JP3802800B2 - エンジンのオイルポンプカバー位置決め構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのオイルポンプカバー位置決め構造に関し、詳しくは、エンジンのクランク軸の下方に配設されるオイルポンプの大型化を抑制可能としたエンジンのオイルポンプカバー位置決め構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用のエンジンとして、クランク軸の下方に配設される補機を備えたものが従来一般に知られている。例えば特開2000−65145号、特開2001−74105号の各公報には、エンジンの2次振動を低減するためにクランク軸に連動構成されたバランサシャフトによって駆動されるオイルポンプを補機として備えたエンジンが記載されている。この種のエンジンにおいて、前記オイルポンプは、バランサシャフトを回転自在に支持するバランサハウジングと一体のオイルポンプボディと、これに締結ボルトを介して接合されるオイルポンプカバーとを有し、両者の間には、通常、その接合面に直交するオイル連通路が少なくとも1つ形成されている。
【0003】
ここで、前記オイルポンプボディにオイルポンプカバーを締結ボルトにより接合する際には、両者を相互に位置決めする必要があり、従来一般には、前記締結ボルトが挿入可能な中空ノックピンを使用して位置決めしていた。すなわち、締結ボルトが挿通されるオイルポンプカバー側の挿通孔と、締結ボルトがねじ込まれるオイルポンプボディ側のねじ孔とに跨って前記中空ノックピンの圧入孔を段付き状に形成しておき、この圧入孔に前記中空ノックピンを圧入することでオイルポンプボディとオイルポンプカバーとを相互に位置決めしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来例のように締結ボルトが挿入可能な中空ノックピンを使用してオイルポンプボディとオイルポンプカバーとを相互に位置決めする場合には、ボルトの外径よりもノックピンの外径の方が大きくなるので、オイルポンプボディとオイルポンプカバーとの接合フランジの幅が広がり、その分、オイルポンプが大型化してしまうという問題がある。オイルポンプに限らず、クランク軸の下方に配設される他の補機についても同様の問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、エンジンのクランク軸の下方に配設されるオイルポンプの大型化を抑制できるエンジンのオイルポンプカバー位置決め構造を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決する手段として、請求項1に記載の発明は、エンジンのクランク軸の下方に配設され前記クランク軸に連動構成されたバランサシャフトにより駆動されるオイルポンプのオイルポンプボディに接合されるオイルポンプカバーを位置決めする構造であって、前記オイルポンプボディは、前記バランサシャフトを回転自在に支持するバランサハウジングと一体に設けられ、前記オイルポンプボディと前記オイルポンプカバーとの接合面には、直交して開口するオイル排出孔とオイル供給路とをそれぞれ有し、前記オイル排出孔と前記オイル供給路とのそれぞれの開口部分には、前記接合面を横切って圧入される中空ノックピンの外径に対応した段付き状の圧入孔が形成され、前記中空ノックピンは、オイルポンプ室とリリーフ通路とを仕切る隔壁部分に配置された前記オイル供給路と、オイル吸入通路と前記オイルポンプの駆動軸の下方に設けられたオイル溜りとを仕切る隔壁部分に貫通され一端が前記オイル溜りの底部に開口された前記オイル排出孔と、にそれぞれに圧入され、前記オイルポンプボディ側の圧入孔の深さと前記オイルポンプカバー側の圧入孔の深さの合計寸法が、中空ノックピンの長さより長い寸法に設定され、前記オイルポンプカバーは、前記オイルポンプボディに複数の締結ボルトを介して接合されることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明においては、位置決め用の中空ノックピンがオイルポンプボディとオイルポンプカバーとの接合面を横切ってオイル連通路に圧入されているため、この中空ノックピンにより、オイルポンプカバーがオイルポンプボディに対して位置決めされる。それと同時に、オイル連通路は、連通状態が確保されつつ前記接合面との間のシール性が確保される。そして、特に、オイルポンプボディにオイルポンプカバーを締結する締結ボルトに較べて小径化が可能なオイル連通路に中空ノックピンを圧入する構造であるため、中空ノックピンの小径化によりオイルポンプの大型化が抑制可能である。
また、オイルポンプの駆動軸を潤滑したオイル溜り内のオイルがオイル連通路としてのオイル排出孔から速やかに排出されるため、オイルポンプの駆動軸の回転抵抗の増大が抑制される。
【0008】
さらに、請求項1に記載の発明においては、位置決め用の中空ノックピンがオイルポンプボディとオイルポンプカバーとの接合面を横切ってオイル連通路に圧入されているため、この中空ノックピンにより、オイルポンプカバーがオイルポンプボディに対して位置決めされる。それと同時に、オイル連通路は、連通状態が確保されつつ前記接合面との間のシール性が確保されるのであり、オイル連通路としてのオイル供給路は確実にオイルを供給する。そして、特に、オイルポンプボディにオイルポンプカバーを締結する締結ボルトに較べて小径化が可能なオイル連通路に中空ノックピンを圧入する構造であり、しかも、オイルポンプ室とリリーフ通路とを仕切るデッドスペースの隔壁部分に配置されたオイル連通路としてのオイル供給路に前記中空ノックピンが圧入されるため、中空ノックピンの小径化によりオイルポンプの大型化が抑制可能である。
【0009】
また、請求項1に記載の発明においては、オイルポンプの駆動軸であるバランサシャフトを潤滑したオイル溜り内のオイルがオイル連通路としてのオイル排出孔から速やかに排出されるため、バランサシャフトの回転抵抗が抑制される。そして、特に、オイルポンプボディにオイルポンプカバーを締結する締結ボルトに較べて小径化が可能なオイル連通路に中空ノックピンを圧入する構造であり、しかも、オイル吸入通路と前記オイル溜りとを仕切るデッドスペースの隔壁部分に配置されたオイル連通路としてのオイル排出孔に前記中空ノックピンが圧入されるため、中空ノックピンの小径化によりオイルポンプの大型化が抑制可能である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、エンジンのクランク軸の下方に配設されるオイルポンプのオイルポンプボディに対してオイルポンプカバーを位置決めする構造であって、前記オイルポンプボディと前記オイルポンプカバーとの接合面に直交する少なくとも1つのオイル連通路を有し、前記オイル連通路には、位置決め用の中空ノックピンが前記接合面を横切って圧入されているとともに、前記オイルポンプカバー内に形成されたオイル通路に連通しており、このオイル通路は、前記オイルポンプカバーの外面に形成された取付座に固定されるチェーンテンショナ装置に連通して給油することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明においては、オイル通路は、オイルポンプカバーの外面に形成された取付座に固定されるチェーンテンショナ装置に連通してこれに給油できるようになる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、エンジンのクランク軸の下方に配設されるオイルポンプのオイルポンプボディに対してオイルポンプカバーを位置決めする構造であって、前記オイルポンプは、前記クランク軸に連動構成された第1のバランサシャフトと第2のバランサシャフトとにより駆動され、前記オイルポンプボディと前記オイルポンプカバーとの接合面に直交する少なくとも1つのオイル連通路を有し、前記オイル連通路には、位置決め用の中空ノックピンが前記接合面を横切って圧入され、前記第1のバランサシャフトおよび前記第2のバランサシャフトの下方に設けられたオイル溜りから前記第1のバランサシャフトおよび前記第2のバランサシャフトを潤滑させたオイルを排出するオイル排出孔を前記オイル連通路として有し、このオイル排出孔が、前記オイル溜りの底部に開口されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明においては、オイルポンプの駆動軸である第2のバランサシャフトおよび第1のバランサシャフトを潤滑してオイル溜り内に流入したオイルは、オイル溜りの底部に開口するオイル排出孔を介してオイルポンプカバーの外面側に速やかに排出される。従って、オイル溜り内のオイルによる第1のバランサシャフトおよび第2のバランサシャフトの回転抵抗の増大を抑制することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。参照する図面において、図1は本発明の一実施形態が適用されるエンジンの下部構造を示す部分断面図、図2は一実施形態が適用されるエンジンのチェーンケースを外した状態の下部正面図、図3は一実施形態が適用されるエンジンのオイルポンプ付近の斜視図である。
【0015】
本発明の一実施形態に係るエンジンの補機カバー位置決め構造は、クランク軸の下方に配設される補機の補機ボディに対して補機カバーを位置決めする構造であって、例えば図1および図2に示すような車両用の直列4気筒のエンジンEに適用される。このエンジンEは、シリンダブロック1との間にクランク軸2を回転自在に支持したクランクケース3の下部にオイルパン4が連設された構造を有し、クランク軸2の下方のオイルパン4内には、エンジンEの2次振動を低減するための2本のバランサシャフト(図1では第1のバランサシャフト5Aのみ図示する。)を回転自在に支持したバランサハウジング6が配設されている。
【0016】
前記第1のバランサシャフト5Aをクランク軸2の回転に同期して2倍の回転速度で同方向に回転駆動するため、クランク軸2と第1のバランサシャフト5Aとの間には連動機構7が構成されている。すなわち、図1および図2に示すように、クランク軸2の前端部には大径の駆動スプロケット7Aが装着され、第1のバランサシャフト5Aの前端には小径の従動スプロケット7Bが装着され、両者の間には連動チェーン7Cが巻回されている。
【0017】
前記バランサハウジング6は、図3に示すように、前記クランクケース3の下部に図示しない締結ボルトを介して締結されるアッパハウジング6Aと、このアッパハウジング6Aの下部に締結ボルトB1等を介して締結されるロアハウジング6Bとで構成されている。そして、このアッパハウジング6Aとロアハウジング6Bとの間には、図4に示すように前記従動スプロケット7Bを有する第1のバランサシャフト5Aが回転自在に支持されると共に、図5に示すように第2のバランサシャフト5Bが回転自在に支持されている。
【0018】
前記第1のバランサシャフト5Aと第2のバランサシャフト5Bとは相互に平行に配置されており、第1のバランサシャフト5Aに固定されたヘリカルギヤ5Cと第2のバランサシャフト5Bに固定されたヘリカルギヤ5Dとが噛み合うことで、両者は相互に反対方向に同一速度で回転するように構成されている。
【0019】
ここで、クランク軸2の下方に配設される補機として、図3に示すように、バランサハウジング6の前端部には、トロコイド式のオイルポンプ8が構成されている。このオイルポンプ8は、ロアハウジング6Bの下部に配設されたオイルストレーナ9(図4参照)を介してオイルパン4内のオイルを吸引し、これをエンジンの各給油箇所に圧送するものであり、ロアハウジング6Bの前端部に一体に形成された補機ボディとしてのオイルポンプボディ8Aと、このオイルポンプボディ8Aに複数の締結ボルトB2を介して接合される補機カバーとしてのオイルポンプカバー8Bとを有する。
【0020】
前記オイルポンプ8は、図5に示すように、オイルポンプボディ8Aとオイルポンプカバー8Bとの間に収容されて相互に回転自在に圧入するアウタロータ8Cおよびインナロータ8Dを有する。このオイルポンプ8は、インナロータ8Dの中心に固定されたポンプ駆動軸8Eがオイルポンプボディ8Aを貫通して前記第2のバランサシャフト5Bの前端部に連結されることにより、この第2のバランサシャフト5Bの回転に応じて回転駆動されるように構成されている。
【0021】
図4および図5に示すように、前記オイルポンプボディ8Aは、ロアハウジング6Bの前端部との間に間隔を開けてロアハウジング6Bの下部から上方に張り出しており、このオイルポンプボディ8Aとロアハウジング6Bの前端部との間にはオイル溜り10が形成されている。このオイル溜り10には、前記第1のバランサシャフト5Aのジャーナル部5E,5Fおよび第2のバランサシャフト5Bのジャーナル部5Gをそれぞれ潤滑したオイルが流入するようになっている。
【0022】
前記オイル溜り10は、バランサシャフト5Aの隣り合うジャーナル部5E,5Fおよびバランサシャフト5Bのジャーナル部5Gと隣り合うポンプ駆動軸8Eをそれぞれ支持している各軸受壁をバランサシャフト5A,5Bの下方においてその軸方向に連結することにより形成されているので、前記の各軸受壁の剛性が向上し、バランサシャフト5A,5Bやポンプ駆動軸8Eの安定した支持が可能である。
【0023】
図6に示すように、前記オイルポンプボディ8Aにおけるオイルポンプカバー8Bとの接合端面には、前記各締結ボルトB2(図3参照)がねじ込まれる複数のねじ孔8Fを有する接合フランジ8Gが形成されている。そして、この接合フランジ8Gの内側には、前記アウタロータ8Cおよびインナロータ8D(図5参照)を回転自在に収容するオイルポンプ室8H、このオイルポンプ室8Hの下部の吸入ポートに連通するオイル吸入通路8I、前記オイルポンプ室8Hの上部の吐出ポートに連通するオイル吐出通路8J、このオイル吐出通路8Jから分岐して下方に延びるリリーフ通路8Kが形成されている。
【0024】
前記オイル吸入通路8Iは、前記第1のバランサシャフト5Aの前端部のジャーナル部5E(図4参照)を回転自在に支持する軸受部8Nの下方を迂回して横方向に延設されており、その端部には、前記ロアハウジング6B内を通ってオイルストレーナ9(図4参照)に至る環状通路11が連通されている。また、前記リリーフ通路8Kの下端部は、オイルポンプボディ8Aの下部に幅方向に沿って形成されたリリーフバルブ室8Oに連通している。そして、このリリーフバルブ室8Oからのリターン通路8Pは、前記オイル吸入通路8Iに連通している。
【0025】
一方、図7に示すように、前記オイルポンプカバー8Bにおけるオイルポンプボディ8Aとの接合面には、前記各締結ボルトB2(図3参照)が挿通される複数のボルト挿通孔8Lを有する接合フランジ8Mが前記オイルポンプボディ8A側の接合フランジ8Gに接合するように形成されている。この接合フランジ8Mの内側には、図6に示したオイル吸入通路8I、オイル吐出通路8J、リリーフ通路8Kなどが形成されている。そして、前記オイル吐出通路8Jは、図示しないクランクケース3側のオイル循環通路に接続されるオイル吐出口8Qに連通している。
【0026】
ここで、図6および図7に示すように、前記オイルポンプ8には、オイルポンプボディ8Aとオイルポンプカバー8Bとの接合面、すなわち、接合フランジ8Gと接合フランジ8Mとの接合面に直交する少なくとも2つのオイル連通路として、オイル排出孔8Rおよびオイル供給路8Sが形成されている。これらのオイル排出孔8Rおよびオイル供給路8Sは、前記締結ボルトB2用のねじ孔8Fおよびボルト挿通孔8Lより小径に形成されている。
【0027】
前記オイル排出孔8Rは、前記接合フランジ8Gおよび接合フランジ8Mにより構成される隔壁部分、すなわち、図4に示すオイル吸入通路8Iとオイル溜り10とを仕切る隔壁部分を貫通している。このオイル排出孔8Rの一端は、図8に示すようにオイルポンプカバー8Bの接合フランジ8Mの外面に開口し、その他端は、前記第1のバランサシャフト5Aおよび第2のバランサシャフト5Bより下方のオイル溜り10の底部に開口している。
【0028】
一方、前記オイル供給路8Sは、図6に示すオイルポンプ室8Hとリリーフ通路8Kとを仕切る隔壁部分に形成されている。このオイル供給路8Sの一端は、図9に示すように、オイルポンプボディ8Aに形成されたオイル通路8Tを介して図示しないクランクケース3側のオイル循環通路に連通し、その他端は、オイルポンプカバー8B内に形成されたオイル通路8Uに連通している。このオイル通路8Uは、図8に示すオイルポンプカバー8Bの外面に形成された取付座8Vに固定されるチェーンテンショナ装置12の油圧アクチュエータ12A(図2参照)に連通してこれに給油するように構成されている。
【0029】
ここで、図4に示すように、前記オイル排出孔8Rには、オイルポンプボディ8Aに対してオイルポンプカバー8Bを位置決めするための中空ノックピン13が前記接合フランジ8Gと接合フランジ8Mとの接合面を横切って圧入されている。また、図9に示すように、前記オイル供給路8Sには、同様の中空ノックピン13がオイルポンプボディ8Aとオイルポンプカバー8Bとの接合面を横切って圧入されている。
【0030】
図10の(a)は、前記オイル排出孔8Rに中空ノックピン13を圧入するための構造を示している。この構造において、中空ノックピン13の内径はオイル排出孔8Rの内径と略同径とされており、オイルポンプボディ8Aの接合フランジ8Gの接合面に臨むオイル排出孔8Rの開口部分には、中空ノックピン13の外径に対応した圧入孔8Wが段付き状に形成されている。同様に、オイルポンプカバー8Bの接合フランジ8Mの接合面に臨むオイル排出孔8Rの開口部分にも中空ノックピン13の外径に対応した圧入孔8Wが段付き状に形成されている。
【0031】
前記オイルポンプボディ8A側の圧入孔8Wの深さとオイルポンプカバー8B側の圧入孔8Wの深さの合計寸法は、中空ノックピン13の長さより若干長い寸法に設定される。この場合、オイルポンプボディ8A側の圧入孔8Wの深さは、予め圧入される中空ノックピン13を傾きのない状態で保持できるようにするため、中空ノックピン13の長さの半分以上に設定するのが好ましい。
【0032】
前記オイル供給路8Sに中空ノックピン13を圧入するための構造も前記したオイル排出孔8Rに中空ノックピン13を圧入するための構造と同様であり、図10の(b)に示すように、オイルポンプボディ8Aの接合面に臨むオイル供給路8Sの開口部分には、中空ノックピン13の外径に対応した圧入孔8Wが段付き状に形成され、オイルポンプカバー8Bの接合面に臨むオイル供給路8Sの開口部分にも中空ノックピン13の外径に対応した圧入孔8Wが段付き状に形成されている。
【0033】
以上のように構成された一実施形態のエンジンの補機カバー位置決め構造においては、エンジンEのクランク軸2の下方に配設された補機としてのオイルポンプ8のオイルポンプボディ8Aにオイルポンプカバー8Bを接合するに当たり、まず、図10に示すように、オイルポンプボディ8Aの接合端面に開口するオイル排出孔8Rおよびオイル供給路8Sの開口部分の圧入孔8Wにそれぞれ中空ノックピン13を打ち込む。つぎに、オイルポンプカバー8Bの接合面に開口するオイル排出孔8Rおよびオイル供給路8Sの開口部分の圧入孔8Wをそれぞれ中空ノックピン13に圧入する。そして、この状態でオイルポンプカバー8Bの各ボルト挿通孔8Lに締結ボルトB2を挿通し、これをオイルポンプボディ8A側の各ねじ孔8Fにねじ込んでオイルポンプカバー8Bをオイルポンプボディ8Aに接合する。
【0034】
このようにオイルポンプボディ8Aにオイルポンプカバー8Bが接合されたオイルポンプ8においては、図4および図9に示すように、位置決め用の2本の中空ノックピン13がオイルポンプボディ8Aとオイルポンプカバー8Bとの接合面を横切ってオイル排出孔8Rおよびオイル供給路8Sにそれぞれ圧入されているため、この2本の中空ノックピン13によりオイルポンプカバー8Bがオイルポンプボディ8Aに対して確実に位置決めされる。同時に、オイル排出孔8Rおよびオイル供給路8Sは、中空ノックピン13によりオイルポンプボディ8Aとオイルポンプカバー8Bとの間の連通状態が確保され、かつ、中空ノックピン13によりオイルポンプボディ8Aとオイルポンプカバー8Bとの接合面との間のシール性が確保されてオイルの漏出が防止される。
【0035】
このため、図4に示すように、オイルポンプ8の駆動軸である第2のバランサシャフト5B(図5参照)および第1のバランサシャフト5Aを潤滑してオイル溜り10内に流入したオイルは、オイル溜り10の底部に開口するオイル排出孔8Rを介してオイルポンプカバー8Bの外面側に速やかに排出される。従って、オイル溜り10内のオイルによる第1のバランサシャフト5Aおよび第2のバランサシャフト5Bの回転抵抗の増大を抑制することができる。
【0036】
また、図9に示すように、クランクケース3側のオイル循環通路からオイル通路8Tを介してオイル供給路8Sに圧送されるオイルは、これに連通するオイル通路8Uを介してチェーンテンショナ装置12の油圧アクチュエータ12Aに確実に圧送される。従って、油圧アクチュエータ12Aを確実に作動させることができる。
【0037】
一実施形態のエンジンの補機カバー位置決め構造は、図4および図9に示すように、オイルポンプボディ8Aにオイルポンプカバー8Bを締結する締結ボルトB2(図3参照)に較べて小径のオイル排出孔8Rおよびオイル供給路8Sに中空ノックピン13を圧入する構造であり、中空ノックピン13の外径を小径化することができる。しかも、図6に示すように、オイル排出孔8Rはオイル吸入通路8Iとオイル溜り10とを仕切るデッドスペースの隔壁部分に配置され、オイル供給路8Sはオイルポンプ室8Hとリリーフ通路8Kとを仕切るデッドスペースの隔壁部分に配置される。従って、オイルポンプ8の大型化を抑制することができる。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図9に示したオイル供給路8Sは、オイル通路8Uを介して図示しないオイルジェットにオイルを供給するように構成してもよい。また、図6に示したオイル排出孔8Rの位置はその近傍に変更することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、位置決め用の中空ノックピンがオイルポンプボディとオイルポンプカバーとの接合面を横切ってオイル連通路に圧入されるため、この中空ノックピンにより、オイルポンプカバーをオイルポンプボディに対して位置決めすることができる。それと同時に、オイル連通路の連通状態を確保しつつ前記接合面との間のシール性を確保することができる。そして、特に、オイルポンプボディにオイルポンプカバーを締結する締結ボルトに較べて小径化が可能なオイル連通路に中空ノックピンを圧入する構造であるため、中空ノックピンを小径化してオイルポンプの大型化を抑制することができる。
【0040】
請求項1に記載の発明によれば、オイルポンプの駆動軸を潤滑したオイル溜り内のオイルをオイル連通路としてのオイル排出孔から速やかに排出させることができ、オイルポンプの駆動軸の回転抵抗の増大を抑制することができる。
【0041】
請求項1に記載の発明によれば、位置決め用の中空ノックピンがオイルポンプボディとオイルポンプカバーとの接合面を横切ってオイル連通路に圧入されているため、この中空ノックピンにより、オイルポンプカバーをオイルポンプボディに対して位置決めすることができる。それと同時に、オイル連通路の連通状態を確保しつつ前記接合面との間のシール性を確保することができ、オイル連通路としてのオイル供給路に確実にオイルを供給することができる。そして、特に、オイルポンプボディにオイルポンプカバーを締結する締結ボルトに較べて小径化が可能なオイル連通路に中空ノックピンを圧入する構造であり、しかも、オイルポンプ室とリリーフ通路とを仕切るデッドスペースの隔壁部分に配置されたオイル連通路としてのオイル供給路に前記中空ノックピンが圧入されるため、中空ノックピンを小径化してオイルポンプの大型化をさらに抑制することができる。
【0042】
請求項1に記載の発明によれば、オイルポンプの駆動軸であるバランサシャフトを潤滑したオイル溜り内のオイルをオイル連通路としてのオイル排出孔から速やかに排出させることができ、バランサシャフトの回転抵抗の増大を抑制することができる。そして、特に、オイルポンプボディにオイルポンプカバーを締結する締結ボルトに較べて小径化が可能なオイル連通路に中空ノックピンを圧入する構造であり、しかも、オイル吸入通路と前記オイル溜りとを仕切るデッドスペースの隔壁部分に配置されたオイル連通路としてのオイル排出孔に前記中空ノックピンが圧入されるため、中空ノックピンを小径化してオイルポンプの大型化をさらに抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が適用されるエンジンの下部構造を示す部分断面図である。
【図2】一実施形態が適用されるエンジンのチェーンケースを外した状態の下部正面図である。
【図3】一実施形態が適用されるエンジンのオイルポンプ付近の斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図3のV−V線に沿う断面図である。
【図6】一実施形態が適用されるオイルポンプボディの接合端面図である。
【図7】一実施形態が適用されるオイルポンプカバーの接合面を示す背面図である。
【図8】一実施形態が適用されるオイルポンプカバーの外面を示す正面図である。
【図9】一実施形態を構成するオイル連通路を示すオイルポンプボディおよびオイルポンプカバーの部分断面図である。
【図10】一実施形態の要部構造を示すオイルポンプボディおよびオイルポンプカバーの部分断面図である。
【符号の説明】
1 :シリンダブロック
2 :クランク軸
3 :クランクケース
4 :オイルパン
5A:第1のバランサシャフト
5B:第2のバランサシャフト
6 :バランサハウジング
6A:アッパハウジング
6B:ロアハウジング
7 :連動機構
7A:駆動スプロケット
7B:従動スプロケット
7C:連動チェーン
8 :オイルポンプ
8A:オイルポンプボディ
8B:オイルポンプカバー
8H:オイルポンプ室
8I:オイル吸入通路
8K:リリーフ通路
8R:オイル排出孔
8S:オイル供給路
8T:オイル通路
8U:オイル通路
8W:圧入孔
10 :オイル溜り
12 :チェーンテンショナ装置
12A:油圧アクチュエータ
13 :中空ノックピン
E :エンジン
Claims (3)
- エンジンのクランク軸の下方に配設され前記クランク軸に連動構成されたバランサシャフトにより駆動されるオイルポンプのオイルポンプボディに接合されるオイルポンプカバーを位置決めする構造であって、
前記オイルポンプボディは、前記バランサシャフトを回転自在に支持するバランサハウジングと一体に設けられ、
前記オイルポンプボディと前記オイルポンプカバーとの接合面には、直交して開口するオイル排出孔とオイル供給路とをそれぞれ有し、
前記オイル排出孔と前記オイル供給路とのそれぞれの開口部分には、前記接合面を横切って圧入される中空ノックピンの外径に対応した段付き状の圧入孔が形成され、
前記中空ノックピンは、オイルポンプ室とリリーフ通路とを仕切る隔壁部分に配置された前記オイル供給路と、オイル吸入通路と前記オイルポンプの駆動軸の下方に設けられたオイル溜りとを仕切る隔壁部分に貫通され一端が前記オイル溜りの底部に開口された前記オイル排出孔と、にそれぞれに圧入され、
前記オイルポンプボディ側の圧入孔の深さと前記オイルポンプカバー側の圧入孔の深さの合計寸法が、中空ノックピンの長さより長い寸法に設定され、
前記オイルポンプカバーは、前記オイルポンプボディに複数の締結ボルトを介して接合されることを特徴とするエンジンのオイルポンプカバー位置決め構造。 - エンジンのクランク軸の下方に配設されるオイルポンプのオイルポンプボディに対してオイルポンプカバーを位置決めする構造であって、
前記オイルポンプボディと前記オイルポンプカバーとの接合面に直交する少なくとも1つのオイル連通路を有し、
前記オイル連通路には、位置決め用の中空ノックピンが前記接合面を横切って圧入されているとともに、前記オイルポンプカバー内に形成されたオイル通路に連通しており、
このオイル通路は、前記オイルポンプカバーの外面に形成された取付座に固定されるチェーンテンショナ装置に連通して給油することを特徴とするエンジンのオイルポンプカバー位置決め構造。 - エンジンのクランク軸の下方に配設されるオイルポンプのオイルポンプボディに対してオイルポンプカバーを位置決めする構造であって、
前記オイルポンプは、前記クランク軸に連動構成された第1のバランサシャフトと第2のバランサシャフトとにより駆動され、
前記オイルポンプボディと前記オイルポンプカバーとの接合面に直交する少なくとも1つのオイル連通路を有し、
前記オイル連通路には、位置決め用の中空ノックピンが前記接合面を横切って圧入され、
前記第1のバランサシャフトおよび前記第2のバランサシャフトの下方に設けられたオイル溜りから前記第1のバランサシャフトおよび前記第2のバランサシャフトを潤滑させたオイルを排出するオイル排出孔を前記オイル連通路として有し、
このオイル排出孔が、前記オイル溜りの底部に開口されていることを特徴とするエンジンのオイルポンプカバー位置決め構造。
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