JP3875167B2 - 電子機器のノイズ防止構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線基板上に実装された半導体ICと、この半導体ICの入力インピーダンスよりもプリント配線基板上のグランドに対してインピーダンスの高い電子部品との間が配線を介して電気的に接続されている電子機器におけるノイズ防止構造に係り、特には放射イミュニティを強化するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子機器では、プリント配線基板上に実装された半導体ICと、この半導体ICの入力インピーダンスよりもプリント配線基板上のグランドに対してインピーダンスの高い電子部品との間を配線を介して電気的に接続したものがある。たとえば、各種の制御や信号処理を行う半導体ICに対して、半導体ICが実装されたプリント配線基板上のグランドに対して非接地となっている抵抗、インダクタなどの受動素子や各種の電気的情報を得るセンサなどの電子部品がケーブルなどの配線を用いて接続される場合がある。
【0003】
このような構成の電子機器では、その他の電子機器から発生した高周波の電磁波ノイズが存在する場合、電子部品と半導体IC間を結ぶ配線がアンテナとして作用して半導体ICに高周波電流が流れ、半導体ICが誤動作することがある。また、半導体ICから電子部品に対してクロック信号を送信するような場合、クロック信号の高調波成分に起因して配線がアンテナとして作用し、外部に放射ノイズを発散する放射源となり、他の電子機器に対して悪影響を及ぼすことがある。
【0004】
そこで、このような電磁波ノイズに起因した装置の誤動作や他の機器に対する悪影響を防止するために、国際的にはIEC(International Electrotechnical Comission)によって、また、各地域たとえば欧州ではCISPR(International Special Committee on Radio Interference)、北米ではFCC(Federal Communicatins Comission)、日本ではVCCI(Voluntary Control Council for Interference)などによって、電子機器から放射される電磁エネルギの上限値としての放射エミッションや、外部から到来する電磁波ノイズに対して電子機器が誤動作しない限界値としての放射イミュニティが規定されている。
【0005】
このような放射イミュニティは、たとえば周波数が30MHz〜1GHzまでの試験が実施されて規定値を満たすか否かが判定される。たとえば、漏電遮断器の国際規格のIEC60947−2で規定されている試験周波数は1GHzまでなので、1GHz以下の範囲で電子機器の放射イミュニティを強化すれば、要求特性は一応満足されていることになる。
【0006】
ところで、従来技術では、複数のプリント配線基板間をケーブルで接続して信号伝送を行う場合に、ケーブルの長さを調整することで共振現象が起こらないようにして放射ノイズの低減を図っている(例えば、特許文献1参照)。この場合、たとえば、試験周波数の上限が1GHzの場合、その1/4波長は75mmとなるので、ケーブルの長さを75mm以下に調整することで放射イミュニティを低減する。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−244600号公報(第3−5頁、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来技術では、ケーブル長さを規定することで電子機器の放射イミュニティを低減しているが、このようなケーブル長さを規定すると、電子機器を実装する際にプリント配線基板の取り付け位置を変更するなどの必要性が生じる。そのため、レイアウトを変更するなどの手間がかかったり、あるいは、ケーブル長さの制約のために実装部品が搭載できなくなるといった不具合を生じる。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、従来のように配線長さを特に規定しなくても、放射イミュニティを強化し得る電子機器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために、プリント配線基板上に実装された半導体ICと、この半導体ICの入力インピーダンスよりもプリント配線基板上のグランドに対してインピーダンスの高い電子部品との間が配線を介して電気的に接続されている電子機器のノイズを防止するための構造を前提として、次の構成を採用している。
【0011】
すなわち、請求項1記載の発明に係る電子機器のノイズ防止構造は、上記配線の両端間の長さが外部から到来する電磁波ノイズの波長の1/4波長以上である構造であって、上記配線に対して電子部品側または半導体IC側の端部を起点として電磁波ノイズの1/4波長未満にそれぞれ区切る位置にキャパシタの一端が接続され、このキャパシタの他端はグランド側または電源側に接続されていることを特徴としている。
【0012】
請求項2記載の発明では、上記各配線の両端間の長さが外部から到来する電磁波ノイズの波長の1/4波長以上である構造であって、上記電子部品側または半導体IC側の端部を起点として電磁波ノイズの1/4波長未満にそれぞれ区切る位置において上記一対の配線間を結んでキャパシタが介在されていることを特徴としている。
【0013】
請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の発明の構成において、上記配線がプリント配線基板の同一面上に形成された信号ラインとグランドラインとからなる構造であって、上記キャパシタは、電子部品までの距離よりも半導体ICまでの距離が十分に短くなるように、半導体ICに近接した位置に設けられることを特徴としている。
【0014】
請求項4記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発明の構成において、上記電子部品はZCTであり、上記半導体ICは上記ZCTの検出出力に基づいて漏電の有無を判別する漏電判別回路であることを特徴としている。
【0015】
請求項5記載の発明では、請求項4記載の発明の構成において、上記ZCTと漏電判別回路とを結ぶ配線の途中には感度切換装置が並列に接続され、この感度切換装置と上記漏電判別回路とを結ぶ引出配線の両端間の長さが外部から到来する電磁波ノイズの波長の1/4波長以上である構造であって、その引出配線に対して上記電磁波ノイズの波長の1/4波長未満に区切る位置にキャパシタの一端が接続され、キャパシタの他端はグランド側または電源側に接続されていることを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における電子機器のノイズ防止構造の概略構成を示す斜視図である。
【0017】
この実施の形態1において、電子機器は、単一のプリント配線基板1上に半導体IC2と、この半導体IC2の入力インピーダンスよりもインピーダンスの高い電子部品3とが共に実装されるとともに、両者2,3の間が一対の配線4,5を介して電気的に接続されている。
【0018】
ここに、上記の電子部品3は、抵抗やインダクタなどの受動素子、あるいは、各種の電気的情報を得るセンサなどで構成されており、この電子部品3は半導体IC2が実装されたプリント配線基板1上のグランドに対して非接地状態になっている。また、配線4,5は、導電用のケーブル、あるいは基板1上に導体パターンを形成することにより構成されている。
【0019】
そして、この実施の形態1において、各配線4,5は、その両端間の長さL0が想定される外部から到来する高周波の電磁波ノイズの波長の1/4波長以上の長さを有している。そのため、各配線4,5に対して、電子部品3側または半導体IC2側の端部を起点として電磁波ノイズの1/4波長未満にそれぞれ区切る位置(この例では電子部品3側の端部から長さL1の位置)にそれぞれキャパシタC1,C2の一端が接続され、これらの各キャパシタC1,C2の他端はプリント配線基板1に予め形成された図示しないスルーホールを介してグランドに接続されている。
【0020】
たとえば、放射ノイズの周波数が1GHz(したがって、1/4波長が75mm)の場合を想定すると、配線4,5の両端間の長さL0が115mmである場合、L1,L2が共に75mm未満となる位置(たとえばL1=70mm,L2=45mmの位置)にキャパシタC1,C2が接続される。
【0021】
上記構成において、外来の電磁波ノイズが存在する場合に、半導体IC2の入力インピーダンスよりもプリント配線基板1上のグランドに対してインピーダンスの高い電子部品3が共に実装されて両者2,3の間が一対の配線4,5を介して電気的に接続されしていると、上記の配線4,5がアンテナとして作用して配線4,5に高周波電流が誘起される。このとき、配線4,5の途中にキャパシタC1,C2が設けられていると、配線4,5に誘起された高周波電流はキャパシタC1,C2を介してグランドに流れる。このため、共振現象が抑制されて高周波電流が増加しないので、半導体IC2の誤動作を防止することができ、放射イミュニティを強くすることができる。
【0022】
このように、この実施の形態1の電子機器においては、半導体IC2と電子部品3との間を結ぶ配線4,5の長さについて特に規定なくても、配線4,5の途中にキャパシタC1,C2を接続することで放射イミュニティを強化することが可能になる。
【0023】
なお、上記の実施の形態1においては、電磁波ノイズの周波数が1GHzのときに配線4,5の両端間の長さをL0=115mmとしたので、配線4,5の途中の1箇所にキャパシタC1,C2を接続しているが、たとえば、配線4,5の両端間の長さL0が想定される高周波の電磁波ノイズの1/2波長以上の長さ、つまりL0=150mm以上の長さがある場合には、各配線4,5の長さ方向に対して75mm未満となる複数箇所にキャパシタをそれぞれ接続することになる。
【0024】
また、上記の実施の形態1では、単一のプリント配線基板1上に半導体IC2と電子部品3とが共に実装されているが、本発明はこれに限らず、たとえば図2に示すように、半導体IC2と電子部品3とがそれぞれのプリント配線基板1a,1bに個別に実装されていて、両者2,3がケーブル4,5を介して互いに接続されている場合についても、ケーブル4,5の途中にキャパシタC1,C2を設けることにより同様な効果が得られる。
【0025】
さらに、図3に示すように、電子部品3がプリント配線基板に搭載されることなく単体で存在し、この電子部品3が半導体IC2とケーブル4,5で接続されている場合についても、ケーブル4,5の途中にキャパシタC1,C2を設けることにより同様な効果が得られる。
【0026】
図2および図3に示したように、プリント配線基板1からケーブル4,5がはみ出す場合には、キャパシタC1,C2は上記の接続位置の条件を満たしつつ、プリント配線基板1上に配置するようにすれば、キャパシタC1,C2の実装が容易になるため都合がよい。
【0027】
実施の形態2.
図4は本発明の実施の形態2における電子機器のノイズ防止構造の概略構成を示す斜視図であり、図1に示した実施の形態1と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【0028】
この実施の形態2において、電子機器は、単一のプリント配線基板1上に半導体IC2と電子部品3とが共に実装されるとともに、両者2,3間が一対の配線4,5を介して電気的に接続されている点は実施の形態1の場合と同様である。
【0029】
そして、この実施の形態2において、実施の形態1の場合と異なる点は、両配線4,5間の間隔が実施の形態1の場合よりも広くなっており、また、各配線4,5の電子部品3側または半導体IC2側の端部を起点として外部より到来する電磁波ノイズの波長の1/4波長未満にそれぞれ区切る位置(この例では電子部品3側の端部から長さL1の位置)に、両配線4,5間を結んでキャパシタC3が介在されていることである。
【0030】
この実施の形態2のように、両配線4,5間の間隔が広く、かつ配線4,5の両端間の長さが電磁波ノイズの1/4波長以上ある場合には、一方の配線4から半導体IC2を経て他方の配線5に至る経路において電磁波ノイズの1/2波長に相当する長さで共振を起こして高周波電流が誘起されることがある。これに対して、両配線4,5間にキャパシタC3を挿入した場合には、1/2波長および1/4波長での共振現象がいずれも抑制されるので、放射イミュニティを強くすることができる。
【0031】
なお、上記の実施の形態1,2において、プリント配線基板1の同一面上に配線4,5である信号ラインと共にグランドラインが同時にパターン形成されている場合には、多層配線基板のようにグランドパターンを大きく確保してインピーダンスを小さくすることが難しい。そこで、このような場合には、キャパシタC1,C2,C3は、電子部品3までの距離L1よりも半導体IC2までの距離L2が十分に短くなるように、半導体IC2に極力近接した位置に接続するのが好ましい。
【0032】
このようにすれば、キャパシタC1,C2,C3と半導体IC2のグランドピン間に存在する配線パターンのインピーダンスが小さくなるため、放射イミュニティを一層高める効果が得られる。
【0033】
実施の形態3.
図5は本発明の実施の形態3における漏電遮断器の構成を示す回路図である。この実施の形態3において、電子機器としての漏電遮断器10は、変圧器11と電動機12との間を結ぶ三相の電力系統の経路の途中に設けられた電子部品してのZCT(零相変流器)13、このZCT13の検出出力に基づいて地絡発生の有無を検出する漏電検出部14、この漏電検出部14の検出動作に応じて変圧器11と電動機12との間に設けられたブレーカ15を動作させる電磁コイル16を備えている。
【0034】
上記の漏電検出部14は、プリント配線基板上17に半導体ICとしての漏電判別回路18が設けられており、この漏電判別回路18と上記のZCT13との間が一対の配線21,22を介して電気的に接続されている。なお、各配線21,22は、ZCT13の二次巻線に接続された導電用のケーブルおよび基板17上に形成された導体パターンの双方を含んでいる。
【0035】
また、この実施の形態3において、各配線21,22の両端間の長さL4は、想定される外部から到来する高周波の電磁波ノイズの波長の1/4波長以上の長さを有している。そのため、各配線21,22に対して、ZCT13側または漏電判別回路18側の端部を起点として電磁波ノイズの1/4波長未満にそれぞれ区切る位置(この例ではZCT13と基板17との間のケーブル部分のZCT13側から長さL5の位置)にそれぞれキャパシタC5,C6の一端が接続され、これらの各キャパシタC5,C6の他端は図示しないリード線を介してプリント配線基板17のグランドに接続されている。
【0036】
たとえば、電磁波ノイズの周波数が1GHz(1/4波長が75mm)の場合を想定すると、配線21,22の両端間の長さL4が115mmである場合、L5,L6が共に75mm未満となる位置(たとえばL5=65mm,L6=50mmの位置)にキャパシタC5,C6が接続される。
【0037】
上記構成の漏電遮断器10において、変圧器11と電動機12との間を結ぶ三相の電力系統の経路に地絡が生じると、三相電流が不平衡になり、ZCT13の鉄心に磁束が発生し、二次巻線に電圧が誘起される。この電圧変化が漏電検出部14の漏電判別回路18において予め設定された基準値と比較され、基準値よりも電圧変化が大きい場合には、漏電判別回路18は地絡が発生したものと判断して電磁コイル16に電流を流すため、ブレーカ15が作動して電力供給経路を遮断する。
【0038】
ここで、漏電遮断器10に対して外来の電磁波ノイズがあると、上記の配線21,22がアンテナとして作用して配線21,22に高周波電流が誘起される。そのとき、配線21,22の途中にキャパシタC5,C6が設けられていない場合には、配線21,22が1/4波長となる周波数で共振する。このため配線21,22のインピーダンスが小さくなって高周波電流が増加し、これが配線21,22を介して漏電判別回路18に伝搬し、漏電判別回路18に誤動作が生じる。すなわち、実際には地絡が生じていないにもかかわらずブレーカ15が作動したり、実際には地絡が生じているのにブレーカ15が作動しなかったりする。
【0039】
これに対して、配線21,22の途中にキャパシタC5,C6を設けた場合には、配線21,22に誘起された高周波電流はキャパシタC5,C6を介してグランドに流れるため、高周波的にみればキャパシタC5,C6を中心に配線21,22がL5とL6の長さに2分割されたようになる。そして、L5,L6の長さがいずれも外来の電磁波ノイズの1/4波長未満になるように設定しておけば、共振現象が抑制されて高周波電流が増加しないので、漏電判別回路18の誤動作を防止することができ、放射イミュニティが強化される。
【0040】
このように、この実施の形態3の漏電遮断器10においては、ZCT13と漏電判別回路18間を結ぶ配線21,22の長さについて特に規定しなくても、配線21,22の途中にキャパシタC5,C6を接続することで、放射イミュニティを強化することが可能になる。
【0041】
なお、上記の実施の形態3では、ZCT13と基板17との間のケーブル部分にキャパシタC5,C6を接続したが、図6に示すように、配線21,22を電磁波ノイズの1/4波長未満にそれぞれ区切る条件を満たす限りは、漏電判別回路18にできるだけ近接したプリント配線基板17上の導体パターンにキャパシタC5,C6を接続するのが一層好ましい。たとえば、L4=115mmの場合、ZCT13側の端部からL7=73mm、したがって漏電判別回路18側の端部からL8=42mm離れた基板17上の導体パターンにキャパシタC5,C6を接続する。
【0042】
このように、基板17上にキャパシタC5,C6を接続する場合には、キャパシタC5,C6の実装が容易になるだけでなく、キャパシタC5,C6をグランドに接続するためのリード端子の長さを短くでき、その結果、キャパシタC5,C6とグランド間のインピーダンスが低くなるので、電磁波ノイズによって誘起される高周波電流が漏電判別回路18側に一層流れにくくなり、半導体ICの誤動作をさらに確実に防止することができる。
【0043】
実施の形態4.
図7は本発明の実施の形態4における漏電遮断器の構成を示す回路図であり、図5に示した実施の形態3と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【0044】
この実施の形態4におけ漏電遮断器は、ZCT13と漏電判別回路18との間が一対の配線21,22を介して電気的に接続されている点は実施の形態3の場合と同様である。
【0045】
この実施の形態4において、実施の形態3の場合と異なる点は、一対の配線21,22間の間隔が実施の形態3の場合よりも広くなっており、また、両配線21,22の電子部品3側または半導体IC2側の端部を起点として外部から到来する電磁波ノイズの波長の1/4波長未満にそれぞれ区切る位置(この例では電子部品3側の端部から長さL5の位置)において、両配線21,22間を結んでキャパシタC7が介在されていることである。
【0046】
この実施の形態4のように、両配線21,22間の間隔が広く、かつ各配線21,22の両端間の長さが電磁波ノイズの1/4波長以上ある場合には、一方の配線21から漏電判別回路18を経て他方の配線22に至る経路において電磁波ノイズの1/2波長に相当する長さで共振を起こして高周波電流が誘起されることがある。これに対して、両配線21,22間にキャパシタC7を挿入した場合には、1/2波長および1/4波長での共振現象がいずれも抑制されるので、漏電判別回路18の誤動作を防止することができ、放射イミュニティが強化される。
【0047】
実施の形態5.
図8は本発明の実施の形態5における漏電遮断器の構成を示す回路図であり、図5に示した実施の形態3と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【0048】
この実施の形態5の漏電遮断器は、ZCT13と漏電判別回路18とを結ぶ配線21,22の途中に感度切換装置23が並列に接続されている。この感度切換装置23は、何mAで地絡電流でブレーカ15を作動させるかを決める、いわゆる定格感度電流を切り換えるためのものであって、スイッチと抵抗とから構成されている。
【0049】
ここで、ZCT13と漏電判別回路18との間を接続する一対の配線21,22の両端間の長さL9は、外部から到来する電磁波ノイズの波長の1/4波長未満(ここでは75mm未満)とする。そのため、配線21,22の途中にはキャパシタが設けられていない。
【0050】
一方、この感度切換装置23と漏電判別回路18とを結ぶ各引出配線26,27は、その両端間の長さが電磁波ノイズの1/4波長以上であるので、その引出配線26,27を電磁波ノイズの1/4波長未満に区切る各位置にキャパシタC8,C9の一端が接続され、キャパシタC8,C9の他端はグランドに接続されている。
【0051】
このように、引出配線26,27の両端間の長さが電磁波ノイズの1/4波長以上ある場合にはその途中にキャパシタC8,C9を接続することにより、引出配線26,27に誘起される高周波電流が抑制されるので、漏電判別回路18の誤動作を防止することができ、放射イミュニティの強化を図ることが可能になる。
【0052】
なお、上記の実施の形態3〜5に示した漏電遮断器は、三相の電力系統に使用される場合について説明したが、単相に使用するものについても同様に適用することが可能である。
【0053】
上記の実施の形態1〜5について、次のような変形例や応用例を考えることができる。
(1) 上記の各実施の形態1〜5では、規格の試験周波数を1GHz以下であることを前提にしているため、想定される電磁波ノイズの1/4波長を全て75mmとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、規格が変更されたり、あるいは異なる規格を適用する場合において、たとえば試験周波数が2GHzになった場合には、電磁波ノイズの1/4波長は37.5mmになるので、その場合には、これに合わせてキャパシタC1,C2の接続位置を適切に設定する必要がある。
【0054】
(2) また、上記の実施の形態1,3,5では、キャパシタC1,C2、C5,C6の他端をプリント配線基板のグランド側に接続した場合について説明したが、キャパシタC1,C2、C5,C6の他端をプリント配線基板の電源側に接続した場合にも同様な効果が得られる。
【0055】
(3) 上記の各実施の形態1〜5において、電磁波ノイズの周波数によっては、キャパシタの容量だけでなく、これに付随するインダクタンス成分がキャパシタのインピーダンスに影響を与えるので、キャパシタとしては、リード端子が長くてインダクタンス成分の大きいリード付コンデンサを使用するよりも、リード端子がなくてインダクタンス成分の小さいチップ型コンデンサを使用することが好ましい。
【0056】
(4) 上記の各実施の形態1〜5では、電気機器に対する放射イミュニティの強化について述べたが、本発明は、プリント配線基板上に実装された半導体ICがノイズ源となり、放射エミッションが問題となる場合についても有効である。
【0057】
(5) さらに、本発明は、上記の実施の形態1〜5で説明した構成のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更して実施することができる。たとえば、自動車の電装品の内、エンジンを制御するECU(エンジンコントロールユニット)は、ケーブルを介して回転センサやエアフローセンサが接続されており、これらのセンサをZCT13、ECUを漏電判別回路18と見なせば同様の効果が得られる。
【0058】
【発明の効果】
本発明に係る電気機器のノイズ防止構造によれば、次の効果が得られる。
(1) 請求項1記載に係る発明では、プリント配線基板上に実装された半導体ICと電子部品との間を接続する配線の両端間の長さが外部から到来する電磁波ノイズの波長の1/4波長以上である場合には、電子部品側または半導体IC側の端部を起点として電磁波ノイズの1/4波長未満にそれぞれ区切る位置にキャパシタを接続しているので、配線に生じる共振現象が抑制される。そのため、放射イミュニティを強化することが可能になる。しかも、半導体ICと電子部品との間を結ぶ配線の長さについて特に規定する必要がないので、配線レイアウトの変更が不要である。
【0059】
(2) 請求項2記載の発明に係る電子機器は、プリント配線基板上に実装された半導体ICと電子部品との間を接続する一対の配線の両端間の長さが外部より到来する電磁波ノイズの波長の1/4波長以上である場合には、電子部品側または半導体IC側の端部を起点として電磁波ノイズの1/4波長未満にそれぞれ区切る位置において、両配線間を結んでキャパシタが介在されているので、両配線間の間隔が広い場合でも、請求項1記載の発明の場合と同様に、配線に生じる共振現象が抑制される。そのため、放射イミュニティを強化することが可能になる。しかも、半導体ICと電子部品との間を結ぶ配線の長さについて特に規定する必要がないので、配線レイアウトの変更が不要である。
【0060】
(3) 請求項3記載の発明に係る電子機器は、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、配線がプリント配線基板の同一面上に形成された信号ラインとグランドラインとを含む場合、キャパシタを半導体ICに近接した位置に接続しているので、キャパシタと半導体IC間に存在する配線部分のインピーダンスを小さくすることができる。そのため、このような場合にも放射イミュニティを強くすることができる。
【0061】
(4) 請求項4記載の発明では、電子機器が漏電遮断器である場合において、ZCTで検出された漏電を検出する漏電判別回路が外来の電磁波ノイズに起因して誤動作するのを確実に防止することができ、放射イミュニティの強化が図れる。そのため、漏電遮断器の信頼性を高めることができる。
【0062】
(5) 請求項5記載の発明の漏電遮断器は、請求項4記載の発明の効果に加えて、この感度切換装置と漏電判別回路とを結ぶ引出配線の両端間の長さが電磁波ノイズの1/4波長以上である場合には、その引出配線に対して電磁波ノイズの1/4波長未満に区切る位置にキャパシタを接続しているので、感度切換装置を設けた場合にも外来の電磁波ノイズに起因した漏電判別回路の誤動作を防止することができ、放射イミュニティの強化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る電子機器のノイズ防止構造の概略構成を示す斜視図である。
【図2】 実施の形態1に示した電子機器のノイズ防止構造の変形例を示す斜視図である。
【図3】 実施の形態1に示した電子機器のノイズ防止構造のさらに他の変形例を示す斜視図である。
【図4】 本発明の実施の形態2に係る電子機器のノイズ防止構造の概略構成を示す斜視図である。
【図5】 本発明の実施の形態3における漏電遮断器の構成を示す回路図である。
【図6】 実施の形態3に示した漏電遮断器の変形例を示す回路図である。
【図7】 本発明の実施の形態4における漏電遮断器の構成を示す回路図である。
【図8】 本発明の実施の形態5における漏電遮断器の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1,1a,1b プリント配線基板、2 半導体IC、3 電子部品、4,5配線、C1,C2,C3 キャパシタ、10 漏電遮断器、13 ZCT(電子部品)、17 プリント配線基板、18 漏電判別回路(半導体IC)、21,22 配線、C5,C6,C7 キャパシタ、23 感度切換装置、26,27 引出配線、C8,C9 キャパシタ。
Claims (5)
- プリント配線基板上に実装された半導体ICと、この半導体ICの入力インピーダンスよりもプリント配線基板上のグランドに対してインピーダンスの高い電子部品との間が配線を介して電気的に接続されており、上記配線の両端間の長さが外部から到来する電磁波ノイズの波長の1/4波長以上になる電子機器において、上記配線に対して電子部品側または半導体IC側の端部を起点として電磁波ノイズの1/4波長未満にそれぞれ区切る位置にキャパシタの一端が接続され、このキャパシタの他端はグランド側または電源側に接続されていることを特徴とする電子機器のノイズ防止構造。
- プリント配線基板上に実装された半導体ICと、この半導体ICの入力インピーダンスよりもプリント配線基板上のグランドに対してインピーダンスの高い電子部品との間が一対の配線を介して電気的に接続されており、上記各配線の両端間の長さが外部から到来する電磁波ノイズの波長の1/4波長以上になる電子機器において、上記電子部品側または半導体IC側の端部を起点として電磁波ノイズの1/4波長未満に区切る各位置において上記一対の配線間を結んでキャパシタが介在されていることを特徴とする電子機器のノイズ防止構造。
- 上記配線がプリント配線基板の同一面上に形成された信号ラインとグランドラインとからなる構造において、上記キャパシタは、電子部品までの距離よりも半導体ICまでの距離が十分に短くなるように、半導体ICに近接した位置に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器のノイズ防止構造。
- 上記電子部品はZCTであり、上記半導体ICは上記ZCTの検出出力に基づいて漏電の有無を判別する漏電判別回路であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電子機器のノイズ防止構造。
- 上記ZCTと漏電判別回路とを結ぶ配線の途中には感度切換装置が並列に接続され、この感度切換装置と上記漏電判別回路とを結ぶ引出配線の両端間の長さが外部から到来する電磁波ノイズの波長の1/4波長以上である構造において、その引出配線に対して上記電磁波ノイズの1/4波長未満に区切る位置にキャパシタの一端が接続され、キャパシタの他端はグランド側または電源側に接続されていることを特徴とする請求項4記載の電子機器のノイズ防止構造。
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