JP3856247B2 - エンジンのオイル通路構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンのオイル通路構造に関し、特に冷凍機や空調機のコンプレッサを駆動するためのエンジンのオイル通路構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジン各部分の回転部や摺動部を円滑に動作させるためにオイルが循環される。このオイルは通常クランク室内下部のオイルパン内に設けたオイルポンプからオイル通路を介して各部に供給される。一方、冷凍機あるいはガスヒートポンプその他の冷暖房切り換えヒートサイクルを有する空調機は、冷媒圧縮用のコンプレッサを有し、このコンプレッサを駆動するために、オーバーヘッドバルブ(OHV)型式の単気筒あるいは複数気筒エンジンが用いられている。
【0003】
このような空調機等を駆動するためのエンジンは例えば建物の機械室内に設置され、エンジン上部のスペースを有効に利用しかつ重心位置を下げて振動等の影響を抑制するためにシリンダをほぼ水平の横置きに配置している。このような空調機駆動用横置き型エンジンにおいて、特に低速回転域でのトルク変動に基づく振動や騒音を抑制するために、クランク軸と並列して反トルクバランサをクランク室内に設けて、建物内での運転可能領域を低速域まで広げたエンジンが本出願人により研究開発され未公開提案されている。
【0004】
このようなバランサを備えたエンジンのクランク室は、クランク室の背面および外周面の壁体を構成するシリンダブロックと一体の第1のケースと、クランク室の前面の壁体を構成する第2のケースとを組合せて構成される。オイルは、このクランク室の壁体内に形成したオイル通路を介して、クランク軸、カム軸およびバルブ駆動用タペット軸等の回転部分および前記バランサの回転軸部分に供給される。このようなオイル通路は、加工工程でクランク室壁体内に形成した後、鋳造欠陥部分を水ガラス材で埋める含浸工程や、オイル漏れ等を検査する圧力検査工程が施され、オイル循環機能の信頼性を高め円滑なエンジン動作の実現を図っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来提案されていたエンジンにおいては、クランク室の壁体を構成する第1のケースおよび第2のケースの両方にオイル通路を形成して、エンジン各部にオイルを供給していた。このため、加工工程が面倒になり、両方の鋳造金型が複雑で高価になり、また両ケースに対し含浸工程および圧力検査工程を施さなければならず、製造プロセスの工程数が多くなり生産性の低下を来すことになる。また、第1、第2の両方のケースに対しオイル通路を形成するため、両ケースに対し加工ミスや組立て誤差等が発生するおそれがあり、歩留り低下の原因ともなる。
【0006】
本発明は上記の点を考慮してなされたものであって、オイル通路形成に際し、加工、含浸および圧力検査の各工程数の削減を図り、効率的にオイル通路を形成して生産性および歩留りを高めたエンジンのオイル通路構造の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明では、バルブ駆動用タペットを有するヘッドカバーと、吸・排気バルブが装着されたシリンダヘッドと、ピストンが摺動するシリンダブロックと、コンロッドを介して前記ピストンを駆動するクランク軸と、このクランク軸を収容するクランク室と、このクランク室の外周面および背面の壁体を構成するシリンダブロックと一体の第1ケースと、該クランク室の前面の壁体を構成する第2ケースと、このクランク室内に設けたバランサおよびバルブ駆動用カム軸とを有し、前記クランク軸、バランサの回転軸、カム軸およびタペットの駆動軸の内部にそれぞれオイル通路を形成するとともに、前記クランク室内下部のオイルパン内にオイルポンプを設け、このオイルポンプから前記各オイル通路にオイルを供給するオイル供給通路を前記クランク室壁体に設け且つ、前記オイル供給通路を、前記クランク室の第2ケース側にのみ形成したことを特徴とするエンジンのオイル通路構造を提供する。
【0008】
この構成によれば、クランク室前側のみを覆う小さい形状の第2ケースにのみオイル通路を集約して形成するため、第1ケースの金型が簡素化し加工作業が容易になり、含浸工程や圧力検査工程が不要となって製造プロセスの効率化が図られ生産性が向上する。また、オイル通路の加工ミスや組立てミスの発生のおそれは第2ケース側にのみ起こり、第1ケース側には起こり得ないため、欠陥発生のおそれが減少し歩留りが向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】
好ましい実施の形態においては、前記クランク軸およびバランサの回転軸へのオイル供給通路を前記第2ケースの壁体内に形成し、前記カム軸およびタペットの駆動軸へのオイル供給通路を前記第2ケースの前側に設けた外部配管により構成したことを特徴としている。
この構成においては、クランク室内で隣接するクランク軸およびバランサに対し、オイル供給通路を第2ケース内に形成するとともに、カム軸およびこれに連動するタペット軸に対し第2ケース前側の配管によりオイル供給を行うため、小面積の第2ケース壁体が有効に利用され、第1ケース側に干渉することなく、シンプルなオイル通路レイアウトが得られ、製造組立てやメンテナンス作業が効率的に行われる。
【0010】
さらに好ましい実施の形態においては、前記オイルポンプに近接した位置のクランク室外側にオイルフィルタを設け、オイルポンプとこのオイルフィルタとを結ぶオイル通路およびオイルフィルタとクランク軸内のオイル通路とを結ぶオイル供給通路を前記第2ケースの壁体内に形成したことを特徴としている。
この構成によれば、オイルフィルタとオイルポンプ間のオイル通路が短くシンプルになり、第2ケース壁体内のオイル通路レイアウトが簡素化して、製造や組立て、検査等の製造プロセスが効率的に行われる。
【0011】
さらに好ましい実施の形態においては、前記オイルフィルタとクランク軸のジャーナル部とを結ぶオイル供給通路、およびこのクランク軸のジャーナル部と前記バランサ回転軸のジャーナル部とを結ぶオイル供給通路を前記第2ケースの壁体内に形成したことを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、隣接して並列配置されたバランサとクランク軸の各ジャーナル部同士をオイル供給通路で結び、このオイル供給通路が前記第2ケースの壁体内に形成されるため、バランサに対するオイル供給通路が第2ケース内でシンプルに形成され、第2ケース壁体内のオイル通路レイアウトが簡素化して、製造や組立て、検査等の製造プロセスが効率的に行われる。
【0013】
【実施例】
以下図面を参照して本発明の実施例について説明する。
図1は本発明の実施例に係る横置き型エンジンの全体構成を示す側面図、図2はその要部上面図、図3はその要部構成を示す側面図である。なお、図において、エンジン各部のレイアウトを示すため、部分的に各構成部材を透視的に重ねて描いてある。
【0014】
エンジン1は、OHV単気筒の横置き型エンジンであり、ヘッドカバー2を頭部に有するシリンダヘッド3と、このシリンダヘッドに結合されたシリンダブロック4と、このシリンダブロックに連続して一体的に形成されたクランク室5とにより構成される。シリンダブロック4は、ほぼ水平横置きに配置され、図2、図3に示すように、内部をピストン29が摺動する。このようなエンジン1のハウジングとなるシリンダヘッド3、シリンダブロック4およびクランク室5等は、例えばアルミダイカスト等による鋳造成型品である。シリンダヘッド3の上部には、吸引される空気の圧力を下げるベンチュリ部と該ベンチュリ部に設けられた燃料ガス吐出用のノズルとからなる混合部と、ベンチュリ部下流の混合気通路に設けられたスロットル弁からなる混合器6が備わる。この混合器6は、アイドル運転制御を安定させるため、アイドル運転時にはスロットル開度制御を停止させ、アイドル時の回転変動にかかわらず最適な一定開度に保持する構成とする。
シリンダヘッド3には、燃焼室に向けて点火プラグ7が装着される。また、排気および吸気通路(一方の通路31のみ図示)が形成され、それぞれ、燃焼室に臨むポート部に排気および吸気弁(一方の弁8のみ図示)が装着される。
クランク室5内の中央部よりやや上側にクランク軸9が装着される。クランク軸9には駆動ギヤ38(図3)が装着され、この駆動ギヤ38にカムギヤ10が噛み合う。カムギヤ10の軸11にはカム39が装着される。カム39は、プッシュロッド37およびその端部のコッター40を介して、ロッカーアーム42をその軸41廻りに揺動させ、吸・排気弁8を、クランク軸9の回転に同期して所定のタイミングで開閉動作させる。
【0015】
クランク室5の下部はオイルパンとして形成され、オイルが一点鎖線Lで示す上限位置まで充填される。このオイルパンに隣接してシリンダブロック4の下側に、補助タンク12が設置され、内部にオイルが収容される。この補助タンク12は図示しない連通管を介してその底部がクランク室のオイルパンと連通し、その上部がクランク室の上部と連通している。従って、オイルレベルはクランク室のオイルパンと同じである。この補助タンク12にレベルゲージ13が装着され、これを引き抜いて適宜オイルレベルを一点鎖線Lの上限位置にあるか検出することができる。
【0016】
前記カムギヤ10は、クランク軸9より下側に配置され、その下部がオイルレベルの上限位置Lより下側になって、オイル内に浸漬される状態になる。このカムギヤ10の下部のオイル浸漬部分を覆ってバッフルプレート14が設けられる。このようなバッフルプレート14を設けることにより、カムギヤによるオイルパン内のオイル攪拌が防止され、エネルギーロスの軽減とともにオイルミスト化によるオイルの飛散散出が防止される。
【0017】
クランク室5の上部には、ブローバイガス排出ポート15が設けられ、エンジンのクランク回転や振動に伴うエンジン内部の圧力変動を逃し、内圧が高まったときのオイルシールからの漏れをなくしオイルシールを保護する。また、クランク室5の上部外側のクランク軸9よりシリンダ側(図の右側)には、スタータモータ16が装着される。このスタータモータ16のピニオン16aは、外周に被駆動ギヤの設けられたフライホイル24と始動時のみ噛み合う。
【0018】
クランク室5の上部内側であって、クランク軸9に関しシリンダと反対側(図の左側)には、バランサ17が装着される。このバランサ17は、図2に示すように、その軸17aにギヤ17bが固定され、このギヤ17bは、クランク軸9に固定した駆動ギヤ35に噛み合う。バランサ17の軸17aには、所定形状のバランサウェイト17cが固定される。このバランサは、通常の自動車エンジンのバランサのように慣性モーメントによる起振力を打消すことよりも、低速回転領域におけるトルク変動に基づく加振力を打消すことを目的とした反トルクバランサであって、クランク軸とフライホイルとの合計回転質量(合計慣性モーメント)に対応した回転質量(慣性モーメント)のバランサウェイト17cを有し、クランク軸回転と逆方向に例えば2倍に増速して回転させ回転質量の軽量化を図っている。このようなバランサを設けることにより、エンジン始動時あるいは低速回転での回転変動に起因する振動が効果的に抑制され、従来用いられていたエンジンの振動変位を止める特別な振動吸収用ゴムストッパや冷媒配管の振動吸収用フレキシブル管を省略あるいは簡素化することができる。
【0019】
さらに、このバランサ17は、フライホイルのはずみ車作用による慣性モーメント機能を併せもつため、クランク軸9の端部に装着したフライホイル24の軽量化が図られ、板金による製造が可能となって、製造プロセスの簡素化およびエンジン幅の縮小による小型化が図られる。
【0020】
また、バランサ17は、クランク室5内部の上部に設けてあるため、下部のオイルパン内のオイルを攪拌することはなく、オイルの飛散が防止され、また攪拌による無駄なエネルギー損失が防止される。このバランサ17の軸17aは、図2に示すように、クランク軸9よりも短くクランク軸9より外側に突出しない。従って、エンジン幅を増大させることはない。
【0021】
クランク室5は、図2に示すように、クランク軸9の周囲全体および背面側を覆いシリンダブロック4と一体に形成されるクランク室ケーシング5aと、このクランク室ケーシング5aの前面を覆うクランク室カバー47(図2の斜線部)により形成される。
【0022】
クランク軸9内にはオイルが循環するオイルギャラリ33が形成され、またバランサ17の軸17a内にはオイル通路34が形成され、クランク室カバー47に設けたオイル通路46を介してオイルが循環する。
バランサ17にクランク軸9の回転を伝達する駆動ギヤ35には、衝撃荷重吸収用のダンパスプリング45が係合して配置され、駆動ギヤ35の歯面をバランサ側のギヤ17aの歯面に対し弾発的に押し当てる。このようなダンパスプリング45を設けることにより、特に低速運転時の両ギヤ間の振動による騒音や衝撃荷重を吸収して歯面に対する応力を軽減し、歯幅を狭くして小型軽量化を図ることができる。
【0023】
クランク室5の下部のオイルパン部分には、オイルポンプ18およびオイルフィルタ19を一体結合したオイルユニット部材が装着される。この一体ユニット化された部材のオイルポンプ18は、クランク室内のシリンダから離れた側の端部内側に取付けられ、これと一体のオイルフィルタ19はその外側に横向きに、即ち、軸をクランク軸9に対し直角に向けて、設けられる。このようにオイルフィルタを横向きにすることにより、フィルタをエンジンのクランク軸方向外側に突出させずに配設することができ、エンジンのクランク軸方向の幅を狭くして薄型化を図ることができる。また、シリンダから離れた側のクランク室の外側に設けるため、クランク室内のオイルパン容積および隣接する補助タンクスペースを充分確保することができる。さらに、フィルタとポンプとを一体結合あるいは充分近接して配置することにより、フィルタとポンプ間のオイル通路の構成が簡素化し、容易に加工および組立てが可能になる。
【0024】
また、このオイルフィルタ19は、後述のコンプレッサ回転駆動用ベルト48の下側に設けられる。これにより、フィルタ交換時にオイルがベルト上に落下して付着することがなくなり、ベルトのスリップが防止され安定した円滑なコンプレッサの回転駆動が得られる。
【0025】
クランク軸9に関しシリンダと反対側のクランク室5の外側で、クランク軸9より下側の位置に、空調用ヒートポンプの冷媒圧縮用コンプレッサ20が設けられる。このコンプレッサ20の回転軸20aはクランク軸9より下側であって、その端部に電磁クラッチ(図示しない)を内蔵するプーリ20bが装着される。このプーリ20bにベルト48を介してクランク軸9の端部(クランク室カバー47の前方外側端部)に装着したプーリ36(図1、図2)が連結され、コンプレッサ20は、クランク軸9とともに回転する。
【0026】
このコンプレッサ20は、クランク室5に固定した第1支持ブラケット21および取付け位置調整可能な第2支持ブラケット22を介してエンジン1に固定される。即ち、コンプレッサ20の下側位置で、ボルト102を介して第1ブラケット21に固定され、側面の位置で、ボルト103を介して第2ブラケット22に固定される。この第2ブラケット22は、長孔111内でのボルト110の調整により、コンプレッサ20の取付け位置が調整自在となり、ベルト48のテンション調整ができる。
【0027】
このように、コンプレッサ20をエンジン外側の左側横位置に設けることにより、コンプレッサに接続される冷媒配管上に発生する結露水がエンジン上に落下付着することがなくなりハウジングやシール部材の劣化が防止される。またブローバイガス排出ポート15への結露水の影響もなくなって機能の信頼性が保持される。特に、このコンプレッサ20の位置は、クランク軸9に関しシリンダ側のエンジン上部に設けたスタータモータ16から離れた位置であるため、電気系統に対する結露水の影響がなくなって、電気系統の劣化防止とともに始動動作の信頼性が高まる。また、クランク軸9の端部に装着したフライホイル24(図2)等との干渉を避けてクランク軸方向の幅を増大させることなくコンプレッサ20を配置するため、シンプルな構成でエンジンの薄型化を図ることができる。
【0028】
また、重量の大きいコンプレッサ20をエンジンの下部位置に設けることにより、エンジンの重心位置が下がり、振動に対する安定性が高まる。このようなコンプレッサ20を含むエンジン全体は、防振マウント23を介して、機械室床上の基礎台(図示しない)上に設置される。この防振マウント23は、クランク軸9の長さの範囲内で、エンジン下部の矩形輪郭範囲内の4隅部に設けられ、エンジンの設置スペースを増大させることはない。このように防振マウント23をクランク軸の長さ範囲内に設けることができるのは、本実施例のように、バランサ17を設けて低速域での振動を抑制することにより、従来のようにエンジンの重心位置近傍(クランク軸近傍)にマウントを設ける必要をなくしたため、クランク軸外側にマウントを突出して設ける必要がなく、かつコンプレッサ20がエンジンの下部に配置され重心位置が低いからである。
【0029】
クランク軸9は、図2に示すように、対向する一対のクランクウェブ9aを有し、その間の反対側端部にクランクピン26を介してコンロッド27が連結される。コンロッド27の先端部にはピストンピン28を介してピストン29が連結される。コンロッド27のクランクピン26に対向して、前記バランサ17のバランサウェイト17cに、コンロッド回転時の逃げ用の凹部25が形成されている。この逃げ用凹部25によりクランク軸9とバランサ軸17aの中心間距離を短くして、エンジンをコンパクトに構成することできる。シリンダヘッド3およびシリンダブロック4の壁厚内には、冷却水が循環するウォータジャケット30が形成されている。
【0030】
図4および図5は、上記実施例におけるオイル通路構造をさらに詳しく示す水平断面図および側面図であり、また図6はそのオイルポンプ部分の詳細図である。前述のように、クランク室5は、クランク軸9の周囲全体および背面側を覆いシリンダブロック4と一体に形成されるクランク室ケーシング5aと、このクランク室ケーシング5aの前面を覆うクランク室カバー47とにより構成される。即ち、クランク室5の壁体は、外周面の壁体および背面の壁体を構成するシリンダブロック4と一体のクランク室ケーシング5aを第1のケースとし、クランク室5の前面の壁体を構成するクランク室カバー47を第2のケースとして、これら第1および第2のケース5a,47を組合せてクランク室5の壁体が形成される。クランク室ケーシング5aはオイルパンの左右面、背面及び底面の各壁を構成する。
【0031】
オイルポンプ18は、略三角形のポンプカバー18a(図5、図6)を介してボルト18bにより第2ケース47に固定される。このオイルポンプ18のロータ161は、カムギヤ10に噛み合うロータ駆動ギヤ160の回転軸160aに固定され、カム軸とともにクランク軸からの駆動力により回転する。オイルパン底部に設けたストレーナ151から第2ケースの内壁に固定したフランジ153までオイル配管152が設けられ、このフランジ153部分からオイルポンプ18のロータ161の入口部分に連通するオイル通路154が、第2ケースの壁体内に形成される。さらに、このロータ161の出口部分からオイルフィルタ19に連通するオイル通路155が第2ケース47の壁体内に形成される。このオイル通路155にはリリーフ弁162(図6)が設けられる。
【0032】
オイルフィルタ19を出たオイルは、オイル通路156とオイルパイプ130の2方向に分岐して送られる。オイル供給通路156は、第2ケース47の壁体内に形成され、クランク軸9のジャーナル部周囲に形成した溝141aに連通する。このクランク軸9のジャーナル部周囲の溝141aに供給されたオイルは、クランク軸内に形成されたオイル通路33に進入し、まずクランクピン26の外周部の空間143内に供給される。さらにオイルは、クランク軸9内のオイル通路33を通して、クランク室背面側のクランク軸ジャーナル部周囲の溝141bに供給される。
【0033】
クランク室前面側のクランク軸ジャーナル部周囲の溝141aは、第2ケース47の壁体内に形成されたオイル供給通路46を介して、バランサ17の前側のジャーナル部周囲に形成された溝142aに連通する。この溝142aは、バランサ回転軸に形成されたオイルポート34aを介して、回転軸内に形成されたオイル通路34に連通し、オイルをさらにクランク室背面側のバランサジャーナル部周囲の溝142bに送る。各部に供給されたオイルは、重力による自然落下により、クランク室底部のオイルパン内に戻る。
【0034】
一方、オイルフィルタ19の出口から分岐して第2ケース47の前側に設けたオイルパイプ130は、まずカム軸11の軸心に設けたオイル通路134に連通してオイルをカムに供給する。オイルパイプ130はさらに、プッシュロッド37に沿ってシリンダブロック4の前面外側に設けたオイルパイプ131に連通し、さらにシリンダヘッド3内に設けたオイル通路132を通して、図示しないタペット(リフタ)駆動用の軸(図3のロッカーアーム42の軸41)の軸内に設けたオイル通路133に連通して、オイルを各バルブ8に供給する。
【0035】
このようにして、オイルパン内のオイルは、クランク室前面側の第2ケースの壁体内に集約して形成したオイル供給通路およびこの第2ケースの前側に設けたオイル配管を通して、クランク室背面側の第1ケースを通すことなく、エンジン内各部に供給される。なお、オイルパイプ130はクランク室カバー(第2ケース)47の前方外側において、ベルト48より下方に配置される。これにより、オイルパイプ130の脱着点検等により端部から潤滑油が洩れても、洩れる潤滑油がベルト48に垂れることはなく、ベルト48とプーリー20b、プーリー36との間で滑りが発生することはない。これにより、エンジン動力がコンプレッサ20に確実に伝達され、冷凍筋力、あるいは空調装置では暖房能力及び冷房能力が不足することがなくなる。図1において、47aおよび47bは、それぞれクランク室カバー47に設けられたオイルパイプ130の取付けボス孔である。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、クランク室前側のみを覆う小さい形状の第2ケースにのみオイル通路を集約して形成するため、第1ケースの金型が簡素化し加工作業が容易になり、含浸工程や圧力検査工程が不要となって製造プロセスの効率化が図られ生産性が向上する。また、オイル通路の加工ミスや組立てミスの発生のおそれは第2ケース側にのみ起こり、第1ケース側には起こり得ないため、欠陥発生のおそれが減少し歩留りが向上する。
【0037】
また、前記クランク軸およびバランサの回転軸へのオイル供給通路を前記第2ケースの壁体内に形成し、前記カム軸およびタペットの駆動軸へのオイル供給通路を前記第2ケースの前側に設けた外部配管により構成することにより、クランク室内で隣接するクランク軸およびバランサに対し、オイル供給通路が第2ケース内に形成されるとともに、カム軸およびこれに連動するタペット軸に対し第2ケース前側の配管によりオイル供給を行うため、小面積の第2ケース壁体が有効に利用され、第1ケース側に干渉することなく、シンプルなオイル通路レイアウトが得られ、製造組立てやメンテナンス作業が効率的に行われる。
【0038】
さらに、前記オイルポンプに近接した位置のクランク室外側にオイルフィルタを設け、オイルポンプとこのオイルフィルタとを結ぶオイル通路およびオイルフィルタとクランク軸内のオイル通路とを結ぶオイル供給通路を前記第2ケースの壁体内に形成する構成を用いれば、オイルフィルタとオイルポンプ間のオイル通路が短くシンプルになり、第2ケース壁体内のオイル通路レイアウトが簡素化して、製造や組立て、検査等の製造プロセスが効率的に行われる。
【0039】
さらに、前記オイルフィルタとクランク軸のジャーナル部とを結ぶオイル供給通路、およびこのクランク軸のジャーナル部と前記バランサ回転軸のジャーナル部とを結ぶオイル供給通路を前記第2ケースの壁体内に形成する構成を用いれば、隣接して並列配置されたバランサとクランク軸の各ジャーナル部同士をオイル供給通路で結び、このオイル供給通路が前記第2ケースの壁体内に形成されるため、バランサに対するオイル供給通路が第2ケース内でシンプルに形成され、第2ケース壁体内のオイル通路レイアウトが簡素化して、製造や組立て、検査等の製造プロセスが効率的に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係るエンジンの全体構成図。
【図2】 図1のエンジンの要部上面図。
【図3】 図1のエンジンの要部側面図。
【図4】 図1のエンジンのオイル通路の構成を示す水平断面図。
【図5】 図1のエンジンのオイル通路の構成を示す側面図。
【図6】 図1のエンジンのオイルポンプ部分の詳細図。
【符号の説明】
1:エンジン、2:ヘッドカバー、3:シリンダヘッド:
4:シリンダブロック、5:クランク室、
5a:第1ケース(クランク室ケーシング)、6:混合器、7:点火プラグ、
8:吸気(または排気)弁、9:クランク軸、10:カムギヤ、
11:カム軸、12:補助タンク、13:レベルゲージ、
14:バッフルプレート、15:ブローバイガス排出ポート、
16:スタータモータ、17:バランサ、18:オイルポンプ、
19:オイルフィルタ、20:コンプレッサ、21:第1のブラケット、
22:第2のブラケット、23:防振マウント、24:フライホイル、
25:コンロッド逃げ用の凹部、27:コンロッド、34:オイル通路、
34a:オイルポート、35:駆動ギヤ、46:オイル供給通路、
47第2ケース、130,131:オイルパイプ、
132,133,134:オイル通路、
154,155,156:オイル供給通路。
Claims (4)
- バルブ駆動用タペットを有するヘッドカバーと、吸・排気バルブが装着されたシリンダヘッドと、ピストンが摺動するシリンダブロックと、コンロッドを介して前記ピストンを駆動するクランク軸と、このクランク軸を収容するクランク室と、このクランク室の外周面および背面の壁体を構成するシリンダブロックと一体の第1ケースと、該クランク室の前面の壁体を構成する第2ケースと、このクランク室内に設けたバランサおよびバルブ駆動用カム軸とを有し、
前記クランク軸、バランサの回転軸、カム軸およびタペットの駆動軸の内部にそれぞれオイル通路を形成するとともに、前記クランク室内下部のオイルパン内にオイルポンプを設け、このオイルポンプから前記各オイル通路にオイルを供給するオイル供給通路を前記クランク室壁体に設け且つ、
前記オイル供給通路を、前記クランク室の第2ケース側にのみ形成し、
前記シリンダブロックはほぼ水平横向きに配置され、
前記オイルパンに隣接してシリンダブロックの下側に前記オイルパンと連通する補助タンクが設置され、
前記オイルポンプは、クランク室内のシリンダから離れた側の端部内側に取付けられ、
該オイルポンプと一体結合あるいは充分近接してオイルフィルタを設け、
該オイルフィルタをシリンダから離れた側のクランク室の外側に設けたことを特徴とするエンジンのオイル通路構造。 - 前記クランク軸およびバランサの回転軸へのオイル供給通路を前記第2ケースの壁体内に形成し、前記カム軸およびタペットの駆動軸へのオイル供給通路を前記第2ケースの前側に設けた外部配管により構成したことを特徴とする請求項1に記載のエンジンのオイル通路構造。
- 前記オイルポンプに近接した位置のクランク室外側にオイルフィルタを設け、オイルポンプとこのオイルフィルタとを結ぶオイル通路およびオイルフィルタとクランク軸内のオイル通路とを結ぶオイル供給通路を前記第2ケースの壁体内に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンのオイル通路構造。
- 前記オイルフィルタとクランク軸のジャーナル部とを結ぶオイル供給通路、およびこのクランク軸のジャーナル部と前記バランサ回転軸のジャーナル部とを結ぶオイル供給通路を前記第2ケースの壁体内に形成したことを特徴とする請求項3に記載のエンジンのオイル通路構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP26952596A JP3856247B2 (ja) | 1996-10-11 | 1996-10-11 | エンジンのオイル通路構造 |
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