JP3917873B2 - 不織布及びこれを用いた電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は不織布及びこれを用いた電池に関し、特に電池用セパレータ又は電気二重層キャパシタ用セパレータとして好適に使用できる不織布、及びこれを用いた電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から不織布は各種用途に適用されている。その用途の1つとして、不織布の分離性を利用した電池用セパレータ又は電気二重層キャパシタ用セパレータ(以下、両方を総称して「セパレータ」と表記する)の用途が知られている。このセパレータは電池又はキャパシタの正極と負極との間に配置され、正極と負極とを分離して短絡を防止すると共に、電解液を保持して起電反応を円滑に行なわせるという作用を奏する。
【0003】
従来から電池やキャパシタを構成する電解液として、水酸化カリウムなどのアルカリ溶液、硫酸などの酸溶液、或いは有機溶媒などが使用されていたため、これら電解液によって侵されることなく、前記作用を奏することができるように、セパレータを構成する繊維として、ポリオレフィン系繊維が好適に使用されている。このポリオレフィン系繊維は前記のように耐電解液性に優れているものの、電解液との親和性が悪く、電解液の保持性が悪いため、電解液の保持性を高めるために、不織布に各種表面処理が施されている。例えば、コロナ放電処理やプラズマ処理により不織布を表面処理している。これらの方法により表面処理が施された不織布はある程度電解液との親和性が改善されたものであるが、未だ不十分であったり、初期における親和性には優れているものの、経時的に親和性が低下するため、この表面処理した不織布をセパレータとして使用した電池又はキャパシタは寿命の短いものであった。
【0004】
また、近年の電子機器の小型軽量化に伴って、電池又はキャパシタの占めるスペースも狭くなっているにもかかわらず、電池又はキャパシタには従来と同程度以上の性能が必要とされるため、電池又はキャパシタの高容量化が要求され、そのためには、電極の活物質量を増やす必要がある。そのため、必然的にセパレータの占める体積が小さくならざるを得ず、最近では厚さ0.1mm以下のセパレータが市場で要求されている。
【0005】
このような厚さのセパレータとするために、単純に目付を小さくすると、繊維量が少なくなることになるため、電解液の保持性が低下し、セパレータ本来の働きである電解液の保持性が悪く、結果として電池又はキャパシタの寿命が短くなるという問題があった。また、電池又はキャパシタ製造時における電解液の吸液速度が遅く、電池又はキャパシタの製造効率が悪いという問題もあった。更には、電池又はキャパシタ製造時にセパレータにかかる力によって、セパレータが破断したり、電極の活物質がセパレータを突き抜けて、セパレータとしての作用をなさない場合があるという問題もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、長期にわたって液体の保持性に優れ、液体の吸液速度が速く、しかも機械的強度の優れる不織布、及びこれを用いた電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の不織布は、引張り強さが6cN/dtex以上の高強度繊維と、束の状態にはなく、分散した状態にある繊維径が4μm以下の極細繊維とを含む、繊維同士が実質的に繊維の融着のみによって固定された不織布であり、この不織布の70mass%を超える量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えており、しかも不織布表面よりも不織布内部により多くの酸素含有官能基が存在していることを特徴としている。この不織布は繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えたポリエチレン系繊維を多く含んでおり、酸素含有官能基が存在していることによって、液体の保持性が長期間にわたって低下しにくいことを見出した。また、前記液体の保持性に加えて極細繊維を含んでいて地合いが均一であること、及び不織布内部に多くの酸素含有官能基が存在していることによって、液体の吸液速度が速くなることを見出した。更には、高強度繊維を含んでいることによって機械的強度が優れていることも見出した。
【0008】
本発明の不織布を構成する高強度繊維が繊維表面に融着可能な樹脂を備えた、横断面形状が芯鞘型、偏芯型又は海島型の繊維であり、高強度繊維が融着していると、高強度繊維の含有量を多くすることができるため、不織布の機械的強度が更に向上する。
【0009】
本発明の不織布を構成する極細繊維が海島型繊維の海成分を除去して残留した島成分からなる極細繊維であると、不織布の地合いが更に均一であるため、液体の吸液速度を更に速くすることができ、しかも分離作用を高めることができる。
【0010】
本発明の不織布の75mass%以上の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えていると、液体の保持性が更に長期間にわたって低下しにくいものである。また、高強度繊維がポリプロピレン樹脂単独からなり、極細繊維の表面にはポリエチレン系樹脂が存在し、更に熱融着性繊維を含み、熱融着性繊維が融着した不織布であることを特徴とする。更に、高密度ポリエチレンを繊維表面に備えている繊維を40mass%以上含んでいることを特徴とする。
【0011】
本発明の不織布は電池用のセパレータとして好適である。
【0012】
本発明の電池は上述の不織布をセパレータとして用いたものであるため、電池寿命が長く、生産性に優れている。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の不織布は、不織布にかかる力によって不織布が破断したりすることがない機械的強度を有するように、引張り強さが6cN/dtex以上の高強度繊維を含んでいる。高強度繊維の引張り強さが高ければ高い程、前記効果を発揮しやすいため、6.5cn/dtex以上であるのが好ましく、6.8cn/dtex以上であるのがより好ましい。なお、高強度繊維の引張り強さの上限は不織布を形成できる限り特に限定するものではないが、50cn/dtex程度が適当である。この「引張り強さ」はJIS L 1015:1999、8.7.1項に規定されている方法により測定した引張り強さをいう。なお、引張り強さは定速緊張形試験機によって測定した値をいう。
【0014】
この高強度繊維は前記のような引張り強さを有するのであればどのような樹脂から構成されていても良いが、液体によって侵されないように、繊維表面(繊維両端部を除く)にポリオレフィン系樹脂が存在しているのが好ましく、繊維表面(繊維両端部を除く)がポリオレフィン系樹脂のみから構成されているのがより好ましい。このようなポリオレフィン系樹脂として、例えば、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン系共重合樹脂(例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸など))、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、プロピレン系共重合体(例えば、エチレン−ブテン−プロピレン共重合体、エチレン−ブタジエン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体など))、ポリメチルペンテン系樹脂(例えば、ポリメチルペンテン、メチルペンテン系共重合体)などを挙げることができる。これらの中でも、後述のように酸素含有官能基が存在するポリエチレン系樹脂は液体との親和性が持続するため好適であり、高密度ポリエチレンは液体との親和性が特に持続するため特に好適である。このようなポリオレフィン系樹脂以外の高強度繊維を構成する樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などを挙げることができる。
【0015】
本発明の高強度繊維は上記のような樹脂単独から構成されていても良いし、2種類以上の樹脂が混合又は複合していても良い。繊維表面に融着可能な樹脂を備えた高強度繊維であると、高強度繊維を融着繊維としても使用することができ、高強度繊維量を多くすることができるため、不織布の機械的強度を更に向上させることができる。前記融着可能な樹脂がポリエチレン系樹脂であると、酸素含有官能基が存在するポリエチレン系樹脂は液体との親和性が持続するため特に好適である。この融着可能な樹脂(特にポリエチレン系樹脂)が多ければ多い程、融着性に優れているため、高強度繊維の横断面形状は、例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型であるのが好ましい。
【0016】
この高強度繊維は不織布の機械的強度が高くなるように、高強度繊維の繊維径は5〜35μmであるのが好ましく、7〜30μmであるのがより好ましく、8〜25μmであるのが更に好ましい。なお、本発明における「繊維径」は、繊維の横断面形状が円形である場合にはその直径をいい、繊維の横断面形状が非円形である場合には、同じ断面積を有する円の直径を繊維径をいう。
【0017】
なお、高強度繊維の繊維径が後述のような極細繊維の繊維径の2.5倍以上(好ましくは3倍以上、更に好ましくは3.5倍以上、最も好ましくは4倍以上)であると、不織布に力が加わっても、不織布の空隙を保持でき、しかも後述の極細繊維によって表面積が広くなる、つまり、高強度繊維が骨格を形成し、この骨格間に極細繊維が充填されているような状態となりやすいため、圧力下における液体の保持性が向上する。
【0018】
このような高強度繊維は、不織布構成繊維中、5mass%以上含まれていれば前述のような効果を発揮しやすく、15mass%以上含まれているのがより好ましい。他方、後述のように極細繊維を含んでいるのが好ましいため、95mass%以下であるのが好ましい。
【0019】
本発明の不織布は上述のような高強度繊維に加えて繊維径が4μm以下の極細繊維を含んでいる。このような極細繊維を含んでいることによって、地合いが均一となり、液体の吸液速度の向上、及び分離性に寄与することができる。また、不織布の単位体積における繊維表面積を広くすることができるため、液体の保持性を更に高めることができる。極細繊維の繊維径が4μmを超えると、前記効果への寄与度が低下する傾向があるためで、より好ましい繊維径は3μm以下であり、更に好ましい繊維径は2μm以下である。極細繊維の繊維径の下限は特に限定するものではないが、0.01μm程度が適当である。
【0020】
この極細繊維は、極細繊維によって均一な孔径を形成し、液体の分布が均一であるように、極細繊維間の繊維径はほぼ同じであるのが好ましい。つまり、極細繊維の繊維径分布の標準偏差値(σ)を、極細繊維の平均繊維径(d)で除した値(σ/d)が0.2以下(好ましくは0.18以下)であるのが好ましい。なお、全ての極細繊維の繊維径が同じである場合には標準偏差値(σ)が0になるため、前記値(σ/d)の下限値は0である。
【0021】
本発明の「平均繊維径(d)」は、不織布の電子顕微鏡写真を撮影し、この電子顕微鏡写真における100本以上(n本)の極細繊維の繊維径を計測し、その計測した繊維径を平均した値をいう。また、極細繊維の「標準偏差値(σ)」は、計測した繊維径(χ)をもとに次の式から算出した値をいう。
標準偏差={(nΣχ2−(Σχ)2)/n(n−1)}1/2
ここでnは測定した極細繊維の本数を意味し、χはそれぞれの極細繊維の繊維径を意味する。
【0022】
なお、極細繊維群が2つ以上存在する場合には、各々の極細繊維群について、上記関係が成立するのが好ましい。
【0023】
また、極細繊維は均一な孔径を有する不織布を形成できるように、個々の極細繊維は繊維軸方向において、実質的に同じ直径を有しているのが好ましい。このような極細繊維間の繊維径がほぼ同じである極細繊維、或いは繊維軸方向において実質的に同じ直径を有している個々の極細繊維は、例えば、紡糸口金部で海成分中に口金規制して島成分を押し出して複合する複合紡糸法で得た海島型繊維の海成分を除去して島成分を残留させて形成することができる。なお、一般的に混合紡糸法といわれる、島成分を構成する樹脂と海成分を構成する樹脂とを混合した後に紡糸する方法によって得た海島型繊維の海成分を除去する方法や、メルトブロー法によっては、極細繊維間の繊維径がほぼ同じ繊維径を有する極細繊維や繊維軸方向において実質的に同じ直径を有している個々の極細繊維を得ることは困難である。しかしながら、これら極細繊維であっても本発明において使用することができる。
【0024】
この極細繊維は前記のような繊維径を有する限り、どのような樹脂から構成されていても良く、例えば、前述の高強度繊維を構成する樹脂と同様の樹脂、つまり、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂或いはポリエステル系樹脂から構成することができる。これらの中でも、酸素含有官能基が存在するポリエチレン系樹脂は液体との親和性が持続するため、極細繊維表面にポリエチレン系樹脂が存在しているのが好ましく、極細繊維表面全て(繊維両端部を除く)がポリエチレン系樹脂から構成されているのが更に好ましい。
【0025】
なお、極細繊維が融着に関与できる樹脂成分(以下、「融着成分」ということがある)を含んでいると、この融着成分により融着でき、確実に極細繊維が固定されるため、極細繊維が脱落したり、毛羽立つことがないため好適な実施態様である。
【0026】
この極細繊維を融着させる場合、極細繊維は融着成分のみから構成していても良いし、融着成分とこの融着成分の融点よりも高い融点を有する成分(以下、「非融着成分」ということがある)の2種類以上の成分から構成していても良い。後者のように極細繊維が融着成分と非融着成分を含む2種類以上の成分から構成されていると、融着成分を融着させても繊維形態を維持できるためより好適である。
【0027】
極細繊維が2種類以上の成分から構成されている場合、融着成分が極細繊維表面の一部又は全部を占めて、融着できるのが好ましい。この極細繊維が2種類以上の成分から構成されている場合、その横断面形状は、例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型であるのが好ましい。なお、非融着成分は繊維形状を維持できるように、融着成分の融点よりも10℃以上高い融点を有するのが好ましく、20℃以上高いのがより好ましい。
【0028】
この融着成分と非融着成分とを含む2種類以上の樹脂成分からなる極細繊維は、常法の複合紡糸法により海島型繊維を紡糸する際に、島成分を押し出す口金として、前述のような横断面形状(例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型)を形成できるものを使用したり、常法の複合紡糸法により海島型繊維を紡糸する際に、2種類以上の樹脂成分を混合した樹脂を島成分を押し出す口金に供給して海島型繊維を紡糸し、海成分を除去することにより得ることができる。
【0029】
本発明における「融点」は示差走査熱量計を用い、昇温温度10℃/分で、室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。なお、極大値が2つ以上ある場合には、最も高温の極大値を融点とする。
【0030】
本発明の極細繊維の横断面形状は、不織布の地合いを向上させることができるように、円形であるのが好ましい。また、極細繊維は不織布の地合いが優れているように、束の状態にはなく、分散した状態にあるのが好ましい。
【0031】
なお、極細繊維は均一分散しやすいように、自由度の高い短繊維(繊維長が30mm以下)であるのが好ましいが、極細繊維又は海島型繊維を裁断する際に極細繊維同士又は島成分同士が圧着してしまうと、フィブリル化した繊維のような状態となり、分散性が低下するため、裁断する際に極細繊維同士又は島成分同士が圧着しにくい極細繊維又は海島型繊維を使用するのが好ましい。このような圧着しにくい極細繊維又は海島型繊維としては、例えば、結晶性の高い極細繊維(海島型繊維の場合には島成分)を挙げることができる。より具体的には、極細繊維(海島型繊維の場合には島成分)がポリメチルペンテンを含んでいたり、ポリプロピレンを含んでいる場合には、そのポリプロピレンの融点が166℃以上(好ましくは168℃以上)であるのが好ましい。
【0032】
このような極細繊維は、不織布構成繊維中、5mass%以上含まれていれば前述のような効果を発揮しやすく、10mass%以上含まれているのがより好ましく、12mass%以上含まれているのが更に好ましい。他方、機械的強度の優れる不織布であるように、高強度繊維を含んでいる必要があるため、95mass%以下であるのが好ましい。
【0033】
本発明の不織布を構成する繊維として、前記高強度繊維及び極細繊維に加えて、熱融着性繊維を含んでいるのが好ましい。熱融着性繊維を含んでいることによって、不織布の機械的強度を更に向上させることができる。
【0034】
この熱融着性繊維の融着成分は熱融着性繊維以外の繊維(例えば、高強度繊維、極細繊維など)へ悪影響を及ぼさないような融点を有するのが好ましい。例えば、液体の保持性に優れているように熱融着性繊維以外の繊維として、繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えている繊維(例えば、高強度繊維、極細繊維など)が好ましいため、熱融着性繊維の融着成分はポリエチレン系樹脂からなるのが好ましい。この場合、ポリエチレン系樹脂量が多くなるため、液体の保持性が向上するという効果も奏する。
【0035】
この熱融着性繊維は融着成分のみから構成されていても良いし、融着成分に加えて融着成分よりも融点の高い非融着成分を含んでいても良い。後者のように融着成分と非融着成分とから構成されていると、不織布の機械的強度を更に向上させることができる。この場合の熱融着性繊維の横断面形状としては、例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型であることができる。また、非融着成分は融着成分の融点よりも10℃以上高い樹脂からなるのが好ましく、20℃以上高い樹脂からなるのが好ましい。
【0036】
このような熱融着性繊維は不織布の機械的強度を向上させることができるように、不織布構成繊維中、10mass%以上含まれているのが好ましく、15mass%以上含まれているのがより好ましい。他方、前述のような高強度繊維や極細繊維との兼ね合いから、90mass%以下であるのが好ましい。
【0037】
本発明の不織布は基本的に、上述のような高強度繊維及び極細繊維を含み、好ましくは熱融着性繊維を含んでいるが、本発明の不織布の作用を損なわない範囲内でこれら繊維以外の繊維を含んでいても良い。なお、本発明の不織布の好適な繊維配合として、(1)極細繊維と高強度繊維、(2)極細繊維、高強度繊維及び熱融着性繊維、がある。前記(1)の場合、(極細繊維):(高強度繊維)が5〜95:95〜5、10〜85:90〜15、12〜80:20〜88の配合質量比率であるのが順に好ましく、(2)の組み合わせの場合、(極細繊維):(高強度繊維):(熱融着性繊維)が5〜80:5〜80:10〜90、10〜70:15〜75:15〜75、12〜60:20〜68:20〜68の配合質量比率が順に好ましい。
【0038】
なお、高強度繊維の質量比率が極細繊維の質量比率の1倍以上であると、高強度繊維が骨格を形成し、この骨格間に極細繊維が充填されているような状態となり、液体の保持性が向上するため好適である。
【0039】
本発明の不織布は上述のような繊維(例えば、高強度繊維、極細繊維、熱融着性繊維など)から構成されているが、不織布の70mass%を超える量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えている。繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えている繊維が多いと、酸素含有基が存在している場合に液体の保持性の経時劣化が小さいことを見出したのである。つまり、不織布の70mass%以下の量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えていても、液体の保持性の経時劣化が著しいためで、好ましくは不織布の75mass%以上の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えており、より好ましくは不織布の80mass%以上の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えている。なお、ポリエチレン系樹脂を繊維表面に備えている繊維のポリエチレン系樹脂は同じである必要はないが、高密度ポリエチレンを繊維表面に備えている繊維を40mass%以上含んでいるのが好ましく、高密度ポリエチレンを繊維表面に備えている繊維を50mass%以上含んでいるのがより好ましい。
【0040】
本発明の不織布構成繊維(例えば、高強度繊維、極細繊維、熱融着性繊維など)は未延伸状態であっても良いが、機械的強度に優れているように、延伸状態にあるのが好ましい。
【0041】
また、不織布構成繊維(例えば、高強度繊維、極細繊維、熱融着性繊維など)の繊維長は特に限定されるものではないが、繊維長が短いほど繊維の自由度が高く、均一に分散することができるため、繊維長は0.5〜30mmであるのが好ましく、1〜20mmであるのがより好ましい。また、切断された繊維であるのが好ましい。「繊維長」はJIS L 1015(化学繊維ステープル試験法)B法(補正ステープルダイヤグラム法)により得られる長さをいう。
【0042】
なお、高強度繊維の繊維長は極細繊維の繊維長の2.5倍以上(好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上、更に好ましくは5倍以上)であるのが好ましい。この場合、高強度繊維が骨格を形成し、この骨格間に極細繊維が充填された状態となりやすく、液体の保持性が向上するためである。
【0043】
本発明の不織布は実質的にフィブリル化していない繊維のみから構成されているのが好ましい。実質的にフィブリル化していない繊維のみから構成されていると、地合いが均一で、不織布全体でバランス良く液体を保持できるためである。なお、機械的に分割可能な分割性繊維をビーターなどによって叩解した繊維、パルプ、フラッシュ紡糸法により得られる繊維などはフィブリル化した繊維であるため、本発明においては使用しないのが好ましい。
【0044】
本発明の不織布は実質的に上述のような繊維から構成されているが、不織布は液体の偏在が生じないように、実質的に一層構造からなるのが好ましい。この「実質的に一層構造」とは、不織布の厚さ方向において、不織布全体の平均繊維径に対して、不織布の繊維組成及び繊維配合の異なる部分の平均繊維径が、全体の平均繊維径の±20%の範囲内に含まれることを意味する。そのため、平均繊維径が上記範囲内にある限り、複数の繊維ウエブを積層して形成することもできる。最も簡単な形成方法としては、同じ繊維配合から1つの繊維ウエブを形成する方法である。前記「厚さ方向」とは、不織布平面(不織布表面は平滑ではないため、不織布表面に平板を載せた際の平板の不織布側面)に対して直角方向をいう。
【0045】
本発明の不織布は目付あたりにおける繊維の見掛総表面積が20m2以上であるのが好ましい。このような見掛総表面積であると、繊維表面が広いため液体の保持性に優れている。そのため、不織布の厚さが0.1mm以下という薄いものであったとしても、長期間にわたって液体を保持することができる。より好ましい見掛総表面積は22m2以上であり、25m2以上であるのが更に好ましい。このような見掛総表面積とするには、例えば、前述のような極細繊維の配合量を多くしたり、前述のような高強度繊維及び/又は熱融着性繊維として繊維径の小さいものを使用したり、これらを併用して達成できる。
【0046】
この「目付」とはJIS P 8124(紙及び板紙−坪量測定法)に規定されている方法に基いて得られる坪量を意味し、「目付あたりにおける繊維の見掛総表面積」とは、前記目付中に存在している繊維の繊維同士が固定する前の状態における繊維の表面積(繊維の横断面積を除く)の和をいう。例えば、目付が40g/m2で、極細繊維20mass%と高強度繊維80mass%とからなる場合、極細繊維8g(=40×0.2)分の表面積(繊維の横断面積を除く)と、高強度繊維32g(=40×0.8)分の表面積(繊維の横断面積を除く)の総和をいう。なお、不織布構成繊維が融着している場合には、融着する前の熱融着性繊維の表面積(繊維の横断面積を除く)をもとに見掛総表面積を算出する。また、繊維の表面積は繊維径、目付、構成比、及び繊度から算出することができ、融着する前の熱融着性繊維の表面積は、繊維径として、熱融着していない箇所の繊維径を利用して算出することができる。
【0047】
本発明の不織布は、繊維同士が実質的に繊維の融着のみによって固定されているのが好ましい。このように繊維の融着のみによって固定されていることによって、地合いが優れているためである。例えば、融着以外に絡合によっても繊維同士が固定されていると、繊維同士を絡合させるための作用(例えば、水流などの流体流、ニードルなど)によって、不織布の表面から裏面への貫通孔が形成されて地合いが悪化する傾向があるが、融着のみによって固定されていると、繊維の配置が乱れないため地合いが優れている。
【0048】
なお、不織布を製造する際に繊維同士が絡むことがある。例えば、カード機により繊維ウエブを形成したり、湿式法により繊維ウエブを形成した場合には、繊維ウエブの形態をある程度保つことができるため、多かれ少なかれ繊維同士が絡合した状態にある。しかしながら、この絡合は不織布の地合いを乱すものではないため、実質的に絡合していないとみなすことができる。このように、「実質的に繊維の融着のみ」とは、繊維ウエブを形成した後における繊維同士の固定が融着のみによってなされていることをいう。この状態は別の見方をすれば、不織布を構成する繊維が、実質的に二次元的に配置した状態にある。
【0049】
本発明の不織布は上述のような繊維から構成されており、しかも不織布表面よりも不織布内部により多くの酸素含有官能基が存在しているため、液体の吸液速度が速く、しかも液体の保持性にも優れている。また、繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えた繊維量が多く、これらポリエチレン系樹脂に酸素含有官能基が存在していると液体の保持性が長期にわたって持続できることを見出した。
【0050】
この酸素含有官能基としては、例えば、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基などを挙げることができる。このような酸素含有官能基量は不織布内部の方が不織布表面よりも多いが、不織布内部における酸素含有官能基量が不織布表面の酸素含有官能基量の2倍以上であるのが好ましく、4倍以上であるのがより好ましい。
【0051】
なお、酸素含有官能基は液体の保持性及び吸液速度が速いように、不織布内部においてX線光電子分光計により測定された酸素含有官能基(カルボキシル基、カルボニル基、及び水酸基)(Oi)の炭素原子の数(C)に対する比(Oi/C)が0.1以上であるのが好ましく、0.14以上であるのがより好ましく、0.2以上であるのが更に好ましい。また、不織布表面においてX線光電子分光計により測定された酸素含有官能基(カルボキシル基、カルボニル基、及び水酸基)(Oo)の炭素原子の数(C)に対する比(Oo/C)が0.01以上であるのが好ましく、0.02以上であるのがより好ましく、0.03以上であるのが更に好ましい。
【0052】
この比(Oi/C)の測定は、不織布をL1076−1992(織物及び編物のピリング試験方法)C法(試料ホルダの底面積:約20cm2、押圧荷重:約3.90N、回転数:100回転)により不織布表面における繊維を除去した後、X線光電子分光計を用いて次の条件で測定することができる。つまり、X線源として加速電圧10kV、エミッション電流10mAを用いて、分析面積6mm(直径)で炭素元素のナロースキャンを行った後、波形分離を行い、カルボキシル基、カルボニル基及び水酸基の波形分離を行う。次いで、各官能基のX線強度を計算し、カルボキシル基の数とカルボニル基の数と水酸基の数の総数(Oi)の炭素原子の数(C)に対する比(Oi/C)を算出する。
【0053】
また、比(Oo/C)の測定は次のようにして得られる値をいう。まず、X線光電子分光計を用いて次の条件で、不織布の比(Ot/C)を測定する。つまり、X線源として加速電圧10kV、エミッション電流10mAを用いて、分析面積6mm(直径)で炭素元素のナロースキャンを行った後、波形分離を行い、カルボキシル基、カルボニル基及び水酸基の波形分離を行う。次いで、各官能基のX線強度を計算し、カルボキシル基の数とカルボニル基の数と水酸基の数の総数(Ot)の炭素原子の数(C)に対する比(Ot/C)を算出する。次いで、この比(Ot/C)から前記と同様にして測定した比(Oi/C)を引いて、比(Oo/C)を算出することができる。つまり、次の式により得られる値をいう。
比(Oo/C)={比(Ot/C)}−{比(Oi/C)}
【0054】
本発明の不織布は地合いが優れているが、不織布の地合いの指標として、「地合指数」を挙げることができる。この地合指数の値が0.15以内であると、地合いが優れており、分離性に優れ、しかも液体を均一に保持することができる。より好ましい地合指数は0.10以下である。
【0055】
この「地合指数」は特開2001−50902号公報に開示されている方法により得られる値をいう。つまり、次のようにして得られる値をいう。
(1)光源から不織布に対して光を照射し、照射された光のうち、不織布の所定領域において反射された反射光を受光素子によって受光して輝度情報を取得する。
(2)不織布の所定領域を画像サイズ3mm角、6mm角、12mm角、24mm角に等分割して、4つの分割パターンを取得する。
(3)得られた各分割パターン毎に等分割された各区画の輝度値を輝度情報に基づいて算出する。
(4)各区画の輝度値に基づいて、各分割パターン毎の輝度平均(X)を算出する。
(5)各分割パターン毎の標準偏差(σ)を求める。
(6)各分割パターン毎の変動係数(CV)を次の式により算出する。
変動係数(CV)=(σ/X)×100
ここで、σは各分割パターン毎の標準偏差を示し、Xは各分割パターン毎の輝度平均を示す。
(7)各画像サイズの対数をX座標、当該画像サイズに対応する変動係数をY座標とした結果得られる座標群を、最小二乗法により一次直線に回帰させ、その傾きを算出し、この傾きの絶対値を地合指数とする。
【0056】
本発明の不織布の最大孔径が40μm以下であるのが好ましく、35μm以下であるのがより好ましく、30μm以下であるのが更に好ましい。このような最大孔径であると、地合いが優れており、しかも分離性に優れている。この「最大孔径」は、ポロメータ(コールター社製)を用いてバブルポイント法により測定した値をいう。
【0057】
本発明の不織布は最大孔径が平均流量孔径の2倍以下(より好ましくは1.9倍以下)であるのが好ましい。このような範囲内にあると、孔径分布が狭く、液体を均一に保持できる。なお、理想的には最大孔径が平均流量孔径の1倍、つまり全孔径が同じ大きさである。本発明における「平均流量孔径」はASTM−F316に規定されている方法により得られる値をいい、例えば、ポロメータ(Polometer、コールター(Coulter)社製)を用いてミーンフローポイント法により測定される値である。
【0058】
本発明の不織布の空隙率は液体の保持量が多くなるように、45〜65%であるのが好ましく、50〜60%であるのがより好ましい。この「空隙率(P)」は次の式によって得られる値をいう。
空隙率(P)={1−W/(T×d)}×100
ここで、Wは目付(g/m2)を意味し、Tは不織布の厚さ(μm)を意味し、dは不織布を構成する樹脂(例えば、繊維)の密度(g/cm3)を意味する。なお、不織布構成樹脂が2種類以上存在している場合、不織布構成樹脂の密度は各構成樹脂の質量平均をいう。例えば、密度d1の樹脂Aがa(mass%)と、密度d2の樹脂Bがb(mass%)存在している場合、不織布構成樹脂の密度は次の式により得られる値をいう。
d=d1×a/100+d2×b/100
【0059】
本発明の不織布は機械的強度が優れているように、少なくとも一方向における引張り強さが20N/5cm幅以上であるのが好ましく、30N/5cm幅以上であるのがより好ましく、40N/5cm幅以上であるのが更に好ましい。この「引張り強さ」は、幅5cmに裁断した不織布を引張り強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUTM−III−100)のチャック間(チャック間距離:10cm)に固定し、引張り速度300mm/minで不織布を引張り、不織布を破断するために要する力をいう。
【0060】
本発明の不織布は分離性に優れているように、ニードル式耐貫通力が500gf以上であるのが好ましく、600gf以上であるのがより好ましく、700gf以上であるのが更に好ましい。
【0061】
このニードル式耐貫通力は次のようにして得られる値をいう。
円筒状貫通孔(内径:11mm)を有する支持台の円筒状貫通孔を覆うように不織布を1枚載置し、更に不織布上に、円筒状貫通孔(内径:11mm)を有する固定材を、前記支持台の円筒状貫通孔の中心と一致するように載置して不織布を固定した後、この不織布に対して、ハンディー圧縮試験機(カトーテック製、KES−G5)に取り付けられたニードル(先端部における曲率半径:0.5mm、直径:1mm、治具からの突出長さ:2cm)を、0.01cm/sの速度で垂直に突き刺し、ニードルが突き抜けるのに要する力を測定し、この力をニードル式耐貫通力とする。
【0062】
本発明の不織布は単位目付あたりの平均ニードル式耐貫通力が14gf以上であるのが好ましく、15gf以上であるのがより好ましく、16gf以上であるのが更に好ましく、18gf以上であるのが最も好ましい。この値が高いということは、貫通孔がなく、繊維が均一に分散しており、地合いが優れていることを意味するためである。なお、「平均ニードル式耐貫通力」は上述のニードル式耐貫通力の測定を不織布の30箇所について行って得た値を平均した値を意味し、「単位目付あたりの平均ニードル式耐貫通力」は上記平均ニードル式耐貫通力を目付(g/m2)で除した値を意味する。
【0063】
本発明の不織布の目付は5〜75g/m2であるのが好ましく、より好ましくは10〜60g/m2である。本発明の不織布の厚さは0.15mm以下であるのが好ましく、0.12mm以下であるのがより好ましく、0.10mm以下であるのが更に好ましい。本発明における「厚さ」は、JIS B 7502:1994に規定されている外側マイクロメーター(0〜25mm)により測定した厚さをいう。
【0064】
本発明の不織布は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0065】
まず、前述のような高強度繊維及び極細繊維、好ましくは熱融着性繊維を用意する。この際に、不織布の70mass%を超える量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えているように用意する。
【0066】
次いで、用意した繊維から繊維ウエブを形成する。この繊維ウエブの形成方法は特に限定するものではないが、乾式法(例えば、カード法、エアレイ法、スパンボンド法、メルトブロー法など)や湿式法により形成することができる。これらの中でも緻密な構造を採ることができ、液体の保持性及び吸液速度の優れる不織布を製造することのできる、湿式法により形成するのが好ましい。この湿式法としては、従来公知の方法、例えば、水平長網方式、傾斜ワイヤー型短網方式、円網方式、又は長網・円網コンビネーション方式により形成できる。
【0067】
次いで、この繊維ウエブを構成する繊維を固定して不織布を製造する。この繊維の固定は熱融着のみによって実施するのが好ましい。このように熱融着のみによって固定すると、繊維の配置が乱れないため、地合いが優れ、分離性に優れ、しかも液体が均一に分布することができる不織布を製造しやすいためである。そのため、繊維ウエブを構成する繊維(例えば、高強度繊維、極細繊維、熱融着性繊維)が融着成分を有するのが好ましい。
【0068】
この繊維ウエブの熱融着は、無圧下で行なっても良いし、加圧下で行なっても良いし、或は無圧下で融着成分を溶融させた後に加圧(直ちに加圧するのが好ましい)しても良い。なお、加熱温度はいずれの場合も、融着成分の軟化温度から融点よりも30℃高い温度までの範囲内で行なうのが好ましく、加圧する場合の圧力は必要な機械的強度を有する不織布を形成できる圧力であれば良く、特に限定するものではない。この圧力は実験を繰り返すことによって、適宜設定することができる。本発明における「軟化温度」は、示差熱量計を用い、昇温速度10℃/分で室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の開始点を与える温度をいう。
【0069】
次いで、不織布表面よりも不織布内部により多くの酸素含有官能基が存在するように、不織布に酸素含有官能基を導入する。この酸素含有官能基の導入方法としては、例えば、それぞれが誘電体を担持する一対の電極で上述のような不織布を挟み込んだ状態で、酸素含有気体の存在下、大気圧において前記両電極間に交流電圧を印加して、不織布内部空隙で放電を発生させることにより導入する方法、を挙げることができる。この放電を作用させる際に、例えば、印加電圧、誘電体の種類、放電処理時間、雰囲気湿度、酸素含有気体の種類を適宜調節することによって、不織布表面及び不織布内部における酸素含有官能基の存在量を調節することができる。
【0070】
前記誘電体としては、酸素含有官能基量を多くできるように、例えば、ガラス、セラミック(例えば、アルミナ等)、ゴム(例えば、合成ゴム、例えば、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、若しくはブタジエンゴム、又は天然ゴム等)、又は熱可塑性樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン若しくはポリエステル等)などを使用することができる。また、誘電体の厚さは、特に限定されるものではないが、0.05〜5mm程度であることが好ましい。
【0071】
酸素含有気体は酸素を含有していれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、空気、酸素ガス、二酸化炭素ガス、又は一酸化炭素ガスなどを挙げることができる。これらの中でも、空気は取り扱い易いため特に好適である。
【0072】
放電を発生させるために印加する交流電圧は、特に限定されるものではないが、酸素含有官能基の量を多くできるように、0.25KVp以上、好ましくは0.5KVp以上である(KVpは、交流電圧の最大値ピークから0までの電圧差を示す)。なお、交流電圧の上限は不織布を損傷しない電圧であれば良く、特に限定するものではない。
【0073】
また、交流電圧の周波数は酸素含有官能基量を多くできるように、0.1KHz以上であるのが好ましく、0.5KHz以上であるのがより好ましく、1KHz以上であるのが更に好ましい。他方、周波数の上限は不織布を損傷しない周波数であれば良く、特に限定するものではないが、100KHz以下であるのが好ましく、50KHz以下であるのがより好ましい。
【0074】
前記交流の出力は酸素含有官能基の量を多くできるように、0.1W/cm2以上であるのが好ましく、0.5W/cm2以上であるのがより好ましい。なお、上限は不織布が損傷しない出力であれば良く、特に限定するものではない。
【0075】
更に印加電圧の波形は、特に限定されるものではなく、例えば、正弦波、三角波、矩形波、パルス波などを挙げることができる。
【0076】
なお、放電処理時間は酸素含有官能基量を多くできるように、2秒以上であるのが好ましく、3秒以上であるのがより好ましい。また、雰囲気湿度は酸素含有官能基量を多くできるように、80RH%以下であるのが好ましく、70RH%以下であるのがより好ましい。
【0077】
また、不織布の表面における酸素含有官能基量が不織布内部における酸素含有官能基量よりも多くならない範囲内で、上述のような放電処理に加えて、スルホン化処理、フッ素ガス処理、界面活性剤付与、親水性樹脂付与、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、沿面放電処理、或いは電子線照射処理を実施することができる。
【0078】
本発明の不織布は例えば上述のようにして製造することができるが、地合指数が0.15以下である不織布、最大孔径が40μm以下である不織布、或いは最大孔径が平均流量孔径の2倍以下である不織布は、不織布を構成する繊維としてフィブリル化していない繊維を使用したり、繊維長が1〜20mm程度の短い繊維を使用したり、湿式法により繊維ウエブを形成したり、融着のみによって繊維同士を固定(絡合処理を施さない)するなど、これらを併用することによって製造することができる。
【0079】
本発明の空隙率が45〜65%である不織布は、極細繊維の量を少なくしたり、使用する繊維量を少なくしたり、融着する場合の圧力を調整して厚さを調整するなど、これらを併用することによって製造することができる。
【0080】
本発明の少なくとも一方向における引張り強さが20N/5cm幅以上である不織布は、繊維を抄き上げるネットの移動速度とスラリー流量とを調節して繊維の配向が一方向に近い状態としたり、融着の程度を高くしたり、繊維長を長くするなど、これらを併用することによって製造することができる。
【0081】
本発明のニードル式耐貫通力が500gf以上の不織布、又は単位目付あたりの平均ニードル式耐貫通力が14gf以上の不織布は、引張り強さの高い高強度繊維を使用したり、高強度繊維量を多くしたり、高強度繊維を均一に分散させたり、熱融着性繊維によって強固に融着したり、熱融着性繊維を溶融させた後直ちに加圧して融着するなどの諸条件を調節することによって製造することができる。
【0082】
本発明の不織布内部における酸素含有官能基量が不織布表面における酸素含有官能基量の2倍以上である不織布、不織布内部における比(Oi/C)が0.1以上である不織布、不織布表面における比(Oo/C)が0.01以上である不織布は、例えば、それぞれが誘電体を担持する一対の電極で上述のような不織布を挟み込んだ状態で、酸素含有気体の存在下、大気圧において前記両電極間に交流電圧を印加して、不織布内部空隙で放電を発生させることにより導入する際に、印加電圧、誘電体の種類、放電処理時間、雰囲気湿度、酸素含有気体の種類を適宜調整したり、前記放電処理とは異なる放電処理やフッ素ガス処理などを併用することにより製造できる。
【0083】
本発明の不織布は前述の通り、長期間にわたって液体の保持性に優れ、液体の吸液速度が速く、しかも機械的強度の優れるものであるため、これら物性を必要とする用途に好適に使用することができる。例えば、電池用セパレータ、電気二重層キャパシタ用セパレータ、ワイピング材、印刷用基材などの用途に好適に使用することができる。
【0084】
これらの中でも電池用セパレータとして本発明の不織布を使用すると顕著な効果を奏する。つまり、電解液の保持性が長期にわたって優れているため、電池の寿命を長くすることができる。また、電解液の吸液速度が速いため、効率よく電池を製造することができる。更には、電池製造時に不織布(電池用セパレータ)にかかる力によって、不織布(セパレータ)が破断しにくく、また電極の活物質が不織布(セパレータ)を突き抜けにくいため、安定して電池を製造することができる。また、不織布の厚さが薄くても上記作用を奏するため、電池の高容量化に寄与できるものである。本発明の不織布はどのような電池のセパレータとしても使用することができ、例えば、アルカリマンガン電池、水銀電池、酸化銀電池、空気電池などの一次電池、ニッケル−カドミウム電池、銀−亜鉛電池、銀−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池などの二次電池のセパレータとして使用でき、特に、ニッケル−カドミウム電池又はニッケル−水素電池のセパレータとして好適に使用できる。
【0085】
本発明の電池は前述のような不織布をセパレータとして使用したものであるため、電池寿命が長く、しかも効率よく安定して製造できる。なお、本発明の電池は前述のような不織布をセパレータとして使用したこと以外は、従来の電池と全く同様の構造であることができる。
【0086】
例えば、円筒型ニッケル−水素電池は、ニッケル正極板と水素吸蔵合金負極板とを、前述のような不織布(セパレータ)を介して渦巻き状に巻回した電極群を、金属のケースに挿入した構造を有する。前記ニッケル正極板としては、例えば、スポンジ状ニッケル多孔体に水酸化ニッケル固溶体粉末からなる活物質を充填したものを使用することができ、水素吸蔵合金負極板としては、例えば、ニッケルメッキ穿孔鋼板、発泡ニッケル、或いはニッケルネットに、AB5系(希土類系)合金、AB/A2B系(Ti/Zr系)合金、或いはAB2(Laves相)系合金を充填したものを使用することができる。なお、電解液として、例えば、水酸化カリウム/水酸化リチウムの二成分系のもの、或いは水酸化カリウム/水酸化ナトリウム/水酸化リチウムの三成分系のものを使用することができる。また、前記ケースは安全弁を備えた封口板により、絶縁ガスケットを介して封口されている。更に、正極集電体や絶縁板を備えており、必要であれば負極集電体を備えている。
【0087】
本発明の電池としては、例えば、アルカリマンガン電池、水銀電池、酸化銀電池、空気電池などの一次電池、ニッケル−カドミウム電池、銀−亜鉛電池、銀−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池などの二次電池を挙げることができ、ニッケル−カドミウム電池又はニッケル−水素電池であるのが好ましく、密閉型のニッケル−カドミウム電池又はニッケル−水素電池であるのが特に好ましい。なお、電池は円筒形である必要はなく、角型、ボタン型などであっても良い。角型又はボタン型の場合には、正極板と負極板との間に不織布(セパレータ)が配置された積層構造を有する。
【0088】
以下に、本発明のセパレータの実施例を記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、酸素含有官能基量の測定は前述の方法により測定した。
【0089】
【実施例】
(実施例1)
海島型繊維として、ポリ−L−乳酸からなる海成分中に、ポリプロピレンからなる島成分が25個存在する、複合紡糸法により得た繊維(繊度:1.65dtex、切断繊維長:2mm)を用意した。次いで、この海島型繊維を、温度80℃、10mass%水酸化ナトリウム水溶液からなる浴中に30分間浸漬し、海島型繊維の海成分であるポリ−L−乳酸を除去して、ポリプロピレン極細繊維(繊維径:2μm、ρ/d:0.083、融点:172℃、切断繊維長2mm、密度:0.91g/cm3、フィブリル化していない、延伸されている、横断面形状:円形、繊維軸方向において実質的に同じ直径を有する)を得た。
【0090】
また、高強度繊維として、ポリプロピレンを高密度ポリエチレン(融着成分、融点:135℃)で被覆した、横断面形状が芯鞘型の複合繊維(引張り強さ:6.8cN/dtex、繊維径:11.0μm、繊維長:5mm、密度:0.94g/cm3、フィブリル化していない、延伸されている)を用意した。
【0091】
次いで、前記ポリプロピレン極細繊維20mass%と、芯鞘型複合繊維(高強度繊維)80mass%とを混合し、分散させたスラリーから、湿式法(水平長網方式)により繊維ウエブを形成した。この繊維ウエブにおいてポリプロピレン極細繊維は束の状態にはなく、分散した状態にあった。
【0092】
次いで、この繊維ウエブを温度135℃に設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置して、繊維ウエブの乾燥及び前記芯鞘型複合繊維(高強度繊維)の鞘成分(高密度ポリエチレン)による熱融着を実施して、実質的に一層構造からなる融着不織布を形成した。
【0093】
次いで、この融着不織布を図1に示すような放電処理装置のベルト状誘電体2a、2b間に前記融着不織布5を6m/min.の速度で供給(放電処理時間:5秒)し、前記ベルト状誘電体2a、2bにより融着不織布5を挟持した状態で、大気圧下、空気(湿度:60RH%)の存在下で、両電極1a、1b間に交流電圧を印加(電圧:24kVp、出力:2.8kW(1.83W/cm2)、周波数:25KHz、波形:正弦波)し、融着不織布内部で放電を発生させた。
【0094】
なお、放電処理装置の具体的な構成は次の通りであった。
(1)平板状電極1a、1b:流れ方向長さ500mm、幅1020mm、厚さ35mm、対向表面に厚さ100μmのアルミナを溶射したステンレス板を対向して配置
(2)対向するベルト状誘電体2a、2b:幅1200mm、厚さ3mmのシリコーンベルト
(3)側壁誘電体3a、3b:厚さ5mmのエポキシ樹脂により、各平板状電極1a、1bの各側壁を完全に被覆
(4)印加手段:平板状電極1aを高周波電源4と接続し、平板状電極1bをアース
【0095】
次いで、この放電処理した融着不織布にカレンダー処理を実施して、一層構造の不織布(目付:40g/m2、厚さ:0.10mm、見掛総表面積:39m2、繊維が実質的に二次元的に配置、不織布の80mass%の量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えている)を製造した。この不織布内部における比(Oi/C)は0.20であり、不織布表面における比(Oo/C)は0.03であった。
【0096】
(実施例2)
海島型繊維として、ポリ−L−乳酸からなる海成分中に、高密度ポリエチレンからなる島成分が25個存在する、複合紡糸法により得た繊維(繊度:1.68dtex、切断繊維長:2mm)を用意した。次いで、この海島型繊維を、温度80℃、10mass%水酸化ナトリウム水溶液からなる浴中に30分間浸漬し、海島型繊維の海成分であるポリ−L−乳酸を除去して、高密度ポリエチレン極細繊維(繊維径:2μm、ρ/d:0.084、融点:135℃、切断繊維長2mm、密度:0.95g/cm3、フィブリル化していない、延伸されている、横断面形状:円形、繊維軸方向において実質的に同じ直径を有する)を得た。
【0097】
また、高強度繊維として、実施例1と同じ芯鞘型複合繊維を用意した。
【0098】
更に、熱融着性繊維として、芯成分(非融着成分)がポリプロピレン(融点:168℃、密度:0.91g/cm3)からなり、鞘成分(融着成分)が低密度ポリエチレン(融点:124℃、密度:0.92g/cm3)からなる芯鞘型複合熱融着性繊維(繊度:1.2dtex、繊維長:5mm、芯成分と鞘成分との質量比率は1:1、フィブリル化していない、延伸されている)を用意した。
【0099】
次いで、前記高密度ポリエチレン極細繊維20mass%と、芯鞘型複合繊維(高強度繊維)30mass%と、芯鞘型複合熱融着性繊維50mass%とを混合し、分散させたスラリーから、湿式法(水平長網方式)により繊維ウエブを形成した。この繊維ウエブにおいて高密度ポリエチレン極細繊維は束の状態にはなく、分散した状態にあった。
【0100】
次いで、この繊維ウエブを温度124℃に設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置して、繊維ウエブの乾燥及び前記芯鞘型複合熱融着性繊維の鞘成分(低密度ポリエチレン)による熱融着を実施して、実質的に一層構造からなる融着不織布を形成した。
【0101】
次いで、実施例1と同様に放電処理及びカレンダー処理を実施して、一層構造の不織布(目付:40g/m2、厚さ:0.10mm、見掛総表面積:35m2、繊維が実質的に二次元的に配置、不織布の100mass%の量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えている)を製造した。この不織布内部における比(Oi/C)は0.23であり、不織布表面における比(Oo/C)は0.05であった。
【0102】
(実施例3)
海島型繊維として、ポリ−L−乳酸からなる海成分中に、高密度ポリエチレンとポリプロピレンとからなる島成分が25個存在する、複合紡糸法により得た繊維(繊度:1.66dtex、切断繊維長:2mm)を用意した。次いで、この海島型繊維を、温度80℃、10mass%水酸化ナトリウム水溶液からなる浴中に30分間浸漬し、海島型繊維の海成分であるポリ−L−乳酸を除去して、高密度ポリエチレン−ポリプロピレン複合極細繊維(繊維径:2μm、横断面形状:海島状、ρ/d:0.083、高密度ポリエチレンの融点:135℃、切断繊維長2mm、密度:0.94g/cm3、フィブリル化していない、延伸されている、横断面形状:円形、繊維軸方向において実質的に同じ直径を有する)を得た。
【0103】
また、高強度繊維として、ポリプロピレンからなる繊維(引張り強さ:10.7cN/dtex、繊維径:13.7μm、繊維長:10mm、密度:0.91g/cm3、フィブリル化していない、延伸されている)を用意した。
【0104】
更に、熱融着性繊維として、芯成分(非融着成分)がポリプロピレン(融点:168℃、密度:0.91g/cm3)からなり、鞘成分(融着成分)が高密度ポリエチレン(融点:135℃、密度:0.95g/cm3)からなる芯鞘型複合熱融着性繊維(繊度:1.2dtex、繊維長:5mm、芯成分と鞘成分との質量比率は1:1、フィブリル化していない、延伸されている)を用意した。
【0105】
次いで、前記高密度ポリエチレン−ポリプロピレン複合極細繊維20mass%と、ポリプロピレン繊維(高強度繊維)20mass%と、芯鞘型複合熱融着性繊維60mass%とを混合し、分散させたスラリーから、湿式法(水平長網方式)により繊維ウエブを形成した。この繊維ウエブにおいて高密度ポリエチレン−ポリプロピレン複合極細繊維は束の状態にはなく、分散した状態にあった。
【0106】
次いで、この繊維ウエブを温度135℃に設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置して、繊維ウエブの乾燥及び前記高密度ポリエチレン−ポリプロピレン複合極細繊維及び芯鞘型複合熱融着性繊維の高密度ポリエチレンを熱融着させて、実質的に一層構造からなる融着不織布を形成した。
【0107】
次いで、実施例1と同様に放電処理及びカレンダー処理を実施して、一層構造の不織布(目付:40g/m2、厚さ:0.10mm、見掛総表面積:36m2、繊維が実質的に二次元的に配置、不織布の80mass%の量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えている)を製造した。この不織布内部における比(Oi/C)は0.22であり、不織布表面における比(Oo/C)は0.04であった。
【0108】
(比較例1)
極細繊維として、実施例1と同じポリプロピレン極細繊維を20mass%使用したこと以外は、実施例3と全く同様にして、一層構造の不織布(目付:40g/m2、厚さ:0.10mm、見掛総表面積:37m2、繊維が実質的に二次元的に配置、不織布の60mass%の量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えている)を製造した。この不織布内部における比(Oi/C)は0.14であり、不織布表面における比(Oo/C)は0.01であった。
【0109】
(比較例2)
極細繊維として、実施例1と同じポリプロピレン極細繊維を用意し、熱融着性繊維として、実施例3と同じ芯鞘型複合熱融着性繊維を用意した。
【0110】
次いで、前記ポリプロピレン極細繊維20mass%と、芯鞘型複合熱融着性繊維80mass%とを混合し、分散させたスラリーから、湿式法(水平長網方式)により繊維ウエブを形成した。この繊維ウエブにおいてポリプロピレン極細繊維は束の状態にはなく、分散した状態にあった。
【0111】
次いで、実施例3と同様に融着不織布を形成し、放電処理を実施した後、カレンダー処理を実施して、一層構造の不織布(目付:40g/m2、厚さ:0.10mm、見掛総表面積:37m2、繊維が実質的に二次元的に配置、不織布の80mass%の量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えている)を製造した。この不織布内部における比(Oi/C)は0.17であり、不織布表面における比(Oo/C)は0.02であった。
【0112】
(比較例3)
高強度繊維として、実施例1と同じ芯鞘型複合繊維を用意し、熱融着性繊維として、実施例3と同じ芯鞘型複合熱融着性繊維を用意した。
【0113】
次いで、前記芯鞘型複合繊維40mass%と、芯鞘型複合熱融着性繊維60mass%とを混合し、分散させたスラリーから、湿式法(水平長網方式)により繊維ウエブを形成した後、実施例3と同様に融着不織布を形成し、放電処理を実施した後、カレンダー処理を実施して、一層構造の不織布(目付:40g/m2、厚さ:0.10mm、見掛総表面積:25m2、繊維が実質的に二次元的に配置、不織布の100mass%の量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えている)を製造した。この不織布内部における比(Oi/C)は0.19であり、不織布表面における比(Oo/C)は0.03であった。
【0114】
(比較例4)
実施例1と全く同様にして製造した、実質的に一層構造からなる融着不織布に対して放電処理を実施した後、カレンダー処理を実施して、一層構造の不織布(目付:40g/m2、厚さ:0.10mm、見掛総表面積:39m2、繊維が実質的に二次元的に配置、不織布の80mass%の量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えている)を製造した。この不織布内部における比(Oi/C)は0.01であり、不織布表面における比(Oo/C)は0.16であった。なお、放電処理は次の条件で実施した。
出力:1000W
電極:幅110cm×2cmの電極を電極間のギャップが2mmとなるように、融着不織布の上下に2本配置
放電処理テンポ:4m/min.
湿度:60RH%
【0115】
(地合指数の測定)
各不織布の地合指数を次のようにして測定した。
(1)光源から不織布に対して光を照射し、照射された光のうち、不織布の所定領域において反射された反射光を受光素子によって受光して輝度情報を取得した。
(2)不織布の所定領域を画像サイズ3mm角、6mm角、12mm角、24mm角に等分割して、4つの分割パターンを取得した。
(3)得られた各分割パターン毎に等分割された各区画の輝度値を輝度情報に基づいて算出した。
(4)各区画の輝度値に基づいて、各分割パターン毎の輝度平均(X)を算出した。
(5)各分割パターン毎の標準偏差(σ)を求めた。
(6)各分割パターン毎の変動係数(CV)を次の式により算出した。
変動係数(CV)=(σ/X)×100
ここで、σは各分割パターン毎の標準偏差を示し、Xは各分割パターン毎の輝度平均を示す。
(7)各画像サイズの対数をX座標、当該画像サイズに対応する変動係数をY座標とした結果得られる座標群を、最小二乗法により一次直線に回帰させ、その傾きを算出し、この傾きの絶対値を地合指数とした。なお、地合指数は数字が小さいほど、繊維が均一に分散していることを意味する。
【0116】
この結果は表1に示す通りであった。この表1から明らかなように、本発明の不織布は地合が非常に優れるものであった。
【0117】
【表1】
【0118】
(最大孔径の測定)
各不織布の最大孔径を、ポロメータ(コールター社製)を用いてバブルポイント法により測定した。この値は表1に示す通りであった。この表1から明らかなように、最大孔径が小さく地合いが均一であるため、分離性の優れる不織布であることが予測された。
【0119】
(比(最大孔径/平均流量孔径)の測定)
各不織布の平均流量孔径を、ポロメータ(Polometer、コールター(Coulter)社製)を用いてミーンフローポイント法により測定した。
【0120】
次いで、前述のようにして得られた最大孔径を平均流量孔径で除して、比(最大孔径/平均流量孔径)を算出した。この結果は表1に示す通りであった。表1から明らかなように、本発明の不織布はこの比が小さく、液体を均一に分散した状態で保持できるものであった。
【0121】
(空隙率の測定)
まず、各不織布の目付(W)及び厚さ(T)を測定した。
【0122】
次いで、不織布構成繊維の密度(d)を各構成繊維の密度及び質量比率から算出した。
【0123】
次いで、次の式から「空隙率(P)」を算出した。
空隙率(P)={1−W/(T×d)}×100
【0124】
この結果は表1に示す通りであった。この表1から明らかなように、本発明の不織布は液体の保持量の多いものであることが予測された。
【0125】
(長手方向における引張り強さの測定)
幅5cmに裁断した各不織布を、引張り強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUTM−III−100)のチャック間(チャック間距離:10cm)に固定し、引張り速度300mm/minで各不織布を長手方向に引張り、各不織布を破断するために要する力を測定し、この力を長手方向における引張り強さとした。この結果は表1に示す通りであった。この表1から明らかであるように、本発明の不織布は機械的強度の優れるものであった。
【0126】
(ニードル式耐貫通力)
円筒状貫通孔(内径:11mm)を有する支持台の円筒状貫通孔を覆うように各不織布を1枚載置し、更に各不織布上に、円筒状貫通孔(内径:11mm)を有する固定材を、前記支持台の円筒状貫通孔の中心と一致するように載置して各不織布を固定した後、この不織布に対して、ハンディー圧縮試験機(カトーテック製、KES−G5)に取り付けられたニードル(先端部における曲率半径:0.5mm、直径:1mm、治具からの突出長さ:2cm)を、0.01cm/sの速度で垂直に突き刺し、ニードルが突き抜けるのに要する力を測定し、この力をニードル式耐貫通力とした。この結果は表1に示す通りであった。この表1から明らかなように、本発明の不織布は針状のものが当接しても繊維がより分けられにくい、分離性の高いものであった。
【0127】
(単位目付あたりの平均ニードル式耐貫通力)
上記ニードル式耐貫通力の測定を各不織布の30箇所について行って得た値を平均して平均ニードル式耐貫通力を求めた後、この平均ニードル式耐貫通力を目付(g/m2)で除して、単位目付あたりの平均ニードル式耐貫通力を算出した。この結果は表1に示す通りであった。この表1からも明らかなように、本発明の不織布は針状のものが当接しても繊維がより分けられにくい、分離性の高いものであった。
【0128】
(加圧保液率の測定)
直径30mmに裁断した各不織布をそれぞれ、温度20℃、相対湿度65%の状態下で、水分平衡に至らせた後、質量(M0)を測定した。
【0129】
次に、不織布中の空気を水酸化カリウム水溶液で置換するように、比重1.3(20℃)の水酸化カリウム水溶液中に1時間浸漬し、水酸化カリウム水溶液を保持させた。
【0130】
次に、この不織布を上下3枚づつのろ紙(直径:30mm)で挟み、加圧ポンプにより、5.7MPaの圧力を30秒間作用させた後、不織布の質量(M1)を測定した。
【0131】
次いで、次の式により加圧保液率を求めた。なお、この測定は1つの不織布に対して4回行ない、その平均を加圧保液率とした。この結果は表1に示す通りであった。この加圧保液率が10%以上であると、電解液の保持性に優れていると判断することができる。
加圧保液率(%)={(M1−M0)/M0}×100
【0132】
この表1から明らかなように、本発明の不織布は液体の保持性に優れるものであった。
【0133】
(吸液高さの測定)
各不織布を長手方向に180mm、幅方向に25mmの長方形状に裁断して試験片を作成した。次いで、各試験片の長手方向における一方の端部から5mm上方までの領域を水酸化カリウム溶液(1.3d)に浸漬すると共に、各試験片を水酸化カリウム溶液の液面に対して直角方向に配置した。そして、30分間経過後における水酸化カリウム溶液の上昇した高さを測定した。この測定は温度40℃、湿度80%の条件下に14日間放置する前後において行なった。この結果は表1に示す通りであった。この高さが100mm/30min.以上であれば、吸液速度が速く、吸液性に優れていると判断することができる。この表1から明らかなように、本発明の不織布は液体の吸液速度が速く、しかもその能力を長期間にわたって維持できるものであることがわかった。
【0134】
(電池寿命の測定)
各不織布をセパレータとして用いて、Sub−Cサイズのニッケル水素電池(電池容量:2000Ah)を作成した。各電池を活性化させた後、室温で0.2Cで6時間充電し、0.2Cで終止電圧0.8Vまで放電することを1サイクルとして繰り返し、初期容量の80%まで容量が低下した時点に至るまでのサイクル数を求めた。この結果は表1に示す通りであった。この表1から明らかなように、本発明の不織布は電池用セパレータとして用いると、電池寿命を長くできるものであることがわかった。
【0135】
【発明の効果】
本発明の不織布は液体の保持性が長期間にわたって低下しにくいものである。また、液体の吸液速度が速いものである。更には、機械的強度が優れている。
【0136】
本発明の電池は電池寿命の長く、効率的に安定して製造できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で用いた放電処理装置の模式的断面図
【符号の説明】
1a、1b 平板状電極
2a、2b ベルト状誘電体
3a、3b 側壁誘電体
4 高周波電源
5 融着不織布
Claims (8)
- 引張り強さが6cN/dtex以上の高強度繊維と、束の状態にはなく、分散した状態にある繊維径が4μm以下の極細繊維とを含む、繊維同士が実質的に繊維の融着のみによって固定された不織布であり、この不織布の70mass%を超える量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えており、しかも不織布表面よりも不織布内部により多くの酸素含有官能基が存在していることを特徴とする不織布。
- 高強度繊維が繊維表面に融着可能な樹脂を備えた、横断面形状が芯鞘型、偏芯型又は海島型の繊維であり、高強度繊維が融着していることを特徴とする、請求項1記載の不織布。
- 海島型繊維の海成分を除去して残留した島成分からなる極細繊維であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の不織布。
- 不織布の75mass%以上の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の不織布。
- 高強度繊維がポリプロピレン樹脂単独からなり、極細繊維の表面にはポリエチレン系樹脂が存在し、更に熱融着性繊維を含み、熱融着性繊維が融着した不織布であることを特徴とする、請求項1、請求項3、又は請求項4に記載の不織布。
- 高密度ポリエチレンを繊維表面に備えている繊維を40mass%以上含んでいることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の不織布。
- 電池用のセパレータとして使用することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の不織布。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の不織布をセパレータとして用いていることを特徴とする電池。
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