JP3976400B2 - 転写用インク組成物およびそれを用いた転写用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、図案等を、被転写体に転写するための転写用インク組成物、およびそれを用いた転写用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図案等を他の被転写体に転写するのに、一般的には、図案と被転写体の間に複写紙(カーボンペーパー、チャコペーパー)を入れ、図案の上からボールペン等で所望のデザインにそってトレースし、その押圧力によって複写紙に含有乃至付着している色素を被転写体上に移行し、これによって所望のデザインを被転写体上に転写する方法で行なわれて来た。
【0003】
しかしながら、この方法においては、図案の形成をチャコペーパー等のインク層の転写によって行っているため、強い押圧力で鉛筆やボールペン等を図案の上から押付けてトレースする必要がある。従って、その作業には困難が伴うとともに、例えば被転写物質が布の場合には、ボールペンの押圧力によって、その書く部分の布地が伸長したりする等の問題があるために、正確なデザインを被転写体に写すことが不可能な場合も生じてくる。更に、その押圧力でチャコペーパーが破損するという問題があった。
【0004】
また、図案と被転写体の間に複写紙が入っているため、デザインを写すときに図案がズレた場合は、再び位置合わせすることは非常に困難であるために、充分な前作業によって移動しないように用意してから、転写をしなければならない問題が生じている。
【0005】
更にまた、従来、インクは、例えばそれを布等に適用した場合、そのインク自体が有する色のインクが布地の表面に付着し、その色の図案が形成される。そのため、例えば黒色〜暗色の布に下図等の図案を明瞭に形成させたい場合は、白色〜淡色のインクを用い、また逆に白色〜淡色の布の場合は、黒色〜暗色のインクを用いなければならず、このように適用する布地の色によってインクを変える必要があり、非常に面倒であった。
【0006】
そこで、本出願人は、先に、従来のこのような問題点を解決した下記のインク組成物、それを用いた作図方法を提案した(特開平9−263726号)。
「1 (アセチル)サリチル酸、白色以外の色素及び有機溶媒を含有する溶液からなるインク組成物。
2 上記インク組成物を用いて、図案を熱により転写する下図作成方法。」
【0007】
しかしながら、この方法は被転写体の色による色変えや位置合わせの問題は解決できるものの、転写に際して熱を必要とし、簡便な方法ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の欠点を解消し、所望の図案(画線等)を所望の被転写体、例えば紙、布、木材、プラスチックス、金属、皮革等に、正確で簡便にしかもどのような色調の被転写体にも明瞭に転写することが可能な転写用インク組成物及びそれを用いた転写用シートを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記従来技術の諸問題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、有色(白色を含む)の染料及び/又は顔料に、サリチル酸及び/又はアセチルサリチル酸と、塩化カルシウムとを組み合わせることにより、従来の方法のように転写に際して熱を必要とするような煩雑さがなく、ただボールペン等で押圧するのみで被転写体上に正確に転写しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明によれば、サリチル酸及び/又はアセチルサリチル酸、塩化カルシウム、および有機溶媒、或いは更に染料及び/又は顔料からなる色素を含有することを特徴とする転写用インク組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記色素中に、消色性色素、特に水により消色する色素および/又は時間の経過と共に消色する色素を含有することを特徴とする前記転写用インク組成物が提供される。
また、更に有機溶媒可溶性の高分子物質を含有することを特徴とする前記記載のインク組成物が提供される。
更にまた、本発明によれば、図案の画かれた基材の裏面に、前記記載のいずれかの転写用インク組成物からなるインク層を設けたことを特徴とする転写用シートが提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のインク組成物の、サリチル酸及び/又はアセチルサリチル酸{以下(アセチル)サリチル酸と略称}は、インク組成物における呈色成分として、或いは顕色剤として機能するものである。
具体的には、(アセチル)サリチル酸の溶液は蒸発乾固すると白色を呈するので、呈色成分としては白色系の呈色成分として機能する。
そして、下図用として用いた場合、刺しゅう等を行った後、即ち不要となった時、(アセチル)サリチル酸は加熱や時間の経過とともに蒸散して消色するが、その蒸散速度は下図として極めて適当な範囲(必要な時間は十分に残存し、不必要に長時間は残存しない)のものである。
また、顕色剤としては、酸性物質として機能し、後に詳細に説明する、特定の色素に対して顕色作用を有する。
【0012】
本発明のインク組成物において、塩化カルシウムをインク組成物に配合することによって、初めてボールペン等の押圧によってインク組成物のインク層を被転写体上に図案等として転写することが可能となった。
また、該塩化カルシウムは、その溶液を蒸発乾固すると、上記(アセチル)サリチル酸と同様に白色を呈するので、白色系の呈色成分としても機能する。
【0013】
本発明において白色のインク組成物を目的とする場合は特に他の色素を併用する必要はないが、他の色調のインク組成物を目的とする場合には、所望の色素を併用することができる。
本発明のインク組成物の(アセチル)サリチル酸と併用する色素としては、有機溶媒に可溶性であり、かつ(アセチル)サリチル酸の影響により、色素としての機能を損なわないものであれば、いかなる染料、顔料も使用できる。そして被転写体白色〜淡色の場合における画線等の識別性を考慮すると、赤、青、黒等の濃色系の色素の使用が望ましい。また、被転写体が黒色〜暗色の場合は白色〜淡色系の色素の使用が望ましい。さらにまた、本発明のインク組成物を下図作成用に用いる場合は、不要になった時、消色しうることが望ましく、色素として経時に消色するか、熱、水、またはその他の溶媒等により消色可能なものが好ましい。
【0014】
このような色素は、大別して、(アセチル)サリチル酸の作用を受けるものと、該作用をうけないものとに分けることができる。
前者の例としては、酸・塩基指示薬、ラクトン系色素、染顔料等が挙げられ、PHによって発色状態が変化するものの場合は、少なくとも酸性で呈色するものが好ましい。
このような具体例としては、酸・塩基指示薬として、メチルレッド、ナフチルレッド、フェノールレッド、マラカイトグリーンが挙げられ、またラクトン系色素としては、クリスタルバイオレットラクトンが、更に染顔料として、チオシアン酸コバルト(水及びアルコールに可溶)等が挙げられる。
後者の例としては、Basic Red 12、SoLvent Red 8(何れもアルコール可溶)等が挙げられる。
これらの色素の内、色調が鮮明であり、しかも下図の不必要時には、熱又は水で簡単に消色し、又、経時によって色調が次第に薄くなる色素である、メチルレッド、ジメチルイエローが好ましく、特にメチルレッドの使用が望ましい。
また、例えば、フェノールレッド(変色範囲はPH6.8〜8.4)を呈色色素として用いれば、多少多目に用いると呈色は赤色として表れるが、これを水によって拭くとフェノールレッドが希釈され、淡黄色になる。
【0015】
本発明のインク組成物は前記したように、(アセチル)サリチル酸、塩化カルシウム、色素等を前記溶媒に溶解させたものであるが、前記(アセチル)サリチル酸の呈色成分としての機能を発揮させるためには、(アセチル)サリチル酸の含有量は、2重量%以上、溶媒に対する飽和濃度以下である。2重量%より少ないと被転写体上の下図の呈色が薄くなり判読困難となる。また飽和溶液とした場合は、少量の溶媒の蒸散により(アセチル)サリチル酸が容易に晶析し、インク組成物の保存性が悪くなる。このような点から5重量%以上、飽和濃度の95%以下とするのが好ましい。
また、塩化カルシウム(無水)の含有量は、1〜40重量%であるが、好ましくは3〜30重量%である。
更にまた、色素の含有量は、通常0.01〜30重量%であるが、好ましくは0.5〜20重量%である。
【0016】
本発明のインク組成物の有機溶媒としては、(アセチル)サリチル酸及び色素を溶解させるものが用いられ、例えば、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、ハロゲン化炭化水素等が用いられる。溶剤の沸点としては、30℃〜250℃、好ましくは60℃〜200℃である。
【0017】
このような溶剤の内、前記(アセチル)サリチル酸の呈色成分としての機能を発揮させる(即ち、溶媒中の(アセチル)サリチル酸が晶析して白色の画線として現れる)ためには、沸点150℃以下、特に100℃以下の溶媒が好ましく、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、第2級アミルアルコール、第3級アミルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、アセトニトリル、塩化エチレン、トリクロルエチレン等が用いられ、エタノール等の1価アルコールまたはこれを含む混合溶媒の使用が有利である。
【0018】
また、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、グリセリン等を混合することが好ましい。これらはインク貯蔵中における有機溶媒の蒸散防止作用として効果がある。特にグリセリンには空気中において吸湿性があることも有利である。これらの含有量は上記有機溶媒に対し1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%が好ましい。
【0019】
また、本発明のインク組成物においては、補助成分として、高分子物質を添加することができる。
高分子物質としては、有機溶媒可溶性のものであればよく、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂等の他、セラック、ロジン、ダンマン、コーパル等の天然樹脂が挙げられる。
このような高分子物質は、溶液に粘性を与え、インク組成物を用いて布地や不織布のような被転写体の固体表面に記載したときに、溶液の内部への吸収を抑制し、溶液を固体表面に付着滞留させる作用を有する。
高分子物質の具体的種類は、使用する溶媒との関連で適宜決められる。高分子物質の溶液に対する添加量はその分子量により異なるが、一般には、溶液中濃度で0.001〜15重量%、好ましくは0.01〜10重量%である。分子量100万以上のポリエチレンオキシドの場合、0.002〜4重量%の添加で十分である。
【0020】
次に本発明の転写用シートについて説明する。
本発明の転写用シートは、図案の描かれた基材の裏面に、上記転写用インキ組成物からなるインク層を設けたものである。
該基材としては、紙、布、フィルム等を使用することができる。即ち、転写を所望する図案の描かれた基材であれば、何れのものでも使用できる。
【0021】
本発明の転写用シートは、以下の方法等によって作製することができる。
即ち、図案の画かれた基材の裏面に、上記インク組成物を塗布し、乾燥してインク組成物からなるインク層を形成することにより製造することができる。
上記インク組成物の塗布は、ハケ、筆、繊維芯等のいずれの方法でも行なうことができる。
【0022】
図案の転写は、被転写体上に、所望の図案の転写用シートを載せ、その上からボールペン等で図案にそってトレースすることにより行なうことができる。また、長期間転写用シートを使用せず、インク層が完全に乾燥し、被転写体に図案の転写ができなくなった場合には、微量の水でこの塗布してあるインク層を湿潤させると、インク組成物は再活性し転写体に問題なく図案を転写することができる。
【0023】
本発明の転写用インク組成物は、インクベースに各種の染料、顔料を加えることが可能で、この加えた色素の種類により、被転写体上に各種の色調を呈する図案を作成することができる。しかも(アセチル)サリチル酸の蒸散により、白色の図案は消色することができ、また併用する呈色物質として消色可能なものを用いれば、有色の図案も消色することができる。例えば、水で消える色素を入れた場合には被転写体上の図案を水で容易に消去することができ、又、自然に消える色素を加えた場合には、被転写体上の図案は時間の経過と共に消色する。このような、消色可能なインク組成物を用いた転写用シートは、下図作成の場合に特に好ましい。
本発明のインク組成物を用いた転写シートにより被転写体に図案を転写する場合を後記(1)〜(4)に具体的に説明するが、被転写体には、その色がどのような場合であっても、転写用シートの図案に従って、明瞭に図案を転写することができる。
【0024】
本発明のインク組成物を用いた転写用シートによる図案作成の呈色機構について下記色素は以下のように考えられる。
(1)酸・塩基指示薬を併用した場合。
この場合は、(アセチル)サリチル酸が前記したように酸性物質であるので、該指示薬は、PH値の小なる側で有色、PH値の大なる側で無色〜淡色を呈するものが望ましい。
例えば、該指示薬としてのメチルレッドは、その変色域がPH4.4〜6.2であり、PH4.4未満では赤色、PH6.2を超えると、黄色である。メチルレッドを併用した本発明のインク組成物組成物を用い、図案の画かれた基材の裏面に赤色〜橙赤色のインク層を形成し転写用シートを作成する。
この転写用シートを用いて、布地等の被転写体に図案(下図等)を転写させると、
▲1▼被転写体が黒色〜暗色の場合、メチルレッドに由来する赤系の色が隠れて、色素としての(アセチル)サリチル酸、塩化カルシウムの白色が現れて、被転写体上に白色の図案(下図等)が形成される。
該白色の図案(下図等)は、(アセチル)サリチル酸の蒸酸等により、加熱や時間の経過と共に次第に薄くなる。
▲2▼また、被転写体が白色〜淡色の場合、色素としての(アセチル)サリチル酸、塩化カルシウムに由来する白色が隠れて、メチルレッドに由来する赤色〜橙赤色が現れて、被転写体上に赤色〜橙赤色の図案(下図等)が形成される。
該赤色〜橙赤色の図案(下図等)は、酸性物質としての(アセチル)サリチル酸の蒸散により、PHが小なる側から大なる側へ変化するため時間の経過と共に次第に淡黄色となる。また水洗によっても淡黄色となる。
【0025】
(2)ラクトン系色素を併用した場合
例えば、該ラクトン系色素としてのクリスタルバイオレットは酸性物質(顕色剤)の作用により溶液中で青色を呈する色素である。クリスタルバイオレットを併用した本発明のインク組成物を用い、図案の画かれた基材の裏面にインク層を形成すると、(アセチル)サリチル酸が酸性物質であるので青色のインク層が形成される。
このインク層の形成された転写用シートを用いて、布地等の被転写体に該図案(下図等)を転写させると、
▲1▼被転写体が黒色〜暗色の場合、クリスタルバイオレットに由来する青色が隠れて、色素としての(アセチル)サリチル酸、塩化カルシウムの白色が現れて被転写体上に白色の図案(下図等)が形成される。
該白色の図案(下図等)は(アセチル)サリチル酸の蒸散等により、加熱や時間の経過と共に次第に薄くなる。
▲2▼また、被転写体が白色〜淡色の場合、色素としての(アセチル)サリチル酸、塩化カルシウムの白色が隠れて、クリスタルバイオレットに由来する青色が現れて、被転写体に青色の図案(下図等)が形成される。
該青色の図案(下図等)は、酸性物質(顕色剤)としての(アセチル)サリチル酸の蒸散により、時間の経過と共に次第に薄くなり消色する。
【0026】
(3)消色性染顔料を併用した場合
(アセチル)サリチル酸が酸性物質であるので、酸・塩基反応を生起せず、安定であるために、中性〜酸性の染顔料を用いる。
例えば、チオシアン酸コバルトは水によって、消色する青色の色素である。
該チオシアン酸コバルトを併用した本発明のインク組成物を用い、図案の画かれた基材の裏面にインク層を形成すると、青色のインク層が形成される。
このインク層の形成された転写用シートを用いて、布地等の被転写体に該図案(下図等)を転写させると、
▲1▼被転写体が黒色〜暗色の場合、チオシアン酸コバルトに由来する青色が隠れて、色素としての(アセチル)サリチル酸、塩化カルシウムの白色が現れて、被転写体上に白色の図案(下図等)が形成される。
該白色の図案(下図等)は、(アセチル)サリチル酸の蒸散等により、加熱や時間の経過と共に次第に薄くなる。
▲2▼また、被転写体が白色〜淡色の場合、色素としての(アセチル)サリチル酸、塩化カルシウムの白色が隠れて、チオシアン酸コバルトの青色が現れて、被転写体に青色の図案(下図等)が形成される。
該青色の図案(下図等)は、水洗によって容易に消色する。
【0027】
(4)非消色生染顔料を併用した場合
呈色機構は、用いた色素によって図案を転写することができ、また被転写体の色がどのような場合でも図案(下図等)を形成することができる点で前記(3)と同様であるが、ただ白色〜淡色の被転写体に形成された黒色〜暗色図案は、消色することができない。
【0028】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0029】
実施例1
イソプロピルアルコール100gにグリセリン10g及びアセチルサリチル酸20gと無水塩化カルシウム10gを加えて撹拌し、液状物質の転写用インク組成物を調製した。
このインク組成物を図案の画かれた紙の裏面にハケを用いて塗布し、速やかに乾燥して転写用シートを作製した。このシートを黒色布地の上におき、図案にそってボールペンで図案の上をトレースすると、黒色布地上に白色の図案がはっきりと転写された。
【0030】
実施例2
イソプロピルアルコール100gにポリエチレングリコール10gを加え、この溶液にサリチル酸25gと無水塩化カルシウム6gを加えて撹拌し、更にこの溶液にチオシアン酸コバルト5gを加えて撹拌し青色の液状物質である転写用インク組成物を調製した。
このインク組成物をハケで図案の画かれた紙の裏面に塗布し、乾燥して転写用シートを作製した。このシートをそれぞれ白色の紙及び淡色の布地上におき、図案の表面から図案にそってボールペンでそれぞれトレースすると、図案はそれぞれ紙及び布に青色で転写することができた。これらの転写された青色の図案は水によって容易に消すことができた。
【0031】
実施例3
エタノール100gにグリセリン5gを加えて混合溶液をつくり、これに無水塩化カルシウム12gとサリチル酸20gを加え、更にフェノールレッド1gを加えて撹拌し、赤色の液状物質の転写用インク組成物を調製した。
このインク組成物をハケで図案の画かれた紙の裏面に塗布し、直ちに乾燥して転写用シートを作製した。このシートを白色の布地及び木材の上におき、図案の表面から図案にそってボールペンでそれぞれトレースすると、図案はそれぞれ布及び木材上に橙赤色で転写することができた。
これらの転写された橙赤色の図案は水によって薄くなり、淡黄色のかすかな跡が残った。
【0032】
実施例4
エタノール100gに無水塩化カルシウム15gとサリチル酸15gを加えて撹拌し、液状物質を作製し、更にこれにマラカイトグリーン0.5gを加えて撹拌し、緑色の液状物質の転写用インク組成物を調製した。
このインク組成物をハケで図案の画かれたポリ塩化ビニルのフィルムの裏面に塗布し、乾燥して転写用シートを作製した。このシートを乾燥後木材、白色の塩化ビニール製シート上に置き、図案の表面から図案にそってボールペンでそれぞれトレースすると、図案はそれぞれ木材、白色の塩化ビニール製シート上に緑色で転写することができた。
【0033】
【発明の効果】
本発明のインク組成物は、(アセチル)サリチル酸、塩化カルシウムと色素とを組み合わせ含有させたものであるから、白色、黒色、その他の有色の、どのような色の布地等の被転写体上に明瞭な画線線を画くことができる。
また、本発明のインク組成物を用い、転写用シートとしたことによって、原図との位置合わせが不要となり、更に該図案を布地等の被転写体上へ転写させるにあたって、単にボールペン等で押圧するのみで極めて簡単に素早く行うことができる。
更にまた、(アセチル)サリチル酸を色素の一成分としているため(アセチル)サリチル酸に由来する白色の下図は、不要となった場合には、加熱や時間の経過と共に消色させることができ、(アセチル)サリチル酸と併用する有色(白色以外)の色素にも、熱、水や溶媒、経時により消色するものを用いれば、これらに由来する有色の下図も、不要となった場合には消色させることができる。
このように、本発明のインク組成物は、インク、特に下図用インクとして極めて有用であり、また本発明の下図作成方法は、極めて簡単に素早く、かつ正確に行うことができる。
Claims (6)
- サリチル酸及び/又はアセチルサリチル酸、塩化カルシウム、および有機溶媒を含有することを特徴とする転写用インク組成物。
- サリチル酸及び/又はアセチルサリチル酸、塩化カルシウム、染料及び/又は顔料からなる色素、および有機溶媒を含有することを特徴とする転写用インク組成物。
- 前記色素が、消色性色素であることを特徴とする請求項2記載の転写用インク組成物。
- 前記消色性色素が、水により消色する色素および/又は時間の経過と共に消色する色素であることを特徴とする請求項3記載の転写用インク組成物。
- 更に前記有機溶媒に可溶性の高分子物質を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の転写用インク組成物。
- 図案の画かれた基材の裏面に、請求項1〜5のいずれかに記載の転写用インク組成物からなるインク層を設けたことを特徴とする転写用シート。
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