるNOx 吸蔵能が著しく向上する。
【0052】
このようにNOx 成分を予めNO2 とするには、本発明の触媒の排ガス上流側に酸化触媒あるいは三元触媒を配置しておけばよい。この酸化触媒あるいは三元触媒により排ガス中のNOはNO2 に酸化されるので、本発明の触媒にはNOx 成分の少なくとも一部が予めNO2 とされた排ガスが供給されることになる。この酸化触媒あるいは三元触媒としては、多孔質酸化物担体にPtなどの貴金属を担持した公知のものを用いることができる。
【0053】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0054】
(実施例1)
硝酸アルミニウムと、オキシ硝酸ジルコニル及び四塩化チタンを水中で撹拌混合し、混合水溶液を調製した。これにアンモニア水を添加して中和し、共沈法により沈殿物を得た。この沈殿物を溶液とともに2気圧下 120℃で2時間保持する熟成を行った。その後、沈殿物を 400℃で5時間仮焼した後 800℃で5時間焼成し、湿式ボールミルにてメジアン径D50≒10μmに粉砕して触媒担体粉末を調製した。各酸化物の組成は、重量比で Al2O3:ZrO2:TiO2=50:35:15である。
【0055】
この触媒担体粉末は、 Al2O3-ZrO2-TiO2複合酸化物よりなり、直径約14nmのメソ細孔を有するとともに、テトラゴナル型ジルコニアの結晶が確認され、かつZrO2及びTiO2の少なくとも一部がZrO2−TiO2固溶体となっていた。また BET比表面積は 128m2/gであった。
【0056】
この触媒担体粉末に対し、ジニトロジアンミン白金水溶液を用いてPtを担持し、次いで硝酸ロジウム水溶液を用いてRhを担持した。触媒担体粉末 120gに対して、Ptは2g、Rhは 0.1g担持された。貴金属担持後の焼成条件は、大気中、 250℃で1時間とした。さらに酢酸バリウム水溶液を用いてBaを担持し、酢酸カリウム水溶液を用いてKを担持した。触媒担体粉末 120gに対して、Baは 0.2モル、Kは 0.1モル担持された。NOx 吸蔵材担持後の焼成条件は、大気中、 500℃で1時間とした。
【0057】
得られた触媒粉末を定法によりペレット化し、ペレット触媒を調製した。
【0058】
(実施例2)
沈殿物の熟成を 1.6気圧下 113℃で2時間保持して行ったこと以外は実施例1と同様にして、ペレット触媒を調製した。なお触媒担体粉末の BET比表面積は 134m2/gであった。
【0059】
(実施例3)
混合水溶液にさらに硝酸ランタンを加え、触媒担体粉末の組成を重量比で Al2O3:ZrO2:TiO2: La2O3=46:32:14:8としたこと、及び沈殿の熟成を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、ペレット触媒を調製した。なお触媒担体粉末の BET比表面積は 117m2/gであった。
【0060】
(実施例4)
硝酸アルミニウムを純水に溶解し、水溶液Aを調製した。一方、オキシ硝酸ジルコニル及び四塩化チタンを水中で撹拌混合し、水溶液Bを調製した。さらに全ての硝酸根を中和できる量の 1.2倍モルの NH3を含む中和水溶液を調製した。
【0061】
反応容器に中和水溶液の全量を入れてメカニカルスターラー及びホモジナイザで撹拌しながら水溶液Aを加え、そのまま1時間撹拌後、水溶液Bを加えさらに1時間撹拌した。得られた沈殿物を 400℃で5時間仮焼した後 800℃で5時間焼成し、湿式ボールミルにてメジアン径D50≒10μmに粉砕して触媒担体粉末を調製した。各酸化物の組成は、重量比で Al2O3:ZrO2:TiO2=50:35:15である。なお触媒担体粉末の BET比表面積は 154m2/gであった。
【0062】
この触媒担体粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ペレット触媒を調製した。
【0063】
(実施例5)
硝酸アルミニウムを純水に溶解し、水溶液Aを調製した。一方、オキシ硝酸ジルコニル及び四塩化チタンを水中で撹拌混合し、水溶液Bを調製した。さらに全ての硝酸根を中和できる量の 1.2倍モルの NH3を含む中和水溶液を調製した。
【0064】
反応容器に中和水溶液の全量を入れてメカニカルスターラー及びホモジナイザで撹拌しながら水溶液Aを加え、そのまま1時間撹拌した。そして沈殿物を溶液とともに2気圧下 120℃で2時間保持する熟成を行った。
【0065】
次に、沈殿物を含む溶液を室温まで冷却した後、水溶液Bを加えさらに1時間撹拌した。得られた沈殿物を 400℃で5時間仮焼した後 800℃で5時間焼成し、湿式ボールミルにてメジアン径D50≒10μmに粉砕して触媒担体粉末を調製した。各酸化物の組成は、重量比で Al2O3:ZrO2:TiO2=50:35:15である。なお触媒担体粉末の BET比表面積は 143m2/gであった。
【0066】
この触媒担体粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ペレット触媒を調製した。
【0067】
(実施例6)
硝酸アルミニウムと硝酸ランタンを純水に溶解し、水溶液Aを調製した。一方、オキシ硝酸ジルコニル及び四塩化チタンを水中で撹拌混合し、水溶液Bを調製した。さらに全ての硝酸根を中和できる量の 1.2倍モルの NH3を含む中和水溶液を調製した。
【0068】
反応容器に中和水溶液の全量を入れてメカニカルスターラー及びホモジナイザで撹拌しながら水溶液Aを加え、そのまま1時間撹拌した。そして沈殿物を溶液とともに2気圧下 120℃で2時間保持する熟成を行った。
【0069】
次に、沈殿物を含む溶液を室温まで冷却した後、水溶液Bを加えさらに1時間撹拌した。得られた沈殿物を 400℃で5時間仮焼した後 800℃で5時間焼成し、湿式ボールミルにてメジアン径D50≒10μmに粉砕して触媒担体粉末を調製した。各酸化物の組成は、重量比で Al2O3:ZrO2:TiO2: La2O3=46:32:14:8である。なお触媒担体粉末の BET比表面積は 121m2/gであった。
【0070】
この触媒担体粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ペレット触媒を調製した。
【0071】
(実施例7)
硝酸アルミニウム水溶液と、オキシ硝酸ジルコニル水溶液及び四塩化チタン水溶液をそれぞれ調製し、それぞれにアンモニア水を加えて沈殿をそれぞれ生成した。それぞれの沈殿物を混合し、 400℃で5時間仮焼した後 800℃で5時間焼成し、湿式ボールミルにてメジアン径D50≒10μmに粉砕して触媒担体粉末を調製した。各酸化物の組成は、重量比で Al2O3:ZrO2:TiO2=50:35:15である。なお触媒担体粉末の BET比表面積は 140m2/gであった。
【0072】
この触媒担体粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ペレット触媒を調製した。
【0073】
(参考例1)
沈殿物を 400℃で5時間仮焼した後 600℃で5時間焼成したこと以外は実施例1と同様にして、ペレット触媒を調製した。なお触媒担体粉末の BET比表面積は 240m2/gであった。
【0074】
(実施例8)
沈殿物を 400℃で5時間仮焼した後 700℃で5時間焼成したこと以外は実施例1と同様にして、ペレット触媒を調製した。なお触媒担体粉末の BET比表面積は 195m2/gであった。
【0075】
(比較例1)
沈殿物を 400℃で5時間仮焼した後 500℃で5時間焼成したこと以外は実施例1と同様にして、ペレット触媒を調製した。なお触媒担体粉末の BET比表面積は 277m2/gであった。
【0076】
<試験例1>
実施例1〜8、参考例1及び比較例1の触媒を評価装置にそれぞれ 0.5gずつ装填し、表1に示すモデルガスを流しながら 250〜 600℃の範囲の各温度におけるNOx 吸蔵量を測定した。詳しくは、先ず表1に示すLeanガスを各温度で3L/分流通させて酸化処理し、その後3秒間Richガスを流通させ、さらにLeanガスに切り替えた後のリッチスパイクNOx 吸蔵量(RSNOx 吸蔵量)を測定した。結果を図1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
<試験例2>
実施例1〜8、参考例1及び比較例1の触媒を評価装置にそれぞれ1gずつ装填し、表2に示すLean/Richモデルガスを交互に30秒間ずつ1L/分の流量で流しながら、 600℃で5時間保持する硫黄被毒耐久試験を行った。
【0079】
【表2】
【0080】
そして硫黄被毒耐久試験後の各触媒について、試験例1と同様にしてRSNOx 吸蔵量を測定し、結果を図2及び表4に示す。
【0081】
<試験例3>
実施例1〜8、参考例1及び比較例1の触媒を評価装置にそれぞれ1gずつ装填し、表3に示すLean/Richモデルガスを交互に2分間ずつ流しながら、 800℃で5時間保持する耐熱耐久試験を行った。
【0082】
【表3】
【0083】
そして耐熱耐久試験後の各触媒について、試験例1と同様にしてRSNOx 吸蔵量を測定し、結果を図3及び表4に示す。
【0084】
<評価>
【0085】
【表4】
【0086】
図1から実施例1,8と参考例1及び比較例1を比較すると、触媒担体製造時の沈殿の焼成温度が高くなるにつれてRSNOx 吸蔵量が増加し、初期の触媒性能が向上していることがわかる。その差は排ガス温度が高温で著しく、実施例1の触媒では 500℃の排ガス温度でもRSNOx 吸蔵量がきわめて大きい。
【0087】
また硫黄被毒耐久試験後、及び耐熱耐久試験後においては、 400〜 600℃の評価温度域においてRSNOx 吸蔵量が沈殿の焼成温度の上昇につれて増加する傾向が見られる。特に実施例1の触媒では、これまでの標準焼成温度である 500℃で沈殿を焼成した比較例1に比べて、硫黄被毒耐久試験後において最大 2.9倍( 600℃評価時)、また耐熱耐久試験後において最大 1.9倍( 400℃評価時)のRSNOx 吸蔵量を示している。
【0088】
さらに実施例1〜7の結果からわかるように、種々の製造方法で製造して比表面積が異なる触媒担体であっても、 800℃で焼成することで高いRSNOx 吸蔵能を示している。実施例1,2の触媒は特に高いRSNOx 吸蔵能を示し、これは沈殿全体に熟成処理を行ったことによる効果と考えられる。熟成による効果は、実施例4と実施例5の比較及び実施例3と実施例6の比較からも明らかである。
【0089】
そして実施例5と実施例6の比較より、 La2O3をさらに複合化することで耐熱性が向上していることも明らかである。
【0090】
(実施例10)
硝酸アルミニウムと、オキシ硝酸ジルコニル及び四塩化チタンを水中で撹拌混合し、混合水溶液を調製した。これにアンモニア水を添加して中和し、共沈法により沈殿物を得た。この沈殿物を 400℃で5時間仮焼した後 800℃で5時間焼成し、湿式ボールミルにてメジアン径D50≒10μmに粉砕して触媒担体粉末を調製した。各酸化物の組成は、重量比で Al2O3:ZrO2:TiO2=50:35:15である。
【0091】
この触媒担体粉末は、 Al2O3-ZrO2-TiO2複合酸化物よりなり、直径約14nmのメソ細孔を有するとともに、テトラゴナル型ジルコニアの結晶が確認され、かつZrO2及びTiO2の少なくとも一部がZrO2−TiO2固溶体となっていた。また BET比表面積は 127m2/gであった。
【0092】
この触媒担体粉末 200重量部と、Rhを 0.5重量%担持したZrO2粉末50重量部と、アルミナゾル( Al2O3が5重量%) 130重量部と、水 120重量部を混合してスラリーを調製し、35ccのハニカム基材にウェットコートした後、 500℃で1時間焼成した。コート量はハニカム基材1Lに対して 250gである。
【0093】
次いで実施例1と同様の薬液を用い、Ptを吸着担持した後にBaとKを吸水担持した。担持後の焼成条件は、全て大気中にて 300℃で3時間である。また各触媒成分の担持量は、ハニカム基材1Lに対してPtが5g、Rhが 0.5g、Baが 0.1モル、Kが 0.6モルである。
【0094】
(比較例2)
Al2O3粉末 100重量部と、TiO2粉末 100重量部と、Rhを 0.5重量%担持したZrO2粉末50重量部と、アルミナゾル( Al2O3が5重量%) 130重量部と、水 120重量部を混合してスラリーを調製し、35ccのハニカム基材にウェットコートした後、 500℃で1時間焼成した。コート量はハニカム基材1Lに対して 250gである。
【0095】
次いで実施例10と同様にして各触媒成分を担持した。
【0096】
<試験例4>
実施例10と比較例2の触媒をそれぞれ評価装置に配置し、表5に示すLeanガスを46秒、Richガスを2秒、交互に流通させながら 300℃、 400℃及び 500℃の各温度における触媒通過後のNOx 濃度変化を測定した。そして入りガスNOx 濃度との比較によりNOx 排出率を測定した。結果を初期NOx 排出率として表7に示す。
【0097】
【表5】
【0098】
次に実施例10と比較例2の触媒をそれぞれ評価装置に配置し、表6に示すモデルガスを図4に示すパターンで流通させる耐久試験を行った。そして耐久試験後の各触媒について、上記と同様にしてNOx 排出率を測定し、結果を耐久後NOx 排出率として表7に示す。
【0099】
【表6】
【0100】
<評価>
【0101】
【表7】
【0102】
表7より、実施例10の触媒は比較例2に比べて初期及び耐久後ともにNOx 排出率が低いことがわかり、これは本発明の触媒担体を用いた効果であることが明らかであり、本発明の触媒はガソリンエンジン、ディーゼルエンジンあるいはガスエンジン( GHP)などからの排ガスの浄化に用いて効果があることが明らかである。
【0103】
(実施例11)
実施例1で調製された Al2O3-ZrO2-TiO2複合酸化物よりなる触媒担体粉末 200gと、Rhを 0.5重量%担持したZrO2粉末50重量部と、CeO2−ZrO2固溶体粉末20gと、アルミナゾル( Al2O3が5重量%) 130gと、水 170gを混合してスラリーを調製し、35ccのハニカム基材にウェットコートした後、 500℃で1時間焼成した。コート量はハニカム基材1Lに対して 270gである。
【0104】
次いで実施例1と同様の薬液を用い、Ptを吸着担持した後にBaとK及びLiを吸水担持した。担持後の焼成条件は、全て大気中にて 300℃で3時間である。また各触媒成分の担持量は、ハニカム基材1Lに対してPtが2g、Rhが 0.5g、Baが 0.2モル、Kが0.15モル、Liが 0.1モルである。
【0105】
(比較例3)
Al2O3-ZrO2-TiO2複合酸化物よりなる触媒担体粉末 200gに代えて、 Al2O3粉末 100gとZrO2−TiO2固溶体粉末 100gの混合粉末を用いたこと以外は実施例11と同様にして、比較例3の触媒を調製した。
【0106】
<試験例5>
実施例11及び比較例3の触媒を評価装置に配置し、表3に示したLean/Richモデルガスを交互に2分間ずつ流しながら、 800℃で5時間保持する耐熱耐久試験を行った。
【0107】
【表8】
【0108】
【表9】
【0109】
この耐熱耐久試験後の各触媒をそれぞれ評価装置に配置し、表8に示すモデルガス(NO入り)を流しながら 200〜 400℃の範囲の各温度におけるNOx 吸蔵量を測定した。詳しくは、先ずLeanガスを各温度で3L/分流通させて酸化処理し、その後3秒間Richガスを流通させ、さらにLeanガスに切り替えた後のリッチスパイクNOx 吸蔵量(RSNOx 吸蔵量)をそれぞれ測定した。結果を表10及び図5に示す。また表9に示すモデルガス(NO2 入り)を用い、同様にしてリッチスパイクNOx 吸蔵量(RSNOx 吸蔵量)をそれぞれ測定した。結果を表11及び図6に示す。
【0110】
【表10】
【0111】
【表11】
【0112】
図5〜6及び表10〜11よりわかるように、NOx 成分をNOとして供給した場合には、実施例11の方が比較例3より低温域におけるNOx 吸蔵能が低い。しかしNOx 成分をNO2 として供給することにより、実施例11の触媒は 300℃において比較例3の触媒の約 1.2倍のNOx 吸蔵能を示し、 400℃においては約 1.5倍のNOx 吸蔵能を示している。すなわち本発明の触媒に対して、NOx 成分が予めNO2 とされた排ガスを供給することにより、400℃以下の低温から中温域におけるNOx 吸蔵能が向上することが明らかである。
【0113】
【発明の効果】
すなわち本発明の触媒担体及び触媒によれば、硫黄被毒を抑制できるとともに高い耐久性が発現されるので、高温の排ガス中における耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例の触媒の温度と初期のRSNOx 吸蔵量との関係を示すグラフである。
【図2】実施例及び比較例の触媒の温度と硫黄被毒耐久試験後のRSNOx 吸蔵量との関係を示すグラフである。
【図3】実施例及び比較例の触媒の温度と耐熱耐久試験後のRSNOx 吸蔵量との関係を示すグラフである。
【図4】実施例における耐久試験のパターンを示すグラフである。
【図5】耐熱耐久試験後の実施例及び比較例の触媒に、NOx 成分としてNOを含むモデルガスを供給した場合の温度とRSNOx 吸蔵量との関係を示すグラフである。
【図6】耐熱耐久試験後の実施例及び比較例の触媒に、NOx 成分としてNO2 を含むモデルガスを供給した場合の温度とRSNOx 吸蔵量との関係を示すグラフである。
Claims (11)
- Al,Zr及びTiの塩の溶液をそれぞれ用意し、それぞれの該塩の溶液とアルカリ溶液とを混合してそれぞれ沈殿を形成し、それぞれの該沈殿を混合した沈殿物を 650℃以上で焼成することを特徴とする触媒担体の製造方法。
- Al,Zr及びTiの塩の混合溶液を用意し、少なくとも該塩の全量を中和可能なアルカリ溶液と混合することで該塩の溶液から沈殿物を生成し、該沈殿物を 650℃以上で焼成することを特徴とする触媒担体の製造方法。
- Al,Zr及びTiの塩の溶液をそれぞれ用意し、少なくとも該塩の全量を中和可能なアルカリ溶液と混合することで該塩の溶液から沈殿物を逐次生成し、該沈殿物を 650℃以上で焼成することを特徴とする触媒担体の製造方法。
- Al,Zr及びTiを含む溶液からAl,Zr及びTiを含む第1沈殿を生成し、次いでAlを含む溶液からAlを含む第2沈殿を生成する請求項3に記載の触媒担体の製造方法。
- Alを含む溶液からAlを含む第1沈殿を生成し、次いでAl,Zr及びTiを含む溶液からAl,Zr及びTiを含む第2沈殿を生成する請求項3に記載の触媒担体の製造方法。
- Al,Zr及びTiを含む溶液からAl,Zr及びTiを含む第1沈殿を生成し、次いで希土類元素及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種及びAlを含む溶液から希土類元素及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種及びAlを含む第2沈殿を生成する請求項3に記載の触媒担体の製造方法。
- 希土類元素及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種及びAlを含む溶液から希土類元素及びアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種及びAlを含む第1沈殿を生成し、次いでAl,Zr及びTiを含む溶液からAl,Zr及びTiを含む第2沈殿を生成する請求項3に記載の触媒担体の製造方法。
- 前記沈殿物又は前記第1沈殿及び前記第2沈殿は、水又は水を含む溶液を分散媒とした懸濁状態または系内に水が十分に存在する状態で熟成される請求項3〜7のいずれかに記載の触媒担体の製造方法。
- 前記熟成は室温以上で行う請求項8に記載の触媒担体の製造方法。
- 前記熟成は 100〜 200℃で行う請求項8に記載の触媒担体の製造方法。
- 前記熟成は 100〜 150℃で行う請求項8に記載の触媒担体の製造方法。
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