JP3783372B2 - 加工性に優れたほうろう用冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工性に優れたほうろう用冷延鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ほうろう製品は、台所用品、建材、流し台等に利用されているが、鍋類、ケトルなどでは、ほうろう用鋼板に対して優れた加工性が要求される。このような用途には、加工性の良好な極低炭素系の鋼板が好ましい。
【0003】
高酸素鋼は、製鋼段階で鋼中のC、Nを極力低減した、未脱酸で製造した鋼板であり、優れたほうろう性を有するため、広く使われているが、鋼中に固溶C、Nが存在するため、加工性、耐時効性が比較的劣る。
【0004】
そこで、本発明者らは、以前、高酸素鋼の加工性を向上させるためには、Crの添加が有効であること、および、耐時効性を改善するためにはB添加が有効であることを提案した(特願平8−259467号)。Bは鋼中のN,Cと結合して耐時効性を改善する効果がある。しかし、Bは以下の理由から、製造しにくく、Bに代わって耐時効性を改善する元素が望まれている。
【0005】
すなわち、(1)製鋼段階で酸素と結合しやすく、B酸化物がパウダーに取り込まれたとき、粘性を低下させるため、鋳造しにくい。(2)Bを添加するとスラブでわれが生じやすく、スラブ表面の研削が必要で、歩留まりの低下を招く。(3)熱間変形抵抗を増し、圧延負荷が大きくなり、また、鋼の表面欠陥が発生しやすい。
【0006】
一方、Nb添加は、加工性、耐時効性、焼成軟化防止に有効である。しかし、高酸素鋼のように酸素量が多い場合、Nbは比較的酸化されやすく、これらの効果を得るための酸化Nb以外のNb(固溶Nb、NbCなどの析出物)分がばらつき、材質の不均一を招くことがある。
【0007】
B,Nbに代わる炭窒化物形成元素として特開平1−275736号公報に示すように、V添加またはV,Nb複含添加が考えられる。しかし、Vも高酸素鋼のように酸素が多い場合、酸化物を作りやすく、材質の不均一を招きやすい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、加工性、ほうろう性に優れたほうろう冷延鋼板は、未だ安定的に得られていないのが現状である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、加工性に優れたほうろう用冷延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の課題を解決するために鋭意研究を重ねてきた結果、加工性に優れたほうろう冷延鋼板を得るためには、V,Crの複合添加が有効であることを見出した。
【0010】
Vは、熱延板のフェライト粒の微細化を通して塑性ひずみ比(r値)の向上、塑性ひずみ比の異方性(△r)を改善し、さらに鋼中のC,Nと結合して加工性、耐時効性を向上させる効果がある。しかしながら、高酸素鋼にVを単独で添加した場合、Vの酸化物が形成されやすく、前記の効果は得にくい。そこで、Crを複合添加する。CrはVより酸化されやすいため、Vを酸化させることなく鋼中に含有せしめることができる。また、Cr添加により、鋼中の酸化物が粗大化し、結晶粒成長性を妨げる微細な酸化物が減少するため、加工性が向上する。
【0011】
さらに、加工性および耐時効性を考慮すると、巻取り温度を規定し、さらに焼鈍を連続焼鈍とし、その温度を所定の範囲にして製造することが好ましいことを見出した。
【0012】
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、質量%で、C:0.005%以下、Si:0〜0.05%、Mn:0.2〜0.7%、P:0.004〜0.025%、S:0〜0.045%、Al:0〜0.01%、O:0.04〜0.1%、Cu:0.02〜0.05%、N:0.005%以下、V:0.005〜0.1%であり、かつ、Crを0.5×O〜2.5×Oの範囲で含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする加工性に優れたほうろう用冷延鋼板を提供するものである。
【0013】
また、質量%で、C:0.005%以下、Si:0〜0.05%、Mn:0.2〜0.7%、P:0.004〜0.025%、S:0〜0.045%、Al:0〜0.01%、O:0.04〜0.1%、Cu:0.02〜0.05%、N:0.005%以下、V:0.005〜0.1%であり、かつ、Crを0.5×O〜2.5×Oの範囲で含有し、残部Feおよび不可避不純物からなるスラブに熱間圧延を施した後、620℃以上で巻取って熱延鋼板とし、酸洗、冷間圧延後、750℃以上、870℃以下で連続焼鈍を行うことを特徴とする加工性に優れたほうろう用冷延鋼板の製造方法を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明においては、質量%で、C:0.005%以下、Si:0〜0.05%、Mn:0.2〜0.7%、P:0.004〜0.025%、S:0〜0.045%、Al:0〜0.01%、O:0.04〜0.1%、Cu:0.02〜0.05%、N:0.005%以下、V:0.005〜0.1%とし、かつ、Crを0.5×O〜2.5×Oの範囲とする。
【0015】
C、N:CおよびNの量が多すぎると耐時効性、加工性が劣化する。本発明では、C,Nの固定のためVを添加するが、Vは炭窒化物形成能力がそれほど強くなく、一方、高酸素べースの鋼では酸化物になりやすく、炭窒化物形成に有効な酸化物以外のVを多ぐ含有させることは困難である。このため、C,Nはできる限り少ない方が望ましく、いずれも0.005%以下と規定した。好ましくはC,Nとも0.0025%以下である。
【0016】
Si:Siは、鋼を溶製する際、鋼中の酸素量の調整のため、必要に応じて添加する。しかし、鋼の表面性状の向上のためには少ない方がよい。すなわち、0.05%を超えるとSiスケールに関連した表面欠陥が発生しやすい。したがって、Siの範囲を0.05%以下とし、含有しない場合も含むこととした。好ましい範囲は0.02%以下である。
【0017】
Al:Alは鋼を溶製する際、鋼中の酸素量を制御するため必要に応じて添加する。しかし、Al添加量が多すぎるとAlが鋼中のNと結びついて微細なAlNとなり、鋼の加工性を著しく劣化させる。このため、Alはできるだけ添加しないのがよく、実質的に間題ない範囲として0.01%以下に規定し、含有しない場合も含むこととした。好ましい範囲は0.002%以下である。
【0018】
Mn:Mnは、鋼中のOと結合してMnOとなり、ほうろう焼成時に浸入した水素のトラップサイトとして働くことで、耐つまとび性を向上させる。また、Mnの一部はCrと複合酸化物を形成し、加工性向上に寄与する。この機構は以下のように考えられる。Mn,Crの複含酸化物は、Feの酸化物より大きく、また、Feの酸化物の析出サイトとなるため、鋼中の微細なFeの酸化物が減少する。微細なFeの酸化物は、結晶粒成長性を阻害し、加工性劣化の原因となるため、MnをCrとともに添加することにより加工性が向上するのである。ここで、Mnが0.2%末満ではそれらの効果がなく、0.7%超えでは鋼の加工性を劣化させる。したがって、Mnの範囲を0.2〜0.7%とした。ただし、本発明のようにO量が多く、Vを添加する系においてはVが酸化物とならないためMn量は比較的多いほうが好ましく、0.25〜0.45%が好ましい。
【0019】
Cr:Crは、前述したように、加工性の向上に寄与するとともに、その酸化物は耐爪とび性の向上にも寄与する。また、CrはVより酸化しやすいため、Vが酸化物となりにくく、Cr添加によりVのr値改善効果、r値の異方性改善効果、耐時効性の改善効果が十分に発揮される。Crは、Mnとの複合酸化物を形成することによって粒成長性を向上させる効果があるため、CrはOの量に応じてその量を調整する必要がある。Cr含有量がO含有量の0.5未満では上述した効果を発揮することができず、2.5超えでは固溶Crが増え加工性が劣化する。したがって、Cr含有量を0.5×O〜2.5×Oの範囲とした。好ましい範囲は0.8×O〜1.5×Oである。
【0020】
O:Oは、鋼中のMn,CrやFeと結合して、酸化物を形成し、水素のトラップサイトとして耐爪とび性向上に寄与する。また、一部がCr,Mnと酸化物を形成し、加工性向上に寄与する。しかし、O含有量が0.04%未満ではその効果がなく、0.1%超えではVが酸化物を形成しやすくなり、Vの効果が小さくなる。したがって、O含有量を0.04〜0.1%の範囲とした。ただし、耐爪とび性を向上させる観点からは0.05%以上、加工性を向上させる観点からは0.07%以下であることが好ましい。なお、O量は、Si、Alにより調整することができる。
【0021】
本発明鋼板のようにCrを添加した場合、酸洗減量値が大きくなるので、以下のようにP,S,Cu量を調整し、密着性、耐泡性を確保することが必要である。
【0022】
P:Pは、酸洗減量値を大きく左右し、ほうろうの密着性に影響を与える。すなわち、0.004%未満では、酸洗速度が遅すぎ通常の酸洗条件では十分な酸洗減量値が得られない。一方、0.025%超える添加は酸洗減量値が大きくなりすぎ、焼成中の露点が高いときなど泡欠陥が発生しやすくなる。この観点から、Pの含有量を0.004〜0.025%の範囲とした。ただし、極めて良好な耐泡性を確保するためには、0.015%以下とするのが好ましい。
【0023】
S:Sは酸洗減量値を増大させる効果があり、ほうろう密着性に影響する。また、耐爪とび性に効果があるため、必要に応じて添加する。しかし、本発明のようにVを添加した系では特にS量が多くなりすぎるとMnSが増え、Cr,Mn酸化物が減少し、Cr,Mn添加による加工性の向上効果が妨げられる。また、密着性が劣化しやすくなる。このためS含有量を0.045%以下(0を含む)とした。ただし、0.015%以上0.020%以下とするのがより好ましい。
【0024】
Cu:Cuはほうろう焼成時のほうろう層と鋼板の界面の凹凸を増大させ、ほうろう密着性を向上させる元素である。また、耐泡性に効果がある。そのため、0.02%未満の添加では通常のほうろう条件では良好な密着性を得ることが出来ず、泡も発生しやすくなる。一方、Cuはほうろう前処理時の酸洗速度を小さくする元素であり、0.05%を超えて添加すると酸洗減量値が小さくなりすぎて、通常のほうろう条件では良好な密着性を得ることができない。したがって、Cuの含有量を0.02〜0.05%の範囲とした。ただし、極めて良好な密着性、耐泡性を得るためには、0.025〜0.035%の範囲がより好ましい。
【0025】
V:Vは、鋼中のN、またはCと結合して、鋼の耐時効性の向上に寄与する。しかし、その含有量が0.005%未満ではほとんどが酸化物となってしまい、その効果がなく、0.1%超えでは鋼の加工性、耐爪とび性、耐泡性などのほうろう性が劣化する。したがって、Vの含有量を0.005〜0.1%の範囲とした。好ましい範囲としては0.02〜0.04%である。
【0026】
残部はFeおよび不可避不純物である。上記以外のその他の元素については、Niは0.05%、Snは0.01%、Asは0.01%、Sbは0.01%まで含有されても本発明の効果を損なうことはない。なお、本発明ではB,Nbは意図的には添加しない。
【0027】
本発明においては、上記組成の鋼板を製造するための好ましい条件として、上記組成のスラブに熱間圧延を施した後、620℃以上で巻取って熱延鋼板とし、酸洗、冷間圧延後、750℃以上、870℃以下で連続焼鈍を行うという条件が挙げられる。
【0028】
上記鋼板を製造するに際しては、まず、前述の鋼成分範囲内に成分調整したスラブを製造する。鋼塊法ではリム層とコア部との間に粗大介在物が存在しやすくなり、ほうろう加工後、ふくれ欠陥が発生しやすくなるため、連続鋳造法で製造するのが好ましい。
【0029】
鋳造後、鋼片を冷却後、加熱し熱間圧延を行なうか、もしくは鋳造後、鋼片を加熱することなく直接熱間圧延を行なう。ただし、本発明のようにVを添加した鋼では、加熱によるVの析出物の固溶を抑えるため、加熱温度は1150℃以下が好ましい。熱間圧延するに際して、粗圧延後の鋼板を再度加熱温度以下に加熱してもその効果は損なわれない。仕上温度は好ましくはAr3変態点以上900℃以下とする。これにより、熱延板のフェライト粒が微細化し、鋼の加工性が向上する。一方、仕上温度を900℃以下とすると、仕上げ圧延前のオーステナイト粒が小さくなるためフェライト粒の粒成長を抑制し、加工性が向上する。
【0030】
仕上げ圧延後、巻取りは、VC等の析出物を粗大に析出させ、焼鈍時での分解を少なくするため、620℃以上で行うことが好ましい。望ましくは640℃以上である。一方、巻取温度が高すぎると酸洗性が劣化することから700℃以下で巻き取るのが望ましい。なお、本発明においては、粗圧延を省略して薄スラブを直接仕上圧延を行なっても発明の効果は損なわれない。
【0031】
熱間圧延を終了した鋼帯は酸洗後、冷間圧延されるが、冷間圧延率は加工性の観点から70%以上とするのが好ましい。冷間圧延後、鋼帯を焼鈍するが、その製造方法は、箱焼鈍法(タイトコイル焼鈍法)、オープンコイル焼鈍法、連続焼鈍法のいずれでもかまわない。しかし、コスト、製造時間の観点から連続焼鈍法が好ましい。連続焼鈍での焼鈍温度は、加工性の観点から750℃以上が好ましい。しかし、焼鈍温度が高すぎるとVの炭窒化物が溶解し、耐時効性が劣化するため870℃以下が好ましい。望ましくは850℃以下である。焼鈍後の鋼帯はそのまま製品とすることができるが、耐爪とび性の向上、および形状を確保するため、必要に応じて伸長率:5.0%以下の調質圧延を施しても良い。ただし、ほうろう焼成時の軟化防止の観点からは、伸張率は低い方が好ましく、2.0%以下がより好ましい。
【0032】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
表1に示す成分の鋼を連続鋳造法によりスラブとした。1130℃で加熱後、仕上温度を890℃で2.8mm厚まで熱間圧延を行い、680℃でコイルに巻き取った。得られた熱延鋼帯を酸洗した後、0.7mmまで冷間圧延した(圧延率=75%)。得られた冷延コイルを820℃で30秒間の連続焼鈍し、1.0%の調質圧延を施してほうろう用冷延鋼板とした。該鋼板よりJlS5号試験片を圧延方向から採取し、引張試験を行った。また、圧延方向、圧延方向と45度、圧延直角方向からJlS5号試験片を採取し、ランクフォード値(平均r値、r値の異方性(△r値))を測定した。
平均r値=(圧延方向のr値+2×圧延方向と45度のr値十圧延直角方向のr値)/4
△r値=(圧延方向のr値−2×圧延方向と45度のr値十圧延直角方向のr値)/2
【0033】
また、時効指数(AI)は、JlS5号試験片を8%予引張を行い、100℃で1時間の時効処理を行った後、再度引張試験を行った時の降伏強度から求めた。
【0034】
さらに、以下の条件でほうろう特牲を調査した。ただし、密着性試験では、良好な密着性が得にくい硫酸酸洗時間、Ni‐dip時間が短い条件で行った。泡発生試験では、硫酸酸洗、Ni‐dip時間を長く、焼成時の露点を高くして、泡が発生しやすい条件で調査した。耐爪とび性試験ではつまとびが発生しやすい釉薬を用い、無酸洗で焼成時の露点が高い条件で行った(促進試験)。
【0035】
密着性試験:
前処理:脱脂→硫酸酸洗(15%H2SO4,70℃×5分)→Ni‐dip(13g/lNiSO4・7H20、pH=2.6,70℃×3分)
施釉:日本フエロー製02−1103釉薬、目標一両面に各100μm
焼成:850℃×2min。
10枚のサンブル(100×100mm)につきほうろう掛けを行い、PEI法により密着性を測定した。
【0036】
泡発生試験:
前処理:脱脂→硫酸酸洗(15%H2SO4,70℃×15分)→Ni‐dip(13g/lNiSO4・7H20、pH=2.6,70℃×10分)
施釉:日本フエロー製02−1103釉薬、目標:両面に各100μm
焼成:850℃×2min(加湿雰囲気、露点=30℃)
これを10枚のサンブル(100×100mm)につきほうろう掛けを行い、表裏面のいずれかに実用上間題となる程度の抱が発生したサンブルを泡発生とした。
【0037】
耐爪とび性試験:
前処理:アルカリ脱脂のみ
施釉:日本フエロー製H:1553B=1:1の混合釉薬、目標一両面に各100μm
焼成:830℃×2min(加湿雰囲気、露点=30℃)
これを10枚のサンブル(100×100mm)につきほうろう掛けを行い、表裏に1つでも爪とびが発生したものを爪とび発生とした。
【0038】
これらの結果を表2に示す。表2より、本発明鋼板は加工性、ほうろう性を兼ね備えていることが確認された。
【0039】
比較例のうち、鋼板21はC量が多すぎるため、加工性、耐時効性が劣っている。鋼板22はP量が多すぎるため、加工性、密着性、耐泡性が劣化している。鋼板23はS量が多すぎるため、加工性、密着性が劣っている。鋼板24はN量が多すぎるため、加工性、耐時効性が劣っている。鋼板25は酸素量が少なすぎるため、爪とびが発生している。鋼板26はCuが多すぎるため、密着性が劣っている。鋼板27はCr量が少なすぎるため、加工性があまり良くない。また、Crが少ないため、添加したVのほとんどが酸化物となりV添加による加工性、異方性、耐時効性向上効果がほとんど認められない。鋼板28はVを添加していないため、加工性、異方性、耐時効性が劣っている。鋼板29はV量が多すぎるため、加工性、耐泡性、耐爪とび性が劣っている。鋼板30はTiを添加しているため、耐泡性、耐爪とび性が劣化している。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
(実施例2)
Vの加工性への影響を明確化するため、表3に示す組成の鋼に、V量を変化させて添加して溶製し、連続鋳造法によりスラブとした。1130℃で加熱後、仕上温度を890℃で2.8mm厚まで熱間圧延を行い、650℃でコイルに巻き取った。得られた熱延鋼帯を酸洗した後、0.7mmまで冷間圧延した(圧延率=75%〉。得られた冷延コイルを850℃で30秒間の連続焼鈍し、0.9%の調質圧延を施してほうろう用冷延鋼板とした。該鋼板より実施例1と同様な方法で時効指数、耐泡性の調査を行った。
【0043】
その結果を図1に示す。図1に示すように、本発明範囲では耐時効性が向上し、一方、泡欠陥は発生していないことが確認された。
【0044】
【表3】
【0045】
(実施例3)
表4に示す成分の鋼を溶製し、連続鋳造してスラブとした後、直送圧延、もしくは1100℃で加熱して3.2mmまで熱間圧延して、880℃で仕上げ圧延を行い、表5に示す温度でコイルに巻き取った。得られた熱延鋼帯を酸洗した後、0.8mmまで冷圧した(冷圧率=75%)。得られた冷延コイルを表5に示す温度で焼鈍し、0.8%の調質圧延を施して製品とした。製品よりJlS5号試験片を採取し、伸び値を測定した。
【0046】
得られた結果を表5に示す。この表に示すように、本発明範囲の巻取温度、焼鈍温度において高い伸び値が得られ、また耐時効性が良好であることが確認された。
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、従来得ることができなかった、深絞り性、異方性、耐時効性、ほうろう性に優れたほうろう用冷延鋼板およびその製造方法を提供するものであり、その工業的価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるV量と時効性および泡発生率との関係を示す図。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.005%以下、Si:0〜0.05%、Mn:0.2〜0.7%、P:0.004〜0.025%、S:0〜0.045%、Al:0〜0.01%、O:0.04〜0.1%、Cu:0.02〜0.05%、N:0.005%以下、V:0.005〜0.1%であり、かつ、Crを0.5×O〜2.5×Oの範囲で含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする加工性に優れたほうろう用冷延鋼板。
- 質量%で、C:0.005%以下、Si:0〜0.05%、Mn:0.2〜0.7%、P:0.004〜0.025%、S:0〜0.045%、Al:0〜0.01%、O:0.04〜0.1%、Cu:0.02〜0.05%、N:0.005%以下、V:0.005〜0.1%であり、かつ、Crを0.5×O〜2.5×Oの範囲で含有し、残部Feおよび不可避不純物からなるスラブに熱間圧延を施した後、620℃以上で巻取って熱延鋼板とし、酸洗、冷間圧延後、750℃以上、870℃以下で連続焼鈍を行うことを特徴とする加工性に優れたほうろう用冷延鋼板の製造方法。
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