JP3906013B2 - ガスバリア性積層材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明でありかつガスバリア性に優れ、例えば、食品の包装または工業用膜として使用される包装用のガスバリア性積層材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品、医薬品、化学薬品等の包装には、水蒸気や酸素の透過防止のため、ガスバリア性のプラスチックフィルムが使用されている。そして、内容物の変質を防ぐためさらに良好な水蒸気や酸素の透過防止性が必要な用途には、高度なガスバリア性を有するフィルムが用いられている。
【0003】
このようなフィルムとしては、従来よりアルミ箔が知られているが、使用後の廃棄処理が問題になっている他に、基本的に不透明であり、内容物を外から見ることができない問題がある。
【0004】
その他、ポリ塩化ビニリデン樹脂や塩化ビニリデンと他のポリマーとの共重合体樹脂からなる基材、あるいはこれらの塩化ビニリデン系樹脂をポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂にコーティングしてガスバリア性を付与したものが、特に包装材料として広く使用されているが、焼却処理で塩素系ガスが発生するため、環境保護の点で現在、問題となっており、さらに、ガスバリア性が必ずしも充分でなく、高度なバリア性が要求される内容物には使用できない。
【0005】
さらに、ポリビニルアルコール(PVA)やエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)も用いられるが、これらは絶乾条件では、比較的優れたガスバリア性を示すが、水蒸気バリア性は充分でなく、また、湿度条件で酸素バリアが悪化するため、現実的な条件では充分なガスバリア性材料とは言えない。
【0006】
このような問題点を解決したガスバリア性フィルムとして、真空蒸着法、例えば物理蒸着法(PVD)で二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックフィルム基材上に珪素酸化物、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物の薄膜を蒸着したフィルムが提案されている。しかしながら、このようなフィルムは。原料と製造装置が高価であり、蒸着方法に高い技術を必要とするので、コストダウンが期待できないといった問題があった。また、無機酸化物を蒸着させる際には、高温で行う必要があるため、ポリエチレンのようなTg(ガラス転移温度、以下、Tgとする。)の低いポリマーには蒸着できないといった欠点もあった。
【0007】
これらの問題点を解決した蒸着膜として、有機物であるトリアジン化合物を基材上に蒸着したガスバリア性フィルムが提案されている(WO99/66097)。このようなガスバリア性フィルムは、基材上に蒸着されたトリアジン化合物が結晶構造を取り、この結晶構造中を酸素や水蒸気が透過されないことから、高度のガスバリア性が得られ、かつ、蒸着温度を低く抑えることができることから、ポリオレフィン等のTgの低い基材を用いることが可能になるという利点がある。
【0008】
しかしながら、このようなトリアジン化合物を基材上に蒸着したガスバリア性フィルムは、湿度がある程度存在する状態で用いた場合にガスバリア性が大きく低下してしまうという欠点を有し、よって、実際に用いることができる用途が非常に限られてしまうという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、上述したようなトリアジン化合物を基材上に蒸着して得られるガスバリア性フィルムの利点を有しつつ、湿度の存在下でもそのガスバリア性が低下しないガスバリア性積層材を提供することを主目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載するように、基材と、下記化学式(A)においてR1、R2、およびR3の内の少なくとも一つが第1官能基であり、かつ蒸着材料として使用可能な1,3,5−トリアジン誘導体、および上記第1官能基と反応して結合する第2官能基を有し、かつ蒸着材料として使用可能な重合剤が上記基材上に共蒸着されてなる共蒸着層とを有し、前記第1官能基が、−NH 2 、−OH、もしくは−CHOを有する官能基であり、前記第2官能基がイソシアネート基を有する化合物、酸無水物、もしくは酸塩化物であることを特徴とするガスバリア性積層材を提供する。
【0011】
【化4】
このように、本発明は、第1官能基を有する1,3,5−トリアジン誘導体と、上記第1官能基と反応して結合することができる第2官能基を有する重合剤とを共蒸着してなる共蒸着層を有するものであるので、この共蒸着層中においてはトリアジン誘導体が所定の範囲で重合した化合物となる。これにより、湿度がある状態であってもガスバリア性が低下することがなく、用途範囲の広いガスバリア性積層材とすることができる。
また、−NH 2 、−OH、もしくは−CHOのいずれかを末端に有する官能基を第1官能基とすれば、これと反応する第2官能基を有する重合剤の選択が容易である。
さらに、上記第1官能基が、−NH 2 、−OH、もしくは−CHOを有する官能基であり、上記第2官能基がイソシアネート基を有する化合物、酸無水物もしくは酸塩化物である官能基を選択することにより、共蒸着層内、もしくは各蒸着層間での第1官能基と第2官能基との反応・結合が円滑に進み、耐湿度性を有するガスバリア性積層材を容易に得ることができる。
【0012】
この場合、請求項2に記載するように、上記共蒸着層中の上記1,3,5−トリアジン誘導体と上記重合剤とのモル比が、10:1〜1:8の範囲内であることが好ましい。上記範囲より重合剤のモル比率が低い場合は、1,3,5−トリアジン誘導体を所定の範囲で重合させることができないことから、湿度のある状態でガスバリア性を保つことができず、本発明の効果を奏することができない可能性があるため好ましくない。一方、上記範囲より重合剤のモル比率が高い場合は、層中のトリアジン誘導体の量が低下することから、トリアジン誘導体の結晶化によるガスバリア性の効果を得ることができない可能性や、所定の重合度を保つことができない可能性が生じる場合があるため好ましくない。
【0013】
上記請求項1または請求項2に記載の発明においては、請求項3に記載するように、上記共蒸着層の膜厚が、0.5nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より膜厚が薄い場合は、本発明の目的である湿度に対する耐性をガスバリア性積層材に付与するという効果があまり大きくない可能性があり、上記範囲より膜厚が厚い場合は、クラック等の生じる可能性が高くなると同時に得られるガスバリア性との関係で、材料費等のコストが見合わなくなってしまう可能性があるからである。
【0014】
また、上記請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項4に記載するように、上記基材と上記共蒸着層との間に、上記1,3,5−トリアジン誘導体からなる層が形成されていてもよい。上記1,3,5−トリアジン誘導体からなる層は、湿度に対する耐性は低いものの、結晶構造を有することからガスバリア性が高い。したがって、湿度に対する耐性の高い共蒸着層を表面に形成しておくことにより、高いガスバリア性を有し、かつ湿度に対する耐性も有するガスバリア性積層材とすることができるからである。
【0015】
本発明は、請求項5に記載するように、基材と、上記基材上に蒸着され、下記化学式(A)においてR1、R2、およびR3の内の少なくとも一つが第1官能基であり、かつ蒸着材料として使用可能な1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層と、上記1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層上に蒸着され、上記第1官能基と反応して結合する第2官能基を有し、かつ蒸着材料として使用可能な重合剤蒸着層とを有し、前記第1官能基が、−NH 2 、−OH、もしくは−CHOを有する官能基であり、前記第2官能基がイソシアネート基を有する化合物、酸無水物、もしくは酸塩化物であることをすることを特徴とするガスバリア性積層材を提供する。
【0016】
このような、ガスバリア性積層材は、二つの蒸着層間において上記第1官能基と第2官能基とが反応し、これにより耐湿度性が向上する。したがって、トリアジン蒸着層の有する高いガスバリア性を保ちつつ耐湿度性を有するガスバリア性積層材とすることが可能である。また、重合剤の選択によってはこの層に他の機能をもたせることも可能となる。なお、本発明において、耐湿度性とは、湿度によるガスバリア性の低下を防止する特性をいうこととする。
また、−NH 2 、−OH、もしくは−CHOのいずれかを末端に有する官能基を第1官能基とすれば、これと反応する第2官能基を有する重合剤の選択が容易である。
さらに、上記第1官能基が、−NH 2 、−OH、もしくは−CHOを有する官能基であり、上記第2官能基がイソシアネート基を有する化合物、酸無水物もしくは酸塩化物である官能基を選択することにより、共蒸着層内、もしくは各蒸着層間での第1官能基と第2官能基との反応・結合が円滑に進み、耐湿度性を有するガスバリア性積層材を容易に得ることができる。
【0017】
上記請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項6に記載するように、上記1,3,5−トリアジン誘導体において、上記化学式に示すR1、R2、およびR3の全てが同一の第1官能基であることが好ましい。上述したように、トリアジン誘導体には、少なくとも一つの第1官能基が結合されていればよいのであるが、3つの置換基が全て同一の第1官能基である化合物が一般的であることから入手が容易であり、またこのような化合物を用いることにより、均一な網目構造を共蒸着層中に導入することができるからである。
【0018】
また、上記請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のガスバリア性積層材においては、請求項7に記載するように、上記1,3,5−トリアジン誘導体の分子量が、85以上1000以下であり、かつ平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度が500℃以下であり、さらに平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度で熱分解しない化合物であることが好ましい。
【0019】
分子量が上記範囲内であれば、トリアジン骨格に付加された置換基の大きさが所定の範囲内となることから、トリアジン誘導体の結晶化を阻害する可能性が低く、トリアジン誘導体が有する結晶化によるガスバリア性を損なうことがないからである。また、トリアジン誘導体の平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度が上記範囲内であれば、蒸着に際して高温にする必要が生じる等の問題が起こる可能性が低いからである。
【0020】
本発明においては、請求項8に記載するように、上記1,3,5−トリアジン誘導体が、中でもメラミンもしくはシアヌール酸であることが好ましい。
【0021】
上記請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項8に記載するように、上記重合剤が少なくとも二つの第2官能基を有するものであることが好ましい。第2官能基を二つ有する重合剤、すなわち2官能以上の重合剤であれば、トリアジン誘導体との反応において、高分子化が円滑に生じ、これにより湿度によるガスバリア性の低下を効率的に抑えることが可能となるからである。
【0022】
さらに、請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項10に記載するように、80以上1000以下であり、かつ平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度が500℃以下であり、さらに平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度で熱分解しない化合物であることが好ましい。重合剤の分子量が上記範囲より大きい場合は、トリアジン誘導体内に導入された際にトリアジン誘導体の結晶化を阻害する可能性が高く、結晶化によるガスバリア性の発現が低下してしまう可能性があるからである。また、重合剤の平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度が上記範囲内であることにより、例えば蒸着に際して高温が必要である等の問題が生じることがなく、Tgの比較的低い材料を基材とした場合でも高品質のガスバリア性積層材を得ることができるからである。
【0023】
本発明においては、請求項11に記載するように、中でも上記重合剤が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはピロメリット酸無水物であることが好ましい。
【0024】
本発明は、さらに請求項12に記載するように、基材を準備する工程と、上記基材上に、上述した化学式(A)においてR1、R2、およびR3の内の少なくとも一つが第1官能基としての−NH 2 、−OH、もしくは−CHOを有する官能基であり、かつ蒸着材料として使用可能な1,3,5−トリアジン誘導体、および上記第1官能基と反応結合する第2官能基としてのイソシアネート基を有する化合物、酸無水物、もしくは酸塩化物を有し、かつ蒸着材料として使用可能な重合剤を共蒸着させる工程とを含むことを特徴とするガスバリア性積層材の製造方法を提供する。
【0025】
このようにガスバリア性積層材を製造するに際して、トリアジン誘導体と重合剤とを共蒸着させる工程を設けることにより、湿度が存在する用途であっても、ガスバリア性が大きく低下することのないガスバリア性積層材を提供することが可能となる。
【0026】
上記請求項12に記載されたガスバリア性積層材の製造方法においては、請求項13に記載するように、上記共蒸着させる工程の前に、上記1,3,5−トリアジン誘導体を蒸着させる工程を有するようにしてもよい。このようなトリアジン誘導体単独の蒸着層はその結晶化度が高いことから、高いガスバリア性が期待できる。このような層上に上記共蒸着層を形成することにより、耐湿度性を有し、かつガスバリア性も高いガスバリア性積層材を製造することができるからである。
【0027】
本発明は、さらに請求項14に記載するように、基材を準備する工程と、上記基材上に、上述した化学式(A)においてR1、R2、およびR3の内の少なくとも一つが第1官能基としての−NH 2 、−OH、もしくは−CHOを有する官能基であり、かつ蒸着材料として使用可能な1,3,5−トリアジン誘導体を蒸着させる工程と、1,3,5−トリアジン誘導体の蒸着層上に上記第1官能基と反応して結合する第2官能基としてのイソシアネート基を有する化合物、酸無水物、もしくは酸塩化物を有し、かつ蒸着材料として使用可能な重合剤を蒸着させる工程とを有することを特徴とするガスバリア性積層材の製造方法を提供する。
【0028】
このように製造した場合でも、上記トリアジン誘導体蒸着層と重合剤蒸着層の界面において、第1官能基と第2官能基との反応が生じ、これにより耐湿度性を向上させることが可能となる。よって、このような方法により製造したガスバリア性積層材であっても、耐湿度性を有し高いガスバリア性を有する積層材とすることができる。
【0029】
上記請求項12から請求項14までのいずれかの請求項に記載のガスバリア性積層材の製造方法においては、請求項15に記載するように、上記蒸着を行う工程中、もしくは蒸着を行う工程の後に、上記1,3,5−トリアジン誘導体と上記重合剤との反応を促進させる反応促進手段を用いた反応促進工程を有するものであってもよい。第1官能基および第2官能基の選択によっては、反応性の悪い場合がある。また強度等の関係等により、共蒸着層内の反応度合いを上げたい場合もある。このような場合には反応促進手段を用いた反応促進工程を上記製造方法中に設けることが好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
まず、本発明のガスバリア性積層材について説明し、その後本発明のガスバリア性積層材の製造方法について説明する。
【0031】
A.ガスバリア性積層材
本発明のガスバリア性積層材は、基材と、上述した化学式(A)においてR1、R2、およびR3の内の少なくとも一つが第1官能基であり、かつ蒸着材料として使用可能な1,3,5−トリアジン誘導体、および上記第1官能基と反応結合する第2官能基を有し、かつ蒸着材料として使用可能な重合剤が上記基材上に共蒸着されてなる共蒸着層とを有することを特徴とするものである。
【0032】
本発明のガスバリア性積層材は、上述したように、上記1,3,5−トリアジン誘導体と上記重合剤との共蒸着層を有するものであるので、上記1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層の有する結晶構造由来のガスバリア性に加えて、重合剤との反応により架橋等がなされることから、上記トリアジン誘導体の結晶構造由来のガスバリア性の欠点であった湿度の存在下でのガスバリア性の低下を防止することが可能となる。
【0033】
以下、このようなガスバリア性積層材について詳細に説明するが、まず本発明の特徴である共蒸着層を形成するための材料、すなわち1,3,5−トリアジン誘導体および重合剤について説明し、次にこれらの材料から形成される各層について説明する。
【0034】
1.共蒸着層を形成するための材料について
本発明において、共蒸着層を形成する材料は、上述したように(1)上述した化学式(A)においてR1、R2、およびR3の内の少なくとも一つが第1官能基であり、かつ蒸着材料として使用可能な1,3,5−トリアジン誘導体、および(2)上記第1官能基と反応結合する第2官能基を有し、かつ蒸着材料として使用可能な重合剤を主とするものである。
【0035】
以下、各々について詳細に説明する。
【0036】
(1)1,3,5−トリアジン誘導体
本発明に用いられる1,3,5−トリアジン誘導体の第1の特徴は、上記化学式(A)に示される化合物のR1、R2、およびR3の内の少なくとも一つが第1官能基である点にある。
【0037】
本発明において、この第1官能基は特に限定されるものではなく、後述する重合剤の第2官能基と反応して結合することが可能な官能基であればいかなるものであってもよい。
【0038】
このような第1官能基としては、例えば−NH2、−OH、−CHO、−COOH、−R−NH2、−R−OH、−R−CHO、−R−COOH、−CN、−OCH3、−OC2H5、−OC(CH3)3、−COOCH3、−O−Si(CH3)3、−NHCH2OH、−C60、−CH=CH2、−NCO、−COCl
【0039】
【化5】
(上記式中、Rは全て炭素数1〜6までのアルキル鎖を示す。)等を挙げることができる。本発明においては、中でも上記第1官能基が、−NH2、−OH、もしくは−CHOのいずれかを有する官能基であることが好ましい。これらを末端に有する官能基は一般的であることから、これと反応する第2官能基を有する重合剤の選択が容易となるからである。
【0040】
一方、1,3,5−トリアジン誘導体中の上記第1官能基自体が大きすぎる場合は、1,3,5−トリアジン誘導体を蒸着した場合の結晶構造の形成を阻害する可能性があり、高いガスバリア性が得られないおそれがある。したがって、第1官能基の分子量は小さい方が好ましい。具体的には、この第1官能基の分子量が7〜750の範囲内、好ましくは16〜46の範囲内のものが好適に用いられる。
【0041】
以上の条件を考慮した場合、本発明に用いられる1,3,5−トリアジン誘導体中の第1官能基としては、−NH2、−OH、もしくは−CHOのいずれか自体を用いることが特に好ましい。
【0042】
なお、本発明においては、上記R1、R2、およびR3の内の少なくとも一つが第1官能基であればよい。この場合の、第1官能基で無いR1、R2、およびR3としては、結晶化に悪影響を与えない置換基であれば特に限定されるものではない。このような置換基の分子量としては、上記結晶化に悪影響を与えない点を考慮して、100以下、特に46以下であることが好ましい。
【0043】
本発明においては、上述したように上記化学式(A)に示される化合物のR1、R2、およびR3の内の少なくとも一つがこのような第1官能基であればよいが、共蒸着層内で後述する重合剤と反応した場合に、均一な網目構造を形成し、より良い耐湿度性を得ることができる点等から、R1、R2、およびR3の全てが第1官能基であるものが好ましく、中でもR1、R2、およびR3の全てが同一の第1官能基である1,3,5−トリアジン誘導体が最も好ましい。
【0044】
次に、本発明に用いられる1,3,5−トリアジン誘導体の第2の特徴は、蒸着材料として使用可能なものである点にある。すなわち、この1,3,5−トリアジン誘導体は、基材上に蒸着させて用いられるものであることから、蒸着できることが必須条件であり、蒸着に際して取扱が容易であるものが好適に用いられる。ここで、蒸着できるか否かもしくは蒸着に際しての取扱が容易であるか否かは、用いる材料の平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度により判断することが可能である。したがって、本発明に用いられる1,3,5−トリアジン誘導体としては、平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度が50℃〜500℃の範囲内である化合物が好ましく、特に50℃〜400℃の範囲内となる化合物が好ましい。また、本発明に用いられる1,3,5−トリアジン誘導体としては、上記平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度で熱分解しない化合物を用いることが好ましい。
【0045】
さらに、本発明に用いられる1,3,5−トリアジン誘導体において、分子量が大きい場合は、通常平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度が高くなる点、および分子量が大きい場合は、トリアジン骨格に付加された置換基が大きいことを意味し、これは基材上に蒸着した際の結晶構造に悪影響を与える点等から、分子量は小さい方が好ましい。具体的には、85〜1000の範囲内であり、好ましくは85〜220の範囲内、特に好ましくは85〜166の範囲内である。なお、上記分子量の下限値は、トリアジン骨格の分子量が81である点を考慮して決定したものである。
【0046】
本発明に用いられる1,3,5−トリアジン誘導体としては、例えば、メラミン、アンメリン、アンメリド、シアヌル酸、2−ウレイドメラミン等を挙げることができるが、中でも上述した条件、および入手の容易性、取扱の容易性を考慮すると、メラミンまたはシアヌール酸が最も好適に用いられる。
【0047】
(2)重合剤
次に、本発明に用いられる重合剤について説明する。本発明に用いられる重合剤の第1の特徴は、上記第1官能基と反応して結合する第2官能基を有する点にある。
【0048】
このような第2官能基としては、本発明では上述した条件、すなわち第1官能基と反応して結合するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、第1官能基が末端に−NH2、−OHを有する官能基である場合は、第2官能基がイソシアネート基を末端に有する基もしくは酸無水物であることが好ましい。
【0049】
上記第2官能基の重合剤中の数は、本発明においては特に限定されるものではいが、少なくとも2以上であることが好ましい。第2官能基を2以上有することにより、共蒸着して第1官能基と結合した場合に高分子化しやすく、したがって耐湿度性の向上を図ることができるからである。
【0050】
なお、本発明においては、上述したように第2官能基を1つしか有さない重合剤、すなわち単官能の重合剤を排除するものではない。例えば、単官能の重合剤であっても、第2官能基を2以上有する重合剤と混合して用いる場合や、1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層中に疎水基を導入して耐湿度性を向上させる場合等においては、単官能の重合剤であっても用いる可能性があるからである。
【0051】
本発明に用いられる重合剤の第2の特徴は、蒸着材料として使用可能である点にある。すなわち、この重合剤は蒸着させて用いられるものであることから、蒸着できることが必須条件であり、蒸着に際して取扱が容易であるものが好適に用いられる。ここで、蒸着できるか否かもしくは蒸着に際しての取扱が容易であるか否かは、用いる材料の平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度により判断することが可能である。この温度が高すぎる場合は、蒸着に際して高温が必要となり、基材のTgが低い場合等においては蒸着することができない等の問題が生じる場合がある。また、この温度が低すぎる場合は、基材等に常温で付着させることが困難となり、チャンバーを冷却する必要が生じる等の問題が生じることになる。したがって、本発明に用いられる重合剤としては、平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度が50℃〜500℃の範囲内である化合物が好ましく、特に50℃〜400℃となる化合物が好ましい。
【0052】
また、用いられる重合剤の分解温度が低い場合は、蒸着に際しての加熱によって分解されてしまうことになり、蒸着することができない等の問題が生じることになる。したがって、重合剤の分解温度としては、平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度以上であることが好ましい。
【0053】
また、重合剤においても分子量が大きいものは、通常平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度が高くなり、蒸着に際して高温を必要とするといった問題が生じる場合が多い。また、上記1,3,5−トリアジン誘導体と共蒸着した場合に、分子量が大きいと上記1,3,5−トリアジン誘導体蒸着膜中の結晶構造を乱すことになり、ガスバリア性を低下させる要因になる場合がる。一方、分子量が小さすぎる場合は、平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度等が低すぎ、上述したような問題が生じることになる。したがって、本発明において好適な重合剤の分子量としては80〜1000の範囲内であり、特に95〜500の範囲内、中でも100〜300の範囲内であることが好ましい。
【0054】
本発明において用いることができる重合剤としては、例えば、ピロメリット酸無水物、4クロロフォルミルフタル酸無水物、テレフタル酸塩化物、4,4ビフェニルジカルボニルクロリド、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナートビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナートビフェニル、4,4’−ビス(4−イソシアナートフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−イソシアナートフェノキシ)ベンゼン、2,6ナフタレンジイソシアナート、4,4′−ジイソシアン酸メチレンジフェニル、3,3′−ジメチルジフェニル−4,4′−ジイソシアナート、o−ジアニシジンジイソシアナート、メチレンビス(4−イソシアナート−3−メチルベンゼン)、メチレンビス(4−イソシアナート−2−メチルベンゼン)、メチレンビス(o−クロロフェニルイソシアナート)、5−クロロ−2,4−トルエンジイソシアナート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI)、3,5−ジイソシアナートベンゾトリフルオライド、ビス(4−イソシアナートフエニル)エーテル、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアナートメチル、p−フェニレンジイソシアナート、p−キシレンジイソシアナート、テトラメチルキシレンジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート、2,6−ナフタレンジイソシアナート、トランス−1,4−シクロヘキシルジイソシアナート、イソフォロンジイソシアナート1,3−ビス(イソシアナートメチル)ベンゼンなどの一種または二種以上の混合物等を挙げることができるが、中でも上述した条件および入手の容易性、取扱の容易性等を考慮すると、本発明に用いられる重合剤としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはピロメリット酸無水物が最も好適に用いられる。
【0055】
なお、本発明においては、後述するようにこの重合剤のみを蒸着させた重合剤蒸着層を形成し、これにプライマー層等の機能をもたせる場合がある。このような場合には、必要な機能に応じて重合剤の種類が決定される。
【0056】
2.ガスバリア性積層材の層構成について
次に、本発明のガスバリア性積層材の層構成について説明する。本発明のガスバリア性積層材の層構成は、基材と、この基材の少なくとも一方の面に形成された上記共蒸着層とを有するものである。なお、上記共蒸着層は、基材の一方の面に形成されていればよいが、用途等に応じて、両面に形成されたものであってもよい。
【0057】
本発明においては、上記共蒸着層と基材との間に上述した1,3,5−トリアジン誘導体からなる1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層が形成されていてもよい。この1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層は、少なくとも1種類の上記1,3,5−トリアジン誘導体から形成されるものであるので、1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層が有する結晶構造を構成し、高いガスバリア性を有することになる。しかも、この場合はこの1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層上には上記共蒸着層が形成されていることから、湿度に対する影響も低下させることが可能となる。よって、基材と共蒸着層との間に、1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層を設けた構成とすることにより、基材上に共蒸着層のみを形成したガスバリア性積層材より、高いガスバリア性を得ることができる可能性がある。
【0058】
なお、本発明においてける1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層と共蒸着層との組合せは、上述したものに限定されるものではなく、例えば基材上に共蒸着層を形成し、その上に1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層を形成し、さらにその上に共蒸着層を形成する等の構成であってもよい。すなわち、表面側に少なくとも一層の共蒸着層を有し、基材側に少なくとも一層の1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層を有する構成であれば、特にその他の層について限定されるものではない。
【0059】
また、本発明においては、上記共蒸着層上に、少なくとも一種類の重合剤からなる重合剤蒸着層が形成されていてもよい。この重合剤蒸着層は、例えばプライマー層としての機能を有する等の他の機能を有する層とすることが可能である。したがって、このような重合剤蒸着層を形成することにより、共蒸着層上に他の機能を付与することができるという利点を有する点で好ましい。なお、本発明のガスバリア性積層材においては、この重合剤蒸着層に関しても、共蒸着層表面側の一層に限定されるものではなく、必要であれば複数層形成されていてもよい。
【0060】
本発明においては、上述したように共蒸着層を形成する層構成の他に、基材上に1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層が形成され、さらにこの1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層上に重合剤蒸着層が形成された構成、すなわち共蒸着層を有しない層構成であってもよい。
【0061】
このような層構成の場合は、上記1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層と重合剤蒸着層と層間において、上記1,3,5−トリアジン誘導体の第1官能基と上記重合剤の第2官能基とが反応し、これにより1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層における湿度の存在によるガスバリア性の低下を防止することが可能となる。また、1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層は、高い結晶構造を維持していることから、高いガスバリア性を有するものとなる。したがって、このような層構成とした場合でも、高いガスバリア性を有し、かつ湿度の存在下でもガスバリア性の低下しないガスバリア性積層材とすることが可能となる。また、外側に形成された重合剤蒸着層は、例えばプライマー層として機能する重合剤を選択することにより、プライマー層として用いる等、種々の機能を本発明のガスバリア性積層材に付与することが可能となる。
【0062】
なお、この場合も1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層および重合剤蒸着層はがそれぞれ一層以上形成されたものであってもよいことは、上述した場合と同様である。
【0063】
本発明のガスバリア性積層材は、上述した層の他、必要に応じて他の層を形成するようにしてもよい。例えば、最外層に防湿性を有する層を形成し、湿度によるガスバリア性の低下をさらに抑えるようにしてもよい。
【0064】
3.ガスバリア性積層材の各層について
次に、上記ガスバリア性積層材の層構成において述べた各層について詳細に説明する。
【0065】
(1)共蒸着層について
本発明でいう共蒸着層とは、上で詳述した1,3,5−トリアジン誘導体および重合剤をそれぞれ少なくとも1種類用い、これらを共蒸着させて形成した層をいい、好ましくは共蒸着層内において上記第1官能基および第2官能基の一部が反応して結合している層をいう。また、本発明において共蒸着とは必ずしも同時に蒸着することに限定されるものではなく、蒸着層内に上記1,3,5−トリアジン誘導体と重合剤とを共に含み、その一部が反応している層を形成する蒸着法であれば、蒸着が前後していても本発明においては共蒸着であるとする。
【0066】
上記共蒸着層内での1,3,5−トリアジン誘導体と重合剤の割合は、特に限定されるものではなく、両者が混合されていれば本発明でいう共蒸着層であるが、耐湿度性を向上させる効果等の観点から、1,3,5−トリアジン誘導体と重合剤とのモル比が10:1〜1:8の範囲内、特に5:1〜1:4の範囲内、中でも1:1の範囲内である場合が、共蒸着層として好ましい。
【0067】
なお、上記1,3,5−トリアジン誘導体と重合剤とのモル比は、共蒸着層内で一定である必要はなく、一方の面から他方の面にかけてモル比が連続的に変化するように形成されたものであってもよい。
【0068】
このような共蒸着層の膜厚は、特に限定されるものではないが、0.5nm〜1000nmの範囲内、特に5nm〜500nmの範囲内、中でも10nm〜200nmの範囲内とすることが好ましい。上記範囲より膜厚が薄い場合は、必要とする耐湿度性が得られない可能性が生じるからであり、上記範囲より厚い場合は得られる耐湿度性に鑑みた場合にコスト面で問題が生じる可能性があるからである。
【0069】
なお、上記共蒸着層は、上記1,3,5−トリアジン誘導体および重合剤のみから形成されるものであってもよいが、その他必要に応じて他の成分が蒸着されたものであってもよい。例えば、触媒成分や、着色剤等が共蒸着層内に含まれてもよい。
【0070】
(2)1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層
本発明に用いられる1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層は、上述した1,3,5−トリアジン誘導体を少なくとも1種類用いて形成されるものである。この層は、1,3,5−トリアジン誘導体の結晶構造を有することから、高いガスバリア性を有する層であり、本発明のガスバリア性積層材のガスバリア性を向上させる効果を有するものである。
【0071】
このような1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層は、上述した層構成によって、▲1▼1,3,5−トリアジン誘導体および重合剤との共蒸着層が形成されており、この共蒸着層の基材側に1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層が形成される場合と、▲2▼基材上に1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層が形成され、その上に直に後述する重合剤蒸着層が形成される場合の二つ場合がある。
【0072】
▲1▼の場合の膜厚としては、共蒸着層の膜厚により要求される膜厚は大きく変動するものではあるが、一般に5nm〜1000nmの範囲内、特に10nm〜300nmの範囲内、中でも20nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より膜厚が薄い場合は、共蒸着層の内側に別個に1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層を設けても、ガスバリア性が特に向上しない可能性があるからであり、上記範囲より膜厚が厚い場合は、得られるガスバリア性に比較してコスト面で問題が生じる可能性があるからである。
【0073】
一方、▲2▼の場合は、ガスバリア性はこの1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層のみで得られるものであることから、その膜厚は10nm〜1000nmの範囲内、特に20nm〜500nmの範囲内、中でも30〜200nmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より膜厚が薄い場合は、要求されるガスバリア性が不足するため好ましくなく、上記範囲より膜厚が厚い場合は、得られるガスバリア性に比較してコストが高くなりすぎるといった問題が生じる可能性があるからである。
【0074】
(3)重合剤蒸着層
本発明に用いられる重合剤蒸着層は、上述した重合剤を少なくとも1種類用いて形成されるものである。このような重合剤蒸着層は、一般的にはガスバリア性に寄与する割合は極めて低いが、用いる重合剤を選択することにより、プライマー層としての機能や、防水層としての機能等を付与することが可能であり、この機能を有効に活かすことにより、重合剤蒸着層を形成する利点を得ることができる。
【0075】
このような重合剤蒸着層の膜厚は、付加する機能により大きく異なるものであり、一律に決定できるものではないが、一般には0.5nm〜100nmの範囲内、特に1nm〜40nmの範囲内とすることが好ましい。
【0076】
(4)基材
本発明のガスバリア性積層材は、基材上に上述した各層が形成されてなるものである。このような基材としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、特にメタロセン触媒を用いて重合した上記それぞれのポリエチレン、アイソタティックポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ポリプロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマーに代表されるイオン架橋オレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリビニルアルコール、超高分子量ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ハイインパクトポリスチレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン樹脂、エチレンメタクリル酸共重合体、プロピレン−メタクリル酸共重合体、トリアセチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース系樹脂等から選択された材料からなるものが用いられ、これらの樹脂を組み合わせた組成、さらには2層以上積層したものであってもよい。
【0077】
本発明においては、基材はフィルム状のものが好適に用いられ、未延伸のフィルムであっても、1軸もしくは2軸延伸したフィルムであってもよい。
【0078】
本発明のガスバリア性積層材は、特に金属酸化物の蒸着膜を形成することが困難であるTgの低い材料を用いた基材であっても、ガスバリア性積層材とすることができる点に大きな特徴を有するものである。したがって、この点から本発明に用いられる基材としては、Tgが65℃以下のもの、好ましくは50℃以下のものが本発明の利点を享受し得る点で好ましい。具体的にはポリプロピレン、ナイロン、トリアセチルセルロース、エチルセルロース、ポリメタクリル酸エチル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸プロピルを用いることが好ましく、中でもポリプロピレンおよびナイロンが好ましく、特にポリプロピレンが好ましい。
【0079】
また、本発明においては、表面上に予め蒸着層との接着性を向上させるための表面処理を施した基材を用いることが好ましい。具体的な表面処理の方法としては、プラズマ処理、コロナ放電処理を挙げることができる。
【0080】
これらの処理は、基材の被蒸着面に対して基材単独で別工程で行っても、基材に対して樹脂を溶融押出しコーテイングする場合はその直前に行ってもよい。また、被蒸着面に、イソシアネート系化合物を主とするプライマー処理を施したり、溶融押し出しコーティングでは溶融状態の樹脂接着面をオゾンガスによる接着強化処理を施したりしても良い。そのほかの表面処理方法としては、例えばグロー放電処理、スパッタリング処理、スパッタエッチング処理などの真空中での処理、あるいはサンドブラスト法のごとき機械的な粗面化処理、アルカリ処理などによる化学的処理、化学的エッチング処理、さらには金属酸化物被膜を形成する方法などが用いられる。
【0081】
(5)防湿層
本発明においては、基材表面上に上述した蒸着層を形成した後、さらに防湿層をその上に形成してもよい。
【0082】
このような防湿層として用いることができる材料としては、防湿性の観点から、延伸もしくは無延伸の、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、もしくはメタロセン触媒を用いて重合したポリエチレン等のポリエチレン材料、延伸もしくは無延伸のポリプロピレン、非結晶ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の材料を挙げることができ、さらに酸化アルミニウムやシリカを蒸着させたバリア性フィルムを用いてもよい。
【0083】
本発明においては、中でもシーラントとして使用可能な無延伸ポリエチレンまたは無延伸ポリプロピレンを防湿層として用いることが好ましい。これらの材料を防湿層とすることにより、シーラント層を別途形成する必要がなく、工程の簡略化が可能となり、コスト面で有利であるからであり、さらに防湿面でも効果的であるからである。
【0084】
このような防湿層の膜厚は、用いる材料やその形成方法等により大きく異なるものではあるが、一般に、5μm〜500μmの範囲内、好ましくは12μm〜100μmの範囲内とされる。
【0085】
このような防湿層の有する水蒸気透過性としては、50g/m2・day以下、特に20g/m2・day以下、中でも7g/m2・day以下の水蒸気透過度を有するものが好ましい。なお、この水蒸気透過度は、防湿層を、温度37.8℃、湿度100%Rhの条件で、例えば米国モコン(MOCON)社製の測定機(機種名パーマトラン(PERMTRAN3/31))を用いて測定した場合の値である。
【0086】
このような防湿層の形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、グラビア版を用いたグラビアコート、ゴムあるいはスチールロールによるロールコート、エアナイフコート、スプレーコート、スピンコート、ディップコート、ドクターナイフ、バーコーター、カーテンコーターなどの公知の塗工機械を用いる従来のコート法や浸漬法、さらにはドライラミネーション法、ウェットラミネーション法、押出ラミネーション法、T台押出成形法、共押出ラミネーション法等の従来の積層法により防湿層を1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層上に貼り合わせることができる。
【0087】
このように、防湿層を形成することにより、さらに本発明のガスバリア性積層材の耐湿度性が向上し、湿度の高い用途であっても問題なく用いることが可能となる。
【0088】
B.ガスバリア性積層材の製造方法
本発明のガスバリア性積層材の製造方法は、基材を準備する工程と、上記基材上に、上記化学式(A)においてR1、R2、およびR3の内の少なくとも一つが第1官能基であり、かつ蒸着材料として使用可能な1,3,5−トリアジン誘導体、および上記第1官能基と反応結合する第2官能基を有し、かつ蒸着材料として使用可能な重合剤を共蒸着させる工程とを含むことを特徴とするものである。
【0089】
本発明のガスバリア性積層材の製造方法においては、まず基材を準備する工程が行われる。ここで用いられる基材としては、上記ガスバリア性積層材と同様であるのでここでの説明は省略する。また、この場合上記ガスバリア性積層材の項で説明したように、この基材の準備工程において、蒸着膜との接着性を向上させるために基材表面を前処理する工程を行ってもよい。
【0090】
次に、このようにして準備された基材表面に、上記化学式(A)においてR1、R2、およびR3の内の少なくとも一つが第1官能基であり、かつ蒸着材料として使用可能な1,3,5−トリアジン誘導体、および上記第1官能基と反応結合する第2官能基を有し、かつ蒸着材料として使用可能な重合剤を共蒸着させる工程を行う。ここで用いられる材料に関しては上記ガスバリア積層材の項で説明したものと同様の材料を用いることができる。
【0091】
共蒸着の温度条件や真空条件等に関しては、用いる材料等に応じて適宜選択される。また蒸着時間等に関しては、上記ガスバリア積層材の項で説明した膜厚の範囲内となるように調整されて行われる。
【0092】
本発明においては、上記共蒸着を行う工程の前に、上記1,3,5−トリアジン誘導体を蒸着させる工程を行うようにしてもよい。予め基材上に1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層を形成しておくことにより、共蒸着層のみの場合よりもガスバリア性を向上させることができるからである。この場合の蒸着条件等に関しても、材料や必要とされる膜厚等に鑑みて適宜設定される。また、必要であれば、共蒸着を行う工程の後に、重合剤を蒸着させる工程を行ってもよい。
【0093】
一方、共蒸着を行う工程を有しない場合は、同様に基材を準備する工程をおこなった後、この基材上に、上記1,3,5−トリアジン誘導体を蒸着させる工程を行う。次いで、この1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層上に上記重合剤を蒸着させる工程を行うことによりガスバリア性積層材を製造する。この場合の各蒸着条件も、上述した共蒸着層を有するガスバリア性積層材の製造方法の場合と同様に、用いる材料および必要な膜厚等により適宜設定される。
【0094】
なお、本発明における蒸着法としては、通常行われている方法、例えば一般的な抵抗加熱型蒸着装置を用いて行う方法等により行われる。
【0095】
本発明のガスバリア性積層材の製造方法においては、上記蒸着を行う工程中、もしくは蒸着を行う工程の後に、上記1,3,5−トリアジン誘導体と上記重合剤との反応を促進させる反応促進手段を用いた反応促進工程を行ってもよい。
【0096】
上記1,3,5−トリアジン誘導体と重合剤の種類によっては、反応性が良好でない場合がある。このような場合は、共蒸着した場合でも共蒸着層内で1,3,5−トリアジン誘導体中の第1官能基と重合体中の第2官能基とが反応して結合する割合が少ないことが考えられる。また、1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層上に重合剤蒸着層を形成する場合は、その界面において反応が生じない可能性がある。このような場合は、耐湿度性を向上させることができない可能性があり、例えば湿度の高い条件で用いるような場合は、ガスバリア性を維持することが困難となる可能性がある。このような場合に上記反応促進手段を用いた反応促進工程を行うことにより、ガスバリア性積層材の耐湿度性を向上させることが可能となる。
【0097】
上記反応促進手段としては、具体的には、原料を基材へ蒸着する過程において、イオン化させる方法や、共蒸着後等においてプラズマ処理を施す方法、触媒作用を有する材料を共蒸着させる方法等を挙げることができる。
【0098】
具体的には、例えばイオン化させる方法の場合は、蒸着工程中に、蒸発材料と基材との間に配置した熱電子発生装置を用いて、蒸発材料をイオン化し、共蒸着層内での反応を促進させる方法を挙げることができる。また、プラズマ処理の場合は、蒸着工程終了後、プラズマを発生させ、蒸着層表面からプラズマ処理することにより反応を促進させる方法を挙げることができる。
【0099】
このようにして蒸着層を形成した後、上記ガスバリア性積層材の項で説明したように、必要に応じて防湿層を蒸着層上に形成するようにしてもよい。
【0100】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0101】
例えば、上記ガスバリア性積層材の製造方法の説明および下記の実施例において、蒸着層の形成をバッチ式の製造方法により説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、連続的に製造される場合、すなわち基材が連続的に蒸着装置内に供給されて蒸着される場合も含むものである。このように連続的に形成する場合は、上記共蒸着層内における1,3,5−トリアジン誘導体と重合剤との厚み方向のモル比は連続的に変化するようになる。
【0102】
また、本発明においては、1,3,5−トリアジン誘導体以外のトリアジン誘導体であっても、結晶化によりガスバリア性を有するものであれば1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層もしくは共蒸着層用の材料として用いることが可能であり、具体的にはメラン(melan)、メレン(melem)、メロン(melon)等を用いることが可能である。
【0103】
なお、上記実施形態においては、本発明のバリア性積層フィルムの奏する効果をガスバリア性としているが、このガスバリア性には酸素等のガスの透過防止性のみならず水蒸気透過防止性をも含む概念である。
【0104】
【実施例】
以下、本発明のバリア性積層フィルムについて、実施例を挙げて具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0105】
[実施例1]
基材として、膜厚20μmのOPP(延伸ポリプロピレン)フィルム(商品名:太閤FOR、二村化学工業株式会社製、片面コロナ処理)を用い、図1に示すような一般的な抵抗加熱型蒸着装置を用い蒸着した。まず、図示略のポンプを用い、蒸着室1内を9.5×10-5torrに真空排気した。上記基材は、蒸着室1上方に設けられた基盤2上にコロナ処理面が下面側(るつぼ側)となるように配置された。次いで、蒸着室1内の下方に配置された第1るつぼ3内にメラミン(純正化学株式会社製、純度98.0%)を投入し、第1るつぼ用ヒータ4を用いて220℃に温度調節した。この状態でシャッター5を開け基材であるOPPフィルムのコロナ処理面に1000オングストローム蒸着した後、シャッター5を閉めた。次いで、同様に蒸着室1の下方に配置された第2るつぼ6に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、東京化成工業社製、純度98.0%)を投入し、第2るつぼ用ヒータ7を用いて110℃に温度調整した。そして、この状態で同様にシャッター5を開け、メラミン蒸着層上に50オングストローム蒸着した後、シャッター5を閉め、ガスバリア性積層材を形成した。
【0106】
各蒸着層の膜厚は、水晶振動子の周波数から換算し求めた。すなわち、予めガラス基板上にマスクを用いて被測定物質を蒸着し、その膜厚を触針式の膜厚計(DEKTAKIIA、SLOAN社製)で測定し、その物質の膜厚と水晶振動子の周波数との相関関係を決定する。次いで、上記ガスバリア性積層材上の被測定物質の水晶振動子の周波数を測定し、厚みに換算する方法により測定した。
【0107】
[実施例2]
第2るつぼ6にピロメリット酸無水物(PMDA、純正化学株式会社製、純度98.0%)を投入し、るつぼの温度を210℃に温度調整した以外は実施例1と同様にしてガスバリア性積層材を形成した。膜厚は実施例1と同様にして測定した。
【0108】
[実施例3]
実施例1で用いた基材と同様の基材を用い、蒸着装置も同様のものを用いた。まず、実施例1と同様に図示略のポンプを用い、蒸着室1内を9.5×10-5torrに真空排気した。基材も同様にして基盤2上に配置した。次いで、第1るつぼ3内にメラミン(純正化学株式会社製、純度98.0%)を投入し、第1るつぼ用ヒータ4を用いて220℃に温度調節した。また、同時に第2るつぼ6に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、東京化成工業社製、純度98%)を投入し、第2るつぼ用ヒータ7を用いて110℃に温度調整した。この状態でシャッター5を開けて基材上のコロナ面に共蒸着層を1050オングストローム蒸着した後、シャッター5を閉め、ガスバリア性積層材を形成した。膜厚は実施例1と同様にして測定した。
【0109】
[実施例4]
第2るつぼ6にピロメリット酸無水物(PMDA、純正化学株式会社製、純度98.0%)を投入し、るつぼの温度を210℃に温度調整した以外は実施例3と同様にしてガスバリア性積層材を形成した。膜厚は実施例1と同様にして測定した。
【0110】
[実施例5]
まず、実施例1と同様にして1000オングストロームの膜厚のメラミン蒸着層を基材上に形成した。次いで、実施例3と同様にして、メラミンと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの共蒸着層を50オングストローム形成してガスバリア性積層材とした。膜厚は実施例1と同様にして測定した。
【0111】
[実施例6]
タングステンフィラメントと箱型陽極グリッドとからなる熱電子発生装置をるつぼ3、6と基盤2の間に導入し、共蒸着の間フィラメント電流を80mAとしてイオン化した以外は、実施例3と同様にしてガスバリア性積層材を形成した。膜厚は実施例1と同様にして測定した。
【0112】
[実施例7]
実施例1と同様にしてガスバリア性積層材を形成した後、蒸着室1内に酸素ガスを導入し2.0×10-2torrに真空度を調節し、マイクロウェーブ発生装置8を用いてMDI蒸着表面にプラズマ処理を施した。放電電力を20W・分/m2とした。膜厚は実施例1と同様にして測定した。
【0113】
[実施例8]
基材として、厚み12μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東洋紡社製、商品名:E5100、片面コロナ処理)を用いた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性積層材を形成した。膜厚は実施例1と同様にして測定した。
【0114】
[実施例9]
第1るつぼ3にシアヌル酸(純正化学株式会社製、試薬特級)を投入し、第1るつぼ用ヒータ4により280℃に温度調整した以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性積層材を形成した。膜厚は実施例1と同様にして測定した。
【0115】
[比較例1]
実施例1と同様の基材を用い、同様な蒸着装置を用い蒸着した。まず、図示略のポンプを用い、蒸着室1内を9.5×10-5torrに真空排気した。上記基材は、蒸着室1上方に設けられた基盤2上にコロナ処理面が下面側(るつぼ側)となるように配置された。次いで、蒸着室1内の下方に配置された第1るつぼ3内にメラミン(純正化学株式会社製、純度98.0%)を投入し、第1るつぼ用ヒータ4を用いて220℃に温度調節した。この状態でシャッター5を開け基材であるOPPフィルムのコロナ処理面に1050オングストローム蒸着した後、シャッター5を閉め、ガスバリア性積層材を形成した。膜厚は実施例1と同様にして測定した。
【0116】
[比較例2]
基材として、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100、片面コロナ処理)を用いた以外は、比較例1と同様にしてガスバリア性積層材を形成した。膜厚は実施例1と同様にして測定した。
【0117】
[評価]
上記実施例1から実施例9、比較例1および比較例2で得たバリア性積層材を用いて、酸素透過度および水蒸気透過度を測定した。
【0118】
(1)酸素透過度の測定
上記各々のガスバリア性積層材を温度23℃で、湿度0%Rhと90%Rhの二つの条件で、酸素透過度を測定した。測定機としては、米国モコン(MOCON)社製の測定機(機種名オクストラン(OXTRAN2/20))を用いた。結果を表1にまとめる。
【0119】
(2)水蒸気透過度の測定
上記各々のガスバリア性積層材を、温度37.8℃、湿度100%Rhの条件で、米国モコン(MOCON)社製の測定機(機種名パーマトラン(PERMTRAN3/31))を用いて水蒸気透過度を測定した。結果を表1にまとめる。
【0120】
【表1】
【0121】
表1から明らかなように、実施例のガスバリア性積層材は、高湿度条件下での酸素透過性、および水蒸気透過性のいずれもが良好であるのに対し、比較例のものは、大幅に低下していることがわかる。
【0122】
【発明の効果】
本発明によれば、第1官能基を有する1,3,5−トリアジン誘導体と、上記第1官能基と反応して結合することができる第2官能基を有する重合剤とを共蒸着してなる共蒸着層を有するものであるので、この共蒸着層中においてはトリアジン誘導体が所定の範囲で重合した化合物となる。これにより、湿度がある状態であってもガスバリア性が低下することがなく、用途範囲の広いガスバリア性積層材とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に用いられた蒸着装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 …… 蒸着室
2 …… 基盤
3 …… 第1るつぼ
4 …… 第1るつぼ用ヒータ
5 …… シャッター
6 …… 第2るつぼ
7 …… 第2るつぼ用ヒータ
8 …… マイクロウェーブ発生装置
Claims (15)
- 前記共蒸着層中の前記1,3,5−トリアジン誘導体と前記重合剤とのモル比が、10:1〜1:8の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層材。
- 前記共蒸着層の膜厚が、0.5nm〜1000nmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスバリア性積層材。
- 前記基材と前記共蒸着層との間に、前記1,3,5−トリアジン誘導体からなる層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のガスバリア性積層材。
- 基材と、前記基材上に蒸着され、下記化学式(A)においてR1、R2、およびR3の内の少なくとも一つが第1官能基であり、かつ蒸着材料として使用可能な1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層と、前記1,3,5−トリアジン誘導体蒸着層上に蒸着され、前記第1官能基と反応して結合する第2官能基を有し、かつ蒸着材料として使用可能な重合剤蒸着層とを有し、
前記第1官能基が、−NH 2 、−OH、もしくは−CHOを有する官能基であり、前記第2官能基がイソシアネート基を有する化合物、酸無水物、もしくは酸塩化物であることを特徴とするガスバリア性積層材。 - 前記1,3,5−トリアジン誘導体において、前記化学式に示すR1、R2、およびR3の全てが同一の第1官能基であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のガスバリア性積層材。
- 前記1,3,5−トリアジン誘導体の分子量が、85以上1000以下であり、かつ平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度が500℃以下であり、さらに平衡蒸気圧が10-3Torrとなる温度で熱分解しない化合物であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のガスバリア性積層材。
- 前記1,3,5−トリアジン誘導体が、メラミンもしくはシアヌール酸であることを特徴とする請求項7に記載のガスバリア性積層材。
- 前記重合剤が少なくとも二つの第2官能基を有することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載のガスバリア性積層材。
- 前記重合剤の分子量が、80〜1000の範囲内であり、かつ平衡蒸気圧が10 -3 Torr となる温度が500℃以下であり、さらに平衡蒸気圧が10 -3 Torr となる温度で熱分解しない化合物であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載のガスバリア性積層材。
- 前記重合剤が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはピロメリット酸無水物であることを特徴とする請求項10に記載のガスバリア性積層材。
- 前記共蒸着させる工程の前に、前記1,3,5−トリアジン誘導体を蒸着させる工程を有することを特徴とする請求項12に記載のガスバリア性積層材の製造方法。
- 前記蒸着を行う工程中、もしくは蒸着を行う工程の後に、前記1,3,5−トリアジン誘導体と前記重合剤との反応を促進させる反応促進手段を用いた反応促進工程を有することを特徴とする請求項12から請求項14までのいずれかの請求項に記載のガスバリア性積層材の製造方法。
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