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JP3959879B2 - 電着塗装装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車ボディや自動車部品の塗装ラインに設置されるフルディップまたはハーフディップの電着塗装装置に関し、特に塗料液面に浮遊する電着泡の被塗物への付着を防止できる電着塗装装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車ボディの塗装系には、下塗り塗装、中塗り塗装および上塗り塗装からなる3コート塗装系が広く採用されているが、このうちの下塗り塗装工程では、たとえば脱脂処理、化成処理あるいは電着塗装などの工程において、自動車ボディを処理液または塗料液中に全没させるディッピング塗装法が広く用いられている。
【0003】
この種のディッピング塗装法においては、連続的に搬送される自動車ボディを所定の時間だけ全没させる必要があるため、処理槽や塗料槽には大量の処理液や塗料液が収容されている。
【0004】
なかでも、電着塗料液は、低固形分に希釈されているので、常時あるいは間欠的に撹拌しないと顔料沈降が生じ、また槽内収容量が大量であることから、いったん顔料が沈降すると再分散させるのはきわめて困難である。電着塗料液において顔料の分散が不均一であると、塗膜の光沢が変動し、これが上塗り塗膜にまで影響を及ぼすことになる。
【0005】
また、電気泳動作用により塗膜形成を行う電着塗装においては、塗膜形成時、すなわちディッピング時に被塗面で反応ガスが発生し、この気泡をそのまま放置すると析出中の塗膜内に残留して塗膜欠陥になる。この意味からも、槽内の電着塗料液に適当な流速を与え、これにより反応ガスを被塗面から除去する必要がある。
【0006】
さらに、電着塗装においては、塗膜形成時に反応熱が生じるため、被塗面近傍の塗料温度が上昇し塗膜抵抗が低下するが、これを放置すると局部的に厚膜になる。電着膜厚が不均一であると、塗膜表面品質、たとえば鮮映性や塗り肌も不均一となる他、厚膜すぎるとコスト的にも問題がある。したがって、被塗面に適温の塗料液を送って冷却する意味からも、槽内撹拌が必要となる。
【0007】
一方、塗装工程の前工程である溶接工程では、車体パネルをスポット溶接やアーク溶接などにより接合して組み立てるので、スポット溶接時のスパッタ等の金属粉が自動車ボディに付着したまま塗装工程に搬入される。電着塗装工程の前処理工程では、このような異物を洗浄するために多段の洗浄工程が設けられているが、微細な金属粉や室内に付着した異物を完全に洗い落とすことはできない。
【0008】
こうした金属粉が電着槽内に持ち込まれると、これが自動車ボディの特に水平部などに再付着し、電着塗膜内に入りこんで塗膜欠陥を引き起こすことになる。このため、被塗面に付着しようとする金属粉などの異物を除去し、また濾過器により槽外へ排出する意味からも、槽内撹拌が利用されている。
【0009】
このように、顔料沈降の防止あるいは顔料分散の均一化、気泡や熱の除去および異物の付着防止などの諸観点から、電着槽内の撹拌が行われている。
【0010】
本願出願人は、電着槽内の液流方向をボディの移動方向に対して対向させるとともに、電着槽の入槽側にオーバーフロー槽を配置することを先に提案した。こうすることで、液流とボディとの相対速度が速くなり気泡や反応熱の除去効果が高まるとともに、ボディによって持ち込まれたゴミを入槽部からそのままオーバーフロー槽へ排出することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この種の液流対向型電着塗装においては、その表面流が電着槽の出槽部から入槽部に向かって流下するので、UF水洗工程からの戻り液やボディの出槽によって出槽部側に電着泡が生じ、この液面に浮遊し泡が入槽部側に向かって流れてくる。このため、ボディが入槽する際あるいは出槽する際に、流下してきた泡を巻き込んでしまい、適切な塗膜が形成されないといった問題があった。
【0012】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、塗料液面に浮遊する電着泡の被塗物への付着を防止できる電着塗装装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、第1の観点による本発明の電着塗装装置は、塗料液が満たされる電着槽と、前記電着槽の出槽側に設けられたオーバーフロー槽と、前記電着槽における前記塗料液の流れを前記電着槽の前記オーバーフロー槽側の所定領域の表面流を除く全体として前記電着槽の長手方向に沿うとともに被塗物の移動方向と対向した一の方向とする塗料液循環系とを有する電着塗装装置において、前記電着槽の前記オーバーフロー槽側の所定領域の表面流を、前記オーバーフロー槽に向かう方向とする表面流調整手段をさらに有することを特徴とする。
【0014】
発明では、塗料液循環系によって電着槽内の塗料液の流れは一の方向とされるが、表面流調整手段によって一の方向の上流側(少なくともここにオーバーフロー槽が設けられる。)の所定領域の表面流はオーバーフロー槽に向かう方向とされる。したがって、一の方向の上流側で電着泡が生じても、表面流調整手段によってこの電着泡はその上流側に設けられたオーバーフロー槽へそのまま導かれ、これにより電着泡が電着槽内に拡がることが防止される。
【0015】
発明における電着槽のオーバーフロー槽側の所定領域とは、電着槽の長手方向に対しては、特に限定されないが、請求項2記載の発明のように電着槽の全長の10%〜30%(より好ましくは20%)の長さであることがより好ましい。所定領域の長手方向の長さが10%未満であると、表面流調整手段による電着泡の除去効果が充分に期待できず、逆に所定領域の長手方向の長さが30%を越えると、本来の一方向の塗料液流れによる効果が充分に期待できないからである。
【0016】
ただし、発明における所定領域は、電着槽の長さ以外の物理量によっても特定することができる。すなわち、発明では、前記表面流調整手段は、前記電着槽に満たされた塗料液の10%〜30%の量の塗料液を、前記電着槽または前記オーバーフロー槽から吸引してこれを前記電着槽内へ吐出することを特徴とする。
【0017】
電着槽のオーバーフロー槽側の所定領域として発明のように、電着槽の全長の10%〜30%の長さが確保できなくても、表面調整手段による塗料液の循環量(電着槽への吐出量)が充分に確保できれば、出槽側で生じた電着泡をそのままオーバーフロー槽へ導くことができる。この場合の10%〜30%の量の塗料液とは、電着槽内の塗料液の全循環量に対する割合であって、その残余の塗料液は塗料循環系によって一の方向の塗料流に供される。
【0018】
また、発明における所定領域の表面流とは、特に限定されないが、一の方向の塗料流の効果を著しく損なわない限り、液面から鉛直方向の下側に向かってある幅をもった領域を意味する。こうすることで、液面に浮遊している大きな電着泡をオーバーフロー槽へ導くことに加え、これから液面に浮上しようとする気泡までもオーバーフロー槽へ導くことができる。
【0019】
上記発明における表面調整手段の具体的構成は特に限定されず、たとえば発明のように、前記表面流調整手段を、前記電着槽または前記オーバーフロー槽から塗料液を吸引するポンプと、これを前記電着槽内へ吐出するノズルとを含む循環系により構成することができる。
【0020】
なお、上記発明において、オーバーフロー槽の設置位置は、少なくとも一の方向の上流側に設置されている限り、他の位置に他のオーバーフロー槽を設けることも本発明の範囲内である。
【0021】
また、上記発明において、電着槽内の塗料液の流れ方向(一の方向)と被塗物の移動方向との関係は特に限定されず、同一方向でも逆方向でも本発明に含まれる。特に、発明では、前記一の方向は、被塗物の移動方向と対向した方向であり、前記オーバーフロー槽は前記電着槽の出槽側に設けられていることを特徴とする。
【0022】
発明では、電着槽における塗料液の流れが一の方向とされているので、電着槽内において滞留することのない適正な液流が確保され、これにより顔料沈降の防止あるいは顔料分散の均一化、気泡や熱の除去および異物の付着防止を達成することができる。また、電着槽の液流方向が被塗物の移動方向に対向しているので、液流と被塗物との相対速度を高めることができ、その結果、電着液に含まれた金属粉などの異物の付着をより効果的に防止できるとともに、被塗物表面で生じる気泡や熱を効果的に除去することができる。特に、電着槽の入槽側にオーバーフロー槽を設けておけば、被塗物の入槽時に持ち込まれた異物をそのままこのオーバーフロー槽へ流し出すことができ、これにより「ブツ」などの塗膜欠陥を減少させることができる。
【0023】
(2)上記目的を達成するために、第2の観点による本発明の電着塗装装置は、電着槽の塗料液に浸漬された被塗物と電極との間に電圧を印加して塗膜を形成する電着塗装装置において、少なくとも前記電着槽における前記塗料液の流れを、その流れの上流側の所定領域の表面流を除く全体として被塗物の移動方向と対向した一の方向とする第1の循環系と、前記一の方向の上流側の少なくとも所定領域の表面流を前記一の方向とは反対の方向とする第2の循環系と、前記電着槽の出槽側に設けられたオーバーフロー槽とを備えたことを特徴とする。
【0024】
この場合、特に限定されないが、発明のように、前記第1の循環系および第2の循環系のそれぞれは、前記電着槽または前記オーバーフロー槽の塗料液を吸引するポンプと、これを前記電着槽内へ吐出するノズルとを含み、前記ノズルは、前記電着槽内の側壁および/または底面に複数設けられていることがより好ましい。
【0025】
電着槽における塗料液の流れ方向に対し、その上流側の表面流を反対方向にするにあたり、第2の循環系として電着槽内の側壁および/または底面に設けられた複数のノズルを用いることで、既存のノズルを流用することができる。すなわち、一の方向の上流側に設けられたノズルを反対方向に向け、それ以外のノズルは一の方向に向けることで、大掛かりな改造工事をすることなく既存設備を容易に流用することができる。
【0026】
ただし、電着槽における塗料液の主たる流れ方向を一の方向とするためには、発明のように、前記第1の循環系は、前記一の方向の下流側の前記電着槽に設けられ前記電着槽内の塗料液を吸引するホッパーをさらに含むことがより好ましい。
【0027】
こうすることで、電着槽内の塗料液の大部分(たとえば70%〜90%)を吸引しこれを電着槽内に吐出できるので、一の方向の塗料流れが実現できる。
【0028】
(3)なお、上述した本発明の電着塗装装置における被塗物の浸漬法には、被塗物を全没させるフルディップ法と、被塗物の一部を浸漬するハーフディップ法とが含まれる。また、本発明の電着塗装装置は、自動車ボディ、自動車部品など、各種金属製部品の電着塗装に適用することができる。
【0029】
【発明の効果】
発明によれば、一の方向の上流側で電着泡が生じても、表面流調整手段によってこの電着泡はその上流側に設けられたオーバーフロー槽へそのまま導かれるので、電着泡が電着槽内に拡がることが防止される。この結果、被塗物への泡の巻き込みが防止され、塗膜欠陥の発生率が低下する。
【0030】
これに加えて、発明によれば、電着槽における主たる一の方向の塗料流が実現できるので、被塗物へのゴミの付着を効果的に防止することができ、また、被塗物表面で生じる気泡や熱を効果的に除去することができる。
【0031】
また、発明によれば、液流と被塗物との相対速度を高めることができ、その結果、電着液に含まれた金属粉などの異物の付着をより効果的に防止できるとともに、被塗物表面で生じる気泡や熱をより効果的に除去することができる。さらに、液流速度を顔料沈降のない速度まで低下させることができるので、循環系の能力を必要最小限まで低下させることで省エネを達成することができる。また、電着槽の入槽側にオーバーフロー槽を設けておけば、被塗物の入槽時に持ち込まれた異物をそのままこのオーバーフロー槽へ流し出すことができ、これにより「ブツ」などの塗膜欠陥を減少させることができる。
【0032】
発明によれば、大掛かりな改造工事をすることなく既存設備を容易に流用して、適正な一方向流の実現と泡の拡散防止とを達成することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の電着塗装装置の実施形態を示す断面図、図2は図1の II-II線に沿う断面図、図3は同実施形態の電着槽内の塗料液流を示す断面図である。
【0034】
本実施形態の電着塗装装置は、長い船状の電着槽1を有し、この電着槽1内に電着塗料液Lが満たされている。被塗物である自動車ボディBは、ハンガHに搭載された状態でオーバーヘッドコンベアCにより一定速度で搬入されるが、電着槽1内へボディBを全没させるために、オーバーヘッドコンベアCは、電着槽1の入槽側で約20°〜40°の下向き傾斜とされ、電着槽有効範囲においてはボディBが全没する高さを保ち、出槽側で約20°〜40°の上向き傾斜とされている。図1においては、図の左側が入槽側であり右側が出槽側である。
【0035】
電着槽有効範囲、つまりボディBが全没する範囲の電着槽1の長さは、たとえば3分以上の全没時間が確保されるように設定されている。ボディBが入槽されると、カチオン型電着塗料では、電着槽1の側壁および底壁に配置された電極板4(図2参照)を介して、電着塗料Lに300V前後の直流電圧が印加され、これによりアースされたボディBとの間で塗料粒子の電気泳動が生じ、ボディBの内外板や袋構造内面に電着塗膜が形成される。
【0036】
電着槽1の入槽側の底面にはホッパー11が形成されており、このホッパー11は、電着槽1内を出槽側から入槽側へ向かって流下した電着塗料液Lの一部を集約するためのもので、その先端には塗料配管121を介して吸引ポンプ122、フィルタ123および熱交換器124が設けられ、さらにその先端には複数のノズル125が設けられている。
【0037】
これらが第1の電着液循環系12を構成し、これにより、電着槽1を出槽側から入槽側へ流下した電着塗料液Lは、その一部がホッパー11に導かれ、ポンプ122により吸引されてフィルタ123で濾過されたのち、熱交換器124で適切な温度に制御され、ノズル125から再び電着槽1内で入槽側へ向かって吐出される。
【0038】
この第1の電着液循環系12のノズル125は、たとえば電着槽1の底面や両側壁に立設された複数本のパイプのそれぞれに装着され、電着塗料液Lの吐出方向が同図の矢印方向となるように設けられている。
【0039】
図2に示すように、電着槽1の底面に設けられるノズル125は、電着槽1の側壁(図では右側)を長手方向に延在する本管P1から分岐されて、電着槽1の上縁を越え、側壁の内面を伝って側面の幅方向に延在して設けられる。ここにノズル125が装着されている。こうした枝管は電着槽1の長手方向に対して所定ピッチで設けられている。一方、電着槽1の両側壁に設けられるノズル125は、電着槽1の側壁(図では左側)を長手方向に延在する本管P2から分岐されて、電着槽1の上縁を越え、側壁の内面に垂下して設けられる。ここにノズル125が装着されている。この枝管も電着槽の長手方向に対して所定のピッチで設けられ、図2では左側のみを示したが同様の本管P2、枝管およびノズル125が電着槽1の右側の側壁にも設けられている。
【0040】
本例では、図1に示すように電着槽1の中央部の底面および両側壁に設置された複数のパイプに装着されている。後述する第2および第3の電着液循環系13,14とともに、これらのノズル125からの吐出力によって、電着槽1における一方向の液流が生じることとなる。
【0041】
電着槽1の入槽側および出槽側の外部には、それぞれオーバーフロー槽2,3が設けられており、電着槽1とオーバーフロー槽2,3との間の堰22,32を越えた電着塗料液Lは当該オーバーフロー槽2,3へ流入する。したがって、電着槽1の液面は、これら堰22,32の高さで決定される。
【0042】
入槽側のオーバーフロー槽2には、塗料配管211を介して吸引ポンプ212、フィルタ213、熱交換器214および複数のノズル215を有する第2の電着液循環系21が設けられており、これによりオーバーフロー槽2の電着塗料液Lはポンプ212で吸引され、フィルタ213で濾過されたのち、熱交換器214で適切な温度に調節され、ノズル215から電着槽1内へ吐出される。
【0043】
この第2の電着液循環系21のノズル215は、たとえば電着槽1の入槽側の両側壁や底面に幅方向にわたって設けられた複数本のパイプのそれぞれに装着され、電着塗料液Lの吐出方向が入槽側に向かうように設けられる。
【0044】
出槽側のオーバーフロー槽3には、塗料配管311を介して吸引ポンプ312、フィルタ313、熱交換器314および複数のノズル315,315aを有する第3の電着液循環系31が設けられており、これによりオーバーフロー槽3の電着塗料液Lはポンプ312で吸引され、フィルタ313で濾過されたのち、熱交換器314で適切な温度に調節され、ノズル315,315aから電着槽1内へ吐出される。
【0045】
この第3の電着液循環系31のノズル315,315aは、たとえば電着槽1の出槽側の両側壁や底面に幅方向にわたって設けられた複数本のパイプのそれぞれに装着されている。
【0046】
特に本実施形態では、第3の電着液循環系31のノズルのうち、電着槽1の底面(厳密には傾斜底面)に設けられたノズル315は、電着塗料液Lの吐出方向が入槽側に向かうようにパイプに装着されているが、電着槽1の両側壁に設けられたノズル315aは、電着塗料液Lの吐出方向が出槽側、つまりオーバーフロー槽3へ向かうように装着されている。
【0047】
この逆向きに吐出するノズル315aを配設する領域は、電着槽1の長手方向の長さで特定すれば、図3に示すように全体に対して出槽側から10%〜30%の範囲である。また、同様に電着塗料液Lの循環量で特定するならば、ノズル315aから吐出される電着塗料液Lが、10%〜30%の割合となる。
【0048】
また、逆向きに吐出するノズル315aは、電着槽1の深さ方向で特定すると、液面に浮遊する電着泡をオーバーフロー槽3へ導くに充分な表面流を生じさせる深さ、つまり少なくとも液面に近い領域であれば良く、図1に示す例では上から2段のノズル315aを逆向きに装着するとともに、最下段のノズル315は順方向に装着することとしている。
【0049】
次に作用を説明する。
図3には、第1乃至第3の塗料液循環系12,21,31を駆動して電着槽1およびオーバーフロー槽2,3の電着塗料液Lを循環したときの電着槽1内の液流状態を矢印にて示している。
【0050】
第1乃至第3の塗料液循環系12,21,31のポンプを駆動すると、電着槽1およびオーバーフロー槽2,3の電着塗料液Lが吸引され、この電着塗料液Lは、フィルタによって濾過され、熱交換器によって適切な温度に調節されたのち、複数のノズル125,215,315,315aから電着槽1へ吐出される。これらのノズルのうち、ノズル125,215,315からの塗料液Lの吐出力により、電着槽1全体として出槽部から入槽部へ向かう一方向の大きな液流が生じる(図3では右から左に向かう方向)。
【0051】
こうして撹拌されている電着塗料液LにボディBを浸漬すると、その表面で生じる反応熱によって気泡が発生し、液面に浮上して泡Sとなって表れる。また、出槽部においてボディBが出槽する際の電着塗料の滴下によっても液面に泡Sが生じる。さらに、電着槽1に続く水洗工程、特にUF(限外濾過)水洗工程における回収液はオーバーフロー槽3へ流入するので、このオーバーフロー槽3においても泡Sが生じ、これが堰32を越えて電着槽1に侵入しようとする。
【0052】
しかしながら、本実施形態の電着塗装装置では、出槽側の両側壁に設けられたノズル315aによって当該出槽部の近傍の表面流は同図に示すように主流とは逆向きの流れ(図3では左から右に向かう方向)となり、これから電着槽1に侵入しようとする或いは出槽部で生じた泡Sは、この逆向きの表面流に乗って、オーバーフロー槽3へ流れ出ることになる。これにより、電着槽1に電着泡が拡がることが防止され、ボディBへの泡の巻き込みが防止できる。
【0053】
また、電着槽1内の主流によってボディBに対向する液流が形成されているので、入槽中のボディBと塗料液Lとの相対速度が大きくなり、その結果、ボディBへのゴミの付着をより効果的に防止することができる。また、ボディ表面で生じる気泡や熱を効果的に除去することができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、主としてノズルの配置および装着方向によって、槽内の主流と表面流とを調節できるので、大掛かりな改造工事をともなうことなく既存設備の大半を流用して製作することができる。
【0055】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0056】
たとえば、上述した実施形態では入槽側にもオーバーフロー槽2を設けたが、本発明の電着塗装装置では、電着槽1の主流方向の下流側にオーバーフロー槽2を設ける必然性はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電着塗装装置の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の II-II線に沿う断面図である。
【図3】図1に示す電着槽内の塗料液流を示す断面図である。
【符号の説明】
1…電着槽
12…第1の電着液循環系(塗料液循環系)
2,3…オーバーフロー槽
21…第2の電着液循環系(塗料液循環系)
31…第3の電着液循環系(塗料液循環系)
315a…ノズル(表面流調整手段)
B…自動車ボディ(被処理物)
C…オーバーヘッドコンベア

Claims (5)

  1. 塗料液が満たされる電着槽と、
    前記電着槽の出槽側に設けられたオーバーフロー槽と、
    前記電着槽の前記オーバーフロー槽側の、前記電着槽の全長の10%〜30%の長さである所定領域の表面流を除き、前記電着槽内における前記塗料液の流れを全体として前記電着槽の長手方向に沿うとともに被塗物の移動方向と対向した一の方向とする塗料液循環系
    前記電着槽の前記オーバーフロー槽側の、前記電着槽の10%〜30%の長さである所定領域の表面流を、前記オーバーフロー槽に向かう方向とする表面流調整手段とを有することを特徴とする電着塗装装置。
  2. 前記表面流調整手段は、前記電着槽または前記オーバーフロー槽から塗料液を吸引するポンプと、これを前記電着槽内へ吐出するノズルとを含むことを特徴とする請求項1に記載の電着塗装装置。
  3. 電着槽の塗料液に浸漬された被塗物と電極との間に電圧を印加して塗膜を形成する電着塗装装置において、
    前記電着槽における前記塗料液の流れの上流側の、前記電着槽の全長の10%〜30%の長さである所定領域の表面流を除き、前記電着槽内における前記塗料液の流れを全体として被塗物の移動方向と対向した一の方向とする第1の循環系と、
    前記一の方向の上流側の、前記電着槽の全長の10%〜30%の長さである所定領域の表面流を前記一の方向とは反対の方向とする第2の循環系と、
    前記電着槽の出槽側に設けられたオーバーフロー槽とを備えたことを特徴とする電着塗装装置。
  4. 前記第1の循環系および第2の循環系のそれぞれは、前記電着槽または前記オーバーフロー槽の塗料液を吸引するポンプと、これを前記電着槽内へ吐出するノズルとを含み、前記ノズルは、前記電着槽内の側壁および/または底面に複数設けられていることを特徴とする請求項記載の電着塗装装置。
  5. 前記第1の循環系は、前記一の方向の下流側の前記電着槽に設けられ前記電着槽内の塗料液を吸引するホッパーをさらに含むことを特徴とする請求項記載の電着塗装装置。
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