JP3837885B2 - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用自動変速機の制御装置に関し、特に、自動変速機における低速段へのダウンシフト時の摩擦係合要素の油圧制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用自動変速機において、減速段として構成される低速段達成のために、変速機構中の特定の回転要素を係止して該要素に反力トルクを支持させている状態から、直結段等で構成される高速段達成のために、該回転要素の係止を解放させるのに、従来一般的には、ワンウェイクラッチが用いられている。このようなワンウェイクラッチを配した通常の変速機構の場合、車両の減速のためにアクセルペダルの踏み込みを緩めてスロットルをオンからオフしたとき、すなわち、エンジンの動力により自動変速機を介して車両のホイールが駆動されている(本明細書を通じて、こうした状態を「駆動」という)状態から、車両の慣性力によるホイール側からの駆動力で自動変速機を介してエンジンが逆駆動されるコースト(同じく、「非駆動」という)状態に移行したときには、回転要素に作用する反力トルクの方向が逆転するため、ワンウェイクラッチがフリーとなる。したがってこのときは、自動変速機の変速機構内で逆駆動の動力が伝わらなくなり、エンジンブレーキ作用が生じない惰性走行状態が得られる。
【0003】
しかしながら、ワンウェイクラッチは自動変速機の機構内で比較的大きなスペースと重量を占める。そこで、湿式多板構成の摩擦ブレーキを用いて、上記回転要素の係止と解放をブレーキを作動させる油圧の調整で直接制御するようにして、ワンウェイクラッチの配設を廃し、変速装置のコンパクト化を図った技術として、特開平4−302748号公報に開示の技術がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両の停止直前などのアクセルオフの低車速走行時に、低速段へのダウンシフトが生じる場合、低速段側にワンウェイクラッチが設けられていれば、上記の理由で、エンジンを制動負荷とする減速感は生じないが、上記従来技術のようにワンウェイクラッチに代えて摩擦係合要素を用いた場合、ワンウェイクラッチのようなトルクの逆転による係合と解放の自動方向性が得られないため、係合と解放のタイミング制御が実質上困難な変速中に低速段が形成されてしまうことがあり、そうした場合はコースト状態による減速感が生じ、変速フィーリングの悪化を招く。
【0005】
そこで、本発明は、機構のコンパクト化のためにワンウェイクラッチを用いない構成を採りながら、低速段へのダウンシフトによる減速感の発生を防止できる車両用自動変速機の制御装置を提供することを第1の目的とする。
【0006】
次に、本発明は、上記制御装置において、車速が極めて小さい場合に生じる可能性のある押し出し感をも防止することを第2の目的とする。
【0007】
更に、本発明は、上記制御装置において、ダウンシフト後のエンジンブレーキ作用の使用を確実に可能とすることを第3の目的とする。
【0008】
また、本発明は、ダウンシフト時の制御装置の油圧の振動によるショックの発生を防止することを第4の目的とする。
【0009】
そして、本発明は、ダウンシフトの前後を通じてそれぞれの変速段において共に共通の摩擦係合要素が係合状態となる変速機構への適用を可能とした制御装置を得ることを第5の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の車両用自動変速機の制御装置においては、低速段を達成するために係止させられる回転要素、及び該回転要素を係止させる油圧作動のブレーキを有する自動変速機であり、前記ブレーキを作動させるための油圧を制御する制御装置を有する車両用自動変速機に適用されるようになっている。
そして、前記ブレーキは、セルフエナージャイジング作用とディエナージャイジング作用とによって係合力に差異を生じるバンドブレーキで構成される。
また、該バンドブレーキは、セルフエナージャイジング作用下における係合によって、車両の駆動時に前記回転要素を係止させ、ディエナージャイジング作用下における係合によって、車両の非駆動時に前記回転要素を係止させることで、非駆動時の係合油圧より駆動時の係合油圧の方が低くなる領域を有するように設定される。
そして、前記自動変速機は、変速前の変速段を前記バンドブレーキ及び第1のクラッチの係合によって達成し、低速段を前記バンドブレーキ及び第2のクラッチの係合によって達成する変装機構を備える。
また、前記制御装置は、前記低速段へのダウンシフト時に、前記バンドブレーキを作動させる油圧を、セルフエナージャイジング作用下で係合可能で、かつ、ディエナージャイジング作用下で係合不能な油圧とする供給圧制御手段、及び前記第1のクラッチの滑りを検出する検出手段を備える。
そして、前記供給圧制御手段は、前記ダウンシフト時に、前記バンドブレーキを作動させる油圧を、前記第1のクラッチの滑りが検出されるまでは、セルフエナージャイジング作用下及びディエナージャイジング作用下の双方で係合可能な油圧とし、滑り検出後は、セルフエナージャイジング作用下で係合可能で、ディエナージャイジング作用下では係合不能な油圧とする。
【0011】
本発明の他の車両用自動変速機の制御装置においては、さらに、前記制御装置は、前記ダウンシフトを判断する判断手段を備え、該判断手段がアクセル解放時のダウンシフトを判断する車速は、少なくとも、該車速で前記低速段が形成された場合のタービン回転数がエンジンのアイドリング回転数より大きくなるような車速より大きくなるように設定される。
【0012】
本発明の更に他の車両用自動変速機の制御装置においては、さらに、前記バンドブレーキを作動させる油圧は、前記バンドブレーキが係合し、前記低速段が形成された後に、ディエナージャイジング作用下でも係合可能な油圧に昇圧される。
【0013】
本発明の更に他の車両用自動変速機の制御装置においては、さらに、前記低速段が形成された後の油圧の昇圧は、所定の勾配で徐々に行われる。
【0015】
【発明の作用及び効果】
本発明によれば、車両用自動変速機の制御装置においては、低速段を達成するために係止させられる回転要素、及び該回転要素を係止させる油圧作動のブレーキを有する自動変速機であって、前記ブレーキを作動させるための油圧を制御する制御装置を有する車両用自動変速機に適用されるようになっている。
そして、前記ブレーキは、セルフエナージャイジング作用とディエナージャイジング作用とによって係合力に差異を生じるバンドブレーキで構成される。
また、該バンドブレーキは、セルフエナージャイジング作用下における係合によって、車両の駆動時に前記回転要素を係止させ、ディエナージャイジング作用下における係合によって、車両の非駆動時に前記回転要素を係止させることで、非駆動時の係合油圧より駆動時の係合油圧の方が低くなる領域を有するように設定される。
そして、前記自動変速機は、変速前の変速段を前記バンドブレーキ及び第1のクラッチの係合によって達成し、低速段を前記バンドブレーキ及び第2のクラッチの係合によって達成する変装機構を備える。
また、前記制御装置は、前記低速段へのダウンシフト時に、前記バンドブレーキを作動させる油圧を、セルフエナージャイジング作用下で係合可能で、かつ、ディエナージャイジング作用下で係合不能な油圧とする供給圧制御手段、及び前記第1のクラッチの滑りを検出する検出手段を備える。
そして、前記供給圧制御手段は、前記ダウンシフト時に、前記バンドブレーキを作動させる油圧を、前記第1のクラッチの滑りが検出されるまでは、セルフエナージャイジング作用下及びディエナージャイジング作用下の双方で係合可能な油圧とし、滑り検出後は、セルフエナージャイジング作用下で係合可能で、ディエナージャイジング作用下では係合不能な油圧とする。
この場合、バンドブレーキのセルフエナージャイジング作用とディエナージャイジング作用とによって、係合力に差異を生じる特性を利用し、セルフエナージャイジング作用下における係合によって、車両の駆動時に回転要素を係止させ、ディエナージャイジング作用下における係合によって、車両の非駆動時に回転要素を係止させることで、特に、入力トルクが低く、車速が小さい車両の停止前のような走行状態で、非駆動時の係合油圧よりも、駆動時の係合油圧の方が低くなる領域を有するように設定し、低速段へのダウンシフト時に、バンドブレーキを作動させる油圧を、セルフエナージャイジング作用下で係合可能で、かつ、ディエナージャイジング作用下で係合不能な油圧としている。
これによって、アクセル解放状態での変速中において、バンドブレーキは、ディエナージャイジング作用で回転要素を係止することができなくなり、低速段が形成されることがないので、エンジンブレーキ作用の発生がなく、不快な減速感が発生するのを防止することができる。また、減速感が生じることがない駆動時では、バンドブレーキが係合して低速段が形成され、車両を駆動することができる。
そして、ダウンシフトが発生する前からブレーキが係合状態になるような変速機構においても、前記各作用及び効果を得ることができる。
【0016】
本発明の他の車両用自動変速機の制御装置においては、さらに、前記制御装置は、前記ダウンシフトを判断する判断手段を備え、該判断手段がアクセル解放時のダウンシフトを判断する車速は、少なくとも、その車速で前記低速段が形成された場合のタービン回転数がエンジンのアイドリング回転数より大きくなるような車速より大きく設定される。
この場合、ダウンシフトの判断が発生する車速が小さ過ぎると、回転要素の回転が常時セルフエナージャイジング方向となり、ダウンシフトによって駆動力が増大し、押出し感が生じてしまう。そこで、請求項2に記載の構成では、車速が前述されたように設定されるので、一旦、駆動力が伝達されない状態を経由して、車速の低下するのに伴って、駆動力が徐々に生じるようにすることができる。したがって、押出し感が生じるのを防止することができる。
【0017】
本発明の更に他の車両用自動変速機の制御装置においては、さらに、前記バンドブレーキを作動させる油圧は、前記バンドブレーキが係合し、前記低速段が形成された後に、ディエナージャイジング作用下でも係合可能な油圧に昇圧される。
この場合、変速終了後は、ディエナージャイジング作用下でのバンドブレーキの係合によって、回転要素が非駆動時に回転するのを防止することができる。したがって、変速後の低速段が確実に達成されるので、運転者がアクセルを踏み、加速した後に、エンジンブレーキ作用を有効に使用することができる。
【0018】
本発明の更に他の車両用自動変速機の制御装置においては、さらに、前記低速段が形成された後の油圧の昇圧は、所定の勾配で徐々に行われる。
この場合、バンドブレーキを係合させる油圧を徐々に上昇させることで、係合を滑らかに行うことができるので、油圧の振動等によって、ブレーキの係合状態が安定しない場合に、急激に油圧が上昇することがなく、ショックが発生するのを防止することができる。
【0019】
そして、請求項5記載の構成では、ブレーキがダウンシフトが発生する前から係合状態にあるような変速機構においても、本発明による上記の各作用と効果を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明の実施形態を説明する。図2は本発明を適用した横置構成のトランスファ装置の形態を採る自動変速機を示す。先ず、機構の概略構成から説明すると、この装置は、車両のエンジン(E/G)に連結されるロックアップクラッチ(L/C)付のトルクコンバータ12と、その出力を前進5速後進1速に変速する3段のプラネタリギヤセットM1,M2,M3を有する変速機構Mとからなる自動変速機Tと、それに減速機構を兼ねるカウンタギヤ20を介して連結され、伝達された自動変速機Tの出力を車両の左右のホイールに伝達する差動装置21とから構成されている。
【0021】
自動変速機Tにおける変速機構Mの両ギヤセットM1,M2の大小径の異なるピニオンギヤP1,P2は直結され、両ギヤセットM1,M3のそれぞれのリングギヤR1,R3とキャリアC3,C1は、相互に連結されており、ギヤセットM1のサンギヤS1とキャリアC1は入力要素とすべく、それぞれクラッチ(C−1,C−2)を介してトルクコンバータ12のタービン軸13に連なる入力軸14に連結されている。また、相互に連結されたリングギヤR1とキャリアC3は、出力ギヤ19に連結されている。更に、ギヤセットM1のサンギヤS1は、ブレーキ(B−1)により変速機ケース10に係止可能とされ、ギヤセットM2のサンギヤS2は、ブレーキ(B−2)により変速機ケース10に係止可能とされ、ギヤセットM3のサンギヤS3は、ブレーキ(B−3)により同じく変速機ケース10に係止可能とされ、キャリアC1に連結されたリングギヤR3は、ブレーキ(B−R)により変速機ケース10に係止可能とされている。
【0022】
更に、サンギヤS1は、入力軸14の外周に嵌まるサンギヤ軸16を介してクラッチ(C−1)に連結され、キャリアC1は、入力軸14の外周に嵌まるキャリア軸17を介してクラッチ(C−2)に連結され、サンギヤS3は、キャリア軸17の外周に嵌まるサンギヤ軸18を介してブレーキ(B−3)に連結されている。そして、ブレーキ(B−R)を除く各ブレーキは、バンドブレーキ構成とされ、ブレーキ(B−R)については、多板式のブレーキ構成とされており、それらの油圧サーボについては図示を省略されている。そして、出力ギヤ19がカウンタギヤ20を介して差動装置21に連結されている。
【0023】
このように構成された自動変速機Tは、電子制御装置6及び油圧制御装置5による制御の下に、各クラッチ及びブレーキに対応する油圧サーボに油圧を供給し、図3に示すように各クラッチ及びブレーキを係合(図に○印で示す)及び解放(図に無印で示す)させることで各変速段を達成する。
【0024】
すなわち、第1速(1ST)は、クラッチ(C−1)とブレーキ(B−3)の係合で達成される。このとき、駆動時の入力は、入力軸14からクラッチ(C−1)経由でサンギヤS1に入り、ブレーキ(B−3)の係合によるサンギヤS3の係止で最も減速されたキャリアC3の回転として出力ギヤ19に出力される。この変速段では、非駆動時の出力ギヤ19の回転は、ブレーキ(B−3)の係合時には、サンギヤS3の係止による反力支持で、キャリアC3、リングギヤR1、サンギヤS1、キャリアC1及びクラッチ(C−1)経由でエンジン側に伝達されるが、ブレーキ(B−3)の解放時には、サンギヤS3による反力支持が解かれるので、リングギヤR1の回転に対してピニオンギヤP1が空転し、逆駆動トルクは伝達されない。
【0025】
同様に、第2速(2ND)は、クラッチ(C−2)とブレーキ(B−3)の係合で達成される。このとき、クラッチ(C−2)経由でキャリア軸17に入った入力は、キャリアC1経由でそのままリングギヤR3に入り、ブレーキ(B−3)の係合で係止されたサンギヤS3を反力要素とするキャリアC3の差動回転として出力ギヤ19に出力される。この場合も非駆動時の出力ギヤ19の回転は、ブレーキ(B−3)の係合時には、サンギヤS3の係止による反力支持で、キャリアC3、リングギヤR3、キャリアC1及びクラッチ(C−2)経由でエンジン側に伝達されるが、ブレーキ(B−3)の解放時には、サンギヤS3による反力支持が解かれるので、リングギヤR1の回転に対してピニオンギヤP1が空転し、逆駆動トルクは伝達されない。
【0026】
また、第3速(3RD)は、両クラッチ(C−1,C−2)の係合による第1のプラネタリギヤセットM1の直結で達成される。このとき入力軸14の回転は、そのままキャリアC3の回転として出力ギヤ19に出力される。そしてこの変速機の第4速(4TH)以上は、オーバドライブとされ、第4速(4TH)は、クラッチ(C−2)の係合と、サンギヤS1を係止するブレーキ(B−1)の係合で達成される。このとき、入力軸14の回転はキャリアC1の回転に対してピニオンギヤP1の自転分増速されたリングギヤR1の回転としてキャリアC3から出力ギヤ19に伝達される。これに対して、第5速は、クラッチ(C−2)の係合と、ブレーキ(B−2)の係合で達成され、このとき、入力軸14の回転はキャリアC1の回転に対して、第4速達成時より大径のサンギヤS2に反力をとる小径のピニオンギヤP2の自転分更に増速されたリングギヤR1の回転としてキャリアC3から出力ギヤ19に伝達される。また、後進(REV)は、クラッチ(C−1)とブレーキ(B−R)の係合で達成され、このとき、クラッチ(C−1)を介するサンギヤS1への入力に対して、ブレーキ(B−R)の係合によるリングギヤR3のケース10への係止でキャリアC1の回転が止められ、ピニオンギヤP1の自転による逆転の減速されたリングギヤR1の回転がキャリアC3経由で出力ギヤ19から出力される。
【0027】
こうした構成の自動変速機Tにおいて、本発明は、低速段としての第1速及び第2速を達成するために係止される回転要素をサンギヤS3、これを係止するブレーキをブレーキ(B−3)として適用されている。そして、ブレーキ(B−3)を作動させる油圧を制御する制御装置は、本形態において、図2に示す油圧制御装置5内の図1に示す油圧回路と、それを電気信号で制御する電子制御装置6内のプログラムとして構成されている。
【0028】
図1に詳細を示すように、ブレーキ(B−3)は、ドラム31と、バンド32と、油圧サーボ4とから構成されている。そして、このドラム31が図2に示すようにサンギヤ軸18を介してサンギヤS3に連結されている。バンド32は、その両端外周側にブラケット33,34を備えており、その一方のアンカー側ブラケット33は、ケース10に植え込んだアンカーピン35に当接支持され、他方のアプライ側ブラケット34は、バンド32の拡開方向の戻り弾性で油圧サーボ4のピストンロッド42端に当接している。このブレーキ(B−3)の機構上の特性により、ブレーキ締結時に、バンド32には、ドラム31が図示反時計回り方向のトルクを受けるときには、バンド32とドラム31の係合による摩擦力がバンドを増し締めする方向に作用するため、ブレーキ係合力を増大するセルフエナージャイジング(以下、セルフエナージという)作用が生じる。これに対して、ドラム31が図示時計回り方向のトルクを受けるときには、バンド32とドラム31の係合による摩擦力がバンド締めつけ力と逆方向にバンドを緩める力として作用するため、ブレーキ係合力を減じさせるディエナージャイジング(以下、ディエナージという)作用が生じる。これにより、バンドブレーキ(B−3)は、サンギヤS3にかかる反力トルクの方向により係合力の差異が生じる。
【0029】
このブレーキ(B−3)の油圧サーボ4は、大小径の異なるシリンダボアSL ,SS を有するサーボシリンダ40と、その大径ボアSL に摺動自在に嵌挿された大径ピストン44と、小径ボアSS に摺動自在に嵌挿された小径ピストン43と、両ピストン43,44に嵌挿されたロッド42と、同じく大小径の異なる圧縮コイルスプリングからなるセパレータスプリング45及びリターンスプリング46と、大径ボアSL の開放端を塞ぐリッド41とから構成されている。小径ピストン43に固定されたロッド42は、サーボシリンダ40の小径ボアSS 側の端壁を摺動自在に貫いて突出し、バンド32のブラケット34に当接している。大径ピストン44は、ロッド42に摺動自在に支持され、小径ピストン43と大径ピストン44との間に小径のセパレータスプリング45が所定の荷重設定の基に配設されている。大径のリターンスプリング46は、サーボシリンダ40端壁と大径ピストン44との間に所定の荷重設定の基に配設されている。
【0030】
この油圧サーボ4を制御する油圧制御装置5は、ポンプを主体とするライン圧(PL )を生成させる油圧源51と、それにライン圧油路pを介して接続され、ライン圧(PL )を調圧して前記油圧サーボ4に供給するB−3コントロール弁52と、同じくライン圧油路pに接続され、ライン圧(PL )を減圧してモジュレータ圧油路mに出力するソレノイドモジュレータ弁53と、ソレノイドモジュレータ弁53により減圧されたモジュレータ圧(Pm)を基圧として制御圧(PB - 3 )を制御圧油路tを介してB−3コントロール弁52に印加するリニアソレノイド弁54を備えている。
【0031】
リニアソレノイド弁54を制御する電子制御装置6は、リニアソレノイド弁54のソレノイドに接続されると共に、図2に示すように、スロットル開度センサ71、エンジン回転センサ72、タービン回転センサ73及び出力回転センサ74に接続されている。これら各センサのうち、スロットル開度センサ71、エンジン回転センサ72及びタービン回転センサ73は、後に詳記する入力トルク算出に使用され、出力回転センサ74は、タービン回転センサ73と共に、これも後に詳記するギヤ比の算出に使用される。
【0032】
本発明の主題に沿い、バンドブレーキ(B−3)は、その係合により車両の非駆動時にサンギヤS3を係止するに必要な非駆動時油圧よりも、駆動時に回転要素を係止するに必要な駆動時油圧の方が低くなる領域を有する設定とされている。こうした設定について、図4〜図6を参照して説明する。図4は第2速時のブレーキ(B−3)係合力マップを示すもので、図に示すように、第2速において、駆動時にブレーキ(B−3)の係合を維持するに必要な係合力(TB3−2S)は、入力トルク(Tin)をパラメータとして、車速に対応する出力回転数(Nout)の増加につれて増加率が大きくなる2次曲線で表される特性となる。なお、係合力の特性がこうした2次曲線となるのは、走行負荷に打ち勝って車速を維持するに要する駆動トルクが、車速の増加と共に2次曲線的に増加する空気抵抗分の負荷の影響を受けるためである。これに対して、非駆動時のブレーキ(B−3)の係合力(TB3−2D)は、入力トルク(Tin)とは関係なく、出力回転数(Nout)の増加につれてリニアに増加する直線状の特性となる。
【0033】
したがって、図5に同様の第2速時のブレーキ(B−3)圧マップを示すように、油圧サーボに供給する駆動時のブレーキ(B−3)の係合油圧(PB3−2S)は、上記係合力の場合と同様に、入力トルク(Tin)をパラメータとして、出力回転数(Nout)の増加につれて増加率が大きくなる2次曲線で表される特性となるのに対して、非駆動時のブレーキ(B−3)の係合油圧(PB3−2D)の方は、出力回転数(Nout)の増加につれてリニアに増加する直線状の特性となる。そこで、セルフエナージ時とディエナージ時との摩擦係合力の差により、非駆動時よりも高い係合力が必要な駆動時でも、入力トルク(Tin)が小さい領域では、非駆動時より低い油圧で駆動時の係合状態を達成できる。このことは、図6に示す第1速時のブレーキ(B−3)圧マップ上の第1速時のブレーキ(B−3)の駆動時の係合圧(PB3−1S)と非駆動時の係合圧(PB3−1D)についても同様にいえる。
【0034】
なお、図5及び図6において、入力トルク値(Tin1)は、入力トルクが0又は車両の車速を維持する程度の低い値であり、2→1ダウンシフトが生じるような走行時に対応するトルクである。したがって、入力トルクが低い値(Tin1)のときに、図に編みかけで示す領域、厳密には非駆動時の必要油圧(PB3−2D,PB3−1D)は含まず、駆動時の必要油圧(PB3−2S,PB3−1S)を含む領域で油圧を出力することで、駆動時にブレーキ(B−3)の係合が維持され、非駆動となると係合が解放されるブレーキ設定が可能となり、非駆動時にエンジンブレーキ作用を生じさせないようにすることができる。
【0035】
かくして、上記の設定によれば、一定の車速を超えるまでは、バンドブレーキ(B−3)の油圧サーボ4へ非駆動時油圧よりも低く、駆動時油圧に等しいか又はそれより高い油圧を供給することで、非駆動時のみエンジンブレーキ作用を生じないようにすることができる。なお、図にみるように、一定の車速を超える領域では、逆に駆動時油圧の方が非駆動時油圧より高くなる状態が生じるが、本発明の主題に係る低車速領域での制御には、この逆転状態の領域は関係しない。
【0036】
次に、制御装置による具体的な制御内容を説明する。図7は電子制御装置6内での制御処理のメインフローを示す。このフローは、基本的に2→1ダウンシフト状態を識別するためのもので、先ずステップS−1で変速中か否かを識別するフラグ(FH)の判定を行なう。このフラグは、初期時は0に設定されている。したがって、当初のフラグ判定不成立(N)時は、ステップS−2の2→1変速判断を行なう。この判断が不成立(N)の場合は、ステップS−6に進み、第1速か第2速であれば、ブレーキ(B−3)の係合を維持させるためのステップS−7による定常時B−3制御のサブルーチンを実行し、更に、クラッチ(C−2)又はクラッチ(C−1)の係合を維持させるためのステップS−8による定常時C−1,C−2制御のサブルーチンを実行することになる。また、ステップS−6の第1速又は第2速の判断が不成立(N)の場合は、そのままリターンさせる。一方、ステップS−2の2→1変速判断が成立(Y)すると、ステップS−3でフラグを設定(FH=1)し、ステップS−4の変速時B−3制御サブルーチンを実行し、次にステップS−5で変速時C−1,C−2制御サブルーチンを実行することになる。
【0037】
図8は上記変速時B−3制御のサブルーチンのフローを示す。ここでは、先ずステップS−11で入力トルク(Tin)の算出を行なう。この算出は、図9及び図10に示すマップに基づいて行なわれる。具体的には、スロットル開度センサ71の検出するスロットル開度(TH)と、エンジン回転センサ72の検出するエンジン回転数(Ne)とから、図9に示すエンジントルクマップに基づき、エンジン出力トルク(Te)を得る。次いで、エンジン回転センサ72の検出するエンジン回転数(Ne)と、タービン回転センサ73の検出するタービン回転数(NT)とからトルクコンバータ12の速度比(e)を算出する。ここに、速度比(e)は、e=NT/Neとなる。更に、速度比(e)から、図10に示すトルク比マップに基づき、トルク比(Tt)を得る。そして、次式より変速機構Mの入力トルク(Tin)を算出する。すなわち、入力トルク(Tin)は、Tin=Tt・Teで表される。
【0038】
図8のフローに戻って、次のステップS−12では、ギヤ比算出のための出力回転数(Nout)とタービン回転数(NT)の検出を行なう。そして、ステップS−13でギヤ比(G)を算出する。このギヤ比(G)は、G=NT/Noutとなる。かくして得られたギヤ比(G)を、ステップS−14において、第2速ギヤ比(G2)と比較する。この結果、G>G2によりクラッチ(C−2)がスリップを開始し、変速が始まったことが判断される。この判断が不成立(N)の変速が開始されるまでは、ブレーキ係合圧(PB3)を必ず係合状態を保持する値にするために、最大(MAX)値を出力する処理を実行することになる。すなわち、ステップS−22で、図5に示す第2速時のB−3圧マップより非駆動時のブレーキ係合圧(PB3−2D)及び駆動時のブレーキ係合圧(PB3−2S)の読み込みを行い、ステップS−23で、ブレーキ係合圧としてPB3=MAX(PB3−2S,PB3−2D)、すなわち、非駆動時のブレーキ係合圧(PB3−2D)と駆動時のブレーキ係合圧(PB3−2S)のうち、いずれか大きな方を出力させる。
【0039】
やがてステップS−14の変速開始判断が成立(Y)すると、ステップS−15に進み、先に算出したギヤ比(G)が第1速ギヤ比(G1)に同期したか否かを判断する。この同期が確認されるまでは、ステップS−24により図6に示す第1速時のB−3圧マップより駆動時のブレーキ係合圧(PB3−1S)を読み込み、ステップS−25でブレーキ係合圧をPB3=PB3−1Sとして油圧を出力する。これにより、変速が開始すれば、セルフエナージ時のB−3油圧が供給され、この際のブレーキ(B−3)のドラム31にかかるトルクの方向はディエナージ側なので、ドラム31は回転し、サンギヤS3は空転する。
【0040】
このようにして変速が進行し、ステップS−15の第1速同期判断が成立(Y)し、それによりバンドブレーキ(B−3)の係合が判断された時点で、ステップS−16により第1速同期後に油圧を徐々に上昇させるためのタイマ(T)のリセット(T=0)を確認し、ステップS−17で、タイマ(T)の計測を開始する。そして、ステップS−18で、図6に示す第1速時のB−3圧マップより両ブレーキ係合圧(PB3−1S,PB3−1D)の読み込みを行なう。次のステップS−19では、その時点の駆動時の係合圧(PB3−1S)に単位時間当たりの上昇量ΔPの加算を行なう。かくして、ステップS−20によりブレーキ係合圧(PB3)が最大値まで上昇するのを監視する(MAX(PB3≧PB3−1S,PB3−1D))。そして、ブレーキ係合圧(PB3)が最大値まで上昇したところで処理を終了させるために、ステップS−21でフラグ(FH)をクリア(FH=0)し、タイマ(T)をリセット(T=0)する。かくして、先の図7に示すメインフローに戻り、定常時B−3制御の状態となる。
【0041】
なお、本実施形態では、駆動時のブレーキ係合圧(PB3−1S)をブレーキ係合圧(PB3)として出力する期間を、クラッチ(C−2)のスリップの開始が検出されてから、バンドブレーキ(B−3)の係合が検出されるまでとしたが、要は、ブレーキ係合圧(PB3)は、少なくともブレーキ(B−3)の係合が維持されることにより大きな減速感が発生する期間に対応して駆動時のブレーキ係合圧(PB3−1S)とされればよい。したがって、ステップS−2の変速判断が成立した時点からブレーキ係合圧(PB3)を駆動時のブレーキ係合圧(PB3−1S)としてもよい。
【0042】
図11は定常時B−3制御サブルーチンのフローを示す。この制御では、先に述べたと同様の方法で、ステップS−31で入力トルク(Tin)を算出し、ステップS−32で出力回転数(Nout)を検出し、ステップS−33で第1速か否かの判断を行い、第1速であれば、ステップS−34で第1速時のB−3圧マップより両係合圧(PB3−1S,PB3−1D)の読み込みを行い、ステップS−35でそれらのうちの最大値(PB3=MAX(PB3−1S,PB3−1D))を出力する。また、ステップS−33の判断で第1速でなければ、第2速時のB−3圧マップより係合圧(PB3−2S,PB3−2D)の読み込みを行い、それらのうちの最大値(PB3=MAX(PB3−2S,PB3−2D))を出力することになる。
【0043】
かくして、前記各サブルーチンでの係合圧(PB3)の出力は、具体的には、電子制御装置6におけるソレノイド駆動回路からのデューティ信号出力とされ、図1に示すリニアソレノイド弁54のソレノイドへ出力される。したがって、この処理により、図1に示す油圧回路では、モジュレータ圧(Pm)を基圧とするリニアソレノイド弁54の調圧動作で、B−3コントロール弁52のスプール端に制御圧(PB - 3 )が印加され、この力に対向するリータンスプリング荷重とフィードバック圧とのバランスで、ライン圧(PL )をサーボ油圧(PB3)に調圧するB−3コントロール弁52の調圧動作が生じ、規定のサーボ油圧(PB3)が油圧サーボ4の大径ボアSL に供給される。この油圧供給による大径ピストン44の移動でロッド42が押し出され、その先端でブラケット34を押圧するため、一端をアンカーピン35に支持されたバンド32は、ドラム31に締結される。そして、この締結状態でドラム31にかかる反動トルクが図示セルフエナージ方向にかかる場合は、反力トルクによるドラム31の回転は阻止される。また、この状態で反力トルクが図示ディエナージ方向にかかる場合は、サーボ油圧(PB3)として非駆動時必要油圧(PB3−1D)が選択されたときには、反力トルクによるドラム31の回転は阻止されるが、駆動時必要油圧(PB3−1S)が選択されたときには、ドラム31の回転は阻止されなくなる。
【0044】
図13は、上記制御による2→1ダウンシフトのタイムチャートを示す。この場合、図12に示す変速点マップに従う車速とスロットル開度の関係から2→1ダウンシフト点に達することで電子制御装置6から変速指令が出力され、当初C−2油圧の解放とC−1油圧の供給が開始される。この時点で、B−3油圧(PB3)は、通常第2速の非駆動時油圧(PB3−2D)とされている。やがてC−2油圧の解放が進行し、クラッチ(C−2)がスリップを開始すると、それにより変速開始が判断され、B−3油圧(PB3)は、第1速の駆動時油圧(PB3−1S)に切り換えられる。すると、ブレーキ(B−3)ドラムは、それまでの係合状態から解放され、第2速が達成されない状態となり、出力トルク(Tout)は0となる。そして、このトルク0の状態は、タービン回転数(NT)が第1速達成時のタービン回転数(NT1)と同期するまで継続する。この同期によりブレーキ(B−3)ドラムの係合による第1速達成状態となり、変速終了が判断されると、タイマ(T)計測による第1速の駆動時油圧(PB3−1S)の昇圧が開始され、第1速に見合った出力トルクに戻る。そして、B−3油圧(PB3)は、最終的に第1速の非駆動時油圧(PB3−1D)に戻る。こうして、変速開始から変速終了までの期間、出力トルク0の惰行状態が得られるようになる。これにより2→1ダウンシフトの際の減速感と、それによる変速フィーリングの悪化を防ぐことができることとなる。
【0045】
一方、比較のために本変速時制御を行なわない場合の2→1ダウンシフトのタイムチャートを図14に示す。このように、ブレーキ(B−3)ドラムを変速期間を通じて係合状態とする場合、クラッチ(C−2)とクラッチ(C−1)のつかみ替え時に、B−3油圧は第2速達成のための油圧から、変速開始と同時に、第1速達成のためのより高い油圧に切り換えられるため、タービン回転数(NT)は、第2速同期状態(NT2)から変速開始と同時に急速に第1速同期状態(NT1)に移行しようとするため、ブレーキ(B−3)ドラムがディエナージ側となる期間を通じて出力トルク(Tout)が負となり、大きな減速感が発生することになる。
【0046】
最後に、本発明の制御に重要なダウンシフト時の車速について説明する。図12は変速点マップを示すもので、マップ上の2→1ダウン線は、次の点に考慮し、設定されている。すなわち、2→1変速のクラッチのつかみ替えが終了したときに、タービン回転数(NT)が、エンジン(E/G)のアイドリング回転数よりも大きくなるように設定されている。なぜなら、そのようにしないと、変速中に、バンドブレーキ(B−3)がディエナージ方向のトルクを受けることにならないからである。具体的な設定方法としては、図13にタイムチャートで示す変速判断が発生してから、実際に油圧の操作が開始される時間と、その後の油圧の操作によりクラッチ(C−1)が係合するまでの時間との和、すなわち変速に要する時間(変速時間)と、変速判断が生じた時点の車速に第1速のギヤ比(G1)を乗じた見かけのタービン回転数(NT1)が、車両の減速度に依存するタービン回転数減速度に基づき、アイドル回転数に低下するまでの時間(低下時間)との関係が、変速時間<低下時間となるように、変速判断の車速を設定すればよい。
【0047】
以上、詳述したように、上記実施形態の制御装置によれば、サンギヤS3を同じ係止力で係止しようとした場合に、セルフエナージ方向よりもディエナージ方向の方が大きな油圧が必要とされる。これを利用して、セルフエナージ方向を駆動時、ディエナージ方向を非駆動時に設定することで、非駆動時にサンギヤS3の係止に必要な非駆動時油圧よりも、駆動時にサンギヤS3の係止に必要な駆動時油圧の方が低くなる領域を有するように設定している。したがって、油圧サーボ4に非駆動時油圧よりも低く、駆動油圧に等しいか又はそれより高い油圧を供給すると、定常走行状態では、バンドブレーキ(B−3)は、セルフエナージによってサンギヤS3を係止して第2速及び第1速が達成可能であり、そして、変速中は、バンドブレーキ(B−3)の係合はディエナージ方向に変わるので、サンギヤS3を係止することができなくなり、第2速又は第1速を維持することができず、エンジンブレーキが作用しなくなる。
【0048】
更に、変速期間以外は非駆動時油圧と駆動時油圧のうち大きい方の油圧を供給することで、確実にブレーキ(B−3)を係合状態に保持して、第2速達成状態及び第2速達成状態によるエンジンブレーキ作用を得ることができる。
【0049】
以上、本発明を特定の変速機構を有する自動変速機に適用した一実施形態に基づき詳説したが、本発明は、ダウンシフト時につかみ替えされるブレーキを有する、例えば先に従来技術とした挙げた変速機構の自動変速機にも適用可能なものである。また、実施形態に挙げた変速機構においも、例示した2→1ダウンシフトのように、ブレーキ(B−3)が変速の前後で共に係合状態とされるような変速に限らず、4→2、3→2、3→1ダウンシフト等の変速時の、他の摩擦係合要素を解放して、変速後にブレーキ(B−3)を係合させる変速にも適用可能であり、その場合、B−3油圧は、当初0の状態から前述のような所定の油圧に上げればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動変速機の制御装置の一実施形態を一部ブロック化して示す回路図である。
【図2】本発明を適用したトランスファ装置構成の自動変速機の機構を示すスケルトン図である。
【図3】上記自動変速機の作動図表である。
【図4】上記自動変速機のブレーキ係合力の特性図である。
【図5】上記自動変速機の油圧サーボの油圧の第2速時の特性図である。
【図6】上記自動変速機の油圧サーボの油圧の第1速時の特性図である。
【図7】上記制御装置による制御処理を示すメインフローチャートである。
【図8】上記制御処理における変速時係合圧制御のサブルーチを示すフローチャートである。
【図9】上記サブルーチにおける入力トルク算出に用いられるエンジン出力トルクマップである。
【図10】上記サブルーチにおける入力トルク算出に用いられるトルク比のマップである。
【図11】上記制御処理における定常時係合圧制御のサブルーチを示すフローチャートである。
【図12】上記制御処理における変速点マップである。
【図13】上記自動変速機の2→1ダウンシフト時のタイムチャートである。
【図14】本発明の制御を行なわない自動変速機において想定される2→1ダウンシフト時のタイムチャートである。
【符号の説明】
T 自動変速機
M 変速機構
S3 サンギヤ(回転要素)
B−3 バンドブレーキ
C−1 第2のクラッチ
C−2 第1のクラッチ
5 油圧制御装置(係合圧制御手段)
6 電子制御装置(判断手段)
S−14 変速開始判断ステップ(検出手段)
Claims (4)
- 低速段を達成するために係止させられる回転要素、及び該回転要素を係止させる油圧作動のブレーキを有する自動変速機であり、前記ブレーキを作動させるための油圧を制御する制御装置を有する車両用自動変速機の制御装置において、
前記ブレーキは、セルフエナージャイジング作用とディエナージャイジング作用とによって係合力に差異を生じるバンドブレーキで構成され、
該バンドブレーキは、セルフエナージャイジング作用下における係合によって、車両の駆動時に前記回転要素を係止させ、ディエナージャイジング作用下における係合によって、車両の非駆動時に前記回転要素を係止させることで、非駆動時の係合油圧より駆動時の係合油圧の方が低くなる領域を有するように設定され、
前記自動変速機は、変速前の変速段を前記バンドブレーキ及び第1のクラッチの係合によって達成し、前記低速段を前記バンドブレーキ及び第2のクラッチの係合によって達成する変装機構を備え、
前記制御装置は、前記低速段へのダウンシフト時に、前記バンドブレーキを作動させる油圧を、セルフエナージャイジング作用下で係合可能で、かつ、ディエナージャイジング作用下で係合不能な油圧とする供給圧制御手段、及び前記第1のクラッチの滑りを検出する検出手段を備え、
前記供給圧制御手段は、前記ダウンシフト時に、前記バンドブレーキを作動させる油圧を、前記第1のクラッチの滑りが検出されるまでは、セルフエナージャイジング作用下及びディエナージャイジング作用下の双方で係合可能な油圧とし、滑り検出後は、セルフエナージャイジング作用下で係合可能で、ディエナージャイジング作用下では係合不能な油圧とすることを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。 - 前記制御装置は、前記ダウンシフトを判断する判断手段を備え、該判断手段がアクセル解放時のダウンシフトを判断する車速は、少なくとも、該車速で前記低速段が形成された場合のタービン回転数がエンジンのアイドリング回転数より大きくなるような車速より大きくなるように設定される請求項1に記載の車両用自動変速機の制御装置。
- 前記バンドブレーキを作動させる油圧は、前記バンドブレーキが係合し、前記低速段が形成された後に、ディエナージャイジング作用下でも係合可能な油圧に昇圧される請求項2に記載の車両用自動変速機の制御装置。
- 前記低速段が形成された後の油圧の昇圧は、所定の勾配で徐々に行われる請求項3に記載の車両用自動変速機の制御装置。
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