JP3982146B2 - 液晶装置及びその製造方法並びにそれを用いた電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置、その製造方法並びにそれを用いた電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる垂直配向ECB(Electrically ControlledBirefringence;複屈折制御)モード等の垂直配向モードの液晶装置は、電界無印加状態で液晶分子の長軸方向が基板に対して略直角方向に配向した構成であり、高いコントラストが得られる。このため、液晶プロジェクタ用のライトバルブへの応用等が検討され、既に一部で実用化されている。
【0003】
このような液晶装置においては、一対の基板間に液晶層を介在させ、その両基板の液晶層側の面に垂直配向膜を形成すると共に、垂直配向膜にラビング処理を施していわゆるプレチルトを付け、それによって電圧印加時の液晶分子の傾き方向を制御するのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のような垂直配向モードにあっては、配向膜の液晶分子に対する配向規制力が弱いため、画素周辺部の液晶分子は、隣り合う画素電極間に生じる横電界によってプレチルト方向とは異なる方向に倒れ、それが画素中心部に向かって順次ドミノ倒し的に波及して画素全体の配向が乱れることによって明るい表示が得られなくなる等の不具合があった。
【0005】
このような不具合は、直流電圧印加による液晶の劣化防止、アナログ駆動したときの電圧のわずかな非対称性に起因するフリッカなどを防止することを目的に、各画素電極に印加される電位極性を所定期間毎に反転させるライン反転駆動方式やドット反転駆動方式が採用されているアクティブマトリクス型の液晶装置で発生しやすい。ライン反転駆動方式のうち、同一行の画素電極を同一極性の電位により駆動しつつ、このような電位の極性を行毎にフレームまたはフィールド周期で反転させる方式を1H反転駆動方式といい、同一列の画素電極を同一極性の電位により駆動しつつ、このような電位の極性を列毎にフレームまたはフィールド周期で反転させる方式を1S反転駆動方式といい、いずれの方式も、制御が比較的容易であり高品位の画像表示を可能ならしめる反転駆動方式として用いられている。
【0006】
この1S反転駆動方式を採用したアクティブマトリクス型の液晶装置では、図17(a)に示すように、n(但し、nは自然数)番目のフィールドあるいはフレームの画像信号を表示する期間中には、画素電極毎に「+」または「−」で示す液晶駆動電位の極性は反転されず、列毎に同一極性で画素電極が駆動されるが、図17(b)に示すように、n+1番目のフィールドあるいは1フレームの画像信号を表示するに際しては、各画素電極における液晶駆動電位の極性は反転され、このn+1番目のフィールドあるいは1フレームの画像信号を表示する期間中には、画素電極9毎に「+」または「−」で示す液晶駆動電位の極性は反転されず、列毎に同一極性で画素電極9が駆動される。そして、図17(a)、(b)に示す状態が、1フィールドまたは1フレームの周期で繰り返されて1S反転駆動方式による駆動が行われる。従って、直流電圧印加による液晶50の劣化を避けつつ、クロストークやフリッカの低減された画像表示を行える。
【0007】
但し、1S反転駆動方式を採用した液晶装置1では、図17(a)、(b)からわかるように、横方向(X方向)に相隣接する画素電極9間の境界領域は、常時、横電界の発生領域C2となる。このような横電界の影響により、液晶が所定の配向からずれたディスクリネーションが発生する。
【0008】
特に、液晶を垂直配向モードで使用すると、正面明るさは、電界によって液晶がすべて同一方向に倒れたときに最大となるが、液晶装置を1H反転駆動あるいは1S反転駆動などといったライン反転駆動を採用したときには、たとえ、液晶にプレチルト角を付与しておいても、隣接する画素との電位差によって、液晶が横電界の影響を受け、液晶の倒れる方向を制御できないことがある。また、垂直配向モードの場合には、水平配向モードと比較して、配向膜の液晶に対する配向規制力が弱いため、画素境界領域において液晶分子にかかる横電界の影響がドミノ倒し的に画素の中心部にまで及びやすいので、画素の中心部でも液晶分子を所定の方向に倒すことができない。その結果、ノーマリブラックモードで用いたとき、電界をかけた画素において隣接する画素からの横電界の影響を受けて液晶が本来倒れるべき方向(プレチルト方向)に倒れず、十分な明るさを得ることができないとともに、コントラストも低下し、画質が低下してしまう。
【0009】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、電圧印加時に液晶分子を所定のプレチルト方向に向かって良好に水平配向させることのできる垂直配向モードの液晶装置及びその製造方法並びにそれを用いた電子機器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために本発明は以下の構成としたものである。すなわち本発明による液晶装置は、一対の基板間に液晶層が挟持され、該一対の基板の該液晶層側には垂直配向処理が施され、前記液晶層内にポリマー分散体が形成された液晶装置であって、電圧無印加時には、前記ポリマー分散体を形成した時の液晶分子のプレチルトの状態が維持されるように、かつ、電圧印加時には、該液晶分子が該プレチルトの方向に倒れるように、前記ポリマー分散体が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、液晶層内にポリマー分散体を形成するので、液晶分子のプレチルト状態を良好に維持させることが可能である。従って、たとえ画素間に生じる横電界により画素周辺部にプレチルト方向と異なる方向に倒れる力が作用したり、実際に画素周辺部の液晶分子が倒れても画素周辺部だけに留まり、画素中心部への波及が防止されるため、明るい表示が可能となる。
【0012】
本発明において、前記ポリマー分散体は、例えば、以下の[化5]
【0013】
【化5】
で表される2′−メチル−p−ターフェニル−4,4″−ジイルジメタクリレートをモノマーを重合させることにより以下の[化6]
【0014】
【化6】
で表される構造を有する。
【0015】
前記の液晶層は、基板に対して略垂直に配向する特性を有する液晶分子により形成することができる。このようないわゆる垂直配向モードの液晶は、一般に配向規制力が弱く、電圧印加時に液晶分子の配向にバラツキが生じやすいが、ポリマー分散体を形成することで配向規制力を高めることが可能となる。
【0016】
また、前記液晶分子は誘電率異方性が負であるものを用いることができ、例えば、前記一対の基板に電極を対向させて設けることによって電圧印加時に液晶分子を略水平に配向させるようにするとコントラストの高い表示が可能となる。
【0017】
さらに、前記のポリマー分散体は、液晶層中の液晶の0.1〜5重量%程度とするのが望ましい。0.1重量%未満であると、ポリマー分散体による配向規制力が弱く、5重量%を越えると液晶分子の所定の配向動作を妨げるおそれがあるからである。
【0018】
また、本発明による液晶装置の製造方法は、液晶層内にモノマーを混入させ、液晶層内の液晶分子に所定のプレチルトを付与した状態で前記モノマーを重合させて液晶層内にポリマー分散体を形成したことを特徴とする。
【0019】
このような製造方法によれば、液晶層内の液晶分子に所定のプレチルトを付与した状態で、液晶層内に万遍なく且つ良好にポリマー分散体を形成することができる。
【0020】
このような製造方法では、例えば、前記モノマーとして、以下の[化7]
【0021】
【化7】
で表される2′−メチル−p−ターフェニル−4,4″−ジイルジメタクリレートを用いて、以下の[化8]
【0022】
【化8】
で表される構造を有する前記ポリマー分散体を形成する。
【0023】
前記のモノマーとしては、例えば液晶性紫外線硬化型モノマーを用いることができ、ポリマー分散体形成時は、液晶層に紫外線を照射して前記モノマーを重合させればよい。
【0024】
前記モノマーの混入量は、液晶層中の液晶の0.1〜5重量%程度とするのが望ましい。0.1重量%未満であると、ポリマー分散体による配向規制力が弱く、5重量%を越えると液晶分子の所定の配向動作を妨げるおそれがあるからである。
【0025】
本発明において、前記液晶分子に所定のプレチルトを付与する手段としては、例えば配向膜にラビング処理を施す。
【0026】
また、本発明では、前記液晶分子に所定のプレチルトを付与する手段として、前記基板上に蒸着法によりシリコン酸化膜を形成した後、該シリコン酸化膜の表面に垂直配向膜を形成することにより、前記シリコン酸化膜によって前記液晶分子のプレチルト角を設定してもよい。また、前記基板上に回転斜方蒸着法によりシリコン酸化膜からなるプレチルト付きの垂直配向膜を形成し、該プレチルト付きの垂直配向膜によって前記液晶分子のプレチルト角を設定してもよい。さらに、液晶層に磁場、あるいは磁場と電界を印加する。もしくは液晶層に横電界を印加する等その他適宜の方法を用いればよい。
【0027】
さらに、本発明に係る電子機器は、前記のような液晶装置、もしくは前記のような製造方法によって製造された液晶装置を備えたことを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した液晶装置、及びその製造方法、並びにそれを用いた電子機器を具体的に説明する。
【0029】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した液晶装置の一実施形態を示す縦断面図、図2はその一部の拡大縦断面図である。図3は、図1に示す液晶装置に電圧を印加した状態における拡大縦断面図である。
【0030】
図1および図2において、1、2はガラス等よりなる上下一対の基板で、その両基板1、2間には液晶層3が介在している。4は液晶層3の周縁部に設けたシール部材、5は上側偏向板、6は下側偏光板である。
【0031】
両基板1、2の液晶層3側の面には、図2に示すように、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極7、8が設けられ、更にその透明電極7、8の液晶層3側には、垂直配向膜9、10が設けられている。
【0032】
液晶層3に用いる液晶としては、垂直配向し、電圧印加により配向状態が変化し得るものであれば材質等は適宜であるが、本実施形態においては負の誘電率異方性を有する液晶が用いられ、電圧無印加状態(液晶層への印加電圧が液晶のしきい値電圧以下の状態)において、液晶層3内の液晶分子3aは、図2に示すように、基板1、2に対して略垂直に配向し、電圧印加状態(液晶層への印加電圧が液晶のしきい値電圧以上の状態)においては、図3に示すように、液晶層3内の液晶分子3aは、基板1、2と略平行な方向に配向するように構成されている。
【0033】
また、液晶層3内にはネットワーク状のポリマー分散体30が形成され、そのポリマー分散体30によって、液晶層3内の液晶分子3aが基板の垂線Lに対して所定のチルト角θ(例えば1〜5度程度)だけ傾斜したプレチルト状態が維持されるように構成されている。なお、そのポリマー分散体30は液晶による表示特性、すなわち電圧印加時および無印加時の液晶分子の所定の配向動作を妨げないように、極く少量設ければよく、例えば液晶の重量に対して0.1〜5重量%程度が望ましい。
【0034】
前記の構成において、偏光板5、6の偏向軸を、例えば図3の状態における液晶分子3aの長軸方向に対してそれぞれ約45度の角度に傾斜させ、かつ両偏光板5、6を互いにクロスニコルの状態に配置すれば、図2に示す状態において、上側偏向板5から液晶層3内に入った光は、そのまま下側偏光板6に入射して該偏向板を透過しないので、黒表示が得られる。これに対して、図3に示す状態においては、上側偏向板5から液晶層3内に入った光は、楕円偏向しながら下側偏光板6の偏向軸と略平行な方向に偏向して、偏向板6を透過するので、白表示が得られる。
【0035】
その際、液晶層3内に設けたポリマー分散体30によって、電圧無印加時は液晶層3内の液晶分子を、配向膜近傍だけでなく液晶層3の厚さ方向全体にわたって前記のプレチルト状態に良好かつ安定に維持させることができる。また、電圧印加時は液晶層内の液晶分子を前記のプレチルト方向に向かって良好に水平配向させることが可能である。それ故、コントラスト等の表示特性のよい垂直配向モードの液晶装置が得られる。
【0036】
(液晶装置の製造方法)
次に、本発明を適用した液晶装置の製造方法、特にポリマー分散体の形成方法について説明する。
【0037】
図4は、図1に示す液晶装置を製造するにあたって、液晶分子にプレチルトを付与する工程を示す説明図である。
【0038】
本発明において、前記のようなポリマー分散体30を形成する材料や形成手段等は適宜であるが、例えば前記のような液晶装置を製造する際に、予め液晶中にモノマーを混入しておき、その液晶と共にモノマーを一対の基板1、2間に充填した後、液晶分子を所定のプレチルト状態に傾斜した状態でモノマーを重合させてポリマー分散体を形成すればよい。
【0039】
モノマーとしては、例えば液晶性の紫外線硬化型モノマーを用いることができる。具体的には、例えば、以下の表1または表2に記載したUVキュアラブル液晶を1種もしくは複数種組み合わせて使用することができる。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
また、モノマーとしては、表3に示す1官能基タイプのビフェニル化合物、表4に示す2官能基タイプのビフェル化合物、表5に示す1官能基タイプのターフェニル化合物、表6に示す2官能基タイプのターフェニル化合物を用いることができる。
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
さらに前記の各表1、2、3、4、5に示す化合物以外にも、例えば、以下の一般式[化9]で表される高分子前駆体を1種もしくは複数種組み合わせて使用することもできる。
【0048】
【化9】
なお、前記式中、Y1およびY2は、メタクリレート基、アクリレート基、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、フッ素原子、シアノ基のいずれかを示すが、Y1およびY2の少なくとも一方はメタクリレート基またはアクリレート基のいずれかを示し、A1は存在せずその両側のベンゼン環同士が単結合で直結しているか、またはA1は下記[化10]式中のいずれかの基または酸素原子、あるいは硫黄原子のいずれかを示し、A1の両側のベンゼン環の水素原子はすべて水素原子であるか、または少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子によって置換されているものであってもよい。
【0049】
【化10】
本発明に用いられるモノマーは前記以外にもそれ自身が液晶層を持つものであるか、またはそれ自身は液晶層は持たないが、液晶内に混入した際に混合物の液晶状態を失わせるもの以外であればよい。これらのモノマーを総称して液晶性モノマーと呼んでいる。
【0050】
そして前記モノマーを、前述のように液晶の表示特性を妨げないように、例えば、液晶の重量に対して0.1〜5重量%程度の割合で液晶内に混入し、その液晶と共に一対の基板1・2間に充填した後、液晶分子を所定のプレチルト状態に傾斜した状態で紫外線を照射する。
【0051】
液晶分子をプレチルト状態に傾斜させる手段としては、前記の配向膜21、22に予めラビング処理を施してプレチルトを事前に付与しておくという方法もあるが、必ずしもラビング処理を施すことなくプレチルトを付与することもできる。例えば、図4(a)に示すように液晶層3内に基板1、2と略平行な面X−Xに対して所定の角度δ(例えば10°〜20°程度)だけ傾斜した磁場Hを形成する。また、この状態で電極7、8により電圧を印加する。あるいは図4(b)のように一方の基板2側に電極8a、8bを横方向に並べて配置し、その電極8a、8bに電圧を印加して液晶層3内に横電界Eを形成することによってプレチルトを付与することもできる。さらに、これらの方法を併用してもよい。
【0052】
さらにまた、基板1、2上に蒸着法によりシリコン酸化膜を形成した後、このシリコン酸化膜の表面に垂直配向膜を形成することにより、シリコン酸化膜によって液晶分子のプレチルト角を設定してもよい。また、基板1、2上に回転斜方蒸着法によりシリコン酸化膜からなるプレチルト付きの垂直配向膜を形成し、このプレチルト付きの垂直配向膜によって液晶分子のプレチルト角を設定してもよい。
【0053】
このようにして、本形態では液晶層内の液晶分子にプレチルトを付与した状態で紫外線UVを照射するもので、その照射量としては、例えば300〜400nm程度の紫外線を5〜15mW/cm2程度の強度で、10分間程度照射すればよい。その紫外線照射によって液晶層3内のモノマーが重合してポリマー分散体30が形成される。
【0054】
なお、前記実施形態においては、ポリマー分散体形成材料として紫外線硬化型のモノマーを用いたが、例えば熱硬化型のモノマーを使用することもできる。具体的には、例えば下記[化11]、[化12]、[化13]に示すようなエポキシ基を持つ化合物と、下記[化14]で示すアルコールまたは下記[化15]で示すアミン(例えば、(4−(ω−アミノアルコキシ)−4′−シアノビフェニル)の混合モノマーを使用することができる。加熱条件としては、例えば[化11]、[化13]に示す化合物を用いた場合には、60℃において3時間程度加熱すればよい。
【0055】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
また、前記のようにして形成されたポリマー分散体の形状は、用いるモノマー材料、UV照射条件(温度、強度)、加熱条件(温度、時間)により異なる。すなわち、ポリマーが線状になることもあるし、粒子状になることもある。また、パネル内でのポリマーの分布も同様に異なる。パネルの深さ方向に対して均一に分布していることもあるし、基板付近に密度が高くなることもある。ポリマーの形状、またはその分布状態がどうであっても、液晶層内にポリマー分散体を形成することによって液晶分子のプレチルト状態を良好に維持させることが可能となり、たとえ画素間に生じる横電界により画素周辺部にプレチルト方向と異なる方向に倒れる力が作用したり、実際に画素周辺部の液晶分子が倒れても画素周辺部だけに留まり、画素中心部への波及が防止され、明るい表示が可能となればよい。
【0056】
なお、前記実施形態においては、電極を両基板1、2側に対向させて設けると共に、負の誘電率異方性を有する液晶を用いたが、電極を図4(b)のように一方の基板側に横方向に並べて設けると共に、正の誘電率異方性を有する液晶を用いた垂直配向モードの液晶装置にも適用できる。また、電極構造は単純マトリックス型やセグメント型その他適宜であり、さらにTFT(Thin Film Transistor)素子やTFD(Thin Film Diode)素子等のアクティブ素子を用いたものにも適用可能である。
【0057】
[液晶装置の断面構造]
図5は、アクティブ素子を用いたアクティブマトリックス型液晶装置の平面図、図6は、図5におけるA−A線断面図である。
【0058】
本実施形態の液晶装置は、画素電極48がマトリクス状に形成されたアクティブマトリクス基板42と、対向電極47および遮光膜51が形成された対向基板41と、これらの基板間に封入、挟持されている液晶43とから概略構成されている。
【0059】
アクティブマトリクス基板42と対向基板41とは、対向基板41の外周縁に沿って形成されたギャップ材含有のシール材44によって所定の間隙を介して貼り合わされている。また、アクティブマトリクス基板42と対向基板41との間には、シール材44によって液晶封入領域52が区画形成され、この液晶封入領域52内に液晶43が封入されている。この液晶封入領域52内において、アクティブマトリクス基板42と対向基板41と間にはスベーサ53を介在させることもある。前記のシール材44としては、エポキシ樹脂や各種の紫外線硬化樹脂などを用いることができる。また、シール材44に配合されるギャップ材としては、約2μm〜約10μmの無機あるいは有機質のファイバもしくは球などが用いられる。
【0060】
前記シール材44は部分的に途切れており、この途切れ部分によって、液晶注入口44aが構成されている。対向基板41とアクティブマトリクス基板42とを貼り合わせた後、シール材44の内側領域を減圧状態にすることによって前記液晶注入口44aから液晶43を減圧注入することができ、液晶43を封入した後は液晶注入口44aを封止剤54で塞げばよい。
【0061】
対向基板41には、シール材44の内側において画像表示領域Fを見切りするための遮光膜55も形成されている。対向基板41のコーナー部のいずれにもアクティブマトリクス基板42と対向基板41との間で電気的導通をとるための上下導通材56が形成されている。
【0062】
また、対向基板41およびアクティブマトリクス基板42の光入射側の面あるいは光出射側には、使用する液晶43の種類、すなわち、TN(ツイステッドネマティック)モード、STN(スーパーTN)モード、等々の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリプラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の向きに配置される。
【0063】
なお、本実施形態の液晶装置には、カラーフィルタが形成されていないが、対向基板41において各画素電極48に対向する領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜とともに形成することもある。また対向基板41に何層もの屈折率の異なる干渉層を積層することにより、光の干渉作用を利用して、RGB色をつくり出すダイクロイックフィルタを形成することもある。
【0064】
また、本実施形態において、対向基板41はアクティブマトリクス基板42よりも小さく、アクティブマトリクス基板42の周辺部分は、対向基板41の外周縁からはみ出た状態に貼り合わされる。従って、アクティブマトリクス基板42の駆動回路(走査線駆動回路70やデータ線駆動回路60)や入出力端子57は対向基板41から露出した状態にある。このように構成した液晶装置において、アクティブマトリクス基板42に形成されている多数の入出力端子57には、検査に用いる入力端子57aおよび出力端子57bが含まれている。
【0065】
図7は、アクティブマトリックス型の液晶装置、特に前記実施形態と同様に垂直配向モードとして構成した液晶装置における電圧無印加状態の一部の拡大縦断面図、図8は電圧印加状態における拡大断面図である。
【0066】
アクティブ素子として本実施形態においてはTFT素子20を用いたもので、そのTFT素子20はソース電極21とゲート電極22およびドレイン電極23等よりなり、アクティブマトリックス基板42上に各画素毎に設けられている。
【0067】
ドレイン電極23にはコンタクトホールhを介して画素電極48が導電接続され、その画素電極48と対向電極47の対向面側には垂直配向膜49、50が形成されている。また、配向膜49、50間には、図2および図3の実施形態と同様に液晶層43が介在している。また、液晶層43内にはポリマー分散体30が前記の実施形態と同様の要領で形成されている。
【0068】
図9は、アクティブマトリクス基板の構成を模式的に示すブロック図である。
図9に示すように、アクティブマトリクス基板42において、ガラス製などの透明な基板のうち、略中央領域に形成された画素部81では、アルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステンなどの金属膜、シリサイド膜、導電性半導体膜などで形成されたデータ線90および走査線91が設けられている。これらのデータ線90および走査線91は、前記の各画素毎に設けたTFT素子20のゲート電極22およびソース電極21にそれぞれ接続されている。また、各画素には、TFT素子20を介して画素電極48に画像信号が入力される液晶容量94(液晶セル)が形成されている。
【0069】
データ線90に対しては、シフトレジスタ84、レベルシフタ85、ビデオライン87、アナログスイッチ86を備えるデータ側駆動回路60が構成されている。一方、走査線91に対しては、シフトレジスタ88およびレベルシフタ89を備える走査側駆動回路70が構成されている。
【0070】
なお、前記各画素には、走査線91と並行に延びる容量線92との間に保持容量40が形成され、この保持容量40は、液晶容量94での電荷の保持特性を高める機能を有している。この保持容量40は、前段の走査線91との間に形成されることもある。このように、アクティブマトリクス基板42の画素部81には多数の画素810がマトリックス状に形成されているが、これらの画素のうち、最も外周側に位置する1列分ないし3列分の画素(斜線を付した画素)81aは、表示が安定しないとして、図5に示す見切り用の遮光膜55で覆われたダミー画素として扱われ、これらのダミー画素81aは表示に寄与しない。但し、ダミー画素81aであっても、他の画素と同様、画素スイッチング用のTFT素子20が形成されているとともに、データ線駆動回路60や走査線駆動回路70とは回路接続している。
【0071】
前記の構成において、アクティブマトリックス基板42と対向基板41の外側にそれぞれ偏向板を図2および図3の場合と同様に配置すれば、図7の電圧無印加状態においては上側偏向板から液晶層43内に入った光は、そのまま下側偏光板に入射して該偏向板を透過することなく黒表示が得られ、図8の電圧印加状態においては上側偏向板5から液晶層3内に入った光は、楕円偏向しながら下側偏光板の偏向軸と略平行な方向に偏向して該偏向板を透過して白表示が得られる。
【0072】
その際、前記液晶層43内に設けたポリマー分散体30によって、電圧無印加時は液晶層43内の液晶分子を、配向膜近傍だけでなく液晶層43の厚さ方向全体にわたって前記のプレチルト状態に良好かつ安定に維持させることができると共に、電圧印加時は液晶層内の液晶分子を前記のプレチルト方向に向かって良好に水平配向させることが可能となり、コントラスト等の表示特性のよい液晶装置が得られるものである。
【0073】
なお、前記の各実施形態においては、いわゆる透過型の液晶装置を例示したが、反射板を用いた反射型の液晶装置にも適用できる。その反射板の配置構成としては、一方の基板の内側に配設させる電極を、反射性を有する金属膜等で形成する。例えば、図1〜図3を参照して説明した実施形態における一方の基板上の電極7または8、もしくは図5〜図9を参照して説明した実施形態におけるアクティブマトリックス基板42上の画素電極48を、反射性を有する金属膜等で形成して反射板を兼ねるようにする。
【0074】
あるいは、図10(a)に示すように、図1における一方の偏向板6の外側に反射板11を設けた構成、または図10(b)に示すように前記偏向板6の代わりに反射板と偏向板とを兼ねる反射偏光子(反射偏向板もしくは反射板)12を設けた構成等、その他適宜な構成を採用できる。
【0075】
(電子機器の構成)
図11は、本発明による液晶装置を用いた電子機器の基本構成を示す説明図である。
【0076】
このように構成した液晶装置は、各種の電子機器の表示装置として適用可能であり、前記のような液晶装置を用いて構成される電子機器は、一般に図11に示す表示情報出力源1000、表示情報処理回路1002、表示駆動回路1004、液晶パネルなどの表示パネル1006、クロック発生回路1008及び電源回路1010を含んで構成される。表示情報出力源1000は、ROM、RAMなどのメモリ、テレビ信号を同調して出力する同調回路などを含んで構成され、クロック発生回路1008からのクロックに基づいて、ビデオ信号などの表示情報を出力する。表示情報処理回路1002は、クロック発生回路1008からのクロックに基づいて表示情報を処理して出力する。この表示情報処理回路1002は、例えば増幅・極性反転回路、シリアル−パラレル変換回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路あるいはクランプ回路等を含むことができる。
【0077】
表示駆動回路1004は、走査側駆動回路及びデータ側駆動回路を含んで構成され、液晶パネル1006を表示駆動する。電源回路1010は、上述の各回路に電力を供給する。
【0078】
このような構成の電子機器としては、例えば液晶プロジェクタ、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、あるいは携帯電話、ワ一ドプロセッサ、テレビ、ビュ一ファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置などを挙げることができる。
【0079】
(投射型表示装置への適用例)
図12は、図1〜図3および図5〜図9に示すような透過型の液晶装置をライトバルブとして用いた投射型液晶プロジェクタの要部の概略構成図である。
【0080】
図12において、110は光源、113、114はダイクロイックミラ一、115、116、117は反射ミラー、118、119、120はリレーレンズ、122、123、124は液晶ライトバルブ、125はクロスダイクロイックプリズム、126は投写レンズを示す。前記光源110はメタルハライド等のランプ111とランプの光を反射するリフレクタ112とからなる。
【0081】
前記ダイクロイックミラー113は、光源110からの白色光束のうちの赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。そのダイクロイックミラー113を透過した赤色光は反射ミラー117で反射されて、赤色光用液晶ライトバルブ122に入射される。一方、ダイクロイックミラー113で反射された色光のうち緑色光は緑色光反射のダイクロイックミラー114によって反射され、緑色光用液晶ライトバルブ123に入射される。一方、青色光は第2のダイクロイックミラー114も透過する。その青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ118、リレーレンズ119、出射しンズ120を含むリレーレンズ系からなる導光手段121が設けられ、これを介して青色光が青色光用液晶ライトバルブ124に入射される。
【0082】
前記各ライトバルブに入射した3つの色光は各ライトバルブで変調されてクロスダイクロイックプリズム125に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投写光学系である投写レンズ126によってスクリーン127上に投写され、画像が拡大されて表示される。
【0083】
図13は、図1〜図3および図5〜図9の実施形態において反射性を有する電極を用いた場合、もしくは図10(a)、(b)に示すような反射型の液晶装置をライトバルブとして用いた液晶プロジェクタの要部の概略構成図である。
【0084】
図13において、本例のプロジェクタは、システム光軸Lに沿って配置した光源部210、インテグレータレンズ220、偏光変換素子230から概略構成される偏光照明装置200、その偏光照明装置200から出射されたS偏光光束をS偏光光束反射面251により反射させる偏光ビームスプリッタ250、その偏光ビームスプリッタ250のS偏光反射面251から反射された光のうち、青色光(B)の成分を分離するダイクロイックミラ一412、その分離された青色光(B)を変調する反射型液晶ライトバルブ300B、青色光が分離された後の光束のうち赤色光(R)の成分を反射させて分離するダイクロイックミラー413、その分離された赤色光(R)を変調する反射型液晶ライトバルブ300R、前記ダイクロイックミラー413を透過する残りの緑色光(G)を変調する反射型液晶ライトバルブ300G、前記3つの反射型液晶ライトバルブ300R、300G、300Bにて変調された光をダイクロイックミラー412、413、偏光ビームスプリッタ200にて合成し、この合成光をスクリーン600に投射する投射レンズからなる投射光学系500によって構成されている。前記3つの反射型液晶ライトバルブ300R、300G、300Bには、それぞれ前述の本発明による反射型液晶装置が用いられている。
【0085】
前記光源部210から出射されたランダムな偏光光束は、インテグレータレンズ220により複数の中間光束に分割された後、第2のインテグレータレンズを光入射側に有する偏光変換素子230により偏光方向がほぼ揃った一種類の偏光光束(S偏光光束)に変換されてから偏光ビームスプリッタ250に至るようになっている。偏光変換素子230から出射されたS偏光光束は、偏光ビームスプリッタ250のS偏光光束反射面251によって反射され、反射された光束のうち、青色光(B)の光束がダイクロイックミラー412の青色光反射層にて反射され、反射型液晶ライトバルブ300Bによって変調され反射される。また、ダイクロイックミラー412の青色光反射層を透過した光束のうち、赤色光(R)の光束はダイクロイックミラー413の赤色光反射層にて反射され、反射型液晶ライトバルブ300Rによって変調され反射される。さらに、ダイクロイックミラ一413の赤色光反射層を透過した緑色光(G)の光束は反射型液晶ライトバルブ300Gによって変調され反射される。
【0086】
前記のようにして、それぞれの反射型液晶ライトバルブ300R、300G、300Bによって変調され反射された色光のうち、S偏光成分はS偏光を反射する偏光ビームスプリッタ200を透過せず、一方、P偏光成分は透過する。この偏光ビームスプリッタ200を透過した光が合成されて画像が形成され、投射光学系500を介してスクリーン600に投影される構成である。
【0087】
図12および図13に示すように、本発明による液晶装置を液晶プロジェクタのライトバルブに用いると、液晶層内に形成したポリマー分散体30によって、電圧無印加時は液晶層内の液晶分子を、所定のプレチルト状態に良好かつ安定に維持させることができると共に、電圧印加時は液晶層内の液晶分子を前記のプレチルト方向に向かって良好に水平配向させることが可能となり、高コントラストの液晶プロジェクタを得ることができる。
【0088】
また、前記のような液晶プロジェクタにおいては、ライトバルブとして用いた液晶装置に比較的強い光が照射され、その光によって配向膜が経時的に徐々に劣化して特にプレチルト状態にバラツキを生じたり電圧印加時および無印加時の配向に乱れを生じる等のおそれがあるが、本発明のように、液晶層内にポリマー分散体を形成することによって前記のような不具合を良好に解消することが可能となり、安定性のよい液晶プロジェクタを提供することができる。
【0089】
(その他の電子機器)
図14(a)〜(c)は、それぞれ本発明の液晶装置を用いた電子機器の他の具体例を示す外観図である。なお、これらの電子機器では前記のようなライトバルブとしてではなく、直視型の液晶表示装置(液晶パネル)として使用され、透過型および反射型のいずれのタイプの液晶装置を用いることができる。
【0090】
図14(a)は携帯電話を示す斜視図である。1000は携帯電話本体を示し、そのうちの1001は本発明の液晶装置を用いた液晶表示部である。
【0091】
図14(b)は、腕時計型電子機器を示す図である。1100は時計本体を示す斜視図である。1101は本発明の液晶装置を用いた液晶表示部である。この液晶装置は、従来の時計表示部に比べて高精細の画素を有するので、テレビ画像表示も可能とすることができ、腕時計型テレビを実現できる。
【0092】
図14(c)は、ワープロ、パソコン等の携帯型情報処理装置を示す図である。1200は情報処理装置を示し、1202はキーボード等の入力部、1206は本発明の液晶装置を用いた表示部、1204は情報処理装置本体を示す。各々の電子機器は図1〜3および図5〜9の実施形態に示すような透過型の液晶装置を用いて、その背面側に、いわゆるバックライトを配置すれば明るい表示が得られ、反射型液晶装置を用いればバックライトが不要となり消費電力を少なくすることができる。
【0093】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、本発明は上述の各種の液晶パネルの駆動に適用されるものに限らず、エレクトロルミネッセンス、プラズマディスプレー装置にも適用可能である。
【0094】
【実施例】
次に、本発明による液晶装置およびその製造方法の実施例について説明する。
【0095】
[実施例1]
配向膜としてポリイミド系の垂直配向膜をスピンコーターを用いて膜厚30nm程度形成した。その後ラビングによりプレチルトを2〜3°付けた。このようにして作製した上下基板を180°で、セル厚4μmに貼り合わせて空パネルを作製した。
【0096】
一方、液晶としては、ジフッソ系の負の誘電率異方性を示す組成物に、モノマーとして液晶性モノアクリレートを1%添加する。
【0097】
この混合物を前記の空パネル中に封入し、1テスラの磁場中にパネルを10°傾けて、50℃において350nmの紫外線を10mW/cm2 の強度で、約10分間照射してポリマー分散体を形成した。
【0098】
[比較例1]
前記実施例1に対する比較例として、モノマーを添加しない、すなわちポリマー分散体を形成しない以外は前記実施例1と同様の要領で液晶パネルを作製した。
【0099】
[実施例1および比較例1の評価]
実施例1および比較例1で作製したパネルの印加電圧と透過率の関係を測定したので、その測定結果を図15に示す。図15において、実線Aは実施例1におけるポリマー分散体を形成した場合、実線Bは比較例1におけるポリマー分散体を形成しなかった場合の印加電圧と透過率との関係を示すグラフである。なお前記の測定の際には、隣りの画素には逆の極性の電界が加えられているため、前後左右の画素間に横電界が生じている状態で測定した。
【0100】
この結果からも明らかなように本発明による実施例1のようにポリマー分散体を形成した高分子安定化垂直配向モードの液晶装置においては、比較例1のポリマー分散体がないものに比較して明るい表示が得られることが分かった。
【0101】
また、実施例1で得られた液晶装置を、液晶プロジェクタのライトバルブとして、また携帯電話や腕時計およびワープロやパソコン等の電子機器の表示装置として用いることによって高コントラストで表示性能および耐久性や安定性のよい電子機器を得ることができた。
【0102】
[実施例2]
各画素毎にTFT及びITO膜からなる画素電極が形成されたTFTアレイ基板(アクティブマトリクス基板)の表面、およびITO膜からなる対向電極が形成された対向基板の表面のそれぞれに、ポリイミド系の垂直配向膜の前駆体をスピンコータを用いて塗布、焼成して、膜厚が30nmの垂直配向膜を形成する。次に、ラビング処理により、2°から3°のプレチルト角を付与する。
【0103】
このようにして得た一対の基板を3μmのセルギャップで貼り合わせて空セルを作製する。
【0104】
次に、ジフッ素系の負の誘電率異方性を有する液晶組成物(屈折率異方性Δn=0.0821、誘電率異方性Δε=−4.1、透明点(ネマティック相−等方性液体転移点、略称N−I点)=91.0℃)と、以下の[化16]で表されるモノマー(2′−メチル−p−ターフェニル−4,4″−ジイルジメタクリレート/融点131.7℃)とを99:1の比率で混合したものを前記の空セルの基板間に注入する。しかる後に、温度が50℃の条件下で、セルに対して350nmの紫外線を10mW/cm2の強度で10分間照射する。
【0105】
【化16】
その結果、以下の[化17]で表される構造のポリマー分散体が形成された垂直配向型の液晶パネルが形成される。
【0106】
【化17】
【0107】
[比較例2]
実施例2に対する比較例2に係る液晶パネルとして、各画素毎にTFT及びITO膜からなる画素電極が形成されたTFTアレイ基板(アクティブマトリクス基板)の表面、およびITO膜からなる対向電極が形成された対向基板の表面のそれぞれに、ポリイミド系の垂直配向膜の前駆体をスピンコータを用いて塗布、焼成して、膜厚が30nmの垂直配向膜を形成する。次に、ラビング処理により、2°から3°のプレチルト角を付与する。
【0108】
このようにして得た一対の基板を3μmのセルギャップで貼り合わせて空セルを作製する。
【0109】
次に、ジフッ素系の負の誘電率異方性を有する液晶組成物(屈折率異方性Δn=0.0821、誘電率異方性Δε=−4.1、透明点(N−I点)=91.0℃)を空セルの基板間に注入して垂直配向型の液晶パネルを形成する。従って、この液晶パネルでは、ポリマー分散体は形成されていない。
【0110】
[実施例2および比較例2の評価]
このように構成した実施例2に係る液晶パネルと、比較例2に係る液晶パネルを、図16に示す測定系を用いてスクーリーン上に投射される光の強度を測定し、明るさとコントラストを比較した。この評価では、実施例2および比較例2に係る液晶パネルにおいて、ドット反転駆動とライン反転駆動を行い、それぞれの駆動条件で駆動したときの黒表示(OFF時)と白表示(オン時)の照度を測定するとともに、コントラストを算出する。なお、図16に示す測定系3000は、白色光源3001と、この光源3001から出射された白色光の照度分布を調整するインテグレータ光学系3002と、液晶パネル3100に照射される光を所定の偏光光に揃える偏光変換素子3003と、液晶パネル3100から出射された光をスクリーン3004に投射する投射レンズ3006と、スクリーン3004上での照度を計測する照度計3005とを有している。なお、液晶パネル3100の両面には偏光板3101、3102が重ねられた状態にある。
【0111】
このような測定系を用いて得られた結果を表7に示す。
【0112】
【表7】
【0113】
表7に示すように、ドット反転駆動およびライン反転駆動のいずれにおいても、本発明の実施例2に係る液晶パネルは、横電界に起因する著しいディスクリネーションが発生しないので、比較例2に係る液晶パネルと比較して、白表示を行ったときの明るさおよびコントラストのいずれにおいても優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液晶装置の一実施形態を示す概略構成の縦断面図である。
【図2】図1に示す液晶装置の一部の拡大縦断面図である。
【図3】図1に示す液晶装置に電圧を印加した状態における拡大縦断面図である。
【図4】図1に示す液晶装置を製造するにあたって、液晶分子にプレチルトを付与する工程を示す説明図である。
【図5】本発明を適用したアクティブ型液晶装置の一実施形態を示す平面図である。
【図6】図5におけるA−A線断面図である。
【図7】図5に示す液晶装置の一部を拡大した縦断面図である。
【図8】図7に示す液晶装置において液晶層に電圧を印加した状態の拡大縦断面図である。
【図9】アクティブマトリクス基板の構成を模式的に示すブロック図である。
【図10】本発明を反射型の液晶装置に適用した場合の一例を示す概略縦断面図である。
【図11】本発明による液晶装置を用いた電子機器の基本構成を示す説明図である。
【図12】本発明を適用した電子機器として、透過型液晶パネルを用いた投射型表示装置(プロジェクタ)の概略構成図である。
【図13】本発明を適用した電子機器として、反射型液晶パネルを用いた投射型表示装置(プロジェクタ)の概略構成図である。
【図14】本発明を適用した液晶装置が用いられる電子機器の説明図である。
【図15】本発明の実施例1に係る液晶パネルと、比較例1に係る液晶パネルの印加電圧と透過率との関係を比較して示すグラフである。
【図16】本発明の実施例2に係る液晶パネルと、比較例2に係る液晶パネルの明るさおよびコントラストを測定するための測定系の概略構成図である。
【図17】液晶装置において、ライン反転駆動を行うと横電界が発生する様子を示す説明図である。
【符号の説明】
1 上側基板
2 下側基板
3 液晶層
5 上側偏光板
6 下側偏光板
30 ポリマー分散体
Claims (17)
- 一対の基板間に液晶層が挟持され、該一対の基板の該液晶層側には垂直配向処理が施され、
前記液晶層内にポリマー分散体が形成された液晶装置であって、
電圧無印加時には、前記ポリマー分散体を形成した時の液晶分子のプレチルトの状態が維持されるように、かつ、電圧印加時には、該液晶分子が該プレチルトの方向に倒れるように、前記ポリマー分散体が形成されていることを特徴とする液晶装置。 - 前記液晶層は、基板に対して略垂直に配向する特性を有する液晶分子により形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置。
- 前記液晶分子は、誘電率異方性が負であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液晶装置。
- 前記ポリマー分散体は、前記液晶層中の液晶材料に対して0.1重量%から5重量%までの範囲であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液晶装置。
- 液晶層を挟持する一対の基板の、該液晶層側に垂直配向処理を施し、
前記液晶層内の液晶分子に所定のプレチルトを付与し、
前記液晶層内にモノマーを混入させ、
電圧無印加時には前記プレチルトの状態が維持されるように、かつ、電圧印加時には前記液晶分子が前記プレチルトの方向に倒れるように、前記モノマーを重合させて前記液晶層内にポリマー分散体を形成することを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 前記モノマーは、液晶性紫外線硬化型モノマーである請求項6または7に記載の液晶装置の製造方法。
- 前記モノマーの混入量は、前記液晶層中の液晶材料に対して0.1重量%から5重量までの範囲であることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。
- 前記基板上に形成した配向膜にラビング処理を施し、該ラビング処理によって前記液晶分子のプレチルト角を設定することを特徴する請求項6ないし9のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。
- 前記基板上に蒸着法によりシリコン酸化膜を形成した後、該シリコン酸化膜の表面に垂直配向膜を形成することにより、前記シリコン酸化膜によって前記液晶分子のプレチルト角を設定したことを特徴する請求項6ないし9のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。
- 前記基板上に回転斜方蒸着法によりシリコン酸化膜からなるプレチルト付きの垂直配向膜を形成し、該プレチルト付きの垂直配向膜によって前記液晶分子のプレチルト角を設定したことを特徴する請求項6ないし9のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。
- 前記液晶層に磁場を印加し、前記液晶分子のプレチルト角を設定したことを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。
- 前記液晶層に磁場と電界を印加し、前記液晶分子のプレチルト角を設定したことを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。
- 前記液晶層に横電界を印加し、前記液晶分子のプレチルト角を設定したことを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の液晶装置を表示装置として備えた電子機器。
- 請求項6ないし16のいずれかに記載の製造方法によって製造された液晶装置を表示装置として備えた電子機器。
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