JP3949222B2 - 帯電部材及び帯電装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター等における電子写真や静電潜像プロセスで、感光体等の被帯電体を帯電させる場合に好適に用いられる帯電部材及び帯電装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、複写機、プリンター等の静電潜像プロセスでは、まず、感光体の表面を一様に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して、光の当たった部分の帯電を消去することによって潜像を形成し、次いで、トナーの付着によるトナー像の形成、紙等の記録媒体へのトナー像の転写により、プリントする方法がとられている。
【0003】
この場合、最初の感光体を帯電させる操作は、コロナ放電方式が一般的に採用されている。しかしながら、このコロナ放電方式は6〜10kVもの高電圧印加が必要とされるため、機械の安全保守の観点から好ましくないものである。また、コロナ放電中にオゾン、NOx等の有害物質が発生するため、環境上の問題もある。
【0004】
このため、コロナ放電に比べて低い印加電圧で帯電を行うことができ、かつ、オゾン等の有害物質の発生を抑制することができる帯電方式への取り組みがなされており、新たな帯電方式として、電圧を印加した帯電用部材を感光体等の被帯電体に所定の圧力で接触させることにより、被帯電体を帯電させる接触方式による方法が提案されている。
【0005】
この場合、この接触帯電方式で使用される帯電部材としては、例えば、ゴムやウレタンフォーム等の弾性層の表面に、ウレタン、ナイロン等の樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液をディッピング法やスプレー法などにより塗布して、表面の平滑性確保やトナーの付着防止のためウレタン、ナイロン等の塗膜層を形成したものが知られている。
【0006】
しかしながら、接触帯電方式では、帯電部材が感光体等の被帯電体に長時間圧接した状態となるため、帯電部材に変形が生じ易く、この変形が元に戻らないと画像不良が発生することとなる。このため、帯電部材を構成する弾性体や塗膜には圧縮永久歪みの小さいことが求められる。
【0007】
このような帯電部材の圧縮永久歪みを小さくするには、塗膜を形成する樹脂を架橋させるなどの方法により塗膜の弾性を大きくすればよいが、このように塗膜を形成する樹脂を架橋させると、塗膜の硬度が高くなり、騒音が大きくなったり、この塗膜と直接接触する感光体等の被帯電体表面が削れてしまうなどの不都合が生じ易い。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、変形が生じ難く、変形に起因する画像不良の発生を可及的に防止することができる上、表面硬度が十分に低く、騒音の発生や被帯電体の削れなどの不都合を生じることもない帯電部材、及び該帯電部材を用いた帯電装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、弾性層と、該弾性層の外側に直接又は他の層を介して形成された塗膜層とを有する帯電部材の上記塗膜層を、ガラス転移温度−50〜10℃、カルボキシル基の含有率2〜5重量%で、ソープフリーのエマルジョンタイプであるアクリル樹脂を、アルキレンオキサイドを主鎖に持ちかつエポキシ官能基数2〜3のエポキシ系架橋剤で架橋させた水系塗膜で形成することにより、圧縮永久歪みが小さく変形が生じ難いにもかかわらず、表面のマイクロ硬度が80゜以下の表面硬度の低い帯電部材が得られ、この帯電部材を用いて帯電装置を構成することにより、帯電部材の変形に起因する画像不良を生じることがなく、しかも騒音の発生や被帯電体の削れなどの不都合の発生も可及的に防止し得ることを見い出し、本発明を完成したものである。
【0010】
従って、本発明は、被帯電体に当接させて、この被帯電体との間に電圧を印加することにより、被帯電体を帯電させる帯電部材において、弾性層と、該弾性層の外側に直接又は他の層を介して形成された塗膜層とを有し、該塗膜層が、ガラス転移温度−50〜10℃、カルボキシル基の含有率2〜5重量%で、ソープフリーのエマルジョンタイプであるアクリル樹脂を、アルキレンオキサイドを主鎖に持ちかつエポキシ官能基数が2〜3のエポキシ系架橋剤によって架橋した水系塗膜であることを特徴とする帯電部材を提供する。
【0011】
また、本発明は、被帯電体に当接し、被帯電体を帯電させる帯電部材と、被帯電体と帯電部材との間に電圧を印加する電圧印加手段とを具備してなる帯電装置において、上記本発明の帯電部材を用いたことを特徴とする帯電装置を提供する。
【0012】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の帯電部材は、上述のように、弾性層を有していると共に、該弾性層の上に塗膜層を形成したものであり、その形態は被帯電体と安定的に接触し得、該被帯電層に均一に電荷を与えることができるものであればいずれの形態でもよく、例えば、ロール状、プレート状、ブロック状、球状、ブラシ状等の種々の形状とすることができるが、通常はロール状又はプレート状とすることが好ましい。ロール状に形成する場合には、例えば図1に示したように、弾性層3をシャフト2の外周に形成し、該弾性層3の外側に、塗膜層4を形成した帯電部材1を提供することができる。この場合、上記シャフト2は金属或いはプラスチック製のシャフトを用いることができ、また帯電部材の形態や帯電部材が用いられる帯電装置の機構などによっては、このシャフト2を省略することもできる。
【0013】
上記弾性層3は、特に限定されるものではなく、ゴム或いは樹脂、又はこれらの発泡体(以下、「フォーム」という)で形成することができ、具体的には、ポリウレタン、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、スチレン−フタジエン−スチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム等を基材ゴムとするゴム組成物が例示されるが、特にポリウレタンが好ましく、より好ましくは発泡倍率が1.5〜50倍のポリウレタンフォームが用いられる。なお、この場合のフォーム密度は、0.05〜0.9g/cm3程度が適当である。
【0014】
上記弾性層3には、導電性材料を添加することにより、所定の抵抗値を付与することができる。その導電性材料としては、特に限定されず、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウム塩の過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、臭化ベンジル塩、塩化ベンジル塩等のハロゲン化ベンジル塩等の第四級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤、各種ベタイン等の両性イオン界面活性剤、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等の非イオン性帯電防止剤等の帯電防止剤、LiCF3SO3、NaClO4、LiAsF6、LiBF4、NaSCN、KSCN、NaCl等のLi+、Na+、K+等の周期律表第1族の金属塩、あるいはNH4 +塩等の電解質、また、Ca(ClO4)2等のCa2+、Ba2+等の周期律表第2族の金属塩、及びこれらの帯電防止剤が、少なくとも1個以上の水酸基、カルボキシル基、一級ないし二級アミン基等のイソシアネートと反応する活性水素を有する基を持ったものが挙げられる。更には、それら等と1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールとその誘導体等の錯体あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のモノオールとの錯体等のイオン導電剤、又はケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属及び金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられる。この場合、これら導電剤の配合量は、組成物の種類に応じて適宜選定され、通常弾性層3の体積抵抗率が100〜108Ω・cm、好ましくは102〜106Ω・cmとなるように調整される。
【0015】
次に、上記塗膜層4は、活性水素を持つ樹脂を2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ系架橋剤で架橋した水系塗膜により形成される。
【0016】
上記活性水素を持つ樹脂としては、カルボキシル基を有するアクリル樹脂が用いられる。アクリル樹脂は、帯電部材用樹脂として従来から用いられてきたウレタン樹脂やナイロンなどに比べてかなり誘電率が小さいために静電容量も小さくなり、交流電圧の印可による帯電部材/感光体間の電気的引力・反発力が低減されて、帯電音が改善されることから好ましく用いられる。アクリル樹脂の中でも、とりわけガラス転移温度が−50℃以上10℃以下で、カルボキシル基,水酸基の含有率が2〜5重量%で、ソープフリーのエマルジョンタイプのものが、架橋効果に優れ、かつ低硬度化し得るため好ましく用いられる。
【0017】
この水系樹脂を架橋する上記エポキシ系架橋剤としては、上記水系樹脂との親和性がよいことからアルキレンオキサイドを主鎖に持つものが用いられる。また、このエポキシ系架橋剤のエポキシ官能基数は2〜3とされ、官能基数が2未満であると、架橋密度が増加しない場合があり、架橋剤としてあまり好ましくなく、一方官能基数が3を超えると塗料がゲル化してしまう場合がある。更に、このエポキシ系架橋剤のエポキシ基当量は、特に制限されるものではないが、100〜300であることが好ましく、より具体的には下記実施例のように195〜280とすることができる。この場合、エポキシ当量が300を超えると、分子量が大きくなりすぎて室温での取り扱いが困難となる場合がある。
【0018】
この塗膜層4には、導電剤を添加して導電性を付与又は調整することができ、通常は体積抵抗率が103〜1012Ωcm、特に105〜1010Ωcmとなるように調整することが好ましい。この場合、導電剤としては、上記弾性層3で例示したものと同様の導電剤を例示することができるが、特にカーボンが好ましく用いられる。導電剤の添加量は、導電剤の種類などに応じて上記体積抵抗率になるように適宜選定され、特に制限されるものではないが、導電剤としてカーボンを用いる場合には、通常0.01〜60重量%、特に10〜40重量%程度とされる。
【0019】
更に、この塗膜層4には、必要に応じて増粘剤、チクソトロピー性付与剤、構造粘性付与剤等の適宜な添加剤を必要に応じて適量添加することができ、この場合添加剤は無機系,有機系のいずれであってもよい。
【0020】
この塗膜層4の厚さは、特に制限されるものではないが、弾性層3の柔軟性を損なわないために薄層とすることが好ましく、具体的には1mm以下、更に800μm以下、特に20〜600μmとすることが好ましい。
【0021】
また、図1には特に図示しなかったが、本発明の帯電部材には、トナー付着防止や表面平滑性確保等の目的に応じて、上記塗膜層4の上に更に1層又は2層以上の外層を設けることができる。
【0022】
この外層は、ナイロン、ポリエステル、ウレタン変性アクリル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、フッ素樹脂等、目的に応じて適宜な樹脂で形成することができるが、特に帯電部材の表面平滑性や感光体等との低密着性などの観点からフッ素樹脂が好ましく用いられる。
【0023】
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド等が挙げられ、特にこれらの微粒子を水中に分散させたディスパージョンタイプの水系フッ素樹脂が好ましく用いられ、更に好ましくはポリテトラフルオロエチレンの微粒子を水中に分散させたディスパージョンタイプの水系フッ素樹脂が用いられる。また、用いられるフッ素樹脂微粒子の粒径は、特に制限されるものではないが、5μm以下、特に、0.05〜1μmであることが好ましい。
【0024】
また、これらフッ素樹脂に、フッ素樹脂の効果を損なわない範囲で、その他の樹脂を混合して上記外層を形成することもできる。この場合、フッ素樹脂と混合されるその他の樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニリデン系共重合体などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を上記フッ素樹脂と混合して上記外層を形成することができる。これらの樹脂のうちでも、フッ素樹脂の塗膜化及び抵抗均一性の観点からポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン系共重合体が好ましく、特にポリビニルアセタール樹脂が好ましく、とりわけ水系フッ素樹脂と水系ポリビニルアセタール樹脂とを組み合わせることにより、水系フッ素樹脂の重量比を高く設定した場合にも均一な塗膜形成が可能となる。更に、水系フッ素樹脂と塩化ビニリデン系共重合体ラテックスとの組み合わせた場合には、均一な塗膜形成と共に、水蒸気、ガス等に対するバリヤー性、耐水性を高めることが可能となる。
【0025】
この外層には、導電剤を添加して導電性を付与又は調整することができ、この場合導電剤としては、特に制限されるものではないが、カーボンが好ましく用いられ、特に帯電部材の表面を形成する最外層には導電剤としてカーボンを用いることが好ましい。この場合、この外層に用いられるカーボンとしては、特に制限されるものではないが、酸素含有率が5%以上、特に7%以上、更には9%以上であることが好ましく、かつpHが5以上、特に6以上、更には7以上であることが好ましい。即ち、通常のカーボンの酸素含有率は0.1〜3%程度であり、一部、酸化処理を施したカーボンも存在するが、この酸化処理を施したカーボンは、酸素含有率が若干増加するにつれてpHが酸性側へとシフトしてしまう傾向があり、カーボンが酸性となると水系フッ素樹脂に添加した場合に安定性が低下するおそれがある。これに対して、本発明に好適に用いられる上記カーボンは、酸素含有率が多いにもかかわらず、中性ないしアルカリ性を維持したものであり、安定的に水系フッ素樹脂に添加し得るものである。このような酸素含有率及びpHを有するカーボンの詳細な構造は明らかではないが、カーボン表面にカルボキシル基、水酸基、ケトン基等の官能基を付け、しかもこれらの官能基が有する水素の一部をナトリウム等のアルカリ金属に置換させたものが好適に使用される。
【0026】
上記導電剤の添加量は、所望とする抵抗が得られるように適宜調整することができる。この場合、外層の抵抗は、体積抵抗率103〜1012Ω・cm、特に105〜1010Ω・cmとすることが好ましく、このような体積抵抗率を達成するように導電剤の添加量を調整することができ、導電剤としてカーボンを用いた場合の添加量は、通常、外層の0.01〜40重量%、特に5〜20重量%程度とされる。
【0027】
なお、この外層には、上記塗膜層4と同様に、必要に応じて増粘剤、チクソトロピー性付与剤、構造粘性付与剤等の適宜な添加剤を必要に応じて適量添加することができ、この場合添加剤は無機系,有機系のいずれであってもよい。
【0028】
この外層の厚さは、特に制限されるものではないが、30μm以下、特に5〜15μmとすることが好ましく、外層の厚さが30μmを超えると、外層が硬くなって柔軟性が損なわれる場合があり、耐久性が低下して使用によりクラックが発生する虞れがある。
【0029】
上記塗膜層4及び必要に応じてこの塗膜層4上に形成される上記外層の形成方法は、特に制限されるものではないが、これら各層を形成する各成分を含む塗料を調製し、この塗料をディッピング法やスプレー法により塗布する方法が好ましく用いられる。
【0030】
本発明の帯電部材は、上記弾性層3、塗膜層4及び必要に応じて設けられる上記外層を有するものであり、例えば図1に示したようなローラ状に形成し得るものであるが、更に必要に応じて上記弾性層3と塗膜層4との間にその他の層を設けることもできる。例えば弾性層3をポリウレタンフォームを用いて形成した場合には、電圧印加時の騒音発生を防止し、かつ弾性層3の表面平滑性を向上させる目的で、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニリデン系共重合体、ポリビニルアセタール樹脂等の基剤樹脂に導電剤を添加した騒音防止層などを設けてもよい。
【0031】
本発明の帯電部材は、上記塗膜層4を上述した水系塗膜としたことにより、変形が生じ難くにもかかわらず、表面硬度を十分に低くすることができるものであり、具体的には騒音発生や感光体等の破損を確実に防止するためには、部材の表面硬度がマイクロ硬度で80゜以下、特に75゜以下であることが好ましく、より好ましくは50〜75°である。本発明の帯電部材によれば、塗膜層4上に上記外層を形成する場合でも該外層の厚さ等を上述した範囲とすることにより、部材表面のマイクロ硬度をかかる好適範囲とすることができるものである。
【0032】
なお、マイクロ硬度とは、直径0.16mmφ、長さ0.5mmの押針を試料に押し当て、該試料に変形を与え、そのときの押針食い込み量(変位)から硬度値を求めたものであり、従来の硬度計では測定が困難であった薄物,小物の試料の硬度を測定することができるものである。従って、帯電部材の表面硬度をこのマイクロ硬度で測定すれば、従来のアスカーC硬度と比べて表面から極めて浅い(薄い)範囲の硬度が示されるものであり、本発明の帯電部材は、このような表面から極浅い範囲の硬度を比較的低くすることができるものである。このようなマイクロ硬度は市販のマイクロ硬度計、例えば、高分子計器(株)製のマイクロ硬度計MD−1等により容易に測定することができる。
【0033】
また、帯電部材の表面に凹凸があると、この凹部内にトナーが詰まって画像不良の原因となることがあるため、部材表面はできるだけ平滑であることが好ましく、具体的にはJIS10点平均粗さRzで4μm以下、特に3μm、更には2μm以下とすることが好ましい。
【0034】
上記本発明の帯電部材は、感光ドラム等の被帯電体に当接した状態に配設され、被帯電体と本発明帯電部材との間に電圧を印加することにより、被帯電体を帯電させるものであるが、この場合、帯電部材と被帯電体との間に印加する電圧は、直流電圧であっても交流電圧であってもよく、特に制限されるものではないが、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加して帯電を行うようにすることが好ましく、これにより被帯電体をより均一に帯電させることができる。また、特に制限されるものではないが、本発明の帯電部材と被帯電体との接触圧力は、50〜2000g、特に100〜1000gとすることが好ましく、これにより良好な帯電を確実に得ることができる。
【0035】
本発明帯電部材を用いた帯電装置については、例えば、図2に示したように、本発明の帯電部材1を感光ドラム等の被帯電体5に当接させ、電圧印加手段6から被帯電体5との間に電圧を印加するように構成した帯電装置を例示することができるが、これに限定されるものではなく、被帯電体5、帯電部材1の形態や電圧印加手段6による電圧印加方式等は適宜変更して差し支えない。
【0036】
【発明の効果】
本発明の帯電部材によれば、接触帯電法により帯電操作を行う場合に、変形が生じ難く、変形起因する画像不良の発生を可及的に防止することができる上、表面硬度が十分に低く、騒音の発生や被帯電体の削れなどの不都合の発生を効果的に防止することができる。
従って、本発明の帯電部材を用いた帯電装置によれば、騒音の発生や被帯電体の削れなどの不都合を生じることなく、良好な帯電操作を長期に亘って安定的に行うことができるものである。
【0037】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0038】
[実施例1]
導電性のウレタンフォームからなる弾性層の表面に、厚さ300μmの塗膜層Aを形成し、該塗膜層A表面に、厚さ10μmの外層Bを形成して、帯電ローラを作成した。上記塗膜層A及び上記外層Bは、下記の通りである。得られた帯電ローラの表面粗さは、JIS10点平均粗さRzで0.3μmであり、マイクロ硬度は57゜であった。
【0039】
塗膜層A
カルボキシル基を有する水系アクリル樹脂に、カーボンと、アルキレンオキサイドを主鎖に持つエポキシ架橋剤(官能基数:2、エポキシ当量:280)を添加した塗料を塗布することにより形成し、体積抵抗率は5×107Ωcmに調整した。なお、この塗料(塗膜層A)は3日間経過後でも粘度上昇はなく安定であった。
外層B
水分散型フッ素樹脂、塩化ビニリデン系共重合体ラテックス、及びポリビニルアセタール樹脂をブレンドした樹脂にカーボンを添加した塗料を塗布することにより成形し、体積抵抗率は5×107Ωcmに調整した。なお、上記カーボンとしては、酸素含有量が10%、pHが7.33のものを用いた。
【0040】
得られた帯電ローラをプリンターに装着し、温度15℃,湿度10%RHにて画像出ししたところ、良好な画像が得られ、更に連続6000枚の画像出しを行っても画像の劣化は見られなかった。
【0041】
また、この帯電ローラを感光体に圧接して回転させ、直流電圧−7.0kVに交流電圧Vpp2.0kV(周波数500Hz)を重畳した電圧を印加して帯電操作を行い、このときの騒音を測定した。その結果、騒音の大きさは50dBであり、特に問題はなかった。
【0042】
更に、この帯電ローラの両端部にそれぞれ500gの荷重をかけて、該帯電ローラを1000gの圧力で感光体に当接させ、50℃,95RHで3日間放置した後、ローラを取り出し、当接部分のへこみ量をレーザー外径測定装置(ミツトヨ社製)を用いて測定したところ、変形量は20μmであり、試験後のローラをプリンターに装着して画像出ししたところ、特に画像不良は発生しなかった。
【0043】
[実施例2]
導電性のウレタンフォームからなる弾性層の表面に、厚さ300μmの塗膜層Cを形成し、該塗膜層C表面に、上記実施例1と同様の外層Bを形成して、帯電ローラを作成した。上記塗膜層Cは、下記の通りである。得られた帯電ローラの表面粗さは、JIS10点平均粗さRzで0.3μmであり、マイクロ硬度は60゜であった。
【0044】
塗膜層C
塗膜層Aと同様のカルボキシル基を有する水系アクリル樹脂に、カーボンと、アルキレンオキサイドを主鎖に持つエポキシ架橋剤(官能基数:2、エポキシ当量:195)を添加した塗料を塗布することにより形成し、体積抵抗率は5×107Ωcmに調整した。なお、この塗料(塗膜層C)は3日間経過後でも粘度上昇はなく安定であった。
【0045】
得られた帯電ローラをプリンターに装着し、実施例1と同様に画像出ししたところ、良好な画像が得られ、更に連続6000枚の画像出しを行っても画像の劣化は見られなかった。また、実施例1と同様に騒音の測定を行ったところ、騒音の大きさは53dBであり、特に問題はなかった。更に、実施例1と同様に圧接試験を行ったところ、変形量は25μmであり、試験後のローラをプリンターに装着して画像出ししたところ、特に画像不良は発生しなかった。
【0046】
[比較例1]
導電性のウレタンフォームからなる弾性層の表面に、厚さ300μmの塗膜層Dを形成し、該塗膜層D表面に、上記実施例1と同様の外層Bを形成して、帯電ローラを作成した。上記塗膜層Dは、下記の通りである。得られた帯電ローラの表面粗さは、JIS10点平均粗さRzで0.3μmであり、マイクロ硬度は70゜であった。
【0047】
塗膜層D
塗膜層Aと同様のカルボキシル基を有する水系アクリル樹脂に、カーボンのみを添加した塗料を塗布することにより形成し、体積抵抗率は5×107Ωcmに調整した。
【0048】
得られた帯電ローラをプリンターに装着し、実施例1と同様に画像出ししたところ、良好な画像が得られ、更に連続6000枚の画像出しを行っても画像の劣化は見られなかった。また、実施例1と同様に騒音の測定を行ったところ、騒音の大きさは60dBであり、特に問題はなかった。しかしながら、実施例1と同様に圧接試験を行ったところ、変形量が50μmもあり、試験後のローラをプリンターに装着して画像出ししたところ、ハーフトーン画面に、帯電ローラの変形に起因する横縞が生じた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明帯電部材の一例を示す断面図である。
【図2】本発明帯電装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 帯電部材
2 シャフト
3 弾性層
4 塗膜層
5 被帯電体
6 電圧印加手段
Claims (3)
- 被帯電体に当接させて、この被帯電体との間に電圧を印加することにより、被帯電体を帯電させる帯電部材において、弾性層と、該弾性層の外側に直接又は他の層を介して形成された塗膜層とを有し、該塗膜層が、ガラス転移温度−50〜10℃、カルボキシル基の含有率2〜5重量%で、ソープフリーのエマルジョンタイプであるアクリル樹脂を、アルキレンオキサイドを主鎖に持ちかつエポキシ官能基数が2〜3のエポキシ系架橋剤によって架橋した水系塗膜であることを特徴とする帯電部材。
- エポキシ系架橋剤が、エポキシ基当量195〜280のものである請求項1記載の帯電部材。
- 被帯電体に当接し、被帯電体を帯電させる帯電部材と、被帯電体と帯電部材との間に電圧を印加する電圧印加手段とを具備してなる帯電装置において、上記帯電部材として請求項1又は2に記載の帯電部材を用いたことを特徴とする帯電装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11759897A JP3949222B2 (ja) | 1997-04-21 | 1997-04-21 | 帯電部材及び帯電装置 |
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