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JP3872529B2 - 液晶ディスプレイ用カラーフィルタおよびその製造方法 - Google Patents

液晶ディスプレイ用カラーフィルタおよびその製造方法 Download PDF

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JP3872529B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶ディスプレイ用カラーフィルタおよびその製造方法に係り、特に、着色層(マイクロカラーフィルタ。以下同じ。)の他に液晶駆動用透明電極をも備えた液晶ディスプレイ用カラーフィルタおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー液晶ディスプレイでは、液晶の光学的性質、光学部品、あるいは外部光源等を利用してカラー表示を行っており、カラー表示を行うための光学部品の一つとしてカラーフィルタが利用されている。
このカラーフィルタは、液晶パネル形成用の基板としても利用する電気絶縁性透明基板上に直接、または液晶駆動用透明電極を介して複数種の着色層を所定のパターンに配置したものであり、電気絶縁性透明基板上に直接着色層を配置した場合には、当該着色層上に液晶駆動用透明電極が設けられる。本明細書では、前記の電気絶縁性透明基板と、前記の着色層(マイクロカラーフィルタ)と、前記の液晶駆動用透明電極とを少なくとも備えているものを液晶ディスプレイ用カラーフィルタという。
【0003】
液晶駆動用透明電極としては、従来よりITO膜が多用されている。その理由は、ITO膜は透明性や導電性が高いからである。また、本願出願人は、液晶駆動用透明電極としてITO膜を用いた液晶ディスプレイ用カラーフィルタよりも製造過程で液晶駆動用透明電極にクラックや剥離が生じにくく、かつ製造後においても経時的に液晶駆動用透明電極にクラックや剥離が生じることが起きにくい液晶ディスプレイ用カラーフィルタとして、液晶駆動用透明電極に特定の非晶質酸化物膜、すなわち、主要カチオン元素としてインジウム元素および亜鉛元素を含有する非晶質酸化物膜を用いたものを既に提案している(特開平7−120612号公報参照。)。
【0004】
液晶駆動用透明電極は、前述したように電気絶縁性透明基板上または着色層上に設けられるわけであるが、当該液晶駆動用透明電極を着色層上に設ける場合、着色層と液晶駆動用透明電極との間には、透明保護層を介在させることが多い。この透明保護層は、液晶駆動用透明電極の平坦性の向上や、着色層および液晶の保護を目的として設けられるものである。着色層および液晶の保護とは、具体的には、次のものである。
【0005】
すなわち、液晶駆動用透明電極を着色層上に設けた場合、この液晶駆動用透明電極上には最終的に樹脂製の配向膜が設けられることが多く、当該配向膜の基となる樹脂層を形成するにあたっては塗布法、スピンコート法等の方法が適用される。そして、樹脂層を塗布法,スピンコート法等の方法によって形成する際に使用するコーティング液の溶剤が上記の着色層に浸透すると、マイクロカラーフィルタとしての着色層の機能に重大な欠陥を与える。また、上記の着色層の成分が液晶駆動用透明電極を透過して液晶層に浸出すると、液晶や電気回路に悪影響を及ぼす。上記の「着色層および液晶層の保護」とは、上述した溶剤の浸透を防止して着色層の機能に重大な欠陥が生じないようにすること、および、上述した着色層の成分の浸出を防止して液晶や電気回路に悪影響が生じないにようにすることを意味する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、液晶ディスプレイ用カラーフィルタの量産化に伴って、可能な限りその製造工程を簡略化しようとする動きがあり、上述した透明保護層を必要としない液晶ディスプレイ用カラーフィルタの出現が強く望まれている。
【0007】
本発明の目的は、透明保護層を必要としない液晶ディスプレイ用カラーフィルタおよびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
透明保護層を必要としない液晶ディスプレイ用カラーフィルタを得るためには、着色層上に溶剤遮断性、すなわち、配向膜の基となる樹脂層を塗布法,スピンコート法等の方法によって形成する際に使用するコーティング液の溶剤として用いられるNMP(N−メチルピロリドン)等の溶剤を透過させない能力を有している液晶駆動用透明電極を設ければよく、そのためには、粒界を有している結晶性物質によって液晶駆動用透明電極を形成するよりも粒界を実質的に有していない非晶質物質によって液晶駆動用透明電極を形成することが望ましい。
本願発明者らは鋭意研究を重ねた結果、非晶質物質膜であれば必ず上記の溶剤遮断性を有しているというものではなく、特定のIn−Zn系非晶質酸化物膜が上述した溶剤遮断性を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
上記の目的を達成する本発明の液晶ディスプレイ用カラーフィルタは、電気絶縁性透明基板と、この電気絶縁性透明基板の上に所定のパターンで配置された複数種の着色層と、これらの着色層を平面視上覆うようにして該着色層上に設けられた液晶駆動用透明電極とを少なくとも備え、前記液晶駆動用透明電極が主要カチオン元素としてインジウム元素および亜鉛元素をインジウム元素と亜鉛元素の原子比In/(In+Zn)が0.8以上0.9未満となるように含有する非晶質酸化物膜からなり、該液晶駆動用透明電極の表面の凹凸が10nm以内であり、液晶駆動用透明電極が、20℃における粘度が1.0cP以上の溶剤に対して遮断性を有し、かつ、前記着色層と前記液晶駆動用透明電極との間に透明保護層を有さないことを特徴とするものである。
【0010】
また、上記の目的を達成する本発明の液晶ディスプレイ用カラーフィルタの製造方法は、電気絶縁性透明基板の片面に所定のパターンで複数種の着色層を形成する工程と、酸化インジウムと酸化亜鉛とを含有する組成物からなる焼結体ターゲットを用いたスパッタリング法により、主要カチオン元素としてインジウム元素および亜鉛元素をインジウム元素と亜鉛元素の原子比In/(In+Zn)が0.8以上0.9未満となるように含有し、表面の凹凸が10nm以内である非晶質酸化物膜からなり、20℃における粘度が1.0cP以上の溶剤に対して遮断性を有する液晶駆動用透明電極を前記着色層上に該着色層を平面視上覆うようにして形成する工程とを含み、かつ、前記着色層と前記液晶駆動用透明電極との間に透明保護層を形成する工程を含まないことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明の液晶ディスプレイ用カラーフィルタについて説明すると、このカラーフィルターは、前述したように、電気絶縁性透明基板と、この電気絶縁性透明基板の上に所定のパターンで配置された複数種の着色層と、これらの着色層を平面視上覆うようにして当該着色層上に上に設けられた液晶駆動用透明電極とを少なくとも備えている。
【0012】
このようなフィルタ構成自体は従来のものと同様であり、電気絶縁性透明基板としては液晶ディスプレイ用カラーフィルタの基板としての利用が従来より図られている種々の材質の基板を用いることができる。電気絶縁性透明基板の具体例としては、青板ガラス,白板ガラス,無アルカリガラス,石英ガラス,ホウ硅酸ガラス等の各種電気絶縁性透明ガラスや、ポリカーボネート,ポリエーテルスルホン,ポリエチレンテレフタレート,ポリアリレート,非晶質ポリオレフィン,アクリル樹脂,ポリエーテル等の各種電気絶縁性ポリマー、あるいは、前述の電気絶縁性透明ガラス等に前述の電気絶縁性透明ポリマーをコーティングしたもの等が挙げられる。電気絶縁性透明基板は、従来と同様に必ずしも板状である必要性はなく、シート状やフィルム状であってもよい。
【0013】
着色層(マイクロカラーフィルタ)としては、従来と同様に、目的とする液晶ディスプレイ用カラーフィルタがマルチカラー表示用のものであるかフルカラー表示用のものであるか等に応じて、また、目的とする液晶ディスプレイ用カラーフィルタがどのような種類のバックライトを装備した液晶ディスプレイに使用されるのか等に応じて、分光透過率が異なる複数種の着色層が適宜組合わされて用いられる。これら複数種の着色層の各々の材料は、目的とする着色層の分光透過率特性に応じて適宜選択される他、着色層の形成方法等に応じても適宜選択される。
【0014】
着色層の形成方法は特に限定されるものではなく、目的とする液晶ディスプレイ用カラーフィルタに要求される精度等に応じて、染色法,印刷法,分散法,電着法,ミセル電解法等、従来より利用されている種々の方法の中から適宜選択される。染色法により着色層を形成する場合、その材料としては、例えば、ゼラチン,カゼイン,ポリビニルアルコール,ポリアクリルアミド等に感光剤を添加したものと酸性染料または反応性染料が用いられ、印刷法により着色層を形成する場合には、例えば、プレポリマーに顔料および分散助剤を添加したものやインクが用いられる。また、分散法により着色層を形成する場合には、例えば、透明感光性樹脂または透明樹脂に染料,有機顔料,無機顔料等の着色剤を分散させたカラーレジン液が用いられ、電着法により着色層を形成する場合には、例えば、顔料等の着色剤とポリマーとを所望の溶媒に分散させて得た電着液が用いられる。そして、ミセル電解法により着色層を形成する場合には、例えば、所望の電気伝導度を有する水性媒体にミセル化剤と疎水性色素とを分散させたものが用いられる。なお、電着法およびミセル電解法により着色層を形成する場合には電着または電解を行うための透明電極が必要であり、これらの方法では、着色層は前記透明電極の表面に形成される。
【0015】
着色層の配置パターンは特に限定されるものではなく、従来と同様に、目的とする液晶ディスプレイ用カラーフィルタをどのようなサイズあるいは性能の液晶ディスプレイに利用するのか等に応じて、ストライプ型,モザイク型,トライアングル型等に適宜配置される。
【0016】
本発明の液晶ディスプレイ用カラーフィルタでは、上述した複数種の着色層を平面視上覆うようにして、当該着色層上に液晶駆動用透明電極が設けられている。この液晶駆動用透明電極は、主要カチオン元素としてインジウム元素および亜鉛元素を含有する非晶質酸化物膜からなり、その表面の凹凸は10nm以内である。
【0017】
ここで、本発明でいう「表面の凹凸」とは、触針式の表面粗さ計で液晶駆動用透明電極表面の任意の位置を20mgの荷重下に1mmに亘って掃引して最大凸部と最大凹部との高低の差を求めるという操作を計5回繰り返すことによって得たデータから算出した、最大凸部と最大凹部との高低の差の平均値を意味する。また、本発明において上記の非晶質酸化物膜からなる液晶駆動用透明電極の表面の凹凸を10nm以内に限定する理由は、当該液晶駆動用透明電極の表面の凹凸が10nmを超えると前述した溶剤遮断性が得られなくなり、着色層および液晶層の保護を図るためには従来と同様に透明保護膜を設ける必要性が生じるからである。前記表面の凹凸は小さければ小さいほど好ましい。
【0018】
上記の非晶質酸化物膜からなる液晶駆動用透明電極の表面の凹凸を10nm以内にすることにより、配向膜の基となる樹脂層を塗布法,スピンコート法等の方法によって形成する際に使用するコーティング液の溶剤として用いられるNMP(N−メチルピロリドン)等の溶剤を透過させない能力を有している液晶駆動用透明電極を得ることが可能になる。その理由は、上記の非晶質酸化物膜の表面の平滑性を当該表面の凹凸が10nm以内になるまで高めることによって、前記の溶剤が接触した場合の接触面積が当該溶剤の浸透を防ぐことが可能な程度まで小さくなるからであると推察される。
【0019】
この液晶駆動用透明電極は、前記の溶剤の他、液晶セル組み工程前に行われる受入れ洗浄で用いられる純水や精密洗浄用溶剤として用いられるIPA(イソプロピルアルコール)等、20℃における粘度が1.0cP以上の液体を透過させない能力を有している。以下、本発明の液晶ディスプレイ用カラーフィルタについて「溶剤遮断性」というときは、「20℃における粘度が1.0cP以上の液体を透過させない能力」についていうものとする。
【0020】
なお、n−ヘキサンのように20℃における粘度が1.0cP未満の液体は、上記の非晶質酸化物膜からなる液晶駆動用透明電極の表面の凹凸を10nm以内にしても当該液晶駆動用透明電極を透過してしまうことがある。しかしながら、液晶セルの組み立て工程においては、前記の粘度が1.0cP未満である液体を液晶駆動用透明電極に接触させる必要はない。
【0021】
上記の非晶質酸化物膜としては、インジウム元素と亜鉛元素との原子比In/(In+Zn)が0.8以上0.9未満であるものが好ましい。前記の原子比が0.8未満になると導電性が低下し、液晶駆動用透明電極として所望の面抵抗を有すものを得るためにはその膜厚を厚くしなければならず、その結果として光透過性が低下する。一方、前記の原子比が0.9以上になると結晶質になり易くなり、結晶質となった場合には結晶粒界を通じて溶剤が当該結晶質膜を透過するようになる。
【0022】
上記の非晶質酸化物膜は、インジウム元素および亜鉛元素以外のカチオン元素として、正三価以上の原子価を有する第3の元素を1種以上含んでいてもよい。この第3の元素の種類は正三価以上の原子価を有するものであれば特に限定されないが、例えば錫,アルミニウム,アンチモン,ガリウム,ゲルマニウム,チタンが挙げられる。第3の元素を含有させることにより、非晶質酸化物膜の導電性を向上させることができるが、カチオン元素の総量に占める第3の元素の合量の割合が20at%を超えると導電性が低下し易くなる。このため、第3の元素の合量の割合はカチオン元素の総量に対して20at%以下とすることが好ましい。
【0023】
上記の非晶質酸化物膜からなる液晶駆動用透明電極の比抵抗は低ければ低いほどよく、少なくとも2.0×10-4Ω・cm以下であることが好ましい。上記の非晶質酸化物膜におけるインジウム元素と亜鉛元素との原子比In/(In+Zn)が0.8以上0.9未満である場合、比抵抗が2.0×10-4Ω・cm以下の液晶駆動用透明電極を得るためには、その膜厚を概ね30オングストローム〜1μmとすればよい。当該液晶駆動用透明電極の膜厚の好ましい値は200〜3000オングストロームであり、300〜800オングストロームが特に好ましい。比抵抗が2.0×10-4Ω・cmを超えると、前述したように、液晶駆動用透明電極として所望の面抵抗を有すものを得るためにはその膜厚を厚くする必要が生じ、その結果として光透過性が低下する。
【0024】
上述の非晶質酸化物膜からなる液晶駆動用透明電極は、前述したように、着色層を平面視上覆うようにして設けられている。そして、この液晶駆動用透明電極は溶剤遮断性を有している。したがって、本発明の液晶ディスプレイ用カラーフィルタにおいては着色層と液晶駆動用透明電極との間に透明保護層を設ける必要性が無く、その結果として、工程の簡略化とコスト削減を図ることが可能になる。当該液晶ディスプレイ用カラーフィルタは、液晶駆動用透明電極として共通電極(全面電極)を有するタイプの液晶ディスプレイ用カラーフィルタ、例えば薄膜トランジスタ方式等の電界効果トランジスタ駆動方式の液晶ディスプレイ等に使用される液晶ディスプレイ用カラーフィルタとして好適である。
【0025】
次に、本発明の液晶ディスプレイ用カラーフィルタの製造方法について説明する。
本発明の液晶ディスプレイ用カラーフィルタの製造方法は、前述したように、電気絶縁性透明基板の片面に所定のパターンで複数種の着色層を形成する工程と、酸化インジウムと酸化亜鉛とを含有する組成物からなる焼結体ターゲットを用いたスパッタリング法により、主要カチオン元素としてインジウム元素および亜鉛元素を含有し、表面の凹凸が10nm以内である非晶質酸化物膜からなる液晶駆動用透明電極を前記着色層上に該着色層を平面視上覆うようにして形成する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0026】
着色層を形成する方法は特に限定されるものではなく、前述したように、染色法,印刷法,分散法,電着法,ミセル電解法等、従来より利用されている種々の方法の中から適宜選択される。
【0027】
主要カチオン元素としてインジウム元素および亜鉛元素を含有する非晶質酸化物膜は、種々の方法により形成することが可能である。しかしながら、当該非晶質酸化物膜の表面の凹凸を10nm以内にするためには、酸化インジウムと酸化亜鉛とを含有する組成物からなる焼結体ターゲットを用いたスパッタリング法を適用することが好ましい。当該スパッタリング法によれば、表面の凹凸が10nm以内である非晶質酸化物膜を形成することが可能であるとともに、緻密性に優れ、かつ、着色層との密着性に優れた非晶質酸化物膜を形成することが可能である。
【0028】
上記の非晶質酸化物膜は液晶ディスプレイ用カラーフィルタにおける液晶駆動用透明電極であるので、実用上十分な導電性を有する液晶駆動用透明電極を得るうえからは、前述しように、上記の非晶質酸化物膜におけるインジウム元素と亜鉛元素の原子比In/(In+Zn)は0.8以上0.9未満であることが好ましい。そして、このような非晶質酸化物膜をスパッタリング法により形成する場合、スパッタリング法によって得られる非晶質酸化物膜における前記の原子比と焼結体ターゲットにおける前記の原子比との間に若干のずれが生じることから、上記の焼結体ターゲットにおけるインジウム元素と亜鉛元素の原子比In/(In+Zn)は0.82以上0.92未満であることが好ましい。この値は、実験的、経験的に得られたものである。
【0029】
本発明の方法で用いる焼結体ターゲットは、酸化インジウムと酸化亜鉛とを含有する組成物からなるわけであるが、この焼結体ターゲットとしては、In23(ZnO)m (m=2〜20。好ましくはm=2〜8。さらに好ましくはm=2〜6。)で表される六方晶層状化合物を含有するものが好ましい。当該焼結体ターゲットは、前記の六方晶層状化合物のみから実質的になっていていもよし、この六方晶層状化合物の他に酸化インジウムまたは酸化亜鉛を含有していてもよい。これらの酸化物の純度はできるだけ高いほうが好ましく、98%以上、特に99%以上が望ましい。また、この焼結体ターゲットには正三価以上の原子価を有する第3の元素またはその化合物が1種以上ドープされていてもよく、このような焼結体ターゲットを用いた場合には、より導電性の高い非晶質酸化物膜を得ることができる。ただし、最終的に得られる非晶質酸化物膜におけるドープ元素(前述した第3の元素)の割合がカチオン元素の総量に対して20at%を超えると、かえって導電性が低下し易くなるので、そのドープ量は、最終的に得られる非晶質酸化物膜におけるドープ元素の割合がカチオン元素の総量に対して20at%を超えないように調整する。ドープ元素の具体例としては、錫,アルミニウム,アンチモン,ガリウム,ゲルマニウム,チタンが挙げられる。
【0030】
上述した焼結体ターゲットは、例えば次のようにして得ることができる。まず、酸化インジウムまたは焼成により酸化インジウムとなる化合物(例えば塩化インジウム,硝酸インジウム,酢酸インジウム,水酸化インジウム,インジウムアルコキシド)と、酸化亜鉛または焼成により酸化亜鉛となる化合物(例えば塩化亜鉛,硝酸亜鉛,酢酸亜鉛,水酸化亜鉛,亜鉛アルコキシド)とを混合する。このとき、必要に応じて正三価以上の原子価を有する第3の元素(インジウムを除く。)からなる単体(気体を除く。)や前記第3の元素の塩等を添加してもよい。次に、得られた混合物を500〜1200℃で仮焼する。次いで、得られた仮焼物をボールミル,ロールミル,パールミル,ジェットミル等で粉砕して、粒子径が0.01〜1.0μmの範囲内でかつ粒径の揃った粉末を得る。なお、粉砕に先だって100〜800℃で還元処理を施してもよい。また、必要に応じて前記粉末の仮焼、粉砕を所望回数繰り返してもよい。この後、得られた粉末を所望形状に加圧成形し、成形物を800〜1700℃で焼結する。このとき、必要に応じてポリビニルアルコール,メチルセルロース,ポリワックス,オレイン酸等を焼結助剤として用いてもよい。このようにして焼結体を得ることにより、目的とする焼結体ターゲットが得られる。
【0031】
この焼結体ターゲットをスパッタリングターゲットとして用いてのスパッタリング法によって、表面の凹凸が10nm以内である上述の非晶質酸化物膜を形成するにあたっては、ターゲット印加電圧を200V未満としたDCまたはRFマグネトロンスパッタリング法等を適用することができるが、生産性や得られる膜の膜特性等の観点から、工業的には、ターゲット印加電圧を200V未満としたDCマグネトロンスパッタリング法が好ましい。
【0032】
DCマグネトロンスパッタリング法によって目的とする非晶質酸化物膜を形成する場合のスパッタ条件の一例を挙げるとすれば次のようになる。すなわち、スパッタリング雰囲気はアルゴンガス等の不活性ガス、または不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスとし、スパッタ時の雰囲気圧(真空度)は1×10-4〜5×10-2Torr程度、ターゲット印加電圧は前述のように200V未満とする。基板温度は、電気絶縁性透明基板や着色層が変色、変質、分解等を起こさないように適宜設定される。
【0033】
スパッタ時の真空度が1×10-4Torr未満ではプラズマの安定性が悪く、5×10-2Torrを超えると、得られる非晶質酸化物膜の着色層への付着性が悪くなる。また、ターゲット印加電圧を200V以上にすると非晶質酸化物膜がプラズマによるダメージを受け、電気伝導度および緻密性の低下をまねき易く、緻密性が低下した場合には、着色層および液晶の保護を図るために従来と同様に透明保護膜が必要になる。ターゲット印加電圧は180V未満であることが好ましく、150V未満であることが更に好ましい。
【0034】
なお、プラズマによる非晶質酸化物膜のダメージを防ぐためには、ターゲット印加電圧はできる限り低い方がよいが、ターゲット印加電圧を低くすることに伴って生産性が低下する。したがって、最適のターゲット印加電圧は、目的とする非晶質酸化物膜に要求される導電性,溶剤遮断性および生産性を総合的に考慮したうえで適宜選択される。また、ターゲット印加電圧を200V未満にして成膜を行うためには、焼結体ターゲットの中央部における平行磁場強度を400ガウス以上にすることが好ましく、特に500ガウス以上にすることが好ましい。焼結体ターゲットの中央部における平行磁場強度が400ガウス未満では、低電圧で安定した放電を行うことが困難であるため、200V未満のターゲット印加電圧で成膜,生産を行うことが実質的に不可能になる。
【0035】
上述のようにして形成される非晶質酸化物膜からなる液晶駆動用透明電極の膜厚は、当該非晶質酸化物膜におけるインジウム元素と亜鉛元素の原子比In/(In+Zn)が0.8以上0.9未満である場合には、本発明の液晶ディスプレイ用カラーフィルタの説明の中で述べたように、概ね30オングストローム〜1μmである。そして、非晶質酸化物膜におけるインジウム元素と亜鉛元素の原子比In/(In+Zn)が0.8以上0.9未満である場合、当該非晶質酸化物膜からなる液晶駆動用透明電極の膜厚の好ましい値は200〜3000オングストロームであり、300〜800オングストロームが特に好ましい。
【0036】
本発明の方法では、上述の非晶質酸化物膜からなる液晶駆動用透明電極を形成するにあたって、当該液晶駆動用透明電極が前述した着色層を平面視上覆うようにする。そして、上記の非晶質酸化物膜は、前述した溶剤遮断性を有している。したがって、本発明の方法においては、着色層および液晶の保護を図るために着色層と液晶駆動用透明電極との間に透明保護層を設ける必要性が無く、その結果として、工程の簡略化とコスト削減を図ることが可能になる。
【0037】
以上説明した方法によって得ることができる本発明の液晶ディスプレイ用カラーフィルタは、従来と同様に、漏れ光によるコントラストや色純度の低下を防止するために、1つの着色層と他の着色層との間等に、金属クロムや着色フォトレジスト等からなる遮光層を備えていてもよい。この遮光層は、カラーフィルタを装備したカラー液晶ディスプレイを平面視したときに当該遮光層が画素間に位置するように設けられ、その全体形状は一般にマトリックス状あるいはストライプ状を呈する。また、液晶駆動用透明電極上に配向膜を有していてもよい。
【0038】
本発明の液晶ディスプレイ用カラーフィルタを用いたカラー液晶パネルは、例えば、当該カラーフィルタの他に、所定形状の透明電極等を備えた電気絶縁性透明基板(以下、駆動用基板という)を用意し、互いに対向させて配置した前記カラーフィルタと前記駆動用基板との間に所望の液晶を封入することで得られる。このときのカラーフィルタと駆動用基板とは、それぞれ電気絶縁性透明基板が外側に位置するように配置され、これらの間には液晶の他にガラスビーズやポリマー粒子等からなるスペーサーが分散配置される。
【0039】
本発明の液晶ディスプレイ用カラーフィルタは、カラーフィルタを使用するタイプのカラー液晶ディスプレイであれば直視型、前面投射型、背面投射型のいずれのタイプのカラー液晶ディスプレイにも利用することができる。カラー液晶ディスプレイの具体例としては、コンピュータ用やワードプロセッサ用あるいは機器モニター用のカラー液晶ディスプレイ、液晶カラープロジェクター、液晶カラーテレビ、液晶カラーオーバーヘッドプロジェクター、カラー車搭載インストルメントパネル、カラーオーロラビジョン(商品名)のような大画面カラー液晶ディスプレイが挙げられる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1
(1)着色層の形成
電気絶縁性透明基板としてのガラス基板上に面抵抗20Ω/□のITO膜(厚さ120nm)を成膜したもの(ジオマテック社製。ガラス基板はコーニング社製の#7059。以下「ITO膜付ガラス基板」という。)を用意し、下記(a)〜(d)の要領で、当該ITO膜付ガラス基板の片面にミセル電解法によって着色層を形成した(以下、着色層まで形成したITO膜付ガラス基板を「着色層付ガラス基板」という。)。
【0041】
(a)フォトリソグラフィー法によるミセル電解用ITO電極の形成
上記のITO膜付ガラス基板を1000rpm の回転速度で回転させながら、当該ITO膜付ガラス基板のITO膜上に紫外線硬化型レジスト剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製のFH22130)をスピンコートする。スピンコート後、80℃で15分間プリベークを行う。その後、レジスト膜が形成されたITO膜付ガラス基板を露光機にセットする。マスクは、線幅100μm、ギャップ20μm、線長230mm、1920本のストライプ縦パターンとする。光源としては2kWの高圧水銀灯を用いる。プロキシミティギャップ70μmをとり、レジスト膜を120mJ/cm2 露光した後、現像液(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製のFHD−5)で現像して、前記レジスト膜を所定形状にパターニングする。現像後、純水でリンスし、リンス後に180℃でポストベークする。
【0042】
次に、エッチング液として1N FeCl3・6N HCl・0.1N HNO3・0.1N Ce(NO34 水溶液を準備し、所定形状にパターニングされた前記のレジスト膜をマスクとして用いて、前記のエッチング液によりITO膜を約20分間エッチングする。エッチングの終点は電気抵抗により測定する。エッチング終了後、純水でリンスし、リンス後に1NのNaOHでレジスト膜を剥離する。このようにして、ストライプ状のミセル電解用ITO電極をガラス基板上に形成する(以下、ミセル電解用ITO電極を備えたガラス基板を「ITOパターニングガラス基板」という。)。
【0043】
(b)遮光層の形成
遮光層形成用レジスト剤として、富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製のカラーモザイクCK、同CR、同CGおよび同CBを3:1:1:1の割合(重量比)で混合したものを用いる。
上記(a)の要領で作製したITOパターニングガラス基板を10rpm の回転速度で回転させ、このガラス基板の片面(ミセル電解用ITO電極を形成した側の面)上に前記の遮光層形成用レジスト剤30ccを噴霧する。次に、ITOパターニングガラス基板の回転速度を500rpm にして、当該ITOパターニングガラス基板の前記の片面上に前記の遮光層形成用レジスト剤を均一にスピンコートする。スピンコート後、80℃で15分間プリベークを行う。その後、アライメント機能のある露光機を用いて、所定の位置合せをしながら、所定のデザイン(90×310μm角−20μm線幅)のマスクを用いてレジスト膜を露光する。光源としては2kWの高圧水銀灯を用いる。プロキシミティギャップ70μmをとり、レジスト膜を100mJ/cm2 露光した後、現像液(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製の富士ハントCDを純水で4倍に希釈したもの)で30秒間現像して、前記のレジスト膜を所定形状にパターニングする。現像後、純水でリンスし、リンス後に200℃で100分間ポストベークする。このようにして、前記のレジスト膜からなる所定形状の遮光層(厚さ1.0μm)を得る(以下、遮光層まで形成したものを「遮光層付ガラス基板」という。)。
【0044】
(c)ミセル電解用の分散液の調製
赤色波長域の分光透過率が高い着色層(以下「R着色層」という。)形成用の分散液としては、クロモフタールレッドA2B(チバガイギー社製)の分散液(分散媒;純水)を用いる。
また、緑色波長域の分光透過率が高い着色層(以下「G着色層」という。)形成用の分散液は、ヘリオゲングリーンL9361(BASF社製)の分散液(分散媒;純水)とイルガジンエロ−2RLT(チバガイギー社製)の分散液(分散媒;純水)とをそれぞれ20℃に保ったまま70:30の割合(重量比)で混合し、さらに、混合液を超音波ホモジナイザーで30分間分散させることで調製する。
そして、青色波長域の分光透過率が高い着色層(以下「B着色層」という。)形成用の分散液は、ファストゲンブルーTGR(大日本インキ社製)の分散液(分散媒;純水)とファストゲンスーパーバイオレット2RN(大日本インキ社製)とをそれぞれ20℃に保ったまま80:20の割合(重量比)で混合することで調製する。
【0045】
(d)ミセル電解
まず、上記(a)および(b)の要領で作製した遮光層付ガラス基板を、上記(c)の要領で調製したR着色層形成用の分散液(液温20℃)に浸漬し、R着色層を形成しようとする箇所のミセル電解用ITO電極にポテンショスタットを接続する。そして、0.5Vvs.SCE、25分間の定電位電解を行ってR着色層を得る。電解後、純水でリンスし、リンス後に100℃で15分間ベークする。
次に、この基板を上記(c)の要領で調製したG着色層形成用の分散液(液温20℃)に浸漬し、G着色層を形成しようとする箇所のミセル電解用ITO電極にポテンショスタットを接続する。そして、0.5Vvs.SCE、20分間の定電位電解を行ってG着色層を得る。電解後、純水でリンスし、リンス後に100℃で15分間ベークする。
最後に、この基板を上記(c)の要領で調製したB着色層形成用の分散液(液温20℃)に浸漬し、B着色層を形成しようとする箇所のミセル電解用ITO電極にポテンショスタットを接続する。そして、0.5Vvs.SCE、15分間の定電位電解を行ってB着色層を得る。電解後、純水でリンスし、リンス後に100℃で15分間ベークする。
なお、R着色層、G着色層およびB着色層の最終的な厚さ(ミセル電解用ITO電極上の厚さ)は、0.9μmである。
【0046】
(2)液晶駆動用透明電極の形成
上記(1)で得た着色層付ガラス基板をDCマグネトロンスパッタ装置に装着し、真空槽内を1×10-6Torr以下まで減圧した後、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス(Ar:O2 =97:3(体積比))を真空槽内の圧力が3×10-3Torrになるまで導入した。そして、In23(ZnO)5 で表される六方晶層状化合物と酸化インジウム(In23)とからなる焼結体ターゲット(原子比In/(In+Zn)=0.85)を用いて、ターゲット印加電圧150V、ターゲット中央部における平行磁場強度500ガウス、基板温度200℃の条件で所定時間、スパッタリングを行った。このスパッタリングにより、主要カチオン元素としてインジウム元素および亜鉛元素を含有する非晶質酸化物膜からなる厚さ800オングストローム程度の液晶駆動用透明電極が着色層上に形成され、目的とする液晶ディスプレイ用カラーフィルタが得られた。なお、ターゲット中央部における平行磁場強度は、電磁石をターゲットの裏面に設置し、この電磁石へ流す電流を制御することにより調整した。
【0047】
図1に示すように、上記の液晶ディスプレイ用カラーフィルタ1は、ガラス基板からなる電気絶縁性透明基板2と、この電気絶縁性透明基板2の片面に所定間隔で交互に並列配置されたストライプ状のR着色層3R,G着色層3GおよびB着色層3Bと、これらのR着色層3R,G着色層3GおよびB着色層3Bの各々の幅方向(長手方向と直交する方向)の側方に各着色層と隣接するようにして形成された遮光層4と、R着色層3R,G着色層3GおよびB着色層3Bの各々ならびに全ての遮光層4を平面視上覆うようにしてこれらの層上に設けられた液晶駆動用透明電極5とを備えている。なお、R着色層3R,G着色層3GおよびB着色層3Bの各々は、電気絶縁性透明基板2の片面に所定間隔のストライプ状に形成されたミセル電解用ITO電極6上に形成されている。
【0048】
上記の液晶ディスプレイ用カラーフィルタ1の液晶駆動用透明電極5におけるインジウム元素と亜鉛元素の原子比In/(In+Zn)は、ICP分析(誘導プラズマ発光分光分析。使用機種はセイコー電子社製のSPS−1500VR。)の結果、0.83であった。また、この液晶駆動用透明電極5の面抵抗を三菱油化社製のロレスタFPにより測定したところ15Ω/□であり、この値と、スローン(SLOAN)社製のDEKTAK3030を用いて測定した液晶駆動用透明電極5の膜厚から求めた比抵抗は1.2×10- Ω・cmであった。そして、当該液晶駆動用透明電極5の表面の凹凸を前記のDEKTAK3030を用いて測定したところ、9nmであった。
【0049】
上記の液晶駆動用透明電極5について、NMP(20℃における粘度:1.65cP)、IPA(20℃における粘度:2.43cP)および純水(20℃における粘度:1.002cP)の透過性試験を行い、その溶剤遮断性を評価した。なお、透過性試験は、試験に使用する液体を液晶駆動用透明電極5上に ミリリットル滴下することによって行い、溶剤遮断性の評価は、試験に使用する液体の滴下から5分後に液晶駆動用透明電極5を目視観察し、その観察結果を基に行った。これらの結果を表1に示す。
【0050】
実施例2
液晶駆動用透明電極を形成する際のターゲット印加電圧を180Vとした以外は実施例1と同様にして、液晶ディスプレイ用カラーフィルタを得た。
この液晶ディスプレイ用カラーフィルタの液晶駆動用透明電極について、実施例1と同様の測定、評価を行った。これらの結果を表1に示す。
【0051】
実施例3
(1)フォトリソグラフィー法による遮光層(ブラック)の形成
電気絶縁性透明基板としてガラス基板(コーニング社製の#7059)を用意し、遮光層形成用レジスト剤として新日鉄化学(株)製の耐熱ネガ型ブラックレジストV−259BKを用いて、次のようにして遮光層を形成した。
先ず、上記のガラス基板を10rpm の回転速度で回転させ、この上に前記の遮光層形成用レジスト剤25ccを噴霧した。次に、ガラス基板の回転速度を1000rpm にして、このガラス基板上に前記の遮光層形成用レジスト剤を均一にスピンコートした。スピンコート後、80℃で6分間プリベークを行った。その後、アライメント機能のある露光機を用いて、所定の位置合せをしながら、所定のデザイン(90×310μm角−20μm線幅)のマスクを用いてレジスト膜を露光した。光源としては2kWの高圧水銀灯を用いた。プロキシミティギャップ70μmをとり、レジスト膜を500mJ/cm2 露光した後、現像液(新日鉄化学(株)製の専用現像液:V−259ID)で1分間現像して、前記のレジスト膜を所定形状にパターニングした。現像後、純水をスプレーしながらブラシによるスクラブリンスを行い、リンス後に200℃で60分間ポストベークした。このようにして、前記のレジスト膜からなる所定形状の遮光層(厚さ1.0μm)を得た(以下、遮光層を形成したガラス基板を「遮光層付ガラス基板」という。)。
【0052】
(2)着色層の形成
上記(1)で得た遮光層付ガラス基板の片面(遮光層を設けた側の面)に、下記(a)〜(c)の要領で、ストライプ状を呈する厚さ1.0μmの着色層を顔料分散法によって形成した(以下、着色層まで形成したガラス基板を「着色層付ガラス基板」という。)。
【0053】
(a)フォトリソグラフィー法によるR着色層の形成
R着色層(赤色波長域の分光透過率が高い着色層)形成用レジスト剤として、新日鉄化学(株)製の耐熱ネガ型カラーレジストV−259Rを用いる。
まず、上記の遮光層付ガラス基板を10rpm の回転速度で回転させ、この遮光層付ガラス基板の片面(遮光層を形成した側の面)上に前記のR着色層形成用レジスト剤25ccを噴霧する。次に、遮光層付ガラス基板の回転速度を700rpm にして、この遮光膜付ガラス基板上に前記のR着色層形成用レジスト剤を均一にスピンコートする。スピンコート後、80℃で6分間プリベークを行う。その後、アライメント機能のある露光機を用いて、所定の位置合せをしながら、所定のデザイン(90×310μm角−20μm線幅)のマスクを用いてレジスト膜を露光する。光源としては2kWの高圧水銀灯を用いる。プロキシミティギャップ70μmをとり、レジスト膜を500mJ/cm2 露光した後、現像液(新日鉄化学(株)製の専用現像液:V−259ID)で1分間現像して、前記のレジスト膜を所定形状にパターニングする。現像後、純水をスプレーしながらブラシによるスクラブリンスを行い、リンス後に200℃で60分間ポストベークする。このようにして、前記のレジスト膜からなる所定形状のR着色層を得る(以下、R着色層まで形成したものを「R着色層付ガラス基板」という。)。
【0054】
(b)フォトリソグラフィー法によるG着色層の形成
G着色層(緑色波長域の分光透過率が高い着色層)形成用レジスト剤として新日鉄化学(株)製の耐熱ネガ型カラーレジストV−259Gを用い、スピンコート時の回転速度を800rpm にする以外は上記(a)と同様にして、所定形状のG着色層を得る。
【0055】
(c)フォトリソグラフィー法によるB着色層の形成
B着色層(青色波長域の分光透過率が高い着色層)形成用レジスト剤として新日鉄化学(株)製の耐熱ネガ型カラーレジストV−259Bを用い、スピンコートの回転数を1000rpm にする以外は上記(b)と同様にして、所定形状のB着色層を得る。
【0056】
(3)液晶駆動用透明電極の形成
上記(2)で得た着色層付ガラス基板をDCマグネトロンスパッタ装置に装着し、実施例1と同様にして着色層上に液晶駆動用透明電極を形成して、目的とする液晶ディスプレイ用カラーフィルタを得た。
この液晶ディスプレイ用カラーフィルタの断面形状は、ミセル電解用ITO電極がない点を除いて、実施例1で得た液晶ディスプレイ用カラーフィルタと同様である。
上記の液晶ディスプレイ用カラーフィルタの液晶駆動用透明電極について、実施例1と同様の測定、評価を行った。これらの結果を表1に示す。
【0057】
実施例4
液晶駆動用透明電極を形成する際のターゲット印加電圧を180Vとした以外は実施例3と同様にして、液晶ディスプレイ用カラーフィルタを得た。
この液晶ディスプレイ用カラーフィルタの液晶駆動用透明電極について、実施例1と同様の測定、評価を行った。これらの結果を表1に示す。
【0058】
比較例1
液晶駆動用透明電極を形成するにあたり、ターゲットとしてITO(In23:SnO2 =95:5(重量比))を用いた以外は実施例1と同様にして、液晶ディスプレイ用カラーフィルタを得た。この液晶ディスプレイ用カラーフィルタにおける液晶駆動用透明電極は、本発明における限定範囲外の物質であるITOからなる。
上記の液晶ディスプレイ用カラーフィルタの液晶駆動用透明電極について、実施例1と同様の測定、評価を行った。これらの結果を表1に示す。
【0059】
比較例2
液晶駆動用透明電極を形成する際のターゲット印加電圧を400Vとした以外は実施例1と同様にして、液晶ディスプレイ用カラーフィルタを得た。この液晶ディスプレイ用カラーフィルタにおける液晶駆動用透明電極の表面の凹凸は23nmであり、本発明の限定範囲外であった。
上記の液晶ディスプレイ用カラーフィルタの液晶駆動用透明電極について、実施例1と同様の測定、評価を行った。これらの結果を表1に示す。
【0060】
比較例3
液晶駆動用透明電極を形成する際のターゲット印加電圧を300Vとし、かつ、ターゲット中央部の平行磁場強度を250ガウスとした以外は実施例1と同様にして、液晶ディスプレイ用カラーフィルタを得た。この液晶ディスプレイ用カラーフィルタにおける液晶駆動用透明電極の表面の凹凸は16nmであり、本発明の限定範囲外であった。
上記の液晶ディスプレイ用カラーフィルタの液晶駆動用透明電極について、実施例1と同様の測定、評価を行った。これらの結果を表1に示す。
【0061】
参考例1
実施例1で得た液晶ディスプレイ用カラーフィルタの液晶駆動用透明電極について、実施例1と同様にしてn−ヘキサン(20℃における粘度:0.31cP)の透過性試験を行い、その溶剤遮断性を評価した。この結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
Figure 0003872529
【0063】
表1から明らかなように、実施例1〜実施例4で得られた各液晶ディスプレイ用カラーフィルタでは、透過性試験によっても液晶駆動用透明電極にヒビ割れ、白濁は生じず、各々の液晶駆動用透明電極はNMP、IPAおよび純水に対して耐性を有している。この試験結果と参考例1の透過性試験の結果から、実施例1〜実施例4で得られた各々の液晶ディスプレイ用カラーフィルタにおける液晶駆動用透明電極は、溶剤遮断性を有している。したがって、これらの液晶ディスプレイ用カラーフィルタにおいては、透明保護層を設けずとも着色層および液晶の保護を図ることが可能である。
【0064】
一方、比較例1〜比較例3で得られた各液晶ディスプレイ用カラーフィルタでは、透過性試験によって液晶駆動用透明電極にヒビ割れ、白濁が生じた。このことから、各々の液晶ディスプレイ用カラーフィルタにおける液晶駆動用透明電極はNMP、IPAおよび純水に対して耐性を有していない。すなわち、溶剤遮断性を有していない。したがって、着色層および液晶の保護を図るためには着色層上に透明保護層を設ける必要がある。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液晶ディスプレイ用カラーフィルタは、透明保護層を有してないにも拘わらず着色層および液晶の保護を図ることが可能である。したがって、本発明によれば製造工程の簡略化とコストの低減を実現した液晶ディスプレイ用カラーフィルタの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得た液晶ディスプレイ用カラーフィルタの断面の概略図である。
【符号の説明】
1 液晶ディスプレイ用カラーフィルタ
2 電気絶縁性透明基板
3R R着色層
3G G着色層
3B B着色層
4 遮光層
5 液晶駆動用透明電極
6 ミセル電解用ITO電極

Claims (5)

  1. 電気絶縁性透明基板と、この電気絶縁性透明基板の上に所定のパターンで配置された複数種の着色層と、これらの着色層を平面視上覆うようにして該着色層上に設けられた液晶駆動用透明電極とを少なくとも備え、前記液晶駆動用透明電極が主要カチオン元素としてインジウム元素および亜鉛元素をインジウム元素と亜鉛元素の原子比In/(In+Zn)が0.8以上0.9未満となるように含有する非晶質酸化物膜からなり、該液晶駆動用透明電極の表面の凹凸が10nm以内であり、液晶駆動用透明電極が、20℃における粘度が1.0cP以上の溶剤に対して遮断性を有し、かつ、前記着色層と前記液晶駆動用透明電極との間に透明保護層を有さないことを特徴とする液晶ディスプレイ用カラーフィルタ。
  2. 電気絶縁性透明基板の片面に所定のパターンで複数種の着色層を形成する工程と、酸化インジウムと酸化亜鉛とを含有する組成物からなる焼結体ターゲットを用いたスパッタリング法により、主要カチオン元素としてインジウム元素および亜鉛元素をインジウム元素と亜鉛元素の原子比In/(In+Zn)が0.8以上0.9未満となるように含有し、表面の凹凸が10nm以内である非晶質酸化物膜からなり、20℃における粘度が1.0cP以上の溶剤に対して遮断性を有する液晶駆動用透明電極を前記着色層上に該着色層を平面視上覆うようにして形成する工程とを含み、かつ、前記着色層と前記液晶駆動用透明電極との間に透明保護層を形成する工程を含まないことを特徴とする液晶ディスプレイ用カラーフィルタの製造方法。
  3. 焼結体ターゲットとして、インジウム元素と亜鉛元素の原子比In/(In+Zn)が0.82以上0.92未満のものを用いて、インジウム元素と亜鉛元素の原子比In/(In+Zn)が0.8以上0.9未満の非晶質酸化物膜からなる液晶駆動用透明電極を形成する、請求項に記載の方法。
  4. ターゲット印加電圧を200V未満としたマグネトロンスパッタリング法により液晶駆動用透明電極を形成する、請求項または請求項に記載の方法。
  5. 焼結体ターゲットの中央部における平行磁場強度を400ガウス以上とする、請求項に記載の方法。
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