JP3861075B2 - フラーレンの製造方法及びその設備 - Google Patents
フラーレンの製造方法及びその設備 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3861075B2 JP3861075B2 JP2003172382A JP2003172382A JP3861075B2 JP 3861075 B2 JP3861075 B2 JP 3861075B2 JP 2003172382 A JP2003172382 A JP 2003172382A JP 2003172382 A JP2003172382 A JP 2003172382A JP 3861075 B2 JP3861075 B2 JP 3861075B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gas
- fullerene
- passage
- temperature
- soot
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Carbon And Carbon Compounds (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラーレン製造装置から排出されるフラーレンを含む高温のガスの温度を下げてフラーレン回収装置に供給してフラーレンの回収率を向上させるフラーレンの製造方法及びその設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
フラーレンは、ダイヤモンド、黒鉛に次ぐ第三の炭素同素体の総称であり、C60やC70をはじめとする一群の球殻状の炭素分子のことを指し、C60やC70の他、C74、C76、C78 、C 80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96等があるが、球殻状であれば良く、炭素数に上限はない。
フラーレンの存在が最終的に確認されたのは比較的最近の1990年のことであり、比較的新しい炭素材料であるが、その特殊な分子構造ゆえに特異的な物理的性質を示すことが認められ、例えば、超硬材料への応用、医薬品への応用、超伝導材料への応用、半導体製造への応用等の広範囲な分野に渡り、革新的な用途開発が急速に展開されつつある。特に、フラーレンの中でもC60及びC70は比較的合成が容易であり、それゆえ今後の需要も爆発的に高まることが予想されている。
【0003】
現在知られているフラーレンの製造方法としては、例えば、レーザ蒸着法、抵抗加熱法、アーク放電法、高周波誘導加熱法、燃焼法、ナフタレン熱分解法等が提案されている。そして、いずれの方法においても、フラーレンはすす状物質(カーボンブラック)中に含まれて生成される。従って、生成したフラーレンを回収するには、先ず、フラーレンを含有するすす状物質を回収することが必要となる。
特に、フラーレンを製造する上で最も安価で、効率的な製造方法の一つとして考えられている燃焼法では、フラーレンを含有するすす状物質が、フラーレン反応炉から排出される高温の排ガス(主成分は一酸化炭素ガスと水蒸気)中に浮遊している。
このため、フラーレン反応炉から排出される高温の排ガスをフラーレン反応炉に接続した通路内に流出させてこの通路内を通過させながら温度を低下した後、例えば、フィルターを使用したフラーレン回収装置に流入させてフラーレンを含有するすす状物質を分離するフラーレンの製造装置が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】
Michael D.Diener、Noah Nichelson、and John M.Alford、Synthesis of Single−Walled Carbon Nanotubes in Flames、J.Phys.Chem.B、米国、ACS Publications、2000年9月14日、第104巻、41号、p.9615−9620、第1図
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、非特許文献1に記載されたフラーレンの製造装置では、フラーレン反応炉から排出された高温の排ガスは通路内を通路に沿って通過するため、内周側に接触しながら通過する排ガスの温度は低下しても、接触しないで通過する排ガスの温度は十分に低下しない。
このため、フラーレン反応炉から排出される排ガス量が少ない場合は排ガスの温度を十分に低下させることができるが、フラーレンの生産量を多くするためフラーレン反応炉に供給する原料の供給量を多くして排出される排ガス量が多くなると、内周側に接触しないで通過する排ガスの割合が増加して、フラーレン回収装置に流入する排ガス温度が上昇していた。
【0006】
その結果、フラーレン回収装置で捕集されたフラーレン含有すす状物質からなる捕集層の温度も高くなり(例えば、750〜800℃)、この捕集層内で生成したフラーレンが分解又は昇華してフラーレンの回収率が低下するという問題が生じていた。
また、フラーレン回収装置に使用されるフィルターが、使用温度を超えた高温に曝されるため、通常140℃程度以下の温度で使用される安価な樹脂製(例えば、ナイロン樹脂等)のフィルターは使用できない上、より高温のガスに耐えられる耐熱性高温フィルター(例えば、焼結金属製)を用いる場合でも、その耐熱温度以上となるか、又は耐熱温度以下であってもフィルターの耐用時間が低下しフィルターの交換頻度が高くなるという問題が生じていた。
【0007】
更に、排ガスが通過することにより排ガス中に浮遊しているフラーレンを含有するすす状物質が通路の内周側に徐々に付着して、排ガスと通路の内周側との間の熱交換効率を低下させて排ガスの冷却効果を低下させるだけでなく、長時間の運転時には通路が閉塞するという問題が生じていた。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、フラーレン製造装置から排出される排ガスの温度を下げてフラーレン回収装置に供給してフラーレンの回収率を向上し、同時に通路内の閉塞を防止して長時間運転を行うことが可能なフラーレンの製造方法及びその設備を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
フラーレンを含む高温のガスを旋回流にして通路を通過させることで、通路の内側と接触するガスを常に入れ替えながら、ガスと通路の内側との接触位置も常に変動させることができ、ガスと通路の内側との間の熱交換効率を向上させることができる。その結果、ガス全体の温度を一様に低下させることができる。
更に、ガスと通路の内側との接触位置が常に変動することにより、ガス中に浮遊しているすす状物質やフラーレン製造装置内で形成されガス中に混入した燃焼残渣が通路の内側に付着するのを抑制できる。このため、通路の内側が露出され易くなり、ガスと通路の内側との間の熱交換効率を高位に維持できる。
その結果、フラーレン回収装置に流入する際のガスの温度をフラーレンの分解温度未満にすることができる。
【0010】
前記目的に沿う第1の発明に係るフラーレンの製造方法は、バーナから供給された原料炭化水素含有ガスを燃焼させてフラーレンを生成するフラーレン製造装置から排出するフラーレンを含む高温のガスを通路を介してフラーレン回収装置に送り、前記ガス中からフラーレンを含有するすす状物質を回収するフラーレンの製造方法において、
前記通路の途中に、導入された前記ガスを旋回流にして冷却された側壁に接触させる冷却手段を設け、前記ガスを積極的に冷却させる。
【0011】
フラーレンを含む高温のガスを通路に設けられた冷却手段に導入することにより、ガスの旋回流を容易に形成することができる。旋回流になったガスでは、冷却された側壁と接触するガスは常に入れ替わり、接触位置も常に変動するので、ガスと側壁との間の熱交換効率が向上して、ガス全体の温度を一様に低下させることができる。
更に、ガスと冷却手段の側壁との接触位置が常に変動することにより、ガス中に浮遊しているすす状物質やフラーレン製造装置内で形成されガス中に混入した燃焼残渣が冷却手段の側壁に付着するのを抑制できる。
その結果、フラーレン回収装置に流入する際のガスの温度をフラーレンの分解温度未満にすることができる。
なお、冷却手段の側壁の冷却は、例えば、冷媒(例えば、水)が流通する冷却ジャケットあるいは冷却管(冷却コイル)を外側に設けることにより行うことができる。
【0012】
第1の発明に係るフラーレンの製造方法において、前記フラーレン回収装置に流入する際の前記ガスの温度を600℃以下にすることが好ましい。
ガスの温度を600℃以下にしてフラーレン回収装置に流入させることにより、フラーレン回収装置で捕集されるフラーレンを含有するすす状物質の温度を600℃以下に保つことができる。
その結果、フラーレン回収装置で捕集したすす状物質中でフラーレンが分解するのを防止できる。
【0013】
第1の発明に係るフラーレンの製造方法において、前記ガスに不活性ガスを混入してもよい。
ガス中に不活性ガスを混入させて混合ガスを形成すると、不活性ガスでガスが希釈されることで、混合ガスの温度を下げることができる。
更に、不活性ガスの混入により流速が大きくなるので、冷却効率が向上する。
【0014】
前記目的に沿う第2の発明に係るフラーレンの製造設備は、バーナから供給された原料炭化水素含有ガスを燃焼させてフラーレンを生成するフラーレン製造装置から排出するフラーレンを含む高温のガスを通路を介してフラーレン回収装置に送り、前記ガス中からフラーレンを含有するすす状物質を回収するフラーレンの製造設備において、
前記通路は前記ガスを通過させながら冷却する第1の冷却手段、及び通過した該ガスを旋回流にする旋回流発生手段を備えた上流側通路と、
前記ガスの旋回流を通過させながら冷却する第2の冷却手段を備えた下流側通路を有している。
【0015】
このような構成とすることにより、フラーレンを含む高温のガスを下流側通路で旋回流にして通過させることで、下流側通路の内側と接触するガスを常に入れ替えながら、ガスと下流側通路の内側との接触位置も常に変動させることができ、ガスと下流側通路の内側との間の熱交換効率を向上させることができる。その結果、ガス全体の温度を一様に低下させることができる。
更に、ガスと下流側通路の内側との接触位置が常に変動することにより、ガス中に浮遊しているすす状物質やフラーレン製造装置内で形成されガス中に混入した燃焼残渣が通路の内側に付着するのを抑制できる。このため、下流側通路の内側が露出され易くなり、ガスと下流側通路の内側との間の熱交換効率を高位に維持できる。
【0016】
ここで、上流側通路及び下流側通路は、例えば、ステンレス鋼等の耐熱金属製のパイプを用いて構成することができ、第1及び第2の冷却手段としては、例えば、冷媒(例えば水)が流通する冷却ジャケットあるいは冷却管(冷却コイル)を使用することができる。
また、旋回流発生手段としては、例えば、下流側通路の横断面積よりも小さな横断面積を有する上流側通路を、下流側通路に対して斜め方向から接続することで構成できる。これによって、上流側通路から供給されたガスを下流側通路の内側に沿って流出させることができ、ガスを下流側通路の内側に沿った旋回流にして通過させることができる。
【0017】
前記目的に沿う第3の発明に係るフラーレンの製造設備は、バーナから供給された原料炭化水素含有ガスを燃焼させてフラーレンを生成するフラーレン製造装置から排出するフラーレンを含む高温のガスを通路を介してフラーレン回収装置に送り、前記ガス中からフラーレンを含有するすす状物質を回収するフラーレンの製造設備において、
前記通路には通過する前記ガスを旋回流にして水冷ジャケットで冷却された側壁に接触させて冷却するサイクロン型の旋回流発生装置が設けられている。
【0018】
サイクロン型の旋回流発生装置を用いることにより、フラーレンを含む高温のガスの旋回流を簡単に形成することができる。
その際、サイクロン型の旋回流発生装置の側壁は冷却されているので、ガスは側壁に接触して熱交換され、ガスの温度は効率的に低下する。
また、ガス中に含まれる粒径の大きなすす状物質や、フラーレン製造装置内で形成されガス中に混入した燃焼残渣は、遠心力によりサイクロン型の旋回流発生装置内では側壁の内側に接触して旋回する。
【0019】
このサイクロン型の旋回流発生装置の設置方向は、通常のサイクロンの設置方向である鉛直方向でも、通常用いられない水平方向や斜め方向のいずれの方向でもよい。
鉛直方向に設置する場合は、側壁の内側との間で摩擦力が生じて、粒径の大きなすす状物質及び燃焼残渣の旋回速度は次第に低下し、側壁の内側に沿って旋回しながら落下する。
一方、粒径の小さなすす状物質に働く遠心力は小さいので、粒径の小さなすす状物質はサイクロン型の旋回流発生装置内の中央部を旋回する。従って、サイクロン型の旋回流発生装置の中央部からガスを取り出すと、その中には粒径の小さなすす状物質が含まれていることになる。
また、燃焼法でフラーレンを生成させた場合、生成したフラーレンはガス中に浮遊しているすす状物質の中で主に粒径の小さなすす状物質中に含有されていることが判明している。
このため、サイクロン型の旋回流発生装置内の中央部を旋回するガスを外部に取り出してフラーレン回収装置に流入させるようにすると、フラーレンを含有するすす状物質を効率的に捕集することができる。
【0020】
ただし、鉛直方向に設置する場合は、サイクロン型の旋回流発生装置上流側からは、フラーレンを含んだガスが排出され、サイクロン型の旋回流発生装置下流側(コーン部)からは、落下した粒径の大きなすす状物質及び燃焼残渣が排出されるため、これらのすす状物質はフラーレン回収装置とは別の回収装置を用いて回収する必要があり、回収箇所が増えて、回収が煩雑になる。
この点において、サイクロン型の旋回流発生装置を横向き、又は斜め方向に設置し、ガスの出口をサイクロン型の旋回流発生装置下流側(コーン部)とした場合は、フラーレンを含むガス中に粒径の大きなすす状物質及び燃焼残渣も含まれることになり、これらの物質は全て下流のフラーレン回収装置にて回収される。このため、回収装置は一箇所のみとなり、回収作業は簡易となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の第1の実施の形態に係るフラーレンの製造設備を示す説明図、図2は図1のP−P矢視断面図、図3は同製造設備の変形例に係る通路の説明図、図4は本発明の第2の実施の形態に係るフラーレンの製造設備を示す説明図、図5は同製造設備の変形例に係るサイクロン型の旋回流発生装置の説明図、図6はすす状物質を乾燥窒素ガス流中で加熱した際の、減量率及び減量率の変化率を示すグラフである。
【0022】
図1、図2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るフラーレンの製造設備10は、原料を高温状態で反応させてフラーレンを製造するフラーレン製造装置の一例であるフラーレン反応炉11と、フラーレン反応炉11の下部側に接続されてフラーレン反応炉11内からフラーレンを含む高温のガスを排出させる通路12を有している。
更に、フラーレンの製造設備10は、通路12を通過したガスが流入してガス中からフラーレンを含有するすす状物質を捕集するフラーレン回収装置13と、フラーレンを含有するすす状物質が取り除かれフラーレン回収装置13から流出するガスを冷却するガス冷却器14と、ガス冷却器14によって降温されたガスを吸引する真空ポンプからなる減圧装置15とを有する。以下、これらについて詳細に説明する。
【0023】
フラーレン反応炉11は、例えば、円筒形状の反応炉本体16と、反応炉本体16の上端側に設けられたバーナ17を有している。
反応炉本体16は、例えば、ステンレス鋼等の耐熱鋼で構成されており、その内側の一部又は全部には、例えばアルミナ質の耐火煉瓦やアルミナ質の不定形耐火材等の耐火物がライニングされている。この方がフラーレン生成部の温度を上げることができフラーレンの生成に好適となるからである。
また、反応炉本体16は、反応炉本体16内で生成したすす状物質がバーナ17の表面上に落下し、長時間の安定運転が阻害されるのを防止するため、鉛直下向きとなっているが、長時間運転を行わない場合には、反応炉本体16を鉛直下向きに規定する必要はなく、反応炉本体16は鉛直上向きでも、斜め上向きでもよい。
【0024】
原料炭化水素含有ガスを供給する原料炭化水素含有ガス供給配管18と、原料炭化水素含有ガス中の原料炭化水素ガスの燃焼に必要な酸素を供給する酸素含有ガス供給配管19が接続されるバーナ17は、供給された原料炭化水素含有ガス及び酸素含有ガスから混合ガスを作製する混合室20と、得られた混合ガスを所定の圧力(例えば、50〜200トール、好ましくは、100〜150トール)で保持する蓄圧室21と、混合ガスが吐出する複数の図示しない吐出口(例えば、口径が0.1〜5mm、好ましくは0.2〜3mm)が設けられた吐出部22を有している。
吐出部22としては、種々の形態のものを用い得るが、良好なガス流を得るためには、小さな口径の吐出口が多数集合した形態のものが好ましく、例えば、口径が0.1〜5mmの吐出口を多数備える場合、吐出口の開口面積の合計が吐出部22が分布している領域の横断面積に対して、10〜95%、好ましくは50〜95%を占めるようにするのがよい。
【0025】
なお、混合室20、蓄圧室21、及び吐出部22は、例えば、ステンレス鋼等の耐熱鋼で形成することができる。
ここで、吐出部22は多孔質のセラミック(例えば、ジルコニア、コーディエライト、カーボン)焼結体を用いて構成することも可能であり、多孔質のセラミック焼結体を用いることで吐出部22の耐熱性を向上させることができ長時間の安定運転が可能になる。
また、混合室20を設けず、原料炭化水素含有ガスと酸素含有ガスをそれぞれ独立にフラーレン反応炉11内に導入してもよい。
【0026】
原料炭化水素含有ガス供給配管18と、酸素含有ガス供給配管19にはそれぞれ熱交換器23、24が設けられて、加熱処理(予熱)された原料炭化水素含有ガス、酸素含有ガスがバーナ17に供給されるようになっている。更に、熱交換器23よりも上流側の原料炭化水素含有ガス供給配管18には、原料炭化水素をガス化させる気化装置25を配置することもある。
なお、熱交換器23、24は両方とも使用するのが好ましいが、場合によっては、熱交換器23、24のいずれか一方を省略し、原料炭化水素含有ガス及び酸素含有ガスのいずれか一方のみを予熱するようにしてもよい。
また、原料炭化水素含有ガス供給配管18及び酸素含有ガス供給配管19の先部には、バーナ17に供給する原料炭化水素含有ガス及び酸素含有ガスの流量を調整する流量調節器26、27がそれぞれ設けられている。
【0027】
このような構成とすることにより、バーナ17から供給された原料炭化水素含有ガスを酸素含有ガスの下で燃焼させてフラーレンを生成させることができる。そして、フラーレンの生成と共に、すす状物質(副生成物)、一酸化炭素ガス、及び水蒸気等が発生し、生成したフラーレンはすす状物質中に含有されている。
このため、フラーレンを含有したすす状物質を浮遊した状態で有する高温のガスがフラーレン反応炉11から排出される。
【0028】
通路12は、反応炉本体16の側壁部の下部側にそれぞれ一端側が接続された旋回流発生手段の一例である小径のパイプ28、29と、パイプ28、29の外側にそれぞれ設けられた第1の冷却手段の一例である水冷ジャケット30、31を備えた上流側通路32を有している。ここで、パイプ28、29には、例えば、ステンレス鋼管を使用することができる。
パイプ28、29を小径にすることにより、フラーレン反応炉11から排出されたガスの流速を大きくすることができ、上流側通路32を通過する際のガスの冷却効率を向上させることができる。
【0029】
更に、通路12は、パイプ28、29の他端側が斜め方向から接続した大径のパイプ33と、パイプ33の外側に設けられた第2の冷却手段の一例である水冷ジャケット34を備えた下流側通路35を有している。ここで、パイプ33には、例えば、ステンレス鋼管を使用することができる。
小径のパイプ28、29の各他端側が対向する斜め方向から大径のパイプ33に接続しているので、パイプ28、29で供給されたガスをパイプ33の内側に沿って流出させることができると共に、容易にパイプ33の内側に沿って旋回させることができ、ガスをパイプ33内で旋回流にして通過させることができる。
【0030】
ガスがパイプ33の内周に沿って旋回流になって通過していくので、ガスとパイプ33の内側との接触位置が常に変動し、ガス中に浮遊しているすす状物質がパイプ33の内側に付着するのを抑制できる。その結果、ガスの冷却効率を向上させることができる。
ここで、パイプ33内のガスの旋回流が確実に形成されるには、パイプ33内に流出する際のガスの速度を20〜200m/秒にすることが好ましい。このためには、例えば、フラーレン反応炉11から排出されるガスの温度が500〜2000℃、ガス流量が100〜900Nリットル/分の場合、パイプ28、29の内径は50〜200mmにすることが好ましい。更に、旋回流が形成されるパイプ33の内径とパイプ28、29の内径との比は1.5〜6にすることが好ましい。
【0031】
フラーレン回収装置13は、フラーレン反応炉11から発生するすす状物質含有気流中の固形分と気流分を分離するためのもので、内部に高温耐熱フィルター36を備える。高温耐熱フィルター36は、原料炭化水素含有ガス、燃焼ガスを通過させてフラーレン及びすす状物質を回収するので、ガスの温度に応じて400〜500℃の耐熱温度を有している。
フラーレン回収装置13の構造は、通常の集塵機等に使用されるバッグフィルター構造となって、このバッグフィルターが前記した高温耐熱フィルター36によって構成されている。このような高温耐熱フィルター36としては、例えば、日本ポール社製焼結金属フィルターや富士フィルター社製焼結金属フィルター等が挙げられる。フィルター目開きの大きさは、フラーレンを生成させる燃焼条件やすす状物質の性状によって適宜選択する。
また、通路12により、すす状物質含有気流の温度を150℃程度以下まで下げる場合には、フラーレン回収装置13の内部のフィルターは高温耐熱フィルターである必要はなく、ナイロン、四フッ化エチレン等の材質の通常用いられるフィルターを用いることができる。
【0032】
フラーレン回収装置13には、その上部に定期的に付着した固化物(例えば、すす状物質とフラーレン)を除去する逆洗浄機構37が設けられている。
この逆洗浄機構37は、高圧の不活性ガス(例えば、窒素やアルゴン)等を貯留するタンク38と、電磁弁39とを有し、電磁弁39を定期的に短時間パルス的に開けることによって、高温耐熱フィルター36内にガスを入れ、周囲に付着した固化物を下方に落下させ、排出弁40を開けて外部に排出できるようになっている。そして、フラーレン回収装置13の上部には、高温耐熱フィルター36を通過したガスを外部に排出するガス排出配管41が設けられている。
【0033】
フラーレン回収装置13のガス排出配管41には、ガス冷却器14が設けられている。このガス冷却器14は通常の熱交換器と、同一又は近似した構造となっており、減圧装置15に流入するガスの温度を低下させ減圧装置15の負荷を低減させるようになっている。また、気流内に含まれる原料炭化水素含有ガス、燃焼ガス中の水分が液化し、下部のドレーンから排出されるようになっている。
このガス冷却器14に後続する減圧装置15は通常の真空ポンプからなっている。なお、フラーレンの昇華温度は真空度によっても変化するので、供給する原料炭化水素ガス、酸素ガス、不活性ガスの量から、最も効率的にフラーレンを回収できる圧力になるように減圧装置15を選定する。
【0034】
各流量調節器26、27を用いて原料炭化水素含有ガスと酸素含有ガスの供給量を制御して混合室20内に導入することにより、原料炭化水素ガスが燃焼する際の酸素に対する原料炭化水素中の炭素の元素組成比(C/O比)を1.08以上かつ1.56以下、好ましくは1.1以上かつ1.36以下に調整した混合ガスを作製することができる。
そして作製した混合ガスを蓄圧室21内で保持して、吐出部22から吐出させることで、混合ガスを、例えば、75cm/秒を超えかつ1000cm/秒以下、好ましくは200cm/秒以上かつ600cm/秒以下で反応炉本体16内に安定的に供給することができる。
【0035】
通路12、フラーレン回収装置13、及びガス冷却器14を介して減圧装置15で反応炉本体16内を排気することができ、反応炉本体16内を、例えば、20トール以上かつ100トール以下、好ましくは30トール以上かつ50トール以下の減圧状態に保持することができる。
このため、吐出部22から反応炉本体16内に吐出された混合ガスを、この減圧状態下で燃焼させながら、生成した燃焼ガスを反応炉本体16内から通路12を介して外部に排出することができる。
【0036】
続いて、本発明の第1の実施の形態に係るフラーレンの製造方法について説明する。
先ず、水冷ジャケット30、31、34に設けられた各冷却水導入管42〜44から水を流入させて各冷却水導出管45〜47から排出させてパイプ28、29、33の外側を冷却する。
原料炭化水素含有ガスとしてトルエンガス、酸素含有ガスとして濃度99%以上の酸素ガス(以下、純酸素ガスともいう)を用いる。トルエンガスが燃焼する際の酸素に対するトルエン中の炭素の元素組成比(C/O比)を1.08以上かつ1.56以下、好ましくは1.1以上かつ1.36以下になるように、各流量調節器26、27でトルエンガス量及び純酸素ガス量をそれぞれ調整して混合室20内に導入して混合ガスを作製する。
次いで、通路12を介して減圧装置15を用いて反応炉本体16内を排気しながら、吐出部22から混合ガスを、吐出部22からの平均吐出速度が、例えば、200〜600cm/秒になるように反応炉本体16内に吐出し燃焼させる。
このとき、反応炉本体16内が、例えば、20トール以上かつ100トール以下、好ましくは30トール以上かつ50トール以下の減圧状態に維持されるように、減圧装置15の排気量を調節する。
【0037】
トルエンガスと酸素ガスの混合ガスは、前記した減圧状態下において燃焼するため、トルエンの燃焼が均一に進行して、反応炉本体16内の温度を均一かつ高温(例えば、1600〜2100℃、好ましくは1700〜1900℃)にすることができる。
また、C/O比を所定の範囲に制御しているため、未燃焼のトルエンが加熱されて分解する際にすす状物質の生成が抑制されて、フラーレン前駆体が多量に生成する。
このため、生成したフラーレン前駆体同士の衝突の頻度が向上し、フラーレンの生成速度が向上して、フラーレンの収率を上げることができる。
【0038】
ここで、燃焼ガスの温度を更に上げるためには、混合ガスを反応炉本体16内に吐出する前に予熱することが好ましい。
そのため、原料炭化水素含有ガス供給配管18と、酸素含有ガス供給配管19にそれぞれ熱交換器23、24を設けて、トルエンガス及び酸素ガスを加熱処理してからバーナ17の混合室20に供給する。
トルエンガスと酸素ガスは混合室20で予混合し混合ガスとしてから吐出部22からフラーレン反応炉11内に吐出し燃焼させているので、混合ガスの温度がトルエンの気化温度以上で自己着火温度未満となるように各熱交換器23、24を運転するのがよい。
なお、安定化のため気化温度より10℃以上、好ましくは20℃以上高くなる温度範囲がよい。また、安定化のため自己着火温度より10℃以上、好ましくは20℃以上低くなる温度範囲がよい。
【0039】
また、混合室20を設けず、トルエンガスと酸素ガスをそれぞれ独立にフラーレン反応炉11内に導入する場合には、フラーレン反応炉11内の上流側で着火する恐れはないため、酸素ガス予熱温度に上限はないが、トルエンガスは300℃程度で炭化し、原料炭化水素含有ガス供給配管18が閉塞するため、炭化温度以下がよい。
なお、トルエンガス及び酸素ガスは両方とも加熱処理することが好ましいが、場合によっては、トルエンガス及び酸素ガスのいずれか一方のみを予熱するようにしてもよい。
【0040】
原料炭化水素としてはトルエンのほかに、例えば、ベンゼン、キシレン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族系炭化水素、クレオソート油、カルボン酸油などの石炭系炭化水素、アセチレン系不飽和炭化水素、エチレン系炭化水素、ペンタンやヘキサン等の脂肪族飽和炭化水素等が使用でき、これらを単独又は任意の割合で混合して使用することもできる。
特に芳香族系炭化水素が好ましく、中でも精製した芳香族系炭化水素を用いることが好ましい。
原料炭化水素ガスの純度は高い方が好ましいが、燃焼温度や原料炭化水素ガスの燃焼反応中での濃度を制御するためにアルゴンガス等の不活性ガスで原料炭化水素ガスを希釈してもよい。
酸素含有ガスとしては、濃度99%以上の酸素ガス、濃度99%以上の酸素ガスを窒素やアルゴンガス等の不活性ガスで希釈したもの、空気等が用いられる。
【0041】
続いて、混合ガスを反応炉本体16内に所定の速度で吐出させた場合における、トルエンの酸素の下での燃焼及び分解、更にフラーレンの生成状況について説明する。
トルエンは20トール以上かつ100トール以下、好ましくは30トール以上かつ50トール以下の減圧状態下において燃焼するため、反応炉本体16内での燃焼ガスの温度は、例えば、1600〜2100℃、好ましくは1700〜1900℃の高温になる。
このため、未燃焼のトルエンは容易に加熱されて分解し気化して、トルエンの燃焼により発生した燃焼ガス内に拡散する。
ここで、バーナ17の吐出部22からは混合ガスが75cm/秒以上かつ1000cm/秒以下、好ましくは200cm/秒以上かつ600cm/秒以下の平均吐出速度で吐出しているので、反応炉本体16内には多量の混合ガスが流入することになって、吐出部22の下流側に混合ガスの顕著な吐出流が形成される。
このため、トルエンの分解物を含有した燃焼ガスは、フラーレン反応炉11の上流側(バーナ17側)から下流側に向けて流出する一様な流れの形成が促進されると考えられる。
【0042】
反応炉本体16内の圧力が前述した減圧状態に保持されている下での燃焼であることから、トルエンの均一燃焼が促進されて、燃焼ガスの温度は反応炉本体16の軸方向に垂直な方向では実質的に一様になっていると考えられる。
その結果、燃焼ガス流内では自己循環流が発生し難くなる。従って、反応炉本体16内で上流側から下流側に向けて流出する一様な流れの安定化が図られると思われる。
ここで、バーナ17を重力的方向において上方側に設けることにより、燃焼ガスは重力に従って下方に流下することになり、安定化は確実となる。
更に、反応炉本体16内の燃焼ガスは、通路12を介して減圧装置15で排気される。これによって、反応炉本体16内で上流側から下流側に向かう一様な流れがより助長されると思われる。
【0043】
燃焼ガス中に拡散したトルエンの分解物は、燃焼ガスによって加熱されてフラーレン前駆体に転化し、フラーレン前駆体は相互に衝突を繰り返しながら、フラーレンに転化していくものと考えられる。
ここで、トルエンの分解物を含有した燃焼ガスの流れが、反応炉本体16内で上流側から下流側に向かう一様な流れであるため、燃焼ガス中のトルエンの分解物の不均一な移動が抑制され、トルエンの分解物の燃焼ガス内での滞留時間は一様になる。このため、トルエンの分解物からフラーレン前駆体が安定して生成されると考えられる。
また、生成したフラーレン前駆体の燃焼ガス中での不均一な移動も抑制されて、フラーレン前駆体の燃焼ガス内での滞留時間が一様になる。このため、フラーレン前駆体からフラーレンが安定して生成されると考えられる。
なお、生成したフラーレンは副生するすす状物質の中で、粒径の小さなすす状物質に含有された状態となっている。そして、フラーレンを含有するすす状物質は、同時に発生した一酸化炭素ガスと水蒸気、及び未燃焼のトルエンガスの中に浮遊した状態で高温のガスとして上流側通路32内に排出される。
【0044】
上流側通路32内に排出されたガスは、上流側通路32に使用されているパイプ28、29の内径が小さいために、ガスの流速が大きくなる。このため、ガスとパイプ28、29の内側との間の熱交換効率が向上して、ガスは冷却される。
そして、上流側通路32を通過したガスは下流側通路35内に流入する。
このとき、下流側通路35のパイプ33に対してパイプ28、29は斜め方向から接続しているので、パイプ28、29を介して供給されたガスはパイプ33の内側に沿って流出する。更に、パイプ33の内径はパイプ28、29の内径よりも大きいため、流出したガスはパイプ33内で旋回流になって通過する。
このため、パイプ33の内側に接触するガスが常に入れ替わると共に、ガスとパイプ33の内側との接触位置が常に変動するため、ガスを効率的に冷却することができる。更に、ガスとパイプ33の内側との接触位置が常に変動することで、ガス中に浮遊しているすす状物質がパイプ33の内側に付着することが抑制され、ガスの冷却効率が低下するのが防止される。
その結果、フラーレン回収装置13に流入する際のガスの温度を、例えば600℃以下にすることができる。
なお、上流側通路32を2本のパイプ28、29で構成したが、下流側通路35のパイプ33内にガスの旋回流が発生できれば、上流側通路32を構成するパイプの本数は1本でも、又は3本以上でもよい。
【0045】
下流側通路35を介して排出されたガスは、フラーレン回収装置13内に流入する。そして、ガスは、回収装置本体13a内に設けられた高温耐熱フィルター36の外表面側から内表面側に向けて透過する。
このため、ガスが高温耐熱フィルター36を透過する際に、ガス中に浮遊しているフラーレンを含有するすす状物質は高温耐熱フィルター36の外表面側に捕集される。そして、すす状物質が取り除かれたガスは、回収装置本体13aの天井板から導出管を介してガス排出配管41に流入し、ガス冷却器14を通過しながら冷却され、減圧装置15の排出口から外部に排出される。
【0046】
ここで、すす状物質が高温耐熱フィルター36の外表面側に捕捉されて上流側と下流側の圧力損失が増大し、高温耐熱フィルター36の外表面に多量のすす状物質が堆積したことが、例えば、ガス排出配管41に設けられた図示しないガス圧力計により検知されると、逆洗浄機構37のタンク38から窒素ガスを高温耐熱フィルター36の内表面側に圧入して外表面側に向けて透過させる。
これによって、高温耐熱フィルター36の外表面側に付着しているすす状物質を剥落させることができる。剥落したすす状物質を排出弁40に接続した図示しないすす状物質回収缶内に排出して回収する。
なお、回収されたすす状物質は、フラーレン分離工程に運ばれて、例えば溶媒抽出法によりフラーレンを溶媒中に溶出させることにより、フラーレンを分離する。
【0047】
図3に、フラーレンの製造設備10の通路12の変形例として、不活性ガス混入手段48を設けた通路49を示す。なお、通路49は上流側通路32に不活性ガス混入手段48を設けたことが特徴であって、それ以外は実質的に通路12と同じ構成である。
不活性ガス混入手段48は、図示しない不活性ガス供給部(例えば、アルゴンガスボンベ、窒素ガスボンベ)と、不活性ガス供給部から供給された不活性ガスを例えば、各パイプ28、29内に斜め方向からそれぞれ流入する不活性ガス流入管50、51を有している。なお、流入する不活性ガスの流速は、10〜100m/秒であることが好ましい。
このような構成にすることにより、各パイプ28、29内を通過するガスに乱流を発生させて不活性ガスを確実に混入することができ、不活性ガスでガスを一様に希釈することができる。
その結果、ガスと不活性ガスから形成される混合ガスの温度をガスに比較して下げることができる。更に、不活性ガスを混入させることにより、形成される混合ガスの速度を大きくして下流側通路35における混合ガスの冷却効率を向上させることができる。
【0048】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るフラーレンの製造設備52について説明する。
図4に示すように、フラーレンの製造設備52は、原料炭化水素含有ガスを高温状態で反応させてフラーレンを製造するフラーレン製造装置の一例であるフラーレン反応炉53と、フラーレン反応炉53の下部側に接続されてフラーレン反応炉53内からフラーレンを含む高温のガスを導出させる第1の通路54を有している。
更に、フラーレンの製造設備52は、第1の通路54が接続した冷却手段の一例であるサイクロン型の旋回流発生装置55と、サイクロン型の旋回流発生装置55に接続した第2の通路56と、第2の通路56が流入側に接続したフラーレン回収装置13と、フラーレンを含有するすす状物質が取り除かれフラーレン回収装置13から流出するガスを冷却するガス冷却器14と、ガス冷却器14によって降温されたガスを吸引する真空ポンプからなる減圧装置15とを有している。
【0049】
ここで、フラーレン反応炉53は、第1の実施の形態に係るフラーレンの製造方法に適用したフラーレン反応炉11の反応炉本体16の下部側に、第1の通路54と接続する排出部57を設けたことが特徴であって、それ以外は実質的にフラーレン反応炉11と同じ構成である。このため、同一の構成部材については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
なお、第1の通路54は、例えば、ステンレス鋼等の耐熱鋼で形成することができ、その外側には、例えば、水冷ジャケット等の冷却手段を取付けることが好ましい。
【0050】
このような構成とすることにより、バーナ17から供給された原料炭化水素含有ガスを酸素含有ガスの下で燃焼させてフラーレンを生成させることができる。
なお、生成したフラーレンはすす状物質中に含有され、このフラーレンを含有するすす状物質が浮遊した状態で高温のガスがフラーレン反応炉53の排出部57を介して第1の通路54に排出される。
また、フラーレン反応炉53の反応炉本体16の内壁やバーナ17に付着した付着物は、反応炉本体16の内壁やバーナ17から浮き上がるとフラーレン反応炉53内を落下するので、排ガスと共に排出部57を介して第1の通路54に排出することができる。
【0051】
サイクロン型の旋回流発生装置55は、第1の通路54が接続されている旋回流発生装置本体58と、旋回流発生装置本体58の下端部に接続された排出部59を有している。更に、サイクロン型の旋回流発生装置55は、旋回流発生装置本体58の上端部に取付けられた天井板60と、天井板60の中央部に形成されたサイクロン型の旋回流発生装置55の排出口61に接続されて旋回流発生装置本体58内に突出した排出管62を有している。
そして、旋回流発生装置本体58、排出部59、及び天井板60の外側には一体化した水冷ジャケット63が設けられている。また、第2の通路56は天井板60に形成された排出口61に接続されており、例えばステンレス鋼等の耐熱鋼で形成することができる。
ここで、サイクロン型の旋回流発生装置とは、例えば、化学工学辞典(昭和61年3月発行、改訂3版、化学工学協会編、丸善株式会社発行)191ページに記載されているサイクロンを主体に構成されるものを指す。
【0052】
このような構成とすることにより、水冷ジャケット63に設けられている冷却水導入管64から冷却水を流入させて、水冷ジャケット63に設けられている冷却水導出管65から冷却水を流出させることにより、旋回流発生装置本体58の外側を冷却することができる。
そして、高温のガスを第1の通路54を介して旋回流発生装置本体58内に導入して、旋回流発生装置本体58の側壁の内側に沿って旋回する旋回流を形成することができる。
更に、旋回流発生装置本体58内の中央部で旋回しているガスを排出管62を介して第2の通路56内に排出することができる。
また、旋回流発生装置本体58の側壁の内側に接触して旋回しているガス中の粒径の大きなすす状物質及び燃焼残渣を、旋回流発生装置本体58の側壁の内側に沿って落下させて、排出口59に接続した図示しない回収缶内に落下させることができる。
ここで、旋回流発生装置本体58内を旋回している排ガスは、旋回流発生装置本体58の側壁の内側と接触する際に熱交換が行われ、排ガスの温度は徐々に低下する。従って、第2の通路56に排出された排ガスの温度は低下している。
【0053】
続いて、本発明の第2の実施の形態に係るフラーレンの製造方法について説明する。
先ず、水冷ジャケット63に設けられた冷却水導入管64から水を流入させて冷却水導出管65から排出させて旋回流発生装置本体58の外側を冷却する。
次いで、フラーレン反応炉53のバーナ17に原料炭化水素含有ガスとしてトルエンガス、酸素含有ガスとして濃度99%の酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを供給し、トルエンガスを燃焼させてフラーレンを生成させる。なお、生成したフラーレンは副生する粒径の小さなすす状物質に含有された状態となっている。
フラーレンを含有するすす状物質が浮遊した高温のガスは排出部57に接続した第1の通路54に排出される。なお、反応炉本体16の内壁やバーナ17に付着した付着物は、反応炉本体16の内壁やバーナ17から浮き上がると、フラーレン反応炉53内を落下して、高温のガスと共に排出部57に接続した第1の通路54に排出される。
【0054】
第1の通路54内に排出された高温のガスは、旋回流発生装置本体58内に流入する。そして、流入したガスは、旋回流発生装置本体58の側壁の内側に沿って旋回流を形成する。
ここで、旋回しているガスは旋回流発生装置本体58の側壁の内側と接触する際に熱交換を行うため、排ガスの温度は徐々に低下する。このため、排出管62を介して第2の通路56を通過してフラーレン回収装置13に流入する際のガスの温度を、例えば600℃以下にすることができる。
なお、旋回流発生装置本体58内では、旋回流が形成されているので、ガスと側壁の内側との接触位置が常に変動して、ガス中に浮遊しているすす状物質や燃焼残渣が側壁に付着することが抑制され、ガスの冷却効率が低下するのが防止される。
【0055】
ここで、旋回流発生装置本体58内で旋回流が形成されると、ガス中に含まれる粒径の大きなすす状物質及び燃焼残渣は、遠心力により旋回流発生装置本体58内では側壁の内側に接触しながら旋回する。このため、側壁の内側との間で摩擦力が生じて、粒径の大きなすす状物質及び燃焼残渣の旋回速度は低下し、側壁の内側に沿って落下して、排出口59に接続された回収缶内に落下する。
一方、粒径の小さなすす状物質は旋回流発生装置本体58内の中央部を旋回する。フラーレンは主に粒径の小さなすす状物質に含有されることが判明しているので、第2の通路56に排出されたガス中には、フラーレンを含有するすす状物質がより多く含まれている。従って、このガスをフラーレン回収装置13に流入させることにより、フラーレンを含有するすす状物質を効率的に捕集することができる。
【0056】
図5に、フラーレンの製造設備52のサイクロン型の旋回流発生装置55の変形例として、不活性ガス混入手段66を設けたサイクロン型の旋回流発生装置67を示す。なお、サイクロン型の旋回流発生装置67は不活性ガス混入手段66を設けたことが特徴であって、それ以外は実質的にサイクロン型の旋回流発生装置55と同じ構成である。このため、同一の構成部材については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
不活性ガス混入手段66は、図示しない不活性ガス供給部(例えば、アルゴンガスボンベ、窒素ガスボンベ)と、不活性ガス供給部から供給された不活性ガスを旋回流発生装置本体58内に斜め方向から流入させる不活性ガス流入管68を有している。なお、流入する不活性ガスの流速は、10〜100m/秒であることが好ましい。
【0057】
このような構成にすることにより、旋回流発生装置本体58内で旋回流になって通過するガスに対して不活性ガスを効果的に混入することができ、不活性ガスでガスを一様に希釈することができる。
その結果、ガスと不活性ガスから形成される混合ガスの温度をガスに比較して下げることができる。更に、不活性ガスを混入させることにより、形成される混合ガスの速度を大きくして、サイクロン型の旋回流発生装置67における混合ガスの冷却効率を向上させることができる。その結果、混合ガスの温度を更に効率的に下げることができる。
【0058】
【実施例】
(実施例1)
図1に示すフラーレンの製造装置10を用いてフラーレンを製造した。
ここで、フラーレン反応炉の長さは2000mm、直径は300mmであり、フラーレン反応炉の内壁面でバーナの表面部(先端部)の位置に相当する部位から下流側に向かって400mmの範囲には、アルミナ質の不定形耐火材でライニング層を構成した。
通路の上流側通路を構成するステンレス鋼製の各パイプの内径はいずれも60mm、各総長さは1000mm、下流側通路を構成するステンレス鋼製のパイプの内径は150mm、長さは2000mmで、外側に設けた水冷ジャケットに水を流して水冷した。また、フラーレン回収装置の最大内径は1000mm、高さは2000mmである。
バーナの吐出部は、外径が250mmの円板状の多孔質のセラミック焼結体を用いて構成されており、多孔質のセラミック焼結体には25mm当たりに30〜50個の孔が吐出口として形成されている。
【0059】
原料炭化水素ガスとしてトルエンガスを使用し、酸素含有ガスには純酸素を使用した。
トルエンガスは一旦気化装置でトルエンを加熱してガス状とした後、熱交換器で200℃に加熱し、酸素ガスは酸素タンクから熱交換器に供給して200℃に加熱した。そして、トルエンガスの流量を228.3グラム/分、酸素ガスの流量を175.7Nリットル/分(酸素に対するトルエン中の炭素の元素組成比(C/O比)は1.107)にしてバーナに供給し、混合室で予混合して混合ガスとしフラーレン反応炉内に吐出した。このとき、フラーレン反応炉内の圧力は40トールで、バーナから吐出された際の混合ガス(200℃)の平均吐出速度は258.5cm/秒であった。
このような条件でフラーレンを製造すると、フラーレン反応炉の出口から排出されるガスの温度は1100℃、フラーレン回収装置に流入する際のガスの温度は600℃であった。その結果、副生したすす状物質中のフラーレン含有率は19.0%であった。
【0060】
(実施例2)
図4に示すフラーレンの製造装置40を用いてフラーレンを製造した。
ここで、フラーレン反応炉の長さは2000mm、直径は300mmであり、フラーレン反応炉の内壁面でバーナの表面部(先端部)の位置に相当する部位から下流側に向かって400mmの範囲には、アルミナ質の不定形耐火材でライニング層を構成した。
第1の通路を構成するステンレス鋼製のパイプの内径は200mm、総長さは400mm、旋回流発生装置本体の最大内径は600mm、旋回流発生装置本体の高さは1500mmである。また、第2の通路を構成するステンレス鋼製のパイプの内径は100mm、総長さは5000mm、フラーレン回収装置の最大内径は1000mm、高さは2000mmである。
バーナの吐出部は、外径が250mmの円板状の多孔質のセラミック焼結体を用いて構成されており、多孔質のセラミック焼結体には25mm当たりに30〜50個の孔が吐出口として形成されている。
【0061】
原料炭化水素ガスとしてトルエンガスを使用し、酸素含有ガスには純酸素を使用した。
トルエンガスは一旦気化装置でトルエンを加熱してガス状とした後、熱交換器で200℃に加熱し、酸素ガスは酸素タンクから熱交換器に供給して200℃に加熱した。そして、トルエンガスの流量を228.3グラム/分、酸素ガスの流量を175.7Nリットル/分(酸素に対するトルエン中の炭素の元素組成比(C/O比)は1.107)にしてバーナに供給し、混合室で予混合して混合ガスとしフラーレン反応炉内に吐出した。このとき、フラーレン反応炉内の圧力は40トールで、バーナから吐出された際の混合ガス(200℃)の平均吐出速度は258.5cm/秒であった。
このような条件でフラーレンを製造すると、フラーレン反応炉の出口から排出されるガスの温度は1100℃、フラーレン回収装置に流入する際のガスの温度は450℃であった。その結果、副生したすす状物質中のフラーレン含有率は20.0%であった。
【0062】
(比較例1)
図4に示すフラーレンの製造装置において、第1の通路、サイクロン型の旋回流発生装置、及び第2の通路を取り外し、フラーレン反応炉の排出部とフラーレン回収装置の入口側を内径が150mm、長さが2500mmの外周部が水冷されるステンレス鋼管で接続した設備を用いてフラーレンを製造した。なお、フラーレンの製造条件は実施例2の場合と同様にした。
このとき、フラーレン反応炉の出口から排出されるガスの温度は1120℃、フラーレン回収装置に流入する際のガスの温度は800℃であった。その結果、副生したすす状物質中のフラーレン含有率は16.2%であった。
以上のことから、実施例1のようにフラーレン反応炉から排出されたガスをパイプを通過する際に旋回流にしたり、実施例2のようフラーレン反応炉から排出されたガスをサイクロン型の旋回流発生装置により旋回流にして冷却された側壁に接触させるようにすることにより、フラーレン回収装置に流入する際のガスの温度を600℃以下にすることができ、副生したすす状物質中のフラーレン含有率が向上することがわかる。
【0063】
(実施例3)
トルエンを原料として燃焼法により得られたすす状物質3.8mgを熱重量測定装置(セイコー社製TG−DTA6300)を用い、乾燥窒素ガス流(100cc/分)中で、室温より昇温速度20℃/分にて1150℃まで加熱しながら重量の変化を測定した。
得られた結果を図6に示す。なお、図6において、左縦軸は重量3.8mgに対する減量率(TG%)を、右縦軸は減量率の変化率(DTG%/min)を、横軸は加熱温度をそれぞれ示す。
図6に示した減量率を示すグラフ及び減量率の変化率を示すグラフから明らかな通り、温度が100℃以上になると重量が徐々に減少し、400℃付近から重量減少が加速されていることが判る。そして、500℃以上の高温領域において、すす状物質の重量が急激に減少する。ここで、フラーレンの昇華温度が400〜800℃であることを考慮すると、すす状物質の急激な重量減は、すす状物質中の多量のフラーレンの昇華に起因するものであることが判る。
これより、フラーレン回収装置内のガスの温度が500℃以上の高温領域では、生成したフラーレンは昇華して気体状態で存在しており、フィルターで捕捉できない可能性が十分に考えられる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明のフラーレンの製造方法及びその設備を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、熱交換器でそれぞれ加熱したトルエンガスと酸素ガスを別配管でバーナに給し、バーナで混合してから反応炉本体内に吐出したが、熱交換器でそれぞれ加熱したトルエンガスと酸素ガスを混合器で混合して混合ガス状態にしてから混合室を有しないバーナに供給しフラーレン反応炉本体内に吐出するようにしてもよい。この場合も、混合ガスの温度がトルエンの気化温度以上で自己着火温度未満となるように各熱交換器を運転する。
【0065】
熱交換器でそれぞれ加熱したトルエンガスと酸素ガスをフラーレン反応炉に設けた吐出部からフラーレン反応炉内に吐出し、フラーレン反応炉内で拡散混合しながら燃焼させるようにすることもできる。この場合、トルエンガスの加熱温度範囲は、気化温度以上で炭化温度未満となる。また、酸素ガスの加熱温度範囲は、トルエンの気化温度以上であれば上限に制限はない。
バーナをフラーレン反応炉本体の上端側(重力的に上方)に設けたが、フラーレン反応炉の側部の上側に、あるいは下端側(重力的に下方)にバーナを設けることも可能である。また、バーナを各吐出口毎に分割して設け、それぞれに混合室及び蓄圧室を配置するようにしてもよい。
バーナの吐出部として多孔質セラミック焼結体の板で形成された吐出部を使用したが、ステンレス鋼等の耐熱鋼で形成された吐出部を使用してもよい。また、ステンレス鋼製の耐熱金属で形成された微小径ノズルを集合させた吐出部を使用することもできる。
また、パイプの側壁の冷却、サイクロンの側壁の冷却に水冷ジャケットを使用したが、水冷管(水冷コイル)を取付けてもよいし、水冷ジャケット及び水冷管を組合わせて取付けてもよい。
【0066】
【発明の効果】
請求項1及びこれに従属する請求項2、3記載のフラーレンの製造方法においては、通路の途中に、導入されたガスを旋回流にして冷却された側壁に接触させる冷却手段を設け、ガスを積極的に冷却させるので、フラーレン回収装置に流入する際のガスの温度をフラーレンの分解温度未満にすることができ、フラーレン回収装置で捕集したフラーレンを含有するすす状物質からなる捕集層の温度をフラーレンの分解温度未満にして、捕集層内でのフラーレンの分解を防止することが可能となる。その結果、フラーレンの回収率を、例えば2%向上させることが可能になる。
【0067】
特に、請求項2記載のフラーレンの製造方法においては、フラーレン回収装置に流入する際のガスの温度を600℃以下にするので、フラーレン回収装置内でのフラーレンの分解を確実に防止してフラーレンの回収率を向上させることが可能になる。
また、フラーレン回収装置に流入する際のガスの温度を下げることで、フラーレン回収装置に使用する高温用フィルターを耐熱温度以下で使用することが可能となり、長時間にわたって安定してフラーレンの回収を行うことが可能となる。その結果、フラーレンの生産性を向上させることができる。
更に、フラーレン回収装置に使用する高温用フィルターの交換頻度を低下することができ、フラーレンの製造装置の維持管理費用を低減して、フラーレンの製造装置の稼働率を向上することが可能となる。
【0068】
請求項3記載のフラーレンの製造方法においては、ガスに不活性ガスを混入するので、ガスに不活性ガスが混入して形成される混合ガスの温度を効率的に下げることができ、フラーレン製造装置から排出するガス温度が変動しても、フラーレン回収装置に流入する混合ガスの温度を確実にフラーレンの分解温度未満にすることが可能となる。その結果、フラーレンの回収率を安定的に高位に維持することが可能になる。
【0069】
請求項4記載のフラーレンの製造設備においては、通路はガスを通過させながら冷却する第1の冷却手段、及び通過したガスを旋回流にする旋回流発生手段を備えた上流側通路と、ガスの旋回流を通過させながら冷却する第2の冷却手段を備えた下流側通路を有しているので、また、請求項5記載のフラーレンの製造設備においては、通路には通過するガスを旋回流にして冷却された側壁に接触させて冷却するサイクロン型の旋回流発生装置が設けられているので、高温のガスの旋回流を容易に形成することができると共に、ガス中からフラーレンを含有するすす状物質を効率的に分離してフラーレン回収装置に供給することができ、フラーレン回収装置の負担を低減してフラーレンの回収を行うことが可能になる。
更に、フラーレン回収装置はフラーレン含有すす状物質を捕集できるので、フラーレン分離工程における作業負担を低下することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るフラーレンの製造設備を示す説明図である。
【図2】図1のP−P矢視断面図である。
【図3】同製造設備の変形例に係る通路の説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るフラーレンの製造設備を示す説明図である。
【図5】同製造設備の変形例に係るサイクロン型の旋回流発生装置の説明図である。
【図6】すす状物質を乾燥窒素ガス流中で加熱した際の、減量率及び減量率の変化率を示すグラフである。
【符号の説明】
10:フラーレンの製造設備、11:フラーレン反応炉、12:通路、13:フラーレン回収装置、13a:回収装置本体、14:ガス冷却器、15:減圧装置、16:反応炉本体、17:バーナ、18:原料炭化水素含有ガス供給配管、19:酸素含有ガス供給管、20:混合室、21:蓄圧室、22:吐出部、23、24:熱交換器、25:気化装置、26、27:流量調節器、28、29:パイプ、30、31:水冷ジャケット、32:上流側通路、33:パイプ、34:水冷ジャケット、35:下流側通路、36:高温耐熱フィルター、37:逆洗浄機構、38:タンク、39:電磁弁、40:排出弁、41:ガス排出配管、42〜44:冷却水導入管、45〜47:冷却水導出管、48:不活性ガス混入手段、49:通路、50、51:不活性ガス流入管、52:フラーレンの製造設備、53:フラーレン反応炉、54:第1の通路、55:サイクロン型の旋回流発生装置、56:第2の通路、57:排出部、58:旋回流発生装置本体、59:排出部、60:天井板、61:排出口、62:排出管、63:水冷ジャケット、64:冷却水導入管、65:冷却水導出管、66:不活性ガス混入手段、67:サイクロン型の旋回流発生装置、68:不活性ガス流入管
Claims (5)
- バーナから供給された原料炭化水素含有ガスを燃焼させてフラーレンを生成するフラーレン製造装置から排出するフラーレンを含む高温のガスを通路を介してフラーレン回収装置に送り、前記ガス中からフラーレンを含有するすす状物質を回収するフラーレンの製造方法において、
前記通路の途中に、導入された前記ガスを旋回流にして冷却された側壁に接触させる冷却手段を設け、前記ガスを積極的に冷却させることを特徴とするフラーレンの製造方法。 - 請求項1記載のフラーレンの製造方法において、前記フラーレン回収装置に流入する際の前記ガスの温度を600℃以下にすることを特徴とするフラーレンの製造方法。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載のフラーレンの製造方法において、前記ガスに不活性ガスを混入することを特徴とするフラーレンの製造方法。
- バーナから供給された原料炭化水素含有ガスを燃焼させてフラーレンを生成するフラーレン製造装置から排出するフラーレンを含む高温のガスを通路を介してフラーレン回収装置に送り、前記ガス中からフラーレンを含有するすす状物質を回収するフラーレンの製造設備において、
前記通路は前記ガスを通過させながら冷却する第1の冷却手段、及び通過した該ガスを旋回流にする旋回流発生手段を備えた上流側通路と、
前記ガスの旋回流を通過させながら冷却する第2の冷却手段を備えた下流側通路を有していることを特徴とするフラーレンの製造設備。 - バーナから供給された原料炭化水素含有ガスを燃焼させてフラーレンを生成するフラーレン製造装置から排出するフラーレンを含む高温のガスを通路を介してフラーレン回収装置に送り、前記ガス中からフラーレンを含有するすす状物質を回収するフラーレンの製造設備において、
前記通路には通過する前記ガスを旋回流にして水冷ジャケットで冷却された側壁に接触させて冷却するサイクロン型の旋回流発生装置が設けられていることを特徴とするフラーレンの製造設備。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003172382A JP3861075B2 (ja) | 2003-06-17 | 2003-06-17 | フラーレンの製造方法及びその設備 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003172382A JP3861075B2 (ja) | 2003-06-17 | 2003-06-17 | フラーレンの製造方法及びその設備 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005008456A JP2005008456A (ja) | 2005-01-13 |
JP3861075B2 true JP3861075B2 (ja) | 2006-12-20 |
Family
ID=34096557
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003172382A Expired - Lifetime JP3861075B2 (ja) | 2003-06-17 | 2003-06-17 | フラーレンの製造方法及びその設備 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3861075B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA2711378A1 (en) * | 2008-01-21 | 2009-07-30 | Nikkiso Co., Ltd. | Carbon nanotube synthesis process apparatus |
CN102741162A (zh) * | 2010-02-19 | 2012-10-17 | 国立大学法人东京大学 | 纳米碳材料制造装置及纳米碳材料的制造方法 |
JP7456156B2 (ja) * | 2019-12-27 | 2024-03-27 | 株式会社レゾナック | 排ガスの冷却装置、フラーレンの製造装置及びフラーレンの製造方法 |
JP7456159B2 (ja) * | 2019-12-27 | 2024-03-27 | 株式会社レゾナック | 排ガスの冷却装置、フラーレンの製造装置及びフラーレンの製造方法 |
JP7495188B2 (ja) * | 2020-06-18 | 2024-06-04 | 三菱商事株式会社 | フラーレンの製造装置およびフラーレンの製造方法 |
CN116601112A (zh) * | 2020-12-17 | 2023-08-15 | 株式会社力森诺科 | 富勒烯的制造装置及制造方法 |
-
2003
- 2003-06-17 JP JP2003172382A patent/JP3861075B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2005008456A (ja) | 2005-01-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3984956B2 (ja) | カーボンナノ材料の製造用バーナーと燃焼装置 | |
JP3926333B2 (ja) | 液体炭化水素からカーボンナノ材料の合成のための燃焼方法 | |
JP3861075B2 (ja) | フラーレンの製造方法及びその設備 | |
US20060140845A1 (en) | Method for producing fullerene | |
JP3718516B2 (ja) | フラーレンの製造方法 | |
JP2005170695A (ja) | フラーレン類の製造方法 | |
US20050129607A1 (en) | Method for producing fullerenes | |
JP2005060196A (ja) | フラーレンの製造設備及び方法 | |
JP6201264B2 (ja) | 無機質球状化粒子製造用バーナ、無機質球状化粒子製造装置、無機質球状化粒子の製造方法及び無機質球状化粒子 | |
JPH10292126A (ja) | カーボンブラックの製造方法 | |
JP2021195296A (ja) | フラーレンの製造装置およびフラーレンの製造方法 | |
JP3934083B2 (ja) | フラーレンの製造方法 | |
JP2668266B2 (ja) | 高温高圧粗合成ガス流中の汚染物を変える方法 | |
JP2003221216A (ja) | フラーレン類の製造方法及びその装置 | |
JP2021104917A (ja) | 排ガスの冷却装置、フラーレンの製造装置及びフラーレンの製造方法 | |
JP2003160316A (ja) | フラーレン類の製造方法およびフラーレン類の製造装置 | |
JP2004027452A (ja) | 気相法炭素繊維の製造法および製造装置 | |
EP1712521A1 (en) | Apparatus and method for preparing fullerene | |
JP6901165B2 (ja) | 平衡接近反応器 | |
JP2004051441A (ja) | フラーレン類の製造用バーナー及びこれを用いたフラーレン類の製造方法 | |
JP6351429B2 (ja) | 水素ガス製造装置および水素ガス製造方法 | |
JP2024053127A (ja) | フラーレンの製造装置及びフラーレンの製造方法 | |
JP2021104918A (ja) | 反応炉およびフラーレンの製造装置 | |
Alford et al. | Burners and combustion apparatus for carbon nanomaterial production | |
JP2003192321A (ja) | フラーレンの製造装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050121 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050314 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051222 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060314 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060511 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20060512 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060912 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060925 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 3861075 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090929 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090929 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090929 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120929 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130929 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |