JP3794099B2 - プリプレグおよび回路基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は多層回路基板として有効なプリプレグおよび回路基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化、高密度化に伴い、産業用にとどまらず民生用の分野においても回路基板の多層化が強く要望されるようになってきた。このような回路基板では、複数層の回路パターンの間をインナービアホール接続する接続方法および信頼度の高い構造の新規開発が不可欠なものになっているが、導電性ペーストによるインナービアホールに接続した新規な構成の高密度の回路基板の製造方法(特開平6−268345号公報参照)が提案されている。
【0003】
この回路基板の製造方法を以下に説明する。
以下従来の両面回路基板と多層回路基板、ここでは4層の回路基板の製造方法について説明する。まず、多層回路基板のベースとなる両面回路基板の製造方法を説明する。図5(a)〜(f)は従来の両面回路基板の製造方法の工程断面図である。21は250mm角、厚さ約150μmのプリプレグシートであり、例えば不織布の全芳香族ポリアミド繊維に熱硬化性エポキシ樹脂を含浸させた複合材からなる基材が用いられる。22a,22bは、片面にSi系の離型剤を塗布した厚さ約10μmのプラスチックフィルムであり、例えばポリエチレンテレフタレート(以下PETシートと称する)が用いられる。23は貫通孔であり、プリプレグシート21の両面に貼り付ける厚さ35μmのCuなどの金属箔25a,25bと電気的に接続する導電性ペースト24が充填されている。
【0004】
まず、図5(a)に示すように両面にPETシート22a,22bが接着されたプリプレグシート21の所定の箇所に図5(b)に示すようにレーザ加工法などを利用して貫通孔23が形成される。その後、レーザー加工された両面にPETシート22a,22bが接着されたプリプレグシート21の表面や貫通孔23の内部に付着した加工粉26のクリーニングをブラシや吸引装置によって行う。
【0005】
次に図5(c)に示すように、貫通孔23に導電性ペースト24が充填される。導電性ペースト24を充填する方法としては、貫通孔23を有するプリプレグシート21を印刷機(図示せず)のテーブル上に設置し、直接導電性ペースト24がPETシート22aの上から印刷される。このとき、上面のPETシート22a,22bは印刷マスクの役割と、プリプレグシート21の表面の汚染防止の役割を果たしている。
【0006】
次に図5(d)に示すように、プリプレグシート21の両面からPETシート22a,22bを剥離する。そして、図5(e)に示すように、プリプレグシート21の両面にCuなどの金属箔25a,25bを重ねる。この状態で熱プレスで加熱加圧することにより、図5(f)に示すように、プリプレグシート21の厚みが圧縮される(t2=約100μm)とともにプリプレグシート21と金属箔25a,25bとが接着され、両面の金属箔25a,25bは所定位置に設けた貫通孔23に充填された導電性ペースト24により電気的に接続されている。そして、両面の金属箔25a,25bを選択的にエッチングして回路パターンが形成され(図示せず)て両面回路基板が得られる。
【0007】
図6(a)〜(e)は、従来の多層の回路基板の製造方法を示す工程断面図であり、4層の回路基板を例として示している。まず図6(a)に示すように、図5(a)〜(f)によって製造された回路パターン31a,31bを有する両面回路基板30と図5(a)〜(d)で製造された貫通孔23に導電性ペースト24を充填したプリプレグシート21a,21bが準備される。
【0008】
次に、図6(c)に示すように、積層プレート26aに金属箔25b、プリプレグシート21b、両面回路基板30、プリプレグシート21a、金属箔25a、積層プレート26bの順で位置決めして重ねる。位置決めは、例えば積層プレート26aに位置決めピン(図示せず)を、金属箔25a,25bとプリプレグシート21a,21bおよび両面回路基板30、積層プレート26bに位置決め用孔(図示せず)を設けて、前記積層金型の位置決めピンに位置決め孔を通してやればよい。また、積層金型に位置決め用のピンは設けずに金属箔25a,25bと積層プレート26bは外形のコーナー合わせで行い、プリプレグシート21a,21bと両面回路基板30とは双方に設けた位置決め孔などを用いて画像認識など利用してもよい。
【0009】
次に、積層プレート26aに積層体を載せた状態で、熱プレスで加熱加圧することにより、図6(d)に示すようにプリプレグシート21a,21bの厚みが圧縮(t2=約100μm)され、両面回路基板30と金属箔25a,25bとが接着されるとともに、回路パターン31a,31bは導電性ペースト24により金属箔25a,25bとインナービアホール接続される。そして図6(e)に示すように、両面の金属箔25a,25bを選択的にエッチングして回路パターン32a,32bを形成することで4層の回路基板が得られる。ここでは4層の多層回路基板について説明したが、4層以上の多層回路基板、例えば6層の回路基板については製造方法で得られた4層の回路基板を両面回路基板の代わりに用いて、多層回路基板の製造方法(図6(a)〜(e))を繰り返せばよい。
【0010】
従来例で用いたプリプレグシート21a,21bは、アラミドの不織布(もしくは織布)にエポキシ樹脂を含浸させエポキシ樹脂を半硬化させた複合材料であり、さらにプリプレグシート21a,21bの表面にはPETシート22a,22bが接着されている。このような状態になっている材料をレーザーで穴加工をするとPET、エポキシが混合した加工粉が発生し、PETシート22a,22bの表面や貫通孔23の中に付着する。この加工粉は、非常に粘性が強く材料表面や貫通孔23の中に付着すると非常に取れにくい。このまま、導電性ペースト24の充填を行うと、PETシート22a,22bの表面の加工粉は、導電性ペースト24に混入し、貫通孔23に付着した加工粉は導電性ペースト24の充填を阻害しどちらも電気特性を損ねさせる要因となる。
【0011】
従来例で説明した多層回路基板の製造方法はインナービアホール(以下IVHと称する)接続であり、層間の接続は各層に設けた貫通孔23に導電性ペースト24を充填したビアホールで実現しているので、回路基板の完成品となると、もし内層部のIVHに接続不良が存在しても修正ができない。導電性ペースト24を充填する際に、プリプレグシート21a,21bの表面や貫通孔23の中に異物が存在しない状態にしないと安定したビア充填が行えず電気特性が不安定になる可能性が高い。従って層間接続を確実に行うためビア充填加工までに、確実に貫通孔23や表面がクリーニングされた信頼性の高いプリプレグシート21a,21bを用意することが望まれている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
この多層回路基板の製造方法においては、安定したビア充填を行い安定した電気特性を得るために、レーザー加工によって発生した加工粉や、その他の異物がプリプレグシート21a,21bの表面や貫通孔23の中に残ったまま、ビア充填工程に流れないように、確実にプリプレグシート21a,21bの表面や貫通孔23の中がクリーニングされることが要求されている。
【0013】
しかしながら上記の従来の多層回路基板の製造方法においては、ブラシで擦ると表面の加工粉は除去できるが、プリプレグシートに設けた貫通孔23の径よりもブラシの毛の方が太く穴の中までブラシが入らないため穴詰まりについてはほとんど効果が無い。また、ブラシも折れやすく発塵源となり、更に毛を細くするのも困難である。そして、折れたブラシは静電気が帯電してPETシート22a,22bの表面に強力に吸着し吸引をかけても除去しにくい。
【0014】
また、レーザ加工粉は、プリプレグシート21a,21bに含まれているエポキシ樹脂やPETシート22a,22bの成分が混在しており、粘性もあり穴の中に詰まると非常に取れにくい。
【0015】
本発明は安定した層間接続を実現するために、レーザ加工によって発生したレーザ加工粉やその他の異物を確実にクリーニング工程でプリプレグシートより除去することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明は、貫通孔を形成したプリプレグシートの表面に粒子を散布し、このプリプレグシートの表面をスキージでスキージングした後にプリプレグシートの表面を吸引して粒子と異物を回収し、このプリプレグシートの貫通孔に導電性ペーストを充填する方法としたものである。
【0017】
これにより、プリプレグシートの表面と貫通孔は、高品質で保たれビア充填されるので高品質な電気特性の優れたプリプレグが得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、プリプレグシート表面に粒子を散布し、このプリプレグシートの表面をスキージでスキージングした後にプリプレグシートの表面を吸引して粒子と異物を回収し、このプリプレグシートの貫通孔に導電性ペーストを充填する方法としたものであり、確実にプリプレグシートの表面と貫通孔を清浄化する作用を有する。
【0019】
請求項2に記載の発明は、粒子として金属粒子を用いたものであり、金属粒子は静電気を帯びず貫通孔に入りやすく、貫通孔内にこびりついた加工粉を剥した後吸引しやすくなるという作用を有する。
【0020】
請求項3に記載の発明は、粒子として100μm以下の大きさの金属粒子を用いたものであり、貫通孔の内部に確実に入り込み加工粉を確実に除去できるという作用を有する。
【0021】
請求項4に記載の発明は、粒子として用いる金属粒子を銅、銀もしくはこれらの合金を用いたものであり、入手しやすく実用的であるという作用を有する。
【0022】
請求項5に記載の発明は、スキージの先端形状を角形としたものであり、貫通孔に食い込みやすくプリプレグシートの加工粉を確実に除去できるという作用を有する。
【0023】
請求項6に記載の発明は、スキージを弾性体で構成したものであり、貫通孔に食い込みやすく、プリプレグシートを傷をつけずしかも加工粉を確実に除去するという作用を有する。
【0024】
請求項7に記載の発明は、導電性ペーストとして銅、銀あるいはこれらの合金の粉末からなる導電物質を主成分としたものを用いるものであり、入手しやすく、コスト面で有利になるという作用を有する。
【0025】
請求項8に記載の発明は、プリプレグシートとして有機材料を主材料とする織布または不織布と熱硬化性樹脂との複合材を用いたもので信頼性の高いものとなるという作用を有する。
【0026】
請求項9に記載の発明は、プリプレグシートとして芳香族ポリアミドを主材料とする織布または不織布と熱硬化型エポキシ樹脂との複合材を用いたもので、積層し加熱加圧したとき圧縮されて導電性ペーストによる接続の信頼性が高くなるという作用を有する。
【0027】
請求項10に記載の発明は、プリプレグシートとして無機材料を主材料とする織布または不織布と熱硬化性樹脂の複合材を用いたものであり、絶縁の信頼性の高いものとできる作用を有する。
【0028】
請求項11に記載の発明は、プリプレグシートとしてガラス材料からなる織布または不織布と熱硬化型エポキシ樹脂との複合材を用いたもので、絶縁性と強度の優れたものとすることができるという作用を有する。
【0029】
請求項12に記載の発明は、プリプレグートに貫通孔を形成し、このプリプレグシートの表面に粒子を散布し、このプリプレグシートの表面をスキージでスキージングした後プリプレグシートの表面を吸引して粒子と異物を回収し、このプリプレグシートの貫通孔に導電性ペーストを充填し、このプリプレグシートの両面に金属箔を配置した後加熱加圧してプリプレグシートと導電性ペーストを圧縮硬化させるとともにプリプレグシートに金属箔を貼付け、この金属箔を任意のパターンに形成する回路基板の製造方法であり,回路基板としての貫通孔に充填した導電性ペーストの電気特性の安定化が図れるという作用を有する。
【0030】
請求項13に記載の発明は、両面に導電パターンを備えた内層材の両面に、貫通孔を形成したプリプレグシートの表面に粒子を散布し表面をスキージでスキージングした後プリプレグシートの表面を吸引して粒子と異物を回収し、このプリプレグシートの外側に金属箔を配置し、これらを加熱加圧してプリプレグシートに貼付け、この金属箔を任意のパターンに形成するものであり、優れた電気特性の多層の回路基板を得ることができるという作用を有する。
【0031】
請求項14に記載の発明は、請求項12に記載の方法により製造した回路基板を内層材とし、この内層材の両面に請求項1に記載の方法により製造したプリプレグを介して金属箔を加熱加圧してプリプレグシートと導電性ペーストを圧縮硬化させて内層材に金属箔を貼付け、この外表面の金属箔を任意のパターンに形成するものであり、多層の回路基板として貫通孔に充填した導電性ペーストによる接続の信頼性の確保ができるという作用を有する。
【0032】
請求項15に記載の発明は、複数の内層材を請求項1に記載の方法で製造したプリプレグを介して積層し、各最外層の内層材の外側に同じプリプレグを介して金属箔を配置し、これらを加熱加圧してプリプレグと導電性ペーストを圧縮硬化させて一体化し、最外層の金属箔を任意のパターンに形成するものであり、これも信頼性の高い多層の回路基板を得ることができるという作用を有する。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
まず、多層回路基板のベースとなるプリプレグの製造方法について説明する。図1(a)〜(e)は本発明のプリプレグの製造方法の工程断面図である。1は250mm角、厚さ約150μmのプリプレグシートであり、例えば不織布の芳香族ポリアミド繊維に熱硬化性エポキシ樹脂を含浸させた複合材からなる基材が用いられる。2a,2bは片面にSi系の離型剤を塗布した厚さ約10μmのプラスチックフィルムであり、例えばポリエチレンテレフタレート(以下PETシートと称する)が用いられる。3は貫通孔であり、プリプレグシート1の両面に貼り付ける厚さ35μmのCuなどの金属箔5a,5bと電気的に接続する導電性ペースト4が充填されている。
【0034】
このとき使用した導電性ペースト4は、導電性のフィラーとして平均粒径2ミクロンのAg粉末を用い、樹脂としては熱硬化型エポキシ樹脂(無溶剤型)、硬化剤として酸無水物系の硬化剤をそれぞれ85重量%、12.5重量%、2.5重量%となるように3本ロールにて十分に混練したものであるが、Ag粉末の代わりにAu合金、CuおよびCu合金の粉末を用いてもよい。
【0035】
まず、図1(a)に示すように両面にPETシート2a,2bが接着されたプリプレグシート1の所定の箇所に図1(b)に示すようにレーザ加工法などを利用して貫通孔3が形成される。このときレーザー加工時に発生した加工粉6がPETシート2a,2bの表面や貫通孔3の内部に付着している。
【0036】
次に、PETシート2a,2bの表面や貫通孔3の内部に付着した加工粉6を除去するために図1(c)に示すように、PETシート2aの表面に材質が銅もしくは銀やそれらからなる合金からなる粒径30〜70μmの金属粒子7を散布する。穴径が150μmに対して、粒径が100μm以上だと集塵する際に穴内部から取れにくくなる。また10μm以下だと加工粉6を除去する能力が落ち、凝集しやすくなりかえって穴詰まりを起こしやすい。
【0037】
次に、金属粒子7を散布したPETシート2aの表面を材質がウレタンゴムのゴム硬度70の角スキージ8(剣スキージでも可能なのはいうまでもない。)でスキージングすることでPETシート2aの表面は傷つくこと無く金属粒子7が貫通孔3内に押込まれて加工粉6が除去される。貫通孔3の中は、図4に示すようにスキージングすることでスキージ8が貫通孔3の中に入り込み金属粒子7をさらに穴内部に入り込ませこびり着いた加工粉6を穴壁より脱落させる。6aは脱落した加工粉である。このスキージングと同時に、図1(c)に示すように裏面より吸引ダクト9(掃除機でも可能)によって加工粉6と金属粒子7を一度に集塵して除去する。同様にPETシート2bの面もクリーニングを行い、プリプレグシート1の清浄化を行う。このとき金属粒子7が介在していることで静電気が抑制され簡単に吸引によって除去できる。
【0038】
また、金属粒子7は回収後遠心分離法や分球法によってダスト類と分けることができるので再利用が可能である。
【0039】
次に図1(d)に示すように、貫通孔3に導電性ペースト4が充填される。導電性ペースト4を充填する方法としては、貫通孔3を有するプリプレグシート1を印刷機(図示せず)のテーブル上に設置し、直接導電性ペースト4がPETシート2aの上から印刷される。このとき、上面のPETシート2aは印刷マスクの役割と、プリプレグシート1の表面の汚染防止の役割を果たしている。
【0040】
次にプリプレグシート1をバッチ式の乾燥炉で80℃15分間乾燥し、プリプレグ内の水分を取り除く。ここではPETシート2a,2bの剥離後に乾燥したが、剥離前に乾燥しても同様に水分を取り除くことができる。
【0041】
次にプリプレグシート1の両面のPETシート2a,2bを剥離する。図1(e)に示すように、プリプレグシート1の両面に導電性ペースト4の一部に突出したプリプレグが形成される。このプリプレグシート1から突出する導電性ペースト4はそのままの状態で利用してもよいし、軽く突出している部分だけをプレスしてプリプレグシート1の厚さを等しくして利用してもよい。
【0042】
以上のような方法によりプリプレグを製造することにより、PETシート2a,2bの表面やプリプレグシート1の貫通孔3内に付着している加工粉6は、スキージ8によるスキージングで金属粒子7とともに貫通孔3内に落し込まれ、吸引ダクト9によってPETシート2b側で吸引することによって金属粒子7とともに加工粉6が吸引ダクト9に吸引され、殆んど貫通孔3内に加工粉6が残るようなことはなくなる。
【0043】
したがって、貫通孔3内には完全に導電性ペースト4だけが充填されることになり、電気的導通の信頼性の大幅な向上が図れることになる。
【0044】
(実施の形態2)
次に、多層基板のベースとなる両面回路基板の製造方法について説明する。図2(a)〜(g)は本発明の両面回路基板の製造方法の工程断面図である。1は250mm角、厚さ約150μmのプリプレグシートであり、例えば不織布の芳香族ポリアミド繊維に熱硬化性エポキシ樹脂を含浸させた複合材からなる基材が用いられる。2a,2bは片面にSi系の離型剤を塗布した厚さ約10μmのプラスチックフィルムであり、例えばポリエチレンテレフタレート(以下PETシートと称する)が用いられる。3は貫通孔であり、プリプレグシート1の両面に貼り付ける厚さ35μmのCuなどの金属箔5a,5bと電気的に接続する導電性ペースト4が充填されている。
【0045】
このとき使用した導電性ペースト4は、導電性のフィラーとして平均粒径2ミクロンのAg粉末を用い、樹脂としては熱硬化型エポキシ樹脂(無溶剤型)、硬化剤として酸無水物系の硬化剤をそれぞれ85重量%、12.5重量%、2.5重量%となるように3本ロールにて十分に混練したものであるが、Ag粉末の代わりにAu合金、CuおよびCu合金の粉末を用いてもよい。
【0046】
まず、図2(a)に示すように両面にPETシート2a,2bが接着されたプリプレグシート1の所定の箇所に図2(b)に示すようにレーザ加工法などを利用して貫通孔3が形成される。このときレーザー加工時に発生した加工粉6がPETシート2a,2bの表面や貫通孔3の内部に付着している。
【0047】
次に、PETシート2a,2bの表面や貫通孔3の内部に付着した加工粉6を除去するために図2(c)に示すように、PETシート2aの表面に材質が銅もしくは銀やそれらからなる合金からなる粒径30〜70μmの金属粒子7を散布する。穴径が150μmに対して、粒径が100μm以上だと集塵する際に穴内部から取れにくくなる。また10μm以下だと加工粉6を除去する能力が落ち、凝集しやすくなりかえって穴詰まりを起こしやすい。
【0048】
次に、金属粒子7を散布したPETシート2aの表面を材質がウレタンゴムのゴム硬度70の角スキージ8(剣スキージでも可能なのはいうまでもない。)でスキージングすることでPETシート2aの表面は傷つくこと無く加工粉6が除去されるとともに金属粒子7を貫通孔3に落し込む。貫通孔3の中は、図4に示すようにスキージングすることでスキージ8が貫通孔3の中に入り込み金属粒子7をさらに穴内部に入り込ませこびり着いた加工粉6を穴壁より脱落させる。6aは脱落した加工粉を示している。このスキージングと同時に、裏面より吸引ダクト9(掃除機でも可能)によって加工粉6と金属粒子7を一度に集塵して除去する。
【0049】
同様にPETシート2bの面もクリーニングを行い、プリプレグシート1の清浄化を行う。このとき金属粒子7が介在していることで静電気が抑制され簡単に吸引によって除去できる。
【0050】
また、金属粒子7は回収後遠心分離法や分球法によってダスト類と分けることができるので再利用が可能である。
【0051】
次に図2(d)に示すように、貫通孔3に導電性ペースト4が充填される。導電ペースト4を充填する方法としては、貫通孔3を有するプリプレグシート1を印刷機(図示せず)のテーブル上に設置し、直接導電性ペースト4がPETシート2aの上から印刷される。このとき、上面のPETシート2aは印刷マスクの役割と、プリプレグシート1の表面の汚染防止の役割を果たしている。
【0052】
次にプリプレグシート1をバッチ式の乾燥炉で80℃15分間乾燥し、プリプレグシート1内の水分を取り除く。ここではPETシート2a,2bの剥離後に乾燥したが、剥離前に乾燥しても同様に水分を取り除くことができる。
【0053】
次にプリプレグシート1の両面のPETシート2a,2bを剥離する。図2(e)そして図2(f)に示すように、プリプレグシート1の両面にCuなどの金属箔5a,5bを重ねる。
【0054】
次にプリプレグシート1に金属箔5a,5bを重ねた状態で、熱プレスにセットし、加熱加圧することにより、図2(g)に示すようにプリプレグシート1の厚みが圧縮される(t2=約100μm)とともにプリプレグシート1と金属箔5a,5bとが接着され、両面の金属箔5a,5bは所定位置に設けた貫通孔3に充填された導電性ペースト4により電気的に接続されている両面板ができ、両面の金属箔5a,5bを選択的にエッチングすることで所望のパターンを形成し両面回路基板を作成することができる。
【0055】
この方法による両面回路基板も導電性ペースト4による接続の信頼性の高いものとすることができる。
【0056】
(実施の形態3)
次に本発明の多層の回路基板の製造方法について説明する。図3(a)〜(e)は、本発明の多層の回路基板の製造方法を示す工程断面図であり、4層基板を例として示している。まず図3(a)に示すように、図2(a)〜(g)によって製造された回路パターン11a,11bを有する両面回路基板からなる内層材10と図1(a)〜(e)で製造された貫通孔3に導電性ペースト4を充填したプリプレグシート1a,1bが準備される。
【0057】
位置決めは、例えば積層プレート9aに位置決めピン(図示せず)を、金属箔5a,5bとプリプレグシート1a,1bおよび内層材10と積層プレート9bに位置決め用孔(図示せず)を設けて、前記積層プレート9aの位置決めピンに位置決め孔を通してやればよい。また、積層金型に位置決め用のピンは設けずに金属箔5a,5bと積層プレート9bは外形のコーナー合わせで行い、プリプレグシート1a,1bと内層材10とは双方に設けた位置決め孔やパターンなどを用いて、画像認識などを利用してもよい。
【0058】
次に、積層プレート9aに製品を載せた状態で熱プレスにセットし加熱加圧することにより、図3(d)に示すようにプリプレグシート1a,1bの厚みが圧縮(t2=約100μm)され、内層材10と金属箔5a,5bとが接着されるとともに、回路パターン11a,11bは導電性ペースト4により金属箔5a,5bとインナービアホール接続される。そして図3(e)に示すように、両面の金属箔5a,5bを選択的にエッチングして回路パターン12a,12bを形成することで4層の回路基板が得られる。ここでは4層の回路基板について説明したが、4層以上の回路基板、例えば6層の回路基板についてはこの製造方法で得られた4層の回路基板を内層材10の代わりに用いて、図3(a)〜(e)に示す多層の回路基板の製造方法を繰り返せばよい。
【0059】
上記製造方法で製造した多層の回路基板は、導電性ペーストのビア充填前に印刷マスクとなるPETシート2a,2bの表面と貫通孔3を清浄化することができたことで、安定した導電性ペースト4の充填が行えるとともに、回路基板の電気特性を安定化させることができた。
【0060】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明はレーザー加工されたプリプレグシートのクリーニング方法を、金属粒子をプリプレグシートの表面に散布しスキージでスキージングしその後吸引する方法にしたことによって、プリプレグシートの表面と貫通孔の内部の異物を確実に除去することができ、このクリーニング工法を用いた多層の回路基板の製造方法では電気特性の安定した多層の回路基板を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)本発明の一実施の形態のプリプレグの製造方法を示す断面図
【図2】(a)〜(g)本発明の一実施の形態の両面回路基板の製造方法を示す断面図
【図3】(a)〜(e)本発明の一実施の形態の多層の回路基板の製造方法を示す断面図
【図4】本発明のプリプレグシートに明けた貫通孔の中でのスキージの動作を示した断面図
【図5】(a)〜(f)従来の両面回路基板の製造方法を示す断面図
【図6】(a)〜(e)従来の多層の回路基板の製造方法を示す断面図
【符号の説明】
1,1a,1b プリプレグシート
2a,2b プラスチックフィルム(PETシート)
3 貫通孔
4 導電性ペースト
5a,5b 金属箔
6 加工粉
7 金属粒子
8 スキージ
9a,9b 積層プレート
10 内層材
11a,11b,12a,12c 回路パターン
Claims (15)
- 貫通孔を形成したプリプレグシートの表面に粒子を散布し、このプリプレグシートの表面をスキージでスキージングした後プリプレグシートの表面を吸引して粒子と異物を回収し、このプリプレグシートの貫通孔に導電性ペーストを充填するプリプレグの製造方法。
- 粒子として金属粒子を用いた請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
- 粒子として用いる金属粒子を100μm以下の大きさとした請求項2に記載のプリプレグの製造方法。
- 粒子として用いる金属粒子を銅、銀あるいはこれらの合金とした請求項2に記載のプリプレグの製造方法。
- スキージの先端形状を角形とした請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
- スキージを弾性体で構成した請求項1または2に記載のプリプレグの製造方法。
- 導電性ペーストとして銅、銀あるいはこれらの合金の粉末からなる導電物質を主成分としたものを用いる請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
- プリプレグシートとして有機材料を主材料とする織布または不織布と熱硬化性樹脂との複合材を用いた請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
- プリプレグシートとして芳香族ポリアミドを主材料とする織布または不織布と熱硬化型エポキシ樹脂との複合材を用いた請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
- プリプレグシートとして無機材料を主材料とする織布または不織布と熱硬化性樹脂の複合材を用いた請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
- プリプレグシートとしてガラス材料からなる織布または不織布と熱硬化型エポキシ樹脂との複合材を用いた請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
- プリプレグシートに貫通孔を形成し、このプリプレグシートの表面に粒子を散布し、このプリプレグシートの表面をスキージでスキージングした後プリプレグシートの表面を吸引して粒子と異物を回収し、このプリプレグシートの貫通孔に導電性ペーストを充填し、このプリプレグシートの両面に金属箔を配置した後加熱加圧してプリプレグシートと導電性ペーストを圧縮硬化させるとともにプリプレグシートに金属箔を貼付け、この金属箔を任意のパターンに形成する回路基板の製造方法。
- 両面に導電パターンを備えた内層材の両面に、貫通孔を形成したプリプレグシートの表面に粒子を散布し表面をスキージでスキージングした後プリプレグシートの表面を吸引して粒子と異物を回収し貫通孔に導電性ペーストを充填したプリプレグを配置し、このプリプレグシートの外側に金属箔を配置し、これらを加熱加圧してプリプレグシートと導電性ペーストを圧縮硬化させるとともに金属箔をプリプレグシートに貼付け、この金属箔を任意のパターンに形成する回路基板の製造方法。
- 請求項12に記載の方法により製造した回路基板を内層材とし、この内層材の両面に請求項1に記載の方法により製造したプリプレグを介して金属箔を加熱加圧してプリプレグシートと導電性ペーストを圧縮硬化させて内層材に金属箔を貼付け、この外表面の金属箔を任意のパターンに形成する回路基板の製造方法。
- 複数の内層材を請求項1に記載の方法で製造したプリプレグを介して積層し、各最外層の内層材の外側に同じプリプレグを介して金属箔を配置し、これらを加熱加圧してプリプレグと導電性ペーストを圧縮硬化させて一体化し、最外層の金属箔を任意のパターンに形成する回路基板の製造方法。
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