JP3945450B2 - エチレン系共重合体組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、エチレン系共重合体組成物に関し、さらに詳しくは、フィルムなどの素材として用いられるエチレン系共重合体組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】
エチレン系共重合体は、種々の成形方法により成形され、多方面の用途に供されている。エチレン系共重合体は、成形方法や用途に応じて要求される特性も異なってくる。たとえばインフレーションフィルムを高速で成形しようとする場合、バブルのゆれ、あるいはちぎれがなく、安定して高速成形を行うためには、エチレン系共重合体として分子量の割にはメルトテンション(溶融張力)の大きいものを選択しなければならない。同様の特性が中空成形におけるたれ下りあるいはちぎれを防止するために、あるいはTダイ成形における幅落ちを最小限に押えるために必要である。加えてこのような押出成形では、押出時における高剪断下におけるエチレン系共重合体の応力が小さいことが成形物の品質向上や成形時の消費電力減少等の経済面からも必要である。
【0003】
ところで、チーグラー型触媒、特にチタン系触媒を用いて得られるエチレン重合体の溶融張力や膨比(ダイスウエル比)を向上させて成形性の向上を図る方法が、特開昭56-90810号公報あるいは特開昭60-106806号公報などに提案されている。しかし、一般にチタン系触媒を用いて得られるエチレン系重合体、特に低密度エチレン系共重合体では、組成分布が広く、フィルムなどの成形体はベタつきがあるなどの問題点があった。
【0004】
チーグラー型触媒系の内、メタロセン触媒系を用いて得られるエチレン系重合体では、組成分布が狭くフィルムなどの成形体はベタつきが少ないなどの長所があることが知られている。しかしながら、分子量分布が狭いことから、押出成形時の流動性が悪いことが懸念される。
【0005】
このためもしメルトテンションが高く、機械的強度に優れるエチレン系重合体が出現すれば、その工業的価値は極めて大きい。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、上記のような状況に鑑みなされたものであって成形性に優れ、かつ光学特性および/または機械的強度に優れたフィルムを製造し得るようなエチレン系共重合体組成物の製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】
本発明に係るエチレン系共重合体組成物の製造方法は、
(I)
(a)有機アルミニウムオキシ化合物と、
(b-I)下記一般式[b-I]で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、
ML1 X … [b-I]
(式中Mは、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムを示し、L1は遷移金属原子Mに配位する配位子を示し、これらのうち2個の配位子L1は、炭素原子数3〜10の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基を有する置換シクロペンタジエニル基であり、置換シクロペンタジエニル基以外の配位子L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子または水素原子であり、Xは遷移金属原子Mの原子価を示す)
(b-II)下記一般式[b-II]で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含み、
ML2 X … [b-II]
(式中Mは、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムを示し、L2は遷移金属原子に配位する配位子であり、これらのうち2個の配位子L2は、置換基を有していてもよいインデニル基であり、これらの基は、炭化水素基、シリレン基または置換シリレン基を介して結合されており、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子L2 は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子または水素原子であり、Xは遷移金属原子Mの原子価を示す)
前記遷移金属化合物(b-I)と前記遷移金属化合物(b-II)とのモル比〔(b-I)/(b-II)〕が99/1〜80/20の範囲にあるオレフィン重合用触媒の存在下にエチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとを共重合させることにより、
(i)密度が0.850〜0.980g/cm3 の範囲にあり、
(ii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.27〜6dl/gの範囲にあり、
(iii)190℃におけるメルトテンション〔MT(g)〕とメルトフローレート〔MFR(g/10分)〕が
MT>2.2×MFR-0.84
で示される関係を満たすエチレン・α-オレフィン共重合体(A)を製造するとともに、
(a)有機アルミニウムオキシ化合物と、
(b’)上記一般式[b -I ]で表される遷移金属化合物または、該遷移金属化合物および上記一般式[b -II ]で表される遷移金属化合物と
を含むオレフィン重合用触媒の存在下にエチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとを共重合させることにより、
(i)密度が0.850〜0.980g/cm3 の範囲にあり、
(ii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜1.23dl/gの範囲にあるエチレン・α-オレフィン共重合体(B)を製造し、
次いで、前記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)とエチレン・α-オレフィン共重合体(B)とを混合して、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)20〜90重量%と、エチレン・α-オレフィン共重合体(B)10〜80重量%とからなる組成物を製造することを特徴としている。
【0008】
このような方法で得られたエチレン系共重合体組成物は、成形性に優れている。本発明のエチレン系共重合体組成物からは、光学特性および/または機械的強度に優れたフィルムを製造することができる。
【0009】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るエチレン系共重合体組成物の製造方法について具体的に説明する。
【0010】
本発明に係るエチレン系共重合体組成物は、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)とエチレン・α-オレフィン共重合体(B)とから形成されている。
【0011】
本発明に係るエチレン系共重合体組成物を形成する各成分について詳細に説明する。
【0012】
[エチレン・α-オレフィン共重合体(A)]
本発明に係るエチレン系共重合体組成物を形成するエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、エチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとのランダム共重合体である。エチレンとの共重合に用いられる炭素原子数3〜20のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。これらの中では炭素原子数3〜10のα-オレフィンが好ましく、炭素原子数3〜6のα-オレフィンがより好ましい。
【0013】
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)では、エチレンから導かれる構成単位は、50〜100重量%、好ましくは55〜99重量%、より好ましくは65〜98重量%、最も好ましくは70〜97重量%の割合で存在し、炭素原子数3〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位は0〜50重量%、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは2〜35重量%、最も好ましくは3〜30重量%の割合で存在することが望ましい。
【0014】
エチレン・α-オレフィン共重合体の組成は、通常10mmφの試料管中で約200mgの共重合体を1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C−NMRスペクトルを、測定温度120℃、測定周波数25.05MHz 、スペクトル幅1500Hz 、パルス繰返し時間4.2sec.、パルス幅6μsec.の測定条件下で測定して決定される。
【0015】
このようなエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、下記(i)〜(iii)に示すような特性を有していることが好ましく、下記(i)〜(vi)に示すような特性を有していることがより好ましい。
【0016】
(i)密度(d)は、0.850〜0.980g/cm3、好ましくは0.880〜0.940g/cm3、より好ましくは0.890〜0.935g/cm3、最も好ましくは0.900〜0.930g/cm3の範囲にあることが望ましい。
【0017】
なお密度(d)は、190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)測定時に得られるストランドを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定する。
【0018】
(ii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.4〜8dl/g、好ましくは1.25〜8dl/g、より好ましくは1.27〜6dl/gの範囲にあることが望ましい。
【0019】
(iii)190℃におけるメルトテンション〔MT(g)〕とメルトフローレート〔MFR(g/10分)〕とが
MT>2.2×MFR-0.84
好ましくは
8.0×MFR-0.84 >MT>2.3×MFR-0.84
より好ましくは
7.5×MFR-0.84 >MT>2.5×MFR-0.84
で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0020】
このような特性を有するエチレン・α-オレフィン共重合体は、溶融張力(MT)が大きく、成形性が良好である。
【0021】
なお、溶融張力(MT)は、溶融させたポリマーを一定速度で延伸した時の応力を測定することにより決定される。すなわち、生成ポリマー粉体を通常の方法で溶融後ペレット化して測定サンプルとし、東洋精機製作所製、MT測定機を用い、樹脂温度190℃、押し出し速度15mm/分、巻取り速度10〜20m/分、ノズル径2.09mmφ、ノズル長さ8mmの条件で行なった。ペレット化の際、エチレン・α-オレフィン共重合体に、あらかじめ二次抗酸化剤としてのトリ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェートを0.05重量%、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネートを0.1重量%、塩酸吸収剤としてのステアリン酸カルシウムを0.05重量%配合した。
【0022】
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238-65T に従い190℃、2.16kg荷重の条件下に測定される。
【0023】
(iv)190℃における応力が2.4×106 dyne/cm2に到達する時のずり速度で定義される流動インデックス〔FI(1/秒)〕とメルトフローレート〔MFR(g/10分)〕とが
FI<150×MFR
好ましくは FI<140×MFR
より好ましくは FI<130×MFR
で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0024】
なお、流動インデックス(FI)は、ずり速度を変えながら樹脂をキャピラリーから押し出し、その時の応力を測定することにより決定される。すなわち、溶融張力測定と同様の試料を用い、東洋精機製作所製、毛細式流れ特性試験機を用い、樹脂温度190℃、ずり応力の範囲が5×104〜3×106 dyne/cm2程度で測定される。
【0025】
なお測定する樹脂のMFR(g/10分)によって、ノズルの直径を次の様に変更して測定する。
【0026】
MFR>20 のとき0.5mm
20≧MFR>3 のとき1.0mm
3≧MFR>0.8のとき2.0mm
0.8≧MFR のとき3.0mm
(v)示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度〔Tm(℃)〕と密度〔d(g/cm3 )〕とが
Tm<400×d−250
好ましくは Tm<450×d−297
より好ましくは Tm<500×d−344
特に好ましくは Tm<550×d−391
で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0027】
なお示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm)は、試料約5mgをアルミパンに詰め10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持したのち20℃/分で室温まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求められる。測定は、パーキンエルマー社製DSC-7 型装置を用いた。
【0028】
(vi)室温におけるn-デカン可溶成分量分率〔W(重量%)〕と密度〔d(g/cm3 )〕とが
MFR≦10g/10分のとき、
W<80×exp(−100(d−0.88))+0.1
好ましくは W<60×exp(−100(d−0.88))+0.1
より好ましくは W<40×exp(−100(d−0.88))+0.1
MFR>10g/10分のとき
W<80×(MFR−9)0.26×exp(−100(d−0.88))+0.1
で示される関係を満たしている。
【0029】
なお、n-デカン可溶成分量(可溶成分量の少ないもの程組成分布が狭い)の測定は、共重合体約3gをn-デカン450mlに加え、145℃で溶解後室温まで冷却し、濾過によりn-デカン不溶部を除き、濾液よりn-デカン可溶部を回収することにより行われる。
【0030】
このように示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温度(Tm)と密度(d)との関係、そしてn-デカン可溶成分量分率(W)と密度(d)とが上記のような関係を有するようなエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は組成分布が狭いと言える。
【0031】
上記のような特性を有するエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、たとえば後述する有機アルミニウムオキシ化合物(a)、遷移金属化合物(b-I)、遷移金属化合物(b-II)、および担体、必要に応じて有機アルミニウム化合物(c)から形成されるオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとを、得られる共重合体の密度が0.850〜0.980g/cm3となるように共重合させることによって製造することができる。
【0032】
[エチレン・α-オレフィン共重合体(B)]
本発明に係るエチレン系共重合体組成物を形成するエチレン・α-オレフィン共重合体(B)は、エチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとのランダム共重合体である。エチレンとの共重合に用いられる炭素原子数3〜20のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。これらの中では炭素原子数3〜10のα-オレフィンが好ましく、炭素原子数3〜6のα-オレフィンがより好ましい。
【0033】
エチレン・α-オレフィン共重合体(B)では、エチレンから導かれる構成単位は、50〜100重量%、好ましくは55〜99重量%、より好ましくは65〜98重量%、最も好ましくは70〜97重量%の割合で存在し、炭素原子数3〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位は0〜50重量%、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは2〜35重量%、最も好ましくは4〜30重量%の割合で存在することが望ましい。
【0034】
このようなエチレン・α-オレフィン共重合体(B)は、下記(i)、(ii)に示すような特性を有していることが好ましく、下記(i)〜(vi)に示すような特性を有していることがより好ましい。
【0035】
(i)密度(d)は、0.850〜0.980g/cm3、好ましくは0.910〜0.960g/cm3、より好ましくは0.915〜0.955g/cm3、最も好ましくは0.920〜0.950g/cm3の範囲にあることが望ましい。
【0036】
(ii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.4〜8dl/g、好ましくは0.4〜1.25dl/g、より好ましくは0.5〜1.23dl/gの範囲にあることが望ましい。
【0037】
(iii)示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度〔Tm(℃)〕と密度〔d(g/cm3 )〕とが
Tm<400×d−250
好ましくは Tm<450×d−297
より好ましくは Tm<500×d−344
特に好ましくは Tm<550×d−391
で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0038】
(iv)室温におけるn-デカン可溶成分量分率〔W(重量%)〕と密度〔d(g/cm3 )〕とが
MFR≦10g/10分のとき、
W<80×exp(−100(d−0.88))+0.1
好ましくは W<60×exp(−100(d−0.88))+0.1
より好ましくは W<40×exp(−100(d−0.88))+0.1
MFR>10g/10分のとき
W<80×(MFR−9)0.26×exp(−100(d−0.88))+0.1
で示される関係を満たしている。
【0039】
このように示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温度(Tm)と密度(d)との関係、そしてn-デカン可溶成分量分率(W)と密度(d)とが上記のような関係を有するようなエチレン・α-オレフィン共重合体(B)は組成分布が狭いと言える。
【0040】
上記のような特性を有するエチレン・α-オレフィン共重合体(B)は、後述するような有機アルミニウムオキシ化合物(a)、遷移金属化合物(b’)、および担体、必要に応じて有機アルミニウム化合物(c)から形成されるオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとを、得られる共重合体の密度が0.850〜0.980g/cm3となるように共重合させることによって製造することができる。
【0041】
次に本発明のエチレン系共重合体組成物を形成するエチレン・α-オレフィン共重合体(A)および(B)の共重合の際に用いられる触媒成分である有機アルミニウムオキシ化合物(a)、遷移金属化合物(b-I)、遷移金属化合物(b-II)、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(b’)、担体および有機アルミニウム化合物(c)について具体的に説明する。
【0042】
本発明においてエチレン・α-オレフィン共重合体(A)および(B)の共重合の際に用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(a)(以下「成分(a)」と記載することがある。)は、従来公知のベンゼン可溶性のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−276807号公報で開示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0043】
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができる。
【0044】
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、有機アルミニウム化合物と吸着水または結晶水とを反応させる方法。
【0045】
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水や氷や水蒸気を作用させる方法。
【0046】
(3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒体中でトリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等の有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0047】
なお、このアルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解してもよい。
【0048】
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどが挙げられる。
【0049】
これらのうち、トリアルキルアルミニウムおよびトリシクロアルキルアルミニウムが特に好ましい。
【0050】
また、この有機アルミニウム化合物として、下記一般式
(i-C4H9)xAly(C5H10)z
(x、y、zは正の数であり、z≧2xである)
で表わされるイソプレニルアルミニウムを用いることもできる。
【0051】
上記のような有機アルミニウム化合物は、単独であるいは組合せて用いられる。
【0052】
アルミノキサンの調製の際に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。その他、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素が好ましい。
【0053】
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であり、ベンゼンに対して不溶性あるいは難溶性である。
【0054】
このような有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼンに対する溶解性は、100ミリグラム原子のAlに相当する該有機アルミニウムオキシ化合物を100mlのベンゼンに懸濁した後、攪拌下60℃で6時間混合した後、ジャケット付G−5ガラス製フィルターを用い、60℃で熱時濾過を行ない、フィルター上に分離された固体部を60℃のベンゼン50mlを用いて4回洗浄した後の全濾液中に存在するAl原子の存在量(xミリモル)を測定することにより求められる(x%)。
【0055】
本発明においてエチレン・α-オレフィン共重合体(A)の共重合の際に用いられる遷移金属化合物(b-I)は、具体的には下記式[b-I]で表わされる遷移金属化合物であり、また遷移金属化合物(b-II)は、具体的には下記式[b-II]で表わされる遷移金属化合物である。
【0056】
ML1 X … [b-I]
(式中Mは、周期表第4族から選ばれる遷移金属原子であり、L1は遷移金属原子Mに配位する配位子であり、これらのうち少なくとも2個の配位子L1は、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基であるか、または炭素原子数3〜10の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基を有する置換シクロペンタジエニル基であり、(置換)シクロペンタジエニル基以外の配位子L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子または水素原子であり、Xは遷移金属原子Mの原子価である。)
ML2 X … [b-II]
(式中Mは、周期表第4族から選ばれる遷移金属原子を示し、L2は遷移金属原子に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも2個の配位子L2は、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、これらの基は、炭化水素基、シリレン基または置換シリレン基を介して結合されており、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子L2は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子または水素原子であり、Xは遷移金属原子Mの原子価を示す)。
【0057】
以下、上記一般式[b-I]で表わされる遷移金属化合物(b-I)および上記一般式[b-II]で表わされる遷移金属化合物(b-II)について、より具体的に説明する。
【0058】
上記式[b-I]において、Mは周期表第4族から選ばれる遷移金属原子であり、具体的には、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
【0059】
L1は、遷移金属原子Mに配位する配位子であり、これらのうち少なくとも2個の配位子L1は、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基であるか、または炭素原子数3〜10の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する置換シクロペンタジエニル基である。これらの配位子は、各々同一であっても異なっていてもよい。また(置換)シクロペンタジエニル基以外の配位子L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基または水素原子である。
【0060】
なお置換シクロペンタジエニル基は、置換基を2個以上有していてもよく、2個以上の置換基は各々同一であっても異なっていてもよい。置換シクロペンタジエニル基は、置換基を2個以上有する場合は、少なくとも1個の置換基が炭素原子数3〜10の炭化水素基であればよく、他の置換基は、メチル基、エチル基または炭素原子数3〜10の炭化水素基である。
【0061】
炭素原子数3〜10の炭化水素基として具体的には、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などを例示することができる。より具体的には、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基、ネオフィル基などのアラルキル基を例示することができる。
【0062】
これらのうちアルキル基が好ましく、n-プロピル基、n-ブチル基が特に好ましい。
【0063】
本発明では、遷移金属原子に配位する(置換)シクロペンタジエニル基としては、置換シクロペンタジエニル基が好ましく、炭素原子数3以上のアルキル基が置換したシクロペンタジエニル基がより好ましく、二置換シクロペンタジエニル基が更に好ましく、1,3-置換シクロペンタジエニル基が特に好ましい。
【0064】
一般式[b-I]で表される化合物では、一般式[b-II]で表される化合物のように遷移金属原子Mに配位する2個の(置換)シクロペンタジエニル基は炭化水素基などを介して結合されていない。
【0065】
また上記一般式[b-I]において、遷移金属原子Mに配位する(置換)シクロペンタジエニル基以外の配位子L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子または水素原子である。
【0066】
炭素原子数1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などを例示することができ、より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基、ネオフィル基などのアラルキル基を例示することができる。
【0067】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、オクトキシ基などを例示することができる。
【0068】
アリーロキシ基としては、フェノキシ基などを例示することができる。トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基などを例示することができる。
【0069】
ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。
【0070】
このような一般式[b-I]で表わされる遷移金属化合物としては、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n-ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチル-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジメチル-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムブトキシクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジエトキシド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムベンジルクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムハイドライドクロリドなどが挙げられる。なお、上記例示において、シクロペンタジエニル環の二置換体は1,2-および1,3-置換体を含み、三置換体は1,2,3-および1,2,4-置換体を含む。また、上記のようなジルコニウム化合物において、ジルコニウム金属を、チタン金属またはハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることができる。
【0071】
これらの、一般式[b-I]で表わされる遷移金属化合物のうちでは、
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(1-メチル-3-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(1-メチル-3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、が特に好ましい。
【0072】
上記一般式[b-II]においてMは周期表第4族から選ばれる遷移金属原子であり、具体的には、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
【0073】
L2は遷移金属原子に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも2個の配位子L2は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
【0074】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子として具体的には、たとえばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、メチルエチルシクロペンタジエニル基、プロピルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、ブチルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、ヘキシルシクロペンタジエニル基などのアルキル置換シクロペンタジエニル基あるいはインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などを例示することができる。これらの基は、さらにハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
【0075】
これらのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子のうち、2個の配位子は、炭化水素基、シリレン基または置換シリレン基を介して結合されている。炭化水素基としては、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基が挙げられ、置換シリレン基としては、ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などが挙げられる。
【0076】
また上記式[b-II]において、遷移金属原子Mに配位するシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子L2は、上記一般式[b-I]中のL1と同様の炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子または水素原子である。
【0077】
このような一般式[b-II]で表わされる遷移金属化合物としては、
エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)ジエチルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)ジフェニルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
エチレンビス(インデニル)エチルジルコニウムモノクロリド、
エチレンビス(インデニル)メチルジルコニウムモノブロミド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、
エチレンビス{1-(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル) }ジメチルジルコニウム、
エチレンビス{1-(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル) }メチルジルコニウムモノクロリド、
エチレンビス{1-(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス{1-(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)}ジルコニウムジブロミド、
エチレンビス{1-(4-メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス{1-(5-メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス{1-(6-メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス{1-(7-メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス{1-(5-メトキシインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス{1-(2,3-ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス{1-(4,7-ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス{1-(4,7-ジメトキシインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。なお、上記例示において、シクロペンタジエニル環の二置換体は1,2-および1,3-置換体を含み、三置換体は1,2,3-および1,2,4-置換体を含む。本発明では、上記のようなジルコニウム化合物において、ジルコニウム金属を、チタン金属またはハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることができる。
【0078】
これらの、一般式[b-II]で表わされる遷移金属化合物のうちでは、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
が特に好ましい。
【0079】
本発明では、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)を製造するに際して上記一般式[b-I]で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種と、上記一般式[b-II]で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種を組み合わせて用いる。
【0080】
具体的には、ビス(1-メチル-3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドとエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドとの組み合わせ、
ビス(1-メチル-3-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドとエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドとの組み合わせ、
ビス(1-メチル-3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドとジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドとの組み合わせ、
ビス(1-メチル-3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドとジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドとの組み合わせが好ましい。
【0081】
上記一般式[b-I]で表される遷移金属化合物(b-I)から選ばれる少なくとも1種の遷移金属化合物と、上記一般式[b-II]で表される遷移金属化合物(b-II)から選ばれる少なくとも1種の遷移金属化合物とは、モル比(b-I/b-II)で99/1〜80/20、好ましくは97/3〜82/18、より好ましくは95/5〜85/15の範囲となるような量で用いられることが望ましい。このような比率で上記一般式[b-I]で表される遷移金属化合物(b-I)から選ばれる少なくとも1種の遷移金属化合物と、上記一般式[b-II]で表される遷移金属化合物(b-II)から選ばれる少なくとも1種の遷移金属化合物とを用いることにより、より成形性に優れ、光学特性および/または機械的強度に優れたエチレン系共重合体組成物を形成しうるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)を製造することができる。モル比(b-I/b-II)が95/5〜85/15の範囲となる量で用いると特に光学特性および機械的強度に優れたエチレン系共重合体組成物を形成しうるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)を製造することができる。
【0082】
以下「成分(b)」という語は、上記一般式[b-I]で表される遷移金属化合物(b-I)から選ばれる少なくとも1種と、上記一般式[b-II]で表される遷移金属化合物(b-II)から選ばれる少なくとも1種とを含む遷移金属化合物触媒成分を意味する場合がある。
【0083】
本発明においてエチレン・α-オレフィン共重合体(B)の共重合の際に用いられる(b’)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(以下「成分(b’)」と記載することがある。)は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物であれば特に限定されないが、下記一般式[b-III]で示される遷移金属化合物であることが好ましい。
【0084】
MLx … [b-III]
(式中Mは、周期表第4族から選ばれる遷移金属原子であり、Lは遷移金属に配位する配位子であり、少なくとも1個のLはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、SO3R基(ただしRはハロゲンなどの置換基を有していてもよい炭素原子数1〜8の炭化水素基)、ハロゲン原子または水素原子であり、xは遷移金属原子の原子価である。)
なお上記一般式[b-III]で示される遷移金属化合物は、上記一般式[b-I]で表される遷移金属化合物(b-I)および上記一般式[b-II]で表される遷移金属化合物(b-II)を含んでいる。
【0085】
上記一般式[b-III]において、Mは周期表第4族から選ばれる遷移金属原子であり、具体的には、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
【0086】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、たとえば前記式[b-II]で例示したものと同様の配位子が挙げられる。
【0087】
上記一般式[b-III]で表される化合物がシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個以上含む場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子同士は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0088】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子Lとしては、具体的に下記のようなものが挙げられる。
【0089】
炭素原子数1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられ、より具体的には、
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などが例示され、
シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが例示され、
アリール基としては、フェニル基、トリル基などが例示され、
アラルキル基としては、ベンジル基、ネオフィル基などが例示される。
【0090】
またアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが例示され、
アリーロキシ基としては、フェノキシ基などが例示され、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが例示される。
【0091】
SO3Rで表される配位子としては、p-トルエンスルホナト基、メタンスルホナト基、トリフルオロメタンスルホナト基などが例示される。
【0092】
このようなシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物は、たとえば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記一般式[b-III']で示される。
【0093】
R2 kR3 lR4 mR5 nM … [b-III']
(式中、Mは上記遷移金属原子であり、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、R3、R4およびR5はシクロペンタジエニル骨格を有する基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、SO3R基、ハロゲン原子または水素原子であり、kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。)本発明では上記一般式において、R2、R3、R4およびR5のうち2個(たとえばR2およびR3)がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であるメタロセン化合物が好ましく用いられる。この場合にはこれらのシクロペンタジエニル骨格を有する基はエチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。また、この場合他の配位子(たとえばR4およびR5)はシクロペンタジエニル骨格を有する基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、SO3R、ハロゲン原子または水素原子である。
【0094】
以下に、Mがジルコニウムである遷移金属化合物について具体的な化合物を例示する。
【0095】
ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、
ビス(インデニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
ビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、
エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)ジフェニルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ジメチルシリレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、
ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)シクロヘキシルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ベンジルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0096】
なお上記例示において、シクロペンタジエニル環の二置換体は1,2-および1,3-置換体を含み、三置換体は1,2,3-および1,2,4-置換体を含む。またプロピル、ブチルなどのアルキル基は、n-、i-、sec-、tert-などの異性体を含む。
【0097】
また上記のようなジルコニウム化合物において、ジルコニウムを、チタンまたはハフニウムに置換えた化合物を用いることもできる。
【0098】
本発明においてエチレン・α-オレフィン共重合体(A)および(B)の共重合の際に用いられる担体は、無機あるいは有機の化合物であって、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体が使用される。このうち無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物、たとえばSiO2-MgO、SiO2-Al2O3、SiO2-TiO2、SiO2-V2O5、SiO2-Cr2O3、SiO2-TiO2-MgO等を例示することができる。これらの中でSiO2およびAl2O3からなる群から選ばれた少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
【0099】
なお、上記無機酸化物には少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2、Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差しつかえない。
【0100】
このような担体はその種類および製法により性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gであり、細孔容積が0.3〜2.5cm3/gであることが望ましい。該担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。
【0101】
このような担体では、吸着水量が1.0重量%未満、好ましくは0.5重量%未満であることが望ましく、表面水酸基が1.0重量%以上、好ましくは1.5〜4.0重量%、特に好ましくは2.0〜3.5重量%であることが望ましい。
【0102】
ここで、担体の吸着水量(重量%)および表面水酸基量(重量%)は下記のようにして求められる。
【0103】
[吸着水量]
200℃の温度で、常圧、窒素流通下で4時間乾燥させたときの重量減少量を求め、乾燥前の重量に対する百分率を吸着水量とする。
【0104】
[表面水酸基量]
200℃の温度で、常圧、窒素流通下で4時間乾燥して得られた担体の重量をX(g)とし、さらに該担体を1000℃で20時間焼成して得られた表面水酸基が消失した焼成物の重量をY(g)として、下記式により計算する。
【0105】
表面水酸基量(重量%)={(X−Y)/X}×100
さらに、本発明に用いることのできる担体としては、粒径が10〜300μmである有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。これら有機化合物としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素原子数2〜14のα-オレフィンを主成分として生成される(共)重合体あるいはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体もしくは共重合体を例示することができる。
【0106】
本発明において共重合体(A)の共重合に用いられる触媒は、上記有機アルミニウムオキシ化合物(a)、遷移金属化合物(b-I)、遷移金属化合物(b-II)、および担体から形成され、共重合体(B)の共重合に用いられる触媒は、有機アルミニウムオキシ化合物(a)、遷移金属化合物(b’)、および担体から形成されるが、それぞれ必要に応じて有機アルミニウム化合物(c)を含んでいてもよい。
【0107】
必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物(c)(以下「成分(c)」と記載することがある。)としては、たとえば下記一般式[IV]で表される有機アルミニウム化合物を例示することができる。
【0108】
R1 nAlX3-n … [IV]
(式中、R1 は炭素原子数1〜12の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子または水素原子を示し、nは1〜3である。)
上記一般式[IV]において、R1 は炭素原子数1〜12の炭化水素基たとえばアルキル基、シクロアルキル基またはアリ−ル基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
【0109】
このような有機アルミニウム化合物(c)としては、具体的には以下のような化合物が挙げられる。
【0110】
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなど。
【0111】
また有機アルミニウム化合物(c)として、下記一般式[V]で表される化合物を用いることもできる。
【0112】
R1 nAlY3-n … [V]
(式中、R1 は上記と同様であり、Yは−OR2基、−OSiR3 3基、−OAlR4 2基、−NR5 2基、−SiR6 3基または−N(R7)AlR8 2基であり、nは1〜2であり、R2、R3、R4およびR8はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、R5は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、R6 およびR7 はメチル基、エチル基などである。)
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
(1)R1 nAl(OR2)3-n で表される化合物、たとえば
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど、
(2)R1 nAl(OSiR3 3)3-n で表される化合物、たとえば
Et2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2 Al(OSiEt3)など;
(3)R1 nAl(OAlR4 2)3-n で表される化合物、たとえば
Et2AlOAlEt2 、(iso-Bu)2AlOAl(iso-Bu)2 など;
(4) R1 nAl(NR5 2)3-n で表される化合物、たとえば
Me2AlNEt2 、Et2AlNHMe 、Me2AlNHEt、Et2AlN(SiMe3)2、(iso-Bu)2AlN(SiMe3)2 など;
(5)R1 nAl(SiR6 3)3-n で表される化合物、たとえば
(iso-Bu)2AlSiMe3 など;
(6)R1 nAl(N(R7)AlR8 2)3-n で表される化合物、たとえば
Et2AlN(Me)AlEt2 、
(iso-Bu)2AlN(Et)Al(iso-Bu)2 など。
【0113】
上記一般式[IV]および[V]で表される有機アルミニウム化合物の中では、一般式R1 3Al、R1nAl(OR2)3-n 、R1 nAl(OAlR4 2)3-n で表わされる化合物が好ましく、特にRがイソアルキル基であり、n=2である化合物が好ましい。
【0114】
本発明でエチレン・α-オレフィン共重合体(A)の製造に用いられるオレフィン重合用触媒(A)としては、上記のような成分(a)、成分(b)および担体、必要に応じて成分(c)を接触させることにより調製される触媒〔固体触媒(A)〕が好ましく用いられる。
【0115】
成分(a)〜成分(c)および担体を接触させる際の順序は任意に選ばれるが、好ましくは担体と成分(a)とを混合接触させ、次いで成分(b)を混合接触させ、さらに必要に応じて成分(c)を混合接触させる。なお成分(b)は、該成分(b)を形成する2種以上の遷移金属化合物を予め混合した後、他の成分と混合接触させることが好ましい。
【0116】
上記成分(a)〜成分(c)および担体の接触は、不活性炭化水素媒体中で行うことができ、触媒の調製に用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。
【0117】
成分(a)、成分(b)、担体および必要に応じて成分(c)を混合接触するに際して、成分(b)は担体1g当り、通常5×10-6〜5×10-4モル、好ましくは10-5〜2×10-4モルの量で用いられ、成分(b)の濃度は、約10-4〜2×10-2モル/リットル(媒体)、好ましくは2×10-4〜10-2モル/リットル(媒体)の範囲である。成分(a)のアルミニウムと成分(b)中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜500、好ましくは20〜200である。必要に応じて用いられる成分(c)のアルミニウム原子(Al-c)と成分(a)のアルミニウム原子(Al-a)の原子比(Al-c/Al-a)は、通常0.02〜3、好ましくは0.05〜1.5の範囲である。成分(a)、成分(b)および担体、必要に応じて成分(c)を混合接触する際の混合温度は、通常−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時間は1分〜50時間、好ましくは10分〜25時間である。
【0118】
上記のようにして得られた固体触媒(A)〔固体触媒成分(A)〕は、担体1g当り成分(b)に由来する遷移金属原子が5×10-6〜5×10-4グラム原子、好ましくは10-5〜2×10-4グラム原子の量で担持され、また担体1g当り成分(a)および成分(c)に由来するアルミニウム原子が10-3〜5×10-2グラム原子、好ましくは2×10-3〜2×10-2グラム原子の量で担持されていることが望ましい。
【0119】
オレフィン重合用触媒(A)は、上記のような成分(a)、成分(b)、担体および必要に応じて成分(c)の存在下にオレフィンを予備重合させて得られる触媒〔予備重合触媒(A)〕であってもよい。予備重合は、上記のような成分(a)、成分(b)、担体の存在下、必要に応じて成分(c)の共存下、不活性炭化水素媒体中にオレフィンを導入することにより行うことができる。なお上記成分(a)、(b)および担体から前記固体触媒成分(A)が形成されていることが好ましい。この場合、固体触媒成分(A)に加えて、さらに担体に担持されていない成分(a)および/または成分(c)を添加してもよい。
【0120】
予備重合の際に用いられるオレフィンとしては、エチレンおよび炭素原子数が3〜20のα-オレフィン、たとえばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセンなどを例示することができる。これらの中では、エチレン、またはエチレンと重合の際に用いられるα-オレフィンとの組合せが特に好ましい。
【0121】
予備重合する際には、上記成分(b)は、該成分(b)に由来する遷移金属原子に換算して通常10-6〜2×10-2モル/リットル(媒体)、好ましくは5×10-5〜10-2モル/リットル(媒体)の量で用いられ、成分(b)は担体1g当り、通常5×10-6〜5×10-4モル、好ましくは10-5〜2×10-4モルの量で用いられる。成分(a)のアルミニウムと成分(b)中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜500、好ましくは20〜200である。必要に応じて用いられる成分(c)のアルミニウム原子(Al-c)と成分(a)のアルミニウム原子(Al-a)の原子比(Al-c/Al-a)は、通常0.02〜3、好ましくは0.05〜1.5の範囲である。予備重合温度は−20〜80℃、好ましくは0〜60℃であり、また予備重合時間は0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間程度である。
【0122】
予備重合触媒(A)は、たとえば下記のようにして調製される。すなわち、担体を不活性炭化水素で懸濁状にする。次いで、この懸濁液に有機アルミニウムオキシ化合物〔成分(a)〕を加え、所定の時間反応させる。その後上澄液を除去し、得られた固体成分を不活性炭化水素で再懸濁化する。この系内へ遷移金属化合物〔成分(b)〕を加え、所定時間反応させた後、上澄液を除去し固体触媒成分を得る。続いて有機アルミニウム化合物〔成分(c)〕を含有する不活性炭化水素に、上記で得られた固体触媒成分を加え、そこへオレフィンを導入することにより、予備重合触媒(A)を得る。
【0123】
予備重合で生成するオレフィン重合体は、担体1g当り0.1〜500g、好ましくは0.2〜300g、より好ましくは0.5〜200gの量であることが望ましい。また、予備重合触媒(A)には、担体1g当り成分(b)は遷移金属原子として約5×10-6〜5×10-4グラム原子、好ましくは10-5〜2×10-4グラム原子の量で担持され、成分(a)および成分(c)に由来するアルミニウム原子(Al)は、成分(b)に由来する遷移金属原子(M)に対するモル比(Al/M)で、5〜200、好ましくは10〜150の範囲の量で担持されていることが望ましい。
【0124】
予備重合は、回分式あるいは連続式のいずれでも行うことができ、また減圧、常圧あるいは加圧下のいずれでも行うことができる。予備重合においては、水素を共存させて、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.2〜7dl/gの範囲、好ましくは0.5〜5dl/gであるような予備重合体を製造することが望ましい。
【0125】
本発明でエチレン・α-オレフィン共重合体(B)の製造に用いられるオレフィン重合用触媒(B)としては、上記のような成分(a)、成分(b’)および担体、必要に応じて成分(c)を接触させることにより調製される触媒〔固体触媒(B)〕が用いられる。固体触媒(B)は、成分(a)、成分(b’)および担体、必要に応じて成分(c)を用いて前記固体触媒(A)と同様にして調製することができる。
【0126】
固体触媒(B)〔固体触媒成分(B)〕は、担体1g当り成分(b’)に由来する遷移金属原子が5×10-6〜5×10-4グラム原子、好ましくは10-5〜2×10-4グラム原子の量で担持され、また担体1g当り成分(a)および成分(c)に由来するアルミニウム原子が10-3〜5×10-2グラム原子、好ましくは2×10-3〜2×10-2グラム原子の量で担持されていることが望ましい。
【0127】
オレフィン重合用触媒(B)は、上記のような成分(a)、成分(b’)、担体および必要に応じて成分(c)の存在下にオレフィンを予備重合させて得られる触媒〔予備重合触媒(B)〕であってもよい。予備重合触媒(B)は、成分(a)、成分(b’)、担体および必要に応じて成分(c)を用いて予備重合触媒(A)と同様にして調製することができる。
【0128】
予備重合触媒(B)は、たとえば下記のようにして調製される。すなわち、担体を不活性炭化水素で懸濁状にする。次いで、この懸濁液に有機アルミニウムオキシ化合物〔成分(a)〕を加え、所定の時間反応させる。その後上澄液を除去し、得られた固体成分を不活性炭化水素で再懸濁化する。この系内へ遷移金属化合物〔成分(b’)〕を加え、所定時間反応させた後、上澄液を除去し固体触媒成分を得る。続いて有機アルミニウム化合物〔成分(c)〕を含有する不活性炭化水素に、上記で得られた固体触媒成分を加え、そこへオレフィンを導入することにより、予備重合触媒(B)を得る。
【0129】
予備重合で生成するオレフィン重合体は、担体1g当り0.1〜500g、好ましくは0.2〜300g、より好ましくは0.5〜200gの量であることが望ましい。また、予備重合触媒(B)には、担体1g当り成分(b’)は遷移金属原子として約5×10-6〜5×10-4グラム原子、好ましくは10-5〜2×10-4グラム原子の量で担持され、成分(a)および成分(c)に由来するアルミニウム原子(Al)は、成分(b’)に由来する遷移金属原子(M)に対するモル比(Al/M)で、5〜200、好ましくは10〜150の範囲の量で担持されていることが望ましい。
【0130】
本発明のエチレン系共重合体組成物を形成するエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、前記オレフィン重合用触媒(A)の存在下に、エチレンと、炭素原子数が3〜20のα-オレフィン、たとえばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンとを共重合することによって得られる。
【0131】
エチレンとα-オレフィンとの共重合は、気相であるいはスラリー状の液相で行われる。スラリー重合においては、不活性炭化水素を媒体としてもよいし、オレフィン自体を媒体とすることもできる。
【0132】
スラリー重合において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族系炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分などが挙げられる。これら不活性炭化水素媒体のうち脂肪族系炭化水素、脂環族系炭化水素、石油留分などが好ましい。
【0133】
スラリー重合法または気相重合法で実施する際には、オレフィン重合用触媒(A)は、重合反応系内の遷移金属原子の濃度として、通常10-8〜10-3グラム原子/リットル、好ましくは10-7〜10-4グラム原子/リットルの量で用いられることが望ましい。
【0134】
また重合に際して、担体に担持されている有機アルミニウムオキシ化合物〔成分(a)〕および有機アルミニウム化合物〔成分(c)〕に加えて、さらに担持されていない有機アルミニウムオキシ化合物および/または有機アルミニウム化合物を用いてもよい。この場合、担持されていない有機アルミニウムオキシ化合物および/または有機アルミニウム化合物に由来するアルミニウム原子(Al)と、遷移金属化合物(b)に由来する遷移金属原子(M)との原子比(Al/M)は、5〜300、好ましくは10〜200、より好ましくは15〜150の範囲である。
【0135】
スラリー重合法を実施する際には、重合温度は、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の範囲であり、気相重合法を実施する際には、重合温度は、通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の範囲である。
【0136】
重合圧力は、通常常圧ないし100kg/cm2、好ましくは2〜50kg/cm2の加圧条件下であり、重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式においても行うことができる。
【0137】
本発明のエチレン系共重合体組成物を形成するエチレン・α-オレフィン共重合体(B)は、前記オレフィン重合用触媒(B)の存在下に、エチレンと、炭素原子数が3〜20のα-オレフィンとを共重合することによって得られる。炭素原子数3〜30のα-オレフィンとしては上記と同様のものが挙げられる。
【0138】
エチレンとα-オレフィンとの共重合は、気相であるいはスラリー状の液相で行われる。スラリー重合においては、不活性炭化水素を媒体としてもよいし、オレフィン自体を媒体とすることもできる。
【0139】
スラリー重合において用いられる不活性炭化水素媒体としては、前記と同様のものが挙げられる。これら不活性炭化水素媒体のうち脂肪族系炭化水素、脂環族系炭化水素、石油留分などが好ましい。
【0140】
スラリー重合法または気相重合法で実施する際には、オレフィン重合用触媒(B)は、重合反応系内の遷移金属原子の濃度として、通常10-8〜10-3グラム原子/リットル、好ましくは10-7〜10-4グラム原子/リットルの量で用いられることが望ましい。
【0141】
また重合に際して、担体に担持されている有機アルミニウムオキシ化合物〔成分(a)〕および有機アルミニウム化合物〔成分(c)〕に加えて、さらに担持されていない有機アルミニウムオキシ化合物および/または有機アルミニウム化合物を用いてもよい。この場合、担持されていない有機アルミニウムオキシ化合物および/または有機アルミニウム化合物に由来するアルミニウム原子(Al)と、遷移金属化合物(b’)に由来する遷移金属原子(M)との原子比(Al/M)は、5〜300、好ましくは10〜200、より好ましくは15〜150の範囲である。
【0142】
スラリー重合法を実施する際には、重合温度は、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の範囲であり、気相重合法を実施する際には、重合温度は、通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の範囲である。
【0143】
重合圧力は、通常常圧ないし100kg/cm2、好ましくは2〜50kg/cm2の加圧条件下であり、重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式においても行うことができる。
【0144】
[エチレン系共重合体組成物]
本発明に係るエチレン系共重合体組成物は、前記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)と、エチレン・α-オレフィン共重合体(B)とからなり、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)は20〜90重量%、好ましくは40〜75重量%の割合で含まれ、エチレン・α-オレフィン共重合体(B)は10〜80重量%、好ましくは25〜60重量%の割合で含まれることが望ましい。(ただし、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)とエチレン・α-オレフィン共重合体(B)とは同一ではない)
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)および(B)は、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の密度と、エチレン・α-オレフィン共重合体(B)の密度との比〔(A)/(B)〕が好ましくは1未満、より好ましくは0.930〜0.999となるように組み合わせて用いられる。
【0145】
このようなエチレン系共重合体組成物は、下記(i)〜(vi)に示すような特性を有することが好ましい。
【0146】
(i)密度が0.850〜0.980g/cm3 、好ましくは0.890〜0.955g/cm3 、より好ましくは0.900〜0.950g/cm3 の範囲であることが望ましい。
【0147】
(ii)190℃、2.16kg荷重における該組成物のメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分、好ましくは0.2〜50g/10分の範囲であることが望ましい。
【0148】
(iii)190℃におけるメルトテンション〔MT(g)〕とメルトフローレート〔MFR(g/10分)〕とが、
MT≧2.2×MFR-0.84
で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0149】
(iv)190℃における応力が2.4×106 dyne/cm2に到達する時のずり速度で定義される流動インデックス(FI(1/秒))とメルトフローレート〔MFR(g/10分)〕とが、
FI>100×MFR
好ましくは FI>130×MFR
より好ましくは FI>150×MFR
で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0150】
(v)示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度〔Tm(℃)〕と密度〔d(g/cm3 )〕とが、
Tm<400×d−250
好ましくは Tm<450×d−297
より好ましくは Tm<500×d−344
特に好ましくは Tm<550×d−391
で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0151】
(vi)室温におけるn-デカン可溶成分量分率〔W(重量%)〕と密度〔d(g/cm3 )〕とが、
MFR≦10g/10分のとき、
W<80×exp(−100(d−0.88))+0.1
好ましくは W<60×exp(−100(d−0.88))+0.1
より好ましくは W<40×exp(−100(d−0.88))+0.1
MFR>10g/10分のとき
W<80×(MFR−9)0.26×exp(−100(d−0.88))+0.1
で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0152】
本発明のエチレン系共重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
【0153】
本発明のエチレン系共重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえば、下記のような方法で製造することができる。
【0154】
(1)エチレン・α-オレフィン共重合体(A)と、エチレン・α-オレフィン共重合体(B)、および所望により添加される他成分を、押出機、ニーダー等を用いて機械的にブレンドする方法。
【0155】
(2)エチレン・α-オレフィン共重合体(A)と、エチレン・α-オレフィン共重合体(B)、および所望により添加される他成分を適当な良溶媒(たとえば;ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の炭化水素溶媒)に溶解し、次いで溶媒を除去する方法。
【0156】
(3)エチレン・α-オレフィン共重合体(A)と、エチレン・α-オレフィン共重合体(B)、および所望により添加される他成分を適当な良溶媒にそれぞれ別個に溶解した溶液を調製した後混合し、次いで溶媒を除去する方法。
【0157】
(4)上記(1)〜(3)の方法を組み合わせて行う方法。
【0158】
さらに、エチレン系共重合体組成物は、1個または複数の重合器を用いて、共重合を反応条件の異なる2段以上に分けて、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)およびエチレン・α-オレフィン共重合体(B)を共重合することにより製造することができ、また、複数の重合器を用い、それぞれの重合器でエチレン・α-オレフィン共重合体(A)およびエチレン・α-オレフィン共重合体(B)を共重合することにより製造することもできる。
【0159】
本発明のエチレン系共重合体組成物は、通常の空冷インフレーション成形、空冷2段冷却インフレーション成形、高速インフレーション成形、T−ダイフィルム成形、水冷インフレーション成形等で加工することにより、フィルムを得ることができる。このようにして成形されたフィルムは、光学特性および/または機械的強度に優れ、通常のLLDPEの特徴であるヒートシール性、ホットタック性、耐熱性等を有している。また、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)および(B)の組成分布が極めて狭いため、フィルム表面のべたつきもない。更にメルトテンションが高いため、インフレーション成形時のバブル安定性に優れる。
【0160】
本発明のエチレン系共重合体組成物を加工することにより得られるフィルムは、規格袋、重袋、ラップフィルム、ラミ原反、砂糖袋、油物包装袋、水物包装袋、食品包装用等の各種包装用フィルム、輸液バッグ、農業用資材等に好適である。また、ナイロン、ポリエステル等の基材と貼り合わせて、多層フィルムとして用いることもできる。さらにブロー輸液バッグ、ブローボトル、押出形成によるチューブ、パイプ、引きちぎりキャップ、日用雑貨品など射出成形物、繊維、回転成形による大型成形品などにも用いることができる。
【0161】
【発明の効果】
本発明の方法により得られたエチレン系共重合体組成物は、成形性に優れている。このようなエチレン系共重合体組成物からはグロス、ヘイズなどの光学特性および/またはフィルムインパクトなどの機械的強度に優れたフィルムを製造することができる。
【0162】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0163】
なお、本発明においてフィルムの物性評価は下記のようにして行った。
【0164】
[ヘイズ(曇度)]
ASTM-D-1003-61にしたがって測定した。
【0165】
[グロス(光沢)]
JIS Z8741にしたがって測定した。
【0166】
[フィルムインパクト]
東洋精機製作所製振子式フィルム衝撃試験機(フィルムインパクトテスター)により測定した。
【0167】
【製造例1】
エチレン・1-ヘキセン共重合体の重合
[触媒成分の調製]
250℃で10時間乾燥したシリカ5.0kgを80リットルのトルエンで懸濁状にした後、0℃まで冷却した。その後、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al;1.33モル/リットル)28.7リットルを1時間で滴下した。この際、系内の温度を0℃に保った。引続き0℃で30分間反応させ、次いで1.5時間かけて95℃まで昇温し、その温度で4時間反応させた。その後60℃まで降温し上澄液をデカンテーション法により除去した。
【0168】
このようにして得られた固体成分をトルエンで2回洗浄した後、トルエン80リットルで再懸濁化した。この系内へビス(1,3-n-ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(Zr;34.0ミリモル/リットル)7.4リットルおよびエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(Zr;1.92ミリモル/リットル)14.6リットルを80℃で30分間かけて滴下し、更に80℃で2時間反応させた。その後、上澄液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することにより、1g当り3.4mgのジルコニウムを含有する固体触媒を得た。
【0169】
[予備重合触媒の調製]
1.7モルのトリイソブチルアルミニウムを含有する85リットルのヘキサンに、上記で得られた固体触媒0.85kgおよび1-ヘキセン76.5gを加え、35℃で2時間エチレンの予備重合を行うことにより、固体触媒1g当り3gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒を得た。
【0170】
[重合]
連続式流動床気相重合装置を用い、全圧20kg/cm2−G、重合温度70℃でエチレンと1-ヘキセンとの共重合を行った。上記で調製した予備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.16ミリモル/h、トリイソブチルアルミニウムを10ミリモル/hの割合で連続的に供給し、重合の間一定のガス組成を維持するためにエチレン、1-ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成;1-ヘキセン/エチレン=0.030、水素/エチレン=4.3×10-4、エチレン濃度=25%)。
【0171】
このようにして得られたエチレン・1-ヘキセン共重合体(A−1)の収量は6.2kg/hであり、MFRが0.44g/10分であり、密度が0.915g/cm3であり、室温におけるデカン可溶部が0.45重量%であった。
【0172】
【実施例1】
上記製造例1により製造したエチレン・1-ヘキセン共重合体(A−1)および、上記製造例1とガス組成比以外は同様にして重合したエチレン・1-ヘキセン共重合体(B−1)を(A−1)/(B−1)=60/40(重量部)の混合比でドライブレンドし、更に更に樹脂部100重量部に対して、二次抗酸化剤としてのトリ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェートを0.05重量部、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネートを0.1重量部、塩酸吸収剤としてのステアリン酸カルシウムを0.05重量部配合した。しかる後にハーケ社製コニカルテーパー状2軸押出機を用い、設定温度180℃で混練してエチレン系共重合体組成物を得た。
【0173】
上記で得られたエチレン系共重合体組成物を用い、20mmφ・L/D=26の単軸押出機、25mmφのダイ、リップ幅0.7mm、一重スリットエアリングを用い、エア流量=90リットル/分、押出量=9g/分、ブロー比=1.8、引き取り速度=2.4m/分、加工温度=200℃条件下で、厚み30μmのフィルムをインフレーション成形した。
【0174】
エチレン系共重合体組成物の溶融物性およびフィルム物性を表2に示す。
【0175】
流動性、成形性に優れ、光学特性および強度に優れたインフレーションフィルムが得られた。
【0176】
【参考例1】
上記製造例1とガス組成以外は同様にして重合した、密度、MFRが実施例1で得られた組成物と同等であるエチレン・1-ヘキセン共重合体(C−1)を用いて、実施例1と同様にしてインフレーション成形により厚み30μmのフィルムを成形した。エチレン・1-ヘキセン共重合体(C−1)の物性を表1に示し、エチレン系共重合体の溶融物性およびフィルム物性を表2に示す。
【0177】
実施例1および参考例1から、実施例1は強度、高剪断領域における流動性(FI)に優れていることがわかる。
【0178】
【比較例1】
製造例1において、触媒成分中のジルコニウム化合物として、ビス(1,3-n-ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのみを用いた以外は製造例1と同様の方法で得られたエチレン・1-ヘキセン共重合体(A−2)および(B−2)を表2に示したような重量比でドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練してエチレン系共重合体組成物を得た。
【0179】
得られたエチレン系共重合体組成物の密度は0.922g/cm3であり、MFRは1.9g/10分であった。
【0180】
このエチレン系共重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてインフレーション成形により厚み30μmのフィルムを成形した。エチレン系共重合体組成物の溶融物性およびフィルム物性を表2に示す。
【0181】
実施例1は比較例1よりも光学特性に優れ、また比較例1よりも成形性(MT)、高剪断域における流動性(FI)に優れる。
【0182】
【比較例2】
製造例1において、触媒成分中のジルコニウム化合物の混合比を表1のように変更した以外は製造例1と同様の方法で得られたエチレン・1-ヘキセン共重合体(A−3)および(B−3)を表2に示したような重量比でドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練してエチレン系共重合体組成物を得た。
【0183】
得られたエチレン系共重合体組成物の密度は0.921g/cm3であり、MFRは1.2g/10分であった。
【0184】
このエチレン系共重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてインフレーション成形により厚み30μmのフィルムを成形した。エチレン系共重合体組成物の溶融物性およびフィルム物性を表2に示す。
【0185】
比較例2は、フィルムの透明性が劣る。
【0186】
【実施例2】
製造例1において重合したエチレン・1-ヘキセン共重合体(A−1)および比較例1において重合したエチレン・1-ヘキセン共重合体(B−2)を、表2に示したような重量比でドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練してエチレン系共重合体組成物を得た。
【0187】
得られたエチレン系共重合体組成物の密度は0.923g/cm3であり、MFRは1.2g/10分であった。
【0188】
このエチレン系共重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてインフレーション成形により厚み30μmのフィルムを成形した。エチレン系共重合体組成物の溶融物性およびフィルム物性を表2に示す。
【0189】
高剪断域における流動性(FI)、成形性(MT)に優れ、光学特性、フィルムインパクトに優れたインフレーションフィルムが得られた。
【0190】
【表1】
【0191】
【表2】
Claims (1)
- (I)
(a)有機アルミニウムオキシ化合物と、
(b-I)下記一般式[b-I]で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、
ML1 X … [b-I]
(式中Mは、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムを示し、L1は遷移金属原子Mに配位する配位子を示し、これらのうち2個の配位子L1は、炭素原子数3〜10の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基を有する置換シクロペンタジエニル基であり、置換シクロペンタジエニル基以外の配位子L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子または水素原子であり、Xは遷移金属原子Mの原子価を示す)
(b-II)下記一般式[b-II]で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含み、
ML2 X … [b-II]
(式中Mは、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムを示し、L2は遷移金属原子に配位する配位子であり、これらのうち2個の配位子L2は、置換基を有していてもよいインデニル基であり、これらの基は、炭化水素基、シリレン基または置換シリレン基を介して結合されており、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子L2 は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子または水素原子であり、Xは遷移金属原子Mの原子価を示す)
前記遷移金属化合物(b-I)と前記遷移金属化合物(b-II)とのモル比〔(b-I)/(b-II)〕が99/1〜80/20の範囲にあるオレフィン重合用触媒の存在下にエチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとを共重合させることにより、
(i)密度が0.850〜0.980g/cm3 の範囲にあり、
(ii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.27〜6dl/gの範囲にあり、
(iii)190℃におけるメルトテンション〔MT(g)〕とメルトフローレート〔MFR(g/10分)〕が
MT>2.2×MFR-0.84
で示される関係を満たすエチレン・α-オレフィン共重合体(A)を製造するとともに、
(a)有機アルミニウムオキシ化合物と、
(b’)上記一般式[b -I ]で表される遷移金属化合物または、該遷移金属化合物および上記一般式[b -II ]で表される遷移金属化合物と
を含むオレフィン重合用触媒の存在下にエチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとを共重合させることにより、
(i)密度が0.850〜0.980g/cm3 の範囲にあり、
(ii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜1.23dl/gの範囲にあるエチレン・α-オレフィン共重合体(B)を製造し、
次いで、前記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)とエチレン・α-オレフィン共重合体(B)とを混合して、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)20〜90重量%と、エチレン・α-オレフィン共重合体(B)10〜80重量%とからなる組成物を製造することを特徴とするエチレン系共重合体組成物の製造方法。
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