JP3922420B2 - 改良されたリボ核酸の単離方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はリボ核酸の単離方法及びそのための試薬に関する。さらに詳しくは、ポリA+RNAやウイルスRNAを含有する試料より標的リボ核酸プローブ固定化担体を用いて、簡便に標的リボ核酸を単離する方法ならびにそのための試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年種々の生物において、全ゲノムデオキシリボ核酸(DNA)塩基配列が解明されつつある。しかしながら、これら全てが生命現象を担うわけではなく、生命現象の主たる担い手タンパク質のアミノ酸配列情報を含む領域、このタンパク質の合成を触媒するリボ核酸(RNA)、すなわちトランスファーRNA(tRNA)及びリボゾーマルRNA(rRNA)の塩基配列情報を含む領域の他、生命現象には必要とされない領域が存在する。また、タンパク質アミノ酸配列情報を含む領域も一つのタンパク質に対し必ずしも一つの連続した領域からなるものではない。つまり、タンパク質の合成の前にまずRNAに転写されるが、この際その間に挟まれたアミノ酸配列情報を含まない領域(イントロン)も合わせて転写され、スプライシングと呼ばれる過程でこの領域が切除され、アミノ酸配列情報を含む領域が残ったメッセンジャーRNA(mRNA)が生成するのである。
【0003】
真核生物ではこのmRNAの3’末端がポリアデニル化されているのが特徴でありポリA+RNAと呼ばれる。このポリA+RNAの解析は、生命現象を解明する上で非常に重要な情報を提供する。ポリA+RNAの解析において、しばしばtRNA,rRNA,mRNA(ポリA+RNA)の混合物であるTotal RNAを用いて行われるが、このTotal RNAに占めるポリA+RNAの割合は5%以下であり、特にコピー数の少ないポリA+RNAの解析は困難である。そのため、生体材料からポリA+RNAを効率良く単離することは、これらの解析において非常に有意義なものである。これらの分野で頻繁に使用されているcDNAライブラリーの調製、cDNAクローニング、ノザンブロット解析、逆転写ポリメラーゼチェインリアクション(RT−PCR)などの解析法において良好な結果を得るためには、できる限り高純度のポリA+RNAを使用することがより良い結果をもたらす。また、ウイルスなどにおいてリボ核酸を生命情報の担い手として利用しているものも存在する。これらリボ核酸の解析は、生化学、遺伝子工学及び臨床診断等の分野において非常に重要な情報を提供し、生体材料からのリボ核酸の単離は重要なステップである。
【0004】
ポリA+RNAを単離するには一般に生体試料より、AGPC法[Analytical Biochemistry 162,156-159(1987)]、リチウム沈殿法(Molecular Cloning, 1.4,(1998))、あるいはBoomらにより考案されたシリカ粒子を用いた方法[J. Clin. Microbiol. 28(3), 495-503]によりTotal RNAを抽出し、このTotal RNAのうちポリA+RNAをオリゴdTセファロース等のオリゴdT固定化担体に特異的に吸着させ、ポリA+RNAを精製する方法が用いられてきた。しかしながら、これらの方法では操作工程が長く煩雑となるため、一度に多サンプルを処理する場合には向かない。その上操作工程が長いため、RNA分解酵素によるRNAの分解の危険性も増大する。
【0005】
一方、簡便なポリA+RNAの単離方法として、カオトロピック剤存在下で生体試料を溶解し、ポリA+RNAをオリゴdTセルロース等のオリゴdT固定化担体に吸着させ、精製する方法が考案されている。しかしながら、この方法においては、オープンカラムの操作ではRNA分解酵素の混入の危険性が高く、またバッチ法における閉鎖系では液相と担体−ポリA+RNA複合体を分離するのに遠心操作が必要とされ、一度に多サンプルを処理する場合には煩雑となる。
【0006】
オリゴdT固定化担体を使用するポリA+RNAの単離方法としては、ビオチン化オリゴdTをストレプトアビジン固定化磁性ビーズに吸着させ、このオリゴdT−ストレプトアビジン磁性ビーズにポリA+RNAを特異的に吸着する方法が考案されている。この方法では、磁石を用いて担体−ポリA+RNA複合体を分離でき、遠心操作を必要としない。しかしながら、この方法は担体への吸着が多段階であるために効率が悪い。そこで、これらの問題点を克服した方法が必要とされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、リボ核酸を含有する試料、特に細胞等の生体試料から、ポリA+RNA、ウイルスRNAなどの標的リボ核酸を簡便に効率良く単離できる方法並びにそのための試薬を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、オリゴdTを共有結合で固定化した磁性粒子などの標的リボ核酸プローブ固定化担体を用いたリボ核酸の単離方法に着目し、種々検討を重ねた結果、カオトロピック剤、界面活性剤、2−メルカプトエタノールを含む溶液を用いて細胞等の生体材料を溶解して緩衝液で希釈し、標的核酸プローブ固定化担体と接触させることで簡便にリボ核酸を単離できること、特に2−メルカプトエタノールの添加量に依存して収量が増大することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
(1)以下の工程▲1▼〜▲4▼を含んでなることを特徴とするリボ核酸の単離方法。
▲1▼リボ核酸を含有する試料、タンパク質変性剤、及び2−メルカプトエタノールを0.2〜1.0Mの濃度になるように混合し、
▲2▼リボ核酸を標的リボ核酸プローブ固定化担体に特異的に吸着させ、
▲3▼担体−標的リボ核酸複合体を液相より分離し、洗浄液により該複合体を洗浄し、
▲4▼標的リボ核酸を該複合体から溶出する
(2)工程▲2▼において、緩衝液を添加した後でリボ核酸を標的リボ核酸プローブ固定化担体に特異的に吸着せしめることを行う(1)のリボ核酸の単離方法。
(3)リボ核酸がポリA+RNAもしくはウイルスRNAである(1)又は(2)の方法。
(4)担体に固定化された標的リボ核酸プローブがオリゴdTもしくはウイルスRNA塩基配列に実質的に相補的なオリゴヌクレオチドである(1)又は(2)の方法。
(5)タンパク質変性剤がカオトロピック剤及び/又は界面活性剤である(1)又は(2)の方法。
(6)カオトロピック剤がグアニジニウム塩、尿素、ヨウ化物及び(イソ)チオシアン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である(5)の方法。
(7)界面活性剤がN−ラウロイルサルコシン、ノニデットP−40、ポリエチレングリコールモノ−p−イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ドデシル硫酸ナトリウム及びアルキル硫酸アルカリ金属塩からなる群より選択される少なくとも1種である(5)の方法。
(8)緩衝液が200mM以下の濃度のリチウム塩またはナトリウム塩を含む溶液である(1)又は(2)の方法。
(9)洗浄液が25〜100mMのリチウム塩またはナトリウム塩を含む溶液である(1)又は(2)の方法。
(10)タンパク質変性剤を含有する溶液、2−メルカプトエタノール、標的リボ核酸プローブ固定化担体、洗浄液及び溶出液を含むことを特徴とするリボ核酸単離用試薬。
(11)(a)グアニジニウム塩、尿素、ヨウ化物及び(イソ)チオシアン酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上の化合物、並びにN−ラウロイルサルコシン、ノニデットP−40、ポリエチレングリコールモノ−p−イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートからなる群より選択される1種または2種以上の化合物を含有する溶解液、(b)2−メルカプトエタノール、(c)緩衝液、(d)標的核酸プローブが固定化された担体、(e)25〜100mMのリチウム塩またはナトリウム塩を含む洗浄液、(f)担体から標的リボ核酸を溶出する溶液を含むことを特徴とするリボ核酸単離用試薬。
(12)(c)の緩衝液が200mM以下の濃度のリチウム塩もしくはナトリウム塩を含む緩衝液である(11)のリボ核酸単離用試薬。
(13)(a)グアニジニウム塩、尿素、ヨウ化物及び(イソ)チオシアン酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上のの化合物、並びにN−ラウロイルサルコシン、ノニデットP−40、ポリエチレングリコールモノ−p−イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートからなる群より選択される1種または2種以上のの化合物を含有する溶解液、(b)2−メルカプトエタノール、(c)緩衝液、(d)オリゴdTが固定化された担体、(e)25〜100mMのリチウム塩もしくはナトリウム塩を含む洗浄液、(f)担体からポリA+RNAを溶出する溶液を含むことを特徴とするポリA+RNA単離用試薬。
(14)(c)の緩衝液が200mM以下の濃度のリチウム塩もしくはナトリウム塩を含む緩衝液である(13)のポリA+RNA単離用試薬。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明においてリボ核酸を含有する試料とは、例えば、血清、血液、髄液、組織、尿、糞便、唾液、精液等の生体材料から分離した細胞及び培養細胞などが挙げられる。また、ここでいうリボ核酸とは、これらの試料中に由来するポリA+RNAなどの内在性リボ核酸以外に、ウイルス、細菌及び真菌などの外来性のリボ核酸または生体外で酵素的に合成されたようなリボ核酸も含有しうる。
【0011】
本発明は、まず、リボ核酸を含有する試料、タンパク質変性剤を含む溶液、濃度が0.2〜0.5Mとなるように加えられた2−メルカプトエタノール、及び標的リボ核酸プローブ固定化担体を混合し、必要に応じて緩衝液を加え、標的リボ核酸を該担体に特異的に吸着させる。
タンパク質変性剤を含む溶液とは溶解液である。本発明において使用するタンパク質変性剤とはカオトロピック剤及び/又は界面活性剤である。 また、緩衝液はpHが5〜10のTris−塩酸緩衝液、Hepes−KOH緩衝液、Hepes−NaOH緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液などが挙げられる。
【0012】
カオトロピック剤とは、タンパク質および核酸の一次構造に影響を及ぼすことなく、二次、三次または四次構造を変えることが可能である物質を意味する。本発明において使用するカオトロピック剤としては特に限定されるものではないが、グアニジニウム塩、尿素、ヨウ化物、(イソ)チアン酸塩等が挙げられる。該カオトロピック剤の濃度はそれぞれの化合物によっても異なるが、通常は1〜10M、より好ましくは3〜8Mである。
【0013】
グアニジニウム塩としては、グアニジン無機塩またはグアニジン有機塩がある。グアニジン塩としては、例えば、塩酸グアニジニウム、酢酸グアニジニウム、リン酸グアニジニウム、(イソ)チオシアン酸グアニジニウム、硫酸グアニジニウムまたは炭酸グアニジニウムなどの一般にタンパク質の変性に使用されるグアニジンの塩であれば特に限定されない。また、それらを組み合わせて用いても良い。グアニジン塩の濃度は2M以上の高濃度にて使用するのが望ましい。
また、ヨウ化物としては、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムなどがあり、(イソ)チオシアン酸塩としては、(イソ)チオシアン酸ナトリウム、(イソ)チオシアン酸カリウムまたは(イソ)チオシアン酸アンモニウムなどがある。
【0014】
さらに、タンパク質変性剤として、細胞膜の破壊あるいは細胞に含まれるタンパク質を可溶化させる界面活性剤を単独で使用してもよいが、あるいはカオトロピック剤と併用させてもよい。カオトロピック剤と併用しない場合は一般に細胞等から核酸の抽出に使用されるものであれば特に限定されないが、特表平11−501504号公報に開示されているようなドデシル硫酸ナトリウムやアルキル硫酸アルカリ金属塩、あるいはサルコシルが望ましい。しかしながら、カオトロピック剤と併用する場合、前者2つの界面活性剤は不溶化するために用いることができない。この場合には、トリトン系界面活性剤及びツイーン系界面活性剤などの非イオン性界面活性剤、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤を用いれば問題がない。本発明においては、特にRNA分解酵素活性が高い試料において、カオトロピック剤と併用して0.01〜1.0%の陰イオン性界面活性剤を使用することが好ましい。
【0015】
本発明において使用する2−メルカプトエタノールの濃度は、リボ核酸を含有する試料、タンパク質変性剤と混合した際に0.2〜1.0M、好ましくは0.2〜0.5Mとなるように加える。さらに、2−メルカプトエタノールは溶解液に予め添加しておいてもよいが、用時に添加するのがより望ましい。
【0016】
従来から生体試料を溶解する際の還元剤としては0.1Mの2−メルカプトエタノールが広く用いられている(AGPC法;Analytical Biochemistry 162,156-159(1987)など)。また、特開平11−196869号公報には、核酸結合性担体を用いたリボ核酸の単離方法においてイソプロパノール、プロパノール、およびエタノールなどの水溶性有機溶媒、特に5〜20%のエタノールにより単離されるリボ核酸の量が増大することが開示されている。しかしながら、本発明者らはイソプロパノールやエタノールの添加により単離されるリボ核酸の量が減少し、2−メルカプトエタノールを添加することのみに依存して単離されるリボ核酸の収量が添加量に応じて増加することを見出した。
【0017】
本発明において、特にカオトロピック剤を含有する溶解液で試料を溶解した場合、溶液の粘性が非常に高まり担体への特異的な結合を妨げてしまう。そのため、pH5〜10程度のTris−塩酸緩衝液、Hepes−KOH緩衝液、Hepes−NaOH緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液等の緩衝液、特に好ましくは200mM以下の濃度のリチウム塩もしくはナトリウム塩が含まれるこれらの緩衝液を2倍量程度加えて希釈することにより粘性を下げることが好ましい。さらに、溶解された試料を20〜25Gの注射針を装着したシリンジに繰り返し通すことで、ゲノムDNAを切断し、粘性を下げてもよい。
【0018】
本発明においては、上記溶解液中でリボ核酸と特異的に結合することができる標的リボ核酸プローブ固定化担体を使用する。標的リボ核酸プローブ固定化担体とは、オリゴヌクレオチド、好ましくは約20〜50塩基からなる標的リボ核酸配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを共有結合的に、あるいは非共有結合的に固定化したものである。
例えば、ポリA+RNAを単離する場合には実質的に3’末端ポリアデニル化領域(ポリAテール)に相補的な配列であるオリゴdTを固定化した担体、またウイルスRNAの場合にはこのRNAに実質的に相補的なオリゴヌクレオチドを固定化された担体を使用する。
ここで、オリゴdTとは、数個から数十個の主にdTTP及びその類似体がホスホジエステル結合により重合した化合物をいう。また、実質的に相補的なオリゴヌクレオチドとは、標的リボ核酸に対して特異的に結合可能な塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをいう。
標的リボ核酸プローブ固定化担体の形態としては、粒子、フィルター及び反応器具等が具体的に挙げられるが特に限定はされない。これらのうち、吸着と溶出の効率を考慮すると粒子の形態のものが好ましい。さらには、磁性シリカ粒子を用いることがより好ましい。
【0019】
上記工程にて得られた担体−標的リボ核酸複合体を液相より分離する工程では、例えば遠心分離、上清の除去または担体として磁性粒子を使用する場合は磁界を利用して液相から担体−標的リボ核酸複合体を分離するのが好ましい。また、フィルターおよび反応容器等の場合は、液を排出もしくは除去するのみでよい。
【0020】
上記工程において得られた担体−標的リボ核酸複合体を洗浄する工程では、該複合体を適当な洗浄液にて、例えばボルテックスミキサーなどを用いて懸濁し、再び液相より分離し、上清を除去する工程である。該複合体の分離は、遠心分離、濾過及びカラム操作が好ましく、さらに磁性粒子を使用すれば磁石等を用いた簡便な磁気分離法が可能となりより好適である。
【0021】
本発明における洗浄液としては、例えば標的リボ核酸とプローブの特異的な結合を解離させない程度の低塩濃度の緩衝液であり、50〜100mMのリチウム塩もしくはナトリウム塩を含む。該緩衝液としてはpHが5〜10のTris−塩酸緩衝液、Hepes−KOH緩衝液、Hepes−NaOH緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液などが挙げられる。また、該洗浄液においてはカオトロピック剤、界面活性剤を含んでいてもよいが、後に酵素反応を行う場合には、さらに界面活性剤、カオトロピックイオンを含まない低塩濃度の緩衝液にて洗浄する必要がある。
【0022】
その次の工程は、リボ核酸が特異的に結合した担体に固定化された標的リボ核酸プローブより解離させる溶出工程である。この用途に用いられる溶出液としては、プローブからの核酸の溶離を促進するものであれば特に限定されない。具体的には、例えばRNA分解酵素の混入のない水、トリス緩衝液 [10mMトリス緩衝液;pH7.0〜8.0] が好ましい。
また、加熱により溶出を促進させてもよい。加熱温度はリボ核酸に悪影響を及ぼさない程度の温度であれば特に限定されないが、60〜65℃が好ましい。このようにして溶出したリボ核酸は透析やエタノール沈殿法等の脱塩、濃縮操作を経ることなく、逆転写酵素を使用した酵素反応に直接使用することが可能である。
【0023】
本発明によるリボ核酸の単離方法は、危険な溶媒等を使用することなく、簡便な操作で効率よく標的リボ核酸を生体成分より分離可能であるため、標的リボ核酸精製キットや、固相の分離操作や試薬の分注操作を自動化した核酸抽出装置へ応用することも可能である。また、本発明で得られたポリA+RNAやウイルスRNAなどのリボ核酸はノザンブロッティング解析、RT−PCR解析、cDNAライブラリーの調製、cDNAクローニングの鋳型として使用することが可能である。
【0024】
本発明におけるリボ核酸の単離方法の一実施態様としては、▲1▼リボ核酸を含有する試料、タンパク質変性剤、0.2〜0.5Mの2−メルカプトエタノールを混合し、▲2▼必要に応じて緩衝液を添加し、リボ核酸を標的リボ核酸プローブ固定化担体に特異的に吸着させ、▲3▼担体−標的リボ核酸を液相より分離し、必要に応じて該複合体を洗浄し、▲4▼標的リボ核酸を該複合体から溶出することを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明におけるリボ核酸の単離用試薬の一実施態様として、上述したようなタンパク質変性剤を含有する溶液、2−メルカプトエタノール、標的リボ核酸プローブ固定化担体、洗浄液及び溶出液を含むリボ核酸単離用試薬である。
さらに、具体的な実施様態としては、(a)グアニジニウム塩、尿素、ヨウ化物及び(イソ)チオシアン酸塩からなる群より選択される1種又は2種の化合物、並びにN−ラウロイルサルコシン、ノニデットP−40、ポリエチレングリコールモノ−p−イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートからなる群より選択される1種または2種の化合物を含有する溶解液、(b)2−メルカプトエタノール、(c)緩衝液、(d)標的リボ核酸プローブが固定化された担体、(e)0〜100mMのリチウム塩またはナトリウム塩を含む洗浄液、(f)担体から標的リボ核酸を溶出する溶液を含むリボ核酸単離用試薬である。
(c)の緩衝液は、200mM以下の濃度のリチウム塩もしくはナトリウム塩を含むpHが5〜10のTris−塩酸緩衝液、Hepes−KOH緩衝液、Hepes−NaOH緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液などが好ましい。
【0026】
また、本発明のさらに別な実施様態としては、(a)グアニジニウム塩、尿素、ヨウ化物及び(イソ)チオシアン酸塩からなる群より選択される1種又は2種の化合物、並びにN−ラウロイルサルコシン、ノニデットP−40、ポリエチレングリコールモノ−p−イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートからなる群より選択される1種または2種の化合物を含有する溶解液、(b)2−メルカプトエタノール、(c)緩衝液、(d)オリゴdTが固定化された担体、(e)0〜100mMのリチウム塩またはナトリウム塩を含む洗浄液、(f)担体からポリA+RNAを溶出する溶液を含むポリA+RNA単離用試薬である。
(c)の緩衝液は、200mM以下の濃度のリチウム塩もしくはナトリウム塩を含むpHが5〜10のTris−塩酸緩衝液、Hepes−KOH緩衝液、Hepes−NaOH緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液などが好ましい。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を例示することによって、本発明の効果をより一層明確なものとする。
【0028】
実施例1 マウス肺組織からのポリA+RNAの抽出
マウス肺組織を摘出し、使用するまで液体窒素中で凍結保存した。使用時に凍結された組織を粉末状になるまで破砕し、30mgずつ分取した。400μlの溶解液 [4Mグアニジンチオシアン酸塩、0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)、0.5%N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム] に、0.05、0.1、0.5、1.0M 2−メルカプトエタノールを混合し、破砕試料に加え、よくホモジナイズした。25G注射針を装着したシリンジを10回と押し、粘性を低下させた後、800μlの緩衝液 [0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)、200mM塩化リチウム、20mM EDTA] を加えた。混合後、遠心分離(10000rpm、3分)し、上清をポリA+RNAの単離に用いた。
【0029】
新しいマイクロチューブに5mg/mlに調製したオリゴdT固定化磁性粒子(Genovision製)を250μl分取し、磁性スタンド(Magical Trapper;東洋紡績製)に静置し、磁性粒子を回収し、上清をピペットで除去した。この磁性粒子に上記の上清を加え、ボルテックスミキサーでよく懸濁した後、室温で10分間放置した。次に、このマイクロチューブを磁性スタンドに静置し、磁性粒子を回収し、上清をピペットで除去した。次に、1ml洗浄液 [10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)、50mM塩化リチウム、1mM EDTA] を加え、ボルテックスミキサーでよく懸濁し、磁性スタンドに静置して、磁性粒子を回収し、上清をピペットで除去した。この洗浄操作を3回繰り返し、上清を完全に除去した。30μlのRNA分解酵素を含まない水を加えて粒子を懸濁し、65℃、2分間加熱後、再度磁性スタンドに静置し、磁性粒子を集め、上清を回収した。混入rRNA、ゲノムDNAを極力除くため、この回収液に再度吸着液、2−メルカプトエタノールを加え、上記一連の工程を繰り返し、30μlの水に溶出した。
【0030】
(2)アガロース電気泳動によるポリA+RNAの解析
本発明の方法によりマウス肺組織より得られたポリA+RNA溶液10μlに色素液(0.25%ブロモフェノールブルー、1mM EDTA、ホルムアミド)10μlを混合し、65℃、10分間加熱した後、1%アガロースゲルに全量をスロットした。電気泳動装置はGelMate(東洋紡績製)を用い、1×MOPS緩衝液(20mM MOPS、5mM酢酸ナトリウム、1mM EDTA)中で100V、40分間泳動を行った。電気泳動終了後、ゲルをエチジウムブロマイド溶液で30分間浸せきし、水道水にて軽く洗浄後、UV照射下で核酸の蛍光を撮影した(図1)。
【0031】
この方法において、rRNA,ゲノムDNAの混入がほとんど見られないポリA+RNAをスメア状に検出することができた。その結果を図1に示す。図1中、レーン1は2−メルカプトエタノール0.05M、レーン2は2−メルカプトエタノール0.1M、レーン3は2−メルカプトエタノール0.5M、レーン4は2−メルカプトエタノール1.0Mを加えて単離した泳動パターンを示す。図1から、2−メルカプトエタノール0.5MでRNAの回収量が高い。また吸光光度計でポリA+RNA回収量を正確に測定した結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例2 マウス心臓からのポリA+RNAの調製
マウスより心臓を摘出し、使用するまで液体窒素中で凍結保存した。使用時に凍結された組織を粉末状になるまで破砕し、35mgずつ分取した。400μlの吸着液 [4Mグアニジンチオシアン酸塩、0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)、0.5%N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム] に、0.05、0.1、0.5、1.0M 2−メルカプトエタノールを混合し、破砕試料に加え、よくホモジナイズした。25G注射針を装着したシリンジを10回と押し、粘性を低下させた後、800μl緩衝液 [0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)、200mM塩化リチウム、20mM EDTA] を加えた。混合後、遠心分離(10000rpm、3分)し、上清をポリA+RNAの単離に用いた。
【0034】
新しいマイクロチューブに5mg/mlに調製したオリゴdT固定化磁性粒子(Genovision製)を250μl分取し、磁性スタンド(Magical Trapper;東洋紡績製)に静置し、磁性粒子を回収し、上清をピペットで除去した。この磁性粒子に上記の上清を加え、ボルテックスミキサーでよく懸濁した後、室温で10分間放置した。次に、このマイクロチューブを磁性スタンドに静置し、磁性粒子を回収し、上清をピペットで除去した。次に、1ml洗浄液 [10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0),50mM塩化リチウム、1mM EDTA] を加え、ボルテックスミキサーでよく懸濁し、磁性スタンドに静置して、磁性粒子を回収し、上清をピペットで除去した。この洗浄操作を3回繰り返し、上清を完全に除去した。30μlのRNA分解酵素を含まない水を加えて粒子を懸濁し、65℃、2分間加熱し、再度磁性スタンドに静置し、磁性粒子を集め、上清を回収した。混入rRNA、ゲノムDNAを極力除くため、この回収液に再度吸着液、2−メルカプトエタノールを加え、上記一連の工程を繰り返し、30μlの水に溶出した。
【0035】
この方法において単離されたポリA+RNAの回収量を吸光光度計で正確に測定した結果を表2に示す。実施例1に比べて添加効果は大きくないが、2−メルカプトエタノール濃度を0.5M、さらには1.0Mに増加させることで回収量は向上した。また、実施例1、2において至適濃度が異なるのは試料の性質の違いによるものと思われる。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
上述したように、本発明により、様々な生体材料から簡便にしかも効率的にポリA+RNA等の標的リボ核酸を単離することが可能となった。この方法により得られたポリA+RNA等のリボ核酸は、ノザンブロット解析、RT−PCR解析、cDNAライブラリーの調製、cDNAクローニングなどに利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法により、マウス肺より単離されたポリA+RNAの電気泳動解析の結果を示す。
Claims (11)
- 以下の工程(1)〜(4)を含んでなることを特徴とするリボ核酸の単離方法。
・ リボ核酸を含有する試料、カオトロピック剤、及び、N−ラウロイルサルコシン、ノニデットP−40、ポリエチレングリコールモノ−p−イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ドデシル硫酸ナトリウム及びアルキル硫酸アルカリ金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤であるタンパク質変性剤、及び2−メルカプトエタノールを0.2〜1.0Mの濃度になるように混合し、
・ リボ核酸を標的リボ核酸プローブ固定化担体に特異的に吸着させ、
・ 担体−標的リボ核酸複合体を液相より分離し、洗浄液により該複合体を洗浄し、
・ 標的リボ核酸を該複合体から溶出する - 工程(2)において、緩衝液を添加した後でリボ核酸を標的リボ核酸プローブ固定化担体に特異的に吸着せしめることを行う請求項1記載のリボ核酸の単離方法。
- リボ核酸がポリA+RNAもしくはウイルスRNAである請求項1又は2に記載の方法。
- 担体に固定化された標的リボ核酸プローブがオリゴdTもしくはウイルスRNA塩基配列に実質的に相補的なオリゴヌクレオチドである請求項1又は2に記載の方法。
- カオトロピック剤がグアニジニウム塩、尿素、ヨウ化物及び(イソ)チオシアン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載の方法。
- 緩衝液が200mM以下の濃度のリチウム塩またはナトリウム塩を含む溶液である請求項1又は2に記載の方法。
- 洗浄液が25〜100mMのリチウム塩またはナトリウム塩を含む溶液である請求項1又は2に記載の方法。
- (a)グアニジニウム塩、尿素、ヨウ化物及び(イソ)チオシアン酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上の化合物、並びにN−ラウロイルサルコシン、ノニデットP−40、ポリエチレングリコールモノ−p−イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートからなる群より選択される1種または2種以上の化合物を含有する溶解液、
(b)2−メルカプトエタノール、
(c)緩衝液、
(d)標的核酸プローブが固定化された担体、
(e)25〜100mMのリチウム塩またはナトリウム塩を含む洗浄液、
(f)担体から標的リボ核酸を溶出する溶液
を含むことを特徴とするリボ核酸単離用試薬。 - (c)の緩衝液が200mM以下の濃度のリチウム塩もしくはナトリウム塩を含む緩衝液である請求項8記載のリボ核酸単離用試薬。
- (a)グアニジニウム塩、尿素、ヨウ化物及び(イソ)チオシアン酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上のの化合物、並びにN−ラウロイルサルコシン、ノニデットP−40、ポリエチレングリコールモノ−p−イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートからなる群より選択される1種または2種以上のの化合物を含有する溶解液、
(b)2−メルカプトエタノール、
(c)緩衝液、
(d)オリゴdTが固定化された担体、
(e)25〜100mMのリチウム塩もしくはナトリウム塩を含む洗浄液、
(f)担体からポリA+RNAを溶出する溶液
を含むことを特徴とするポリA+RNA単離用試薬。 - (c)の緩衝液が200mM以下の濃度のリチウム塩もしくはナトリウム塩を含む緩衝液である請求項10記載のポリA+RNA単離用試薬。
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