JP3952524B2 - 光ディスクの記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクの記録方法に関するものであり、情報信号を光ディスクに記録する際に、反射率が異なる2つの光を同時に光ディスクに照射することにより、低い出力の光で記録を行えるようにした新規な記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報信号を繰り返し記録することが可能な書換可能型光ディスクや、情報信号の追記が可能な追記型光ディスクには、例えば、光磁気記録によって情報信号を記録する光磁気ディスクや、媒体の相変化を利用して情報信号を記録する相変化型光ディスク等がある。
【0003】
このような光ディスクに情報信号を記録する際は、光ディスク中の情報記録層に光を照射し、その反射光を検出して焦点位置制御を行いながら、光が照射されている部分の情報記録層の温度を上昇させ、これにより、情報記録層の磁化状態、結晶状態又は物理的形状等を、情報信号に対応するように変化させる。そして、記録された情報信号を再生する際は、光ディスク中の情報記録層に光を照射し、その反射光を検出して焦点位置制御を行いながら、当該反射光に基づいて、情報記録層の磁化状態、結晶状態又は物理的形状等として記録された情報信号を再生する。なお、このような記録再生時の光源には、通常、半導体レーザが使用される。
【0004】
このような光ディスクは、通常、複数の薄膜が積層され、最適な反射率となるように設計されている。すなわち、例えば、光磁気ディスクの場合には、情報記録層を、光吸収の少ない誘電体膜と、垂直磁気記録材料からなる光磁気記録膜と、光吸収の少ない誘電体膜と、反射率の高い材料からなる反射膜とをこの順に積層することによって形成し、これらによる多重反射を利用して、最適な反射率が得られるように設計されている。
【0005】
なお、通常、光ディスクの反射率は波長依存性があるため、情報記録層の最適な膜構成は、記録再生に使用する光の波長に依存している。また、記録再生に使用する光の波長が一定の場合、記録時と再生時とで、光ディスクの反射率は一定となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したように、光ディスクに光を照射することによって行われる記録再生において、再生時には反射光を検出するだけであるのに対して、記録時には情報記録層の温度を上昇させる必要がある。したがって、記録時に使用する光の出力は、再生時に使用する光の出力よりも、大きく上げる必要があり、このため、従来は、記録時に情報記録層を十分に昇温出来るような高出力の光源を必要としていた。
【0007】
しかし、光ディスクの記録再生用の光源として使用される半導体レーザの耐久性や安定性を考慮すると、光出力はなるべく低く抑えることが望ましい。
【0008】
また、光ディスクの分野においては、光ディスクの高密度化につながる短波長半導体レーザの開発、具体的には現在のところ波長が500nm台又は400nm台の短波長半導体レーザの開発が進められている。しかし、このような短波長半導体レーザにおいて、大きな光出力を得られるようにすることは難しく、また、耐久性の面からも出力はかなり制限されてしまう。
【0009】
このため、記録時に情報記録層を十分に昇温できるような高出力の光源を必要とする書換可能型光ディスクや追記型光ディスクにおいて、短波長半導体レーザを使用することによって高記録密度化を図ることは、非常に困難なものとなっている。
【0010】
また、短波長の光源を用いた場合には、信号検出用ディテクタ感度が低下するため、再生出力が低下してしまう。また、媒体が光磁気ディスクのときには、光磁気記録膜によるカー回転角が減少するため、再生時の出力が低下してしまう。また、媒体が相変化型光ディスクのときには、相変化材料の結晶時の屈折率とアモルファス時の屈折率との差が減少するため、再生時の出力が低下してしまう。
【0011】
このように、短波長化を図ると再生出力が低下してしまうため、短波長化を図るときには、十分に大きな再生光が得られるように、再生時に使用する光の出力を大きくする必要がある。そして、上述したように、記録時に使用する光の出力は、再生時に使用する光の出力よりも、大きくする必要がある。したがって、短波長化を図るときには、従来のものよりも更に大きな出力の光源が必要となる。
【0012】
しかし、上述したように、短波長半導体レーザにおいて、大きな光出力を得られるようにすることは難しいため、記録再生に使用する光の波長を短くしても、低い出力の光で記録再生できるようにすることが望まれる。
【0013】
なお、従来、光強度が不足する場合には、波長の異なる2つの光源を用意して、情報記録層に吸収されやすく情報記録層を昇温しやすい長波長の光によって記録し、短波長の光によって再生する方法が用いられている。このとき、情報記録層を昇温するという観点からだけから見れば、記録時に使用する光として、反射率が低く情報記録層に吸収されやすい光を使用すれば、記録時に使用する光の出力を抑えることができる。しかし、反射率が低すぎると、焦点位置制御を行うのに十分な反射光が得られるなくなり、焦点位置制御を行うことができなくなってしまう。したがって、この方法でも、記録時に使用する長波長の光については、情報記録層を十分に昇温でき、しかも、焦点位置制御を行うのに十分な反射光が得られるように、大きな出力が必要であることには変わりがない。
【0014】
以上のように、従来の記録方法では、高出力の光を必要としており、より低い出力の光を用いて記録することができる記録方法の開発が望まれている。本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、より低い出力の光で光ディスクに情報信号の記録を行えるようにすることを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために提案される本発明は、光ディスクに照射したときの反射率を異にする第1及び第2の光を光ディスクの同一トラック上に互いに隣接させるとともに、上記光ディスクに対し上記反射率の低い方の第1の光を上記反射率の高い方の第2の光に先行して照射し、上記光ディスクから反射される第2の光を検出して上記第1及び第2の光の上記光ディスクに対する焦点位置の制御を行うと共に、上記第1の光を用いて上記光ディスクに対し情報信号の記録を行い、さらに、上記第1の光を用いて上記光ディスクに情報信号を記録した直後に、上記光ディスクから反射される第2の光を検出し、上記光ディスクに記録された情報信号の記録状態を検出するようにしたものである。
【0016】
この記録方法では、焦点位置制御を行う光と、光ディスクの情報記録層を昇温して情報信号の記録を行う光とを別の光としている。したがって、この記録方法では、情報信号の記録を行う方の光については、焦点位置制御が行えるように高い反射率とする必要がなく、反射率に関する制約がなくなる。
【0017】
すなわち、この記録方法では、情報信号の記録を行う方の光については、光ディスクの情報記録層を昇温することができればよく、焦点位置制御を行う必要がないので、反射率は低くても構わない。したがって、情報信号の記録を行う光として、光ディスクの情報記録層に吸収されやすく情報記録層を昇温しやすい光を使用することにより、低出力の光だけを使用して情報信号の記録を行うことが可能となる。
【0018】
なお、このように光ディスクに情報信号を記録する際、焦点位置制御に使用する方の光は、焦点位置制御を行うのに十分な反射光が得られるようにする必要があることは言うまでもない。したがって、焦点位置制御に使用する方の光については、十分に大きな反射率が得られるように、当該光の波長や光ディスクの膜構成を設定する必要がある。一方、情報記録層を昇温して情報信号を記録する方の光は、より低い光強度で情報信号層を十分に昇温できることが好ましい。したがって、情報記録層を昇温して情報信号を記録する方の光については、十分に反射率が小さくなるように、好ましくは反射率が15%程度以下となるように、光の波長や光ディスクの膜構成を設定する必要がある。
【0019】
本発明は、反射率の低い方の第1の光を用いて光ディスクに情報信号を記録した直後に、光ディスクから反射される第2の光を検出し、上記光ディスクに記録された情報信号の記録状態を検出するようにしている。
【0020】
これにより、情報信号の記録が正しくなされたかを、記録した直後に確認することが可能となる。そして、反射率が高い方の光によって検出された記録状態に関する情報に基づいて、情報信号の記録を行う反射率が低い方の光の出力等を制御することにより、情報信号の記録をより良好に行うことが出来る。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0022】
第1の実施の形態
第1の実施の形態として、情報記録層に稀土類−遷移金属系の光磁気記録材料を用いた光磁気ディスクを例に挙げて説明する。なお、ここでは、膜構成が異なる2つの光磁気ディスクを例に挙げる。
【0023】
そして、本実施の形態では、光磁気ディスクに情報信号を記録する際に、波長430nmの光と、波長530nmの光とを光ディスクに照射し、一方の光の反射光を検出することによって焦点位置制御を行いながら、他方の光を用いて光ディスクに情報信号を記録する。
【0024】
ここで、第1の光磁気ディスクの膜構成を図1に示す。すなわち、第1の光磁気ディスクは、ポリカーボネート等からなる透明な基板1上に、膜厚が60nmのSi3N4からなる誘電体膜2と、膜厚が20nmのTbFeCoからなる光磁気記録膜3と、膜厚が20nmのSi3N4からなる誘電体膜4と、膜厚が100nmのAlからなる反射膜5とをこの順に積層してなる情報記録層が形成されてなる。
【0025】
また、第2の光磁気ディスクの膜構成を図2に示す。すなわち、第2の光磁気ディスクは、ポリカーボネート等からなる透明な基板11上に、膜厚が150nmのSi3N4からなる誘電体膜12と、膜厚が20nmのTbFeCoからなる光磁気記録膜13と、膜厚が20nmのSi3N4からなる誘電体膜14と、膜厚が100nmのAlからなる反射膜15とをこの順に積層してなる情報記録層が形成されてなる。
【0026】
以上のような第1の光磁気ディスク及び第2の光磁気ディスクの情報記録層を構成するTbFeCo、Si3N4及びAlについて、波長430nmの光に対する光学定数、及び波長530nmの光に対する光学定数を表1に示すとともに、それらの熱定数を表2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
ここで、TbFeCoについては、光学定数の波長依存性や熱定数に関する詳しい資料がないため、TbFeCoの光学定数や熱定数は、実験により得られた値を用いた。また、Si3N4の光学定数は、エリプソンメータを用いて実験により得られた値を用いた。また、Alの光学定数は、E.D.Palik:Handbook of Constants of Solids(Academic Press,1985)記載の文献値を用いた。
【0030】
なお、TbFeCoは、光磁気記録材料であり、入射光の偏光状態に応じて光学定数が異なる。そこで、TbFeCoについては、表1において、左円偏光に対する光学定数を(n-,k-)として示しており、右円偏光に対する光学定数を(n+,k+)として示している。
【0031】
以上のような光学定数及び熱定数を有する第1及び第2の光磁気ディスクについて、波長430nm又は波長530nmの光を入射したときの反射率を光学計算により算出するとともに、情報記録層の最高到達温度を熱計算により算出した。
【0032】
ここで、最高到達温度は、情報記録層に書き込まれる情報記録マークの大きさの指標となる。すなわち、光磁気ディスクにおいて、情報記録マークの大きさは、キュリー温度や保磁力等によって決定されるが、最高到達温度は、そのような情報記録マークの大きさの指標となる。そして、通常、光磁気ディスクに情報信号を記録する際、情報記録層の最高到達温度は、250℃程度とすることが求められる。
【0033】
この光学計算及び熱計算において、光磁気ディスク上に光を集光するレンズの開口数NAは0.55であるものとした。このとき、光磁気ディスク上に集光される光スポットの直径は、入射光の波長が430nmのとき、約530nmとなり、入射光の波長が530nmのとき、約650nmとなる。また、記録時に光磁気ディスクは回転させられ、入射光の焦点位置は情報記録層上において移動する。そして、本実施の形態において、この焦点位置移動時の線速度は5m/sであるものとした。
【0034】
なお、光学計算の手法に関しては、例えば、M.Born and E.Wolf:Principles of Optics(Pergamon Press,1959) に記載されている。また、熱計算の手法に関しては、例えば、O.W.Shih:J.Appl.Phys.78(11)(1995)6397 に記載されている。
【0035】
光学計算及び熱計算の結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
表3に示すように、第1の光磁気ディスクでは、入射光の波長が430nmのときに反射率が高くなり、入射光の波長が530nmのときに反射率が低くなっている。そして、反射率が低いときには、情報記録層の最高到達温度が高くなる傾向にある。
【0038】
そこで、第1の光磁気ディスクに情報信号を記録する際は、波長が430nmで光強度が2.0mWの光を出射する光源と、波長が530nmで光強度が5.8mWの光を出射する光源とを備え、波長430nmの光の焦点と、波長530nmの光の焦点とが同一平面上となるように設計された光学ピックアップを用いて、光磁気ディスクに対して、波長430nmの光と波長530nmの光とを同時に照射する。そして、波長430nmの光の反射光を検出することにより、それらの光の焦点位置制御を行いながら、波長530nmの光によって情報記録層を昇温して情報信号を記録する。このとき、波長530nmの光は、反射率が低く、5.8mW程度の低い光強度で、情報記録層の最高到達温度を250℃とすることができる。
【0039】
一方、第2の光磁気ディスクでは、入射光の波長が530nmのときに反射率が高くなり、入射光の波長が430nmのときに反射率が低くなっている。
【0040】
そこで、第2の光磁気ディスクに情報信号を記録する際は、波長が530nmで光強度が2.0mWの光を出射する光源と、波長が430nmで光強度が5.0mWの光を出射する光源とを備え、波長530nmの光の焦点と、波長430nmの光の焦点とが同一平面上となるように設計された光学ピックアップを用いて、光磁気ディスクに対して、波長530nmの光と波長430nmの光とを同時に照射する。そして、波長530nmの光の反射光を検出することにより、それらの光の焦点位置制御を行いながら、波長430nmの光によって情報記録層を昇温して情報信号を記録する。このとき、波長430nmの光は、反射率が低く、5.0mW程度の低い光強度で、情報記録層の最高到達温度を250℃とすることができる。
【0041】
なお、表3から分かるように、第2の光磁気ディスクにおいて、第1の光磁気ディスクと同様に波長が530nmで光強度が5.8mWの光を用いて記録を行おうとすると、情報記録層の最高到達温度が207℃までにしか達しない。すなわち、第2の光磁気ディスクにおいて、波長が530nmで光強度が5.8mWの光を用いて記録を行おうとすると、第1の光磁気ディスクのときに比べて、最高到達温度が43℃も低くなってしまう。この温度で情報信号を記録することは困難である。
【0042】
また、表3から分かるように、第2の光磁気ディスクにおいて、第1の光磁気ディスクと同様に波長が530nmの光を用いて記録を行おうとしたとき、情報記録層の最高到達温度が250℃にまで達するようにするには、光強度を7.0mWに上げる必要がある。したがって、第2の光磁気ディスクに対して、波長が530nmの光を用いて記録することは、高出力の光源が必要となってしまい好ましくない。
【0043】
以上の説明から明らかなように、反射率が高い方の光の反射光を検出することによって焦点位置制御を行いながら、反射率が低い方の光を用いて情報信号を記録するようにすることにより、低出力の光源だけを用いて、光磁気ディスクに情報信号の記録を行うことが可能となる。特に、第2の光磁気ディスクに対して、波長が430nmの光を用いて記録を行うようにしたときは、反射率が小さいことと、スポット径が小さいこととの相乗効果により、大幅な高感度化が実現されており、5mW程度の非常に低出力の光源を用いて記録することが可能となっている。
【0044】
なお、ここで示した以外の波長、或いはここで示した以外の膜構成の光磁気ディスクに対しても、本発明を適用できることは言うまでもない。どのような波長の組み合わせであっても、2つの光の波長が十分に離れていれば、それぞれの光に対する反射率が異なるような膜構成は存在する。そこで、例えば、光磁気ディスクの膜構成を、それぞれの光に対する反射率が異なるようにすることにより、様々な波長の組み合わせに対して、本発明を適用することが出来る。そして、例えば、以上に示した例よりも、更に反射率が低くなるような膜構成とすることにより、或いは、更に反射率が低くなるような波長の光を用いることにより、更に低い光強度で記録することも可能である。
【0045】
なお、反射率が大きい方の光は、焦点位置制御に使用するだけでなく、記録された情報信号を再生するときにも使用するようにしてもよい。このとき、長波長の光の方が光磁気記録膜によるカー回転角は大きくなるので、情報信号の再生に使用する方の光を長波長の光とすることにより、再生出力を大きくすることができる。しかも、短波長の光で記録することにより、記録時のスポット径をより小さくすることが出来るので、低ジッターでの記録を行うことも可能となる。
【0046】
また、光磁気ディスクに磁界変調記録を行ったとき、情報記録層に書き込まれる記録マークは、矢羽型となり、そのエッジ部分に丸みが生じてしまうが、本発明を適用したときには、波長の異なる2つの光のスポット径の違いを利用して、このような矢羽型記録マークのエッジの丸みを抑えることも可能である。すなわち、磁界変調記録において、スポット径が大きい長波長光で記録を行い、スポット径が小さい短波長光で再生を行うようにすることにより、矢羽型記録マークのエッジの丸みを抑えることができる。
【0047】
第2の実施の形態
第2の実施の形態として、情報記録層に相変化記録材料を用いた相変化型光ディスクを例に挙げて説明する。なお、ここでは、膜構成が異なる2つの相変化型光ディスクを例に挙げる。
【0048】
そして、本実施の形態では、相変化型光ディスクに情報信号を記録する際に、波長430nmの光と、波長530nmの光とを光ディスクに照射し、一方の光の反射光を検出することにより、焦点位置制御を行いながら、他方の光を用いて光ディスクに情報信号を記録する。
【0049】
ここで、第1の相変化型光ディスクの膜構成を図3に示す。すなわち、第1の相変化型光ディスクは、ポリカーボネート等からなる透明な基板21上に、膜厚が55nmのZnS−SiO2 からなる薄膜22と、膜厚が15nmのGeSbTeからなる薄膜23と、膜厚が35nmのZnS−SiO2 からなる薄膜24と、膜厚が150nmのAlTiからなる薄膜25とをこの順に積層してなる情報記録層が形成されてなる。
【0050】
また、第2の相変化型光ディスクの膜構成を図4に示す。すなわち、第2の相変化型光ディスクは、ポリカーボネート等からなる透明な基板31上に、膜厚が125nmのZnS−SiO2 からなる薄膜32と、膜厚が15nmのGeSbTeからなる薄膜33と、膜厚が35nmのZnS−SiO2 からなる薄膜34と、膜厚が150nmのAlTiからなる薄膜35とをこの順に積層してなる情報記録層が形成されてなる。
【0051】
以上のような第1の相変化型光ディスク及び第2の相変化型光ディスクの情報記録層を構成するGeSbTe、ZnS−SiO2 及びAlTiについて、波長430nmの光に対する光学定数、及び波長530nmの光に対する光学定数を表4に示すとともに、それらの熱定数を表5に示す。
【0052】
なお、GeSbTeは、相変化記録材料であり、結晶状態のときと、アモルファス状態のときとで、光学定数及び熱定数が異なる。そこで、GeSbTeについては、表4において、結晶状態のときの光学定数、及びアモルファス状態のときの光学定数を示すとともに、表5において、結晶状態のときの熱定数を示す。
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
以上のような光学定数及び熱定数を有する第1及び第2の相変化型光ディスクについて、第1の実施の形態と同様に、波長430nm又は波長530nmの光を入射したときの反射率を光学計算により算出するとともに、情報記録層の最高到達温度を熱計算により算出した。
【0056】
ここで、最高到達温度は、情報記録層に書き込まれる情報記録マークの大きさの指標となる。すなわち、相変化型光ディスクにおいて、情報記録マークの大きさは、情報記録層の溶融化温度や冷却速度等によって決定されるが、最高到達温度は、そのような情報記録マークの大きさの指標となる。そして、通常、相変化型光ディスクに情報信号を記録する際、情報記録層の最高到達温度は、800℃程度とすることが求められる。
【0057】
また、この光学計算及び熱計算において、相変化型光ディスク上に光を集光するレンズの開口数NAは0.55であるものとした。このとき、相変化型光ディスク上に集光される光スポットの直径は、入射光の波長が430nmのとき、約530nmとなり、入射光の波長が530nmのとき、約650nmとなる。また、記録時に光磁気ディスクは回転させられ、入射光の焦点位置は情報記録層上において移動する。そして、本実施の形態において、この焦点位置移動時の線速度は5m/sであるものとした。
【0058】
光学計算及び熱計算の結果を表6に示す。
【0059】
【表6】
【0060】
表6に示すように、第1の相変化型光ディスクでは、入射光の波長が430nmのときに反射率が高くなり、入射光の波長が530nmのときに反射率が低くなっている。そして、反射率が低いときには、情報記録層の最高到達温度が高くなる傾向にある。
【0061】
そこで、第1の相変化型光ディスクに情報信号を記録する際は、波長が430nmで光強度が1.0mWの光を出射する光源と、波長が530nmで光強度が5.85mWの光を出射する光源とを備え、波長430nmの光の焦点と、波長530nmの光の焦点とが同一平面上となるように設計された光学ピックアップを用いて、相変化型光ディスクに対して、波長430nmの光と波長530nmの光とを同時に照射する。そして、波長430nmの光の反射光を検出することにより、それらの光の焦点位置制御を行いながら、波長530nmの光によって情報記録層を昇温して情報信号を記録する。このとき、波長530nmの光は、反射率が低く、5.85mW程度の低い光強度で、情報記録層の最高到達温度を800℃とすることができる。
【0062】
また、第1の相変化型光ディスクに記録された情報信号を再生するときは、波長430nmの光によって行う。このとき、表6から分かるように、波長430nmの光による再生では、GeSbTeが結晶状態のときとアモルファス状態のときとで、反射率が大きく異なっており、情報信号の消去状態と記録状態とで、十分なコントラスト比が得られるようになっている。一方、波長530nmの光による記録では、GeSbTeが結晶状態のときでもアモルファス状態のときでも、反射率が小さく、十分に熱吸収が大きくなっている。したがって、波長530nmの光によって記録することにより、情報信号を新規に書き込むときだけでなく、オーバーライトするときも、低ジッターで行うことができる。
【0063】
一方、第2の相変化型光ディスクでは、入射光の波長が530nmのときに反射率が高くなり、入射光の波長が430nmのときに反射率が低くなっている。
【0064】
そこで、第2の相変化型光ディスクに情報信号を記録する際は、波長が530nmで光強度が1.0mWの光を出射する光源と、波長が430nmで光強度が4.8mWの光を出射する光源とを備え、波長530nmの光の焦点と、波長430nmの光の焦点とが同一平面上となるように設計された光学ピックアップを用いて、相変化型光ディスクに対して、波長530nmの光と波長430nmの光とを同時に照射する。そして、波長530nmの光の反射光を検出することにより、それらの光の焦点位置制御を行いながら、波長430nmの光によって情報記録層を昇温して情報信号を記録する。このとき、波長430nmの光は、反射率が低く、4.8mW程度の低い光強度で、情報記録層の最高到達温度を800℃とすることができる。
【0065】
また、第2の相変化型光ディスクに記録された情報信号を再生するときは、波長530nmの光によって行う。このとき、表6から分かるように、波長530nmの光による再生では、GeSbTeが結晶状態のときとアモルファス状態のときとで、反射率が大きく異なっており、情報信号の消去状態と記録状態とで、十分なコントラスト比が得られるようになっている。一方、波長430nmの光による記録では、GeSbTeが結晶状態のときでもアモルファス状態のときでも、反射率が小さく、十分に熱吸収が大きくなっている。したがって、波長430nmの光を用いて記録することにより、情報信号を新規に書き込むときだけでなく、オーバーライトするときも、低ジッターで行うことができる。
【0066】
なお、表6から分かるように、第2の相変化型光ディスクにおいて、第1の相変化型光ディスクと同様に波長が530nmで光強度が5.85mWの光を用いて記録を行おうとすると、情報記録層の最高到達温度が622℃までにしか達しない。すなわち、第2の相変化型光ディスクにおいて、波長が530nmで光強度が5.85mWの光を用いて記録を行おうとすると、第1の相変化型光ディスクのときに比べて、最高到達温度が178℃も低くなってしまう。この温度で情報信号を記録することは困難である。
【0067】
また、表6から分かるように、第2の相変化型光ディスクにおいて、第1の相変化型光ディスクと同様に波長が530nmの光を用いて記録を行おうとしたとき、情報記録層の最高到達温度が800℃にまで達するようにするには、光強度を8.8mWに上げる必要がある。したがって、第2の相変化型光ディスクに対して、波長が530nmの光を用いて記録することは、高出力の光源が必要となってしまい好ましくない。
【0068】
以上の説明から明らかなように、反射率が高い方の光の反射光を検出することによって焦点位置制御を行いながら、反射率が低い方の光を用いて情報信号を記録するようにすることにより、低出力の光源だけを用いて、相変化型光ディスクに情報信号の記録を行うことが可能となる。特に、上記第2の相変化型光ディスクに対して、波長が430nmの光を用いて記録を行うようにしたときは、反射率が小さいことと、スポット径が小さいこととの相乗効果により、大幅な高感度化が実現されており、4.8mW程度の非常に低出力の光源を用いて記録することが可能となっている。
【0069】
なお、ここで示した以外の波長、或いはここで示した以外の膜構成の相変化型光ディスクに対しても、本発明を適用できることは言うまでもない。どのような波長の組み合わせであっても、2つの光の波長が十分に離れていれば、それぞれの光に対する反射率が異なるような膜構成は存在する。そこで、例えば、相変化型光ディスクの膜構成を、それぞれの光に対する反射率が異なるようにすることにより、様々な波長の組み合わせに対して、本発明を適用することが出来る。そして、例えば、以上に示した例よりも、更に反射率が低くなるような膜構造とすることにより、或いは、更に反射率が低くなるような波長の光を用いることにより、更に低い光強度で記録することも可能である。
【0070】
また、コントラスト比の大きな相変化記録材料を用いるなどして、結晶状態での反射率が50%程度以上となるような場合、単一波長の光だけを用いて記録と再生の両方を行うことは非常に難しくなる。すなわち、結晶状態での反射率が50%程度以上となるようにしてコントラスト比を大きくしたとき、再生時には大きな出力が得られるが、記録時の反射率が高くなり、記録感度が大幅に低下してしまう。そして、このような場合に本発明は特に有効である。すなわち、再生時には、結晶状態での反射率が50%程度以上でコントラスト比が大きくなるような波長の光を使用し、記録時には、反射率が低く記録感度に優れた波長の光を使用するようにすることにより、再生時に大きな出力が得られるようにしても、記録時の記録感度を高く維持することが可能となる。
【0071】
なお、第1及び第2の実施の形態において、反射率が高い方の光は、焦点位置制御に用いるだけでなく、反射率が低い方の光によって書き込まれた情報記録マークの記録状態の検出にも用いるようにしてもよい。
【0072】
このときは、例えば、図5に示すように、それぞれの光の焦点位置が光ディスクの走行方向に対して平行に隣接するように光ピックアップの光学系を構成する。すなわち、反射率が低い方の光スポットS1と、反射率が高い方の光スポットS2とが、同一トラック上に位置するように、光ピックアップの光学系を構成する。
【0073】
そして、光ディスクの情報記録層上の点が、情報記録層を昇温して記録する方の光スポットS1を先に通過し、その後、焦点位置制御を行う方の光スポットS2を通過するようにする。そして、反射率が低く情報記録層を昇温して記録する方の光によって情報信号を記録した直後に、その記録状態を反射率が高く焦点位置制御を行う方の光によって検出する。
【0074】
これにより、情報信号の記録が正しくなされたかを、記録した直後に確認することが可能となる。そして、反射率が高く焦点位置制御を行う方の光によって検出された記録状態に関する情報に基づいて、反射率が低く情報記録層を昇温して記録する方の光の出力等を制御することにより、記録時のノイズを低減し、情報信号の記録をより良好に行うことが可能となる。
【0075】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の記録方法では、焦点位置制御を行う光と、光ディスクの情報記録層を昇温して情報信号の記録を行う光とを別の光とすることにより、記録感度を高め、低出力の光源だけを用いて光ディスクに情報信号の記録を行うことが可能となっている。
【0076】
したがって、本発明によれば、例えば、高出力が得にくい短波長の半導体レーザを光源として使用することが可能となり、高記録密度化を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の光磁気ディスクの膜構造を示す図である。
【図2】第2の光磁気ディスクの膜構造を示す図である。
【図3】第1の相変化型光ディスクの膜構造を示す図である。
【図4】第2の相変化型光ディスクの膜構造を示す図である。
【図5】情報記録層上に集光された2つの光スポットを示す図である。
【符号の説明】
1 基板、 2 誘電体膜、 3 光磁気記録膜、 4 誘電体膜、 5 反射膜
Claims (3)
- 光ディスクに照射したときの反射率を異にする第1及び第2の光を光ディスクの同一トラック上に互いに隣接させるとともに、上記光ディスクに対し上記反射率の低い方の第1の光を上記反射率の高い方の第2の光に先行して照射し、
上記光ディスクから反射される第2の光を検出して上記第1及び第2の光の上記光ディスクに対する焦点位置の制御を行うと共に、
上記第1の光を用いて上記光ディスクに対し情報信号の記録を行い、
さらに、上記第1の光を用いて上記光ディスクに情報信号を記録した直後に、上記光ディスクから反射される第2の光を検出し、上記光ディスクに記録された情報信号の記録状態を検出するようにしたことを特徴とする光ディスクの記録方法。 - 上記光ディスクは、光磁気ディスクであることを特徴とする請求項1記載の光ディスクの記録方法。
- 上記光ディスクは、情報記録層に相変化記録材量を用いた相変化型光ディスクであることを特徴とする請求項1記載の光ディスクの記録方法。
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