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JP3971645B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に半導体装置の製造に係り、特に強誘電体膜を有する不揮発性半導体装置の製造に関する。
【0002】
いわゆるDRAMあるいはSRAM等の半導体記憶装置はコンピュータを始めとする情報処理装置において高速主記憶装置として広く使われているが、これらは揮発性の記憶装置であり、電源をオフにすると記憶された情報は失われてしまう。これに対し、従来よりプログラムやデータを格納する大容量補助記憶装置として不揮発性の磁気ディスク装置が使われている。
【0003】
しかし、磁気ディスク装置は大型で機械的に脆弱であり、消費電力も大きく、さらに情報を読み書きする際のアクセス速度が遅い欠点を有している。これに対し、最近では不揮発性補助記憶装置として、フローティングゲート電極に情報を電荷の形で蓄積するEEPROMあるいはフラッシュメモリが使われていることが多くなっている。特にフラッシュメモリはDRAMと同様なセル構成を有するため大きな集積密度に形成しやすく、磁気ディスク装置に匹敵する大容量記憶装置として期待されている。
【0004】
一方、EEPROMやフラッシュメモリでは、情報の書き込みがトンネル絶縁膜を介してのフローティングゲート電極へのホットエレクトロンの注入によってなされるため、必然的に書き込みに時間がかかり、また情報の書き込みおよび消去を繰り返すとトンネル絶縁膜が劣化してしまう問題が生じていた。トンネル絶縁膜が劣化してしまうと書き込みあるいは消去動作が不安定になってしまう。
【0005】
これに対し、情報を強誘電体膜の自発分極の形で記憶する強誘電体記憶装置(以下FeRAMと記す)が提案されている。かかるFeRAMでは個々のメモリセルトランジスタがDRAMの場合と同様に単一のMOSFETよりなり、メモリセルキャパシタ中の誘電体膜をPZT(Pb(Zr,Ti)O3)あるいはPLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O3)、さらにはSBT(SrBi2Ta23)等の強誘電体に置き換えた構成を有しており、高い集積密度での集積が可能である。また、FeRAMは電界の印加により強誘電体キャパシタの自発分極を制御するため、書き込みをホットエレクトロンの注入によって行なうEEPROMやフラッシュメモリに比べて書き込み速度が1000倍あるいはそれ以上速くなり、また消費電力が約1/10に低減される有利な特徴を有している。さらにトンネル酸化膜を使う必要がないため寿命も長く、フラッシュメモリの10万倍の書き換え回数を確保できると考えられる。
【0006】
【従来の技術】
従来、このようなFeRAMに使われる強誘電体膜はスパッタ法により形成されているが、半導体装置の微細化が進むにつれて、スパッタ法では微細な段差のカバレッジが困難になると予測される。このような事情で、次世代のFeRAMに使われる強誘電体膜の成膜技術として、CVD法は不可欠の技術であると考えられる。特に強誘電体膜を形成する場合、PbやZr,Tiなどの金属元素を含む原料を供給する必要があり、このことからCVD法はこれらの金属元素の有機金属原料を使ったMOCVD法とならざるを得ない。
【0007】
図1は、従来より強誘電体膜の成膜処理に使われているMOCVD装置10の概略的構成を、PZT膜の形成の場合について示す。
【0008】
図1を参照するに、MOCVD装置10は排気ライン11Aにより排気され被処理基板Wを保持するサセプタ11Bを備えた成膜室11を有し、前記成膜室11にはPb,Zr,Tiなどの金属元素の有機原料をTHFなどの溶媒中に溶解した液体原料が、原料格納容器12A,12B,12Cから、それぞれ質量流量コントローラ(MFC)12a,12b,12cを介して気化器13に給送され、気化器13で気化された気相原料がバルブ13aおよびこれに接続された原料ライン13Aを通って、ガス混合器14に供給される。前記ガス混合器14にはライン13Bから酸素ガスが供給され、前記Pb,Zr,Tiの有機金属気相原料は前記混合器14において酸素ガスと混合された後、前記成膜室11に供給される。
【0009】
図1のMOCVD装置10では、さらに前記気化器13にはバルブ13bを介して排気ライン11Aに接続されたバイパスライン13Cが設けられており、前記バルブ13cを開くことにより、前記気化器13中の有機金属気相原料が排気ライン11Aに排気される。前記バルブ13bは、前記有機金属気相原料が成膜室11に供給されている間は閉鎖される。このように排気ライン13Cを設けることにより、前記成膜室11中における被処理基板11上への堆積がなされている間においても、また被処理基板11の交換などで堆積がなされない間であっても、気化器13での有機金属原料の気化を安定して行うことが可能になる。
【0010】
図1のMOCVD装置10では前記原料格納容器12A〜12C中に固相の有機金属原料をTHFなどの有機溶媒中に溶解した液体原料を格納するが、このようにすることにより、有害な液体有機金属原料を直接に取り扱う必要がなくなり、安全性が向上する。このように固相の有機金属原料を有機溶媒中に溶解した液体原料を使う場合、には、有機金属原料の蒸気圧は非常に低いため、液体原料はArなどの不活性ガスにより前記気化器13へと圧送され、気化される。
【0011】
これに対し、直接に液体有機金属原料を使う場合には、図2に示すように原料格納容器12A〜12C中においてArなどの不活性ガスによりバブリングを行い、形成された有機金属気相原料(蒸気)を直接にガス混合器14に供給する。
【0012】
一方、直接に固体有機金属原料を使う場合には、図3に示すように粉末状の原料を原料格納容器12A〜12Cに格納し、さらに原料容器12A〜12Cを恒温槽12D〜12F中にそれぞれ保持する。さらに不活性ガスを原料容器12A〜12C中にそれぞれの質量流量コントローラを介して供給し、形成された蒸気を前記ガス混合器14に供給する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、PZTなどのペロブスカイト型構造を有する強誘電体膜では、TiあるいはZr原子がc軸方向に変位することにより強誘電性を特徴づける自発分極が生じており、従って強誘電性が最も顕著に現れるのは、膜中においてペロブスカイト結晶のc軸方向が電界の印加方向、すなわち強誘電体膜の主面に垂直な方向に配向している場合、換言すると強誘電体膜が(001)配向を有する場合である。一方、前記c軸が強誘電体膜に並行に配向している、すなわち強誘電体膜が(100)配向を有する場合には、膜に垂直な方向には強誘電性が現れない。
【0014】
一方、これら強誘電体膜を構成するペロブスカイト型構造の結晶は一般に正方晶系を有するが、c軸とa軸の差はわずかなものであり、形成された強誘電体膜中には、(001)配向を有する結晶と(100)配向を有する結晶とが等しい割合で出現しやすい。しかしこの場合、(100)配向を有する結晶は、膜の強誘電性に全く寄与しないことになる。
【0015】
このような事情から、従来より特にスパッタ法で形成されたPZT膜などのペロブスカイト型強誘電体膜では、アモルファス状態の膜を膜中に(111)配向が生じるように結晶化する技術が使われている。(111)配向を有する強誘電体膜では、反転電荷量などの強誘電性は、膜が(001)配向を有する場合に比べてやや小さくなるものの、全ての結晶が強誘電性に寄与するため、全体として優れた強誘電体膜が得られる。
【0016】
一方、ペロブスカイト型強誘電体膜を図1のMOCVD装置10などのMOCVD法により形成した場合には、膜中に(100)配向を有する結晶が(001)配向を有する結晶と同程度出現し、現在に至るも(111)配向を有する強誘電体膜を形成できた報告はない。
【0017】
そこで本発明は上記の課題を解決した、新規で有用な強誘電体膜の形成方法および半導体装置の製造方法を提供することを概括的課題とする。
【0018】
本発明のより具体的な課題は、MOCVD法により(111)配向を有するペロブスカイト型強誘電体膜を形成する成膜方法、およびかかる強誘電体膜を有する半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を、Pb系ペロブスカイト型構造を有する強誘電体膜を含み、前記強誘電体膜中において強誘電体結晶主として(111)配向している半導体装置の製造方法であって、前記強誘電体膜を形成する工程に先立って、基板表面を酸素濃度100%の雰囲気中において熱処理する工程と、前記強誘電体膜を前記基板上に、有機金属原料ガスと酸化ガスとの反応により形成する工程を含み、前記強誘電体膜を形成する工程は、前記基板上に第1の強誘電体膜部分を、第1の酸化ガス濃度で形成する第1の工程と、前記第1の強誘電体膜部分上に第2の強誘電体膜部分を、前記第1の酸化ガス濃度より高い、第2の酸化ガス濃度で形成する第2の工程とよりなることを特徴とする半導体装置の製造方法により、解決する。
【0020】
本発明によれば、MOCVD法による強誘電体膜形成の初期に酸化ガス濃度を低く設定することにより、望ましい(111)配向を有する強誘電体膜を薄く形成することができる。このような低い酸化ガス濃度で形成された強誘電体膜は核として作用し、その上に高い酸化ガス濃度で酸素欠損の少ない高品質の強誘電体膜を形成した場合に、形成される高品質強誘電体膜の配向が所望の(111)配向に制御される。
【0021】
その結果、前記強誘電体膜中において前記強誘電体結晶の80%以上を(111)配向させることが可能になる。このように、前記強誘電体膜を形成する工程は、前記基板上に第1の強誘電体膜部分を、第1の酸化ガス濃度で形成する第1の工程と、前記第1の強誘電体膜部分上に第2の強誘電体膜部分を、第2の、より高い酸化ガス濃度で形成する第2の工程とより構成されるのが好ましい。またその際に前記第2の工程では、前記第2の強誘電体膜部分が、前記第1の強誘電体膜部分の面配向に略一致して成長するように実行されるのが好ましい。例えば前記第1の工程では、前記酸化ガスの濃度は、前記基板表面近傍に供給される前記有機金属原料ガスを含む全有機原料ガスと前記酸化ガスとの合計に対して定義したモル濃度で78%以下に設定し、前記第2の工程では、前記酸化ガスの濃度は前記モル濃度で78%を超えるように設定することが可能である。また前記第1の工程では、前記酸化ガスの濃度を、前記基板表面近傍に供給される前記有機金属原料ガスを含む全有機原料ガスと前記酸化ガスと前記有機金属原料ガスを搬送する不活性ガスを含む全ガスの合計に対して定義したモル濃度で36%以下に設定し、前記第2の工程では、前記酸化ガスの濃度は前記モル濃度で36%を超えるように設定することが可能である。特に前記第1の工程では、前記第1の強誘電体膜部分を30nm以下の膜厚に形成するのが好ましい。
【0022】
また前記強誘電体膜を形成する工程に先立って、前記基板表面を酸素濃度100%の雰囲気中において熱処理を行う工程を行うことが可能である。このような基板表面の熱処理は、基板表面がIr膜により覆われている場合に有効である。このような酸化雰囲気中での熱処理により、Ir膜表面におけるIrOx結晶の異常成長が抑制され、平坦な基板表面が確保される。
【0023】
本発明では、前記有機金属原料としてPbおよびTiの有機金属原料を使うことにより、(111)配向したPbTiO3膜をMOCVD法により形成することが可能となる。また前記有機金属原料としてPb,TiおよびZrの有機金属原料を使うことにより、(111)配向したPb(Zr,Ti)O3膜をMOCVD法により形成することが可能である。さらに本発明において前記有機金属原料としてSr,BiおよびTaの有機金属原料を使うことにより、(111)配向したSrBiTa29膜をMOCVD法により形成することが可能になる。さらに前記有機金属原料としてBiおよびTiの有機金属原料を使うことにより、(111)配向したBi4Ti312膜をMOCVD法により形成することが可能になる。
【0024】
特に前記第1の強誘電体膜部分を形成する工程と前記第2の強誘電体膜部分を形成する工程とを、前記酸化ガスおよび有機金属原料ガスを含む全てのガスの流量が一定に維持されるように実行することにより、基板表面におけるガス流速が略一定に維持され、基板表面に安定な境界層が形成される。その結果、有機金属化合物分子はかかる安定な境界層を拡散して基板表面に到達し、所望の強誘電体膜の堆積が安定に生じる。
[作用]
以下に、本発明の発明者が本発明の基礎となる研究において行った実験を説明する。
【0025】
実験では、前記有機金属原料としてTHF(テトラヒドロフラン)中に0.3mol/Lの濃度で溶解したPb(DPM)2(鉛ビス(ジピバロイルメタナート)),Zr(DMHD)4(ジルコニウムテトラキス(ジメチルヘプタジオナート),Ti(PrO)2(DPM)2(チタン(ジイソプロキシ)(ジピバロイルメタナート))を使い、これらを260℃に保持した気化器13において気化させ、流量を300SCCMに設定した窒素キャリアガスと共に前記ガス混合室14に供給した。前記ガス混合室14では、このようにして供給された有機金属気相原料は酸素ガスと混合され、図示を省略したシャワーヘッドから前記成膜室11中に導入された。
【0026】
前記成膜室11中においては被処理基板Wの基板温度が580℃に設定され、前記基板表面にPZT膜の堆積が生じる。前記被処理基板としては、Si基板表面に酸化膜を介してIr膜を形成した基板を使った。本発明者はこのような実験において、前記PZT膜堆積の際に、前記成膜室11中での酸素濃度を様々に変化させた。
【0027】
図4は、得られたPZT膜のX線回折図形を示す。
【0028】
図4を参照するに、酸素濃度が80%の場合、基板表面のIr膜に起因するIrのピークの他に、PZTの(001)および(100)面の比較的高い回折ピークが22°近傍および31°近傍に観測されるのがわかる。一方(111)面に対応する回折ピークは38°近傍に観測されはするが高さが低く、得られているPZT膜では主に(100)配向と(001)配向とが混在した状態になっていることがわかる。ただし上記の酸素濃度の値は、成膜室11中に供給される全てのガス、すなわち前記有機金属原料ガスおよびTHFなどの有機溶媒からの有機ガスを含む全有機ガス、前記酸素ガス、および前記有機金属原料ガスを搬送するキャリアガスを含む全ガスに対して定義された酸素ガスの濃度をモル比で示したものである。本発明では以下においても、酸素濃度を同様に定義する。
【0029】
この結果に鑑み、本発明の発明者は成膜室11中における酸素濃度を徐々に減少させ、得られるPZT膜の配向を調査したが、酸素濃度が60%および40%の場合には、酸素濃度が80%の場合と同様な結果が得られ、形成されるPZT膜は主に(100)配向および(001)配向を同量含んでおり、所望の(111)配向はわずかであることが判明した。このようなPZT膜は、強誘電性が劣り、FeRAMなどに使うことはできない。
【0030】
これに対し、本発明の発明者が成膜室11中における酸素濃度を20%まで減少させたところ、図4よりわかるように(111)面に対応する回折ピークの高さが急増し、しかも(100)面あるいは(001)面による回折ピークの高さが殆どゼロになることが見出された。
【0031】
すなわち、MOCVD法において、成膜雰囲気中の酸素濃度を減少させて堆積したPZT膜では所望の(111)配向が実現しており、しかも回折ピークの高さが非常に高いことから、結晶性も優れていることが推定される。
【0032】
図5は、このようにして得られたPZT膜の分極量の値を示す。
【0033】
図5を参照するに、分極量は成膜時の酸素濃度が80%の場合には40μC/cm2程度に過ぎないが、酸素濃度の減少と共に増大し、特に酸素濃度が20%の場合には60μC/cm2を超える値に達していることがわかる。
【0034】
図4,5の結果が得られた原因については、現時点では十分に解明されていないが、PZT膜形成の初期に酸素濃度を低下させることにより、配向性の乱れを引き起こす鉛酸化物の生成が抑制されたこと、またこのような低い酸素濃度雰囲気中における溶媒の燃焼および基板表面での有機金属化合物の分解の促進などが考えられる。
【0035】
一方、図6はこのようにして得られたPZT膜についてリーク電流密度を調べた結果を示す。
【0036】
図6を参照するに、PZT膜のリーク電流は、酸素濃度80%で形成した場合には2×10-4A/cm2程度であったものが、酸素濃度の減少と共に増大し、20%では5×10-2A/cm2程度にもなってしまうことがわかる。これは低酸素濃度での処理の結果、PZT膜中に多量の酸素欠損が発生し、あるいは膜中のPZT結晶粒界に導電相が形成され、これらの酸素欠損あるいは導電相がリーク電流経路となっているものと考えられる。
【0037】
そこで本発明では、MOCVD法によりPZT膜などのペロブスカイト構造の強誘電体膜を形成する際に、最初は低酸素濃度で堆積を行い、(111)配向を有する強誘電体膜を薄く形成した後、より高酸素濃度で堆積を行い、リーク電流の少ない強誘電体膜を形成する。その際、先に形成された(111)配向を有する強誘電体膜は核として作用し、高酸素濃度で形成された強誘電体膜も、(111)配向に形成される。このようにして高酸素濃度で形成された高誘電体膜は酸素欠損が補償されており、また導電性の粒界相も形成されることがなく、このため(111)配向に特徴的な大きな分極量と同時に、非常に小さなリーク電流を実現することができる。
【0038】
ところで、このように低酸素濃度で強誘電体膜を初期成長させた場合、下地となるIr膜に異常成長が生じることがある。
【0039】
図7(A)は、Ir膜表面を580℃の温度において25%の酸素濃度で熱処理した場合の膜表面状態を示すAFM像である。
【0040】
図7(A)を参照するに、Ir膜表面の所々に非常に大きな結晶粒が形成されているのがわかる。
【0041】
従って図7(A)の結果から、Ir膜上に低酸素濃度で強誘電体膜を初期成長させた場合には、下地となる電極膜の表面が荒れ、その上に形成される強誘電体膜に短絡などの欠陥が生じるおそれがある。
【0042】
一方、Ir膜表面を同じ580℃の温度において100%の酸素濃度で熱処理した場合には、図7(B)に示すように、異常成長は見られない。これは膜表面に薄い酸化物層が形成されており、これによりIr原子の移動がピニングされることによるものであると考えられる。
【0043】
そこで本発明においては、前記低酸素濃度での強誘電体膜の初期成長に先立って、被処理基板表面を酸素雰囲気中で熱処理し、これにより低酸素濃度での強誘電体膜の初期成長に伴う電極表面の面荒れを抑制する。
【0044】
図8は、このように酸素雰囲気中で熱処理したIr膜表面に酸素濃度20%で厚さが5nmのPZT膜を初期成長し、さらにこれに引き続いて酸素濃度80%でPZT膜を、初期成長層を含む合計のPZT膜の膜厚が110nmとなるように形成した場合のX線回折パターンを、最初から酸素濃度80%で形成したPZT膜のX線回折パターンと比較して示す。
【0045】
図8を参照するに、このように(111)配向を有する初期層を5nmの膜厚で形成するだけで、PZT膜全体の配向性が大きく変化し、(111)面に起因する回折ピークの高さが増大し、一方(100)面あるいは(001)面に起因する回折ピークは殆ど消滅していることがわかる。すなわち、このようにして得られたPZT膜は、所望の(111)配向を有していることがわかる。
【0046】
図9は、図8に示した二つのPZT膜について、{100}方向、{110}方向および{111}方向への配向率を求めた結果を示す。
【0047】
図9を参照するに、初めから80%の酸素濃度で堆積したPZT膜では分極に寄与しない(100)配向の配向率が最も高く、所望の(111)配向の割合は40%に満たない。これに対し、最初に20%の酸素濃度で初期層を形成し、その後で80%の酸素濃度で本体層を形成したPZT膜では、(111)配向の割合が約95%に達しているのがわかる。
【0048】
図10は、図8の二つのPZT膜について、分極量を求めた結果を示す。ただし図10において縦軸は分極量を、横軸は印加電圧をしめす。
【0049】
図10を参照するに、本発明による、PZT膜を初期層と本体層とに分け、初期層を酸素濃度20%で形成し本体層を酸素濃度80%で形成した場合には、PZT膜全体を酸素濃度80%で形成した場合よりも分極量が顕著に増大しているのがわかる。例えば印加電圧が2Vの場合、酸素濃度80%で形成されたPZT膜は約45μC/cm2の分極量を有するのに対し、初期層を20%の酸素濃度で、また本体層を80%の酸素濃度で形成されたPZT膜では、印加電圧2Vの場合の分極量は、60μC/cm2を超えることがわかる。
【0050】
図11は、図8の二つのPZT膜について、リーク電流を求めた結果を示す。
【0051】
図11を参照するに、本発明によるPZT膜を初期層と本体層とに分け、初期層を酸素濃度20%で形成し本体層を酸素濃度80%で形成したPZT膜では、リーク電流がPZT膜全体を酸素濃度80%で形成した場合の約1/1000に減少していることがわかる。
【0052】
さらに図12は、本発明によるPZT膜において、初期層の膜厚を変化させた場合のリーク電流密度を求めた結果を示す
図12を参照するに、リーク電流密度は初期層の膜厚が5〜15nmの範囲であれば1×10-6A/cm2の程度であり、20nmを超えると膜厚と共に増大する傾向が見られるが、初期層膜厚が30nm以下であれば、リーク電流密度を1×10-4A/cm2の程度に抑制することができるのがわかる。
【0053】
一方、前記初期層の膜厚が非常に薄く、例えば膜厚が1nmよりも薄いような場合には、PZT初期層は前記Ir膜を一様に被覆せず、図13(A)に示すように島状構造を形成する可能性がある。しかし、このような不連続なPZT初期層であっても、図13(B)の工程でその上にPZT本体層を形成した場合、形成されるPZT本体層の結晶配向を規定する核として効果的に機能することができる。すなわち、後から堆積されるPZT本体層の結晶配向は前記初期層により規定され、この結晶配向がPZT本体層においても維持される。前記PZT初期層は非常に薄くても、所望の効果を発揮することができる。
【0054】
また本発明では、例えば前記初期PZT層を形成する際に、前記酸化ガスの濃度を、前記基板表面近傍に供給される前記有機金属原料ガスおよびTHFなどの有機溶媒を含む全有機原料ガスと前記酸化ガスとの合計に対して定義したモル濃度で14%〜78%に設定することで(111)配向の向上が可能である。また前記基板表面近傍に供給される前記有機金属原料ガスおよび有機溶媒を含む全有機原料ガスと前記酸化ガスと前記有機金属原料ガスを搬送する不活性ガスを含む全ガスの合計に対して定義したモル濃度で1.6%〜36%以下に設定設定することで、初期PZT層の(111)配向の向上が可能である。
【0055】
【発明の実施の形態】
[第1実施例]
図14は、本発明の第1実施例によるPZT膜の形成方法を示すフローチャートである。
【0056】
図14を参照するに、本実施例では図15(A)に示すSiO2膜21を介してIr膜22を表面に形成されたSi基板20を被処理基板Wとして使い、ステップS1において図1の基板処理装置10において前記Si基板20を酸素雰囲気中、670Paの処理圧で540℃、240秒間加熱する。
【0057】
次にステップS2において、前記熱処理されたIr膜22表面に図15(B)に示すように、MOCVD法により酸素濃度20%の条件でPZT膜の初期層23を、30nm以下の膜厚で形成する。
【0058】
次にステップS3において、前記熱処理されたPZT膜23の表面に、図15(C)に示すようにPZT膜の本体層24を、MOCVD法により、酸素濃度80%の条件で形成する。
【0059】
本実施例では、前記図14のステップS2およびS3において、PZT膜のMOCVD成膜を、有機金属材料にPb(DPM)2,Zr(DMHD)4およびTi(iPrO)2(DPM)2をそれぞれPb,ZrおよびTiの有機金属原料として使って実行する。その際、これらの有機金属材料はTHF溶媒に0.3モル/L濃度で溶解され、このようにして形成された液体原料が、図1の原料格納容器12A,12Bおよび12Cに充填される。前記液体原料は液体マスフローコントローラ12a〜12cにより流量を制御して気化器に導入され、260℃で気化される。このようにして気化した有機金属原料は、窒素などの不活性キャリアガスと共に、ガスライン13Aを介して図1のガス混合室14に送られ、酸素ガスライン13Bからの酸素ガスと混合され、図示しないシャワーヘッドを通して成膜室11に導入される。前記不活性キャリアガスの流量は、例えば300SCCMに設定される。
【0060】
再び図14を参照するに、図14のステップS2においては、前記各有機金属原料を、例えばPb原料のZrおよびTiの原料に対する比率(Pb/(Zr+Ti))を0.78に設定し、またZr原料の、ZrおよびTi原料に対する比率(Zr/(Zr+Ti))を0.46に設定して気化器13に供給する。またその際に、THF溶媒を、Pb,ZrおよびTiの原料流量に対する比率(THF/(Pb+Zr+Ti))が1.33になるように、前記気化器13に導入する。
【0061】
より具体的には、前記ステップS2において先のステップS1の基板加熱処理工程後、気化器13から排気ライン13Cに至るバルブ13bを閉じ、同時に気化器13からガス混合室14に至るガスライン13Aのバルブ13aを開き、混合室14に気化した有機金属原料をキャリアガスと共に導入する。また酸素ガスを前記ガスライン13Bから、全ガスに対する酸素ガスの濃度が20%となるように、流量を例えば625SCCMに設定して供給する。その際、前記成膜室11中におけるガス流速が、ステップS2およびS3で一定に維持されるように、前記ガスライン13Bに接続されたガス供給系において、窒素ガスを1875SCCMの流量で前記酸素ガスと混合し、形成された酸素ガスと窒素ガスの混合ガスを前記ガス混合室14に導入する。前記ガス混合室14において混合されたガスは、シャワーヘッドを通して、670Paの処理圧に維持された成膜室11に送られ、前記基板11上に図15(B)に示す初期PZT層23が、例えば5nmの膜厚で成膜される。
【0062】
一方図14のステップS3においては、成膜室11中の酸素濃度が80%となるように前記ライン13Bに接続されたガス供給系おける酸素ガスへの窒素ガスの添加を停止し、酸素流量を2500SCCMに設定する。また前記各種金属原料も、前記Pb/(Zr+Ti)比が0.70となるように、またZr/(Zr+Ti)比が0.55となるように、さらにTHF/(Pb+Zr+Ti)比が0.58となるように設定され、気化器13に送られる。気化器13で気化された原料ガスは、前記窒素キャリアガスと共にガス混合室14に導入され、前記ライン13Bからの酸素ガスと混合され、シャワーヘッドを通して670Paの処理圧に維持された成膜室11中に導入される。この条件で、図15(C)に示すPZT本体層24が、110nmの膜厚に成膜される。なお、前記ステップS1〜S3を通じて、前記基板Wは、580℃の基板温度に保持される。
【0063】
以上の形成方法により形成したPZT膜は、先の図9に示すように94%に達する顕著な(111)配向を有している。また、先に図10で説明したように、印加電圧1.8Vで60μC/cm2以上の分極量を有し、印加電圧±3Vで10-6A/cm2台の非常に小さい低いリーク電流を示す。
【0064】
本実施例では、このようにステップS2およびS3で成膜室11中における酸素濃度が変化されるが、その際に先にも説明したようにガスライン13Bに接続されたガス供給系において酸素ガスに窒素ガスを添加し、酸素ガスの濃度変化を補償するように窒素ガスの濃度を変化させることで、成膜室11中、特に基板表面におけるガス流速が酸素ガス濃度の変化に応じて変動することを抑制している。このようなCVD装置では、被処理基板表面に形成された境界層を通って有機金属原料分子が拡散し、基板表面に到達するため、基板表面におけるガス流速の制御は重要である。
【0065】
また図14のステップS1においては、前記気化器13で形成された有機金属気相原料は、バイパスライン13Cを通って排気されており、このため有機金属気相原料が成膜室11に供給されないステップS1においても、前記気化器13の状態は安定に維持され、ステップS1において前記成膜室11での成膜が開始された場合に、直ちに必要な有機金属気相原料を成膜室11に供給する準備ができている。
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例によるFeRAMの製造工程を説明する。
【0066】
図16は、本発明の第2実施例によるFeRAM30の構成を示す。
【0067】
図16を参照するに、FeRAM30は素子分離構造30Aにより画成された素子領域を有するSi基板31上に形成されており、前記Si基板31上には前記活性領域に対応して、ゲート絶縁膜32を介して形成されたゲート電極33と、前記ゲート電極33の両側において前記Si基板31中に形成されたソースおよびドレイン拡散領域31A,31Bとが形成されている。
【0068】
さらに前記Si基板31上には、層間絶縁膜34が形成されており、前記層間絶縁膜34には、一方の拡散領域31Aに電気的に接続された導電性プラグ34Aが埋め込まれている。さらに層間絶縁膜34上には前記プラグ34Aを介して前記拡散領域31Aに電気的に接続されたビット線BLが形成されている。
【0069】
前記ビット線BLが形成された層間絶縁膜34上には、更に層間絶縁膜35が形成されており、前記層間絶縁膜35には層間絶縁膜34を貫通して他方の拡散領域31Bに電気的に接続された導電性プラグ35Bが埋め込まれている。
【0070】
前記導電性プラグ35Bが埋め込まれた層間絶縁膜35上にはバリアメタル層と下部電極層を順次積層した構造を有する下部キャパシタ電極36が形成されている。前記下部キャパシタ電極36において下部電極層はIr層あるいはPt層より構成される。前記下部電極層としてPt層を用いる場合には、バリアメタル層としてIr層が形成され、前記Ir層上に密着層として例えばIrOx層が形成される。Pt下部電極層は、このようにして形成されたIrOx層上に形成される。一方、前記下部電極層をIr層とする場合には、前記下部キャパシタ電極36は単一のIr層より構成される。図16は、前記下部キャパシタ電極36として、Ir層を用いた場合を示している。
【0071】
前記下部キャパシタ電極36上には、PZTよりなるキャパシタ誘電体膜37が形成されており、前記キャパシタ誘電体膜37上には、PtやIr、あるいはIrOxよりなる上部キャパシタ電極38が形成されている。前記下部キャパシタ電極36、強誘電体キャパシタ誘電体膜37および上部キャパシタ電極38は、FeRAMの強誘電体キャパシタを構成する。
【0072】
次に、図16のFeRAMの製造工程を、図17(A)〜20(H)を参照しながら説明する。
【0073】
図17(A)を参照するに、前記Si基板31中に、例えばシャロートレンチ法により、素子分離構造30Aを形成し、素子領域を画成する。
【0074】
次いで、前記素子分離構造30Aにより画成された素子領域上に、通常のMOSトランジスタの形成方法と同様にして、前記ゲート絶縁膜32を介して形成されたゲート電極33と、前記ゲート電極33の両側において前記Si基板31中に形成された拡散領域31A,31Bを形成し、FeRAMのメモリセルトランジスタを形成する。
【0075】
次に図17(B)の工程において、前記メモリセルトランジスタが形成されたSi基板31上に、例えばCVD法によりシリコン酸化膜を堆積し、前記層間絶縁膜34を形成する。さらにこのようにして形成された層間絶縁膜34の表面をCMP(化学的機械的研磨)法などにより研磨し、前記層間絶縁膜34の表面を平坦化する。
【0076】
さらに図17(B)の工程では、リソグラフィー技術及びエッチング技術により前記層間絶縁膜34に前記拡散領域31Aに達するコンタクトホール34aを形成し、図17(C)の工程において前記層間絶縁膜34上にスパッタ法などにより、タングステン(W)膜を前記コンタクトホール34aを充填するように堆積した後、前記層間絶縁膜34の表面が露出するまでCMP法により研磨する。その結果、前記コンタクトホール34a内に埋め込まれた導電性プラグ34Aが、前記拡散領域31Aに電気的に接続された状態で形成される。
【0077】
図17(C)の工程では、さらにスパッタ法などにより前記層間絶縁膜34上にW膜を堆積し、これをリソグラフィー技術及びエッチング技術によりパターニングすることにより、W膜よりなり、前記導電性プラグ34Aを介して前記拡散領域31Aに接続されたビット線BLが形成される。
【0078】
次に前記、ビットBL線が形成された層間絶縁膜34上に、例えばCVD法によりシリコン酸化膜を堆積し、別の層間絶縁膜35を形成する。さらにリソグラフィー技術及びエッチング技術により、前記層間絶縁膜35に、その下の層間絶縁膜34を貫通して前記拡散領域31Bに達するコンタクトホール35bを形成する。
【0079】
さらに図18(E)の工程において、例えばスパッタ法などにより前記層間絶縁膜35上にW膜を堆積した後、前記層間絶縁膜35の表面が露出するまでCMP法により研磨し、コンタクトホール35bを充填し拡散領域31Bに電気的に接続された導電性プラグ35Bが形成される。
【0080】
図18(E)の工程では、さらにスパッタ法により、前記層間絶縁膜35上に下部キャパシタ電極36を構成するバリアメタルおよび下部電極層となるIr層360を堆積する。
【0081】
次に、図19(F)の工程において前記Ir層360上に、図1のMOCVD装置を使い、Pb(DPM)2,Zr(DMHD)4,Ti(iPrO)2(DPM)2などの有機金属原料を用いたMOCVD法により、PZT膜370を形成する。その際、本実施例では前記PZT膜370の初期層を酸素濃度を20%以下に設定し、30nm以下の膜厚に形成し、その後で本体層を、酸素濃度を80%以上に設定して所望の膜厚に形成する。これにより、前記PZT膜370は所望の(111)配向で形成される。
【0082】
さらに図19(G)の工程において、前記PZT膜370上に、スパッタ法により、PtあるいはIr,あるいはIrOz膜を堆積し、上部電極層380を形成する。
【0083】
最後に、リソグラフィーおよびエッチング技術により前記膜360〜380をパターニンし、下部キャパシタ電極36、強誘電体キャパシタ絶縁膜37および上部キャパシタ電極37を形成し、先に図16で説明した構造が得られる。
【0084】
このように、本実施例によれば、MOCVD法により、(111)配向を有するPZTなどのペロブスカイト型強誘電体膜をキャパシタ絶縁膜として使ったFeRAMを製造することが可能になる。
【0085】
なお、本発明で形成されるペロブスカイト型の強誘電体膜はPZT膜に限定されるものではなく、本発明はPbTiO3膜やPbZrO3膜、SBT膜、Bi4TisO12膜などを、MOCVD法により、所望の(111)配向で形成することが可能である。
【0086】
なお以上の説明では、前記初期層を形成する場合に酸素濃度を80%以下に設定し、本体層を形成する場合に80%を超えるように設定することで、所望の(111)配向のPZT膜が得られることを説明したが、このような効果は、初期層形成時の酸素濃度を78%以下とし、本体層形成時の酸素濃度を78%以上とすることによっても得ることができる。
【0087】
以上、本発明を好ましい実施例について説明したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
【0088】
(付記1) ペロブスカイト型構造を有する強誘電体膜を含み、前記強誘電体膜中において強誘電体結晶主として(111)配向している半導体装置の製造方法であって、
前記強誘電体膜を基板上に、有機金属原料ガスと酸化ガスとの反応により形成する工程を含み、
前記強誘電体膜を形成する工程は、前記酸化ガスの濃度を、時間と共に変化させることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0089】
(付記2) 前記強誘電体膜中において前記強誘電体結晶の80%以上が(111)配向していることを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
【0090】
(付記3) 前記強誘電体膜を形成する工程は、前記基板上に第1の強誘電体膜部分を、第1の酸化ガス濃度で形成する第1の工程と、前記第1の強誘電体膜部分上に第2の強誘電体膜部分を、第2の、より高い酸化ガス濃度で形成する第2の工程とよりなることを特徴とする付記1または2記載の半導体装置の製造方法。
【0091】
(付記4) 前記第2の工程は、前記第2の強誘電体膜部分が、前記第1の強誘電体膜部分の面配向に略一致して成長するように実行されることを特徴とする付記3記載の半導体装置の製造方法。
【0092】
(付記5) 前記第1の工程では、前記酸化ガスの濃度は、前記基板表面近傍に供給される前記有機金属原料ガスを含む全有機原料ガスと前記酸化ガスとの合計に対して定義したモル濃度で78%以下に設定され、前記第2の工程では、前記酸化ガスの濃度は、前記モル濃度で78%を超えるように設定されることを特徴とする付記3記載の半導体装置の製造方法。
【0093】
(付記6) 前記第1の工程では、前記酸化ガスの濃度は、前記基板表面近傍に供給される前記有機金属原料ガスを含む全有機原料ガスと、前記酸化ガスと、前記有機金属原料ガスを搬送する不活性ガスとを含む全ガスに対して定義したモル濃度で36%以下に設定され、前記第2の工程では、前記酸化ガスの濃度は、前記モル濃度で36%を超えるように設定されることを特徴とする付記3記載の半導体装置の製造方法。
【0094】
(付記7) 前記第1の工程では、前記第1の強誘電体膜部分を30nm以下の膜厚に形成することを特徴とする付記3〜6のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【0095】
(付記8) 前記強誘電体膜を形成する工程に先立って、前記基板表面を酸素濃度100%の雰囲気中において熱処理を行う工程をさらに含むことを特徴とする付記3〜7のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【0096】
(付記9) 前記基板表面は、Ir膜により覆われていることを特徴とする付記8記載の半導体装置の製造方法。
【0097】
(付記10) 前記有機金属原料は、少なくともPbおよびTiの有機金属原料を含むことを特徴とする付記1〜9のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【0098】
(付記11) 前記有機金属原料は、Pb,TiおよびZrの有機金属原料を含むことを特徴とする付記1〜9のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【0099】
(付記12) 前記有機金属原料は、Sr,BiおよびTaの有機金属原料を含むことを特徴とする付記1〜9のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【0100】
(付記13) 前記有機金属原料は、BiおよびTiの有機金属原料を含むことを特徴とする付記1〜9のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【0101】
(付記14) 有機金属気相堆積法による強誘電体膜の形成方法であって、
基板上にペロブスカイト構造を有する強誘電体膜を、有機金属原料ガスと酸化ガスとの反応により形成する工程よりなり、
前記強誘電体膜を形成する工程は、前記酸化ガスの濃度を、時間と共に変化させることを特徴とする強誘電体膜の形成方法。
【0102】
(付記15) 前記強誘電体膜を形成する工程は、前記基板上に第1の強誘電体膜部分を、第1の酸化ガス濃度で形成する第1の工程と、前記第1の強誘電体膜部分上に第2の強誘電体膜部分を、第2の、より高い酸化ガス濃度で形成する第2の工程とよりなることを特徴とする付記13記載の強誘電体膜の形成方法。
【0103】
(付記16) 前記第1の工程では、前記第1の強誘電体膜部分は主として(111)配向を有するように形成されることを特徴とする付記15記載の強誘電体膜の形成方法。
【0104】
(付記17) 前記第2の工程は、前記第2の強誘電体膜部分が、前記第1の強誘電体膜部分の面配向に略一致して成長するように実行されることを特徴とする付記15または16記載の強誘電体膜の形成方法。
【0105】
(付記18) 前記第1の工程では、前記酸化ガスの濃度はモル濃度で78%以下に設定され、前記第2の工程では、前記酸化ガスの濃度はモル濃度で78%を超えるように設定されることを特徴とする請求項15〜17のうち、いずれか一項記載の強誘電体膜の形成方法。
【0106】
(付記19) 前記第1の工程では、前記第1の強誘電体膜部分を30nm以下の膜厚に形成することを特徴とする請求項15〜18のうち、いずれか一項記載の強誘電体膜の形成方法。
【0107】
(付記20) 前記第1の工程と前記第2の工程とは、前記酸化ガスおよび有機金属原料ガスを含む全てのガスの流量が一定に維持されるように実行されることを特徴とする付記15〜19のうち、いずれか一項記載の強誘電体膜の形成方法。
【0108】
【発明の効果】
本発明によれば、MOCVD法による強誘電体膜形成の初期に酸化ガス濃度を低く設定することにより、望ましい(111)配向を有する強誘電体膜を薄く形成することができる。このような低い酸化ガス濃度で形成された強誘電体膜は核として作用し、その上に高い酸化ガス濃度で酸素欠損の少ない高品質の強誘電体膜を形成した場合に、形成される高品質強誘電体膜の配向が所望の(111)配向に制御される。このようにして形成された強誘電体膜は、(111)配向を有し、大きな分極率を示す以外にも、リーク電流が非常に減少する好ましい特徴を示す。そこで、このような強誘電体膜を使うことにより、超微細化された強誘電体キャパシタを有する半導体装置を形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使われるMOCVD装置の構成を示す図である。
【図2】図1のMOCVD装置の一部を示す図である。
【図3】図1のMOCVD装置の一部を示す図である。
【図4】本発明の原理を説明する図である。
【図5】本発明の原理を説明する別の図である。
【図6】本発明の原理を説明する別の図である。
【図7】(A),(B)は、本発明の原理を説明する別の図である。
【図8】本発明の原理を説明する別の図である。
【図9】本発明の原理を説明する別の図である。
【図10】本発明の原理を説明する別の図である。
【図11】本発明の原理を説明する別の図である。
【図12】本発明の原理を説明する別の図である。
【図13】本発明の原理を説明する別の図である。
【図14】本発明の第1実施例による強誘電体膜の形成方法を示すフローチャートである。
【図15】図14のフローチャートに対応する本発明の第1実施例による強誘電体膜の形成方法を示す図である。
【図16】本発明の第2実施例によるFeRAMの構成を示す図である。
【図17】(A)〜(C)は、図16のFeRAMの製造工程を示す(その1)図である。
【図18】(D),(E)は、図16のFeRAMの製造工程を示す図(その2)である。
【図19】(F),(G)は、図16のFeRAMの製造工程を示す図(その3)である。
【図20】(H)は、図16のFeRAMの製造工程を示す図(その4)である。
【符号の説明】
10 MOCVD成膜装置
11 成膜室
11A 排気ライン
11B サセプタ
12A〜12C 原料容器
12D 恒温槽
12a〜12c MFC
13 気化器
13A 原料ガス供給ライン
13B 酸化ガス供給ライン
13C バイパスライン
13a,13b バルブ
14 ガス混合器
20 基板
21 酸化膜
22 Ir膜
23 PZT初期層
24 PZT本体層
30 FeRAM
30A 素子分離構造
31 Si基板
31A,31B 拡散領域
32 ゲート絶縁膜
33 ゲート電極
34,35 層間絶縁膜
36 下部キャパシタ電極
37 強誘電体キャパシタ絶縁膜
38 上部キャパシタ電極
360 下部電極層
370 強誘電体膜
380 上部電極層

Claims (6)

  1. Pb系ペロブスカイト型構造を有する強誘電体膜を含み、前記強誘電体膜中において強誘電体結晶主として(111)配向している半導体装置の製造方法であって、
    前記強誘電体膜を形成する工程に先立って、基板表面を酸素濃度100%の雰囲気中において熱処理する工程と、
    前記強誘電体膜を前記基板上に、有機金属原料ガスと酸化ガスとの反応により形成する工程を含み、
    前記強誘電体膜を形成する工程は、前記基板上に第1の強誘電体膜部分を、第1の酸化ガス濃度で形成する第1の工程と、前記第1の強誘電体膜部分上に第2の強誘電体膜部分を、前記第1の酸化ガス濃度より高い、第2の酸化ガス濃度で形成する第2の工程とよりなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記第1の工程では、前記酸化ガスの濃度は、前記基板表面近傍に供給される前記有機金属原料ガスを含む全有機原料ガスと前記酸化ガスとの合計に対して定義したモル濃度で78%以下に設定され、前記第2の工程では、前記酸化ガスの濃度は、前記モル濃度で78%を超えるように設定されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記第1の工程では、前記酸化ガスの濃度は、前記基板表面近傍に供給される前記有機金属原料ガスを含む全有機原料ガスと、前記酸化ガスと、前記有機金属原料ガスを搬送する不活性ガスとを含む全ガスに対して定義したモル濃度で36%以下に設定され、前記第2の工程では、前記酸化ガスの濃度は、前記モル濃度で36%を超えるように設定されることを特徴とする請求項記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記第1の工程では、前記第1の強誘電体膜部分を30nm以下の膜厚に形成することを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記基板表面は、Ir膜により覆われていることを特徴とする請求項記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記有機金属原料は、少なくともPbおよびTiの有機金属原料を含むことを特徴とする請求項1〜5のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
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