JP3933254B2 - オフセット印刷インキ用顔料分散物の製造方法および該顔料分散物を含有するオフセット印刷インキ組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、予め微細化された銅フタロシアニン顔料(平均粒子径0.5μm以下)を使用することなく、粗製銅フタロシアニン顔料を使用して、オフセット印刷インキ用顔料分散物を製造する方法及びその製造方法により得られるオフセット印刷インキ用顔料分散物を含有するオフセット印刷インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
銅フタロシアニン顔料は、ワイラー法(尿素法)やフタロニトリル法等の合成法で生産されるが、製造されたままの銅フタロシアニン顔料は粗製銅フタロシアニン顔料と呼ばれ、粒子径が大きく(平均粒子径が20〜200μm程度)、顔料として着色力や鮮明度がなく、オフセット印刷用インク組成物には向かないものであった。
【0003】
そのため、粗製銅フタロシアニン顔料を平均粒子径が0.01〜0.5μm程度まで微細化して、オフセット印刷用インク組成物の顔料として適した顔料形態に変える種々の方法が行われている。このような微細な銅フタロシアニン顔料を得る方法としては、大別してつぎの4種がある。
【0004】
▲1▼粗製銅フタロシアニン顔料の粗大粒子を濃硫酸等に溶解或いは懸濁させた後、
これを多量の水中に注ぎ再結晶化により微粒子化する方法。
【0005】
▲2▼粗製銅フタロシアニン顔料の粗大粒子を摩砕助剤と共に長時間ボールミル等により機械的に摩砕し微粒子化する方法。
【0006】
▲3▼摩砕助剤及び有機液体の共存下、粗製銅フタロシアニン顔料の粗大粒子をボールミル等により機械的に粉砕し微粒子化した後、有機溶剤等で処理する方法。
【0007】
▲4▼顔料誘導体(スルホン酸基を持つ銅フタロシアニンの脂肪酸アミン塩)、バインダー樹脂を含む有機溶媒、粗製銅フタロシアニン顔料からなる混合物をショットミルで粉砕、練肉して顔料分散物を得る方法(特開昭61−163978号公報)。
【0008】
しかし、▲1▼の方法では、多量の硫酸と水とを使用せねばならず、排水処理の観点から工業的に好ましくない問題を有する。
【0009】
また、▲2▼〜▲3▼の方法では、微粒子化するために長時間と多大なエネルギーを消費し、効率が悪い問題を有する。さらに、▲2▼〜▲3▼の方法で得られた銅フタロシアニン顔料は、インキに使用する際、凝集した粒子をビヒクルに分散するために再度多大なエネルギーを要するという問題を有する。
【0010】
▲4▼の顔料誘導体は極性基を持つため、湿し水を使用するオフセット印刷インキに用いた場合はインキの乳化を必要以上に促進する性質を有し、インキの乳化特性に少なからず悪影響をもたらし満足しうる品質の印刷物が得られないという問題を有するものであった。即ち、湿し水と呼ばれる水成分を用い界面活性的な反発を利用して画像を形成するオフセット印刷方式においては、湿し水に対するインキの乳化特性に悪影響をもたらすような表面活性剤の使用は非画像部にインキが転移する「地汚れ」現象が発生する等、印刷適性に関わる種々の問題を起こす。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような従来技術の問題を解決するためになされた、顔料誘導体を使用しない新規なものであり、粗製銅フタロシアニン顔料を微細化して分散安定化したオフセット印刷インキ用顔料分散物を製造でき、且つ、この製造方法により得られたオフセット印刷インキ用顔料分散物を湿し水を使用するオフセット印刷インキ組成物に用いた場合に良好な印刷適性を与えるオフセット印刷インキ用顔料分散物の製造方法、及びその製造方法により得られたオフセット印刷インキ用顔料分散物を含有するオフセット印刷インキ組成物に関する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく研究を重ねた結果、顔料誘導体を使用しないで、以下に示す炭素数12〜20のヒドロキシカルボン酸またはその縮合重合体に由来する基と芳香環とを有する顔料分散用樹脂を使用することにより、粗製銅フタロシアニン顔料を微細化して分散安定化したオフセット印刷インキ用顔料分散物を製造でき、しかも、この製造方法により得られたオフセット印刷インキ用顔料分散物を湿し水を使用するオフセット印刷インキ組成物に用いた場合、印刷適性も良好であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0013】
即ち、本発明は、(1)粗製銅フタロシアニン顔料10〜50重量%、炭素数12〜20のヒドロキシカルボン酸またはその縮合重合体に由来する基と芳香環とを有する顔料分散用樹脂0.5〜30重量%、溶剤5〜89.5重量%、及び必要に応じて、バインダー樹脂0〜40重量%からなる混合物を、直径が0.2〜3.0mmのビーズを粉砕メディアとするビーズミルで20〜120℃の範囲内の温度で粉砕、練肉して顔料分散物を得ることを特徴とするオフセット印刷インキ用顔料分散物の製造方法に関する。
【0014】
また、本発明は、(2)粗製銅フタロシアニン顔料10〜50重量%、炭素数12〜20のヒドロキシカルボン酸またはその縮合重合体に由来する基と芳香環とを有する顔料分散用樹脂0.5〜30重量%、溶剤5〜89.5重量%、及び必要に応じて、バインダー樹脂0〜40重量%からなる混合物を、直径が1.0mmより大きく3.0mm以下のビーズを粉砕メディアとするビーズミルで20〜120℃の範囲内の温度で粉砕、練肉し、次いで、直径が0.2〜1.0mmのビーズを粉砕メディアとするビーズミルで20〜120℃の範囲内の温度で粉砕、練肉して顔料分散物を得ることを特徴とする前記(1)項記載のオフセット印刷インキ用顔料分散物の製造方法に関する。
【0015】
また、本発明は、(3)粉砕、練肉時の温度が、50〜90℃であることを特徴とする前記(1)項または(2)項記載のオフセット印刷インキ用顔料分散物の製造方法に関する。
【0016】
また、本発明は、(4)前記(1)項〜(3)項のいずれかに記載の製造方法で得られるオフセット印刷インキ用顔料分散物を含有することを特徴とするオフセット印刷インキ組成物に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明においては、顔料分散用樹脂として、炭素数12〜20のヒドロキシカルボン酸またはその縮合重合体に由来する基と芳香環とを有する顔料分散用樹脂を使用することにより、粗製銅フタロシアニン顔料を微細化して分散安定化したオフセット印刷インキ用顔料分散物を製造でき、しかも、この製造方法により得られたオフセット印刷インキ用顔料分散物は、高濃度顔料の微分散体に特有の構造粘性が抑えられている。また、前記製造方法で得られたオフセット印刷インキ用顔料分散物をオフセット印刷インキ組成物に適用した場合、インキの取扱い時や印刷及び製造時に必要な高い流動性と、長期間に渡り顔料が再凝集を起こすことのない高い安定性が得られ、且つ、該オフセット印刷インキ組成物を、湿し水を使用するオフセットに使用した場合、前記顔料分散用樹脂が乳化を促進しない特性を有するため、印刷適性に優れる効果を発揮する。
【0018】
以下、本発明のオフセット印刷インキ用顔料分散物の製造方法及びその製造方法により得られるオフセット印刷インキ用顔料分散物を含有するオフセット印刷インキ組成物について詳しく説明する。
【0019】
まず、本発明のオフセット印刷インキ用顔料分散物の製造に使用する材料について記載する。
【0020】
本発明のオフセット印刷インキ用顔料分散物の製造に使用する粗製銅フタロシアニン顔料としては、従来より使用されている平均粒子径が20〜200μmの範囲のものが使用できる。
【0021】
また、本発明のオフセット印刷インキ用顔料分散物の製造に使用する顔料分散用樹脂としては、炭素数12〜20のヒドロキシカルボン酸またはその縮合重合体に由来する基と芳香環とを有する顔料分散用樹脂が使用できる。
【0022】
なお、顔料分散性の点からは、炭素数12〜20のヒドロキシカルボン酸の縮合重合体に由来する基と芳香環とを有する顔料分散用樹脂が好ましい。また、顔料分散用樹脂は、湿し水を使用するオフセットに使用する場合は、乳化の点より、スルホン酸基、カルボキシル基等の酸基、またはそのアミン塩を有していない方が好ましい。
【0023】
本発明の顔料分散用樹脂としては、例えば、本出願人がすでに特願平8−243843号で開示している下記(A)、(B)の高分子顔料分散剤等が例示できる。
【0024】
(A)分子内に一般式(1)で表わされる基を少なくとも1つ有する変性ノボラック樹脂。
【0025】
【化1】
【0026】
(式中、左端の酸素原子はノボラック樹脂の芳香族性水酸基に含まれる酸素原子に由来するものであり、W1とX1はそれぞれ独立に炭素数11〜19の2価の炭化水素基を、iとjはそれぞれ独立にi=1〜30、j=0〜30の整数を、R1は水素原子或いはメチル基を示す)。
【0027】
(B)重量平均分子量3000〜100000のグラフト共重合体であって、
当該グラフト共重合体中、一般式(2)で表される構成単位を少なくとも10モル%相当する量、及び一般式(3)及び一般式(4)で表される構成単位から選ばれる1種以上を少なくとも10モル%相当する量含有するグラフト共重合体。
【0028】
【化2】
【0029】
(式中、W2とX2はそれぞれ独立に炭素数11〜19の2価の炭化水素基を、pとqはそれぞれ独立にp=1〜30、q=0〜30の整数を、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子或いはメチル基を、R5は水素原子或いはハロゲン原子を、R6とR7はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、或いはハロゲン原子を、R8は水素原子又はメチル基を、R9は直接結合又はメチレン基を示す)。
【0030】
まず、変性ノボラック樹脂(A)について説明する。
【0031】
ノボラック樹脂(A)は、分子内に更に一般式(5)で表わされる基を少なくとも1つ有していてもよい。
【0032】
【化3】
【0033】
(式中、左端の酸素原子はノボラック樹脂の芳香族性水酸基に含まれる酸素原子に由来するものであり、Yは接続端に酸素原子或いは窒素原子を有し炭素数が1〜20の範囲にある1価の有機基〔ただし、一般式(6):
【0034】
【化4】
【0035】
(式中、W1およびiは前記と同じ)で表される基を除く〕を、R10は水素原子或いはメチル基を示す)。
【0036】
また変性ノボラック樹脂(A)は、更に、同一分子内又は異なる分子間で一般式(7)で表わされる架橋基で架橋されている変性ノボラック樹脂であってもよい。
【0037】
【化5】
【0038】
(式中、右端の酸素原子はノボラック樹脂の同一分子内又は異なる分子の芳香族性水酸基に含まれる酸素原子に由来するものであり、Zは接続端に酸素原子或いは窒素原子を有し炭素数が1〜40の範囲にある2〜6価の有機基を、kは2〜6の範囲にある整数を、R11は水素原子或いはメチル基を示す)。
【0039】
また変性ノボラック樹脂(A)は、その芳香族性水酸基の残存率が5.0%以下であるのが好ましい。
【0040】
また変性ノボラック樹脂(A)は、分子内に更に一般式(8)で表される基を少なくとも1つ有し、芳香族性水酸基を保有しない変性ノボラック樹脂であってもよい。
【0041】
【化6】
【0042】
(式中、左端の酸素原子はノボラック樹脂の芳香族性水酸基に含まれる酸素原子に由来するものであり、R12は水素原子或いはメチル基を示す)。
【0043】
変性ノボラック樹脂(A)を得るために用いるノボラック樹脂としては、一価フェノール類やジ或いはトリヒドロキシベンゼン等の多価フェノール類とアルデヒド類とから誘導されるノボラック樹脂を使用することができる。このうち一価フェノールとしては、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール等の無置換フェノール類もしくはアルキル置換フェノール類、モノヒドロキシジフェニルメタン類、或いはフェニルフェノール等の芳香族置換基を有するフェノール類が使用できる。多価フェノール類としては、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノンもしくはトリヒドロキシベンゼン等のジ或いはトリヒドロキシベンゼン類、もしくはこれらのアルキル置換体或いは芳香族置換体が使用できる。また、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジヒドロキシジフェニルメタン類、ジヒドロキシビフェニル類等も使用することができる。また、前記フェノール類のハロゲン置換体も使用でき、例えば塩素化或いは臭素化フェノール類等を挙げることができる。これらフェノール類は単独で、又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0044】
フェノール類としては、反応性の点から、一価フェノール類ではフェノール、メタ位がアルキル基1個で置換されたフェノール類等が好ましく、多価フェノール類ではレゾシノール等が好ましい。
【0045】
アルデヒド類としてはノボラック樹脂の製造に一般に使用されているものがとくに制限なく使用することができる。具体的にはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサンや環状ホルマール類、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、グリオキサール等の低級脂肪族アルデヒド類、フルフラール、フェニルアルデヒド等の芳香族アルデヒド類等が挙げられる。これらアルデヒド類は単独で、又は2種類以上を混合して使用できる。
【0046】
ノボラック樹脂を合成するには、常法によりパラトルエンスルホン酸、過塩素酸、塩酸、硝酸、硫酸、クロロ酢酸、シュウ酸、リン酸等の酸触媒の存在下に、これらフェノール類とアルデヒド類とを80〜130℃で反応させればよい。反応はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で分子量を測定するなどして追跡することができる。
【0047】
この他、サリゲニンのようにヒドロキシメチル基を持つフェノール誘導体や、o−クロロメチルフェノールのようにハロゲン化メチル基を持つフェノール誘導体を用いる方法でノボラック樹脂を合成しても良い。
【0048】
次に、ノボラック樹脂を、常法によりエピクロルヒドリン或いはβ−メチルエピクロルヒドリンと反応させ、エポキシ基を有するノボラック樹脂を得る。勿論、市販のエポキシ基を有するノボラック樹脂も使用できる。
【0049】
最後に、エポキシ基を有するノボラック樹脂を後述するカルボン酸類やアミン類と反応させて目的とする変性ノボラック樹脂を得る。この反応には必要に応じて溶媒を用い、また必要に応じて脂肪族アミン、芳香族アミン、アンモニウム塩等の触媒を用い、60〜160℃に加熱して行うことができる。反応の進行はGPCによる分子量測定、エポキシ当量の測定等で追跡することができる。
【0050】
このようにノボラック樹脂を合成してから変性を行う他に、先ず上述した一価フェノール類や多価フェノール類の芳香族性水酸基をエピクロルヒドリン或いはβ−メチルエピクロルヒドリンと反応させ、グリシジルオキシ基或いは2,3−エポキシ−2−メチルプロピルオキシ基を形成し、これを後述するカルボン酸類やアミン類と反応させた後、必要に応じて新たなフェノール類を加え、アルデヒド類を用いてノボラック樹脂化の反応を行うことによっても変性ノボラック樹脂(A)を得ることができる。
【0051】
変性ノボラック樹脂(A)における一般式(1)で表わされる基は、芳香族性水酸基に、エピクロルヒドリン或いはβ−メチルエピクロルヒドリンを反応させ、その後、不飽和結合及び/又は分岐構造を有してもよい炭素数12〜20のヒドロキシカルボン酸、これらの混合物、或いはその重縮合物を反応させて得ることができる。
【0052】
一般式(1)において、左端の酸素原子はノボラック樹脂の芳香族性水酸基に含まれる酸素原子に由来するものであり、W1とX1は不飽和結合及び/又は分岐構造を有してもよい炭素数が11〜19の範囲にある2価の炭化水素基を、R1は水素原子或いはメチル基を示す。
【0053】
一般式(1)において、一般式(6):
【0054】
【化7】
【0055】
(式中、W1およびiは前記と同じ)で表わされる基および一般式(9):
【0056】
【化8】
【0057】
(式中、X1およびjは前記と同じ)で表わされる基は、不飽和結合及び/又は分岐構造を有してもよい炭素数が12〜20の範囲にあるヒドロキシカルボン酸、これらの混合物、或いはこれらの重縮合物から誘導することができる。
【0058】
該ヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、リシノール酸やひまし油脂肪酸、及びそれらの水添物、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。低極性のオフセット印刷用インキ組成物には、炭素数が12〜20の範囲にあるヒドロキシカルボン酸が好ましく、とくに炭素数が16〜20の範囲にあるリシノール酸やひまし油脂肪酸、及びそれらの水添物、12−ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシカルボン酸が好適に使用できる。
【0059】
繰り返し数iは1〜30の範囲にある整数、jは0〜30の範囲にある整数を示す。ただし、適切な値は使用する顔料の種類、顔料粒子の比表面積や粒子径、顔料表面処理剤の性質、分散媒の極性等に応じて変化するものであり、用途に応じて最適値を選ぶ必要がある。iまたはjの値が前記範囲を超えても顔料分散性をそれ以上改善することはできない。
【0060】
一般式(1)における一般式(6)又は一般式(9)で表わされる基は、たとえば、予めヒドロキシカルボン酸の重縮合によりポリエステルを合成しておき、その末端カルボキシル基を上述のエポキシ基と反応させる方法、もしくはヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基を上述のエポキシ基と反応させた後、更にヒドロキシカルボン酸を重縮合する方法などによって形成できる。
【0061】
該ヒドロキシカルボン酸の重縮合反応は、パラトルエンスルホン酸、オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジアセテート、テトラ−n−ブチルチタネート等の触媒の存在下または非存在下に反応系を180〜220℃に加熱撹拌し、生成する水をトルエンやキシレン等の共沸溶媒により除去しつつ行うことができる。反応はGPCによる分子量測定や酸価の測定等で追跡することができる。
【0062】
変性ノボラック樹脂(A)は、分子中に一般式(1)で表わされる基を必ず持っていなければならない。一般式(1)で表わされる基の数は1〜20の範囲にあるのが好ましい。この基がない場合は十分な顔料分散性が得られない。該基の数が前記範囲を超えても効果はあるものの、そのために必要な核体数の多いノボラック樹脂の分子量制御が非常に難しくなるため、現実的には20が上限となる。ただし、適切な値は顔料の種類、顔料粒子の比表面積や粒子径、顔料表面処理剤の有無或いはその性質、分散媒の極性等に応じて変化するものであり、用途に応じて最適値を選択する必要がある。
【0063】
また、変性ノボラック樹脂(A)は、分子内に更に一般式(5)で表わされる基を持っていてもよい。一般式(5)において、左端の酸素原子はノボラック樹脂の芳香族性水酸基に含まれる酸素原子に由来するものであり、Yは接続端に酸素原子或いは窒素原子を持ち炭素数が1〜20の範囲にある1価の有機基(ただし、一般式(6)で表わされる基を除く)を、R10は水素原子或いはメチル基を示す。
【0064】
一般式(5)で表わされる基は、芳香族性水酸基に、エピクロルヒドリン或いはβ−メチルエピクロルヒドリンを反応させ、その後、1価のカルボン酸類又は1価のアミン類とを反応させることにより得られる。
【0065】
1価のカルボン酸類の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸類、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エレオステアリン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸類やそれらの水添物等が使用できる。
【0066】
1価のアミン類としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン、ベンジルアミン等の脂肪族1級モノアミン類、アニリン、ナフチルアミン等の芳香族1級モノアミン類、及びこれらのN−モノアルキル置換による2級モノアミン類、エタノールアミン、N−モノアルキルエタノールアミン、ジエタノールアミン等の1級或いは2級アミノ基を持つアルカノールモノアミン類が使用できる。
【0067】
また、変性ノボラック樹脂(A)は、分子中に更に一般式(8)で表わされる基や芳香族性水酸基を有してもよい。このことは、グリシジルオキシ基又は2,3−エポキシ−2−メチルプロピルオキシ基や芳香族性水酸基が残存してもよいことを示す。ただし、変性ノボラック樹脂(A)が、一般式(8)で表わされる基と芳香族性水酸基とを両方有することは好ましくない。これらの基を両方有する場合はゲル化を生じる傾向がある。
【0068】
一般式(5)で表わされる基、一般式(8)で表わされる基、及び芳香族性水酸基の基数はそれぞれ0〜19の範囲にあればよい。この範囲を超えても効果はあるものの、核体数の多いノボラック樹脂の分子量制御が非常に難しくなる点、また、一般式(1)で表わされる基が必ず1つは存在しなければならない点から、現実的には19がそれぞれの上限となる。ただし、適切な値は顔料の種類、顔料粒子の比表面積や粒子径、顔料表面処理剤の有無或いはその性質、分散媒の極性等に応じて変化するものであり、用途に応じて最適値を選択する必要がある。
【0069】
さらに、変性ノボラック樹脂(A)は、更に、一般式(7)で表される、分子間或いは分子内の架橋基で置換されていてもよい。一般式(7)において、右端の酸素原子はノボラック樹脂の同一分子内または異なる分子の芳香族性水酸基に含まれる酸素原子に由来するものであり、Zは接続端に酸素原子或いは窒素原子を持ち炭素数が1〜40の範囲にある2〜6官能の有機基を、kは2〜6の範囲にある整数を、R11は水素原子又はメチル基を示す。
【0070】
芳香族性水酸基の活性水素を、一般式(7)で表される、分子間或いは分子内の架橋基で置換するには、芳香族性水酸基に、エピクロルヒドリン或いはβ−メチルエピクロルヒドリンを反応させ、その後、2〜6官能のカルボン酸類、アミン類(1級のモノアミン類を含む)、又はアミノ酸類を反応させればよい。
【0071】
多官能のカルボン酸の具体例としては、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、ダイマー酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、3,6−メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族ポリカルボン酸類、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングチコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等の芳香族ポリカルボン酸類が使用できる。
【0072】
多官能のアミンの具体例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、プロピレンジアミン、(ジメチルアミノ)プロピルアミン、(ジエチルアミノ)プロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレントリアミン、N,N−ビス(アミノプロピル)メチルアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、N−(アミノエチル)ピペラジン、N,N′−ビス(アミノエチル)ピペラジン、キシリレンジアミン、ダイマージアミン等の脂肪族ポリアミン類や、メラミン、ベンゾグアナミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン類が挙げられる。
【0073】
また、ポリエーテルジアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、また、いわゆるポリアミノアミド等も使用できる。
【0074】
また、エポキシ基に対して二官能性である1級のアミノ基を反応させることによっても架橋構造を形成することができる。この場合は上述した1級のモノアミンを使用することもできる。
【0075】
また、ロイシン、トレオニン等のアミノ酸も使用できる。
【0076】
前記反応は必要に応じて適宜有機溶媒を用い、必要に応じて脂肪族3級アミン、芳香族3級アミン、或いは3級アミンのアンモニウム塩等の触媒を用い、60〜160℃に加熱して行うことができる。反応の進行はGPCによる分子量測定、エポキシ当量の測定等で追跡することができる。
【0077】
核体数の多いノボラック樹脂の分子量制御が非常に難しいことから、変性ノボラック樹脂の持つ芳香族性水酸基の合計(無置換および置換された芳香族性水酸基の合計、以下同様)は20以下であるのが好ましい。
【0078】
これらの変性ノボラック樹脂は顔料分散に効果を発揮するが、中でも芳香族性水酸基の残存率(未置換および置換された芳香族性水酸基の合計に対する残存する未置換の芳香族性水酸基の数の割合をいう、以下同様)が5.0%以下の場合はオフセット印刷用インキ組成物の乳化適性、印刷適性の改善に関して優れた効果を持つ。従来の顔料分散剤がインキの乳化を促進し過ぎ、往々にして印刷適性の悪化を招いたのに対して、この変性ノボラック樹脂を用いれば良好な顔料分散と適性乳化の双方を達成することができる。
【0079】
次に、本発明のグラフト共重合体(B)について説明する。
【0080】
グラフト共重合体(B)は、分子内に更に一般式(10)で表される構成単位を少なくとも1つ有していてもよい。
【0081】
【化9】
【0082】
(式中、Vは接続端に酸素原子或いは窒素原子を有し炭素数が1〜20の範囲にある1価の有機基〔ただし、一般式(11):
【0083】
【化10】
【0084】
(式中、W2およびpは前記と同じ)で表される基を除く〕を、R13とR14はそれぞれ独立に水素原子或いはメチル基を示す)。
【0085】
またグラフト共重合体(B)は、分子内に更に一般式(12)で表される構成単位を少なくとも1つ有していてもよい。
【0086】
【化11】
【0087】
(式中、R15とR16はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す)。
【0088】
前記グラフト共重合体(B)は、
(1)一般式(13):
【0089】
【化12】
【0090】
(式中、R2およびR3は前記と同じ)で表わされるエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体10〜90モル%、及び一般式(14):
【0091】
【化13】
【0092】
(式中、R4、R5、R6およびR7は前記と同じ)で表わされる単量体及び/又は一般式(15):
【0093】
【化14】
【0094】
(式中、R8およびR9は前記と同じ)で表わされる単量体の10〜90モル%、必要に応じてエポキシ基に対して反応性の高い官能基を有していないその他のエチレン性不飽和単量体0〜80モル%とを、過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤を用い、常法によりエポキシ基を含有する共重合体を得た後、該共重合体のエポキシ基に、後述するカルボン酸類やアミン類を反応させることにより、又は(2)一般式(16):
【0095】
【化15】
【0096】
(式中、R2、R3、W2、X2は前記と同じ。mおよびnはそれぞれ独立にm=1〜30、n=0〜30の整数を示す。)で表わされる単量体および要すれば一般式(17):
【0097】
【化16】
【0098】
(式中、R13、R14及びVは前記と同じ)で表わされる単量体の10〜90モル%、及び一般式(14)で表わされる単量体及び/又は一般式(15)で表わされる単量体の10〜90モル%、必要に応じてエポキシ基に対して反応性の高い官能基を有していないその他のエチレン性不飽和単量体0〜80モル%とを、過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤を用い、常法により反応させることにより、又は前記反応物に、さらに不飽和結合及び/又は分枝構造を有していてもよい炭素数が12〜20の範囲にあるヒドロキシカルボン酸、これらの混合物、或いはこれらの重縮合物を反応させることにより得ることができる。
【0099】
なお、前記方法(1)において得られる共重合体のエポキシ基に後述するカルボン酸類やアミン類を反応させて一般式(2)や一般式(9)で示される構造単位をうる反応、又は前記方法(2)において一般式(13)で表わされるエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体のエポキシ基に後述するカルボン酸類やアミン類を反応させて一般式(16)や一般式(17)で表わされる単量体をうる反応は、必要に応じて溶媒を用い、また、必要に応じて脂肪族アミン、芳香族アミン、或いはアンモニウム塩等の触媒を用い、60〜160℃に加熱して行うことができる。
【0100】
前記一般式(3)で表される構成単位において、R5で表されるハロゲン原子としては塩素原子等が挙げられる。R6又はR7で表される炭素数1〜5の炭化水素基としては、例えばメチル、エチル、n―プロピル、イソプロピル、n―ブチル、sec―ブチル、t―ブチル、ペンチル等のアルキル基が、炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えばメトキシ、ブトキシ等が、炭素数6〜10のアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ等が、ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0101】
グラフト共重合体(B)の製造に用いる単量体のうち、一般式(14)で表わされる単量体のうちスチレン誘導体としては、ビニルトルエン、α―メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、t−ブチルスチレン等のアルキル置換スチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン等のハロゲン置換スチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン等のアルコキシ置換スチレン、フェノキシスチレン等のアリールオキシ置換スチレン、β−クロロスチレン等が使用できる。
【0102】
一般式(15)で表わされる単量体としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸フェニルがあげられる。
【0103】
一般式(13)で表わされるエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2,3−エポキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート等が使用できる。
【0104】
必要に応じて用いるエポキシ基に対して反応性の高い官能基を有していないその他のエチレン性不飽和単量体としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基等のエポキシ基に対して反応性の高い官能基を有していないエチレン性不飽和単量体が使用できる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ノルボニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族性水酸基を有する(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基を有する(メタ)アクリレート類、メチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボエート等のビニエーテル類、ヒドロキシブチルビニルエーテル等の脂肪族性水酸基を有するビニエーテル類、アリルアセテート等の各種酸のアリルエステル等を挙げることができる。
【0105】
なお、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体のエポキシ基に後述するカルボン酸類やアミン類を反応させてえられる一般式(16)や一般式(17)で表わされる単量体を用いてグラフト共重合体を得る場合は、カルボキシル基、フェノール性水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基等のエポキシ基に対して反応性の高い官能基を有するエチレン性不飽和単量体も使用できる。
【0106】
グラフト共重合体(B)における一般式(2)で表される構成単位は、前記一般式(13)で表わされるエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体から誘導される構成単位と不飽和結合及び/又は分岐構造を有してもよい炭素数12〜20のヒドロキシカルボン酸、これらの混合物、或いはその重縮合物より得ることができる。或いは、前記一般式(13)で表わされるエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体と不飽和結合及び/又は分岐構造を有してもよい炭素数12〜20のヒドロキシカルボン酸、これらの混合物、或いはその重縮合物より得られる一般式(16)で表わされる単量体より誘導される。
【0107】
一般式(2)において、W2とX2は不飽和結合および/または分岐構造を有してもよい炭素数11〜19の範囲にある2価の炭化水素基を、R2とR3はそれぞれ独立に水素原子或いはメチル基を示す。
【0108】
一般式(2)において、一般式(11):
【0109】
【化17】
【0110】
(式中、W2およびpは前記と同じ)で表わされる基および一般式(18):
【0111】
【化18】
【0112】
(式中、X2およびqは前記と同じ)で表わされる基は、不飽和結合及び/又は分岐構造を有してもよい炭素数が12〜20の範囲にあるヒドロキシカルボン酸、これらの混合物、或いはこれらの重縮合物から誘導することができる。
【0113】
該ヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、リシノール酸やひまし油脂肪酸、及びそれらの水添物、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。低極性のオフセット印刷用インキ組成物には、炭素数が12〜20の範囲にあるヒドロキシカルボン酸が好ましく、とくに炭素数が16〜20の範囲にあるリシノール酸やひまし油脂肪酸、及びそれらの水添物、12−ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシカルボン酸が好適に使用できる。
【0114】
繰り返し数pは1〜30の範囲にある整数、qは0〜30の範囲にある整数を示す。ただし、適切な値は使用する顔料の種類、顔料粒子の比表面積や粒子径、顔料表面処理剤の性質、分散媒の極性等に応じて変化するものであり、用途に応じて最適値を選ぶ必要がある。pまたはqの値が前記範囲を超えても顔料分散性をそれ以上改善することはできない。
【0115】
一般式(2)における一般式(11)又は一般式(18)で表わされる基の形成は、たとえば、予めヒドロキシカルボン酸の重縮合によりポリエステルを合成しておき、その末端カルボキシル基を上述のエポキシ基と反応させる方法、もしくはヒドロキシカルボン酸単量体のカルボキシル基を上述のエポキシ基と反応させた後、更にヒドロキシカルボン酸を重縮合する方法などによってできる。
【0116】
該ヒドロキシカルボン酸の重縮合反応は、パラトルエンスルホン酸、オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジアセテート、テトラ−n−ブチルチタネート等の触媒の存在下または非存在下に反応系を180〜220℃に加熱撹拌し、生成する水をトルエンやキシレン等の共沸溶媒により除去しつつ行うことができる。反応はGPCによる分子量測定や酸価の測定等で追跡することができる。
【0117】
グラフト共重合体(B)は、一般式(2)で表わされる構造単位及び一般式(3)及び/又は一般式(4)で表わされる構造単位を必ず持っていなければならない。グラフト共重合体に対するこれらの含有量は、グラフト共重合体中、一般式(2)で表される構成単位を少なくとも10モル%相当する量、なかんづく10〜90モル%相当する量、及び一般式(3)及び一般式(4)で表される構成単位から選ばれる1種以上を少なくとも10モル%相当する量、なかんづく10〜90モル%相当する量であることが好ましい。
【0118】
尚、一般式(2)で表される構成単位を少なくとも10モル%相当する量含有するとは、グラフト重合体をエチレン性不飽和単量体に由来する構成単位に分割し、全構成単位中、一般式(2)で表される構成単位が少なくとも10モル%含有することである。また、一般式(3)及び一般式(4)表される構成単位から選ばれる1種以上を少なくとも10モル%相当する量含有するとは、グラフト重合体をエチレン性不飽和単量体に由来する構成単位に分割し、全構成単位中、一般式(3)及び一般式(4)で表される構成単位から選ばれる1種以上を少なくとも10モル%含有することである。これらのいずれか、或いは双方が、所定モル相当する量%含まれていない場合には、十分な顔料分散性が得られない。ただし、適切な値は顔料の種類、顔料粒子の比表面積や粒子径、顔料表面処理剤の有無或いはその性質、分散媒の極性等に応じて変化するものであり、用途に応じて最適値を選択する必要がある。
【0119】
また、グラフト共重合体(B)は、更に、一般式(10)で表わされる構成単位を持っていてもよい。この中でVは接続端に酸素原子又は窒素原子を持ち炭素数が1〜20の範囲にある1価の有機基(ただし、一般式(11)で表わされる基を除く)を、R13、R14はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。
【0120】
一般式(10)で表わされる構成単位は、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体又は共重合体のエポキシ基と1価のカルボン酸類又は1価のアミン類より得ることができる。
【0121】
1価のカルボン酸類の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸類、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エレオステアリン酸等の不飽和脂肪酸類やそれらの水添物等が使用できる。
【0122】
1価のアミン類としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン、ベンジルアミン等の脂肪族1級モノアミン類、アニリン、ナフチルアミン等の芳香族1級モノアミン類、及びこれらのN−モノアルキル置換による2級モノアミン類、エタノールアミン、N−モノアルキルエタノールアミン、ジエタノールアミン等の1級又は2級アミノ基を持つアルカノールモノアミン類が使用できる。
【0123】
また、グラフト共重合体(B)は、一般式(12)で表わされる構成単位を持っていてもよい。このことは、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体によるグリシジルオキシ基又は2,3−エポキシ−2−メチルプロピルオキシ基が残存してもよいことを示す。
【0124】
グラフト共重合体(B)は、顔料分散に効果を発揮するが、中でもオフセット印刷用インキ組成物中に用いた場合、インキの乳化適性に起因する印刷適性の改善に関して優れた効果を持つ。従来の顔料分散剤がインキの乳化を促進し過ぎ、往々にして印刷適性の悪化を招いたのに対して、このグラフト共重合体を用いれば良好な顔料分散と乳化適性の双方を同時に達成することができる。
【0125】
グラフト共重合体(B)の分子量は、重量平均で3000〜100000の範囲にあることが好ましい。重量平均分子量が3000未満でも顔料分散効果はあるが、重合反応が難しくなり、それとともに多用される重合開始剤や連鎖移動剤による末端基の影響等で乳化適性の改善効果が低下する。一方、重量平均分子量が100000を超えると十分な顔料分散効果が得られなくなる。
【0126】
本発明においては、顔料分散用樹脂として、前記変性ノボラック樹脂(A)の1種または2種以上、および/または、前記グラフト共重合体の1種または2種以上を用いる。
【0127】
本発明においては、粗製銅フタロシアニン顔料10〜50重量%、前記特定の顔料分散用樹脂0.5〜30重量%、溶剤5〜89.5重量%、及び必要に応じて、バインダー樹脂0〜40重量%からなる混合物を、直径0.2〜3.0mmのビーズを粉砕メディアとするビーズミルで20〜120℃の範囲内の温度で粉砕、練肉して顔料分散物を得る。各成分の配合割合は、最終的に必要とされるインキへの要求性能に応じて適宜きまるので、前記組成は一応の目安である。なお、粗製銅フタロシアニン顔料の使用量が前記範囲より多いと粉砕が困難になる傾向がある。また顔料分散用樹脂の使用量が前記範囲より少ないと顔料の分数が困難になる傾向がある。
【0128】
前記溶剤としては、アマニ油、桐油、大豆油等の植物油、n−パラフィン、イソパラフィン、ナフテン系溶剤、芳香族系溶剤等の鉱物油が使用できる。
【0129】
また、必要に応じて使用することが出来るバインダー樹脂としては、オフセット印刷インキ組成物の製造に際して使用されている公知のバインダー樹脂、具体的には、各種アルキッド樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、ロジンエステル樹脂、ポリエステル樹脂等、或いはそれらの変性物が使用できる。
【0130】
オフセット印刷インキ用顔料分散物は、粗製銅フタロシアニン顔料、前記特定の顔料分散用樹脂、溶剤、必要に応じてバインダー樹脂ワニスを充分に混合攪拌した後、ビーズミルにて粉砕、練肉することにより調製する。前記特定の顔料分散用樹脂の添加量は粗製銅フタロシアニン顔料100重量部に対して5〜60重量部が好ましく、さらに好ましくは5〜30重量部である。顔料分散用樹脂の使用量が前記範囲より少ないと顔料の分散効果が劣る。一方前記範囲より多くしても顕著な効果の向上は認められない。
【0131】
本発明において粗製銅フタロシアニン顔料を粉砕、練肉する装置としては、振動ミル、アトライター、横型ビーズミル又は縦型ビーズミル等のビーズミルがあげられる。粉砕メディアとしては、金属ビーズ、ガラスビーズ、セラミックビーズ等が挙げられ、好ましくはスチールビーズ又はジルコニアビーズである。
【0132】
粉砕メディアの直径は小さければ小さい程、破砕力及び粉砕力は増すが、一方小さすぎると粉砕、練肉後のスラリーから粉砕メディアを分離するのに不利になる。この点から、直径が0.2〜1mm、なかんづく0.2〜0.6mmの粉砕メディアを使用するのが好ましい。さらに粉砕、練肉の際、初めから直径が0.2〜1mm、とくに0.2〜0.6mmの微細な粉砕メディアを用いて粉砕、練肉を行うと、一部粗大な粗製銅フタロシアニン顔料が残ることがあるため、初めは直径が1mmより大きい、好ましくは1mmより大きく3mm以下の粉砕メディアにより、あらかじめ粗大な粗製銅フタロシアニン顔料を粗粉砕してから、次いで直径が0.2〜1mm、好ましくは0.2〜0.6mmの微細な粉砕メディアで粉砕、練肉した方が好ましい。
【0133】
本発明において粉砕、練肉時の温度は重要で、高すぎるとフタロシアニン顔料粒子が結晶成長を起こして粒子径が大きくなり、逆に低すぎると好ましくない結晶転移を起こしやすいため、20〜120℃の範囲が好ましく、より好ましくは50〜90℃である。
【0134】
このようにして、平均粒子径が0.05〜0.5μmの範囲にある銅フタロシアニン顔料を含有する顔料分散物が得られる。
【0135】
最後に、前記オフセット印刷インキ用顔料分散物を用いたオフセット印刷インキ組成物の製造方法について説明する。
【0136】
オフセット印刷インキ組成物は前記顔料分散物に、さらにバインダー樹脂ワニス、添加剤及び溶剤を加えて、3本ロールミルなどの通常の練肉機にて混合、調製する。
【0137】
オフセット印刷インキ組成物の製造に際して使用するバインダー樹脂としては、オフセット印刷インキに使用されている公知の各種アルキッド樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、ロジンエステル樹脂、ポリエステル樹脂等、或いはそれらの変性物が使用でき、溶剤としては、アマニ油、桐油、大豆油等の植物油、n−パラフィン、イソパラフィン、ナフテン系溶剤、芳香族系溶剤等の鉱物油が使用でき、添加剤しては、ドライヤー、ゲル化剤、乾燥遅延剤、酸化防止剤等を適宜用いることができる。また通常オフセット印刷インキに使用されている顔料を併用することができる。
【0138】
本発明のオフセット印刷インキ組成物における各成分の好ましい範囲を示す。
【0139】
前記組成においては、植物油と鉱物油を合計したものの割合が20〜60重量%であるものが好ましい。
【0140】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。本発明は、その主旨と適用範囲を逸脱しない限り、これら実施例に限定されるものではない。なお以下の記述中において、「部」は重量部を示す。樹脂等の重量平均分子量はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定した。顔料の平均粒子径は光子相関粒度分布計(大塚電子(株)製)で測定した。
【0141】
[顔料分散用樹脂]
顔料分散用樹脂1
冷却管、水分分離管、温度計、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに12−ヒドロキシステアリン酸100部、キシレン10部、テトラ−n−ブチルチタネート0.1部の混合物を入れ、窒素気流下に生成する水を水分分離管に分離しながら180〜200℃で7時間加熱撹拌した。次いでキシレンを減圧留去して酸価30、重量平均分子量4,000の淡褐色重合物であるポリエステルAを得た。このポリエステルA75部、エポキシ変性ノボラック樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、エピコート154)30部、ステアリン酸20部、コハク酸3部を反応させることのより、重量平均分子量が16,000で、カルボキシル基とエポキシ基の残存量が測定限界以下の変性ノボラック樹脂(顔料分散用樹脂1)を得た。芳香族性水酸基の残存率は0%である。
【0142】
顔料分散用樹脂2
エポキシ基を有する共重合体としてスチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体(含有率はそれぞれ80モル%、20モル%)25.7部と、ポリエステルA75部を、ジメチルホルムアミド40部を溶媒として130〜150℃で反応した。酸価及びエポキシ当量の測定から、カルボキシル基とエポキシ基の残存量が測定限界以下となったところで溶媒を減圧留去して、重量平均分子量が21,000のグラフト共重合体(顔料分散用樹脂2)を得た。
【0143】
[オフセット印刷インキ用顔料分散物]
実施例1
顔料分散用樹脂1を280部、樹脂ワニスA[樹脂濃度55重量%、日立化成ポリマー(株)製ロジン変性フェノール樹脂(テスポール1355)を日本石油(株)製5号ソルベントとアマニ油の混合溶剤中で加熱溶解したもの]1000部、溶剤(日本石油(株)製5号ソルベント)1320部を80℃で混合攪拌し、引き続き、市販の粗製銅フタロシアニン顔料(平均粒子径約30μm、純度97%)1400部を加えて80℃で充分混合攪拌することにより、粗製銅フタロシアニン顔料スラリー4000部を調製した。
【0144】
次に得られたスラリー4000部をそのまま直径0.3mmのスチールビーズ7500部が充填されている2Lの横型ビーズミル(目開き0.1mmの濾過用スクリーンを備えたもの)に仕込み、80℃で2.5時間粉砕、練肉することにより、オフセット印刷インキ用顔料分散物1を得た。顔料分散物1中の顔料の平均粒子径は0.13μmであった。
【0145】
実施例2
実施例1における粗製銅フタロシアニン顔料スラリー4000部を、最初直径1.2mmのスチールビーズを使用し80℃で30分粗粉砕、練肉した後、次に直径0.3mmのスチールビーズを使用し80℃で2時間粉砕、練肉した以外は実施例1と同様にして、オフセット印刷インキ用顔料分散物2を得た。顔料分散物2中の顔料の平均粒子径は0.12μmであった。
【0146】
実施例3
実施例1における顔料分散用樹脂1の280部及び溶剤の1320部を、顔料分散用樹脂1を140部、溶剤を1460部として、あとは実施例1と同様に行い、オフセット印刷インキ用顔料分散物3を得た。顔料分散物3中の顔料の平均粒子径は0.16μmであった。
【0147】
実施例4
実施例1における顔料分散用樹脂1の280部を顔料分散用樹脂2の280部と置き換え、あとは実施例1と同様に行い、オフセット印刷インキ用顔料分散物4を得た。顔料分散物4中の顔料の平均粒子径は0.13μmであった。
【0148】
比較例1
市販の顔料誘導体100部、ソルスパース17000(アミノ基を有する顔料分散剤、ICI社)200部、樹脂ワニスA[樹脂濃度55重量%、日立化成ポリマー(株)製ロジン変性フェノール樹脂(テスポール1355)を日本石油(株)製5号ソルベントとアマニ油の混合溶剤中で加熱溶解したもの]1000部、溶剤(日本石油(株)製5号ソルベント)1300部を80℃で混合攪拌し、引き続き、市販の粗製銅フタロシアニン顔料(平均粒子径約30μm、純度97%)1400部を加えて80℃で十分混合攪拌することにより、粗製銅フタロシアニン顔料スラリー4000部を調製した。
【0149】
次に得られたスラリー4000部をそのまま0.3mmの直径のスチールビーズ7500部が充填されている2Lの横型ビーズミルに仕込み、80℃で2.5時間粉砕、練肉することにより、オフセット印刷インキ用顔料分散物5を得た。顔料分散物5中の顔料の平均粒子径は0.23μmであった。
【0150】
比較例2
実施例1における顔料分散用樹脂1の280部全てを樹脂ワニスAで置き換えて、あとは実施例1と同様に行い、オフセット印刷インキ用顔料分散物6を得た。顔料分散物6中の顔料の平均粒子径は1.04μmであった。
【0151】
比較例3
実施例1における粗製銅フタロシアニン顔料スラリー4000部をそのままオフセット印刷インキ用顔料分散物7とした。
【0152】
参照例
顔料分散用樹脂1を280部、樹脂ワニスA[樹脂濃度55重量%、日立化成ポリマー(株)製ロジン変性フェノール樹脂(テスポール1355)を日本石油(株)製5号ソルベントとアマニ油の混合溶剤中で加熱溶解したもの]1000部、溶剤(日本石油(株)製5号ソルベント)1320部を80℃で混合攪拌し、引き続き、市販の微細化した銅フタロシアニン顔料(平均粒子径約0.15μm)1400部を加えて80℃で十分混合攪拌した後、3本ロールミルにて練肉を行ってオフセット印刷インキ用顔料分散物8を得た。
【0153】
[オフセット印刷インキ組成物]
上記オフセット印刷インキ用顔料分散物1〜8を使用し以下に示した配合により、オフセット印刷インキ組成物を調製した。ここでワックスとしては、シャムロック社製のポリエチレンワックスコンパウンドを、溶剤としては日本石油(株)製の5号ソルベントを用いた。また、樹脂ワニスBとしては、ロジン変性フェノール樹脂(日立化成ポリマー(株)製、テスポール1304)をアマニ油と5号ソルベントの混合溶剤中に加熱溶解したもの(樹脂濃度55重量%)を用いた。
【0154】
【0155】
[評価試験]
得られたオフセット印刷インキ用顔料分散物およびオフセット印刷インキ組成物の性能の評価結果を表1に示した。
【0156】
(1)着色力
各オフセット印刷インキ用顔料分散物に白インキ用顔料分散物を加え、銅フタロシアニン顔料を用いて調製したオフセット印刷インキ用顔料分散物8(参照例)の着色力を100%として、同等の着色が得られる白インキ用顔料分散物の相対量から求めた。値が高いほど優れている。
【0157】
(2)色相
各オフセット印刷インキ用顔料分散物およびそれから調製したオフセット印刷用インキ組成物の展色物と銅フタロシアニン顔料を用いて調製したオフセット印刷インキ用顔料組成物8(参照例)およびそれからえられたオフセット印刷インキ組成物の展色物を目視により比較して評価した。
【0158】
(3)貯蔵安定性
オフセット印刷インキ用顔料分散物及びオフセット印刷インキ組成物を25℃の恒温槽に1カ月間保存し、調製直後の着色力、粘度に対する変化から判定した。変化のほとんどないものを3、変化が比較的少ないものを2、著しく変化するものを1として評価した。
【0159】
(4)印刷適性
三菱重工業(株)製のオフセット印刷機により実際の印刷を行い、水幅適性、乳化インキの流動性、インキの転移性、紙面の汚れ等を調べて総合的に判断した。水幅適性が広く良好な印刷物が得られるものを3、水幅適性が狭くて印刷面に汚れが多かったものを2、印刷適性が全くなかったものを1として評価した。
【0160】
【表1】
【0161】
【発明の効果】
顔料分散剤として、顔料誘導体を使用せずに、粗製銅フタロシアニン顔料を微細化して分散安定化したオフセット印刷インキ用顔料分散物を製造でき、しかも、この製造方法により得られたオフセット印刷用顔料分散物を湿し水を使用するオフセット印刷インキ組成物に用いた場合、印刷適性も良好になる。
Claims (4)
- 粗製銅フタロシアニン顔料10〜50重量%、炭素数12〜20のヒドロキシカルボン酸またはその縮合重合体に由来する基と芳香環とを有する下記の顔料分散用樹脂(A)および(B)の少なくとも1種0.5〜30重量%、溶剤5〜89.5重量%、及び必要に応じて、バインダー樹脂0〜40重量%を含む混合物を、直径が0.2〜3.0mmのビーズを粉砕メディアとするビーズミルで20〜120℃の範囲内の温度で粉砕、練肉して顔料分散物を得ることを特徴とするオフセット印刷インキ用顔料分散物の製造方法。
(A)分子内に一般式(1)で表わされる基を少なくとも1つ有する変性ノボラック樹脂。
(B)重量平均分子量3000〜100000のグラフト共重合体であって、当該グラフト共重合体中、一般式(2)で表される構成単位を少なくとも10モル%相当する量、及び一般式(3)及び一般式(4)で表される構成単位から選ばれる1種以上を少なくとも10モル%相当する量含有するグラフト共重合体。
- 粗製銅フタロシアニン顔料10〜50重量%、炭素数12〜20のヒドロキシカルボン酸またはその縮合重合体に由来する基と芳香環とを有する前記顔料分散用樹脂(A)および(B)の少なくとも1種0.5〜30重量%、溶剤5〜89.5重量%、及び必要に応じて、バインダー樹脂0〜40重量%からなる混合物を、直径が1.0mmより大きく3.0mm以下のビーズを粉砕メディアとするビーズミルで20〜120℃の範囲内の温度で粉砕、練肉し、次いで、直径が0.2〜1.0mmのビーズを粉砕メディアとするビーズミルで20〜120℃の範囲内の温度で粉砕、練肉して、練肉顔料分散物を得ることを特徴とする請求項1記載のオフセット印刷インキ用顔料分散物の製造方法。
- 粉砕、練肉時の温度が、50〜90℃であることを特徴とする請求項1又は2記載のオフセット印刷インキ用顔料分散物の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法で得られるオフセット印刷インキ用顔料分散物を含有することを特徴とするオフセット印刷インキ組成物。
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