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JP3856174B2 - 植物dnaの抽出精製方法 - Google Patents

植物dnaの抽出精製方法 Download PDF

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JP3856174B2
JP3856174B2 JP34106697A JP34106697A JP3856174B2 JP 3856174 B2 JP3856174 B2 JP 3856174B2 JP 34106697 A JP34106697 A JP 34106697A JP 34106697 A JP34106697 A JP 34106697A JP 3856174 B2 JP3856174 B2 JP 3856174B2
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川上  文清
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は植物の組織、種子、根、花弁などの植物材料から、核酸結合性固相担体を用いて、DNAを簡便かつ純度よく抽出精製する方法ならびに該方法に用いるDNAを抽出精製するための試薬に関する。該試薬は自動核酸抽出装置にも応用しうる。
【0002】
【従来の技術】
核酸を含有する植物組織、種子、根、花弁などの植物材料から、核酸を抽出精製することは、これらの植物の品種改良や遺伝子工学を用いた植物培養細胞における有用物質の生産などの分野で重要なステップである。例えば、ある遺伝子について解析しようとする場合や、遺伝子の導入を確認する場合などは、まず、その遺伝子を保持する植物組織、種子、根、花弁などの植物材料から、その遺伝子、特にDNAを抽出することが必要である。
【0003】
一般に、生物材料に含まれるDNAやRNAなどの核酸は、遊離した状態で存在するわけでなく、タンパク質、脂質、糖から構成される細胞膜や細胞壁等の殻の中に存在し、ほとんどの場合、核酸自身もタンパクとの複合体を形成している。したがって、生物材料から核酸を抽出精製する場合には、まず超音波や熱による物理的破砕処理やプロテアーゼによる酵素処理、界面活性剤や変性剤による処理等を施すことにより、核酸を遊離させ、さらに、フェノール等の有機溶媒による抽出操作や超遠心分離、イオン交換体等の担体を使用したカラムクロマトグラフィー等により、破砕物中から核酸を精製する必要がある。これらの手法は、核酸や出発材料、さらには抽出した核酸の用途に応じて組み合わされ、それぞれ最適化されて用いられている。
【0004】
植物組織、種子、根、花弁等の植物材料からDNAを抽出精製する方法としては、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)法[1980. Nucl.Acid.Res. 8:4321-4325] が一般的によく用いられている。
このCTAB法とは、下記工程を含む。
(1)植物組織、種子、根、花弁等の植物材料を乳鉢、乳棒等を用いて、液体窒素中でパウダー状になるまで粉砕した後、CTAB溶液を加えて、該材料中の植物細胞を溶解し、これによりDNAを抽出し、かつ、タンパク、ポリサッカライドなどのDNA以外の成分をCTABに結合させ、複合体とする。
(2)次に、クロロホルムなどの有機溶媒を用いて、CTABとタンパク、ポリサッカライドの複合体を有機溶媒層へ移行させ、DNAが含まれる水相のみを分離する。
(3)この水相に塩濃度を下げたCTAB溶液(沈殿バッファー)を添加することにより、DNAを不溶化させ、CTAB−DNA複合体を沈殿させる。
(4)そして、イソプロパノール沈殿もしくは必要に応じて、塩化セシウム密度勾配遠心法(超遠心)によりDNAを精製する。
【0005】
この方法は数10μgものDNAが抽出可能であるという利点をもつが、CTABによるDNAの沈殿、ならびにイソプロパノール沈殿、あるいは超遠心分離という長時間を要するステップが必要なため、多数のサンプルを迅速に解析する必要のある場合には、より簡便かつ短時間でDNAが抽出精製できる方法が要求される。
【0006】
一方、簡便な核酸抽出法として、シリカ粒子を核酸結合性固相担体として使用する方法がある(特開平2-289596号公報)。この方法は、細胞などの生物材料にカオトロピック溶液、核酸結合性固相担体を添加することで、核酸を一段階で抽出する手法である。さらに、溶出液に水またはTEバッファーなど低濃度の緩衝液を使用するため、エタノール沈殿法などの脱塩、濃縮のための操作を経ることなく、抽出した核酸を直ちに後の解析に直接使用することができるという利点がある。しかしながら、この方法により植物組織、種子、根、花弁等の植物材料からDNAの抽出を試みた場合、植物細胞のもつ、セルロースを主体とした強固な細胞壁により、カオトロピック溶液による細胞の溶解が不十分であったり、植物細胞に豊富に含まれるポリサッカライドやポリフェノールなどの二次代謝産物が、DNAの核酸結合性固相担体への吸着を阻害するため、動物細胞などと比較して、DNAの収量が非常に少ないという欠点を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決することにあり、植物組織、種子、根、花弁等の植物材料からDNAを煩雑な操作を必要とすることなく、短時間でを抽出し、精製する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々、鋭意検討した結果、植物材料にまず、界面活性剤を用いた前処理を行い、次いで、カオトロピック剤の存在下に、核酸結合性固相担体により、植物材料からDNAを簡便に抽出精製し得ることを見い出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、下記工程(a)〜(e)を含むことを特徴とする植物DNAの抽出精製方法。
(a)植物材料に界面活性剤および必要によりタンパク変性剤を含む溶解液を混合して、植物材料中の細胞を溶解し、
(b)得られた細胞溶解液に界面活性剤を抽出する有機溶媒を加えて、混合した後、水相と有機溶媒相を分離し、
(c)得られた水相にカオトロピック物質を含む吸着液および核酸結合性固相担体を中性乃至弱アルカリ性条件下に混合させて、植物材料中の細胞に含まれるDNAを核酸結合性固相担体上に吸着させ、
(d)DNAを吸着させた核酸結合性固相担体を洗浄液にて洗浄して、植物細胞中に含まれる糖類およびタンパク類を除去し、次いで、
(e)核酸結合性固相担体に結合したDNAを溶出する。
【0010】
また、本発明は(1)界面活性剤および必要によりタンパク変性剤を含む溶解液、(2)界面活性剤を抽出する有機溶媒、(3)カオトロピック物質を含む吸着液、(4)核酸結合性固相担体、(5)洗浄液および(6)溶出液を含むことを特徴とする植物DNA抽出精製用試薬である。
【0011】
【発明の実施態様】
本発明において用いられる植物材料としては、例えば、植物の組織や培養細胞のほかに、種子、根、花弁などが挙げられる。植物としては、単子葉植物、双子葉植物などがあり、単子葉植物としては、イネ、トウモロコシ、ムラサキツユクサ、パイナップル、コムギ、エンバク、サトイモなどが挙げられる。また、双子葉植物としては、タバコ、シロイヌナズナ、ケナフ、ジャガイモ、サツマイモ、アサガオ、メロン、ナス、ニンジン、ナタネ、ワタ等の草本性植物、ユーカリ、アカシア、コーヒー等の常緑広葉樹、ポプラ、クヌギ、ヤナギ、シラカバ、コナラ等の落葉樹などの木本性植物などが挙げられる。
【0012】
本発明に使用する溶解液とは、細胞膜の破壊あるいは細胞中に含まれるタンパク質を変性させる目的で使用する液体であり、界面活性剤を含有する。必要により、タンパク変性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、一般に細胞等から核酸を抽出する際に使用されるものであれば、特に限定されないが、具体例としては、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等の陽イオン界面活性剤、ドデシル硫酸ナトリウム、N‐ラウロイルサルコシンナトリウム、コール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、サルコシン等の陰イオン界面活性剤、トウイーン系界面活性剤、トリトン系界面活性剤などの非イオン界面活性剤、ホスファチジルエタノールアミン等の両性界面活性剤が挙げられる。特に、陽イオン界面活性剤が好ましく、さらにセチルトリメチルアンモニウムブロミドが好ましい。これらの界面活性剤は単独で、あるいは2種以上併用してもよい。
これらの界面活性剤の使用濃度は、界面活性剤の種類により異なり、通常、0.1〜10容量%であり、例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミドを使用する場合には、0.1〜5容量%の範囲となることが好ましい。
【0013】
タンパク変性剤としては、グアニジン塩酸塩、グアニジンチオシアン酸塩、グアニジン炭酸塩などのグアニジン塩、尿素などを含むカオトロピック物質などを挙げられる。特にグアニジン塩酸塩、グアニジンチオシアン酸塩などが好ましい。タンパク変性剤の使用濃度は、用いられる物質により異なり、通常、10〜80容量%、好ましくは40〜75容量%である。
【0014】
本発明において使用する上記界面活性剤を抽出する有機溶媒とは、DNAの固相への結合を妨げるものでなく、かつ、溶解液中の界面活性剤を溶媒中に抽出しうるものであれば、特に限定されない。本発明において用いられる有機溶媒の具体例としては、水飽和フェノール、緩衝液飽和フェノール、クロロホルム、メタノール、1-ブタノール、3-メチル-1- プロパノール、アセトン等が挙げられる。これらのうち、有機溶媒を 2種以上混合したものが好ましく、さらにクロロホルムと3-メチル-1- プロパノールを適当な割合で混合したものが好ましい。
混合比は、有機溶媒の種類により選択されるが、例えばクロロホルム:3-メチル-1- プロパノール=24:1〜48:1(容量比)である。
【0015】
本発明に使用する吸着液には、カオトロピック物質が含まれる。カオトロピック物質としては、一般にカオトロピック物質として知られているような、疎水性分子の水溶性を増加させる作用を有しており、さらにDNAの固相への結合に寄与するものであれば、特に限定されない。具体的には、グアニジンチオシアン酸塩、グアニジン塩酸塩、沃化ナトリウム、沃化カリウム、過塩素酸ナトリウム等が挙げられる。
カオトロピック物質の使用濃度は、用いられるカオトロピック物質により異なり、通常、約1〜8M、好ましくは3〜5Mであり、例えば、グアニジン塩酸塩を使用する場合には、4〜7.5Mの範囲である。
【0016】
本発明において使用するカオトロピック物質を含む吸着液には、緩衝剤を含有させることが好ましい。これは、予め吸着液に含まれていても、また、細胞を溶解した後に緩衝液として添加してもよい。この緩衝剤としては、一般に使用されるものであれば、特に限定されないが、中性乃至弱アルカリ性条件、すなわち、pH7〜9において緩衝能を有するものがより好ましい。例えば、トリス−塩酸、四ホウ酸ナトリウム−塩酸、リン酸二水素カリウム−四ホウ酸ナトリウム緩衝液等が挙げられ、その使用濃度としては1〜500mM、pHは7〜9の範囲が好適である。
【0017】
本発明において用いられる核酸結合性固相担体としては、カオトロピックイオンの存在下で、核酸を吸着、すなわち可逆的な結合により保持することができる親水性表面を有する担体であれば、特に限定されない。具体例としては、二酸化ケイ素、すなわち、シリカが好ましく用いられる。また、核酸との可逆的な結合を妨げるようなものでなければ、シリカから構成される他の物質、例えばガラス、ケイソウ土、あるいはこれらを化学的修飾により表面処理を施したものや、超常磁性金属酸化物等の他の物質との複合体も含まれる。
また、この核酸結合性固相担体の形態としては、粒子、フィルター、反応容器等が具体的に挙げられるが特に限定されない。これらのうち、吸着と溶出の効率を考慮すると粒子の形態がより好ましく、この際、粒径は0.05〜500μmがより好適である。
【0018】
本発明において用いられる洗浄液としては、固相担体からのDNAの溶離を促進するものでなく、かつ、RNA、タンパク類、糖類の固相への結合を妨げるものであれば、特に限定されない。具体的には、4〜7.5Mグアニジン塩酸塩溶液あるいは40〜70%エタノールが好ましく、これらの洗浄液を併用するとより好適である。つまり、まず、グアニジン塩酸塩溶液で洗浄した後、さらに40〜70%エタノールで洗浄するのが好ましい。また、初めに溶解・吸着工程にて使用した吸着液を洗浄液として使用すると、ゲノムDNAとタンパクの除去により有効である。このとき、続いて40〜70%エタノールで洗浄するのが好ましい。
【0019】
本発明において用いられる溶出液としては、固相からのDNAの溶離を促進するものであれば、特に限定されない。具体的には、水あるいはTEバッファー(10mMトリス−塩酸緩衝液、1mM EDTA、pH8.0)が好ましい。
【0020】
本発明によるDNAの抽出精製方法は、(a)植物材料中の細胞を界面活性剤および必要によりタンパク変性剤を含む溶解液で植物細胞を溶解する工程、(b)上記(a)にて使用した有機溶媒を除去する工程、(c)溶解された細胞中のDNAをカオトロピック物質の存在下に核酸結合性担体に吸着させる工程、(d)吸着されたDNAと糖類およびタンパク類を分離するために、核酸結合性担体を洗浄する工程および(e)該核酸結合性担体から吸着されたDNAを溶出する工程の5段階に大きく分けられる。
本発明では、核酸結合性固相担体が超常磁性金属酸化物を含む粒子であって、さらに磁力を利用して核酸結合性固相担体と液相を分離する工程を含むことがある。
【0021】
(a)細胞溶解工程では、植物組織、種子、根、花弁などの植物材料を乳鉢、乳棒等を用いて、液体窒素中でパウダー状になるまで粉砕、または液体窒素を用いずに上記試料を適当な方法ですりつぶした後、界面活性剤および必要によりタンパク変性剤を含む溶解液を加え、細胞を溶解する。
【0022】
(b)有機溶媒を除去する工程では、(a)細胞溶解工程で使用した溶解液をクロロホルムなどの上記有機溶媒で抽出する。具体的には、得られた細胞溶解液に界面活性剤を抽出する有機溶媒を加えて、混合した後、水相と有機溶媒相を分離する。
【0023】
(c)次いで、吸着工程では、水相にカオトロピック物質を含む溶液および核酸結合性固相担体を中性乃至弱アルカリ性条件下、好ましくはpH7〜9付近にて添加する。このカオトロピック溶液、核酸結合性固相担体は別々に添加しても、あるいは同時に添加しても良い。
【0024】
(d)洗浄工程は、上記(a)〜(c)工程を経て得られた植物材料、溶解液、吸着液、核酸結合性固相担体の混合物から、DNAを吸着した核酸結合性固相担体のみを可能な限り分離する工程である。このとき、洗浄液を使用して、約2〜3回程度、繰り返し洗浄することが好ましい。
【0025】
本発明における液相と固相との具体的な分離手段としては、使用する核酸結合性固相担体の形態により異なり、核酸結合性固相担体が粒子の形態である場合には、遠心分離、ろ過、カラム操作等が好ましい。さらには、粒子内に超常磁性金属酸化物を含ませておいたものを固相担体として使用すれば、磁石等を用いた簡便な磁気分離法が可能となり、より好適である。
【0026】
(e)溶出工程は、上記(d)工程におけるDNAが吸着した核酸結合性固相担体から該DNAを溶離させる工程である。このとき回収したDNAは、透析やエタノール沈殿法等の脱塩、濃縮操作を施すことなく、制限酵素やDNAポリメラーゼ等を使用した酵素反応に直接使用することができる。
【0027】
本発明によるDNAの抽出精製方法は、単純な工程から構成されるため、固相の分離操作や試薬分注操作を自動化した核酸抽出装置へ容易に応用しうる。
【0028】
本発明のDNAの抽出精製試薬は、(1)界面活性剤および必要によりタンパク変性剤を含む溶解液、(2)界面活性剤を抽出する有機溶媒、(3)カオトロピック物質を含む吸着液、(4)核酸結合性固相担体、(5)洗浄液および(6)溶出液を含む。試薬キットとしては、上記(1)〜(6)を任意に組み合わせる。その組成比は、使用目的に応じて種々選択されるが、その一例としては、(1)界面活性剤および必要によりタンパク変性剤を含む溶解液、約100〜400μl、(2)界面活性剤を抽出する有機溶媒、約100〜400μl、(3)カオトロピック物質を含む吸着液、約400〜800μl、(4)核酸結合性固相担体、約10〜100μ、(5)洗浄液、約500〜1000μlおよび(6)溶出液、約50〜200μlがある。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
タバコ緑葉からのDNAの抽出
核酸抽出試料として、タバコ緑葉を用い、(i)下記CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)溶液(本発明)、(ii)カオトロピック物質だけを含む溶液(従来法)の2種類の溶解液で、DNA抽出の比較を行った。
タバコの葉を採取後、直ちに液体窒素にて凍結し、予め液体窒素で冷却した乳鉢、乳棒を用いてパウダー状になるまで粉砕し、これをDNA抽出試料とした。
【0030】
この抽出試料100mgに
Figure 0003856174
を加えて、10秒間ボルテックスミキサーで攪拌した後、65℃の湯浴で10分間加熱し、細胞を溶解させるとともに、ポリサッカライド、タンパクのCTABとの結合を促進した。この10分間の間に5秒間の攪拌を2回行った。
【0031】
続いて、300μlのクロロホルム溶液 (クロロホルム:イソアミルアルコール =24:1 )を加えて、よく攪拌した後、12,000回転で1分間遠心分離を行い、水層を回収した。これを7Mグアニジン塩酸塩で、850μlにボリュームアップし、40μlの0.5g/ml磁性シリカ粒子 (粒径1〜10μm、四三酸化鉄粒子30%含有、比表面積280m2/g、細孔容積0.025ml/g、表面細孔直径2〜6nm:鈴木油脂社製 )の懸濁液を添加し、室温で10分間攪拌した。
【0032】
次に、マイクロチューブを磁気スタンド(MPC−M:ダイナル社製 )に設置して磁性シリカ粒子を集め、上清を除去した。さらに、マイクロチューブを磁気スタンドから外し、900μlの洗浄液(7Mグアニジン塩酸塩、50 mM トリス−塩酸 (pH 7.5) )を加えて十分に攪拌した後、同様に磁気スタンドに設置して上清を除去することにより、粒子を洗浄した。同様にして、900μlの洗浄液にて再度、粒子を洗浄し、続いて900μlの70%エタノールで2回粒子を洗浄した。
上清を除去した後、100μlのTEバッファーを添加し、室温で10分間攪拌した後、磁気スタンドに設置して磁性シリカ粒子を集め、上清を回収した。回収液量はおよそ100μlであった。
【0033】
抽出精製は各溶解液について、n=2で行い、抽出精製液のうち、5μlをアガロースゲル電気泳動に供し、エチジウムブロミド染色後、写真撮影した結果を図1に示す。レーン1はラムダファージDNAの HindIII消化物からなるサイズマーカー、レーン2、3は本発明法で抽出したもの、レーン4、5はカオトロピック物質を含む溶液だけで抽出したもの (従来法 )を示している。
図1から、本発明方法による抽出精製物が、従来法の抽出精製物と比較して、収量が大幅に改善されていることが確認できた。
【0034】
参考例1
PCRによるrbcL遺伝子の検出
上記実施例 1にて得られた抽出精製液(本発明)に対して、rbcL遺伝子 (Ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase large subunit gene、葉緑体ゲノム上に存在 )をターゲットとして、PCRを行うことにより、該抽出精製液中の葉緑体由来DNAの検出を試みた。
設計したプライマーの増幅断片は約1.3kbである。PCRには、KOD Dash DNAポリメラーゼ(東洋紡績社製)を用いた。鋳型には実施例1で抽出精製したDNAを100ng用いた。反応は全量を100μlとし、94℃で1分間ホットスタートを行った後、98℃、20秒間、62℃、2秒間、74℃、90秒間を30サイクル実施して、PCRを行った。なお、PCRはDNAサーマルサイクラーPJ2000 (Perkin Elmer社製 )で実施した。
反応液のうち、5μlをアガロースゲル電気泳動に供し、エチジウムブロミド染色後、写真撮影した結果を図2に示す。
【0035】
図中、レーン1、8はラムダファージDNAの HindIII消化物からなるサイズマーカー、レーン2、3は実施例1に示す方法により抽出精製したDNAのPCR増幅産物の泳動パターンを示している。約1.3kbの目的の増幅断片が得られ、葉緑体DNAの抽出精製ならびに抽出精製したDNAがそのまま、PCRに用いることができることが確認できた。
【0036】
参考例2
rbcL−MT(Ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase large subunit N-methyltransferase gene 、核ゲノム上に存在 )をターゲットとして、PCRを行うことにより、実施例1にて得られた抽出精製液(本発明)中の核由来DNAの検出を試みた。プライマーは2組設計し、それぞれの増幅断片は、▲1▼約 2.2kb、▲2▼約 4.6kbである。
PCRには、KOD Dash DNAポリメラーゼ(東洋紡績社製)を用いた。鋳型には実施例 1で抽出精製したDNAを100ng用いた。反応は全量を100μlとし、94℃で1分間ホットスタートを行った後、
▲1▼2.2kb断片
98℃、20秒間、65℃、2秒間、74℃、2分間を30サイクル
▲2▼4.6kb断片
98℃、20秒間、66℃、2秒間、74℃、4分間を35サイクル
実施し、PCRを行った。
なお、PCRはDNAサーマルサイクラーPJ2000 (Perkin Elmer社製) で実施した。
【0037】
反応液のうち、7μlをアガロースゲル電気泳動に供し、エチジウムブロミド染色後、写真撮影した結果を図2に示す。
図中、レーン1、8はラムダファージDNAの HindIII消化物からなるサイズマーカー、レーン4、5は実施例1にて抽出精製したDNAの2.2kbのPCR増幅産物の泳動パターン、レーン6、7は実施例1にて抽出精製したDNAの4.6kbのPCR増幅産物の泳動パターンを示している。それぞれ約2.2kb、4.6kbの目的の増幅断片が得られ、核DNA抽出ならびに抽出したDNAがそのまま、PCR、さらにはlong PCRに用いることができることが確認できた。
【0038】
実施例2
タバコ緑葉からのDNAの抽出
核酸抽出試料として、タバコ緑葉を用い、(i)下記CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)およびグアニジン塩酸塩を含む溶液(本発明)、(ii)グアニジン塩酸塩だけを含む溶液(従来法)の2種類の溶解液で、DNA抽出の比較を実施例1と同様にして行った。
【0039】
Figure 0003856174
【0040】
抽出精製は各溶解液について、n=2で行い、抽出精製液のうち、5μlをアガロースゲル電気泳動に供し、エチジウムブロミド染色後、写真撮影した結果を図3に示す。
レーン1はラムダファージDNAの HindIII消化物からなるサイズマーカー、レーン2、3は本発明法で抽出したもの、レーン4、5はカオトロピック物質を含む溶液だけで抽出したもの (従来法 )を示している。
図3から、本発明方法による抽出精製物が、従来法の抽出精製物と比較して、収量が大幅に改善されていることが確認できた。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、界面活性剤および必要によりタンパク変性剤を含む溶解液を使用し、界面活性剤を除去した後、カオトピック物質を含む吸着液および核酸結合性固相を中性乃至弱アルカリ性条件下に使用することにより、植物材料に含まれるDNAを特異的に該固相に吸着させ、さらに溶出液を使用して、洗浄液にて糖類およびタンパク類を除去して、煩雑な後処理操作を必要とすることなく、植物DNAを簡便に回収し、抽出精製することができる。
さらに、本発明では植物細胞のもつセルロースを主体とした強固な細胞壁によるカオトロピックを含む溶液による細胞の不十分な溶解、植物細胞に豊富に含まれるポリサッカライドやポリフェノールなどの二次代謝産物による、DNAの核酸結合性固相担体への吸着阻害などの問題点を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法または従来法により、タバコ緑葉から抽出精製されたDNAのアガロースゲル電気泳動パターンを示す図面に代える写真である。
【図2】 本発明方法により、タバコ緑葉から抽出精製された葉緑体DNAおよび核由来DNAのPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動パターンを示す図面に代える写真である。
【図3】 本発明方法または従来法により、タバコ緑葉から抽出精製されたDNAのアガロースゲル電気泳動パターンを示す図面に代える写真である。

Claims (7)

  1. 下記工程(a)〜(e)を含むことを特徴とする植物DNAの抽出精製方法。
    (a)植物材料にドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリドまたはセチルトリメチルアンモニウムブロミドからなるいずれか1種以上の陽イオン界面活性剤、もしくは、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリドまたはセチルトリメチルアンモニウムブロミドからなるいずれか1種以上の陽イオン界面活性剤およびタンパク変性剤を含む溶解液を混合して、植物材料中の細胞を溶解し、
    (b)得られた細胞溶解液にドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリドまたはセチルトリメチルアンモニウムブロミドからなるいずれか1種以上の陽イオン界面活性剤を抽出する有機溶媒を加えて、混合した後、水相と有機溶媒相を分離し、
    (c)得られた水相にカオトロピック物質を含む吸着液およびカオトロピックイオンの存在下で核酸を可逆的な結合により保持することができる親水性表面を有する核酸結合性固相担体を中性乃至弱アルカリ性条件下に混合させて、植物材料中の細胞に含まれるDNAを核酸結合性固相担体上に吸着させ、
    (d)DNAを吸着させた核酸結合性固相担体を洗浄液にて洗浄して、植物細胞中に含まれる糖類およびタンパク類を除去し、次いで、
    (e)核酸結合性固相担体に結合したDNAを溶出する。
  2. タンパク変性剤がカオトロピック物質である請求項1記載のDNA抽出精製方法。
  3. 有機溶媒がクロロホルムまたはクロロホルムとイソアミルアルコールの混合物である請求項1記載のDNA抽出精製方法。
  4. 核酸結合性固相担体が粒子である請求項1記載のDNAの抽出精製方法。
  5. 核酸結合性固相担体に結合したDNAを溶出する溶出液が、水あるいはTEバッファーである請求項1記載のDNAの抽出精製方法。
  6. 核酸結合性固相担体が超常磁性金属酸化物を含む担体であって、さらに、磁力を利用して核酸結合性固相担体と液相を分離する工程を含むことを特徴とする請求項1記載のDNAの抽出精製方法。
  7. (1)ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリドまたはセチルトリメチルアンモニウムブロミドからなるいずれか1種以上の陽イオン界面活性剤、もしくは、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリドまたはセチルトリメチルアンモニウムブロミドからなるいずれか1種以上の陽イオン界面活性剤およびタンパク変性剤を含む溶解液、(2)界面活性剤を抽出する有機溶媒、(3)カオトロピック物質を含む吸着液、(4)カオトロピックイオンの存在下で核酸を可逆的な結合により保持することができる親水性表面を有する核酸結合性固相担体、(5)洗浄液および(6)溶出液を含むことを特徴とする植物DNA抽出精製用試薬。
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