JP3825714B2 - 耐火建築構造用鋼のサブマージアーク溶接方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、800℃までの温度における耐火性に優れた高温耐火建築構造用鋼を用いた構造物の施工に使用する溶接材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に建築物には火災時の安全性を確保するために、火災時における鋼材表面温度が350℃以下で使用するように耐火基準が定められており、ロックウールなどの耐火被覆が必要となる。しかし、耐火被覆施工費用は高額であり、工程も余分にかかること、さらには景観上からも、耐火被覆を完全に省略したいという要求は非常に高まっている。
【0003】
昭和62年の防耐火総プロの成果を受けて(38条認定により)、性能型の設計が可能となった結果、鋼材の高温強度と建物に実際に加わっている荷重とによってどの程度の耐火被覆が必要かを決定できるようになり、場合によっては無耐火被覆で鋼材を使用することも可能となった。
【0004】
こうした状況から、近年、短時間の高温強度を高めたいわゆる耐火鋼が多く開発された。特開平2−77523号公報をはじめとして、600℃での高温降伏強度が常温時の2/3以上となる鋼材、すなわち600℃耐火鋼の技術は多数開示されている。また、特開平9−209077号公報や特開平10−68015号公報などでは、700℃での高温降伏強度が常温時の2/3以上となる、700℃耐火鋼の技術も開示されている。
【0005】
600℃耐火鋼では、無耐火被覆構造が可能となるのは比較的可燃物量が少ない立体駐車場や外部鉄骨に限られるが、700℃耐火鋼では無耐火被覆が可能となる構造物が多くなる。さらに耐火性能が800℃以上であれば、無耐火被覆構造が可能となる範囲の大幅な拡大が可能である。
【0006】
一方、現行の耐震設計法では骨組みの変形による地震エネルギー吸収を前提としていることから、設計上で想定した骨組みの崩壊形の確保や、部材の塑性変形能力の確保、部材性能を十分発揮させるために接合部の降伏強度や靭性の確保が必要となり、これに用いる建築構造用の鋼材には、降伏強度のばらつきの制限(つまり降伏強度の上下限)や、降伏比上限などの耐震性の規定、溶接性の確保が必要とされる。SN材(JIS G136−1994)はこれらの耐震性、溶接性に関する規定がなされた鋼材であり、400MPa級鋼(降伏強度の下限:235MPa)の場合、降伏強度の上限が355MPa、降伏比の上限が80%、490MPa級鋼(降伏強度下限325MPa)の場合、降伏強度の上限が445MPa、降伏比の上限が80%というように規定されている。
【0007】
高温強度を確保するために、例えばボイラなどの500〜600℃程度の高温、高圧環境で用いられる耐熱鋼ではCr、Mo、Mn、Vなどの合金元素を添加する方法が一般的に利用される。しかし800℃というような高温においては、変態によって鋼材の組織が変化することや、炭化物などの析出物が粗大化あるいは消失して析出強化の効果が少なくなるため、耐火性能を確保するためには合金元素量が多量になり、溶接継手靭性などの溶接性を低下させることの他、常温強度が高くなるため上記建築構造用鋼で規定されている降伏強度上限を上回るなどの問題が生じる。こうしたことから、従来、800℃まで無耐火被覆での設計が可能な耐火性能を有する建築構造用途の400MPa級鋼、490MPa級鋼はなかったが、最近になって、合金元素、熱間圧延の条件の適正化、Ac1変態温度の向上等により、800℃までの高温においても耐火性に優れた高温耐火建築構造用鋼が開発されつつある。
【0008】
このような800℃までの高温耐火建築鋼構造物では、作用応力の大きな部位の接合には溶接を適用しないので、溶接のための溶接材料として、母材と同程度の高温強度特性を有する溶接金属が得られるようなものは不要である。しかし、建築鋼構造物の柱製作時などの必要最小限の接合部位には溶接施工が適用され、このような溶接部は、作用応力は小さいため、母材の高温強度の1/2程度、具体的には800℃で70MPa程度の降伏強度で構造物の安全性が確保できることを確認している。ただし、靭性は従来鋼の溶接金属と同程度、すなわち0℃のシャルピーエネルギーで27J以上の確保が必要である。
【0009】
これまでに、600℃を対象にした耐火鋼用の溶接材料は数多く開発されている(例えば、特開平2−63698号公報、特開平2−75494号公報、特開平2−182396号公報、特開平2−52196号公報、特開平2−274394号公報、特開平2−192894号公報、特開平2−217195号公報、特開平2−205298号公報、特開平2−200397号公報、特開平2−200393号公報、特開平2−268994号公報、特開平3−23097号公報)が、このような800℃までの温度における耐火性に優れた高温耐火建築構造用鋼を溶接する際に適した溶接材料およびそれを用いた溶接方法は開発されていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述のような事情を鑑みなされたもので、特に、800℃までの温度における耐火性に優れた高温耐火建築構造用鋼に使用する溶接方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するものであって、すなわち、その発明の要旨は以下の通りである。
【0012】
耐火建築構造用鋼の開先をワイヤおよびフラックスを用いて多層盛溶接するサブマージアーク溶接方法において、前記ワイヤ中の金属成分の質量%と前記フラックス中の金属または合金として添加される金属成分の質量%の合計が、Fe及び不可避的不純物以外は質量%で、C:0.01〜0.11%、Si:0.5〜1.75%、Mn:0.3〜5.3%、Ni:0.006〜1.3%、Cr:0.01〜2.4%、Mo:0.2〜2.0%、V:0.001〜0.3%、Nb:0.007〜0.5%、Al:0.003超〜7.0%からなるようにして溶接することにより、800℃の高温での降伏強さが70MPa以上で、かつ0℃シャルピー吸収エネルギーが27J以上の靭性を有する溶接金属を得ることを特徴とする耐火建築構造用鋼のサブマージアーク溶接方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の詳細について説明する。
【0014】
建築鋼構造物の耐火設計では、火災継続時間内で高い高温強度を維持すればよく、従来のボイラなど圧力容器用の耐熱鋼のように500〜600℃程度の高温、高圧環境下で長時間使用する際の高温強度を考慮する必要はなく、比較的短時間の高温での降伏強度が維持できればよい。例えば、800℃で保持時間が30分程度の短時間での高温降伏強度が確保できれば800℃耐火鋼として十分利用できる。
【0015】
従来の耐火鋼では、高温時の降伏強度が常温時の2/3以上となるように性能を定めていたが、鉄骨構造物の実設計範囲が常温降伏強度下限の0.2〜0.4倍であることを勘案し、常温降伏強度下限比0.4以上であれば使用できるとの考えに基づき、800℃高温強度のめやすとしては常温降伏強度に対する下限比が0.4以上とされている。すなわち800℃降伏強さの目標値は400MPa鋼で94MPa、490MPaで130MPaである。
【0016】
一方、建築構造物における鉄骨柱製作時の溶接部は作用応力が小さい位置に設けられるため、その溶接部の800℃降伏強さの目標値は、母材の800℃降伏強さの目標の1/2、すなわち490MPa鋼として使用することを仮定しても、800℃の降伏強さの目標で70MPaが得られれば十分であることを発明者らは確認している。
【0017】
そこで、発明者らは、800℃高温耐火建築構造用鋼用の溶接材料として、800℃の高温での保持時間が30分程度の短時間加熱時に降伏強さが70MPa以上で、かつ、従来鋼並みの0℃シャルピー吸収エネルギーが27J以上の靱性を有する溶接金属が得られる溶接材料について検討した。
【0018】
その結果、まず、溶接金属の800℃における高温強度を確保するためには、高温耐火建築構造用鋼をサブマージアーク溶接する際にワイヤとフラックスのいずれか一方あるいは両方からのNb添加により高温強度を向上させる方法が極めて有効であり、このようなNb添加の効果を活用し、目標とする高温強度を得るためには適量のCr、Mo、Vの添加も必須であることを見い出した。
【0019】
さらに、発明者らの検討の結果、合金元素添加により溶接金属の強化を図るには、高温耐火建築鋼構造物の設計温度である800℃で30分程度保持した場合においても素地組織を変態させないことが必須となるが、そのために特にAl等の合金元素の適量添加により溶接金属のAc1変態温度を800℃以上に高めることで、十分な強度維持をすることが可能であることを確認した。
【0020】
一方、溶接金属の靭性にとって、これらの高温強度を確保するための合金元素は過剰に添加されると溶接金属の靭性を著しく阻害するので好ましくないため、これらの合金元素を他の合金元素との含有量のバランスを適正に保つことが必須であることも見い出し、本発明の溶接材料の成分範囲を見い出すに至った。
【0021】
まず、本発明の溶接材料の成分の限定理由を以下に説明する。
【0022】
本発明では、サブマージアーク溶接の際に目標とする溶接金属の800℃までの温度での耐火性能および靱性を確保するためにワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有するFeおよび不可避不純物以外の以下の金属成分含有量を規定する必要がある。
【0023】
但し、以下の成分は、フラックス中に含有する酸化物および弗化物として存在する成分を除いたものである。
【0024】
Cは、溶接金属の常温での強度を得るためにワイヤとフラックス中に合わせて0.01%が必要であるが、0.11%を超える添加により靭性が低下するため、ワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有する合計量で0.01%以上、0.11%以下に限定する。
【0025】
Siは、Ac1変態温度を高めるのに有効な元素である上、溶接金属中の酸素量を低下させて靭性を改善するのでワイヤとフラックス中に合わせて0.5%以上の添加が必要である。しかし、1.75%を超えると常温強度が高くなりすぎ、溶接金属靭性も低下させるので、ワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有する合計量で0.5%以上、1.75%以下に限定する。
【0026】
Mnは、Siと同様に溶接金属の酸素量を低減させ、靭性を改善するので0.3%は必要であるが、高温強度にはあまり効果がない。さらにAc1変態温度を低くするために800℃高温強度にはかえって有害となることから、5.3%以下に限定する。したがって、Mn含有量を、ワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有する合計量で0.3〜5.3%とする。
【0027】
Niは、溶接金属靭性を高めるために添加する場合は0.006%以上を必要とするが、Ac1変態温度を低下させるため、1.3%を超えて添加すると高温強度が低下する。したがってNiの添加量はワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有する合計量で0.006〜1.3%、好ましくは0.01〜1.0%の範囲とする。
【0028】
Crは、強化元素として添加する場合には0.01%以上を要するが、2.4%を超えて添加すると常温強度が高くなりすぎ、またAc1変態温度を低下させて高温強度を低下させることから、ワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有する合計量で0.01%以上、2.4%以下とする。
【0029】
Moは、溶接金属の高温強度を高める基本元素であり、本発明溶接のワイヤとフラックスの組合せにおいては必須元素である。こうした特性を十分発揮させて800℃高温強度を高めるには、ワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有する合計量で0.2%以上の添加が必要であるが、2.0%を超えて添加すると常温強度が高くなりすぎ、溶接金属靭性も低下させる場合があるため、Mo添加量はワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有する合計量で0.2%以上、2.0%以下とする。
【0030】
Vも、高温強度を高める構成元素として重要である。800℃高温強度を高めるにはワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有する合計量で0.001%以上の添加が有効である。しかし、0.3%を超えて添加すると溶接金属靭性を低下させる場合があるため、添加量はワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有する合計量で0.001%以上、0.3%以下とする。
【0031】
Nbは、発明溶接ワイヤにおいて溶接金属の高温強度を高める構成元素として最も重要である。800℃高温強度を高めるにはワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有する合計量で0.007%以上の添加が有効である。しかし、0.5%を超えて添加すると溶接金属靭性を低下させる場合があるため、添加量はワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有する合計量で0.007%以上、0.5%以下とする。
【0032】
Alは、Siと同様に溶接金属の酸素量を低減させ、靭性を改善する。さらにAlは常温強度をあまり高めずにAc1変態温度を大きく上昇させるので、本発明における重要な元素である。これらの目的のためにはワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有する合計量で0.003%超の添加が必要である。しかし、7.0%を超えて添加するとスラグ剥離性等の溶接作業性を著しく低下させる。こうしたことから、本発明溶接ワイヤにおけるAlの添加量はワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方に含有する合計量で0.003%超、7.0%以下とする。
【0033】
本発明では、上述したようにサブマージアーク溶接の際にワイヤおよびフラックスの何れか一方または両方の成分を規定することにより目標とする溶接金属の800℃での耐火性能および靱性を確保することができる。
【0034】
なお、フラックスを用いて上記の金属成分を溶接金属に添加する場合は、フラックス中に上記金属成分(X)を金属(X)、鉄またはその他金属との合金(Fe−X)などの添加形態で添加される。
【0035】
また、本発明では、さらに、溶接作業性などを向上させるために、フラックス中に以下の金属酸化物、金属弗化物または金属炭酸塩を含有しても良い。
【0036】
TiO2は、ビード形状を改善させるがスラグ剥離性を劣化させ、特に8%を超えるとビード表面にスラグのこびり付きが生じ、極端にスラグ剥離性が劣化するので8%以下に限定することが好ましい。
【0037】
SiO2はスラグの粘性を増加させ、止端部のなじみのよい溶接ビードを形成するのに極めて有効な成分であるとともに、スラグをガラス質の性状にする傾向を有し、これにより砕けやすい剥離性の良好なスラグを生成することができる。このようなSiO2の効果はフラックス全重量に対し、10%以上の添加で得ることができるが、一方16%を超えて添加するとスラグの融点が低下し、溶接ビードの表面が乱れ、さらには溶接金属中の酸素量を増加させ溶接金属の靭性が劣化する。そのため、SiO2はフラックス全重量に対し、10〜16%添加するのが好ましい。
【0038】
CaOは高塩基性であり、溶接金属中の酸素量を低くするために必要な組成であり、靭性を向上させる。このようなCaOの効果はフラックス全重量に対し、3%以上の添加で得ることができる。しかしながら20%を超えて添加するとビードが不揃いとなり外観が不良となる。そのため、CaOはフラックス全重量に対し、3〜20%添加するのが好ましい。
【0039】
ZrO2はビード幅の広いなじみの良いビードを形成するのに極めて有効な成分であるため、1%以上の添加で得ることができるが、一方9%を超えて添加するとスラグ量が増加し、かつビード止端部に焼付きが生じるようになる。そのためZrO2は1〜9%添加するのが好ましい。
【0040】
Al2O3は、ビード幅を狭くしてスラグ剥離性を改善するため、8%以上添加できるが、18%を超えると溶接金属の酸素量が高くなり、靭性が劣化する。そのためAl2O3はフラックス全重量に対し8〜18%添加するのが好ましい。
【0041】
MgOはビードの保持力を高め、かつビード幅を広げ止端部のなじみのよい溶接ビードを形成するのに有効な成分であるため、フラックスの全重量に対し、10%以上の添加できる。しかしながら、23%を超えて添加するとスラグ量が増加して、スラグが砕けにくくなりスラグ剥離性が劣化する。そのため、MgOはフラックス全重量に対し10〜23%添加するのが好ましい。
【0042】
CaF2などの金属弗化物は、溶接金属の酸素量を低減し、靭性を向上させるため、フラックスの全重量に対し、1%以上の添加で得ることができるが、18%を超えて添加するとアーク現象が不安定になり、ポックマークが生じ、ビード形状が不良になる。そのためCaF2はフラックス全重量に対し、1〜18%添加するのが好ましい。
【0043】
CaCO3、BaCO3などの金属炭酸塩は溶接中にアーク空洞中でCO2ガスに解離し、アーク空洞中における水素分圧を下げ、溶接金属に移行する水素量を低くし、拡散性水素量を低減する効果を有する。金属炭酸塩がCO2に換算してフラックス全重量に対し3%未満であると溶接金属中の拡散性水素量が減少せず、水素による低温割れが生じやすくなる。一方、6%を超えるとガス発生量が過多となり、アークが吹き上げビード形状が不良となる。そのため、CaCO3、BaCO3などの金属炭酸塩は、CO2に換算してフラックス全重量に対して3〜6%含有することが好ましい。
【0044】
Li2O3、LiFなどは吸湿防止効果が非常に高いため、フラックスが大気中の水分を吸収し、溶接時の水素分圧が大きくなり、溶接金属の拡散性水素を高くするのを抑制する。特に、水ガラスを含有するボンドフラックスではこの傾向が強い。この効果をえるためにLi願算で0.04以上添加できる。一方、Li願算0.5%を超えると溶接ビード表面にアバタが発生し、ビード形状が不良となる。そのため、Li2O3、LiFなどをフラックスの全重量に対し、Li願算で0.04〜0.5%添加するのが好ましい。
【0045】
Feは溶着効率を高め、溶接作業能率を向上させる。Feの含有によってフラックスの嵩重量が大きくなることにより溶接金属の溶込みを増大させる効果があるため、より狭い開先においても必要とする十分な溶込みを得ることが可能になる。このような効果をえるためにはフラックス中に1%以上添加する必要がある。しかしながら、35%を超えて添加されるとスラグ生成剤の量が不足するためビード形成能が劣化し、ビード表面の波目が粗くなり、ビード表面に突起物が発生しやすくなり、外観上好ましくない。従って、Feの添加量は1〜35%とするのが好ましい。なお、Feの添加形態は鉄粉、鉄合金を用いられる。
【0046】
【実施例】
発明効果をさらに明確にするため、以下実施例について述べる。
【0047】
表1に示す化学成分を有する板厚20mmの厚板1を図1に示す寸法の開先2に開先加工し、溶接に供した。裏当金3も母材と同様の厚板を使用した。溶接は表2に示す条件を用い、1層2パスのサブマージアーク溶接を用いて多層盛溶接を行った。この溶接で使用した溶接ワイヤの化学成分を表3に、フラックスの化学成分を表4にそれぞれ示す。なお、フラックスはまず原材料を配合、混合した後、水ガラスを固着材として造粒した後、550℃で2時間焼成し、12〜100メッシュに整粒して作製したボンドフラックスを用いた。
【0048】
これらのワイヤとフラックスを表5に示すように組合わせてサブマージアーク溶接を行った。その後、溶接試験体から図2に示す位置で高温引張試験片4とJIS 4号Vノッチシャルピー衝撃試験片5を採取し、それぞれの試験に供した。
【0049】
表5において、記号J1〜J11は、ワイヤとフラックスの含有量の合計が本発明範囲内である本発明例、J12〜J25は本発明範囲から外れている比較例である。
【0050】
高温引張試験試験結果(800℃における降伏強さ)およびシャルピー衝撃試験結果(0℃におけるシャルピー吸収エネルギー)を表6に示す。
J1〜J11の本発明はいずれも、表6に示すように、800℃での降伏強さ、0℃におけるシャルピー吸収エネルギーともに良好である。
【0051】
一方、J12〜J25の比較例は、それぞれ、表6に示したような理由により、800℃での降伏強さあるいは0℃におけるシャルピー吸収エネルギーの目標を満足しなかった。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、800℃までの温度における耐火性に優れた高温耐火建築構造用鋼とに適用する溶接材料が提供可能、建築分野をはじめとしてその工業界への効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において適用される開先形状を示す図である。
【図2】本発明において適用される試験片採取位置を示す図である。
【符号の説明】
1 厚板
2 開先
3 裏当金
4 高温引張試験片
5 シャルピー衝撃試験片
Claims (1)
- 耐火建築構造用鋼の開先をワイヤおよびフラックスを用いて多層盛溶接するサブマージアーク溶接方法において、前記ワイヤ中の金属成分の質量%と前記フラックス中の金属または合金として添加される金属成分の質量%の合計が、Fe及び不可避的不純物以外は質量%で、C:0.01〜0.11%、Si:0.5〜1.75%、Mn:0.3〜5.3%、Ni:0.006〜1.3%、Cr:0.01〜2.4%、Mo:0.2〜2.0%、V:0.001〜0.3%、Nb:0.007〜0.5%、Al:0.003超〜7.0%からなるようにして溶接することにより、800℃の高温での降伏強さが70MPa以上で、かつ0℃シャルピー吸収エネルギーが27J以上の靭性を有する溶接金属を得ることを特徴とする耐火建築構造用鋼のサブマージアーク溶接方法。
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