JP3792109B2 - 電磁機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、主巻線の励磁電流に影響されず、高調波歪みが少なく、鉄心の突き合わせ面に絶縁フィルムを必要としないでリアクタンスを可変できる電磁機器に関する。さらに、電力系統に直列に接続可能な電磁機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
リアクタンスを可変する従来の技術としては、本出願人が先に提案した線形可変リアクトル(特開平09−330829号公報)や誘導性素子(特開平09−129450号公報)がある。
【0003】
図11は、線形可変リアクトルの一実施例を示す斜視図である。この線形可変リアクトルは、図11に示すように、主巻線32が巻回された第1のU形カットコア31と、制御巻線34が巻回された第2のU形カットコア33から構成され、これら第1及び第2のU形カットコア31、33は、そのカット面同志を互いに対向させ、且つ、第1のU形カットコア31に対して第2のU形カットコア33を捩じり方向に90°回転させた状態で接触されている。カット面同志の4面の接触面36は、主巻線32、制御巻線34の各々に電圧e1、e2を印加して発生する磁束φ1、φ2の全てが通る共通磁路となる。そこで、制御巻線34の電流i2で当該共通磁路を磁気飽和させることにより主巻線32による磁束の磁路を楔形の間隙35に移行させることができ、制御巻線34の励磁電流を変えることにより、主巻線32のリアクタンスを線形に可変させることができる。
【0004】
また、図12は誘導性素子の一実施例を示す斜視図である。この誘導性素子は、図12に示すように、EI型コア44に主巻線45と制御用巻線46を巻回した構成であり、主巻線に交流電源を接続することにより、巻線部45aによる磁束φ1及び巻線部45bによる磁束φ2が発生する。ここで、制御用巻線に制御電流を流すと磁束φ3が発生するが、外枠47と外枠48を等断面積とすることにより、外枠47内には磁束φ1に磁束φ3の1/2を加算した磁束が通過し、外枠48内には磁束φ2に磁束φ3の1/2を差し引いた磁束が通過する。このとき、外枠47の端部47aに前記加算磁束が集中し、先端部が磁気飽和して外枠47の透磁率が減少しインダクタンスが低下する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記線形可変リアクトルは、第1及び第2のU形カットコアの共通磁路を制御巻線の励磁電流により磁気飽和させ透磁率を制御することによりリアクタンスを可変しており、また、上記誘導性素子についても、主磁束と制御磁束により外枠先端部を磁気飽和させ透磁率を制御することによりリアクタンスを可変している。このため、共に、主巻線に流れる負荷電流が増加すると、負荷電流により磁気飽和現象が生じてしまい、制御巻線の励磁電流によるリアクタンス制御が困難になるという課題があった。
【0006】
また、上記線形可変リアクトルは、直交するU形カットコアの磁心接合面において生ずる渦電流発生の対策として、磁心接合面において積層鋼板が互いに直交することから、突き合せ面における積層鋼板間の短絡を防止するため接合面に絶縁フィルムを挿入しているが、十分な耐久性をもつ絶縁フィルム材料を確保することが困難であり、また、絶縁フィルムを介在させると磁気回路の磁気抵抗が増大し、大きなリアクタンスの変化が困難となるという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、主巻線に流れる負荷電流による影響が少なく、磁気回路構造及び巻線の巻装構造が簡単で、且つ、絶縁フィルムを必要としないで高調波を低減させリアクタンスを可変できる電磁機器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、田の字状磁路による磁気抵抗制御電磁機器の磁路構成を対象とするもので、磁心の接合面において積層鋼板の突き合せ面が直交することなく平行に形成でき、磁心接合面の絶縁フィルムの介在を必要としない。また、交流主巻線による主磁束が共通磁路に向かって対向しているため、増加する主磁束を相殺するようになるので大電流に対応可能であり電力系統に直列に接続する電磁機器に適応できる。
請求項2の発明は、請求項1の発明の磁路構成を適用した可変リアクトルであり、対称的に四つの閉磁路が形成される田の字状磁心と、該磁心の互いに交叉する十字状磁路に同軸線上に対向させて一方の磁路に一対の主巻線を、他方の磁路に一対の制御巻線を巻回し、前記主巻線は一対の主巻線による磁束が互いに十字状磁路の交点に対向するように直列に接続し、前記制御巻線は主巻線による磁束によって生じる誘起電圧が互いに打消されるように直列に接続し、その開放端子側には制御回路を接続して直流制御電流を供給し、主巻線により生じる磁束と制御巻線により生じる磁束の共通磁路の磁気抵抗を制御して主巻線のリアクタンスを連続的に可変することを特徴としたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、I字状磁心の両側辺に一対のE字状磁心を対向させて田の字状磁心を形成することを特徴としたものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、E形カットコアを対向させた三脚磁心2組を、互いにE形カットコアの背辺を接して田の字状磁心を形成することを特徴としたものである。
【0011】
請求項5の発明は、一対の三相三脚磁心の対応する各脚の中央部が交叉するように互いに交叉する一対の三相閉磁路を形成し、一方の三脚磁心の各脚にそれぞれ各相一対の主巻線を巻回し、他方の三脚磁心の各脚にそれぞれ一対の制御巻線を巻回し、前記主巻線は各脚の一対の主巻線の磁束が互いに交叉する磁路の交点に対向するように直列に接続し、前記制御巻線は主巻線による磁束で各脚に巻回された一対の制御巻線に生じる誘起電圧が互いに打消されるように直列に接続し、その開放端子側に制御回路を接続して直流制御電流を供給し、主巻線により生じる磁束と制御巻線により生じる磁束との共通磁路の磁気抵抗を制御して主巻線のリアクタンスを連続的に可変することを特徴としたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による電磁機器の基本構成例を示す接続図、図2は、図1で示した電磁機器を等価的に回路表示した回路構成図である。本発明の基本構成を以下に説明する。
田の字状磁心は、第1のE形磁心3aと第2のE形磁心3bを、I形磁心4に鉄心窓部が4個所形成されるように対称に対向させ、第1のE形磁心3aとI形磁心4の接合面及び第2のE形磁心3bとI形磁心4の接合面は、磁心を構成する各々の積層鋼板を平行になるように突き合わせて構成する。
【0013】
第1のE形磁心3aの中央脚に第1主巻線1aを巻回し、第2のE形磁心3bの中央脚に第2主巻線1bを巻回す。主巻線1a及び1bを、両主巻線から生じる磁束φ11及びφ12がI形磁心4に向かって同方向になるように直列に接続する。I形磁心4の鉄心窓部それぞれには制御巻線2a及び2bを巻回し、主巻線による磁束で制御巻線2a及び2bに生じる誘起電圧が互いに打消されるように両制御巻線を直列に接続し、その開放端子側に制御回路5を接続する。
【0014】
図1において、主巻線の開放端子に交流電源を接続し、図示矢印方向の電流IL1が流れていたとする。なお、電流IL1を正サイクルとした場合、負サイクルでは電流IL2が流れる。電流IL1が流れると、磁路には主巻線1aにより主磁束φ11及び主磁束φ11’、並びに主巻線1bにより主磁束φ12及び主磁束φ12’がそれぞれ発生する。逆に、電流IL2が流れた場合についてはそれぞれ前記と逆向きの主磁束が発生する。発生した主磁束は、制御巻線に直流制御電流を流さない場合にはそれぞれの四つの閉磁路を通過し、主巻線には巻数と磁心の磁気抵抗に応じたリアクタンスが生ずる。制御巻線を巻回したI形磁心部は、制御磁束φcと主磁束との共通磁路となる。
【0015】
主巻線電流IL1、IL2を流した状態で制御巻線に直流制御電流Icを流すと、制御巻線2a及び2bにおいて、制御巻線の巻数と制御電流Icの積で表される起磁力が発生することで、制御巻線磁束φcと主磁束φ11、φ11’及びφ12、φ12’が同方向となる共通磁路部分の磁束密度が大となって透磁率が変化し、主磁束が制御されリアクタンスが低下する。
【0016】
主巻線電流IL1、IL2あるいは直流制御電流Icを増加させることにより共通磁路が磁気飽和状態になると、主巻線1a及び1bより発生する主磁束がI形磁心4に向かって同方向になるように主巻線を分割して接続しているため、増加する主磁束φ11及び主磁束φ11’と増加する主磁束φ12及び主磁束φ12’は互いに相殺され、磁路は完全な磁気飽和状態に至らず一定の磁束密度に保たれる。一対の主巻線1a及び1bによる主磁束の増加分が閉磁路を環流しないので、互いの主巻線の起磁力を相殺することになる。
【0017】
更に、主巻線電流IL1、IL2が増加しても、共通磁路が一定の磁束密度に保たれるように、増加する主巻線1aによる主磁束と主巻線1bによる主磁束は相殺されるため、直流制御電流Icを制御することにより主磁束が制御でき、リアクタンスを可変することができる。即ち、主巻線電流に拘わらず、制御巻線に直流制御電流Icを流すことでリアクタンスを可変することができる。
上述のように、リアクタンスを制御する共通磁路部が完全な磁気飽和状態に至らないので、高調波電流の抑制された電磁機器を実現することができる。
【0018】
図3(A)は、本発明によるリアクタンスの制御特性例を示したものであり、主巻線電流が増加した場合でも、直流制御電流Icを増加させることにより、リアクタンスが可変できることがわかる。
図3(B)は、本発明によるリアクタンスの磁化特性を示したもので、縦軸は主巻線部の磁束、横軸は主巻線の巻数と主巻線電流の積で表される起磁力を表している。
直流制御電流Icが少ない場合には磁化特性の非線形が生じているものの、制御電流Icを増加させることにより、主磁束が相殺されて磁束の増加を抑制し、磁化特性の非線形性が改善されることが確認でき、これにより高調波歪みが減少することがわかる。
【0019】
また、第1のE形磁心3aとI形磁心4の磁心接合面及び第2のE形磁心3bとI形磁心4の磁心接合面は、各々の積層鋼板が平行に突き合わされているため積層鋼板間の短絡は生じない。このため、磁心接合面に絶縁フィルムを挿入する必要はない。
【0020】
以上のように、本発明によると、直流制御電流を調整することにより主磁束を制御するとともに、主巻線間の主磁束を相殺することにより、主巻線電流の影響を受けずに高調波を低減させてリアクタンスを高速且つ連続的に可変することができる。
【0021】
図4は、図1に示した磁路構成において、電磁機器を構成する主巻線1a及び1b並びに制御巻線2a及び2bの配置を逆構成としたものである。前述と同様、直流制御電流Icを調整することにより主磁束を制御するとともに、主巻線1aによる主磁束φ11及び主磁束φ11’と主巻線1bによる主磁束φ12及び主磁束φ12’が相殺することにより、主巻線電流IL1の影響を受けずに、高調波を低減させてリアクタンスを高速且つ連続的に可変することができる。
【0022】
図5は、中央脚に第1制御巻線2aを巻回した第1のE形カットコア6aと第2のE形カットコア6bを対向させ、中央脚に第2制御巻線2bを巻回した第3のE形カットコア6cと第4のE形カットコア6dを対向させた2組の三脚磁心を、図6の構成例に示すように、両三脚磁心を鉄心窓部が4個所形成され且つそれぞれの鉄心窓部中心が方形を形成するように対向させたものである。
【0023】
2組の鉄心窓部それぞれにE形カットコア6b及び6dを跨ぐように主巻線1a及び1bを巻回し、主巻線1a及び1bを、両主巻線から生じる磁束φ11及びφ12がE形磁心6bのなかで逆方向になるように直列に接続する。また、主巻線による磁束で制御巻線2a及び2bに生じる誘起電圧が互いに打消されるように両制御巻線を直列に接続し、その開放端子側に制御回路5を接続したものである。
【0024】
本構成によれば、高磁束密度鋼板を適用したE形カットコアが使用できることから、コアの設計磁束密度を高くすることができ、機器のコンパクト化が図れるとともに、低コストの電磁機器を実現することができる。
【0025】
図7は、前記E形カットコア4個から構成した電磁機器と同等の動作が実現できる構成例を示したもので、その基本構成を以下に説明する。
第1のU形カットコア10a及び第2のU形カットコア10bを跨ぐように第1制御巻線2aを巻回して、両U形カットコアを第1のE形カットコア6aに対向させる。同様に、第3のU形カットコア10c及び第4のU形カットコア10dを跨ぐように第2制御巻線2bを巻回して、両U形カットコアを第2のE形カットコア6bに対向させ、さらに各々のE形カットコアを図7の構成例に示すように対向させる。
【0026】
鉄心窓部それぞれにE形カットコア6a及び6bを跨ぐように主巻線1a及び1bを巻回し、主巻線1a及び1bを、両主巻線から生じる磁束φ11及びφ12がE形磁心6bのなかで逆方向になるように直列に接続する。また、主巻線による磁束で制御巻線2a及び2bに生じる誘起電圧が互いに打消されるように両制御巻線を直列に接続し、その開放端子側に制御回路5を接続したものである。
【0027】
本構成によれば、高磁束密度鋼板を適用したカットコアが使用できるほか、U形カットコア部分の磁束密度を前記E形カットコア構成と比べて倍にすることができるため、更なる機器のコンパクト化が図ることができる。
【0028】
なお、図5及び図7で説明した電磁機器の構成において、主巻線を巻き回したE形カットコア対向部分に、主磁束の相殺磁路としてのI形コアを追加挿入することにより、更なる高調波の低減を図ることができる。
【0029】
図8は、本発明による三相形電磁機器の基本構成例を示す接続図である。
本発明の基本磁路構成は、第1のE形磁心3aと第2のE形磁心3bを突き合わせて形成した三脚磁心に、第3のE形磁心3cと第4のE形磁心3dを突き合わせて構成した立体12脚構造の磁心である。前記磁心において、第1のE形磁心3aの各脚に第1主巻線1a1、1b1、1c1を巻回し、第2のE形磁心3bの各脚に第2主巻線1a2、1b2、1c2を巻回す。
【0030】
さらに、第3のE形磁心3cの各脚に第1制御巻線2a1、2b1、2c1を巻回し、第4のE形磁心3dの各脚に第2制御巻線2a2、2b2、2c2を巻回す。各々のE形磁心が突き合わされた4脚を同一相の組とし、各組において、両主巻線から生じる磁束が突き合わせ部において逆方向になるように、第1組主巻線1a1、1a2及び第2組主巻線1b1、1b2及び第3組主巻線1c1、1c2を各々直列に接続する。
【0031】
次に、各組において、主巻線による磁束で両制御巻線に生じる誘起電圧が互いに打消されるように、第1組制御巻線2a1、2a2及び制御巻線2b1、2b2及び第3組制御巻線2c1、2c2を各々直列に接続する。各組の主巻線の開放端子の一方を三相接続し、各組の制御巻線の開放端子の一方を各制御磁束の方向が第3のE形磁心3c及び第4のE形磁心3dにおいて閉磁路となるように接続し、制御巻線の残る開放端子側に直流制御回路5を接続する。
【0032】
図8において、第1組主巻線の開放端子をU相、第2組主巻線の開放端子をV相、第3組主巻線の開放端子をW相として三相交流電源を接続し、図示矢印方向の三相交流電流IL1が流れていたとする。
【0033】
電流IL1が流れると、磁路には主巻線1a1による主磁束φa1、主巻線1a2による主磁束φa2、主巻線1b1による主磁束φb1、主巻線1b2による主磁束φb2、主巻線1c1による主磁束φc1、主巻線1c2による主磁束φc2がそれぞれ発生する。発生したそれぞれの主磁束は、制御巻線に制御電流を流さない場合には、E形磁心3c及びE形磁心3dを共通磁路として閉磁路を形成し、主巻線には巻数と磁心の磁気抵抗に応じたリアクタンスが生ずる。
【0034】
電流IL1を流した状態で制御巻線に直流制御電流Icを流すと、U相においては、制御巻線2a1及び2a2において、制御巻線の巻数と制御電流Icの積で表される起磁力が発生することで、制御巻線磁束φcと主磁束φa1及びφa2が同方向となる磁路部分の磁束密度が大となって透磁率が変化し、主磁束が制御されリアクタンスが低下する。また、主磁束φa1及びφa2は、磁路が磁気飽和せずにある一定の磁束密度に保たれるように相殺されるため、主巻線電流に拘わらず、高調波電流を抑制し、リアクタンスを低下することができる。
【0035】
このことは、同様に他の相についても成り立つことから、主巻線電流に拘わらず、高調波電流を抑制し、リアクタンスを可変できる三相形の電磁機器として機能することは明らかである。
【0036】
以上のように、本発明によると、直流制御電流を調整することにより主磁束を制御するとともに、主巻線間の主磁束を相殺することにより、主巻線電流の影響を受けずに高調波を低減させてリアクタンスを高速且つ連続的に可変することができる。
【0037】
(適用例)
図9は、本発明の電磁機器の移相制御への適用例を説明するための図である。図9において、電磁機器11と電力用コンデンサ12を並列接続し、送電線路に直列に挿入し、電磁機器の制御により、送電線路のインピーダンスを容量性から誘導性まで連続的に制御し、交流系統における受電電圧又は送電電圧の移相制御に適用した例である。
本適用例は単相形三台で構成した電磁機器で示したが、これを三相形の電磁機器に置き換えることができるのは明らかである。
【0038】
(応用例)
図10は、本発明の電磁機器を多機能変圧器へ適用した応用例を説明するための図である。
図1で示した本発明の電磁機器において、主巻線を一次巻線13a、13bとし、更に一次巻線13a、13bを巻回した脚それぞれに、二次巻線14a、14bを巻回して一次巻線と同様に接続して構成した多機能変圧器である。
【0039】
図10において、一次巻線に交流電源を接続し二次巻線には負荷を接続し、二次巻線に図示矢印方向の二次電流IL2が流れたとする。制御電流を流さない場合には、一次巻線13a及び13bには、上記二次電流で発生した磁束を打消すように一次電流IL1が流れ、全体として変圧器動作を示す。
【0040】
制御巻線に直流制御電流Icを流すと、制御巻線の巻数と制御電流Icの積で表される起磁力が発生することで透磁率が変化し、主磁束が制御される。主磁束φ11及び主磁束φ11’と主巻線1bによる主磁束φ12及び主磁束φ12’はそれぞれが互いに逆向きの磁束であるため相殺され、その結果、一次巻線と鎖交する主磁束が減少する。
【0041】
このため、一次巻線には制御電流の制御に伴う主磁束の減少に応じて、一次巻線の端子間電圧を維持するために必要な主磁束を発生させるために励磁電流が増加する。
即ち、変圧器としての機能に加えて、制御電流を調整することで一次側に流入する無効電流の調整が可能な多機能変圧器を実現することができる。
なお、多機能変圧器を請求項1の電磁機器に適用して説明したが、本発明で記載した他の電磁機器についても適用可能なことは明らかである。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、タップを設けることなく、負荷電流の有無に拘わらず、高調波電流を抑制し、広範囲にリアクタンスを可変する電磁機器を実現することができ、近年の電力需要の増大や負荷の多様化により、系統電圧の変動等負荷の多様化に対応できるフレキシブルな電力設備の提供がはかられ、電力系統の電圧の安定化に寄与できる。
【0043】
また、主巻線による主磁束に対し田の字状磁心の四つの閉磁路を還流する磁路が形成され、制御巻線が巻回された磁心部は一対の主巻線による主磁束と制御巻線による制御磁束が通る共通磁路となり、それにより、制御磁束を調整して共通磁路の磁気抵抗を制御することにより主巻線のリアクタンスを連続的に可変できる。
【0044】
また、主巻線電流が増加した場合、互いに共通磁路に向かって対向している主磁束も増加するので前記四つの閉磁路における共通磁路部の磁束密度が大になり、共通磁路の磁気抵抗が増大し、それに伴い、主巻線による磁束が互いに共通磁路に向かって対向しているため、増加する主磁束が互いに相殺し、一対の各主巻線の起磁力を相殺するようになり、結果として主磁束は増加しない。
【0045】
上述のように、共通磁路が完全な磁気飽和に至ることはないので主巻線電流値が大であってもリアクタンスの制御が可能であり、加えて、磁路が完全な磁気飽和状態に至らないため高調波電流歪を抑制することができる。
【0046】
更に、田の字状磁心の形成はI形積層磁心の両側に2個のE形積層鉄心を接合することにより簡単に構成できる。
カットコアで構成する場合は、E形カットコアを対向させて形成した2組の三脚磁心の背辺を接合すればよい。
三相磁心の場合は、4組のE形磁心の各脚をそれぞれ対向させることにより構成できる。
【0047】
なお、上記の他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1又は2の発明による電磁機器の基本構成例を示す接続図である。
【図2】 図1に示した電磁機器の等価回路を示す回路構成図である。
【図3】 電磁機器の制御特性例を示す図である。
【図4】 請求項3の発明による電磁機器の基本構成例を示す接続図である。
【図5】 請求項4の発明による電磁機器の基本構成例を示す接続図である。
【図6】 請求項4の発明による電磁機器のE形カットコアによる構成例を示す図である。
【図7】 請求項4の発明による電磁機器のE形カットコアとU形カットコアによる構成例を示す接続図である。
【図8】 請求項5の発明による三相形電磁機器の基本構成例を示す接続図である。
【図9】 本発明の移相回路への適用例を示す回路構成図である。
【図10】 本発明の多機能変圧器への適用例を示す接続図である。
【図11】 本出願人が先に提案した従来の線形可変リアクトルの一実施例を示す斜視図である。
【図12】 従来の誘導性素子の一実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…主巻線、2…制御巻線、3…E形磁心、4…I形磁心、5…制御回路、6…E形カットコア、10…U形カットコア、11…電磁機器、12…電力用コンデンサ、13…一次巻線、14…二次巻線、31…第1のU形カットコア、32…主巻線、33…第2のU形カットコア、34…制御巻線、35…楔形間隙、36…カット面同士の接触面、41…誘導性素子、42…E型コア、43…I型コア、44…EI型コア、45…主巻線、46…制御用巻線、47…外枠、48…外枠、49…中枠。
Claims (5)
- 積層鉄心により対称的に四つの閉磁路で田の字状磁路を形成する田の字状磁心を、磁心の接合面において積層鋼板を互いに平行に突き合わせて構成し、前記田の字の四つの閉磁路を磁束が田の字の十字状磁路の交点に対向して還流するように交流主巻線による主磁束の磁路を形成し、前記十字状磁路を形成する互いに交叉する磁路の一方の直線状磁路を一方向に通って還流する二つの磁路により直流制御電流による制御磁束の磁路を形成し、制御磁束の制御により主磁束と制御磁束の共通磁路の磁気抵抗を制御することを特徴とする電磁機器。
- 対称的に四つの閉磁路が形成される田の字状磁心と、該磁心の互いに交叉する十字状磁路に同軸線上に対向させて一方の磁路に一対の主巻線を、他方の磁路に一対の制御巻線を巻回し、前記主巻線は一対の主巻線による磁束が互いに十字状磁路の交点に対向するように直列に接続し、前記制御巻線は主巻線による磁束によって生じる誘起電圧が互いに打消されるように直列に接続し、その開放端子側には制御回路を接続して直流制御電流を供給し、主巻線により生じる磁束と制御巻線により生じる磁束の共通磁路の磁気抵抗を制御して主巻線のリアクタンスを連続的に可変することを特徴とする電磁機器。
- I字状磁心の両側辺に一対のE字状磁心を対向させて田の字状磁心を形成することを特徴とする請求項1又は2の電磁機器。
- E形カットコアを対向させた三脚磁心2組を、互いにE形カットコアの背辺を接して田の字状磁心を形成することを特徴とする請求項1又は2の電磁機器。
- 一対の三相三脚磁心の対応する各脚の中央部が交叉するように互いに交叉する一対の三相閉磁路を形成し、一方の三脚磁心の各脚にそれぞれ各相一対の主巻線を巻回し、他方の三脚磁心の各脚にそれぞれ一対の制御巻線を巻回し、前記主巻線は各脚の一対の主巻線の磁束が互いに交叉する磁路の交点に対向するように直列に接続し、前記制御巻線は主巻線による磁束で各脚に巻回された一対の制御巻線に生じる誘起電圧が互いに打消されるように直列に接続し、その開放端子側に制御回路を接続して直流制御電流を供給し、主巻線により生じる磁束と制御巻線により生じる磁束との共通磁路の磁気抵抗を制御して主巻線のリアクタンスを連続的に可変することを特徴とする三相形電磁機器。
Priority Applications (1)
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