JP3945043B2 - 金属窒化物膜の形成方法および電子装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金属窒化物膜の形成方法および電子装置の製造方法に関し、さらに詳しくは、不純物濃度が低く、組成制御性に優れた金属窒化物膜の形成方法およびこれを用いた高集積度半導体装置等の電子装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ULSI(Ultra Large Scale Integrated Circuits) 等の半導体装置の高集積度化が進展するに伴い、配線幅および配線ピッチの微細化が必要となっている。また同時に、特に高速ロジック系の半導体装置をはじめとする半導体装置の低消費電力化、動作速度の高速化等の要求に応えるためには、低誘電率の層間絶縁膜材料とともに、低抵抗な電極配線材料の選択およびそのプロセス技術が要素技術として重要性を増している。これは、半導体装置以外の各種高周波微細電子装置においても同様に重要な問題である。
【0003】
従来より半導体装置等の配線材料として比較的低抵抗なAl−SiやAl−Si−Cu等のアルミニウム系金属が用いられてきた。しかしながら、次世代の電極配線材料としては、Alより比抵抗が小さく、エレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション耐性にも優れるCuが有力視されている。Cuの比抵抗は1.72μΩ−cmであり、Alの比抵抗2.7μΩ−cmの約60%である。Cuの成膜方法は、スパッタリング法やCVD (Chemical Vapor Deposition)法等の他に、電界めっき法も適用できる。
【0004】
Cuによる微細電極配線は、層間絶縁膜としてのSiO2 や、Si中に容易に拡散する問題点がある。このため、半導体装置等の電極配線として実用化するためには、層間絶縁膜や不純物拡散層との間にバリアメタルを形成してCuの拡散を防止する必要がある。
【0005】
従来からの電極配線材料であるAlやWにおいてもバリアメタルは必要であり、TiNが広く用いられている。しかしながら、TiNは成膜された状態で柱状の結晶構造を持つため、その結晶粒界をCu原子はたやすく拡散する性質がある。このため、TiNはCuに対するバリアメタルとしては充分に機能しない。
【0006】
そこでCuに対するバリアメタルとして、TaやW、およびこれらの化合物、すなわちTa2 N,W2 N,TaSiNあるいはWSiN等が注目されている。これは、TaやW自体がCuと合金を作りにくいこと、またTaやWの窒化物がアモルファス構造として成膜されるため、原理的に粒界拡散が生じにくいためである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
高集積度半導体装置の多層配線間の層間接続 (Interconnection)のバリアメタルとしてTaやWの窒化物を実用化するためには、主な問題点が2つある。
一つは高アスペクト比の微細な接続孔(コンタクトホールおよびビアホール)の底部および側壁に、ステップカバレッジ良く成膜する形成法である。
二つめは金属と窒素の組成比の制御である。金属と窒素の原子比を1:1すなわちTaNやWNとして成膜すると、比抵抗が1000μΩ−cmを超える高抵抗膜となる。このためバリア性を損なわない範囲で低抵抗な膜とするため、金属リッチなTa2 N,W2 Nの組成に制御する必要がある。
【0008】
ステップカバレッジの向上については、スパッタリング法に替えてCVD法を採用することにより解決される。
しかしながら、TaやWの窒化物を熱CVD法で形成する場合にはその組成制御が困難である。例えばTa窒化物の熱CVD法として、TaBr5 +NH3 の反応系を用いると、Ta/Nの組成比が1となり、比抵抗が5000μΩ−cmの高抵抗膜となる。またTaの有機化合物の熱分解によるMOCVD法では、有機Ta化合物中にすでにNを含むものが多いため、この場合も組成制御が困難である。
【0009】
一方、金属ハロゲン化物、窒素および水素を原料ガスとするプラズマCVD法による金属窒化物膜の成膜方法も検討されている。例えば、ECR (Electron Cyclotron Resonance) プラズマCVD法を用い、高密度のH2 /N2 /Ar混合ガスプラズマにより、WF6 ガスの還元および窒化反応を促進できることが第37回応用物理学関係連合講演会(1990年春季年会)講演予稿集p591、講演番号29a−ZA−7に報告されている。この方法によれば、プラズマ生成室に5〜20sccm程度の微量のN2 を導入してN活性種を生成することで、WNx (x=0.5〜1)膜を形成することができる。しかしながら、プラズマ生成室に導入されたN2 は高効率に解離されて窒化反応が活発に進むので、所望の組成すなわちW2 Nを得ることができるN2 の添加範囲が狭く、ガス流量の制御が難しい。
【0010】
この問題を図6のグラフに示す。図6はECRプラズマCVD法によるW窒化物の形成におけるN2 流量が組成比および比抵抗に与える影響を示し、横軸にプラズマ生成室へのN2 の添加量を、縦軸に得られるW窒化物のN/W組成比および比抵抗を示している。N/W組成比の値は0.5のときにW2 N組成となり、1.0のときWN組成となる。
このグラフから明らかなように、所望のW2 N組成はN2 流量が5sccmの時に得られるが、この流量付近ではわずかの流量変化でN/W組成比が大きく変動し、またこれに伴い比抵抗の変化率も大きい。すなわち、バリアメタルとしての重要な特性の一つである比抵抗が微量のN2 流量に大きく左右され、プロセスウィンドウを狭くしていることが判る。
【0011】
したがって、本発明は低抵抗かつバリア性に優れた金属窒化物膜を制御性よく形成しうる方法、およびこの金属窒化物膜をバリアメタルとして有する、高集積度半導体装置をはじめとする電子装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を達成するため、本発明の金属膜の形成方法は、
プラズマ生成室と、このプラズマ生成室に連接されたプラズマ処理室とを有するプラズマ処理装置を用い、
金属ハロゲン化物ガス、窒化剤ガス、還元性ガスおよび希ガスを必須構成要素とする原料ガスにより、被処理基体上に金属窒化物膜を形成する金属窒化物膜の形成方法であって、
これら原料ガスのうち、還元性ガスおよび希ガスをプラズマ生成室に導入するとともに、
これら原料ガスのうち、金属ハロゲン化物ガスおよび窒化剤ガスをプラズマ処理室に導入することを特徴とする。
【0013】
また本発明の電子装置の製造方法は、
プラズマ生成室と、このプラズマ生成室に連接されたプラズマ処理室とを有するプラズマ処理装置を用い、
金属ハロゲン化物ガス、窒化剤ガス、還元性ガスおよび希ガスを必須構成要素とする原料ガスにより、被処理基体上に金属窒化物膜を形成する工程を有する電子装置の製造方法であって、
これら原料ガスのうち、還元性ガスおよび希ガスをプラズマ生成室に導入するとともに、
これら原料ガスのうち、金属ハロゲン化物ガスおよび窒化剤ガスをプラズマ処理室に導入することを特徴とする。
【0014】
いずれの発明においても、プラズマ生成室におけるプラズマの電子密度は、1×1010cm-3以上の高電子密度であることが望ましい。
【0015】
〔作用〕
水素をはじめとする還元性ガスおよび希ガスをプラズマ生成室に導入することにより、ここで所望の密度の電子および水素活性種が生成される。特に高密度プラズマ発生源を有するプラズマCVD装置の場合には、高密度の水素活性種および電子が生成する。この際、水素ガス単独を放電解離すると、プラズマ中に生成した電子は直ちに水素活性種と再結合するので、高密度の電子供給源として適さない。一方水素と希ガスを同時に放電解離すると、Ar等の希ガスの励起種の寿命が長いので、多くの電子を供給するに適したプラズマとすることがでる。
つぎにプラズマ処理室にこの高密度水素活性種を導入するとともに、金属ハロゲン化物ガスおよび窒化剤ガスを導入する。すると、金属ハロゲン化物は高密度の水素活性種により高効率に還元され、ハロゲンが充分に低減された金属種が生成する。一例として金属ハロゲン化物としてWF6 の場合の反応式はつぎの通りの発熱反応である。
WF6 +6H→W+6HF
標準生成熱 −283.4kcal/mol
【0016】
一方、プラズマ生成室で生成したプラズマ中の高密度の電子は、磁場勾配や拡散プラズマ流によりプラズマ処理室に引き出され、ここに導入されたN2 等の窒化剤ガスを励起して窒素活性種すなわちN2 ラジカルやN2 イオンを生成する。この窒素活性種と先に生成した金属種Wとが反応しWNx が形成される。
2W+1/2N2 * →W2 N
【0017】
このとき、プラズマ処理室に引き出される過程で、寿命の短い電子は部分的に消滅するので、プラズマ処理室における電子密度は低下する。したがって、プラズマ生成室に直接N2 を導入して窒素活性種を生成した従来例に比較して、N2 の励起状態は弱く、それだけN2 ラジカルによるWの窒化反応は緩和される。すなわち、N2 流量に対する窒化曲線の立ち上がりが緩くなり、それだけプロセスウィンドウを広げることができる。
【0018】
すなわち、同一のプラズマCVD装置において、WF6 ガスを還元するためのH2 /Arプラズマの励起状態は充分に高く、窒化を進めるためのN2 プラズマの励起状態は低く制御することが可能である。これにより、低ハロゲン含有量かつ過剰な窒化が制御された低抵抗の金属窒化物膜を安定に形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下電子装置の一例として半導体装置を採りあげ、層間絶縁膜に開口された接続孔を、本発明の金属窒化物膜の形成方法によるバリアメタルおよびCuにより埋め込むコンタクトプラグ形成方法を例にとり、図1を参照して説明する。なお電子装置としては、半導体装置の他に、薄膜磁気ヘッド、磁気抵抗効果型ヘッド、薄膜インダクタ、薄膜コイル、マイクロマシン等の各種電子装置、特に低抵抗のCu配線を採用したものに適用することができる。
【0020】
図1は電子装置の一例として、本発明の金属窒化物膜の形成方法を適用した半導体装置の要部を示す概略断面図である。
すなわち、Si等の半導体基板1上の層間絶縁膜3には、不純物拡散層2に臨んで接続孔4が開口されている。この不純物拡散層2と上層配線8との電気的接続が、コンタクトプラグ7によりなされている。このコンタクトプラグ7は、導電材料6およびバリアメタルとしての金属窒化物膜5により構成されている。この金属窒化物膜5は、本発明の金属窒化物膜の形成方法により成膜されたものである。なおコンタクトプラグ7は、WやCuあるいは高融点金属ポリサイド等の下層配線に臨んで開口された接続孔(ビアホール)に埋め込まれた、ビアコンタクトプラグであってもよい。
【0021】
金属窒化物膜5の材料としては、高融点金属の低次窒化物であり、その中でも柱状あるいは粒状の結晶組織を形成せず、アモルファスあるいはアモルファス状態に近い微結晶として成膜されるものが望ましい。具体的には、W2 N,Ta2 NあるいはMo2 N等が例示される。
【0022】
したがって、本発明で採用される金属ハロゲン化物ガスとしては、WF6 ,WCl6 ,TaBr5 ,MoF6 ,MoCl5 等の比較的蒸気圧が高く気化しやすいフッ化物、塩化物あるいは臭化物等が選ばれる。
【0023】
本発明で採用する窒化剤ガスとしては、N2 ,NH3 あるいはN2 H2 等が例示される。
また本発明で用いる還元性ガスは、H2 あるいはSiH4 等が例示される。
さらに本発明で用いる希ガスはHe,Ar,Xe,KrあるいはNe等が用いられる。
【0024】
本発明で採用するプラズマ処理装置は、プラズマ生成室とプラズマ処理室が連接され、個々に処理ガスを導入できる装置構造を有する。かかるプラズマ処理装置としては、マイクロ波プラズマ処理装置、ECR (Electron Cyclotron Resonance) プラズマ処理装置、ICP (Inductively Coupled Plasma) 処理装置、ヘリコン波プラズマ処理装置等が例示される。これらのプラズマ処理装置はいずれも1×1010cm-3以上の電子密度のプラズマを発生し得るプラズマ生成室を有する。この他にも、アーク放電型プラズマ、平行平板型プラズマ発生源あるいはマグネトロン放電プラズマ発生源を、プラズマ処理室と別個に有するプラズマ処理装置を使用することもできる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の金属窒化物膜の形成方法および電子装置の製造方法につき、実施例により図2〜図5を参照しつつさらに詳しく説明を加える。ただしこれら実施例は単なる例示であり、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0026】
〔実施例1〕
本実施例は、ECRプラズマ処理装置により、金属窒化物膜としてのW2 Nをコンタクトプラグのバリアメタルとして形成した例である。
【0027】
図2(a): ここに示す被処理基体は、本発明の金属窒化物膜の形成方法を適用した半導体装置の要部を示す概略断面図である。
すなわち、Si等の半導体基板1上に層間絶縁膜3をSiO2 等で形成し、この層間絶縁膜3に、半導体基板1に作り込まれたMOSトランジスタ等所定の素子の不純物拡散層2に臨む接続孔4を形成した状態を示す。なお接続孔4は下層配線(不図示)に臨んで開口したビアホールであってもよい。
接続孔4の形状は、例えばその開口径が0.2μm、深さが1.0μm、アスペクト比は5である。接続孔4の形成工程は、まず層間絶縁膜3上にフォトレジストをコーティングし、接続孔の開口形状にパタ−ニングしてレジストマスク(不図示)を形成する。この被エッチング基板を例えばマグネトロンRIE装置に搬入し、つぎのエッチング条件で開口する。
接続孔開口のエッチング条件
C4 F8 14 sccm
CO 250 sccm
Ar 100 sccm
O2 2 sccm
圧力 5.3 Pa
RFパワー 1.6 kW
温度 20 ℃
【0028】
図2(b): 図2(a)に示す被処理基体をECRプラズ処理装置に搬入し、金属窒化物膜5を形成する。
図3はECRプラズマ処理装置により金属窒化物膜5を形成している状態を示す概略断面図である。このECRプラズマ処理装置は、プラズマ生成室10およびプラズマ処理室20とから大略構成されている。プラズマ生成室10には、不図示のマグネトロンで生成した2.45GHzのマイクロ波が導波管11を伝播してマイクロ波導入窓12から導入される。プラズマ生成室10の外周をソレノイドコイル14が囲繞しており、プラズマ生成室10内に0.0875Tの磁界を発生することができる。第1のガスノズル15からプラズマ生成室10内に導入されたH2 とArの混合ガスは、2.45GHzのマイクロ波と0.0875Tの磁界との相互作用によりECR条件が満たされ、高密度のECRプラズマを生成する。
H2 /Ar混合ガスプラズマ生成条件
H2 100〜300 sccm
Ar 100〜200 sccm
圧力 1〜10 mTorr
μ波パワー 1〜3 kW
【0029】
一方プラズマ生成室10に連接されたプラズマ処理室20内には、ステージ21上に被処理基体22がプラズマ生成室10に対向する位置にセッティングされている。ステージの裏面にはステージ側コイル23が配設されており、ソレノイドコイル14の発散磁界を被処理基体22に向けて誘導する磁界を発生している。プラズマ処理室20のプラズマ生成室10側には、第2のガスノズル24が配設されており、ここからWF6 とN2 の混合ガスが導入される。
この混合ガス導入により、プラズマ生成室10内に生成したプラズマ中では、H2 と電子との衝突により、H2 はH原子に解離し、さらにH活性種となる。プラズマ中のこれらH活性種および電子は、プラズマ流あるいは発散磁界により、プラズマ処理室20に引き出される。
【0030】
つぎにプラズマ処理室20にWF6 とN2 の混合ガスを導入する。
WF6 2〜10 sccm
N2 5〜20 sccm
温度 200〜400 ℃
温度は被処理基体22の温度である。
これによりプラズマ生成室10から引き出された水素活性種によりWF6 が還元され、まずWが生成される。この還元反応は、前述の通り
WF6 +6H→W+6HF
標準生成熱 −283.4kcal/mol
の反応式で表される発熱反応であり、容易に進行し、低フッ素含有量のWが生成する。
【0031】
一方プラズマ生成室10から引き出された電子は、プラズマ処理室20内でN2 と衝突してこれを励起し、N2 ラジカル、N2 イオン等のN活性種を生成する。これらN活性種は先に生成したWと反応し、これを窒化してW2 Nからなる金属窒化物膜5を形成する。
2W+1/2N2 * →W2 N
【0032】
ところで、電子はその寿命が短く、プラズマ処理室20に拡散する途中で部分的に消滅し、プラズマ処理室20内での電子密度はプラズマ生成室10内での電子密度より低下する。このため、プラズマ生成室10内に直接N2 を導入して励起する場合に比較して、プラズマ処理室20内にN2 を導入して拡散電子により励起する本実施例の方が、N2 の励起状態が弱い。したがって、Wの過剰な窒化は抑制され、金属リッチで低フッ素含有量の低抵抗なW2 Nからなる金属窒化物膜5が形成される。金属窒化物膜5の厚さは、層間絶縁膜3上の平坦部分で70nmとする。金属窒化物膜5は、ステージ側コイル23により入射粒子の垂直入射成分が高められることにより、接続孔4底部のボトムカバレッジにも優れたものであった。
【0033】
図2(c): この後、導電材料6としてCuを電解めっき法等により形成する。
【0034】
図2(d): 層間絶縁膜3上の導電材料6および金属窒化物膜5をCMP (Chemical Mechanical Polishing)法あるいは全面エッチバック法により除去して平坦化し、接続孔4内にコンタクトプラグ7として埋め込む。
この後、上層配線を常法に準じて形成する。さらに上層の配線構造を形成するには図2(a)に戻って図2(a)〜図2(d)の工程を反復すればよい。最終的にファイナルパシベーション膜の形成およびパッド電極の形成等を経て半導体装置を完成する。
【0035】
〔実施例2〕
本実施例は、金属窒化物膜としてTa2 Nをコンタクトプラグのバリアメタル用に形成した例である。
プラズマ処理装置および被処理基体の構成は前実施例1と同様であるので、重複する説明は省略し、本実施例の特徴部分を説明するに留める。
【0036】
図2(a)に示す被処理基体の構成は前実施例1と同様である。この被処理基体を、図4に示すECRプラズマ処理装置に搬入し、プラズマ生成室10にはH2 とArの混合ガスを導入し、実施例1と同様に高密度プラズマを生成する。
【0037】
つぎにプラズマ処理室20にはTaBr5 およびN2 の混合ガスを導入する。TaBr5 はmp=265℃、bp=348.8℃の常温では固体であるので、加熱気化してプラズマ生成室10に導入する。第1のノズル15はヒータで等で加熱しておく。
TaBr5 2〜10 sccm
N2 5〜20 sccm
温度 200〜400 ℃
プラズマ生成室10から引き出された水素活性種によりTaBr5 が還元され、まずTaが生成される。この還元反応は、
TaBr5 +5H→W+5HBr
標準生成熱 −160.9kcal/mol
の反応式で表される発熱反応であり、容易に進行し、低臭素含有量のTaが生成する。
【0038】
同時に、プラズマ生成室10から引き出された電子は、プラズマ処理室20内でN2 と衝突してこれを励起し、N2 ラジカル、N2 イオン等のN活性種を生成する。これらN活性種は先に生成したTaと反応し、これを窒化してTa2 Nからなる金属窒化物膜5を形成する。
2Ta+1/2N2 * →Ta2 N
【0039】
本実施例においても、プラズマ処理室20内での電子密度はプラズマ生成室10内での電子密度より低く、プラズマ処理室内でのN2 の励起状態が弱い。したがって、Taの過剰な窒化は抑制され、金属リッチで低臭素含有量の低抵抗Ta2 Nからなる金属窒化物膜5が形成される。金属窒化物膜5の厚さは、層間絶縁膜3上の平坦部分で70nmとする。金属窒化物膜5は、ステージ側コイル23により入射粒子の垂直入射成分が高められることにより、接続孔4底部のボトムカバレッジにも優れたものであった。
この後の工程は前実施例1と同様であり、説明を省略する。
【0040】
〔実施例3〕
本実施例は、マイクロ波励起プラズマCVD装置により、金属窒化物膜としてのW2 Nをコンタクトプラグのバリアメタルとして形成した例である。
被処理基体の構成は前実施例1と同様であるので、重複する説明は省略し、本実施例の特徴部分を説明するに留める。
【0041】
図5は本実施例で採用したマイクロ波励起プラズマCVD装置の概略断面図である。このプラズマCVD装置は、磁場との相互作用によるECRモードを使用しない以外は前実施例1で採用したECRプラズマCVD装置と類似した構造を有する。すなわち、プラズマ生成室10は、石英やアルミナ等の誘電体材料から構成されたベルジャと、マグネトロン16で生成したマイクロ波を導波管11を経由して導入するマイクロ波導入部と、H2 /Ar混合ガスを導入する第1のノズル15から構成されている。このH2 /Ar混合ガスは、2.45GHzのマイクロ波により励起されて、比較的高電子密度のプラズマを生成する。
一方のプラズマ処理室20の構成は図2に示したECRプラズマCVD装置に準じたものであり、説明を省略する。
【0042】
図2(a)に示す被処理基体をステージ21上にセッティングし、金属窒化物膜5を形成する。
【0043】
H2 /Ar混合ガスプラズマ生成条件
H2 100〜300 sccm
Ar 100〜200 sccm
圧力 1〜10 mTorr
μ波パワー 1〜3 kW
この混合ガス導入により、プラズマ生成室10内に生成したプラズマ中では、H2 と電子との衝突により、H2 はH原子に解離し、さらにH活性種となる。プラズマ中のこれらH活性種および電子は、プラズマ流に沿ってプラズマ処理室20に引き出される。
【0044】
つぎにプラズマ処理室20にWF6 とN2 の混合ガスを導入する。
WF6 2〜10 sccm
N2 5〜20 sccm
温度 200〜400 ℃
温度は被処理基体の温度である。プラズマ生成室10から引き出された水素活性種によりWF6 が還元され、まずWが生成される。この還元反応、および生成されたWの窒化反応は前実施例1に準じるものである。したがって、本実施例によってもWの過剰な窒化は抑制され、金属リッチで低フッ素含有量の低抵抗W2 Nからなる金属窒化物膜5が形成される。金属窒化物膜5の厚さは、層間絶縁膜3上の平坦部分で70nmとする。金属窒化物膜5は、ステージ側コイル23により入射粒子の垂直入射成分が高められることにより、接続孔4底部のボトムカバレッジにも優れたものであった。
この後の工程は前実施例1に準拠したものであり、重複する説明は省略する。
【0045】
以上本発明を3例の実施例により説明したが、金属ハロゲン化物としてWF6 やTaBr5 の他にWCl6 ,MoF6 ,MoCl5 等の比較的蒸気圧が高く気化しやすい化合物を採用できる。また還元性ガスとしてH2 の他にSiH4 であってもよい。この場合には、金属の珪窒化物WSiN,TaSiNあるいはMoSiN等を形成することができる。
【0046】
本発明はまた比較的低温度で金属窒化物膜を形成することができる。したがって、特に金属窒化物膜の形成温度を250℃程度以下に制御すれば、低誘電率の有機高分子材料を層間絶縁膜とし、ここに開口した接続孔に金属窒化物膜を形成する場合にも好適に実施することができる。かかる有機高分子材料としては、ポリアリールエーテル、ポリイミド、有機SOG、ベンゾシクロブテン、ポリナフタレン、ポリパラキシリレン、テフロン(商標名)、サイトップ(商標名)等が例示される。これらはいずれも高集積度の電子装置の絶縁膜として望ましい低誘電率材料である。
【0047】
本発明の金属窒化物膜の形成方法は、高集積度の半導体装置のコンタクトプラグ等に好適に用いられるが、前述したように低抵抗、かつ拡散による経時変化の少ない電極配線が望まれる、薄膜磁気ヘッド、磁気抵抗効果型ヘッド、薄膜インダクタ、薄膜コイル、マイクロマシン等の各種電子装置の製造方法に適用して効果を奏する。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の金属窒化物膜の形成方法によれば、過剰な窒化が抑制された低抵抗、かつバリア性に優れた金属窒化物膜を制御性よく形成することができる。
【0049】
また本発明の電子装置の製造方法によれば、Cu等拡散しやすい導電材料の拡散を効果的に防止し、しかも低抵抗の電極配線を有する高集積度半導体装置等の電子装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属窒化物膜の形成方法を適用した電子装置の一例である、半導体装置の要部を示す概略断面図である。
【図2】本発明の金属窒化物膜の形成方法を適用した電子装置の一例である、半導体装置の要部の製造工程を示す概略断面図である。
【図3】本発明の金属窒化物膜の形成方法の反応過程および装置構成を示す概略説明図である。
【図4】本発明の他の金属窒化物膜の形成方法の反応過程および装置構成を示す概略説明図である。
【図5】本発明のさらに他の金属窒化物膜の形成方法の反応過程および装置構成を示す概略説明図である。
【図6】従来の金属窒化物膜の形成方法における、N2 流量と組成比、比抵抗の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…半導体基板、2…不純物拡散層、3…層間絶縁膜、4…接続孔、5…金属窒化物膜、6…導電材料、7…コンタクトプラグ、8…上層配線
10…プラズマ生成室、11…導波管、12…マイクロ波導入窓、13…RF電源、14…ソレノイドコイル、16…マグネトロン
20…プラズマ処理室、21…ステージ、22…被処理基体、23…ステージ側コイル
Claims (4)
- 還元性ガスおよび希ガスを導入する第1のガスノズルと、マイクロ波を導入する導波管とを有するプラズマ生成室と、
該プラズマ生成室に連接され、第2のガスノズルおよび被処理基体がプラズマ生成室に対向する位置にセッティングされるステージを有し、該ステージの裏面にステージ側コイルが配設されたプラズマ処理室とを有するプラズマ処理装置を用い、
金属ハロゲン化物ガス、窒化剤ガス、還元性ガスおよび希ガスを必須構成要素とする原料ガスにより、被処理基体上に金属窒化物膜を形成する金属窒化物膜の形成方法であって、
前記原料ガスのうち、前記還元性ガスおよび希ガスを前記第1のガスノズルによりプラズマ生成室に導入し、前記マイクロ波によって前記還元性ガスがプラズマ化されるとともに、
前記原料ガスのうち、前記金属ハロゲン化物ガスおよび窒化剤ガスを前記第2のガスノズルによりプラズマ処理室に導入し、ステージ側コイルにより入射粒子の垂直方向成分を高めて被処理基体上に金属窒化物膜を生成することを特徴とする金属窒化物膜の形成方法。 - 前記プラズマ生成室におけるプラズマの電子密度は、1×1010cm-3以上であることを特徴とする請求項1記載の金属窒化物膜の形成方法。
- 還元性ガスおよび希ガスを導入する第1のガスノズルと、マイクロ波を導入する導波管とを有するプラズマ生成室と、
該プラズマ生成室に連接され、第2のガスノズルおよび被処理基体がプラズマ生成室に対向する位置にセッティングされるステージを有し、該ステージの裏面にステージ側コイルが配設されたプラズマ処理室とを有するプラズマ処理装置を用い、
金属ハロゲン化物ガス、窒化剤ガス、還元性ガスおよび希ガスを必須構成要素とする原料ガスにより、被処理基体上に金属窒化物膜を形成する工程を有する電子装置の製造方法であって、
前記原料ガスのうち、前記還元性ガスおよび希ガスを前記第1のガスノズルによりプラズマ生成室に導入し、前記マイクロ波によって前記還元性ガスがプラズマ化されるとともに、前記原料ガスのうち、前記金属ハロゲン化物ガスおよび窒化剤ガスを前記第2のガスノズルによりプラズマ処理室に導入され、ステージ側コイルにより入射粒子の垂直方向成分を高めて被処理基体上に金属窒化物膜を生成することを特徴とする電子装置の製造方法。 - 前記プラズマ生成室におけるプラズマの電子密度は、1×1010cm-3以上であることを特徴とする請求項3記載の電子装置の製造方法。
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