JP3986663B2 - 一方向繊維強化プリプレグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化樹脂複合材料成形用プリプレグに関するものである。更に詳しくは、釣り竿、ゴルフシャフト、スキーストックのような直径が比較的細くしかもテーパーや段差のあるFRPパイプ成形に好適な、樹脂含有量の低い、繊維強化複合材料成形用プリプレグに関するものである
【0002】
【従来の技術】
強化繊維に未硬化のマトリックス樹脂を含浸してなるプリプレグはゴルフシャフト、釣竿、テニスラケット等の成形品の中間素材としてスポーツレジャー用途に幅広く使用されるようになってきている。
【0003】
このプリプレグは、従来樹脂含有量40重量%前後のものが主として用いられてきたが、近年は、ゴルフシャフト、釣竿を中心に、より軽量化、高性能化を図るために樹脂含有率(以下、RCと略すことがある)の低い、いわゆる低RCプリプレグの開発が進められている。
【0004】
プリプレグをゴルフシャフト、釣竿等のスポーツ用品に広く使用されている円筒形状のFRPに成形する場合、プリプレグを所定の形状にカットし、場合によっては数枚積層し、芯金に重ね巻きして目的の成形品を得る。
【0005】
ところが従来の比較的樹脂含有率の高いプリプレグに使用されているマトリックス樹脂を低RCプリプレグ用とした場合、表面の絶対樹脂量が少なくなるために粘着性が低くなってしまう。
【0006】
また、成形に際しては、予めカットされたプリプレグを芯金に巻き付ける前に繊維軸方向の異なる方向に積層し、次いで芯金に巻き付ける場合と、カットしたプリプレグを直接巻く場合とがある。
【0007】
またカット、積層されたプリプレグ又はカットされたままのプリプレグは芯金に巻き付けるまでにしばらく放置されるケースが多く、その間に樹脂含有率が低いプリプレグでは表面の樹脂がプリプレグの離型紙側に移行し、強化繊維が浮き上がり、更に表面のタックが著しく低下する。
【0008】
このような表面タック性の低いプリプレグを使用し、成形のために芯金に巻き付けた場合、プリプレグ相互の密着性が悪く、プリプレグ巻き端末部分が跳ね返り、次層の巻き付け工程に多大な支障をきたすことになる。
【0009】
特に、プリプレグを芯金に巻き付ける際、芯金の軸方向に対し繊維の軸方向に角度を付けてレイアップすることが多く、この場合、その角度が±45°の場合、プリプレグの端末より繊維軸方向にプリプレグが割れ、跳ね返り現象は最大となる。強化繊維材が、弾性の高い炭素繊維のような場合はこの傾向は顕著である。
【0010】
また、タックが低いプリプレグを使用した場合、成形品もボイドや層間剥離といった欠陥が発生し易く、強度低下、折損などのトラブルに繋がる。タックを高める手段を採ると耐熱性が低くなる傾向がある。管状体の製造段階では、成形後表面を研磨する工程を有し、このため成形物には耐熱性が要求される。成形物の耐熱性が低いと、乾式での研磨時に研磨具表面に脱落樹脂が粘着し、目詰まりを起こし、成形物の表面荒れが生じたり、また高速研磨が困難になる等の問題がある。
【0011】
更に、釣竿、ゴルフクラブ等のスポーツ用品にあっては、炎天下の車中に放置された場合、100℃以上の熱暴露を受ける事があり、成形物の耐熱性を高め、成形物の変形、曲がり等の変形を防止しなければならない。耐熱性の目安として、硬化物の耐熱性は少なくとも100℃有ることが高品位の成形材料には求められる。
【0012】
一般に、成形物の耐熱性を高める手段として、架橋密度を高める方法があるが、このような手段によって耐熱性を高めると、成形物が脆性化し、靭性を要求される分野での用途には不向きとなる。
【0013】
従来より、プリプレグのタックを改善するために、以下に示すような種々の方法が提案されている。
【0014】
例えば、特開昭60−28425号公報では汎用エポキシ樹脂にアルキルフェノール樹脂を添加するプリプレグ樹脂組成物が提案されている。しかしながら、アルキルフェノール樹脂添加エポキシ樹脂組成物を含浸したプリプレグは、樹脂含有率が30%前後までは、接着性が良好であるが、25%以下の低樹脂含有率領域では接着性が不足し、しかもタックの経時変化も抑えられない。
【0015】
また、特開平9−3158号公報では低粘度樹脂にビニルエステル樹脂、光重合開始剤を加え、特定波長の光を当てることによってタックを改良する方法が提示されている。しかしながら、光照射によるプリプレグのタック性を改良する方法においては反応の制御が困難であり、一定品質のタック性を持ったプリプレグを得ることは困難であり、工業生産には適していない。
【0016】
更に、特開昭59−146836号公報ではプリプレグの表面樹脂保持性を改善するため表面にポリエチレンシートを貼り付ける方法が提案されている。しかしながら、該プリプレグにおいてポリエチレンシートを剥がしてプリプレグが放置される場合は、プリプレグの表面樹脂保持性の効果はない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、プリプレグ、特に低樹脂含有率のプリプレグの場合でも、良好なタック及びプリプレグ相互の密着性を有し、しかもFRPとしたときの耐熱性、物性を損なうことのないプリプレグを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するために、本発明の円筒状成形物作製用一方向繊維強化プリプレグは、一方向配向繊維強化材にマトリックス樹脂を含浸した、樹脂含有量17〜25重量%の円筒状成形物作製用一方向繊維強化プリプレグであって、該一方向繊維強化材が炭素繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイト繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維よりなる群の中から選ばれたものであり、該マトリックス樹脂が次の〔A成分〕、〔B成分〕、〔C成分〕、及び〔D成分〕を含有し、
〔A成分〕エポキシ樹脂;
〔B成分〕フェノキシ樹脂;
〔C成分〕カルボキシル基またはエポキシ基を含有する微粒子状架橋ゴム;
〔D成分〕硬化剤
前記〔A成分〕が、多官能エポキシ樹脂と2官能エポキシ樹脂で構成され、しかも〔A成分〕におけるエポキシ樹脂100重量部中に多官能エポキシ樹脂が1〜80重量部含まれるものであり、前記マトリックス樹脂における〔B成分〕の配合量が〔A成分〕100重量部に対し1〜20重量部であり、前記マトリックス樹脂における〔C成分〕の配合量が〔A成分〕100重量部に対し1〜25重量部であり、該一方向繊維強化プリプレグが±45°ローリングテストにおいて巻き端末が剥離せず、しかもこのプリプレグ硬化物のガラス転移温度(Tg)が100℃以上であることを特徴とする円筒状成形物作製用一方向繊維強化プリプレグである。
【0019】
本発明の一方向繊維強化プリプレグは、相互の密着性が良好であり、特に、±45°に貼り合わせたプリプレグ相互を細い芯金に巻き付けても良好な密着性を有すると共に、貼り合わせ部の経時変化による剥がれが抑制され、良好な作業性を与える。
【0020】
しかも、本発明の一方向繊維強化プリプレグは使用するマトリックス樹脂の耐熱性が十分なものであり、このためFRP成形後に加工、例えば、研磨した場合、研磨具面に脱落樹脂が粘着することを防げ、目詰まり等の不具合もなく、加工性に優れる。また、耐熱変形性にも優れた成形物となる。
【0021】
従って、特にゴルフシャフト等を始めとする円筒形状のFRP成形物を作製するのに有用である。即ち、通常、パイプの成形は、目標とする物性、形状を得るために種々の配向にプリプレグをカットし、マンドレルに巻き付ける。この際、マンドレルに接触する最内層部には所定の捩り強度を付与し、かつ成形後の脱芯作業が容易に行えるよう±45゜に貼り合わせたプリプレグを巻き付ける。次いで、この上に0゜層を巻き重ねしていくが、本発明の一方向繊維強化プリプレグを用いると、この際、内層の巻き端末部の経時変化による剥れを抑え、その後の0゜層巻き付けを容易にする良好な作業性を有する。
本発明を更に詳細に説明する。
【0022】
【発明の実施の形態】
繊維強化材:
本発明の一方向繊維強化プリプレグにおいて、繊維強化材には炭素繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイト繊維、ガラス繊維及びアラミド繊維等を使用することができ、その中でも、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が用いられる。
【0023】
特に好ましくは、引張り強度3000MPa以上、弾性率200PGa以上の炭素繊維がよい。
【0024】
マトリックス樹脂成分:
本発明の一方向繊維強化プリプレグにおいて、マトリックス樹脂は、次の〔A成分〕、〔B成分〕、〔C成分〕、及び〔D成分〕を必須成分として含む。
【0025】
〔A成分〕エポキシ樹脂;
〔B成分〕フェノキシ樹脂;
〔C成分〕官能基を含有する微粒子状架橋ゴム;
〔D成分〕硬化剤。
【0026】
〔A成分〕、〔B成分〕及び〔C成分〕の配合により、本発明の一方向繊維強化プリプレグは、成形品とした場合には耐熱性が高く、また、マトリックス樹脂が高粘度化し、凝集力が増強されて、プリプレグに強い粘着力(タック)が付与される。
【0027】
〔A成分〕、〔B成分〕及び〔C成分〕の配合により、本発明の一方向繊維強化プリプレグは、樹脂含有量17〜25重量%の低樹脂含有量の一方向繊維強化プリプレグであるにもかかわらず、エポキシ樹脂の沈み込みを抑制することができ、良好な表面樹脂保持特性を有する。
【0028】
特に、フェノキシ樹脂成分〔B成分〕をマトリックス樹脂に配合した場合には、樹脂粘度の温度依存性が鈍くなり温度(特に室温近傍)による粘着力の変化も抑えることができるという副次的効果がある。
【0029】
本発明の一方向繊維強化プリプレグに含まれるマトリックス樹脂における、〔A成分〕、〔B成分〕及び〔C成分〕の各配合比は、〔A成分〕100重量部に対して、〔B成分〕が1〜20重量部、及び〔C成分〕が1〜25重量部であることが好ましい。
【0030】
〔A成分〕エポキシ樹脂
本発明の一方向繊維強化プリプレグのマトリックス樹脂の〔A成分〕として用いられるエポキシ樹脂は、多官能エポキシ樹脂と2官能エポキシ樹脂で構成されることが望ましい。
【0031】
〔A成分〕中における多官能エポキシ樹脂の割合は、全体のエポキシ樹脂100重量部中に多官能エポキシ樹脂が1〜80重量部含まれることが望ましく、さらに望ましくは、5〜80重量部、最も望ましくは10〜70重量部である。多官能エポキシ成分が1重量部より少ないと十分な耐熱性が得られず、また80重量部より多いと硬化物の伸度が低下して脆性化傾向が強くなる。
【0032】
一方、2官能エポキシ樹脂は、比較的伸度が高く、衝撃特性にも優れているが耐熱性がやや低い。該2官能エポキシ樹脂には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などが好ましく使用される。ビスフェノール型に代表される2官能エポキシ樹脂は分子量の違いにより液状から固形まで種々のグレードがあり、プリプレグ用マトリックス樹脂に配合する場合、適宜これらを混合して粘度調整を行うことが可能である。
【0033】
多官能エポキシ樹脂は、プリプレグに耐熱性を付与するのに好ましいエポキシ樹脂である。該多官能エポキシ樹脂としては、トリグリシジルパラアミノフェニル樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等及びフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂又はこれらの2種以上の混合物が好ましく使用される。
【0034】
本発明の一方向繊維強化プリプレグにおいては、要求される耐熱性に応じてエポキシ樹脂中にノボラック型、3官能、4官能といった多官能エポキシ樹脂を選択し配合する。
【0035】
〔B成分〕フェノキシ樹脂
本発明の一方向繊維強化プリプレグのマトリックス樹脂の〔B成分〕として用いられるフェノキシ樹脂は、線状高分子でありエポキシ樹脂との相溶性にも優れている。本発明に好ましく使用できるフェノキシ樹脂の分子量は10,000〜50,000である。フェノキシ樹脂の形状としては固形のペレット状、粉体等様々あるが、エポキシ樹脂への溶解性を考慮すると粉体がより好ましい。
【0036】
〔B成分〕の配合量は、〔A成分〕100重量部に対して1〜20重量部が望ましく、さらに望ましくは5〜15重量部が適切である。〔B成分〕の配合量が1重量部以下の場合、良好な粘着性が得られず、また20重量部を超えるとマトリックス樹脂全体の粘度が上がりすぎて使用不可能になってしまう。
【0037】
〔C成分〕官能基を含有する微粒子状架橋ゴム
本発明の一方向繊維強化プリプレグのマトリックス樹脂の〔C成分〕として用いられる官能基を含有する微粒子状架橋ゴムは、表面に官能基を有したままの架橋済ゴムの微粒子である。該〔C成分〕は、通常エポキシ樹脂に均一分散もしくは部分的にエポキシ樹脂と架橋した状態で用いられる。
【0038】
微粒子状ゴムの官能基は種々の構造のものがあるが、エポキシ樹脂との相性、反応の容易さ、安定性等の面からカルボキシル基またはエポキシ基が好ましい。また、微粒子状ゴムの粒子径は小さいほど好ましく、補強繊維内への含浸性から直径1μm以下のものが特に望ましい。
【0039】
〔C成分〕の配合量は〔A成分〕100重量部に対して1〜25重量部が望ましく、さらに望ましくは2〜15重量部である。〔C成分〕の配合量が1重量部より少ない場合、良好な表面樹脂保持性並びに粘着性が得られず、逆に配合量が25重量部を超えると樹脂粘度が上昇しプリプレグ化が困難となるばかりか、耐熱性や物性( 層間強度、曲げ強度等) の大幅な低下に繋がる。
【0040】
〔D成分〕硬化剤
本発明の一方向繊維強化プリプレグのマトリックス樹脂の〔D成分〕として用いられる硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応し得る活性基を有する化合物であればこれを用いることができる。特に、アミノ基、酸無水物基、アジド基を有する化合物が適している。
【0041】
好適な硬化剤成分の例としては、ジシアンジアミド(略語:DICY)、ジアミノジフェニルスルホン(略語:DDS)、ジアミノジメチルメタン(略語:DDM)及びそれらの各種異性体、アミノ安息香酸エステル類、各種酸無水物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等が挙げられる。
【0042】
この中で、特に貯蔵安定性、物性面からジシアンジアミドが好ましく用いられる。
【0043】
また硬化促進剤として、例えば、3 −(3 ,4 ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(略語:DCMU)などの尿素誘導体やイミダゾール化合物、3 級アミン化合物などを使用することができる。特に硬化促進剤としては保存安定性、硬化促進性共に優れるDCMUが好ましい。
【0044】
〔D成分〕の配合量は〔A〕成分100重量部に対して0.5〜10重量部が適している。
【0045】
本発明の一方向繊維強化プリプレグに使用される樹脂組成物は、上述した〔A成分〕、〔B成分〕、〔C成分〕及び〔D成分〕を必須とするが、本発明においては必要により、シリカ等の無機充填剤、揺変剤、及び顔料等を添加することができる。
【0046】
プリプレグの製造
本発明の一方向繊維強化プリプレグは、よく知られた溶剤法又はホットメルト法によって一方向繊維強化プリプレグの製造法に準じて製造することが出来る。特にホットメルト法が溶剤を含まないので好ましい。
【0047】
プリプレグの樹脂含有量
従来一般的な繊維複合材料の繊維含有率は55〜65(体積)%であり、このような成形物を得るためのプリプレグの樹脂含有率(RC)は30〜40(重量)%のものが一般的である。
【0048】
近時の傾向は、より高性能の複合材料を得るために、繊維含有率を65〜75(体積)%にまで高める方向で検討がなされ、このような高繊維含有率の複合材料を得る際に、従来一般的に使用されてきた樹脂含有率(RC)30〜40(重量)%のプリプレグを使用すると、タックが強く、またボイドの少ない成形物が得られる反面、成形時に樹脂流れ量が多くなり、その結果、繊維の配向の乱れや成形後の研磨・仕上げに時間がかかり、成形物の繊維含有率を高めることも困難となる。
このために、プリプレグの樹脂含有率としては、10〜30(重量)%、特に17〜25(重量)%程度で使用するのはよい。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
本実施例に於ける各種試験方法は下記による。
【0050】
(1)プリプレグ密着性試験法(±45゜巻き付けテスト)
繊維方向が+45゜、−45゜になるようにプリプレグをカットし、そのプリプレグ相互を貼り合わせる。次に、長さ1000mm、巾はφ6.4mmに対して3周分になる寸法にカットする。このプリプレグを6.4mmφ×1200長さのマンドレルにテーブル温度35℃で巻き付けて、プリプレグ相互の貼り合わせ面の剥がれる距離を時間の経過と共に測定する。
【0051】
密着性の判定は、巻き付けて30分経過時点で評価する。
剥がれなし: ◎(本発明の範囲内)、
2 mm以内: ○(本発明の範囲内)、
5 mm以内: △(本発明の範囲外)、
5 mm以上: ×(本発明の範囲外)。
【0052】
本明細書において、「巻き端末が剥離せず」とは、貼り合わせ面の剥がれる距離が2mm以下を云う。
【0053】
このテストは、プリプレグ相互の90゜積層面の接着性と、マンドレル軸に対し繊維軸が45゜巻き付けの際の端部跳ね返り状態を評価することができる。
【0054】
(2)平板曲げ物性
長さ100mm、幅12.7mm、厚み2mmのプリプレグを硬化させてFRP試験片とする。該試験片の平板の曲げ強度、弾性率の測定は、島津オートグラフAG−10TD(島津製作所製)を用いて、試験速度5mm/min、圧子先端半径3.2mmL/D( 支点間距離/厚み) 32の条件で測定する。
【0055】
(3)耐熱試験測定法〔Tg測定〕
長さ50mm、幅12.7mm、厚み2mmのプリプレグを硬化させてFRP試験片とする。該試験片の成形板について、レオロジー社製MR−500を用いてDMA法により、周波数1Hz、捩り角度0.1°の条件でG”を測定し、このピーク値をTgとした。
【0056】
本実施例で使用する化合物名と略号或いは商品名と製造会社名との関係は以下に示す通りである。
【0057】
〔A成分〕
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2官能) …Ep.828:商品名,油化シェルエポキシ(株) 製
グルシジルアミン型エポキシ樹脂(3官能) …ELM100:商品名,住友化学工業(株) 製
グルシジルアミン型エポキシ樹脂(4官能) …Ep.604:商品名,油化シェルエポキシ(株) 製
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(多官能)…Ep.154:商品名,油化シェルエポキシ(株) 製
【0058】
〔B成分〕
フェノキシ樹脂…PKHP−200:商品名,フェノキシスペシャルティーズ(株) 製
【0059】
〔C成分〕
カルボキシル基含有ブタジエンアクリロニトリル共重合体架橋物…XER−91:商品名、JSR(株)製
エポキシ基含有ブタジエンアクリロニトリル共重合体架橋物…XER−71:商品名、JSR(株)製
【0060】
〔D成分〕
ジシアンジアミド(略語:DICY)
3−(3,4−ジクロロフェニル) −1,1−ジメチルウレア(略語:DCMU)
【0061】
〔実施例1〕
A成分としてEp828(商品名、油化シェルエポキシ(株) 製)70重量部、Ep154(商品名,油化シェルエポキシ(株) 製)30重量部、B成分としてPKHP−200(商品名,フェノキシスペシャルティーズ(株) 製)10重量部、及びC成分としてXER−91(商品名、JSR(株)製)10重量部をニーダーで120℃×1時間混合し、C成分中のカルボキシル基をエポキシ樹脂に部分架橋させた。これに硬化剤としてDICY5重量部及びDCMU5重量部を加え、3本ロールミルにて混練し樹脂ブロックを作製した。この樹脂ブロックをフィルムコーターにて樹脂フィルムとし、引張強度400MPa、引張弾性率230GPaの一方向に配列させた炭素繊維 (HTA−12K:商品名、東邦レーヨン(株) 製) の両面から貼り合わせ、加熱加圧により樹脂を含浸させて炭素繊維目付が150g/m2 、樹脂含有率が25重量%の一方向プリプレグを作製した。この得られたプリプレグについて±45°巻き付けテストにて密着性の評価を実施した。その結果を下記の表1に示す。
【0062】
次にこのプリプレグを16ply積層し、オートクレーブ中にて130℃×2時間で硬化させCFRP板を作製し、所定の試験片寸法に切り出した後、Tg及び曲げ特性の評価を各々実施した。その結果を下記の表1に示す。
【0063】
〔実施例2〕
A成分としてEp828(商品名、油化シェルエポキシ(株) 製)70重量部、ELM100(商品名,住友化学工業(株) 製)30重量部とした以外は前記実施例1と同様にプリプレグを作製して評価を行った。その結果を下記の表1に示す。
【0064】
〔実施例3〕
A成分としてEp828(商品名、油化シェルエポキシ(株) 製)70重量部、Ep604(商品名,油化シェルエポキシ(株) 製)30重量部とした以外は前記実施例1と同じようにプリプレグを作製して評価を行った。その結果を下記の表1に示す。
【0065】
〔実施例4〕
A成分としてEp828(商品名、油化シェルエポキシ(株) 製)100重量部とした以外は前記実施例1と同様にプリプレグを作製し、評価を実施した。その結果を下記の表1に示す。
【0066】
〔実施例5〕
C成分としてXER−71(商品名、JSR(株)製)10重量部配合した以外は前記実施例1と同様にプリプレグを作製し評価を行った。その結果を下記の表1に示す。
【0067】
〔実施例6〕
B成分のPKHP−200(商品名,フェノキシスペシャルティーズ(株) 製)、C成分のXER−91(商品名、JSR(株)製)の配合量を各々1重量部とした以外は前記実施例1と同様にプリプレグを作製し評価を行った。その結果を下記の表1に示す。
【0068】
〔実施例7〕
B成分のPKHP−200(商品名,フェノキシスペシャルティーズ(株) 製)、C成分のXER−91(商品名、JSR(株)製)の配合量を各々5重量部とした以外は前記実施例1と同様にプリプレグを作製し評価を行った。その結果を下記の表1に示す。
【0069】
〔実施例8〕
B成分のPKHP−200(商品名,フェノキシスペシャルティーズ(株) 製)の配合量を20重量部とした以外は前記実施例1と同様にプリプレグを作製し評価を実施した。その結果を下記の表1に示す。
【0070】
〔実施例9〕
C成分のXER−91(商品名、JSR(株)製)の配合量を25重量部とした以外は前記実施例1と同様にプリプレグを作製し評価を行った。その結果を下記の表1に示す。
【0071】
〔実施例10〕
B成分のPKHP−200(商品名,フェノキシスペシャルティーズ(株) 製)の配合量を20重量部、C成分のXER−91(商品名、JSR(株)製)の配合量を25重量部とした以外は前記実施例1と同様にプリプレグを作製し評価を行った。その結果を下記の表1に示す。
【0072】
〔比較例1〕
B成分のPKHP−200(商品名,フェノキシスペシャルティーズ(株) 製)を除いた以外は前記実施例1と同様にプリプレグを作製し評価を実施した。その結果を下記の表1に示す。
【0073】
〔比較例2〕
C成分のXER−91(商品名、JSR(株)製)を除いた以外は前記実施例1と同様にプリプレグを作製し、評価を行った。その結果を下記の表1に示す。
〔比較例3〕
B成分としてPKHP−200(商品名,フェノキシスペシャルティーズ(株) 製)の配合量を25重量部に増やした以外は前記実施例1と同様にプリプレグを作製しようとしたが、樹脂粘度が上昇し過ぎて製造不可であった。その結果を下記の表1に示す。
【0074】
〔比較例4〕
C成分であるXER−91(商品名、JSR(株)製)の配合量を30重量部に増やして、前記実施例1と同様にプリプレグを製造したところ、樹脂の粘度がかなり高くなったがかろうじてプリプレグの製造は可能であった。このプリプレグの評価を前記実施例1と同様に実施した。その結果を下記の表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、一方向繊維強化プリプレグにおいて樹脂含有率が低い、所謂低RCプリプレグであっても、良好なタック及び密着性を有した、非常に取扱い性に優れたプリプレグである。
【0077】
本発明により得られたプリプレグは、特にゴルフシャフト等に代表される円筒状成形物を作製するのに適しており、生産性の向上に繋がるばかりか、急テーパー、複雑形状といった成形品の作製も可能となる。
【0078】
本発明の一方向繊維強化プリプレグより作製されるFRP成形物は低樹脂含有率にも係わらず、内部欠陥(ボイド、デラミネーション)がなく、耐熱性、機械特性に優れており、FRPの軽量化が達成される。
Claims (7)
- 一方向繊維強化材にマトリックス樹脂を含浸した、樹脂含有量17〜25重量%の円筒状成形物作製用一方向繊維強化プリプレグであって、
該一方向繊維強化材が炭素繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイト繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維よりなる群の中から選ばれたものであり、
該マトリックス樹脂が次の〔A成分〕、〔B成分〕、〔C成分〕、及び〔D成分〕を含有し、
〔A成分〕エポキシ樹脂;
〔B成分〕フェノキシ樹脂;
〔C成分〕カルボキシル基またはエポキシ基を含有する微粒子状架橋ゴム;
〔D成分〕硬化剤
前記〔A成分〕が、多官能エポキシ樹脂と2官能エポキシ樹脂で構成され、しかも〔A成分〕におけるエポキシ樹脂100重量部中に多官能エポキシ樹脂が1〜80重量部含まれるものであり、
前記マトリックス樹脂における〔B成分〕の配合量が〔A成分〕100重量部に対し1〜20重量部であり、
前記マトリックス樹脂における〔C成分〕の配合量が〔A成分〕100重量部に対し1〜25重量部であり、
該一方向繊維強化プリプレグが±45°ローリングテストにおいて巻き端末が剥離せず、しかもこのプリプレグ硬化物のガラス転移温度(Tg)が100℃以上であることを特徴とする円筒状成形物作製用一方向繊維強化プリプレグ。 - 前記多官能エポキシ樹脂が、3官能エポキシ樹脂及び/又は4官能エポキシ樹脂である請求項1記載の円筒状成形物作製用一方向繊維強化プリプレグ。
- 前記多官能エポキシ樹脂が、ノボラック型エポキシ樹脂である請求項1記載の円筒状成形物作製用一方向繊維強化プリプレグ。
- 前記マトリックス樹脂における〔B成分〕の分子量が10,000〜50,000である請求項1記載の円筒状成形物作製用一方向繊維強化プリプレグ。
- 前記〔C成分〕の微粒子状架橋ゴムの粒子径が1μm以下である請求項1記載の円筒状成形物作製用一方向繊維強化プリプレグ。
- 前記〔D成分〕の硬化剤がジシアンジアミドであり、かつ硬化促進剤を含有する請求項1記載の円筒状成形物作製用一方向繊維強化プリプレグ。
- 前記マトリックス樹脂中に揺変剤が含まれることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の円筒状成形物作製用一方向繊維強化プリプレグ。
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