JP3927420B2 - 焼戻し軟化抵抗性に優れた肌焼鋼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンへ燃料を噴射するインジェクター等の、使用過程でその部品環境の温度が上昇し、その部品表面の硬さの低下を抑制することが必要な部品に供する肌焼鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車のエンジンに燃料を供給するインジェクター等はJIS SCr420、SCM420等の肌焼き用クロム鋼、またはクロムモリブデン鋼を用いて部品加工を行い、浸炭焼入れ焼戻しを行って使用される場合が多かった。
【0003】
近年、エンジンの高性能化が進み、使用される条件により部品表面温度は300℃程度まで上昇し、浸炭処理により高い表面硬さが得られていても、その使用温度による焼戻し効果により表面硬さが低下し、耐磨耗性の低下や部品強度の低下が生じるといったことが問題になっていた。従来の肌焼鋼では、その使用温度での表面硬さはHV600台であり、HV700を下回ると著しく磨耗が進行することから、HV700以上が確保される肌焼鋼が望まれていた。従来から、浸炭硬化層の焼戻し軟化抵抗を向上させる鋼成分にはSiが有効であることは知られおり、例えば特開2001−192765号公報には、その知見が開示されているが、該公報の発明は300℃程度の高温での焼戻し軟化抵抗を向上させる企図はなく、開示や示唆もない。また、Siの過剰添加は浸炭性を阻害し、浸炭焼き入れままでの表面硬さが得らえられにくく、従って300℃程度での表面硬さも低い等の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を鑑みてなされたものであり、部品温度が300℃にも達するような環境条件下でも焼戻し効果による軟化を抑制しつつHV700以上の表面硬さを確保し、部品表面の耐磨耗性や強度を確保する、軟化抵抗性に優れた肌焼鋼を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は鋼の300℃における軟化抵抗性を向上させるために鋭意検討した結果、浸炭時のC濃度を高くし、浸炭ままでの硬さを高くしても、300℃においては軟化量も大きくなり、HV700以上を確保することが困難であり、軟化性を向上させるためには鋼の含有元素量を調整することが、最も重要であり、そのためにはSiとCrおよびMoの適量含有が浸炭性を阻害せず、軟化抵抗性が確保できることを見出した。
【0006】
本発明は、肌焼鋼の合金組成を適正に調整することにより、浸炭焼入れで高い表面硬さを得ると共に、300℃の焼戻しにおいて軟化抵抗性に優れ、HV700以上の表面硬さを得ようとするものである。
【0007】
即ち、本発明の第1発明は、合金元素の含有量が質量%で、C:0.1〜0.3%、Si:0.70〜1.27%、Mn:0.5〜1.5%、Cr:0.1〜3.0%、Mo:1.0〜1.5%、Al:0.2%以下、N:0.003〜0.03%を含有し、かつ、Si+0.2Crを1.3%超含有し、残部がFe及び不可避的不純物であることを特徴とする焼戻し軟化抵抗性に優れた肌焼鋼であり、第2発明は、さらに、質量%で、Ti:0.2%以下、Nb:0.2%以下を含有することを特徴とする第1発明に記載の焼戻し軟化抵抗性に優れた肌焼鋼である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、合金元素の限定理由について説明する。
【0009】
C:0.1〜0.3%
Cは鋼の強度を保持するのに必須の元素であり、その含有量が心部の硬さを決定し、有効硬化層深さにも影響する。そこで、本発明ではC量の下限を0.1%とし、心部硬さを確保している。しかし、その含有量が多すぎると、切削加工前の素材の硬さが増大し、被削性を低下させ、生産性を低下させるため、上限を0.3%とした。
【0010】
Si:0.70〜1.27%Siは本発明鋼において最も重要な元素である。すなわち、Siは300℃の温度域における軟化抵抗を向上させるのに最も有効な元素である。その効果を得るためには0.70%以上が必要であり、1.27%を超えると浸炭時のCの侵入を阻害し、浸炭焼入れままの状態で表面硬さが得られない場合や、必要な有効硬化層深さが得られない場合が生じるため、1.27%を上限とした。
【0011】
Mn:0.5〜1.5%
Mnは焼入れ性を確保するために必要な元素であり0.5%以上とした。1.5%を超えると、鋼の加工性を劣化させるだけでなく、浸炭層の残留オーステナイトを増加安定させてしまうため、浸炭焼き入れままでの表面硬さの低下を低下させてしまうため、1.5%を上限とした。
【0012】
Cr:0.1〜3.0%
Crは鋼の焼入れ性の向上に向上に有効な元素であり、また、炭化物を形成することによってもSiと同様に焼戻し軟化抵抗性を向上させるのに重要な元素である。焼入れ性を得るためには0.1%以上が必要であり、3.0%を超えると切削加工性を劣化させ、生産性を低下させるため、3.0%を上限とした。
【0013】
Si+0.2Cr+0.01Mo>1.3%
SiとCr、Moは耐軟化抵抗性を得るために重要な元素であり、その効果はSiが最も高い。しかし、Si単独で大量に含有すると、焼入れ性の確保や浸炭時のCの侵入の阻害など、Siだけでは軟化抵抗を安定して確保することは難しい。そこで、本発明では、Siと同時にCr、Moをバランスよく添加することで、浸炭性を阻害することなく優れた軟化抵抗性が得られることを見出し、Si+0.2Cr+0.01Moが1.3%超含有するようにSiとCr、Moを添加することが必要である。
【0014】
Mo:1.0〜1.5%
Moは焼入れ性を向上させ、軟化抵抗性にも効果がある。焼入れ性を得るためには1.0%以上が必要であり、1.5%を超えると加工性を劣化させるため、上限とした。
【0016】
その他、本発明鋼に結晶粒の微細化や結晶粒の粗大化防止を目的にAl、Nb、Ti、V、N等を添加することが可能であり、これらの元素は熱間圧延、熱間鍛造、切削加工等の生産性を阻害しない下記の範囲で含有することができる。
Al:0.2%以下、N:0.003〜0.03%を含有する他、必要に応じてTi : 0.2%以下、Nb:0.2%以下を含有することができる。
【0017】
【実施例】
表1に示す化学組成を有する熱間圧延材から15φ×45mmの丸棒試験片を各鋼種2本加工し、 図1(a)に示す条件でガス浸炭焼入れ処理−200℃×2時間の焼戻し処理を実施した。その後、各2本の内、1本は更に、前記使用条件に対応する図1(b)に示す300℃×2時間の焼戻し処理を行った。その後、200℃焼戻し材と300℃焼戻し材をそれぞれ試験片の軸方向中心部から切断し、表面から50μm内部の硬さをビッカース硬度計で300gで測定した。
【0018】
表面硬さの測定結果を表2に示す。本発明鋼例の試験No.7、8、11、12は優れた耐軟化抵抗性を有しており、HV700以上を確保している。それに対して比較例の試験No.21(JIS SCM420)は軟化量が非常に大きく、700HV未満である。また、比較例の試験No.13、15はSi量とMo量が不足するために、Si+0.2Cr+0.01Moの含有量を満足せず、そのために軟化量が大きく、700HV未満である。比較例の試験No.14、16はSi含有量が多いために、浸炭性が劣化し、200℃戻しでの硬さが低く、従って、300℃焼戻しでも700HV未満である。
【0019】
比較例の試験No.17、19はMo量が不足するためSi+0.2Cr+0.01Moの含有量を満足しないためにHV700を下回る。また、比較例の試験No.18、20は、同No.17、15とそれぞれ同じ鋼を使用し200℃での表面硬さを同No.17、15よりも高くなるよう浸炭処理したものであるが、300℃で焼戻しではいずれもHV700を下回り、表面硬さが得られない。
【0020】
尚、この効果を得るための浸炭処理は本発明の実施例で試験したガス浸炭の他に真空浸炭でも効果が得られる。また、浸炭焼入れ後にサブゼロ処理を行い、残留オーステナイト量を低減することも有効である。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、合金元素を適正化することで、優れた焼戻し軟化抵抗を得ることができ、部品使用環境の温度上昇に起因した硬さの低下を抑制する鋼を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例でのガス浸炭処理のパターン模式図である。
Claims (2)
- 質量%で、
C:0.1〜0.3%、
Si:0.70〜1.27%、
Mn:0.5〜1.5%、
Cr:0.1〜3.0%、
Mo:1.0〜1.5%、
Al:0.2%以下、
N:0.003〜0.03%
を含有し、かつ、Si+0.2Cr+0.01Moを1.3%超含有し、残部がFe及び不可避的不純物であることを特徴とする焼戻し軟化抵抗性に優れた肌焼鋼。 - さらに、質量%で、
Ti:0.2%以下、
Nb:0.2%以下
を含有することを特徴とする請求項1記載の焼戻し軟化抵抗性に優れた肌焼鋼。
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