JP3930969B2 - 免疫学的検査方法および免疫学的検査用キット - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡便、迅速に且つ高精度、高感度で被検試料中の検査対象物の検出を行い得る免疫学的検査方法およびそのためのキットに関する。より詳細には、本発明は検出シグナルを増幅させる工程を含む免疫クロマトグラフ法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体試料等の免疫学的分析法において、迅速且つ簡便にその検査を行う方法として免疫クロマトグラフ法が挙げられる。この方法は、一般に以下のような工程を含む。すなわち、検査対象物と特異的に結合し得る抗体を固定化した固定相を有する吸水性基材からなる検査片の一端より、該検査対象物に特異的に結合し得る標識された抗体と被検液との混合物を吸収させて展開すると、該混合物中で形成された標識抗体−検査対象物複合体は固定化された抗体と結合して固定相上に捕捉される。したがって、該固定相に結合した標識抗体を測定することにより被検液中の検査対象物を測定することができる。
【0003】
また、上記免疫クロマトグラフ法の検出シグナルをより高感度で得るための方法として、特開平10−062419号において、二種の標識抗体を用いる方法が開示されている。つまり、検査対象物と特異的に結合し得る抗体を標識した第一標識抗体と、該抗体に特異的に結合し得る二次抗体を標識した第二標識抗体とを、検査片中の被検試料滴下部と固定相(該検査対象物と特異的に結合し得る別の抗体が固定化されている)の間に標識相としてそれぞれ設置した(吸収させた)構成である。試料中の検査対象物は、第一標識抗体と複合体を形成した後、さらに第二標識抗体が第一標識抗体に結合して(被検物−第一標識抗体−第二標識抗体)の複合体を形成する。該免疫複合体は固定相上に固定化された抗体により捕捉される。したがって、固定相上で第二標識抗体により増幅させたシグナルが検出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のシグナル増幅免疫クロマトグラフ法によってもまだ十分な検出感度が得られていないのが現状である。したがって、本発明の目的は、免疫クロマトグラフ法に関し、さらに高感度で検査対象物を検出することが可能な免疫学的検査方法およびそのためのキットを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく種々検討を重ねた結果、従来のシグナル増幅免疫クロマトグラフ法において十分な感度が得られないのは、検査片の固定相前方に設置された標識相で(検査対象物−第一標識抗体−第二標識抗体)複合体を形成させるため、検査対象物と第一標識抗体、および第一標識抗体と第二標識抗体との抗原抗体反応が十分に行われず、したがって検出シグナルを増幅させるために必要な二重標識された免疫複合体が十分に形成されないまま固定相に到達してしまうためであると想到した。そこで本発明者らは、上記の免疫クロマトグラフ法において、第一および第二標識抗体を検査片から分離し、該吸水性基材の該一端から被験液、第一標識抗体を含有する液および第二標識抗体を含有する液を展開し、該吸水性基材上で形成される検査対象物、第一標識抗体および第二標識抗体からなる免疫複合体を、固定相に固定化された該検査対象物に特異的な抗体で捕捉させることにより、(検査対象物−第一標識抗体−第二標識抗体)複合体形成のための十分な時間が得られるように工夫した。その結果、固定相上での検出シグナルが従来よりも効率よく増幅され、より高感度に検査対象物を検出できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.以下の工程を含むことを特徴とする免疫学的検査方法:
(1) 検査対象物と特異的に結合し得る第一の免疫化学的成分を固定化した固定相を表面上の任意の領域に設けた吸水性基材の一端から、被検液、該検査対象物と特異的に結合し得る第二の免疫化学的成分に標識物質(特に着色粒子、就中、着色されたラテックス粒子または金コロイド粒子)を結合してなる標識免疫化学的成分(第一標識免疫化学的成分)を含有する液および該第二の免疫化学的成分と特異的に結合し得る第三の免疫化学的成分に標識物質(特に着色粒子、就中、着色されたラテックス粒子または金コロイド粒子)を結合してなる標識免疫化学的成分(第二標識免疫化学的成分)を含有する液の混合物を吸収させて展開し、
(2) 該混合物中で形成される検査対象物、第一標識免疫化学的成分および第二標識免疫化学的成分からなる免疫複合体を、固定相に固定化された該第一の免疫化学的成分に結合させて捕捉した後、
(3) 該固定相上の標識物質を測定することにより該検査対象物を検出する。
2.第一および第二標識免疫化学的成分中の標識物質が同一のものである上記1の方法。
3.検査対象物と特異的に結合し得る第一の免疫化学的成分を固定化した固定相を表面上の任意の領域に設けた吸水性基材、該検査対象物と特異的に結合し得る第二の免疫化学的成分に標識物質(特に着色粒子、就中、着色されたラテックス粒子または金コロイド粒子)を結合してなる標識免疫化学的成分(第一標識免疫化学的成分)および該第二の免疫化学的成分と特異的に結合し得る第三の免疫化学的成分に標識物質(特に着色粒子、就中、着色されたラテックス粒子または金コロイド粒子)を結合してなる標識免疫化学的成分(第二標識免疫化学的成分)を含み、以下の工程を含む免疫学的検査方法に使用され得る免疫学的検査用キット:
(1) 該吸水性基材の一端から、被検液、第一標識免疫化学的成分を含有する液および第二標識免疫化学的成分を含有する液の混合物を吸収させて展開し、
(2) 該混合物中で形成される検査対象物、第一標識免疫化学的成分および第二標識免疫化学的成分からなる免疫複合体を、固定相に固定化された該第一の免疫化学的成分に結合させて捕捉した後、
(3) 該固定相上の標識物質を測定することにより該検査対象物を検出する。
4.第一および第二標識免疫化学的成分中の標識物質が同一のものである上記3のキット。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の免疫学的検査方法の各工程において下記の反応、すなわち免疫複合体形成が行われる。
(1) 検査すべき被検液、第一標識免疫化学的成分含有液および第二標識免疫化学的成分含有液とを混合させると、被検液中に含まれる検査対象物は第一標識免疫化学的成分と結合し、さらに第一標識免疫化学的成分に第二標識免疫化学的成分が結合して二重標識された免疫複合体を形成する(図1A)。吸水性基材の一端から上記混合物を吸収させ展開すると、混合物中で形成された上記免疫複合体は液の移動とともに吸水性基材中を移動する(図1B)。
(2) 移動してきた免疫複合体は、固定相上で固定相に固定化された第一の免疫化学的成分とさらに結合し、新たに第二標識免疫化学的成分−第一標識免疫化学的成分−検査対象物−第一の免疫化学的成分からなる標識免疫複合体を形成して固定相上に捕捉される(図1C)。
(3) このように固定相に捕捉されることによって、第一および第二標識免疫化学的成分を構成する標識物質は一カ所に集合、結合して検出シグナルが増幅され、それによって検査対象物の存在をより高感度に検出することが可能となる(図1C)。
【0008】
本発明の方法により検出され得る検査対象物は、免疫化学的反応(すなわち抗原抗体反応)により第一の免疫化学的成分および第二の免疫化学的成分と結合してサンドイッチ免疫複合体を形成し得るものであれば特に制限されない。例えば、細菌(特に大腸菌O−157、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌等の病原性細菌)、放線菌、酵母、かび、ウイルス(特に、HIV、HBV、HCV等)などの微生物またはそれらに対する抗体、あるいは腫瘍マーカー抗原などの生体試料中の抗原性ペプチド等が挙げられる。
【0009】
本発明の方法において、固定相に固定化される第一の免疫化学的成分と、第一標識免疫化学的成分として用いる第二の免疫化学的成分は、いずれも抗原抗体反応により検査対象物と特異的に結合し得る物質であれば特に制限はない。検査対象物が抗原(例えば、蛋白質、ペプチド、ハプテンなど)であれば、第一および第二の免疫化学的成分は、該抗原と特異的に結合し得る抗体である。該抗体はモノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体であってもよい。また本発明における抗体とは、検査対象物との特異的親和性を保持する抗体の断片物、例えばH鎖、L鎖、Fab、F(ab') 2 、VH 、VL 等も含むものとする。一方、検査対象物が抗体である場合には、第一および第二の免疫化学的成分は、該抗体と特異的に結合し得る抗原もしくは該抗体を抗原として特異的に結合し得る二次抗体である。第一の免疫化学的成分および第二の免疫化学的成分は、検査対象物に応じてサンドイッチ法などで用いられる自体公知のものを適宜選択すればよい。また、該免疫化学的成分が抗体であれば、単離された検査対象物を感作抗原として、公知の抗体作製技術を用いて調製することもできる。第一、第二および第三の免疫化学的成分がいずれも抗体の場合、第一の抗体および第二の抗体は、用いる抗体の種類や検査対象物によっても異なるが、同一の抗原決定基を認識する二種の抗体を用いることも、また、異なる抗原決定基を認識する二種の抗体を用いることもできる。より好ましくは、異なる抗原決定基を認識するものが使用される。
【0010】
第二標識免疫化学的成分として用いる第三の免疫化学的成分は、第一標識免疫化学的成分中の第二の免疫化学的成分に対して特異的に結合する免疫化学的成分であり、且つ固定化された第一の免疫化学的成分とは結合しない免疫化学的成分である。第三の免疫化学的成分は、間接免疫測定法で二次抗体として用いられる従来公知のものを適宜選択することができる。また、第二の免疫化学的成分を感作抗原として、公知の抗体作製技術を用いて調製することもできる。第一、第二および第三の免疫化学的成分がいずれも抗体であり、第三の抗体に抗IgG抗体を用いる場合には、第一の抗体と第二の抗体の由来動物種は互いに異なるものであることが好ましい。
【0011】
本発明において用いられる吸水性基材は、検査対象物を含有する被検試料、例えば、食品から抽出した溶液やその培養上清、便懸濁(溶解)液、血漿、血清、尿などを液体試料、あるいはこれらを適当な緩衝液によって希釈してなる希釈液、並びに第一標識免疫化学的成分、第二標識免疫化学的成分をそれぞれ含有する液を吸収できるものであれば特に限定されない。本発明においては、被検試料中の検査対象物が標識免疫化学的成分や固定相に固定化された第一の免疫化学的成分と十分な反応を行うための時間を確保できるような吸水性基材が好ましく用いられる。
【0012】
吸水性基材が吸水性に劣る場合には、後述するように被検試料が固定相に到達するのに長時間を要し、その結果、迅速な測定を行うことができない。一方、吸水性基材の吸水性があまりに高すぎる場合には、被検試料中の検査対象物が標識免疫化学的成分や固定相の第一免疫化学的成分と十分な反応を行うために必要な時間が不足するので、正確な測定を行うことが困難である。
【0013】
したがって、本発明における吸水性基材の好ましい吸水性の程度は、5mm幅の短冊状に裁断した吸水性基材の片端部を水に浸漬し、1分間経過後の吸水距離が0.5〜5cm程度である。
【0014】
本発明の吸水性基材の好ましい具体例としては、不織布、濾紙、ガラス繊維布、ガラスフィルター、ニトロセルロースフィルター、多孔質材料などが挙げられる。これらの基材は適度な吸水速度を有するとともに、標識物質が着色粒子の場合、着色粒子が結合して発色した際の目視確認性に優れるなどの利点を有するものである。
【0015】
また、これらの基材の吸水性を調整するために、基材の表面に親水性重合体や界面活性剤を被覆し、あるいは含浸させることもできる。さらに、本発明においては吸水性基材として同一材料からなる基材を用いてもよいし、あるいは異種の材料からなるものを任意の接着手段によって接合して得られる連続した基材を用いることもできる。
【0016】
本発明において、吸水性基材の形状は、被検試料を展開できる形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、矩形のシート状(片状)やロッド状などが好ましい。
【0017】
本発明において、固定相とは、検査対象物と特異的に結合し得る第一の免疫化学的成分が吸水性基材上に固定化された領域を意味する。第一の免疫化学的成分を吸水性基材上に固定化する方法(固定化相の作製方法)も特に限定されるものではないが、従来から知られている物理吸着法や共有結合法によるのが好適であり、特に、該免疫化学的成分が基材から脱離しにくいという点で共有結合法によるのが好ましい。吸水性基材が上記共有結合法のための官能基を有しないときは、例えば適当な官能基を有する重合体を用いて基材を作製し、吸水性基材の吸水性を阻害しない程度に付着させることができる。また、第一の免疫化学的成分および親水性重合体を含む溶液を吸水性基材に塗布した後、上記親水性重合体を凝固させる凝固溶剤に浸漬することで固定相を作製することもできる。上記親水性重合体としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロースなどが用いられる。また、上記凝固溶剤としては、アセトン、エタノール、メタノール、エーテルなどを用いることができる。
【0018】
本発明において、上記固定相と、被検試料液および第一標識免疫化学的成分含有液の混合物、並びに第二標識免疫化学的成分含有液の吸収が開始される部位(以下、吸液部という)との間の距離は特に限定されないが、好ましくは1〜6cm、より好ましくは3〜4cm程度である。距離があまりに遠すぎると、固定相まで被検試料が到達しなかったり、検出シグナル感度が強すぎたり、あるいは測定に時間がかかる等の問題を生じるおそれがある。一方、距離が近すぎると固定相の発色が均一ではなくまばらになったり、検出シグナル感度が低すぎるという問題を生じるおそれがある。
【0019】
吸液部としては、被検試料や標識免疫化学的成分を含有する液の吸水性基材への移動を妨げるものでなければ特に限定されず、基材と兼用したものであっても、新たに不織布や織布等を該吸水性基材に接着させたものであってもよい。本発明において、検査対象物に特異的に結合し得る第一の免疫化学的成分が固定化された固定相、並びに吸液部を有する吸水性基材を、以下、本発明の免疫学的検査片または単に検査片という場合もある。
【0020】
本発明の方法における第一標識免疫化学的成分は、検査対象物に特異的に結合し得る免疫化学的成分(第二の免疫化学的成分)に標識物質を結合させたものであり、また、第二標識免疫化学的成分は、該第二の免疫化学的成分と特異的に結合し得る免疫化学的成分(第三の免疫化学的成分)に標識物質を結合させたものである。ここで用いられる標識物質は、免疫化学的測定法において常套的に使用されるいかなる標識物質であってもよく、例えば着色粒子、酵素(アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ等)、蛍光物質(FITC、ローダミン等)などが挙げられるが、効率のよい検出シグナルの増幅を達成するためには、第一および第二標識免疫化学的成分に使用される標識物質は同一のものであることが好ましい。本発明の方法では、迅速な検出を行う意味で、標識物質として着色粒子が好ましく使用される。着色粒子は肉眼で検出可能なものであれば特に制限はなく、例えば、金、銀、銅などの金属からなるコロイド粒子、スダンブルーやスダンレッドIV、スダンIII 、オイルオレンジ、キニザリングリーン等に代表される顔料や染料などでラテックスを着色してなる着色ラテックスなどを用いることができる。目視確認性の点からは、金コロイドや青、赤、緑もしくはオレンジ色に着色した着色ラテックスの使用が好ましく、また、分散安定性や検査対象物の検出感度の調節が容易であるなどの点を考慮すると、青色、赤色等に着色された水分散型高分子重合体からなる着色ラテックスを使用することがさらに望ましい。
【0021】
着色粒子の粒径は、検出の際の発色がよく且つ吸水性基材の吸水性を低下させない程度の該基材中での移動性を有するものであれば特に制限はないが、保存安定性や調製が容易であるなどの点から、好ましくは0.01〜3μm、より好ましくは0.05〜0.5μmの範囲が例示される。粒径があまりに小さすぎると、1粒子あたりの着色の程度が少ないので、固定相に結合しても発色の程度が悪く目視確認性に劣るようになる。また、粒径が大きすぎると、着色粒子がわずかに凝集しただけで吸水性基材に目詰まりを起こして吸水性を低下させたり、非特異的発色を生じたりすることがある。
【0022】
第二および第三の免疫化学的成分のそれぞれを、このような着色粒子で標識する方法としては、従来公知の方法、例えば共有結合法、物理的吸着法、イオン結合法等を使用することができるが、免疫化学的成分からの着色粒子の脱離がなく安定であるという点から共有結合法がより好ましく用いられる。
【0023】
本発明の方法において、被検試料中の複数の検査対象物を検出するために、対応する複数の免疫化学的成分をそれぞれ別の着色粒子で標識することができるが、この際に用いられる着色粒子は同一色であっても異なる色であってもよい。同一色の着色粒子を用いる場合、各検査対象物にそれぞれ特異的に結合し得る免疫化学的成分を固定化した固定相を識別可能な程度に離して設置することが望ましい。
【0024】
標識物質が酵素や蛍光物質の場合には、固定相の標識物質の検出は、EIAや蛍光抗体法(FIA)で従来使用されている検出手段が適宜選択される。
【0025】
第一標識免疫化学的成分含有液および第二標識免疫化学的成分含有液は、各標識免疫化学的成分を適当な分散媒(溶媒)中に分散(溶解)させることにより調製される。標識免疫化学的成分を分散させる分散媒は、検査対象物と第一標識免疫化学的成分および第一標識免疫化学的成分と第二標識免疫化学的成分の抗原抗体反応を阻害しないものであれば特に制限はないが、好ましくは該抗原抗体反応に適したpHおよび塩濃度を有する緩衝液、例えばリン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液等を適宜選択して使用することができる。シグナル検出時の各標識免疫化学的成分濃度は0.005〜5%、好ましくは0.01〜0.5%の範囲である。濃度があまりに低すぎると、固定相に結合する粒子数が少なく検出感度が悪くなる。また、濃度が高すぎると、不経済なばかりでなく過剰の標識物質が固定相以外に残留し、固定相のシグナルを不明瞭にする等の問題を生じる。なお、以下、標識免疫化学的成分含有液を単に標識免疫化学的成分液という。
【0026】
本発明の免疫学的検査用キットは、本発明の免疫学的検査方法に好ましく用いることができる。該キットは、少なくとも下記の内容を含むものである。
(a) 検査対象物と特異的に結合し得る第一の免疫化学的成分を固定化した固定相を表面上のある領域に設けた吸水性基材
(b) 該検査対象物と特異的に結合し得る第二の免疫化学的成分に標識物質を結合してなる標識免疫化学的成分(第一標識免疫化学的成分)
(c) 該第二の免疫化学的成分と特異的に結合し得る第三の免疫化学的成分に標識物質を結合してなる標識免疫化学的成分(第二標識免疫化学的成分)
該吸水性基材、第一および第二標識免疫化学的成分の好ましい態様は、上記したような本発明の免疫学的検査方法において好ましく用いられるものである。
【0027】
本発明のキットは、上記の内容物以外に、本発明の免疫学的検査方法において好ましく使用され得る付加的な内容物を含んでいてもよい。例えば、第一および第二標識免疫化学的成分を分散させるのに好ましく使用される上記の緩衝液などが挙げられる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、これら実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0029】
実施例1 免疫学的検査用キットの作製
(1)第一標識免疫化学的成分液の作製
青色着色カルボキシル化ポリスチレンラテックス粒子分散液(固形分濃度5重量%、平均粒子径0.1μm、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8)中)3mlに、水溶性カルボジイミド(1mg/ml、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8)中)1mlおよび1mg/mlヤギIgG抗大腸菌O−157:H7抗体(Kirkegaard & Perry Laboratories Inc.製、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8)中)1mlを加えて10℃で3時間反応させた後、洗浄液としてホウ酸緩衝液(pH8)を用いて遠心分離洗浄を行い、青色着色ラテックス粒子標識抗大腸菌O−157:H7抗体を作製した。得られたラテックス粒子標識抗体は、0.01M−ホウ酸緩衝液(pH8)に、固形分濃度2重量%となるように懸濁した。
【0030】
(2)第二標識免疫化学的成分液の作製
上記(1)と同様にして、青色着色カルボキシル化ポリスチレンラテックス粒子分散液(固形分濃度5重量%、平均粒子径0.1μm、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8)中)3mlに、水溶性カルボジイミド(1mg/ml、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8)中)1mlおよび2mg/mlウサギ抗ヤギIgG抗体(Kirkegaard & Perry Laboratories Inc.製、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8)中)1mlを加えて10℃で3時間反応させた後、洗浄液としてホウ酸緩衝液(pH8)を用いて遠心分離洗浄を行い、青色着色ラテックス粒子標識抗ヤギIgG抗体を作製した。得られたラテックス標識抗体は、0.01M−ホウ酸緩衝液(pH8)に、固形分濃度2重量%となるように懸濁した。
【0031】
(3)検査片の作製
ニトロセルロースメンブレン(孔径8μm、6mm×60mm)の一端から30mmの箇所に、1mg/mlウサギIgG抗大腸菌O−157:H7抗体(Capricorn 社製、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)中)0.5μlを、ディスペンサーを用いてライン状に塗布した。このメンブレンを1重量%ウシ血清アルブミンおよび0.1重量%ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(和光純薬工業社製)からなる水溶液中に10分間浸漬させた後、40℃で2時間乾燥させた。
次いで、このメンブレンの裏側(抗体塗布面の反対側)に、ポリエステルフィルム(100μm厚)をスプレー糊を用いて貼り合わせた。さらに、抗体塗布箇所反対端から0〜8mmの箇所にポリエステル不織布(6mm×8mm、厚さ2.5mm)を貼り合わせて検査片を作製した。
【0032】
実施例2 免疫学的検査用キットによる大腸菌O−157:H7の検出
0.9重量%NaCl含有0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)に大腸菌O−157:H7株を表1に示した各濃度で分散させた被検試料液を調製した。この被検液に、実施例1の(1)で作製した第一標識抗体液と実施例1の(2)で作製した第二標識抗体液とを、各固形分濃度0.02重量%となるように混合、攪拌した後、該混合液60μlを実施例1の(3)で作製した免疫学的検査片のポリエステル不織布部に滴下した。20分後に固定相上での発色の有無を目視観察した。その結果を表1に示す。比較例として、第二標識抗体を用いず、第一標識抗体のみを使用した場合の測定結果を並べて示している。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
本発明のキットを用いた免疫クロマトグラフ法は、被検液と、第一標識免疫化学的成分および第二標識免疫化学的成分を予め混合した後検査片に展開するので、(検査対象物−第一標識免疫化学的成分−第二標識免疫化学的成分)の二重標識された免疫複合体の形成に十分な時間が確保される。したがって、二重標識されないまま検査対象物が固定相に捕捉されるために検出シグナルの増幅が不十分であるといった従来法において起こり得る検出上の問題を回避することができ、その結果、より高感度に検査対象物を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の免疫学的検査方法の原理を説明する模式図である。図1A:被検液、第一標識免疫化学的成分液および第二標識免疫化学的成分液の混合物中での免疫複合体形成;図1B:被検液、第一標識免疫化学的成分液および第二標識免疫化学的成分液の混合物の検査片への吸収・展開;図1C:固定相上での検査対象物の捕捉および検出シグナルの増幅
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡便、迅速に且つ高精度、高感度で被検試料中の検査対象物の検出を行い得る免疫学的検査方法およびそのためのキットに関する。より詳細には、本発明は検出シグナルを増幅させる工程を含む免疫クロマトグラフ法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体試料等の免疫学的分析法において、迅速且つ簡便にその検査を行う方法として免疫クロマトグラフ法が挙げられる。この方法は、一般に以下のような工程を含む。すなわち、検査対象物と特異的に結合し得る抗体を固定化した固定相を有する吸水性基材からなる検査片の一端より、該検査対象物に特異的に結合し得る標識された抗体と被検液との混合物を吸収させて展開すると、該混合物中で形成された標識抗体−検査対象物複合体は固定化された抗体と結合して固定相上に捕捉される。したがって、該固定相に結合した標識抗体を測定することにより被検液中の検査対象物を測定することができる。
【0003】
また、上記免疫クロマトグラフ法の検出シグナルをより高感度で得るための方法として、特開平10−062419号において、二種の標識抗体を用いる方法が開示されている。つまり、検査対象物と特異的に結合し得る抗体を標識した第一標識抗体と、該抗体に特異的に結合し得る二次抗体を標識した第二標識抗体とを、検査片中の被検試料滴下部と固定相(該検査対象物と特異的に結合し得る別の抗体が固定化されている)の間に標識相としてそれぞれ設置した(吸収させた)構成である。試料中の検査対象物は、第一標識抗体と複合体を形成した後、さらに第二標識抗体が第一標識抗体に結合して(被検物−第一標識抗体−第二標識抗体)の複合体を形成する。該免疫複合体は固定相上に固定化された抗体により捕捉される。したがって、固定相上で第二標識抗体により増幅させたシグナルが検出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のシグナル増幅免疫クロマトグラフ法によってもまだ十分な検出感度が得られていないのが現状である。したがって、本発明の目的は、免疫クロマトグラフ法に関し、さらに高感度で検査対象物を検出することが可能な免疫学的検査方法およびそのためのキットを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく種々検討を重ねた結果、従来のシグナル増幅免疫クロマトグラフ法において十分な感度が得られないのは、検査片の固定相前方に設置された標識相で(検査対象物−第一標識抗体−第二標識抗体)複合体を形成させるため、検査対象物と第一標識抗体、および第一標識抗体と第二標識抗体との抗原抗体反応が十分に行われず、したがって検出シグナルを増幅させるために必要な二重標識された免疫複合体が十分に形成されないまま固定相に到達してしまうためであると想到した。そこで本発明者らは、上記の免疫クロマトグラフ法において、第一および第二標識抗体を検査片から分離し、該吸水性基材の該一端から被験液、第一標識抗体を含有する液および第二標識抗体を含有する液を展開し、該吸水性基材上で形成される検査対象物、第一標識抗体および第二標識抗体からなる免疫複合体を、固定相に固定化された該検査対象物に特異的な抗体で捕捉させることにより、(検査対象物−第一標識抗体−第二標識抗体)複合体形成のための十分な時間が得られるように工夫した。その結果、固定相上での検出シグナルが従来よりも効率よく増幅され、より高感度に検査対象物を検出できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.以下の工程を含むことを特徴とする免疫学的検査方法:
(1) 検査対象物と特異的に結合し得る第一の免疫化学的成分を固定化した固定相を表面上の任意の領域に設けた吸水性基材の一端から、被検液、該検査対象物と特異的に結合し得る第二の免疫化学的成分に標識物質(特に着色粒子、就中、着色されたラテックス粒子または金コロイド粒子)を結合してなる標識免疫化学的成分(第一標識免疫化学的成分)を含有する液および該第二の免疫化学的成分と特異的に結合し得る第三の免疫化学的成分に標識物質(特に着色粒子、就中、着色されたラテックス粒子または金コロイド粒子)を結合してなる標識免疫化学的成分(第二標識免疫化学的成分)を含有する液の混合物を吸収させて展開し、
(2) 該混合物中で形成される検査対象物、第一標識免疫化学的成分および第二標識免疫化学的成分からなる免疫複合体を、固定相に固定化された該第一の免疫化学的成分に結合させて捕捉した後、
(3) 該固定相上の標識物質を測定することにより該検査対象物を検出する。
2.第一および第二標識免疫化学的成分中の標識物質が同一のものである上記1の方法。
3.検査対象物と特異的に結合し得る第一の免疫化学的成分を固定化した固定相を表面上の任意の領域に設けた吸水性基材、該検査対象物と特異的に結合し得る第二の免疫化学的成分に標識物質(特に着色粒子、就中、着色されたラテックス粒子または金コロイド粒子)を結合してなる標識免疫化学的成分(第一標識免疫化学的成分)および該第二の免疫化学的成分と特異的に結合し得る第三の免疫化学的成分に標識物質(特に着色粒子、就中、着色されたラテックス粒子または金コロイド粒子)を結合してなる標識免疫化学的成分(第二標識免疫化学的成分)を含み、以下の工程を含む免疫学的検査方法に使用され得る免疫学的検査用キット:
(1) 該吸水性基材の一端から、被検液、第一標識免疫化学的成分を含有する液および第二標識免疫化学的成分を含有する液の混合物を吸収させて展開し、
(2) 該混合物中で形成される検査対象物、第一標識免疫化学的成分および第二標識免疫化学的成分からなる免疫複合体を、固定相に固定化された該第一の免疫化学的成分に結合させて捕捉した後、
(3) 該固定相上の標識物質を測定することにより該検査対象物を検出する。
4.第一および第二標識免疫化学的成分中の標識物質が同一のものである上記3のキット。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の免疫学的検査方法の各工程において下記の反応、すなわち免疫複合体形成が行われる。
(1) 検査すべき被検液、第一標識免疫化学的成分含有液および第二標識免疫化学的成分含有液とを混合させると、被検液中に含まれる検査対象物は第一標識免疫化学的成分と結合し、さらに第一標識免疫化学的成分に第二標識免疫化学的成分が結合して二重標識された免疫複合体を形成する(図1A)。吸水性基材の一端から上記混合物を吸収させ展開すると、混合物中で形成された上記免疫複合体は液の移動とともに吸水性基材中を移動する(図1B)。
(2) 移動してきた免疫複合体は、固定相上で固定相に固定化された第一の免疫化学的成分とさらに結合し、新たに第二標識免疫化学的成分−第一標識免疫化学的成分−検査対象物−第一の免疫化学的成分からなる標識免疫複合体を形成して固定相上に捕捉される(図1C)。
(3) このように固定相に捕捉されることによって、第一および第二標識免疫化学的成分を構成する標識物質は一カ所に集合、結合して検出シグナルが増幅され、それによって検査対象物の存在をより高感度に検出することが可能となる(図1C)。
【0008】
本発明の方法により検出され得る検査対象物は、免疫化学的反応(すなわち抗原抗体反応)により第一の免疫化学的成分および第二の免疫化学的成分と結合してサンドイッチ免疫複合体を形成し得るものであれば特に制限されない。例えば、細菌(特に大腸菌O−157、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌等の病原性細菌)、放線菌、酵母、かび、ウイルス(特に、HIV、HBV、HCV等)などの微生物またはそれらに対する抗体、あるいは腫瘍マーカー抗原などの生体試料中の抗原性ペプチド等が挙げられる。
【0009】
本発明の方法において、固定相に固定化される第一の免疫化学的成分と、第一標識免疫化学的成分として用いる第二の免疫化学的成分は、いずれも抗原抗体反応により検査対象物と特異的に結合し得る物質であれば特に制限はない。検査対象物が抗原(例えば、蛋白質、ペプチド、ハプテンなど)であれば、第一および第二の免疫化学的成分は、該抗原と特異的に結合し得る抗体である。該抗体はモノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体であってもよい。また本発明における抗体とは、検査対象物との特異的親和性を保持する抗体の断片物、例えばH鎖、L鎖、Fab、F(ab') 2 、VH 、VL 等も含むものとする。一方、検査対象物が抗体である場合には、第一および第二の免疫化学的成分は、該抗体と特異的に結合し得る抗原もしくは該抗体を抗原として特異的に結合し得る二次抗体である。第一の免疫化学的成分および第二の免疫化学的成分は、検査対象物に応じてサンドイッチ法などで用いられる自体公知のものを適宜選択すればよい。また、該免疫化学的成分が抗体であれば、単離された検査対象物を感作抗原として、公知の抗体作製技術を用いて調製することもできる。第一、第二および第三の免疫化学的成分がいずれも抗体の場合、第一の抗体および第二の抗体は、用いる抗体の種類や検査対象物によっても異なるが、同一の抗原決定基を認識する二種の抗体を用いることも、また、異なる抗原決定基を認識する二種の抗体を用いることもできる。より好ましくは、異なる抗原決定基を認識するものが使用される。
【0010】
第二標識免疫化学的成分として用いる第三の免疫化学的成分は、第一標識免疫化学的成分中の第二の免疫化学的成分に対して特異的に結合する免疫化学的成分であり、且つ固定化された第一の免疫化学的成分とは結合しない免疫化学的成分である。第三の免疫化学的成分は、間接免疫測定法で二次抗体として用いられる従来公知のものを適宜選択することができる。また、第二の免疫化学的成分を感作抗原として、公知の抗体作製技術を用いて調製することもできる。第一、第二および第三の免疫化学的成分がいずれも抗体であり、第三の抗体に抗IgG抗体を用いる場合には、第一の抗体と第二の抗体の由来動物種は互いに異なるものであることが好ましい。
【0011】
本発明において用いられる吸水性基材は、検査対象物を含有する被検試料、例えば、食品から抽出した溶液やその培養上清、便懸濁(溶解)液、血漿、血清、尿などを液体試料、あるいはこれらを適当な緩衝液によって希釈してなる希釈液、並びに第一標識免疫化学的成分、第二標識免疫化学的成分をそれぞれ含有する液を吸収できるものであれば特に限定されない。本発明においては、被検試料中の検査対象物が標識免疫化学的成分や固定相に固定化された第一の免疫化学的成分と十分な反応を行うための時間を確保できるような吸水性基材が好ましく用いられる。
【0012】
吸水性基材が吸水性に劣る場合には、後述するように被検試料が固定相に到達するのに長時間を要し、その結果、迅速な測定を行うことができない。一方、吸水性基材の吸水性があまりに高すぎる場合には、被検試料中の検査対象物が標識免疫化学的成分や固定相の第一免疫化学的成分と十分な反応を行うために必要な時間が不足するので、正確な測定を行うことが困難である。
【0013】
したがって、本発明における吸水性基材の好ましい吸水性の程度は、5mm幅の短冊状に裁断した吸水性基材の片端部を水に浸漬し、1分間経過後の吸水距離が0.5〜5cm程度である。
【0014】
本発明の吸水性基材の好ましい具体例としては、不織布、濾紙、ガラス繊維布、ガラスフィルター、ニトロセルロースフィルター、多孔質材料などが挙げられる。これらの基材は適度な吸水速度を有するとともに、標識物質が着色粒子の場合、着色粒子が結合して発色した際の目視確認性に優れるなどの利点を有するものである。
【0015】
また、これらの基材の吸水性を調整するために、基材の表面に親水性重合体や界面活性剤を被覆し、あるいは含浸させることもできる。さらに、本発明においては吸水性基材として同一材料からなる基材を用いてもよいし、あるいは異種の材料からなるものを任意の接着手段によって接合して得られる連続した基材を用いることもできる。
【0016】
本発明において、吸水性基材の形状は、被検試料を展開できる形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、矩形のシート状(片状)やロッド状などが好ましい。
【0017】
本発明において、固定相とは、検査対象物と特異的に結合し得る第一の免疫化学的成分が吸水性基材上に固定化された領域を意味する。第一の免疫化学的成分を吸水性基材上に固定化する方法(固定化相の作製方法)も特に限定されるものではないが、従来から知られている物理吸着法や共有結合法によるのが好適であり、特に、該免疫化学的成分が基材から脱離しにくいという点で共有結合法によるのが好ましい。吸水性基材が上記共有結合法のための官能基を有しないときは、例えば適当な官能基を有する重合体を用いて基材を作製し、吸水性基材の吸水性を阻害しない程度に付着させることができる。また、第一の免疫化学的成分および親水性重合体を含む溶液を吸水性基材に塗布した後、上記親水性重合体を凝固させる凝固溶剤に浸漬することで固定相を作製することもできる。上記親水性重合体としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロースなどが用いられる。また、上記凝固溶剤としては、アセトン、エタノール、メタノール、エーテルなどを用いることができる。
【0018】
本発明において、上記固定相と、被検試料液および第一標識免疫化学的成分含有液の混合物、並びに第二標識免疫化学的成分含有液の吸収が開始される部位(以下、吸液部という)との間の距離は特に限定されないが、好ましくは1〜6cm、より好ましくは3〜4cm程度である。距離があまりに遠すぎると、固定相まで被検試料が到達しなかったり、検出シグナル感度が強すぎたり、あるいは測定に時間がかかる等の問題を生じるおそれがある。一方、距離が近すぎると固定相の発色が均一ではなくまばらになったり、検出シグナル感度が低すぎるという問題を生じるおそれがある。
【0019】
吸液部としては、被検試料や標識免疫化学的成分を含有する液の吸水性基材への移動を妨げるものでなければ特に限定されず、基材と兼用したものであっても、新たに不織布や織布等を該吸水性基材に接着させたものであってもよい。本発明において、検査対象物に特異的に結合し得る第一の免疫化学的成分が固定化された固定相、並びに吸液部を有する吸水性基材を、以下、本発明の免疫学的検査片または単に検査片という場合もある。
【0020】
本発明の方法における第一標識免疫化学的成分は、検査対象物に特異的に結合し得る免疫化学的成分(第二の免疫化学的成分)に標識物質を結合させたものであり、また、第二標識免疫化学的成分は、該第二の免疫化学的成分と特異的に結合し得る免疫化学的成分(第三の免疫化学的成分)に標識物質を結合させたものである。ここで用いられる標識物質は、免疫化学的測定法において常套的に使用されるいかなる標識物質であってもよく、例えば着色粒子、酵素(アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ等)、蛍光物質(FITC、ローダミン等)などが挙げられるが、効率のよい検出シグナルの増幅を達成するためには、第一および第二標識免疫化学的成分に使用される標識物質は同一のものであることが好ましい。本発明の方法では、迅速な検出を行う意味で、標識物質として着色粒子が好ましく使用される。着色粒子は肉眼で検出可能なものであれば特に制限はなく、例えば、金、銀、銅などの金属からなるコロイド粒子、スダンブルーやスダンレッドIV、スダンIII 、オイルオレンジ、キニザリングリーン等に代表される顔料や染料などでラテックスを着色してなる着色ラテックスなどを用いることができる。目視確認性の点からは、金コロイドや青、赤、緑もしくはオレンジ色に着色した着色ラテックスの使用が好ましく、また、分散安定性や検査対象物の検出感度の調節が容易であるなどの点を考慮すると、青色、赤色等に着色された水分散型高分子重合体からなる着色ラテックスを使用することがさらに望ましい。
【0021】
着色粒子の粒径は、検出の際の発色がよく且つ吸水性基材の吸水性を低下させない程度の該基材中での移動性を有するものであれば特に制限はないが、保存安定性や調製が容易であるなどの点から、好ましくは0.01〜3μm、より好ましくは0.05〜0.5μmの範囲が例示される。粒径があまりに小さすぎると、1粒子あたりの着色の程度が少ないので、固定相に結合しても発色の程度が悪く目視確認性に劣るようになる。また、粒径が大きすぎると、着色粒子がわずかに凝集しただけで吸水性基材に目詰まりを起こして吸水性を低下させたり、非特異的発色を生じたりすることがある。
【0022】
第二および第三の免疫化学的成分のそれぞれを、このような着色粒子で標識する方法としては、従来公知の方法、例えば共有結合法、物理的吸着法、イオン結合法等を使用することができるが、免疫化学的成分からの着色粒子の脱離がなく安定であるという点から共有結合法がより好ましく用いられる。
【0023】
本発明の方法において、被検試料中の複数の検査対象物を検出するために、対応する複数の免疫化学的成分をそれぞれ別の着色粒子で標識することができるが、この際に用いられる着色粒子は同一色であっても異なる色であってもよい。同一色の着色粒子を用いる場合、各検査対象物にそれぞれ特異的に結合し得る免疫化学的成分を固定化した固定相を識別可能な程度に離して設置することが望ましい。
【0024】
標識物質が酵素や蛍光物質の場合には、固定相の標識物質の検出は、EIAや蛍光抗体法(FIA)で従来使用されている検出手段が適宜選択される。
【0025】
第一標識免疫化学的成分含有液および第二標識免疫化学的成分含有液は、各標識免疫化学的成分を適当な分散媒(溶媒)中に分散(溶解)させることにより調製される。標識免疫化学的成分を分散させる分散媒は、検査対象物と第一標識免疫化学的成分および第一標識免疫化学的成分と第二標識免疫化学的成分の抗原抗体反応を阻害しないものであれば特に制限はないが、好ましくは該抗原抗体反応に適したpHおよび塩濃度を有する緩衝液、例えばリン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液等を適宜選択して使用することができる。シグナル検出時の各標識免疫化学的成分濃度は0.005〜5%、好ましくは0.01〜0.5%の範囲である。濃度があまりに低すぎると、固定相に結合する粒子数が少なく検出感度が悪くなる。また、濃度が高すぎると、不経済なばかりでなく過剰の標識物質が固定相以外に残留し、固定相のシグナルを不明瞭にする等の問題を生じる。なお、以下、標識免疫化学的成分含有液を単に標識免疫化学的成分液という。
【0026】
本発明の免疫学的検査用キットは、本発明の免疫学的検査方法に好ましく用いることができる。該キットは、少なくとも下記の内容を含むものである。
(a) 検査対象物と特異的に結合し得る第一の免疫化学的成分を固定化した固定相を表面上のある領域に設けた吸水性基材
(b) 該検査対象物と特異的に結合し得る第二の免疫化学的成分に標識物質を結合してなる標識免疫化学的成分(第一標識免疫化学的成分)
(c) 該第二の免疫化学的成分と特異的に結合し得る第三の免疫化学的成分に標識物質を結合してなる標識免疫化学的成分(第二標識免疫化学的成分)
該吸水性基材、第一および第二標識免疫化学的成分の好ましい態様は、上記したような本発明の免疫学的検査方法において好ましく用いられるものである。
【0027】
本発明のキットは、上記の内容物以外に、本発明の免疫学的検査方法において好ましく使用され得る付加的な内容物を含んでいてもよい。例えば、第一および第二標識免疫化学的成分を分散させるのに好ましく使用される上記の緩衝液などが挙げられる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、これら実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0029】
実施例1 免疫学的検査用キットの作製
(1)第一標識免疫化学的成分液の作製
青色着色カルボキシル化ポリスチレンラテックス粒子分散液(固形分濃度5重量%、平均粒子径0.1μm、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8)中)3mlに、水溶性カルボジイミド(1mg/ml、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8)中)1mlおよび1mg/mlヤギIgG抗大腸菌O−157:H7抗体(Kirkegaard & Perry Laboratories Inc.製、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8)中)1mlを加えて10℃で3時間反応させた後、洗浄液としてホウ酸緩衝液(pH8)を用いて遠心分離洗浄を行い、青色着色ラテックス粒子標識抗大腸菌O−157:H7抗体を作製した。得られたラテックス粒子標識抗体は、0.01M−ホウ酸緩衝液(pH8)に、固形分濃度2重量%となるように懸濁した。
【0030】
(2)第二標識免疫化学的成分液の作製
上記(1)と同様にして、青色着色カルボキシル化ポリスチレンラテックス粒子分散液(固形分濃度5重量%、平均粒子径0.1μm、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8)中)3mlに、水溶性カルボジイミド(1mg/ml、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8)中)1mlおよび2mg/mlウサギ抗ヤギIgG抗体(Kirkegaard & Perry Laboratories Inc.製、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8)中)1mlを加えて10℃で3時間反応させた後、洗浄液としてホウ酸緩衝液(pH8)を用いて遠心分離洗浄を行い、青色着色ラテックス粒子標識抗ヤギIgG抗体を作製した。得られたラテックス標識抗体は、0.01M−ホウ酸緩衝液(pH8)に、固形分濃度2重量%となるように懸濁した。
【0031】
(3)検査片の作製
ニトロセルロースメンブレン(孔径8μm、6mm×60mm)の一端から30mmの箇所に、1mg/mlウサギIgG抗大腸菌O−157:H7抗体(Capricorn 社製、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)中)0.5μlを、ディスペンサーを用いてライン状に塗布した。このメンブレンを1重量%ウシ血清アルブミンおよび0.1重量%ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(和光純薬工業社製)からなる水溶液中に10分間浸漬させた後、40℃で2時間乾燥させた。
次いで、このメンブレンの裏側(抗体塗布面の反対側)に、ポリエステルフィルム(100μm厚)をスプレー糊を用いて貼り合わせた。さらに、抗体塗布箇所反対端から0〜8mmの箇所にポリエステル不織布(6mm×8mm、厚さ2.5mm)を貼り合わせて検査片を作製した。
【0032】
実施例2 免疫学的検査用キットによる大腸菌O−157:H7の検出
0.9重量%NaCl含有0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)に大腸菌O−157:H7株を表1に示した各濃度で分散させた被検試料液を調製した。この被検液に、実施例1の(1)で作製した第一標識抗体液と実施例1の(2)で作製した第二標識抗体液とを、各固形分濃度0.02重量%となるように混合、攪拌した後、該混合液60μlを実施例1の(3)で作製した免疫学的検査片のポリエステル不織布部に滴下した。20分後に固定相上での発色の有無を目視観察した。その結果を表1に示す。比較例として、第二標識抗体を用いず、第一標識抗体のみを使用した場合の測定結果を並べて示している。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
本発明のキットを用いた免疫クロマトグラフ法は、被検液と、第一標識免疫化学的成分および第二標識免疫化学的成分を予め混合した後検査片に展開するので、(検査対象物−第一標識免疫化学的成分−第二標識免疫化学的成分)の二重標識された免疫複合体の形成に十分な時間が確保される。したがって、二重標識されないまま検査対象物が固定相に捕捉されるために検出シグナルの増幅が不十分であるといった従来法において起こり得る検出上の問題を回避することができ、その結果、より高感度に検査対象物を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の免疫学的検査方法の原理を説明する模式図である。図1A:被検液、第一標識免疫化学的成分液および第二標識免疫化学的成分液の混合物中での免疫複合体形成;図1B:被検液、第一標識免疫化学的成分液および第二標識免疫化学的成分液の混合物の検査片への吸収・展開;図1C:固定相上での検査対象物の捕捉および検出シグナルの増幅
Claims (8)
- 以下の工程を含むことを特徴とする免疫学的検査方法:
(1) 検査対象物と特異的に結合し得る第一の免疫化学的成分を固定化した固定相を表面上の任意の領域に設けた吸水性基材の一端から、被検液、該検査対象物と特異的に結合し得る第二の免疫化学的成分に標識物質を結合してなる標識免疫化学的成分(第一標識免疫化学的成分)を含有する液および該第二の免疫化学的成分と特異的に結合し得る第三の免疫化学的成分に標識物質を結合してなる標識免疫化学的成分(第二標識免疫化学的成分)を含有する液の混合物を吸収させて展開し、
(2) 該混合物中で形成される検査対象物、第一標識免疫化学的成分および第二標識免疫化学的成分からなる免疫複合体を、固定相に固定化された該第一の免疫化学的成分に結合させて捕捉した後、
(3) 該固定相上の標識物質を測定することにより該検査対象物を検出する。 - 第一および第二標識免疫化学的成分中の標識物質が同一のものである請求項1記載の方法。
- 該標識物質が着色粒子である請求項1または2記載の方法。
- 該着色粒子が着色されたラテックス粒子または金コロイド粒子である請求項3記載の方法。
- 検査対象物と特異的に結合し得る第一の免疫化学的成分を固定化した固定相を表面上の任意の領域に設けた吸水性基材、該検査対象物と特異的に結合し得る第二の免疫化学的成分に標識物質を結合してなる標識免疫化学的成分(第一標識免疫化学的成分)および該第二の免疫化学的成分と特異的に結合し得る第三の免疫化学的成分に標識物質を結合してなる標識免疫化学的成分(第二標識免疫化学的成分)を含み、以下の工程を含む免疫学的検査方法に使用され得る免疫学的検査用キット:
(1) 該吸水性基材の一端から、被検液、第一標識免疫化学的成分を含有する液および第二標識免疫化学的成分を含有する液の混合物を吸収させて展開し、
(2) 該混合物中で形成される検査対象物、第一標識免疫化学的成分および第二標識免疫化学的成分からなる免疫複合体を、固定相に固定化された該第一の免疫化学的成分に結合させて捕捉した後、
(3) 該固定相上の標識物質を測定することにより該検査対象物を検出する。 - 第一および第二標識免疫化学的成分中の標識物質が同一のものである請求項5記載のキット。
- 該標識物質が着色粒子である請求項5または6記載のキット。
- 該着色粒子が着色されたラテックス粒子または金コロイド粒子である請求項7記載のキット。
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