JP3985281B2 - 回転電機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばアウタロータ型永久磁石界磁ブラシレスモータ等の回転電機の磁極構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、小型で高出力化し易い永久磁石界磁ブラシレスモータの中でも、電機子巻線を1スロットピッチで集中して巻回(以下、集中巻と略称する)したアウタロータ型永久磁石界磁ブラシレスモータ等の回転電機は、電機子巻線のコイルエンドを短くでき、更に小型で高出力化に有利なものであった。
【0003】
一方、集中巻したアウタロータ型永久磁石界磁ブラシレスモータは、固定電機子の電機子鉄心の外周に複数個の電機子ティースが設けられているために回転界磁の回転位置によって磁束が変化することによりトルク変動(トルクリップルともコギングトルクとも言う)が大きくなり易いという問題が生じていた。そこで、永久磁石磁極の磁極数と電機子ティースの個数とを好適な組合せにすると出力低下を招くことなく、トルク変動を低減できるようにした技術が特開昭62−110468号公報に記載されている。
【0004】
この特開昭62−110468号公報には、永久磁石磁極の磁極数Mと固定電機子の突極磁極の磁極数(電機子ティースの個数)Nを、M=N−2、あるいはM=N+2で、且つN=6n(nは2以上の整数)の関係式を満たすようにすれば、電機子巻線係数(電機子巻線が磁極の磁束をどれだけ有効に利用できるかを表す指標)が大きくなるので、出力を向上できる旨の内容が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の特開昭62−110468号公報に記載された技術(従来の技術)においては、前記M、Nの関係式から、永久磁石磁極の磁極数Mは少なくとも10極以上必要であることが分かる。このため、10極以上の永久磁石磁極を一体成形できない体格のブラシレスモータでは、永久磁石磁極の部品点数が多いことや、継鉄の内周面への永久磁石磁極の位置決め固定方法が複雑であること等により、磁極部を製造する際の製造作業性が悪く、磁極部の製造コストの上昇を招いてしまう。したがって、比較的高出力で安価なブラシレスモータに上記の構造を採用することは困難であった。
【0006】
【発明の目的】
本発明の目的は、小型で高出力化し易い回転電機を提供することである。また、磁極部のトルク変動を低減でき、且つ磁極部の製造コストを低減できる回転電機を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、特別な部材を追加することなく、継鉄の一部を内径側へ凸状に突出させた部分を軟磁性材磁極とすることにより、永久磁石の使用量を減らすことができるので、M極の磁極部の製造コストを低減することができる。また、継鉄の一部を内径側へ凸状に突出させた部分を設けることにより、M極の磁極部の剛性を増加することができる。なお、永久磁石としてフェライト磁石を使用した時のように、継鉄の磁束密度に余裕のある場合には、M極の磁極部の最外周に位置した軽量効果の大きい継鉄を薄肉化できるので、軽量化を達成できる。
そして、異なる極性の第1、第2着磁部を、無着磁部を挟んで同一磁極部材により形成し、継鉄の一部を内径側へ凸状に突出させた軟磁性材磁極に隣接させたので、軟磁性材磁極は全領域を電機子電流による増磁界側に配設でき効果的に吸引トルクを発生できる。また、永久磁石磁極の第1着磁部は永久磁石であるので、固定電機子の電機子鉄心との間で反発トルクを発生できる。
以上により、回転電機の性能を維持しつつ、永久磁石の使用量を低減でき、M極の磁極部の製造コストを抑制できる。さらに、軟磁性材磁極を永久磁石磁極の第1着磁部の端面を当接させる位置決め部材として用いるので位置決めが容易となり、製作工程を簡素化できる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、軟磁性材磁極の中心を隣設する2個の永久磁石磁極間の中央より電機子巻線を流れる電機子電流による増磁界側に位置するように軟磁性材磁極を配設することにより、電機子電流による起磁力を有効に利用して軟磁性材磁極で効果的に吸引トルクを発生できるので、小型、高出力化の上で有利になる。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、軟磁性材磁極の極弧率を0.3以上0.6以下の好適な範囲に設定することにより、電機子巻線を流れる電機子電流による起磁力を有効に利用して軟磁性材磁極で効果的に吸引トルクを発生できるので、小型、高出力化の上で更に有利になる。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、軟磁性材磁極の極弧率を0.15以上0.40以下の好適な範囲に設定することにより、電機子巻線を流れる電機子電流による起磁力を有効に利用して効果的に吸引トルクを発生できるので、小型、高出力の上で更に有利になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
〔第1実施例の構成〕
図1および図2は本発明の第1実施例を示したもので、図1はアウタロータ型永久磁石界磁ブラシレスモータの全体構造を示した図である。
【0013】
アウタロータ型永久磁石界磁ブラシレスモータ(以下ブラシレスモータと略す)1は、図示しない固定部材に固定された固定電機子(以下インナステータと呼ぶ)2と、このインナステータ2の外側に所定の空隙(エアギャップ:例えば0.4mm〜0.5mm)を介して配設され、図示しない軸受部材によりインナステータ2に対して回転自在に支承された回転界磁(以下アウタロータ磁極と呼ぶ)3とを備えている。
【0014】
インナステータ2は、軟磁性積層材(例えば鉄板または硅素鋼板)を多数積層してなる積層型コアである電機子コア(電機子鉄心)4、およびこの電機子コア4に巻装された三相の電機子コイル(電機子巻線)5A〜5L等から構成されている。電機子コア4の外周部には、外周端に突出した鍔状片を有する12個の電機子ティース4A〜4Lが外側に突出するように形成されている。隣設する2個の電機子ティース4A、4B間には、スロットが形成されている。
【0015】
そして、三相の電機子コイル5A〜5Lは、本発明の電機子巻線であって、電機子コア4の外周部のN個の電機子ティース4A〜4Lに集中巻されている。なお、本実施例の電機子ティースの個数は、下記の数1の式(関係式)を満足するように設定されている。そして、本実施例では電機子ティースの個数Nを12個に設定している。
【数1】
N=6n(nは2以上の整数)
【0016】
ここで、2組の電機子コイル5A、5Bは、対になって逆極性に結線され、同相(U相)を形成している。そして、図2中の矢印FU1、FU2は、ある通電状態での電機子コイル5A、5Bの電機子起磁力を表すものであり、矢印方向がN極性を表している。すなわち、電機子コイル5Aの空隙への起磁力は片側の極性(S極性)であり、電機子コイル5Bの空隙への起磁力は他方側の極性(N極性)であり、互いに逆極性となっている。
【0017】
また、2組の電機子コイル5A、5Bから180゜の位置にある2組の電機子コイル5G、5Hも対になって逆極性に結線され、同相(U相)を形成している。そして、U相を形成する電機子コイル5A、5B、5G、5Hは、直列に結線されてU相電機子コイル群を構成している。
【0018】
他のV相、W相も同様に結線されている。すなわち、V相を形成する電機子コイル5C、5D、5I、5Jは、直列に結線されてV相電機子コイル群を構成している。また、W相を形成する電機子コイル5E、5F、5K、5Lは、直列に結線されてW相電機子コイル群を構成している。そして、全体でU相、V相、W相の三相スター結線またはデルタ結線されている。
【0019】
アウタロータ磁極3は、本発明の磁極部であって、図示しない出力軸にトルク伝達するように機械的に結合されている。そして、アウタロータ磁極3は、ロータヨーク6と、このロータヨーク6の内周面に接着剤等により固定された永久磁石磁極7A〜7Eとから構成された永久磁石界磁である。永久磁石磁極7A〜7Eは、強く磁化されて磁気を永久に保持する硬磁性材(永久磁石)よりなる。本実施例では、永久磁石磁極7A〜7Eを構成する永久磁石として例えばフェライト磁石を使用している。
【0020】
ロータヨーク6は、軟磁性材よりなる略円筒形状の継鉄であって、磁気回路の一部分を形成すると同時に、機械的構造物でもある。そして、ロータヨーク6の一部、すなわち、ロータヨーク6の周方向に72°毎の5箇所は、軟磁性材よりなる軟磁性材磁極6A〜6Eとされている。これらの軟磁性材磁極6A〜6Eは、ロータヨーク6の一部を、インナステータ2(内径)側へ凸状に突出するように、例えばプレス成形等により変形加工して形成した突条部分である。軟磁性材磁極6A〜6Eの磁極弧部は、永久磁石磁極7A〜7Eの磁極弧部と同様に12個の電機子ティース4A〜4Lの外周端との間に例えば0.4mm〜0.5mmのエアギャップを介して対向するように形成されている。
【0021】
以上により、ロータヨーク6、永久磁石磁極7A〜7Eおよび軟磁性材磁極6A〜6EとからM極のアウタロータ磁極3が構成される。なお、アウタロータ磁極3の磁極数は、下記の数2の式(関係式)を満足するように設定され、本実施例では電機子ティース4A〜4Lの個数Nが12個のため、M=10極である。
【数2】
M=N−2、あるいはM=N+2
【0022】
次に、軟磁性材磁極6A〜6Eを図2に基づいて詳細に説明する。
軟磁性材磁極6A〜6Eのうち軟磁性材磁極6Aを代表して説明する。軟磁性材磁極6Aは、その中心が隣設する2個の永久磁石磁極7A、7B間の中央(π/5)より、α1(例えば2゜)だけ電機子コイルを流れる電機子電流による増磁界側(電機子コイルに発生する起磁力により吸引される側)に配設されている。
【0023】
また、軟磁性材磁極6Aの極弧長をb1とし、10極のアウタロータ磁極3の磁極ピッチをτとすると、極弧率(b1/τ)は、0.3〜0.6の範囲(本実施例では、0.44)になっている。その他の軟磁性材磁極6B〜6Eも同様な構造を有している。
【0024】
〔第1実施例の作用〕
次に、本実施例のブラシレスモータ1の作動を図1および図2に基づいて説明する。
【0025】
U相電機子コイル群およびV相電機子コイル群が通電状態の時には、永久磁石磁極7Aに対し、電機子コイル5Aの起磁力FU1が吸引方向に作用し、右回り(時計回り)のトルクが発生しロータヨーク6に右回りトルクが作用する。そして、軟磁性材磁極6Aに対し、電機子コイル5Bの起磁力FU2が吸引方向に作用し、右回りのトルクが発生しロータヨーク6に作用する。また、軟磁性材磁極6Aに対しては、電機子コイル5Cの起磁力FV1が吸引方向に作用し、若干左回りのトルクが発生する。
【0026】
しかるに、本実施例では、軟磁性材磁極6Aの中心を隣設する2個の永久磁石磁極7A、7Bの中央より、α1(例えば2°)だけ電機子電流による増磁界側に位置するようにロータヨーク6の一部を内径側へ凸状に変形加工しているので、電機子コイル5Bの起磁力FU2による右回りトルクが支配的であり、電機子コイル5Cの起磁力FV1による左回りトルクは無視できる大きさになっている。
【0027】
また、永久磁石磁極7Bに対しては、電機子コイル5Cの起磁力FV1が吸引方向に作用し、且つ電機子コイル5Dの起磁力FV2が反発方向に作用するため、どちらも右回りのトルクを発生し、ロータヨーク6に右回りトルクが足し合わされて作用する。
【0028】
なお、図1に、現在通電状態にあるU相電機子コイル群の全起磁力FU1〜FU4およびV相電機子コイル群の全起磁力FV1〜FV4の方向を同じく矢印で示し、アウタロータ磁極3との作用関係を示した。以上、図1からも分かるように、ブラシレスモータ1の下半分についても、右回りのトルクが発生し、ブラシレスモータ1全体として、ロータヨーク6に右回りトルクが加算されて作用する。
【0029】
〔第1実施例の効果〕
以上のように、本実施例のブラシレスモータ1によれば、ロータヨーク6の一部を内径側に凸状に変形加工して特別な部材を追加することなく、極性がS極の軟磁性材磁極6A〜6Eとしたので、永久磁石の使用量を半分に減らすことができる。これにより、永久磁石をロータヨーク6の内周面に接着剤等で接合する組付作業が容易となると共に、永久磁石の個数を半減できるので、アウタロータ磁極3の製造コストを低減できる。
【0030】
また、本実施例のブラシレスモータ1によれば、アウターロータ磁極3を構成するロータヨーク6の一部を凸状に変形加工することにより設けた軟磁性材磁極6A〜6Eがロータヨーク6を補強する補強用リブとして機能することにより、アウターロータ磁極3の剛性を増加させることができる。さらに、ロータヨーク6の磁束密度に余裕のある場合(永久磁石としてフェライト磁石を使用した場合)には、アウタロータ磁極3の最外周に位置し、軽量効果の大きいロータヨーク6を薄肉化できるので、ブラシレスモータ1の軽量化を図ることができる。そして、アウターロータ磁極3の慣性モーメントを低減できるという効果もある。
【0031】
また、本実施例のブラシレスモータ1によれば、アウターロータ磁極3の剛性が高いので、12個の電機子コイル5A〜5L間の吸引力および反発力によるアウターロータ磁極3の振動を低減できるので、低振動で低騒音のブラシレスモータ1を提供できる。さらに、本実施例のブラシレスモータ1によれば、軟磁性材磁極6A〜6Eの磁極数は奇数の5個であるが、電機子起磁力が発生する電機子ティース4A〜4Lとは、図1から分かるように、アウタロータ磁極3のほぼ回転軸対称の位置で対峙しており、電機子起磁力の大きさも回転軸対称であるので、アウターロータ磁極3を偏心させる力を小さくできる。
【0032】
〔第2実施例の構成〕
図3および図4は本発明の第2実施例を示したもので、図3はアウタロータ型永久磁石界磁ブラシレスモータの全体構造を示した図である。
【0033】
本実施例は、第1実施例と同じ10極12ティース(スロット)のブラシレスモータ1であるが、図3に示したように、第1実施例のものとアウタロータ磁極3の構造が異なっている。本実施例のアウタロータ磁極3は、ロータヨーク6の一部を内径側に凸状に変形加工してなる軟磁性材磁極6A〜6Eの極弧(円周方向の長さ)を第1実施例よりも狭めている。なお、上述のように軟磁性材磁極6A〜6Eは、磁極弧の長さが第1実施例と異なるが、機能的に近い部材であるため、第1実施例との対応をとるため、同じ番号を図中に付した。
【0034】
そして、アウタロータ磁極3は、軟磁性材磁極6A〜6Eに隣接するS極着磁部9A〜9Eと、第1実施例の永久磁石磁極7A〜7Eと同一の機能を有するN極着磁部10A〜10Eとを無着磁部11A〜11Eを挟んで同一磁石磁極材料(例えば樹脂または陶器)により一体化した永久磁石磁極12A〜12Eを備えている。
【0035】
S極着磁部9A〜9Eは、本発明の第1着磁部であって、硬磁性材によりなり、軟磁性材磁極6A〜6Eと同一の極性であるS極に着磁されている。そして、S極着磁部9A〜9Eは、軟磁性材磁極6A〜6Eと共にS極の磁極弧(軟磁性材磁極6A〜6Eの磁極弧残部)を構成する。N極着磁部10A〜10Eは、本発明の第2着磁部であって、軟磁性材磁極6A〜6Eと異なる極性であるN極に着磁されている他磁極の磁極弧である。無着磁部11A〜11Eは、N極にもS極にも着磁されない部分で、磁石磁極材料により形成されている。これらの無着磁部11A〜11Eの内周面には、無駄な磁石磁極材料を減らすために設けた凹部11が設けられている。
【0036】
次に、永久磁石磁極12A〜12Eのうちの1個の永久磁石磁極12Bを例にしてアウタロータ磁極3を図4に基づいて説明する。
永久磁石磁極12Bは、S極着磁部9BとN極着磁部10Bとで無着磁部11Aを挟んで着磁された一体部品であり、軟磁性材磁極6Aの端部に隣接または当接させて位置決めされ、ロータヨーク6の内周面に接着剤等により固定されている。
【0037】
また、図4に示したように、S極着磁部9Bの磁極弧は、N極着磁部10Bの磁極弧の約半分の長さとなっており、電機子起磁力による減磁側の磁束をS極着磁部9Bが受け持っている。一方、電機子起磁力による増磁側の磁束を軟磁性材磁極6Aが受け持っている。
【0038】
そして、軟磁性材磁極6Aは、その中心が2個の永久磁石磁極12A、12B間の中央(π/5)より、α2(本実施例では、6゜)だけ電機子電流による増磁界側(電機子起磁力により吸引される側)に配設されている。また、軟磁性材磁極6Aの磁極弧の極弧長をb2とし、磁極ピッチをτとすると、軟磁性材磁極6Aの極弧率(b2/τ)は、0.15〜0.40の範囲(本実施例では、0.28)になっている。
【0039】
そして、無着磁部11Bの内周面の凹部11は無駄な磁石磁極材料を減らすために設けた凹みであるが、永久磁石磁極12Bの成形性を考慮して凹部11をなくしても性能的には、さしつかえない。また、無着磁部11Bは、空隙側に磁荷がなければ良く、無着磁部11Bの内部に極異方性の磁路を形成して有効磁束密度を高めても良い。なお、永久磁石磁極12B以外の永久磁石磁極12A、12C〜12Eも同様な構造を有している。
【0040】
〔第2実施例の作用〕
次に、本実施例のブラシレスモータ1の作動を図3および図4に基づいて説明する。なお、説明は第1実施例との違いを中心に1個の磁極体にて説明する。
【0041】
U相電機子コイル群およびV相電機子コイル群が通電状態の時には、軟磁性材磁極6Aに対して、電機子コイル5Bの起磁力FU2が吸引方向に作用し、右回りのトルクが発生しロータヨーク6に作用する。なお、軟磁性材磁極6A〜6Eの磁極弧の長さが第1実施例よりも短いので、電機子コイル5Cの起磁力FV1による第1実施例のような左回りのトルクは全く発生しない。
【0042】
また、永久磁石磁極12Bに対しては、電機子コイル5Cの起磁力FV1が、S極着磁部9Bに対し反発方向に作用し、N極着磁部10Bに対し吸引方向に作用する。さらに、電機子コイル5Dの起磁力FV2がN極着磁部10Bに対し反発方向に作用し、どれも右回りのトルクが発生し、ロータヨーク6に右回りトルクが足し合わされて作用する。
【0043】
なお、図3に、現在通電状態にあるU相電機子コイル群の全起磁力FU1〜FU4およびV相電機子コイル群の全起磁力FV1〜FV4の方向を同じく矢印で示し、アウタロータ磁極3との作用関係を示した。以上、図3から分かるようにブラシレスモータ1の下半分についても、右回りのトルクが発生し、ブラシレスモータ1全体としてロータヨーク6に右回りトルクが加算されて作用する。
【0044】
〔第2実施例の効果〕
本実施例のブラシレスモータ1によれば、S極着磁部9A〜9EとN極着磁部10A〜10Eを無着磁部11A〜11Eを挟んで同一の磁石磁極部材により一体成形し、ロータヨーク6の一部を内径側に突出するように変形加工してなる軟磁性材磁極6A〜6Eに隣接または当接させている。これにより、軟磁性材磁極6A〜6Eは全領域を電機子電流による増磁界側に配設でき効果的に吸引トルクを発生できる。
【0045】
また、軟磁性材磁極6A〜6Eの磁極弧残部はS極着磁部(永久磁石)9A〜9Eにより構成されているので、固定電機子2との間で反発トルクを発生できる。このように、増磁側の磁束を軟磁性材磁極6A〜6Eが受け持ち、減磁側の磁束をS極着磁部9A〜9Eに受け持たせるようにアウタロータ磁極3を構成したので、第1実施例に比べてブラシレスモータ1の性能を維持しつつ、永久磁石の部品点数を低減でき、アウタロータ磁極3の製造コストを抑制できる。
【0046】
また、軟磁性材磁極6A〜6Eを永久磁石磁極12A〜12Eの端面を当接させる位置決め部材として用いるので、永久磁石磁極12A〜12Eの位置決めが非常に容易になり、アウタロータ磁極3の製作工程が簡素化できる。さらに、本実施例のブラシレスモータ1によれば、軟磁性材磁極6A〜6Eの磁極弧の極弧率を0.15〜0.40とトルク発生に好適な範囲に設定しているので、電機子電流による起磁力を有効に利用して吸引トルクを発生でき、小型で高出力化のブラシレスモータ1を製作できる。
【0047】
〔他の実施例〕
以上、アウタロータ磁極3の磁極数を10、電機子ティース(スロット)4A〜4Lの個数を12個に設定したブラシレスモータ1の場合を第1、第2実施例で説明したが、これ以外の組合せも可能であり、以下に有効な磁極数M、個数Nの組合せ実施例を説明する。
【0048】
アウタロータ磁極3の磁束をどれだけ有効利用できるか(以下巻線利用率と略称する)は、短節巻係数と分布巻係数の積で本来検討すべきであるが、簡便のため短節巻係数だけを用いて説明する。短節巻係数をkpとすると、短節巻係数kpとアウタロータ磁極3の磁極数M、電機子ティース4A〜4Lの数Nには下記の数3の式(関係式)が成り立つ。
【数3】
kp=sin{(π/2)×(M/N)}
【0049】
上記の関係式を基に、アウタロータ磁極3の磁極数M=10〜20、電機子ティースの個数N=12〜24の範囲で短節巻係数kpを計算すると、短節巻係数kpが、良好なもの(0.9以上)は以下のM、Nの組合せである。
ただし、電機子ティースの個数は、電機子起磁力が回転中心軸回りにバランスする偶数場合のみとした。
(M,N)=(10,12)、(14,12)、(16,18)、(20,18)、(20,24)となり、何れもkp≧0.95である。
また、説明は省くが、前記組合せで巻線利用率は、全て、0.93以上にできる。
【0050】
以上から、磁束有効利用率が良好なM、Nの組合せを整理すると下記の数4の式(関係式)および数5の式(関係式)を満足する個数Nおよび磁極数Mが望ましい。
【数4】
N=6n(nは2以上の整数)
【数5】
M=N−2、あるいはM=N+2
【0051】
すなわち、電機子ティースの個数Nとアウタロータ磁極3の磁極数Mの関係が以上の組合せの場合、電機子起磁力を有効に利用できるため、ブラシレスモータ1の出力低下を招くことなく、アウタロータ磁極3のトルク変動を低減でき、且つブラシレスモータ1を小型化で高出力化する上で有利になる。また、電機子ティースの個数Nを6n(偶数)としたので、電機子起磁力が回転中心軸回りにバランスし、軟磁性材磁極6A〜6Eに電機子起磁力が作用してアウターロータ磁極3を偏心させる力を小さくできる。
【0052】
〔変形例〕
本実施例では、永久磁石としてフェライト磁石を用いたが、ネオジウム磁石等の希土類磁石、アルニコ磁石あるいは樹脂磁石(ナイロン樹脂、Nd、Fe、B粉末を焼結したもの)を用いても良い。また、永久磁石磁極と軟磁性材磁極との磁極数は同一でなくても良く、上記実施例における永久磁石磁極の一部を更に軟磁性磁極に置換する等しても良い。
本実施例では、本発明をアウタロータ型永久磁石界磁ブラシレスモータに適用したが、本発明をその他の電動機や発電機に適用しても良い。
【0053】
そして、ロータヨーク6として、磁化および消磁し易い軟磁性材(例えば純鉄、鋳鉄、軟鋼板、硅素鋼板等)を丸めてシームレス溶接等をして略円筒形状にしたものをプレス成形した略円筒形状の継鉄を使用しても良い。また、ロータヨーク6として、略円環状の軟磁性積層材(例えば鉄板または硅素鋼板)を多数積層して連結した円筒形状の継鉄を使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブラシレスモータの全体構造を示した構成図である(第1実施例)。
【図2】ブラシレスモータの主要構造を示した構成図である(第1実施例)。
【図3】ブラシレスモータの全体構造を示した構成図である(第2実施例)。
【図4】ブラシレスモータの主要構造を示した構成図である(第2実施例)。
【符号の説明】
1 アウタロータ型永久磁石界磁ブラシレスモータ(回転電機)
2 インナステータ(固定電機子)
3 アウタロータ磁極(磁極部)
4 電機子コア(電機子鉄心)
6 ロータヨーク(継鉄)
4A〜4L 電機子ティース
5A〜5L 電機子コイル(電機子巻線)
6A〜6E 軟磁性材磁極
7A〜7E 永久磁石磁極
Claims (4)
- 外周にN個の電機子ティースを配設した電機子鉄心、および前記N個のティースに1スロットピッチで集中して巻回された三相の電機子巻線を有する固定電機子と、この固定電機子の外側に空隙を介して回転自在に配設されたM極の磁極部とを備え、
前記電機子ティースの個数をN、前記磁極部の磁極数をMとすると、
N=6n(nは2以上の整数)、
M=N−2、あるいはM=N+2
の関係を満足する回転電機において、
前記M極の磁極部は、軟磁性材料よりなる継鉄と、
この継鉄の一部を前記電機子鉄心側に凸となるように変形加工してなる軟磁性材磁極と、
前記継鉄の内周面に固定された永久磁石磁極と
からなり、
前記軟磁性材磁極は、その軟磁性材磁極の中心が電機子電流による増磁界側に偏って位置するように設けられ、
前記永久磁石磁極は、前記軟磁性材磁極に隣接すると共に、前記軟磁性材磁極と同一の極性の第1着磁部、この第1着磁部と異なる極性の第2着磁部、および前記第1着磁部と前記第2着磁部との間に設けられた無着磁部を有し、前記第1着磁部と前記第2着磁部とを前記無着磁部を挟んで同一磁極部材で一体化したことを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
前記軟磁性材磁極は、その軟磁性材磁極の中心が隣設する2個の永久磁石磁極間の中央より、電機子電流による増磁界側に偏って位置するように設けられたことを特徴とする回転電機。 - 請求項1または請求項2に記載の回転電機において、
前記軟磁性材磁極の極弧率は、0.3以上0.6以下の範囲内にあることを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
前記軟磁性材磁極の極孤率は、0.15以上0.40以下の範囲内にあることを特徴とする回転電機。
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