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JP3801319B2 - 樹脂組成物及びそれからなるガスバリヤー性フィルム - Google Patents

樹脂組成物及びそれからなるガスバリヤー性フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂フィルムおよびそれからなるガスバリヤー性を有するフィルムに関する。より詳しくは、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアルコール系ポリマーから形成した膜状物を、金属を含む媒体に浸漬してなる樹脂フィルムならびにそれからなる耐熱水性、酸素ガス等のガスバリヤー性、特に高湿度雰囲気での酸素ガスバリヤー性に優れたフィルムに関する。
本発明のフィルムは、耐熱水性に優れ、酸素ガスバリヤー性に優れており、且つ、レトルト処理(湯殺菌やレトルト殺菌)などの高温熱水処理後においても、優れた酸素ガスバリヤー性能を維持することが出来る。従って、酸素などにより劣化を受け易い物品、輸液、食品、飲料などの包装材料に適している。特に、レトルト処理などのように高温水或いは水蒸気に曝された後においても、酸素ガスバリヤー性能を安定に維持できるので、このような用途に好適である。
【0002】
【従来の技術】
ポリビニルアルコール(PVA)およびポリ(メタ)アクリル酸またはその部分中和物は、水溶性の高分子であり、その親水性を活かして、吸水材料、増粘剤、凝集剤、分散剤、紙や繊維の処理剤等として広く利用されている。また、ポリ(メタ)アクリル酸またはその部分中和物は、その溶液からキャスト法により製膜が可能であり、得られたフィルムは、乾燥条件下での酸素ガスバリヤー性に優れている。しかしながら、このフィルムは、親水性が強いため、高湿度条件下では、酸素ガスバリヤー性が著しく損なわれ、しかも、水に容易に溶解してしまう。そのため、このフィルムは、多量の水分を含有する食品の包装には適さない。
一方、澱粉類のフィルムは、耐油性や酸素ガスバリヤー性に優れているが、機械的強度や耐水性に劣るという欠点を有している。澱粉は、植物から得られる天然多糖類であり、その構成物質は、グルコースがα(1−4)結合で連なった直鎖状のアミロースと、短いアミロースがα(1−6)結合を介して多数枝状に結合した高分子量のアミロペクチンからなっている。澱粉類には、生澱粉のほか、分離精製アミロースなどの物理的変性澱粉、酸、加熱、酵素等によって加水分解して冷水溶解性を高めた変性澱粉、アクリルアミド、アクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル等のモノマーをグラフト重合して得られるグラフト変性澱粉など様々な加工澱粉がある。これらの澱粉類は、ポリ(メタ)アクリル酸と同様に親水性の高分子であり、食品工業分野だけではなく、その親水性を活かして、吸水材料、増粘剤、凝集剤、分散剤、紙や繊維の処理剤等として広範な分野で使用されている。これらの澱粉類の中でも、水溶解性に優れたものは、それらの水溶液からキャスト法により容易にフィルムを製膜することができる。しかし、澱粉類のフィルムは、親水性が強いため、高湿度条件下では、その酸素ガスバリヤー性が著しく損なわれ、したがって、多量の水分を含有する食品の包装には適さない。
PVAフィルムを実用的な酸素ガスバリヤー性が求められる用途に使用する場合には、PVAフィルムと他のフィルムとの2層以上の多層構成のラミネートフィルムとして、湿度の影響をできるだけ少なくするようにしてきた。しかし、ラミネートフィルムとするだけでは、耐湿性および耐水性の点でいまだ不十分であり、PVAフィルム自体の耐水性を向上させ、かつ、高湿度下でも十分な酸素ガスバリヤー性を持たせることが望まれている。
【0003】
米国特許第2,169,250号には、PVAとポリカルボン酸との混合水溶液からフィルムや繊維等を形成し、次いで加熱することにより、PVAの水酸基とポリカルボン酸とを反応させて架橋構造を形成させ、水に不溶化とする方法が提案されている。また、澱粉類と各種熱可塑性樹脂との混合物からのフィルムやシートを製造する方法について、いくつかの提案がなされている。特開平4−100913号公報および特開平4−114044号公報には、PVA系重合体と澱粉類との混合物からなる生分解性フィルムが記載されている。特開平4−114043号公報にはPVA系重合体と多糖類とからなる耐水性組成物と該組成物からのフィルムが開示されている。しかし、本発明者等の検討結果によれば、実用上、内容物が多量の水分を含むような食品の包装用途等では、高湿度条件下での酸素ガスバリヤー性に関して更に改善が望まれるものである。
本発明者等は特開平7−102083号公報においてポリビニルアルコールおよびポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物との混合物から形成されたフィルムであって、耐水性、酸素ガスバリヤー性に優れたフィルムを提案した。また、特開平7−165942号公報においてポリ(メタ)アクリル酸およびポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物から選ばれるポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと糖類との混合物から形成され、耐熱水性、酸素ガスバリヤー性に優れたフィルムを提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高温水蒸気や熱水に対し耐性(耐熱水性)を有し、酸素ガスバリヤー性に優れ、且つ酸素ガスバリヤー性能が熱水処理を受けても変わらないか、或いは熱水処理前より低下することのないフィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)との反応生成物を熱処理した後、2価金属イオン又は3価金属イオンを与える金属(C)を含む媒体に浸漬してなる樹脂フィルムが特定な化学構造を有し、特定エステル化度およびイオン化度を有し、かかる課題を解決し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明の第1は、ポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)から形成される膜状物を熱処理した後、2価金属イオン又は3価金属イオンを与える金属(C)を含む媒体に浸漬してなる樹脂フィルムであり、少なくとも下記化学構造(X)、(Y)および(Z)を有し、且つ、式(1)で定義されるエステル化度が0.01以上、0.5以下であり、式(2)で定義されるイオン化度が0.01以上、0.9以下であることを特徴とする樹脂フィルムを提供する。
【0007】
【化2】
【0008】
【数2】
【0009】
本発明の第2は、前記発明の樹脂フィルムからなるガスバリヤー性フィルムを提供する。本発明のフィルムはポリ(メタ)アクリル酸(A)分子中のカルボキシル基とポリアルコール系ポリマー(B)分子中の水酸基とがエステル結合(本発明ではエステル架橋とも云う)してなる架橋構造体中の遊離カルボキシル基が2価金属イオン又は3価金属イオンを与える金属(C)とイオン結合(本発明ではイオン架橋とも云う)を形成してなることを特徴とする架橋構造体からなる耐熱水性、酸素ガスバリヤー性に優れたフィルムである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。以下、本明細書で用いる「架橋構造」とは、後述の方法に従って測定されるエステル化度およびイオン化度を有する樹脂フィルムおよびガスバリヤー性フィルムの化学構造を意味し、それぞれエステル架橋構造、イオン架橋構造と云う。従って、本発明の樹脂フィルム、およびガスバリヤー性フィルムについて直接的に架橋構造が同定されているわけではない。例えば、本発明のフィルム中に含まれるカルボキシル基が一価のアルカリ金属と塩を形成した場合にも、そのフィルムが本発明で定義したイオン化度を有していれば、この場合に対してもイオン架橋構造を有するフィルムと表現する。また、エステル化反応をエステル架橋反応、エステル結合をエステル架橋、イオン化反応をイオン架橋反応、イオン結合をイオン架橋と云うこともある。
【0011】
本発明で用いるポリ(メタ)アクリル酸(A)とは、アクリル酸およびメタクリル酸系の重合体であって、カルボキシル基を2個以上含有し、それらのカルボン酸系ポリマーおよびカルボン酸系ポリマーの部分中和物を含めた総称である。
具体的には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、あるいはこれらの2種以上の混合物ならびにそれらの部分中和物である。また、水に可溶な範囲でアクリル酸、メタクリル酸とそれらのメチルエステル、エチルエステルとの共重合体を用いることもできる。これらの中では、アクリル酸またはメタクリル酸のホモポリマーや両者の共重合体が好ましく、アクリル酸のホモポリマーやアクリル酸が優位量となるメタクリル酸との共重合体が、酸素ガスバリヤー性の点で、特に好適なものである。ポリ(メタ)アクリル酸(A)の数平均分子量は、特に限定されないが、2,000〜250,000の範囲が好ましい。
【0012】
ポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物は、ポリ(メタ)アクリル酸のカルボキシル基をアルカリで部分的に中和する(即ち、カルボン酸塩とする)ことにより得ることができる。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウムなどが挙げられる。部分中和物は、通常、ポリ(メタ)アクリル酸の水溶液にアルカリを添加し、反応させることにより得ることができる。従って、この部分中和物は、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩などである。このアルカリ金属塩は一価の金属イオンを有する構造体として本発明のフィルム形成に寄与する。ポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物を用いると、成形品の熱による着色を抑えることがあり得るので、場合によりこれを用いることが好ましい。ポリ(メタ)アクリル酸とポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物とを混合して使用することも好ましい。
【0013】
ポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物を得るには、ポリ(メタ)アクリル酸とアルカリの量比を調節することにより、所望の中和度とすることができる。ポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物の中和度は最終製品であるガスバリヤー性フィルムの酸素ガスバリヤー性の程度を基準として、選択することが好ましい。この中和度がある程度以上高くなると、酸素ガスバリヤー性が低下する傾向を示す。
【0014】
なお、中和度は、式:中和度(%)=(N/N0)×100により求めることができる。
ここで、Nは部分中和されたポリカルボン酸1g中の中和されたカルボキシル基のモル数、N0は部分中和する前のポリカルボン酸1g中のカルボキシル基のモル数である。
【0015】
ポリ(メタ)アクリル酸(A)がポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物を含む場合は、その中和度がポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)とのエステル架橋反応の速度に影響する。具体的には、中和度が好ましくは20%以下がポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)とのエステル架橋反応の速度が大きく、フィルムの製造速度の観点で有利である。中和度が20%を越える場合には、ポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)とのエステル架橋反応の速度が低下する。さらに好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物の中和度が15%以下の場合には、両ポリマー成分の混合割合の広い範囲内で、未中和物を用いた場合と比較して、エステル架橋反応の速度が大きく、フィルムの製造速度の観点で有利である。酸素ガスバリヤー性の観点からは、ポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物の中和度は、好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下とすることが望ましい。
【0016】
ポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)との混合比(質量比)は、高湿度条件下でも優れた酸素ガスバリヤー性を有するという観点から、99:1〜20:80であり、好ましくは98:2〜40:60、より好ましくは95:5〜60:40である。
【0017】
本発明の前駆組成物の調製と製膜法の例を述べる。
ポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)との前駆組成物の調製は、各成分を水に溶解させる方法、各成分の水溶液を混合する方法、糖類水溶液中で(メタ)アクリル酸モノマーを重合させる方法、その場合、所望により重合後アルカリで中和する方法などが採用される。ポリ(メタ)アクリル酸と例えば糖類とは、水溶液にした場合、均一な混合溶液が得られる。水以外に、アルコールなどの溶剤、あるいは水とアルコールなどとの混合溶剤を用いてもよい。
【0018】
これらの前駆組成物から膜状物を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、混合物の水溶液をガラス板やプラスチックフィルム等の支持体上に流延し、乾燥して皮膜を形成させる方法(溶液流延法)、あるいは混合物の高濃度の水溶解液をエキストルーダーにより吐出圧力をかけながら細隙から膜状に流延し、含水フィルムを回転ドラムまたはベルト上で乾燥する方法(押出法)などがある。これらの製膜法の中でも、特に、溶液流延法(キャスト法)は、透明性に優れた乾燥皮膜を容易に得ることができるため好ましい。
【0019】
溶液流延法を採用する場合には、固形分濃度は、通常、1〜30質量%程度とする。水溶液を調製する場合、所望によりアルコールなど水以外の溶剤や柔軟剤等を適宜添加してもよい。また、予め、可塑剤や熱安定剤等を少なくとも一方の成分に配合しておくこともできる。フィルムの厚さは、使用目的に応じて適宜定めることができ、特に限定されないが、通常、0.01〜500μm、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは0.1〜100μmである。
【0020】
本発明のガスバリヤー性積層フィルムは、上記前駆組成物からなる特定性能を有する最外層と熱可塑性樹脂からなる層との少なくとも2層の積層フィルムから構成されている。熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン6/66共重合体、ナイロン6/12共重合体などのポリアミド、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸塩共重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体などのポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイドなどを挙げることができる。
【0021】
熱可塑性樹脂の層との積層体を得るには、接着剤層を介し、または介することなく、コーティング法、ドライラミネート法、押出コーティング法などの公知の積層方法を採ることができる。
コーティング法(流延法を含む)では、ポリ(メタ)アクリル酸と例えば糖類の混合物溶液を、エアーナイフコーター、キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、デイップコーター、ダイコーター等の装置、あるいは、それらを組み合わせた装置を用いて、熱可塑性樹脂の層上に所望の厚さにコーティングし、次いでアーチドライヤー、ストレートバスドライヤー、タワードライヤー、ドラムドライヤーおよびフローティングドライヤー等の装置、あるいは、それらを組み合わせた装置を用いて、熱風の吹き付けや赤外線照射などにより水分を蒸発させて乾燥させ、塗膜状積層体(膜状物を塗布した基材フィルムとも称する)を形成させる。
【0022】
ドライラミネート法では、本発明に係わる前駆組成物の膜状物と熱可塑性樹脂から形成されたフィルムまたはシートを貼り合わせる。押出コーティング法では、ガスバリヤー性フィルム上に熱可塑性樹脂を溶融押出して層を形成する。但し、前記前駆組成物から形成される膜状物単体では、強靱性が不十分であることから、延伸PETフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸プロピレンフィルム等の耐熱性フィルムを支持体として使用し、その上に溶液流延法およびその後の熱処理により、ガスバリヤー性フィルムを形成することが好ましい。耐熱フィルムの中でも、特に、PETやナイロン6等の融点またはビカット軟化点が180℃以上の熱可塑性樹脂から形成された耐熱性フィルムはガスバリヤー性フィルムと密着した積層体を与えるなどの点から好ましく用いられる。ここで、融点はJIS K7121により、ビカット軟化点は、JIS K7206により、それぞれ測定する。
【0023】
積層フィルムの最内層(被包装物に直接接する側)には、積層容器を製造する際、熱接着する場合を考慮して熱シール或いは高周波シール可能な材料(シーラント)を使用するのが好ましい。
熱シール可能な樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸塩共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン、ナイロン6/66共重合体、ナイロン6/12共重合体などのナイロン共重合体などが挙げられる。高周波シール可能な樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン6、ナイロン66などが挙げられる。
本発明の樹脂フィルムから形成されるガスバリヤー性フィルムからなる積層フィルムの積層構成には、積層フィルムに要求される物性に応じて、既存のラミネート基材を適宜選択して用いることができる。例えば、強度が要求される場合には、延伸ナイロンフィルム、内容物のシーラントへの臭いの移行防止の目的には、ポリエステル系のシーラントやメタロセン触媒を用いた重合によるポリエチレンやポリプロピレン等のフィルムが選択される。また、包装体としては、その開封時のフィルムの引裂性や易剥離性等の要求物性に応じて、延伸フィルムや易剥離性シーラントが選択される。
【0024】
本発明のガスバリヤー性フィルムを得るには、第1段階としてポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)からなる前駆組成物から形成される膜状物を熱処理することで両ポリマー間にエステル結合による架橋構造を形成しなければならない。ポリアルコール系ポリマー(B)として糖類が用いられた場合は、前記膜状物または膜状物が塗布された基材フィルムを好ましくは下記関係式(a)および(b)で規定する熱処理温度と熱処理時間の関係を満足する条件下で熱処理する。
【0025】
【数3】
【0026】
また、さらに好ましくは、上記関係式(a)に代えて下記の関係式(c)を満足させる熱処理条件を採用してもよい。ただし、Tは、上記関係式(b)を満足するものとする。熱処理条件(a)、(b)によって、最終製品の酸素ガスバリヤー性、耐熱水性を有する積層膜状物を得ることができる。
【0027】
【数4】
【0028】
また、ポリアルコール系ポリマー(B)がポリビニルアルコール(PVA)の場合の熱処理条件は、(a’)および(b’)で規定したものがよい。
【0029】
【数5】
【0030】
また、さらに好ましくは、上記関係式(a’)に代えて下記の関係式(c’)を満足させる熱処理条件を採用してもよい。ただし、Tは、上記関係式(b’)を満足するものとする。熱処理条件(a’)、(b’)によって、最終製品の酸素ガスバリヤー性、耐水性を有する積層フィルムを得ることができる。
【0031】
【数6】
【0032】
この熱処理は、例えば、膜状物または膜状物が塗布された基材フィルムの積層物を所定温度に保持したオーブン中に所定時間入れることにより行うことができる。また、所定温度に保持したオーブン中を所定時間内で通過させることにより、連続的に熱処理を行ってもよい。熱処理の速度の観点からは、熱伝達効率の高い処理法として、加熱したロール表面にフィルムを接触させる連続処理法やフローティング炉を通過させる連続処理法が好ましい。
この熱処理により、ポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)との反応生成物から、高湿度条件下でも高度の酸素ガスバリヤー性を有する積層フィルムを得ることができ、しかも、このフィルムは、水や沸騰水に対して不溶性となり耐水性を有している。
また熱処理により、分子中のポリ(メタ)アクリル酸(A)のカルボキシル基とポリアルコール系ポリマー(B)の水酸基とがエステル結合(エステル架橋)を形成し架橋構造体となる。
さらに、生産性の観点からは、熱処理の速度を大きくする目的でエステル化反応の触媒を用いることができる。具体的には、燐酸、亜燐酸、次亜リン酸やそれらのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等を、予めポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)との混合物溶液に添加して用いることができる。
【0033】
本発明のガスバリヤー性フィルムは、ポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)からなる前駆組成物から形成される膜状物または膜状物が塗布された基材を熱処理し、ポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)間にエステル結合による架橋構造を形成した後、さらにポリ(メタ)アクリル酸由来の遊離カルボキシル基を2価金属イオン又は3価金属イオンを与える金属(C)とイオン結合(イオン架橋)させることによって得られる。2価金属イオン又は3価金属イオンを与える金属によるイオン架橋の構造は、具体的には以下のように形成させることができる。
ポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)からなる前駆組成物から形成される膜状物または膜状物が塗布された基材フィルムを前記の条件で熱処理し、両ポリマー間にエステル結合による架橋構造を形成した後、熱処理後の積層フィルムまたは膜状物が塗布された基材フィルムを2価金属イオン又は3価金属イオンを与える金属を含む媒体、例えば、水中に浸漬することにより、処理を行う。そうすることで媒体中の2価金属イオン又は3価金属イオンが熱処理後のフィルムに浸透し、熱処理後のフィルム膜状物中のポリ(メタ)アクリル酸に由来する遊離カルボキシル基との間にイオン結合(イオン架橋)を形成する。その結果、ポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)および2価金属イオン又は3価金属イオンを与える金属(C)とを原料とした反応生成物からなる樹脂フィルムであり、該樹脂フィルムは少なくとも前記化学構造(X)、(Y)および(Z)を有し、且つ、前記式(1)で定義されるエステル化度が0.01以上、0.5以下であり、前記式(2)で定義されるイオン化度が0.01以上、0.9以下である本発明のガスバリヤー性フィルムが得られる。
イオン架橋を促進するためにはイオン架橋反応を加熱下で行うことが好ましい。例えば2価金属イオン又は3価金属イオンが存在する水中に膜状物を浸漬し加熱するか、あるいは予め加熱された2価金属イオン又は3価金属イオンを含有する水中に浸漬する。また、ここで云う媒体とは、膜状物に2価金属イオン又は3価金属イオンによるイオン架橋構造が生成することができる媒体であれば、特に制限はないが、水、アルコール性水溶液等が好ましい媒体として挙げられる。
【0034】
イオン架橋処理に用いる2価金属イオン又は3価金属イオンを与える金属(C)としては、アルカリ土類金属や亜鉛、銅、コバルト、ニッケル、マンガン等の2価金属イオンを与える金属やアルミニウム等の3価の金属イオンを与えることができる金属を用いることができる。それらの金属は、ハロゲン化物、水酸化物、酸化物、炭酸塩、次亜塩素酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩等の無機塩や酢酸塩、アクリル酸塩等の有機塩の形で用い、それらを例えば水と混合、または水に溶解することで金属イオン水溶液を供給することができる。これらの金属は、それぞれ単独でも、それぞれの2種以上の混合物としても用いることができる。水中にはマグネシウムやカルシウム等の金属イオンが含まれているという点で水道水や天然水の硬水を浸漬液として用いることができ、好ましく用いられる。更に水溶液のpHを調整する目的で、適宜アルカリ金属水酸化物を加えてもよい。
【0035】
2価金属イオン又は3価金属イオンを与える金属(C)の浸漬液中の濃度、浸漬処理温度、浸漬処理時間は本発明で定義しているように本発明のガスバリヤー性フィルムのイオン化度が0.01以上、0.9以下、好ましくは0.1以上、0.9以下、さらに好ましくは0.3以上、0.8以下の範囲になるような条件であればよい。通常、浸漬液中の金属イオンの濃度としては1ppm乃至その金属イオンの飽和溶解度までが好ましい。また浸漬処理時間はフィルムの工業的な生産速度の観点からは短ければ短い程よい。通常、1秒から2時間の範囲であることが好ましい。浸漬温度については、イオン架橋を促進させるために加熱下で行うことが好ましい。浸漬温度は金属イオンを含む媒体を加熱することによって実現できる温度条件であればよく、好ましくは30℃〜130℃、浸漬処理速度の観点からは60℃〜130℃の範囲であることが、さらに好ましい。更に、フィルムに金属イオンを浸透しやすくする目的で前処理として、フィルムを塩酸水溶液や水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬するか、または水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、塩酸水溶液中に浸漬処理することでフィルムを膨潤させる操作も採用できる。最終製品のエステル化度の好ましい範囲は、酸素ガスバリヤー性および耐熱水性の観点から、0.01以上、0.5以下、好ましくは0.05以上、0.5以下である。
【0036】
本発明のフィルムはその主構成成分であるポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)との間に形成されるエステル結合による架橋構造とポリ(メタ)アクリル酸由来の遊離カルボキシル基と金属イオンにより形成されたイオン架橋構造の2つの架橋構造を有し、樹脂中のそれらの架橋構造の割合が特定の範囲にあることが特徴である。前記のエステル化度およびイオン化度は、いずれも主にフィルムの表層部分に関して後述する赤外線吸収スペクトル法によって測定されるものであるため、本発明においてはフィルムの少なくとも一部、即ち少なくともその表層部分が前記のエステル化度およびイオン化度を示せばよい(換言すれば、フィルムの内部が前記エステル化度およびイオン化度を示すことは必須ではない)。
【0037】
本発明で云うイオン化度とは、フィルム中のポリ(メタ)アクリル酸(A)由来の全ての炭素・酸素二重結合に対するカルボン酸陰イオンを構成する炭素・酸素二重結合の比であり、前記の式(2)で表したものを云う。本発明のポリ(メタ)アクリル酸(A)由来の炭素・酸素二重結合の存在状態は、化学構造(X)、(Y)、(Z)であり、それぞれの化学構造の炭素・酸素二重結合のモル分率をb、c、dとすると前記の式(2)で表すことができる。本発明では、このモル比をイオン化度(イオン架橋度と云うこともある)と定義した。
【0038】
イオン化度は、具体的にはフィルムの赤外線吸収スペクトル(以下、吸収スペクトルと略称することがある)を測定することにより求められる。赤外線吸収スペクトルの測定は、例えば、Perkin−Elmer社製FT−IR1710を用いることができる。本発明のフィルム中に含まれるポリ(メタ)アクリル酸(A)由来のカルボキシル基およびエステル結合を形成した炭素・酸素二重結合のC=O伸縮振動は重なり合って1800cm-1〜1600cm-1の範囲で、1705cm-1付近に極大吸収波数を持つ吸収スペクトルを与える。一方、本発明のフィルム中に含まれるポリ(メタ)アクリル酸由来のカルボン酸陰イオン(−COO-)の炭素・酸素二重結合は、1600cm-1〜1500cm-1の範囲で1560cm-1付近で極大吸収波数を持つ吸収スペクトルを与える。
そこで、本発明のフィルムの赤外線吸収スペクトルを透過法、ATR法(減衰全反射法)またはKBr法で測定し、前記両吸収スペクトルの面積比、または両スペクトルの極大吸収波数における吸光度比から、予め作成した検量線を用いてフィルムのイオン化度を計算することができる。
【0039】
ここで用いる検量線は、以下の手順で作成される。ポリ(メタ)アクリル酸を予め既知量の水酸化ナトリウムで中和する。こうして調製した全ての炭素・酸素二重結合に対するカルボン酸陰イオンの炭素・酸素二重結合のモル比の異なる試料について赤外線吸収スペクトルを透過法、ATR法、またはKBr法で測定する。得られた吸収スペクトルからポリ(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基のC=O伸縮振動の吸収スペクトルとカルボン酸陰イオンの吸収スペクトルについて両吸収スペクトルの面積比、または極大吸収波数における吸光度比を求める。ここで用いた試料(ポリ(メタ)アクリル酸)の全ての炭素・酸素二重結合に対するカルボン酸陰イオンの炭素・酸素二重結合のモル比は既知なので、そのモル比の値とその試料の赤外線吸収スペクトルから計算された吸光度比または面積比との関係を回帰分析して検量線を作成し、これを用いてイオン化度を求める。代表的な測定条件としては、ATR法で、反射板KRS−5(Thallium Bromide-Iodide Crystal)を用い、積算回数30回、分解能4cm-1を挙げることができる。
【0040】
本発明で云うエステル化度(エステル架橋度とも云う)とは、本発明のフィルム中に存在する全ての炭素・酸素二重結合に対するポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)との間に形成された化学構造(Y)のエステル結合の炭素・酸素二重結合のモル比を前記の式(1)で表したものを云う。
【0041】
エステル化度は具体的にはフィルムの赤外線吸収スペクトルを測定することにより求めた。赤外線吸収スペクトルの測定は、Perkin−Elmer社製FT−IR1710を用いて行った。
本発明のガスバリヤー性フィルム中に含まれるポリ(メタ)アクリル酸(A)由来のカルボキシル基の炭素・酸素二重結合およびエステル結合を形成した炭素・酸素二重結合のC=O伸縮振動は、先に述べた通り重なり合った吸収スペクトルを与える。このままではカルボキシル基由来のC=O伸縮振動とエステル結合由来のC=O伸縮振動との定量的な識別ができない。そこで本発明のフィルムの赤外線吸収スペクトルを加工することによりエステル結合を形成している炭素・酸素二重結合のC=O伸縮振動のみを単離し、これと単離前のエステル結合を形成したC=O伸縮振動および遊離カルボキシル基のC=O伸縮振動の両者を含む吸収スペクトルとを比較することにより定量することができる。方法としては、スペクトルの波形を解析することによるピーク分離法または得られたフィルムの赤外線吸収スペクトルから、カルボキシル基由来の炭素・酸素二重結合のみを含む化合物であるポリ(メタ)アクリル酸の吸収スペクトルを差し引く(場合によっては係数を掛けることもある)差スペクトル法により測定できる。
【0042】
以下により具体的にエステル化度の定量方法を説明する。
(赤外線吸収スペクトル測定)
赤外線吸収スペクトル測定に先立って、被測定試料たるフィルムまたは樹脂層に対して前処理を行う。被測定試料を予め温度30℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽中に24時間放置する。次いで測定の直前に、被測定試料を105℃のオーブン中に1時間保持する。後者の加熱保持操作は赤外線吸収スペクトル測定における被測定試料中の水の影響を無くすための乾燥処理である。また、前者の前処理は、以下の理由により行う。被測定試料であるフィルムを得るための熱処理に際して、フィルムの主原料であるポリ(メタ)アクリル酸(A)に含まれるカルボキシル基間に酸無水物が形成される。生成した酸無水物のC=O伸縮振動の吸収スペクトルは、後述するエステル化度、イオン化度の定量に用いるエステルおよび遊離カルボキシル基由来のC=O伸縮振動の吸収スペクトルと重なる。また、こうして生じた酸無水物は、不安定で常温常湿度下でも加水分解して遊離カルボキシル基に戻る。よって、被測定試料の保管条件(温度、湿度、時間)によって試料中の酸無水物量が異なることになる。従って、被測定試料中の酸無水物を予め加水分解する目的で前者の前処理を行う。続いて、実際の測定に際しては、被測定試料のフィルムを1cm×5cmの大きさに切り取り、フィルムを反射板に接触させて、フィルム面の赤外線吸収スペクトルを測定する。
従って、測定の結果得られる赤外線吸収スペクトルは、その吸収スペクトルを与える化学構造がフィルムの少なくとも表面部分に存在することを示している。
減衰全反射(ATR)法により、反射板としてKRS−5(Thallium Bromide-Iodide Crystal)を用い、積算回数30回、分解能4cm-1の条件で行う。
【0043】
更に具体的に、差スペクトル法およびピーク分離法について説明する。
(差スペクトル法)
被測定試料およびポリ(メタ)アクリル酸の赤外線吸収スペクトル(波数1850cm-1から1600cm-1の範囲)を前述の方法で測定する。ポリ(メタ)アクリル酸については、ポリ(メタ)アクリル酸の15質量%水溶液をポリエステルフィルム等の基材上に塗工乾燥して得られたポリ(メタ)アクリル酸層を測定試料とする。得られた二つの赤外線吸収スペクトルは、それぞれ、被測定試料についてはポリ(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基の炭素・酸素二重結合のC=O伸縮振動の吸収スペクトルおよびエステル結合をした炭素・酸素二重結合のC=O伸縮振動の吸収スペクトルが重なったスペクトルであり、ポリ(メタ)アクリル酸についてはポリ(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基の炭素・酸素二重結合のC=O伸縮振動の吸収スペクトルである。
差スペクトル法では、上記被測定試料の赤外線吸収スペクトル(波数1850cm-1から1600cm-1の範囲)からポリアクリル酸の赤外線吸収スペクトル(波数1850cm-1から1600cm-1の範囲)を差し引くことで、ポリ(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基の炭素・酸素二重結合のC=O伸縮振動の吸収スペクトルのみを取り除き、エステル結合の炭素・酸素二重結合のC=O伸縮振動の吸収スペクトルのみを単離する。
差スペクトルを求める操作は、測定器(Perkin−Elmer社製FT−IR1710)の操作パネルにより行うが、その演算処理を具体的に説明する。
測定された赤外線吸収スペクトルは、データポイント(吸収波数、吸光度)の集合である。スペクトルAとスペクトルBの差スペクトルを求める場合には、両スペクトルの各吸収波数における、吸光度の差を求める。得られたデータ(吸収波数、吸光度の差)の集合が差スペクトルである。
【0044】
実際には、被測定試料のポリ(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基の炭素・酸素二重結合吸収スペクトル、およびエステル結合した炭素・酸素二重結合のC=O伸縮振動の吸収スペクトルが重なったスペクトルからポリ(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基の炭素・酸素二重結合のC=O伸縮振動の吸収スペクトルのみを差し引かなければならない。そのため差スペクトルを求める演算処理において、差し引くポリ(メタ)アクリル酸の吸収スペクトルに係数(任意の正数)を乗じて、被測定試料の吸収スペクトルに含まれるポリ(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基の炭素・酸素二重結合のC=O伸縮振動の吸収スペクトルと同じスペクトルになるように加工する。しかし、係数を乗じたポリ(メタ)アクリル酸のスペクトルと被測定試料に含まれるポリ(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基の炭素・酸素二重結合のC=O伸縮振動のスペクトルが等しいことを判断するのは困難である。従って、本発明では、下記の方法で差スペクトルを求める際の係数を求めた。
被測定試料の赤外線吸収スペクトル(波数1850cm-1から1600cm-1の範囲)からポリ(メタ)アクリル酸の赤外線吸収スペクトル(波数1850cm-1から1600cm-1の範囲)に係数を乗じて、これを差し引くことで、差スペクトルを求める。この際係数を大きくして行くことで、ポリ(メタ)アクリル酸の赤外線吸収スペクトル(波数1850cm-1から1600cm-1の範囲)の極大吸収波数(通常1700cm-1付近に極大吸収がみられる)の吸光度がスペクトルのベースライン(スペクトル上の波数1850cm-1と1600cm-1のポイントを結ぶライン)よりも低くなる。つまり、係数を乗じたポリ(メタ)アクリル酸のスペクトルが被測定試料のスペクトルに含まれるポリ(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基の炭素・酸素二重結合のC=O伸縮振動の吸収スペクトルよりも大きすぎたためである。そこで、次に係数の大きさを減少させて行くことで、差スペクトルのポリ(メタ)アクリル酸の赤外線吸収スペクトルの波数1850cm-1から1600cm-1の範囲の極大吸収波数の吸光度を被測定試料のスペクトルのベースラインに一致させる。こうして得られたスペクトルをエステル化度を求めるために用いた。この方法を差スペクトル法と称した。
【0045】
(ピーク分離法)
ピーク分離法を用いる場合は、フーリェ変換赤外線吸収スペクトル測定装置としてピーク分離計算処理機能を有する島津製作所(株)製FT−IR−8200を用いた。赤外線吸収スペクトルの測定は、同様のATR法を用いてフィルムの赤外線吸収スペクトルを測定し、付属のピーク分離ソフトを用い、フィルムの1800cm-1〜1600cm-1の間に1705cm-1付近に極大吸収波数を有するスペクトルにつきピーク分離処理を行なった。
【0046】
単離されたフィルム中のエステル結合由来のC=O伸縮振動の吸収スペクトルと単離前に存在したエステル結合のC=O伸縮振動および遊離カルボキシル基のC=O伸縮振動の両者を含む吸収スペクトルの面積比、または極大吸収波数における吸光度比をフィルム中の(エステル結合を形成した炭素・酸素二重結合)と(遊離カルボキシル基の炭素・酸素二重結合とエステル結合の炭素・酸素二重結合の合計)とのモル比Rと定義する。従って、モル比Rは下式により表すことができる。
R=(Ac=oESTER)/[(Ac=oESTER)+(Ac=oFREE)]
(Ac=oESTER)はエステル結合のC=O伸縮振動の赤外線吸収スペクトルの面積または極大吸収波数における吸光度を意味し、(Ac=oFREE)は遊離カルボキシル基のC=O伸縮振動の赤外線吸収スペクトルの面積または極大吸収波数における吸光度を意味する。
この式は別の表現をすると式:R=c/(b+c)、(但し、bおよびcはフィルム中の化学構造(X)および(Y)の炭素・酸素二重結合のモル分率をあらわす)に相当する。
【0047】
また、本発明のフィルムの赤外線吸収スペクトル中、ポリ(メタ)アクリル酸(A)由来のカルボキシル基およびエステル結合のC=O伸縮振動が重なって得られる吸収スペクトルとポリ(メタ)アクリル酸のカルボキシル基由来の陰イオンの吸収スペクトルの間にも、わずかな重なりがある。そこでエステル化度の評価を行う前に、予めフィルムを塩酸や硫酸等の酸性水溶液中に浸漬し、イオン架橋構造をしている金属イオンを抽出することで、ポリ(メタ)アクリル酸のカルボン酸陰イオンを全て遊離カルボキシル基に変換し、前述したのと同様なエステル化度の評価を行うこともできる。その際には前述のモル比Rが直接エステル化度を表すことになる。
【0048】
本発明のフィルムのイオン化度の評価によりフィルム中に含まれるポリ(メタ)アクリル酸由来の全ての炭素・酸素二重結合に対する遊離カルボキシル基の炭素・酸素二重結合とエステル結合の炭素・酸素二重結合の合計量のモル比が求まるため、前記の式(1)で表したフィルム中の全ての炭素・酸素二重結合に対するエステル結合の炭素・酸素二重結合のモル比を下式(3)により計算することができる。
【0049】
【数7】
【0050】
上記のことから本発明のフィルムは、それを構成する架橋構造体分子中のポリ(メタ)アクリル酸(A)由来のカルボキシル基とポリアルコール系ポリマー(B)由来の水酸基とがエステル結合(エステル架橋)してなる架橋構造体であって、架橋構造体中の原料ポリ(メタ)アクリル酸(A)由来のカルボキシル基が金属(C)とイオン結合(イオン架橋)を形成してなるものである。そして、エステル架橋の程度とイオン架橋の程度の割合が特定の範囲にあることを特徴とした特異なガスバリヤー性能を有する架橋構造体である。本発明のガスバリヤー性フィルムは、30℃、相対湿度80%(RH)で測定した酸素透過係数が好ましくは1.52×10−19mol/m・s・Pa(3.40×10−13cm(STP)・cm/m・s・Pa)以下、さらに好ましくは7.6×10−20mol/m・s・Pa(1.70×10−13cm(STP)・cm/m・s・Pa)以下であることが望ましい。また、このフィルムを少なくとも1層含む積層フィルムについても、上記酸素透過係数を有することが望ましい。本発明においては、酸素透過度の測定は、ASTM D3985−81記載の方法によって測定し得られた酸素透過度の測定値にフィルムの厚みを乗じることで酸素透過係数を算出する。酸素透過係数の単位は、ASTM D3985−81記載のSI単位を用い、( )内に慣用的に用いられている単位での酸素透過係数を併記した。測定サンプルが積層体の場合には下式を用いることにより、ガスバリヤー性フィルム単体の酸素透過係数を算出する。
1/Ptotal=1/P+1/P+・・・・1/P、ここで
total:積層フィルムの酸素透過度
、P、P:1,2,i番目の層の酸素透過度
(J.COMYN,POLYMER PERMEABILITY,ELSEVIER APPLIED SCIENCE PUBLISHERS(1986)より引用した)
即ち、積層フィルムの酸素透過度、およびラミネートに用いたフィルム単独の酸素透過度をそれぞれ測定することでガスバリヤー性フィルム単体の酸素透過係数を算出する。
【0051】
本発明の樹脂フィルムは耐熱水性、耐薬品性、機械的強度、耐湿性、ガスバリヤー性を有しており、これらの性質が要求される種々の用途に使用することができる。具体的には、酸化による劣化を受け易い油をはじめとして油分を多く含む食品や長期保存を目的とした食品、中でも製造流通過程の中で湯殺菌(ボイル)やレトルト殺菌を必要とする食品の包装用途や、内容物の保香を要求される食品包装用途として好適に用いられる。それ以外にも酸素との接触を嫌う非食品の包装用途や洗剤、芳香剤など保香性が要求される包材の分野でも好適に用いられる。それらの中で湯殺菌やレトルト殺菌を必要とする食品包装用用途、例えば、カレーやシチュー、パスタソース等の調味食品、中華料理の素などの合わせ調味料、ベビーフード、オーブントースターおよび電子レンジ用食品等の調理済み食品、スープ類、デザート類、農畜水産加工品等、農畜水産加工品の中でもジャガイモやとうもろこし等殺菌処理を兼ねて加熱を行う食品の包装用途等、様々な用途を挙げることができる。
【0052】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】
1.[イオン化度(イオン架橋度)の測定]
前記方法により、フィルムの赤外線吸収スペクトルを測定することにより面積比から求めた。赤外線吸収スペクトルの測定は、Perkin−Elmer社製FT−IR1710を用いて行った。
2.[エステル化度(エステル架橋度)の測定]
前記方法により、製品フィルムおよびポリ(メタ)アクリル酸の赤外線吸収スペクトルを測定し、両者の炭素・酸素二重結合の吸収スペクトルの差から製品フィルム中のエステル結合由来のC=O伸縮振動を単離した。次いで、製品フィルムの吸収スペクトルから(遊離カルボキシル基の炭素・酸素二重結合とエステル結合の炭素・酸素二重結合の合計)を面積比から求め両者のモル比Rを求め、予め1.の方法で求めたイオン化度から式(3)によりエステル化度を求めた。赤外線吸収スペクトルの測定は、Perkin−Elmer社製FT−IR1710を用いて行った。
3.[酸素透過係数の測定]
ラミネートフィルムの酸素透過係数はModern Control社製、酸素透過試験機OXTRAN2/20を用いて、温度30℃、相対湿度80%(RH)の条件下で酸素透過度を測定し、その測定値から酸素透過係数を計算した。
4.[フィルムの耐熱水性]
フィルムの耐熱水性の評価を行うために、実施例1〜15および比較例1、2で得たフィルムをオートクレーブを用いてスチーム雰囲気中(130℃、1.5kg/cm2)に20分間放置した。その後フィルムをオートクレーブから取り出して酸素透過度を測定し酸素透過係数を算出した。
【0054】
1. ポリビニルアルコール水溶液(水溶液B1)の調製
ポリビニルアルコール(PVA)としてクラレ(株)社製ポバールTM105(ケン化度98.5%)10質量部に対して蒸留水90質量部を加え、PVAを加熱下溶解することでPVA10質量%水溶液(水溶液B1)を調製した。
2.澱粉水溶液(水溶液B2)の調製
澱粉として和光純薬工業(株)社製澱粉(水溶性)を用い、澱粉10質量部に対して蒸留水90質量部を加え、澱粉を加熱下溶解することで澱粉10質量%水溶液(水溶液B2)を調製した。
3.部分中和ポリ(メタ)アクリル酸水溶液(水溶液A)の調製
ポリ(メタ)アクリル酸(PAA)としては東亞合成化学(株)社製アロンTMA−10H(25%水溶液、数平均分子量150,000)を用い、蒸留水で2/5倍に希釈することで、PAAの10質量%水溶液を調製した。この水溶液100質量部に対して、更に水酸化ナトリウム0.56質量部を加え、溶解して中和度10%の部分中和PAA水溶液(水溶液A)を調製した。こうして得られた部分中和PAA水溶液の濃度は、約10質量%である。
尚、PAAの中和度は下式により求めた。
中和度=(N/N0)×100(%)
N:部分中和PAA1g中の中和されたカルボキシル基のモル数
0:部分中和する前のPAA1g中のPAAのカルボキシル基のモル数
【0055】
(実施例1)
(水溶液B1)30質量部に対して、(水溶液A)70質量部を混合して得られた水溶液を、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム:東レ(株)社製、ルミラーTMS10、厚さ12μm)上にリバースロールコーターを用いて塗工乾燥し、PETフィルム上にPVA:10%中和PAA=30:70(質量比)からなる混合物の皮膜(厚さ1μm)を形成させた。さらに該皮膜が形成されたPETフィルムを温度200℃に調節したオーブン中で15分間熱処理した。こうして得た熱処理フィルムを水道水に浸漬し、SD−30ND(トミー精工(株)社製、オートクレーブ)を用いて130℃、1.5kg/cm2の条件下で20分間イオン架橋処理した。処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。尚、以下、酸素透過係数は、測定して得た酸素透過度とフィルム厚みから算出したものである。結果を表1に示した。
【0056】
(実施例2)
実施例1で得た熱処理フィルムを濃度1g/リットルの水酸化マグネシウム水溶液中に浸漬し、実施例1と同様の条件でイオン架橋処理し、処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
【0057】
(実施例3)
実施例1で得た熱処理フィルムを水道水中に浸漬し、90℃で1時間浸漬処理し、処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
(実施例4)
実施例1で得た熱処理フィルムを濃度1g/リットルの水酸化マグネシウム水溶液中に浸漬し、90℃で1時間浸漬処理し、処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
【0058】
(実施例5)
(水溶液B2)30質量部に対して、(水溶液A)70質量部を混合して得られた水溶液を、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム:東レ(株)社製、ルミラーTMS10、厚さ12μm)上にリバースロールコーターを用いて塗工乾燥し、PETフィルム上に澱粉:10%中和PAA=30:70(質量比)からなる混合物の皮膜(厚さ1μm)を形成させた。さらに該皮膜が形成されたPETフィルムを温度200℃に調節したオーブン中で15分間熱処理した。こうして得た熱処理フィルムを水道水に浸漬し、オートクレーブSD−30NDを用いて温度130℃、1.5kg/cm2の条件下で20分間イオン架橋処理した。処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
【0059】
(実施例6)
実施例5で得た熱処理フィルムを濃度1g/リットルの水酸化マグネシウム水溶液中に浸漬し、実施例5と同様の条件でイオン架橋処理し、処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
(実施例7)
実施例5で得た熱処理フィルムを水道水中に浸漬し、90℃で1時間浸漬処理し、処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
(実施例8)
実施例5で得た熱処理フィルムを濃度1g/リットルの水酸化マグネシウム水溶液中に浸漬し、実施例5と同様の条件でイオン架橋処理し、処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
(実施例9)
実施例5で得た熱処理フィルムを濃度1g/リットルの炭酸マグネシウム水溶液中に浸漬し、実施例5と同様の条件でイオン架橋処理し、処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
(実施例10)
実施例5で得た熱処理フィルムを濃度1g/リットルの水酸化カルシウム水溶液中に浸漬し、実施例5と同様の条件でイオン架橋処理し、処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
(実施例11)
実施例5で得た熱処理フィルムを濃度1g/リットルの炭酸カルシウム水溶液中に浸漬し、実施例5と同様の条件でイオン架橋処理し、処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
【0060】
(実施例12)
(水溶液B2)30質量部に対して、(水溶液A)70質量部を混合して得られた水溶液を、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム:東レ(株)社製、ルミラーTMS10、厚さ12μm)上にリバースロールコーターを用いて塗工乾燥し、PETフィルム上に澱粉:10%中和PAA=30:70(質量比)からなる混合物の皮膜(厚さ1μm)を形成させた。さらに該皮膜が形成されたPETフィルムを温度230℃に調節した熱ロールに37秒間接触させて熱処理を行った。こうして得た熱処理フィルムを濃度1g/リットルの水酸化マグネシウム水溶液中に浸漬し、オートクレーブSD−30NDを用いて温度130℃、1.5kg/cm2の条件下で20分間イオン架橋処理した。処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
【0061】
【表1】
【0062】
(実施例13)
(水溶液B1)と(水溶液A)を混合してPVAと10%部分中和PAAとの質量比がそれぞれ、PVA:10%部分中和PAA=20:80、10:90、5:95(質量%)である混合物水溶液を調製した。各混合物水溶液を延伸PETフィルム(東レ(株)社製、ルミラーTMS10、厚さ12μm)上にPVA:10%部分中和PAA=20:80、10:90、5:95(質量%)からなる混合物の皮膜(厚さ1μm)を形成させた。更に該皮膜が形成されたPETフィルムを温度200℃に調節したオーブン中で15分間熱処理した。得られた熱処理フィルムを濃度1g/リットルの水酸化マグネシウム水溶液中に浸漬し、オートクレーブSD−30NDを用いて温度130℃、1.5kg/cm2の条件下で20分間イオン架橋処理した。処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表2に示した。
【0063】
(実施例14)
(水溶液B2)と(水溶液A)を混合して澱粉と10%部分中和PAAとの質量比がそれぞれ、澱粉:10%部分中和PAA=50:50、40:60、20:80、10:90、7:93、5:95(質量%)である混合物水溶液を調製した。各混合物水溶液を延伸PETフィルム(東レ(株)社製、ルミラーTMS10、厚さ12μm)上に澱粉:10%部分中和PAA=50:50、40:60、20:80、10:90、7:93、5:95(質量%)からなる混合物の皮膜(厚さ1μm)を形成させた。更に該皮膜が形成されたPETフィルムを温度200℃に調節したオーブン中で15分間熱処理した。得られた熱処理フィルムを濃度1g/リットルの水酸化マグネシウム水溶液中に浸漬し、オートクレーブSD−30NDを用いて温度130℃、1.5kg/cm2の条件下で20分間イオン架橋処理した。処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表2に示した。
【0064】
【表2】
【0065】
(実施例15)
PAAとして、東亞合成化学(株)社製アロンTMA−10H(25%水溶液、数平均分子量150,000)を用い、蒸留水で2/5倍の濃度に希釈することで、PAAの10質量%水溶液を調製した。このPAAの10質量%水溶液100質量部に対して、更に水酸化ナトリウムを計算量添加し、中和度がそれぞれ2、5、8、12、15、20%である部分中和PAA水溶液を調製した(表1−3には、それぞれA2、A5、A8、A12、A15およびA20と表示した)。得られた部分中和PAA水溶液の濃度は、約10質量%である。こうして得られたPAA(表1−3にはA0と表示した)および部分中和PAA水溶液70質量部と(水溶液B2)30質量部を混合して得られた水溶液を延伸PETフィルム(東レ(株)社製、ルミラーTMS10、厚さ12μm)上にリバースロールコーターを用いて塗工乾燥し、PETフィルム上に澱粉:PAAまたは部分中和PAA=30:70(質量%)からなる混合物の皮膜(厚さ1μm)を形成させた。
さらに該皮膜が形成されたPETフィルムを温度200℃に調節したオーブン中で15分間熱処理した。得られた熱処理フィルムを濃度1g/リットルの水酸化マグネシウム水溶液中に浸漬し、オートクレーブSD−30NDを用いて温度130℃、1.5kg/cm2の条件下で20分間イオン架橋処理した。処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表3に示した。
【0066】
尚、実施例1、3、5および7で用いた水道水中の金属の定量分析を行った結果は、Naは2ppm、Kは3ppm、Mgは2.3ppm、Caは10ppmの濃度であった。
【0067】
(比較例1)
PAAとして、東亞合成化学(株)製アロンTMA−10H(25%水溶液、数平均分子量150,000)を用い、蒸留水で2/5倍の濃度に希釈することで、PAAの10質量%水溶液を調製した。PAAの10質量%水溶液70質量部と水溶液B1、30質量部を混合して得られた水溶液を、延伸PETフィルム(東レ(株)製ルミラーTMS10,厚さ12μm)上にリバースロールコーターを用いて、塗工、乾燥し、PETフィルム上にPVA:PAA=30:70(質量%)でPAAのイオン化度が0である混合物の皮膜を形成させた(厚さ1μm)。更に該皮膜が形成されたPETフィルムを200℃に調節したオーブン中で15分間熱処理した。処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表3に示した。
【0068】
(比較例2)
PAAとして、東亞合成化学(株)製アロンTMA−10H(25%水溶液、数平均分子量150,000)を用い、蒸留水で2/5倍に希釈することで、PAAの10質量%水溶液を調製した。PAAの10質量%水溶液70質量部と水溶液B2、30質量部を混合して得られた水溶液を、延伸PETフィルム(東レ(株)製ルミラーTMS10,厚さ12μm)上にリバースロールコーターを用いて、塗工、乾燥し、PETフィルム上に澱粉:PAA=30:70(質量%)でPAAのイオン化度が0である混合物の皮膜を形成させた(厚さ1μm)。さらに該皮膜が形成されたPETフィルムを200℃に調節したオーブン中で15分間熱処理した。処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過度を測定した。結果を表3に示した。
【0069】
【表3】
【0070】
(実施例16〜21)
実施例6の水酸化マグネシウムに代えて、無水酢酸銅;(Cu(Ac)2)(実施例16)、水酸化コバルト;(Co(OH)2)(実施例17)、酢酸ニッケル4水和物;(Ni(Ac)24H2O)(実施例18)、酢酸マグネシウム4水和物;(Mg(Ac)24H20)(実施例19)、酢酸マンガン4水和物;(Mn(Ac)24H2O)(実施例20)、酸化亜鉛;(ZnO)(実施例21)を用い、実施例6と同様な条件でイオン架橋処理した。各金属化合物の濃度は、水酸化コバルト、酸化亜鉛については実施例6と同じ、それ以外は10g/リットルの濃度とした。イオン架橋処理後のフィルムのイオン化度、エステル化度および酸素透過係数を測定し、結果を表4に示した。
【0071】
【表4】
【0072】
(実施例22〜24、比較例3および4、参考例1)
レトルト処理中袋内に侵入する酸素量を調べるために以下の試験を行った。
積層体A:[ガスバリヤー性樹脂/PET](実施例1で得た積層体でPET層が下記接着剤層に接する。以下、同様。)、積層体B:[ガスバリヤー性樹脂/PET](実施例6で得た積層体)および積層体C:[ガスバリヤー性樹脂/PET](実施例10で得た積層体)を用い、ドライラミネート用接着剤を介してドライラミネートすることで以下のラミネートフィルムを作成した。
積層体A/接着剤/CPP(実施例22)
積層体B/接着剤/CPP(実施例23);
積層体C/接着剤/CPP(実施例24);
PET/接着剤/KONy/接着剤/CPP(比較例3);
PET/接着剤/EVOH/接着剤/CPP(比較例4);
PET/接着剤/AL箔/接着剤/CPP(参考例1);
これらのラミネートフィルムのCPP同士をシールすることで内寸100mm×60mmのパウチを作成し、内部に窒素ガスを充填した。その後、パウチをレトルト釜で120℃、1kg/cm2、20分間および130℃、1.5kg/cm2、10分間熱水レトルト処理した。処理後、パウチ内に侵入した酸素量をガスクロマトグラフィーを用いて定量した。結果を表5に示した。
【0073】
前記の材料はそれぞれ以下の如くである。
PET:延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、ルミラーTMS10、厚さ12μm)、CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム(東レ(株)製、トレファンTMNO ZK62、厚さ60μm)、AL箔:9μmアルミ箔、KONy:PVDCコートONy(東洋紡(株)製、N8110AE、厚さ15μm)、ONy:2軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ(株)製エンブレムTMRT、厚さ15μm)、EVOH:エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ラミネートフィルム(クラレ(株)製、エバールTMEF−RT、厚さ15μm)、ドライラミネート用接着剤:東洋モートン(株)製、アドコートTMAD−590(硬化剤CAT−10)。
【0074】
【表5】
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、耐水性があり、高湿度条件下においても、また熱水処理後においても、酸素ガスバリヤー性に優れたガスバリヤー性フィルムおよびそのフィルムの製造方法並びにそのフィルムを形成することができる樹脂フィルムが提供される。本発明のガスバリヤー性フィルムはガスバリヤー性の湿度依存性が小さく、熱水に対してもガスバリヤー性能が安定に保たれる。
このガスバリヤー性フィルムと他の樹脂からなるフィルムとの積層フィルムは、強靱性、シール性を備えており、酸素ガスにより変質し易い物品、輸液、食品、飲料など、特に包装後熱水処理を受ける物品の包装材料に適している。

Claims (13)

  1. ポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)から形成される膜状物を熱処理した後、2価金属イオン又は3価金属イオンを与える金属(C)を含む媒体に浸漬してなる樹脂フィルムであり、少なくとも下記化学構造(X)、(Y)および(Z)を有し、且つ、式(1)で定義されるエステル化度が0.01以上、0.5以下であり、式(2)で定義されるイオン化度が0.01以上、0.9以下であることを特徴とする樹脂フィルム
  2. ポリアルコール系ポリマー(B)がポリビニルアルコールまたは糖類である請求項1記載の樹脂フィルム
  3. 糖類が澱粉である請求項2記載の樹脂フィルム
  4. 金属(C)がアルカリ土類金属や亜鉛、銅、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる2価金属イオンを与える金属である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂フィルム
  5. 金属(C)がマグネシウム又はカルシウムである請求項4記載の樹脂フィルム
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂フィルムからなるガスバリヤー性フィルム。
  7. ポリアルコール系ポリマー(B)がポリビニルアルコールまたは糖類である請求項6記載のガスバリヤー性フィルム。
  8. 糖類が澱粉である請求項7記載のガスバリヤー性フィルム。
  9. 金属(C)がアルカリ土類金属や亜鉛、銅、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる2価金属イオンを与える金属である請求項6〜8のいずれかに記載のガスバリヤー性フィルム。
  10. 金属(C)がマグネシウム又はカルシウムである請求項9記載のガスバリヤー性フィルム。
  11. 30℃、相対湿度80%(RH)で測定した酸素透過係数が1.52×10−19mol/m・s・Pa(3.40×10−13cm(STP)・cm/m・s・Pa)以下であることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載のガスバリヤー性フィルム。
  12. 請求項6〜11のいずれかに記載のガスバリヤー性フィルムを少なくとも1層有するガスバリヤー性積層フィルム。
  13. レトルト用である請求項12記載のガスバリヤー性積層フィルム。
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