JP3767509B2 - エンジン排ガス再利用装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用エンジンに係り、より特別には車両用エンジンの排ガス再利用装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エネルギの節約、温暖化防止等の観点から、省エネルギ対策があらゆる装置に対して要求されるようになった。車両においても従来より、種々のエンジン排ガスの再利用方法が提案されている。一方で電気化学的な技術において種々の材料が開発されてきた。熱電素子もその様な材料の1つであり、種々の用途が検討されている。従来より車両において、排ガスラインに熱電素子を備えてエネルギを回収する廃熱回収装置は提案されていた。その中には例えば、特許第3052989号や特開2000−18095号公報に開示された提案があるが、実用化されたものはほとんどないに等しい。
【0003】
熱電素子の利用において重要な要因は、高温側と低温側の温度差であり、この温度差が大きいほど熱電素子の発電性能は向上する。即ち高温の熱媒体の使用が効率的である。この観点からエンジン排ガスを熱電素子の熱媒体とすることは有効であると考えられる。しかし車両においてエンジン排ガスの温度は運転状態により変動する。即ち排ガス温度は、高負荷運転時においては高くなり、低負荷運転時には低くなる。運転状態が変化する車両において負荷の変動は避けられないものである。従ってエンジン排ガスラインに熱電素子を設置して発電することによる排ガスの廃熱再利用において、変動するエンジン負荷に対応して如何に定常的にエネルギを回収するかは、熱電素子の利用において重要なテーマである。特にエンジン排ガスラインに熱電素子を設置して排ガスの廃熱再利用する方法においては、低負荷運転時に排ガス温度及び流量が低下し回収エネルギが減少するという問題がある。
【0004】
また一方で、エンジンの低負荷運転時である始動時において、エンジンが暖気されていないことにより燃費は低下し、更にエンジンが十分に暖まってないことによる燃焼の悪さによりエミッションも良くないという問題があった。しかもエンジン始動時においては、エンジン自体の温度が低い状態で高負荷運転をした場合における燃焼の悪化等のエンジンに対する悪影響を回避するために、エンジンの暖気運転が必要になる。このように、エンジンの始動時においては、エンジン冷却水の温度低下及びエンジン自体の温度が低いことによる、燃焼及びエミッションの悪化の問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、熱電素子の利用による従来のエンジン排ガスの熱エネルギ回収において、回収エネルギが一定しないという問題があり、特にエンジン低負荷時において排ガス温度が下がることにより、熱電素子の回収エネルギが減少する問題があったが、本発明は、この様な事情に鑑みてなされたもので、エンジン始動時等の低負荷運転時において有効に排ガスエネルギ回収可能であり、更にエンジン高負荷時においては高温の排ガスの廃熱を再利用することにより、エンジンの全ての運転領域において有効に機能するエンジン排ガス(の廃熱)再利用装置を提供する。
【0006】
またエンジン排ガスラインにエンジン排ガス再利用装置を設置した場合、それによりエンジン高負荷時において、排ガス流量の増大により管路抵抗が増大するおそれがある。更にエンジン排ガスラインにおいて背圧が増大すると、エンジン出力低下が生じる。本発明の別の目的は、エンジン高負荷時において排ガス流量が増えた場合においても、高負荷時におけるエンジンの運転に影響を与えることのないエンジン排ガス再利用装置を提供することである。
【0007】
更に本発明は、エンジン始動時において回収した排ガス熱エネルギを利用して、エンジン冷却水を短時間で昇温してエンジン自体を暖気し、始動時の燃費及びエミッションを改善することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置は、上述した目的を達成するために、エンジン排ガスと熱交換して該排ガスの廃熱を利用可能な熱回収器と、熱電効果を利用して前記エンジン排ガスのエネルギを再利用する熱電素子とを具備するエンジン排ガス再利用装置において、このエンジン排ガス再利用装置が、エンジン排ガス管路に設置されており、該エンジン排ガス管路が、前記熱回収器を備える熱回収器通路と、前記熱電素子を備える熱電素子通路とを具備しており、前記エンジン排ガス再利用装置が、前記熱回収器通路と前記熱電素子通路を流れる排ガスの流れを調整制御するように、前記排ガス管路内に設けられる開閉弁と、該開閉弁を制御する制御装置と、を更に具備しており、前記開閉弁は、エンジン回転数又は出力が低い場合には前記熱回収器通路を開けて前記熱電素子通路を閉じて、前記熱回収器に排ガスの少なくとも多くの部分を導入し、エンジン回転数又は出力が高い場合には前記熱回収器通路を閉じて前記熱電素子通路を開けて、前記熱電素子に排ガスの少なくとも多くの部分を導入するように制御されることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項1の該装置において、前記開閉弁は、前記熱回収器と前記熱電素子より下流側の前記排ガス管路内に設置されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項1の該装置において、該エンジン排ガス管路が、前記熱回収器通路と前記熱電素子通路に加えて、これらの通路に平行に走るバイパス通路を具備することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項3の該装置において、前記開閉弁は、前記熱回収器と前記熱電素子より下流側の前記排ガス管路内に設置されており、前記開閉弁は前記熱電素子通路と共に前記バイパス通路を同時に開閉することを特徴とする。
【0012】
上記の請求項1から4のいずれか一項の形態により、熱電素子と共に熱交換器である熱回収器を共に具備して、それぞれの短所を補うようにそれらを使用することにより効果的で有用なエンジン排ガスの廃熱の再利用が可能になる。
熱電素子の利用による従来のエンジン排ガスの熱エネルギ回収において、車両のエンジンの運転状況が変動するために回収エネルギが一定せず、エンジンの始動時等の低負荷時に熱電素子の熱回収性能が良くないという問題に対処して、エンジンの低回転数時(低負荷時)には熱回収器により熱回収し、特にエンジン低負荷時において排ガス温度が下がることにより、熱電素子の回収エネルギ性能が低下する問題に対処し、更に回収熱をエンジンの冷却水の昇温に使用して、エンジンの始動時等の燃費及びエミッションの改善を可能にすると共にエンジンの暖気運転時間を短縮する。
更にエンジン高回転数時(高負荷時)においては、高い排ガス温度により生じる大きな温度差を利用して熱電素子により効率的に発電して、エンジンの全ての負荷において有効に機能するエンジン排ガス再利用装置を提供することが出来る。また、エンジン排ガスラインへ前記熱回収装置を設置した場合、それによりエンジン高負荷時において、排ガス流量の増大により管路抵抗が増大するおそれがあるが、本発明によれば排ガス流量が大きい時に通気圧力損失の小さい熱電素子を使用することにより排ガス背圧の上昇を抑えて、エンジン出力低下を防止することが出来る。
【0013】
請求項5に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、エンジン排ガスと熱交換して該排ガスの廃熱を利用可能な熱回収器と、熱電効果を利用して前記エンジン排ガスのエネルギを再利用する熱電素子とを具備するエンジン排ガス再利用装置において、このエンジン排ガス再利用装置が、エンジン排ガス管路に設置されており、該エンジン排ガス管路が、前記熱回収器を備える熱回収器通路と、前記熱電素子を備える熱電素子通路と、前記熱回収器通路に隣接して平行に走るバイパス通路とを具備しており、前記熱電素子が前記熱回収器より上流に位置しており、前記バイパス通路は前記熱電素子通路に連結していて下流に位置しており、前記開閉弁は、前記排ガス管路内で前記熱電素子の下流側で前記熱回収器の隣接する上流側に設置されており、前記エンジン排ガス再利用装置が、前記熱回収器通路と前記熱電素子通路を流れる排ガスの流れを調整制御するように、前記排ガス管路内に設けられる開閉弁と、該開閉弁を制御する制御装置と、を更に具備しており、前記開閉弁は、エンジン回転数又は出力が低い場合には前記熱回収器通路を開けて前記熱電素子通路を閉じて、前記熱回収器に排ガスの少なくとも多くの部分を導入し、エンジン回転数又は出力が高い場合には前記熱回収器通路を閉じて前記熱電素子通路を開けて、前記熱電素子に排ガスの少なくとも多くの部分を導入するように制御されることを特徴とする。
【0014】
これにより本発明の請求項1の効果に加えて、エンジン高負荷時において高温の排ガスは、熱電素子通過後に冷却されガス体積が減少することにより下流での通気圧力損失が減少するので、より以上にエンジンの出力低下を招きにくくなる。
【0015】
請求項6に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、エンジン排ガスと熱交換して該排ガスの廃熱を利用可能な熱回収器と、熱電効果を利用して前記エンジン排ガスのエネルギを再利用する熱電素子とを具備するエンジン排ガス再利用装置において、このエンジン排ガス再利用装置が、エンジン排ガス管路に設置されており、該エンジン排ガス管路が、前記熱回収器を備える熱回収器通路と、前記熱電素子を備える熱電素子通路と、前記熱回収器通路に隣接して平行に走るバイパス通路とを具備しており、前記熱電素子が前記熱回収器より下流に位置しており、前記バイパス通路は前記熱電素子通路に連結していて上流に位置しており、前記開閉弁は、前記排ガス管路内で前記熱電素子の上流側で前記熱回収器の隣接する下流側に設置されており、前記エンジン排ガス再利用装置が、前記熱回収器通路と前記バイパス通路を流れる排ガスの流れを調整制御するように、前記排ガス管路内に設けられる開閉弁と、該開閉弁を制御する制御装置と、を更に具備しており、前記開閉弁は、エンジン回転数又は出力が低い場合には前記熱回収器通路を開けて前記バイパス通路を閉じて、前記熱回収器に排ガスの少なくとも多くの部分を導入し、エンジン回転数又は出力が高い場合には前記熱回収器通路を閉じて前記バイパス通路を開けて、前記熱電素子に排ガスの少なくとも多くの部分を導入するように制御されることを特徴とする。
【0016】
これにより本発明の請求項1の効果に加えて、エンジンの低回転数時において全ての排ガスが熱回収器を通過するので、熱回収器による回収熱量は最大になる。更に排ガスはその後熱電素子も通過するので、熱電素子による発電も行われる。この様に熱電素子を全てのエンジンの運転領域で使用可能であり、排ガスからのエネルギ回収量を増大できる。
【0017】
請求項7に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項6の該装置において、前記熱電素子は、前記排ガス管の断面積のほとんどの部分をカバーすることを特徴とする。
これにより本形態では本発明の請求項6の効果よりも更に熱電素子による排ガスからのエネルギ回収量を増大できる。
【0018】
請求項8に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項1から7のいずれか一項の該装置において、前記開閉弁は、エンジン始動からの時間、エンジン回転数、エンジン出力、排気ガス圧力、又はエンジン冷却水温度とバッテリ電圧の、いずれかのうち少なくとも一つの検知項目により、調整制御されることを特徴とする。
これにより開閉弁は、より多くの運転状況に応じて、適切に排ガスの流れ方向を制御可能である。
【0019】
請求項9に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項1から8のいずれか一項の該装置において、エンジンの冷却水が、前記熱回収器において排ガスと熱交換する熱媒体として導入される冷却水回路を備えることを特徴とする。
【0020】
この様な構成により、上記に加えてエンジンの始動時等の低回転数時(低負荷時)において、熱回収器により熱回収し、回収熱をエンジンの冷却水の昇温に使用して、エンジンの始動時等の燃費及びエミッションの改善を可能にすると共にエンジンの暖気運転時間を短縮する。
【0021】
請求項10に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項9の該装置において、前記熱回収器の前記冷却水回路に水温センサが具備されており、該水温センサが冷却水温度を検出し、該冷却水温度に応じてエンジンがオーバーヒートしないように前記熱回収器へ供給される冷却水流量が調整されることを特徴とする。
この様な構成により、エンジンのオーバーヒートをより確実に防止できる。
【0022】
請求項11に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項10の該装置において、該水温センサにより検出された前記冷却水温度に応じた前記熱回収器への冷却水供給制御において、前記冷却水流量は、目標に達するまで絞られて、その後エンジンがオーバーヒートしない冷却水温度になるように、前記温度センサにより前記冷却水流量が調整されることを特徴とする。
この様な構成により、エンジンのオーバーヒートをより以上に確実に防止できる。
【0023】
請求項12に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項1から11のいずれか一項の該装置において、前記熱電素子の冷却部は、外気に接しており、外気により冷却されることを特徴とする。
本請求項12の形態では、熱電素子の冷却部を冷却する媒体として確実に温度が低く、入手するために特別な工夫又はエネルギ等を必要としない外気を使用することにより、より簡単な装置を構成可能である。
【0024】
請求項13に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項12の該装置において、前記熱電素子の冷却部は、その長手方向が車両の進行方向に平行になるように配置されており、それにより該冷却部を構成する面が車両の進行により生じる外気の流れが、速い速度で前記冷却部を構成する面に接触して、前記冷却部の面積当りの熱交換量が最大になることを特徴とする。
本請求項13の形態では、請求項12の形態の効果に加えて、車両の走行を効果的に利用して熱電素子の冷却部を冷却することが出来る。
【0025】
請求項14に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項12又は13の該装置において、前記熱電素子の冷却部はフィン構造であることを特徴とする。
本請求項14の形態では、請求項12又は13の形態の効果に加えて、より効果的な熱電素子の冷却部の冷却が期待出来る。
【0026】
請求項15に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項1から11のいずれか一項の該装置において、前記熱電素子の前記冷却部は、前記熱回収器の低温側熱媒体が通る管に接しており、該熱媒体管を通る熱媒体に前記熱電素子の熱が伝達されて前記熱電素子が冷却されることを特徴とする。
本請求項15の形態では、熱電素子の冷却部を冷却する媒体として、やはり確実に温度が低く、入手するために特別な工夫又はエネルギ等を必要としない熱回収器の熱媒体を使用することにより、より簡単な装置を構成可能であり、更に外気より比熱の大きい物質を使用することによる冷却効率の改善が期待できる。
【0027】
請求項16に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項1から15のいずれか一項の該装置において、該エンジン排ガス再利用装置は、前記排ガス管路において、前記熱回収器と前記熱電素子の下流側で前記排ガス管路全断面をカバーするカーボン捕捉フィルタを具備することを特徴とする。
これにより本発明の請求項1から15のいずれか一項の効果に加えて、エンジン6に悪影響を与えることなく、追加の機能を備えることが出来る。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づき、図面を参照して本発明のエンジン排ガス再利用装置を詳細に説明する。図1は、本発明に係るエンジン排ガス再利用装置1の概念図であり、分かり易くするために、エンジンの排ガス管路に装備される装置の内で本発明に係わる部分についてのみ示しており、図2は図1の線I−Iによる断面図であり、熱回収器15と熱電素子10の設置されている排ガス管2の部分について分かり易くなるように示している。
図1と2を参照して、本発明のエンジン排ガス再利用装置1の第1の実施の形態について説明する。車両のエンジン6は排ガス管2により排気ガスを排出するが、エンジン排ガスの廃熱を再利用するために、エンジン6からの排ガス管2内に本発明のエンジン排ガス再利用装置1が設けられる。該エンジン排ガス再利用装置1は、熱回収器15と、熱電素子10と、開閉弁8とを具備する。図1の第1の実施の形態においては、熱回収器15は排ガス管2内の熱回収器通路3に設置され、熱電素子10は排ガス管2内の熱電素子通路4に設置されており、熱回収器通路3と熱電素子通路の間にはバイパス通路5が設けられる。図1では熱回収器15と熱電素子10はほぼ並んで配置される。バイパス通路5が設けられないように熱回収器通路3と熱電素子通路4が配置されても良い。
【0029】
熱電素子10は、加熱部12と冷却部11とを具備しており、加熱部12は、排ガス管2内に設置されており、排ガスが接することにより熱交換する熱電素子10の高温側であり、冷却部11は、排ガス管2外に設置されており、本実施の形態では外気により冷却される熱電素子10の低温側である。
熱電素子10の冷却部11は、図2で示すようにフィン構造等の、例えば熱交換面積が大きくなるような熱交換に適した構造を有することが好ましく、更にその長手方向が車両の進行方向に平行になるように配置されて、冷却部11を構成する熱交換面が車両の進行により生じる外気の流れを妨げないで、速い速度で外気が冷却部11を構成する該熱交換面に接触して熱交換することにより、冷却部11の単位面積当りの熱交換量が高められるように配置されることが好ましい。熱電素子10の加熱部12についても、上記冷却部11のようにフィン構造等の熱交換に適した構造であることが好ましく、更にやはりフィン構造等の長手方向が排ガスの流れに対して平行になるように配置されることが熱交換効率上好ましい。
【0030】
熱回収器15は一般的に、熱交換器であり、本実施の形態においてはエンジン6の冷却水が、エンジン6から分岐して、図1に示すように冷却水回路7を介して導かれており、該冷却水と排ガス間における熱交換を実施し、冷却水はその後エンジン6へ環流し、エンジン6と熱回収器15を結ぶ配管回路を循環する。従って図1から分かるように、熱回収器15の熱交換部の大部分は排ガス管2内に収容される。熱回収器15は、図2に示されるように、例えば冷却水が通る複数のチューブが平行に配置された構成であっても良く、これとは別に熱交換上好適な技術的に既知な別の構成であっても良い。熱回収器15の構成も熱電素子10と同様に排ガスの流れを考慮して、熱交換効率が良くなるようなものとされることが好ましい。この構成については熱電素子10と同様な考え方であるので具体的な詳細については省略する。
【0031】
熱回収器15に導かれていて排ガスと熱交換する熱媒体は一般的に、エンジン6の冷却水であることが好ましいが、例えばこのエンジン6の冷却水が一般的によく利用されるように、車両の空調装置に熱媒体として導かれるものであっても良い。また後に述べるようにエンジン6の低回転時において熱回収器15において回収された排ガスの廃熱を利用できる、例えば空調装置の暖房用の媒体がエンジン6の冷却水の代わりに熱回収器15に導かれても良い。
【0032】
排ガスの流量は、エンジン6の低回転時(低出力時)においては小さく、高回転時(高出力時)において大きくなるので、熱回収器15を通る排ガスの流れの管路抵抗(通気圧力損失)は、低回転時小さく、高回転時大きくなる。熱回収器15により十分な熱回収を実現しようとすると熱回収器15での排ガスの流れの抵抗損失が大きくなることは避けられず、このことはエンジン6の高回転時即ち高負荷時においてエンジン6の出力低下を招くことになる。一方熱電素子10の排ガス(通気)管路抵抗を熱回収器15の管路抵抗より小さく抑えれば、エンジン6の高回転時、即ち高負荷時において排ガスの流れを熱電素子10を通すことにより、この場合でもエンジン6の出力低下を招かないように出来る。このことは図12に示されており、図12の説明は後述する。
【0033】
本実施の形態においては、排ガス管2内の熱回収器15と熱電素子10の下流には開閉弁8が設置される。開閉弁8は、例えば板状のダンパ、フラッパー等排ガスの流れを単純に開閉する弁であっても良いし、開閉機能と共に流量調整機能を有する弁構造のものであっても良い。開閉弁8は、図1に実線で示すように、エンジン6の低回転時において熱電素子通路4及びバイパス通路5を閉じるように操作されて、排ガスを熱回収器15のみに流し、排ガスと熱回収器15により熱交換し、熱回収器15を流れるエンジン6の冷却水を温める。開閉弁8は、図示されない制御装置により制御される。この場合開閉弁8は、エンジン出力又は回転数に応じて制御されるが、具体的には制御パラメータとして、エンジン始動からの時間、エンジン回転数、エンジン出力、排ガス圧力、又はエンジン冷却水温度とバッテリ電圧等が使用されても良く、更にあるいは、前記の各項目の内の複数が組み合わされて、前記制御装置を介する開閉弁8の制御に使用されても良い。この様にして、エンジン6の始動時等の低回転時においてエンジン6の冷却水を温めることによりエンジン6自体を素早く温めることが可能である。これにより始動時の燃費及びエミッションが改善され、前記エンジン6始動時の問題が改善される。更にこれによりエンジン6始動時の暖気運転が不要になるか又は短縮可能になる。またエンジン6の冷却水が空調装置の暖房用に利用されてエネルギの効率的利用が図られても良い。この場合において排ガス流量は少ないので、排ガスの管路抵抗による背圧によるエンジン6の出力低下を招くこともない。
【0034】
開閉弁8は、図1に実線で示すように、エンジン6の高回転時において熱電素子通路4及びバイパス通路5を開いて熱回収器通路3を閉じるように操作されて、排ガスを熱回収器15に流さずに熱電素子10に流して、熱電素子10により排ガスの廃熱を回収して発電する。この場合エンジン排ガスの温度は十分に高く熱電素子10の高温側と低温側の間で十分な温度差を有することが出来るので効率的な発電が可能である。また熱電素子10の管路抵抗は低く設定されているので、排ガス流量が大きくても排ガスの管路抵抗による背圧によるエンジン6の出力低下を招かない。この場合、開閉弁8により熱回収器通路3が閉じられるので熱回収器15には排ガスは流れず、エンジン6の冷却水が暖められ過ぎて温度が高くなることもない。
【0035】
この様に開閉弁8を適宜操作して、エンジン6の始動時等の低回転時には排ガスを熱回収器15のみに流してエンジン6の冷却水の冷却水を早く温めてエンジン6自体をやはり早く温め燃費及びエミッションを改善することによりエンジン6の始動時の問題を改善することが出来、更にエンジン6の高回転時には開閉弁8を切り換えて、排ガスを熱回収器15には流さず熱電素子10に流して効率的な発電をすることが出来る。この場合、排ガスの背圧増大によるエンジン出力低下を招くこともない。これとは別に高負荷時においても熱回収器通路3を全閉せず熱回収器15による熱回収を行っても良い。
【0036】
図12は、本実施の形態における、熱回収器15及び熱電素子10のエンジン6の回転数(即ち排ガス流量)に対する通気圧力損失性能の設計の一例を図解的に示しており、本発明の思想が分かり易いように表示されており、実際の設計を正確に表すものではない。図中において、熱回収器通路側で表される線は、排ガスが熱回収器通路3のみを通る場合の通気圧力損失であり、熱電素子通路側で表される線は、排ガスが熱電素子通路4のみを通る場合の通気圧力損失である。両方で表される線は、排ガスが熱回収器通路3と熱電素子通路4を同時に流れる場合の通気圧力損失である。図12に示されるように、熱電素子通路4、即ち熱電素子10の通気圧力損失は、熱回収器通路3、即ち熱回収器15の通気圧力損失より十分低くなるように熱電素子10は設計される。本実施の形態の開閉弁8の制御に従い、上記のごとく開閉弁8をエンジン6の低回転時と高回転時で切り換えた場合の通気圧力損失を図12において実線で示す。この例ではエンジン6の回転数が2500rpmで、開閉弁8を切り換える例を示している。図12で示されるように、エンジン6の高回転時に熱電素子通路4をへ排ガスを通すように開閉弁8を切り換えることにより、排ガス管2全体の通気圧力損失を低く抑えられることを示す。
【0037】
図1においてエンジン6の冷却水回路7に水温センサ9が具備されて冷却水温を検知し、該冷却水温データを使用して該冷却水温が高くなり過ぎないように、熱回収器15へ流される冷却水流量を制御することにより、エンジン6のオーバーヒートを防止するように構成されても良い。この冷却水の制御は、例えば温度流量調整弁等の既存技術により可能にされても良い。
【0038】
図3と4に本発明の第2の実施の形態を示す。図3と4に示される構成要素で図1又は2に示されるものと同様の構成要素は、図1又は2と同じ符号が付けられている。図3及び4の図1及び2との相違点は、熱電素子10と熱回収器15の排ガス管2内における位置関係、及び開閉弁8の位置にある。この実施の形態において熱電素子10と熱回収器15は、並んで配置されておらず、熱電素子10が上流側、熱回収器15は下流側に配置される。更に開閉弁8は熱回収器15の上流側で、熱電素子10の下流側、即ち熱電素子10と熱回収器15との間に配置される。図3において開閉弁8は、熱回収器通路3を閉じて、熱電素子通路4を開けるように調整されており、この場合はエンジン負荷が大きくエンジン6の回転数が高い場合であり、排ガスは、熱電素子通路4を通されて熱電素子10により発電する。排ガスは熱電素子10により冷却され、排ガス体積が減少するので、バイパス通路5を通る際に通気圧力損失抗が減少し、エンジン6の出力低下は生じない。この場合排ガスは熱回収器15を通過しないので熱回収は行われず、エンジン6の冷却水温度もほとんど上昇しない。
【0039】
図4において開閉弁8は、熱回収器通路3を開けて、熱電素子通路4及びバイパス通路5を閉じるように調整されており、この場合はエンジン負荷が小さくエンジン6の回転数が低い場合であり、排ガスは、熱回収器通路3を通されて熱回収器15により熱回収器される。この場合排ガスは熱電素子10を通過しないので発電は行われない。
【0040】
図5と6に本発明の第3の実施の形態を示す。図5と6に示される構成要素で図1又は2に示されるものと同様の構成要素は、図1又は2と同じ符号が付けられている。図5及び6の図1及び2との相違点はやはり、熱電素子10と熱回収器15の排ガス管2内における位置関係、及び開閉弁8の位置である。この実施の形態において熱電素子10と熱回収器15はやはり、並んで配置されておらず、熱電素子10が下流側、熱回収器15は上流側に配置される。更に開閉弁8は熱電素子10と熱回収器15との間に配置される。図5において開閉弁8は、熱回収器通路3を閉じて、バイパス通路5を開けるように調整されており、この場合はエンジン負荷が大きくエンジン6の回転数が高い場合であり、排ガスは、バイパス通路5及び熱電素子通路4を通されて熱電素子10により発電する。
【0041】
図6において開閉弁8は、熱回収器通路3を開けて、バイパス通路5を閉じるように調整されており、この場合はエンジン負荷が小さくエンジン6の回転数が低い場合であり、全ての排ガスは、熱回収器通路3を通されて熱回収器15により熱回収される。全ての排ガスが熱回収器15を通過するので、熱回収器15による回収熱量は最大になる。更に排ガスはその後熱電素子10も通過するので、熱電素子10による発電も行われる。この様にこの実施の形態においては熱電素子10を全てのエンジン6の運転領域で使用可能であり、排ガスの再利用廃熱量を増大できる。
【0042】
図7と8に本発明の第4の実施の形態を示す。図7と8に示される構成要素で図1又は2に示されるものと同様の構成要素は、図1又は2と同じ符号が付けられている。この実施の形態では、上記第3の実施の形態において、熱電素子10は熱回収器15の下流側で、しかも排ガス管2の全断面をカバーするように設置される。開閉弁8は熱回収器15の下流側で、熱電素子10と熱回収器15との間に配置されており、熱回収器通路3とバイパス通路5の開閉を行う。
図7において開閉弁8は、熱回収器通路3を閉じて、バイパス通路5を開けるように調整されており、この場合はエンジン負荷が大きくエンジン6の回転数が高い場合であり、排ガスは、バイパス通路5を通されて、全ての排ガスが下流の排ガス管2の全断面をカバーする熱電素子10による発電に寄与する。
【0043】
図8において開閉弁8は、熱回収器通路3を開けて、バイパス通路5を閉じるように調整されており、この場合はエンジン負荷が小さくエンジン6の回転数が低い場合であり、全ての排ガスは、熱回収器通路3を通されて熱回収器15により熱回収される。全ての排ガスが熱回収器15を通過するので、熱回収器15による回収熱量は最大になる。更に排ガスはその後熱電素子10も通過するので、熱電素子10による発電も行われる。この様にこの実施の形態においては熱電素子10を全てのエンジン6の運転領域で使用可能であり、更に排ガスの流れの全量が熱電素子10を通過するので、排ガスの再利用廃熱量を増大できる。この場合排ガス流量は少なく、熱電素子での圧力損失も小さいので、排ガス背圧がエンジンに悪影響を与えることはない。
【0044】
図9と10に本発明の第5の実施の形態を示す。図9と10に示される構成要素で図1又は2に示されるものと同様の構成要素は、図1又は2と同じ符号が付けられている。この実施の形態において熱電素子10の冷却部11は外気に接触して冷却されるのではなく、熱回収器15の冷却側(低温側)であるエンジン6からの冷却水管路と接触して冷却されるように配置される。従って一般的に、図1に示されるような熱回収器通路3と熱電素子通路4の間のバイパス通路5は一般的には存在しない。図9及び10の図1及び2との相違点は、熱電素子10の冷却部11の冷却方法にある。本実施の形態の場合冷却部11の冷却媒体は一般的に水であり、第1の実施の形態の空気に比べて、熱媒体の比熱が大きい点において、冷却熱交換の面で有利である。また排ガス管2の外へ突出する部分も、第1の実施の形態に比べて少なくなり、配置上の優位要因を有する。開閉弁8の操作制御によるエンジン排ガス再利用装置1の運転については第1の実施の形態と同様であるので記載の重複を避け省略する。
【0045】
図11に本発明の第6の実施の形態を示す。図11に示される構成要素で図1又は2に示されるものと同様の構成要素は、図1又は2と同じ符号が付けられている。図11では、図1及び2の第1の実施の形態においてカーボン捕捉フィルタ21が、熱電素子10と熱回収器15の下流の排ガス管2内に排ガス管2の全断面をカバーするように設置されている。図12の図1及び2に対する相違点はこの点だけである。排ガスは、流量の大きく通気抵抗も大きい高回転数時においても、熱電素子10を通り流れて発電する際に、冷却されてその体積を減少し通気抵抗が減少するので、通気抵抗を増大させるカーボン捕捉フィルタ21をこの様に設置しても、エンジン6の出力低下を生じない。カーボン捕捉フィルタ21は、第1の実施の形態だけではなく、前述の第2から第5の実施の形態においても同様に設置可能である。
【0046】
上記のように、本発明によれば、熱電素子と共に熱交換器である熱回収器を共に具備して、それぞれの短所を補うようにそれらを使用することにより効果的で有用なエンジン排ガスの廃熱の再利用が可能になる。
即ち、熱電素子の利用による従来のエンジン排ガスの熱エネルギ回収において、車両のエンジンの運転状況が変動するために回収エネルギが一定せず、エンジンの始動時等の低負荷時に排ガス温度が低いため熱電素子のエネルギ回収性能が良くないという問題に対処して、エンジンの低回転数時(低負荷時)には熱回収器により熱回収し、更に回収熱をエンジンの冷却水の昇温に使用して、エンジンの始動時等の燃費及びエミッションの改善を可能にすると共にエンジンの暖気運転時間を短縮する。
【0047】
更にエンジン高回転数時(高負荷時)においては、高い排ガス温度により生じる大きな温度差を利用して熱電素子により効率的に発電する。また、エンジン排ガスラインへ前記熱回収装置の設置した場合、それによりエンジン高負荷時において排ガス流量の増大による管路抵抗の増大が生じるおそれがあるが、本発明によれば排ガス流量が大きい時に通気圧力損失の小さい熱電素子を使用することにより排ガス背圧の上昇を抑えて、エンジン出力低下を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図である。
【図2】図2は、図1の線I−Iによる図解的な断面図である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図であり、図1の第1の実施の形態と相違する部分を部分的に示しており、開閉弁8が熱回収器通路3を閉じた状態を示す。
【図4】図4は、図3と同様な本発明の第2の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図であり、開閉弁8が熱電素子通路4を閉じた状態を示す。
【図5】図5は、本発明の第3の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図であり、図1の第1の実施の形態と相違する部分を部分的に示しており、開閉弁8が熱回収器通路3を閉じた状態を示す。
【図6】図6は、図5と同様な本発明の第3の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図であり、開閉弁8が熱回収器通路3を開けた状態を示す。
【図7】図7は、本発明の第4の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図であり、図1の第1の実施の形態と相違する部分を部分的に示しており、開閉弁8が熱回収器通路3を閉じた状態を示す。
【図8】図8は、図7と同様な本発明の第4の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図であり、開閉弁8が熱回収器通路3を開けた状態を示す。
【図9】図9は、本発明の第5の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図である。
【図10】図10は、図9の線II−IIによる図解的な断面図である。
【図11】図11は、本発明の第6の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図である。
【図12】図12は、本発明の熱回収器15と熱電素子10及び両者に排ガスを通した場合の排ガス量に対する通気圧力損失の関係の例を図解的に示しており、本発明に従う一例において、開閉弁8を操作した場合の通気圧力損失と排ガス量の関係を実線で示す。
【符号の説明】
1…エンジン排ガス再利用装置
2…排ガス管
3…熱回収器通路
4…熱電素子通路
5…バイパス通路
6…エンジン
7…冷却水回路
8…開閉弁
9…水温センサ
10…熱電素子
11…冷却部
12…加熱部
15…熱回収器
16…冷却水管
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用エンジンに係り、より特別には車両用エンジンの排ガス再利用装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エネルギの節約、温暖化防止等の観点から、省エネルギ対策があらゆる装置に対して要求されるようになった。車両においても従来より、種々のエンジン排ガスの再利用方法が提案されている。一方で電気化学的な技術において種々の材料が開発されてきた。熱電素子もその様な材料の1つであり、種々の用途が検討されている。従来より車両において、排ガスラインに熱電素子を備えてエネルギを回収する廃熱回収装置は提案されていた。その中には例えば、特許第3052989号や特開2000−18095号公報に開示された提案があるが、実用化されたものはほとんどないに等しい。
【0003】
熱電素子の利用において重要な要因は、高温側と低温側の温度差であり、この温度差が大きいほど熱電素子の発電性能は向上する。即ち高温の熱媒体の使用が効率的である。この観点からエンジン排ガスを熱電素子の熱媒体とすることは有効であると考えられる。しかし車両においてエンジン排ガスの温度は運転状態により変動する。即ち排ガス温度は、高負荷運転時においては高くなり、低負荷運転時には低くなる。運転状態が変化する車両において負荷の変動は避けられないものである。従ってエンジン排ガスラインに熱電素子を設置して発電することによる排ガスの廃熱再利用において、変動するエンジン負荷に対応して如何に定常的にエネルギを回収するかは、熱電素子の利用において重要なテーマである。特にエンジン排ガスラインに熱電素子を設置して排ガスの廃熱再利用する方法においては、低負荷運転時に排ガス温度及び流量が低下し回収エネルギが減少するという問題がある。
【0004】
また一方で、エンジンの低負荷運転時である始動時において、エンジンが暖気されていないことにより燃費は低下し、更にエンジンが十分に暖まってないことによる燃焼の悪さによりエミッションも良くないという問題があった。しかもエンジン始動時においては、エンジン自体の温度が低い状態で高負荷運転をした場合における燃焼の悪化等のエンジンに対する悪影響を回避するために、エンジンの暖気運転が必要になる。このように、エンジンの始動時においては、エンジン冷却水の温度低下及びエンジン自体の温度が低いことによる、燃焼及びエミッションの悪化の問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、熱電素子の利用による従来のエンジン排ガスの熱エネルギ回収において、回収エネルギが一定しないという問題があり、特にエンジン低負荷時において排ガス温度が下がることにより、熱電素子の回収エネルギが減少する問題があったが、本発明は、この様な事情に鑑みてなされたもので、エンジン始動時等の低負荷運転時において有効に排ガスエネルギ回収可能であり、更にエンジン高負荷時においては高温の排ガスの廃熱を再利用することにより、エンジンの全ての運転領域において有効に機能するエンジン排ガス(の廃熱)再利用装置を提供する。
【0006】
またエンジン排ガスラインにエンジン排ガス再利用装置を設置した場合、それによりエンジン高負荷時において、排ガス流量の増大により管路抵抗が増大するおそれがある。更にエンジン排ガスラインにおいて背圧が増大すると、エンジン出力低下が生じる。本発明の別の目的は、エンジン高負荷時において排ガス流量が増えた場合においても、高負荷時におけるエンジンの運転に影響を与えることのないエンジン排ガス再利用装置を提供することである。
【0007】
更に本発明は、エンジン始動時において回収した排ガス熱エネルギを利用して、エンジン冷却水を短時間で昇温してエンジン自体を暖気し、始動時の燃費及びエミッションを改善することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置は、上述した目的を達成するために、エンジン排ガスと熱交換して該排ガスの廃熱を利用可能な熱回収器と、熱電効果を利用して前記エンジン排ガスのエネルギを再利用する熱電素子とを具備するエンジン排ガス再利用装置において、このエンジン排ガス再利用装置が、エンジン排ガス管路に設置されており、該エンジン排ガス管路が、前記熱回収器を備える熱回収器通路と、前記熱電素子を備える熱電素子通路とを具備しており、前記エンジン排ガス再利用装置が、前記熱回収器通路と前記熱電素子通路を流れる排ガスの流れを調整制御するように、前記排ガス管路内に設けられる開閉弁と、該開閉弁を制御する制御装置と、を更に具備しており、前記開閉弁は、エンジン回転数又は出力が低い場合には前記熱回収器通路を開けて前記熱電素子通路を閉じて、前記熱回収器に排ガスの少なくとも多くの部分を導入し、エンジン回転数又は出力が高い場合には前記熱回収器通路を閉じて前記熱電素子通路を開けて、前記熱電素子に排ガスの少なくとも多くの部分を導入するように制御されることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項1の該装置において、前記開閉弁は、前記熱回収器と前記熱電素子より下流側の前記排ガス管路内に設置されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項1の該装置において、該エンジン排ガス管路が、前記熱回収器通路と前記熱電素子通路に加えて、これらの通路に平行に走るバイパス通路を具備することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項3の該装置において、前記開閉弁は、前記熱回収器と前記熱電素子より下流側の前記排ガス管路内に設置されており、前記開閉弁は前記熱電素子通路と共に前記バイパス通路を同時に開閉することを特徴とする。
【0012】
上記の請求項1から4のいずれか一項の形態により、熱電素子と共に熱交換器である熱回収器を共に具備して、それぞれの短所を補うようにそれらを使用することにより効果的で有用なエンジン排ガスの廃熱の再利用が可能になる。
熱電素子の利用による従来のエンジン排ガスの熱エネルギ回収において、車両のエンジンの運転状況が変動するために回収エネルギが一定せず、エンジンの始動時等の低負荷時に熱電素子の熱回収性能が良くないという問題に対処して、エンジンの低回転数時(低負荷時)には熱回収器により熱回収し、特にエンジン低負荷時において排ガス温度が下がることにより、熱電素子の回収エネルギ性能が低下する問題に対処し、更に回収熱をエンジンの冷却水の昇温に使用して、エンジンの始動時等の燃費及びエミッションの改善を可能にすると共にエンジンの暖気運転時間を短縮する。
更にエンジン高回転数時(高負荷時)においては、高い排ガス温度により生じる大きな温度差を利用して熱電素子により効率的に発電して、エンジンの全ての負荷において有効に機能するエンジン排ガス再利用装置を提供することが出来る。また、エンジン排ガスラインへ前記熱回収装置を設置した場合、それによりエンジン高負荷時において、排ガス流量の増大により管路抵抗が増大するおそれがあるが、本発明によれば排ガス流量が大きい時に通気圧力損失の小さい熱電素子を使用することにより排ガス背圧の上昇を抑えて、エンジン出力低下を防止することが出来る。
【0013】
請求項5に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、エンジン排ガスと熱交換して該排ガスの廃熱を利用可能な熱回収器と、熱電効果を利用して前記エンジン排ガスのエネルギを再利用する熱電素子とを具備するエンジン排ガス再利用装置において、このエンジン排ガス再利用装置が、エンジン排ガス管路に設置されており、該エンジン排ガス管路が、前記熱回収器を備える熱回収器通路と、前記熱電素子を備える熱電素子通路と、前記熱回収器通路に隣接して平行に走るバイパス通路とを具備しており、前記熱電素子が前記熱回収器より上流に位置しており、前記バイパス通路は前記熱電素子通路に連結していて下流に位置しており、前記開閉弁は、前記排ガス管路内で前記熱電素子の下流側で前記熱回収器の隣接する上流側に設置されており、前記エンジン排ガス再利用装置が、前記熱回収器通路と前記熱電素子通路を流れる排ガスの流れを調整制御するように、前記排ガス管路内に設けられる開閉弁と、該開閉弁を制御する制御装置と、を更に具備しており、前記開閉弁は、エンジン回転数又は出力が低い場合には前記熱回収器通路を開けて前記熱電素子通路を閉じて、前記熱回収器に排ガスの少なくとも多くの部分を導入し、エンジン回転数又は出力が高い場合には前記熱回収器通路を閉じて前記熱電素子通路を開けて、前記熱電素子に排ガスの少なくとも多くの部分を導入するように制御されることを特徴とする。
【0014】
これにより本発明の請求項1の効果に加えて、エンジン高負荷時において高温の排ガスは、熱電素子通過後に冷却されガス体積が減少することにより下流での通気圧力損失が減少するので、より以上にエンジンの出力低下を招きにくくなる。
【0015】
請求項6に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、エンジン排ガスと熱交換して該排ガスの廃熱を利用可能な熱回収器と、熱電効果を利用して前記エンジン排ガスのエネルギを再利用する熱電素子とを具備するエンジン排ガス再利用装置において、このエンジン排ガス再利用装置が、エンジン排ガス管路に設置されており、該エンジン排ガス管路が、前記熱回収器を備える熱回収器通路と、前記熱電素子を備える熱電素子通路と、前記熱回収器通路に隣接して平行に走るバイパス通路とを具備しており、前記熱電素子が前記熱回収器より下流に位置しており、前記バイパス通路は前記熱電素子通路に連結していて上流に位置しており、前記開閉弁は、前記排ガス管路内で前記熱電素子の上流側で前記熱回収器の隣接する下流側に設置されており、前記エンジン排ガス再利用装置が、前記熱回収器通路と前記バイパス通路を流れる排ガスの流れを調整制御するように、前記排ガス管路内に設けられる開閉弁と、該開閉弁を制御する制御装置と、を更に具備しており、前記開閉弁は、エンジン回転数又は出力が低い場合には前記熱回収器通路を開けて前記バイパス通路を閉じて、前記熱回収器に排ガスの少なくとも多くの部分を導入し、エンジン回転数又は出力が高い場合には前記熱回収器通路を閉じて前記バイパス通路を開けて、前記熱電素子に排ガスの少なくとも多くの部分を導入するように制御されることを特徴とする。
【0016】
これにより本発明の請求項1の効果に加えて、エンジンの低回転数時において全ての排ガスが熱回収器を通過するので、熱回収器による回収熱量は最大になる。更に排ガスはその後熱電素子も通過するので、熱電素子による発電も行われる。この様に熱電素子を全てのエンジンの運転領域で使用可能であり、排ガスからのエネルギ回収量を増大できる。
【0017】
請求項7に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項6の該装置において、前記熱電素子は、前記排ガス管の断面積のほとんどの部分をカバーすることを特徴とする。
これにより本形態では本発明の請求項6の効果よりも更に熱電素子による排ガスからのエネルギ回収量を増大できる。
【0018】
請求項8に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項1から7のいずれか一項の該装置において、前記開閉弁は、エンジン始動からの時間、エンジン回転数、エンジン出力、排気ガス圧力、又はエンジン冷却水温度とバッテリ電圧の、いずれかのうち少なくとも一つの検知項目により、調整制御されることを特徴とする。
これにより開閉弁は、より多くの運転状況に応じて、適切に排ガスの流れ方向を制御可能である。
【0019】
請求項9に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項1から8のいずれか一項の該装置において、エンジンの冷却水が、前記熱回収器において排ガスと熱交換する熱媒体として導入される冷却水回路を備えることを特徴とする。
【0020】
この様な構成により、上記に加えてエンジンの始動時等の低回転数時(低負荷時)において、熱回収器により熱回収し、回収熱をエンジンの冷却水の昇温に使用して、エンジンの始動時等の燃費及びエミッションの改善を可能にすると共にエンジンの暖気運転時間を短縮する。
【0021】
請求項10に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項9の該装置において、前記熱回収器の前記冷却水回路に水温センサが具備されており、該水温センサが冷却水温度を検出し、該冷却水温度に応じてエンジンがオーバーヒートしないように前記熱回収器へ供給される冷却水流量が調整されることを特徴とする。
この様な構成により、エンジンのオーバーヒートをより確実に防止できる。
【0022】
請求項11に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項10の該装置において、該水温センサにより検出された前記冷却水温度に応じた前記熱回収器への冷却水供給制御において、前記冷却水流量は、目標に達するまで絞られて、その後エンジンがオーバーヒートしない冷却水温度になるように、前記温度センサにより前記冷却水流量が調整されることを特徴とする。
この様な構成により、エンジンのオーバーヒートをより以上に確実に防止できる。
【0023】
請求項12に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項1から11のいずれか一項の該装置において、前記熱電素子の冷却部は、外気に接しており、外気により冷却されることを特徴とする。
本請求項12の形態では、熱電素子の冷却部を冷却する媒体として確実に温度が低く、入手するために特別な工夫又はエネルギ等を必要としない外気を使用することにより、より簡単な装置を構成可能である。
【0024】
請求項13に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項12の該装置において、前記熱電素子の冷却部は、その長手方向が車両の進行方向に平行になるように配置されており、それにより該冷却部を構成する面が車両の進行により生じる外気の流れが、速い速度で前記冷却部を構成する面に接触して、前記冷却部の面積当りの熱交換量が最大になることを特徴とする。
本請求項13の形態では、請求項12の形態の効果に加えて、車両の走行を効果的に利用して熱電素子の冷却部を冷却することが出来る。
【0025】
請求項14に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項12又は13の該装置において、前記熱電素子の冷却部はフィン構造であることを特徴とする。
本請求項14の形態では、請求項12又は13の形態の効果に加えて、より効果的な熱電素子の冷却部の冷却が期待出来る。
【0026】
請求項15に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項1から11のいずれか一項の該装置において、前記熱電素子の前記冷却部は、前記熱回収器の低温側熱媒体が通る管に接しており、該熱媒体管を通る熱媒体に前記熱電素子の熱が伝達されて前記熱電素子が冷却されることを特徴とする。
本請求項15の形態では、熱電素子の冷却部を冷却する媒体として、やはり確実に温度が低く、入手するために特別な工夫又はエネルギ等を必要としない熱回収器の熱媒体を使用することにより、より簡単な装置を構成可能であり、更に外気より比熱の大きい物質を使用することによる冷却効率の改善が期待できる。
【0027】
請求項16に記載した本発明に係るエンジン排ガス再利用装置では、請求項1から15のいずれか一項の該装置において、該エンジン排ガス再利用装置は、前記排ガス管路において、前記熱回収器と前記熱電素子の下流側で前記排ガス管路全断面をカバーするカーボン捕捉フィルタを具備することを特徴とする。
これにより本発明の請求項1から15のいずれか一項の効果に加えて、エンジン6に悪影響を与えることなく、追加の機能を備えることが出来る。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づき、図面を参照して本発明のエンジン排ガス再利用装置を詳細に説明する。図1は、本発明に係るエンジン排ガス再利用装置1の概念図であり、分かり易くするために、エンジンの排ガス管路に装備される装置の内で本発明に係わる部分についてのみ示しており、図2は図1の線I−Iによる断面図であり、熱回収器15と熱電素子10の設置されている排ガス管2の部分について分かり易くなるように示している。
図1と2を参照して、本発明のエンジン排ガス再利用装置1の第1の実施の形態について説明する。車両のエンジン6は排ガス管2により排気ガスを排出するが、エンジン排ガスの廃熱を再利用するために、エンジン6からの排ガス管2内に本発明のエンジン排ガス再利用装置1が設けられる。該エンジン排ガス再利用装置1は、熱回収器15と、熱電素子10と、開閉弁8とを具備する。図1の第1の実施の形態においては、熱回収器15は排ガス管2内の熱回収器通路3に設置され、熱電素子10は排ガス管2内の熱電素子通路4に設置されており、熱回収器通路3と熱電素子通路の間にはバイパス通路5が設けられる。図1では熱回収器15と熱電素子10はほぼ並んで配置される。バイパス通路5が設けられないように熱回収器通路3と熱電素子通路4が配置されても良い。
【0029】
熱電素子10は、加熱部12と冷却部11とを具備しており、加熱部12は、排ガス管2内に設置されており、排ガスが接することにより熱交換する熱電素子10の高温側であり、冷却部11は、排ガス管2外に設置されており、本実施の形態では外気により冷却される熱電素子10の低温側である。
熱電素子10の冷却部11は、図2で示すようにフィン構造等の、例えば熱交換面積が大きくなるような熱交換に適した構造を有することが好ましく、更にその長手方向が車両の進行方向に平行になるように配置されて、冷却部11を構成する熱交換面が車両の進行により生じる外気の流れを妨げないで、速い速度で外気が冷却部11を構成する該熱交換面に接触して熱交換することにより、冷却部11の単位面積当りの熱交換量が高められるように配置されることが好ましい。熱電素子10の加熱部12についても、上記冷却部11のようにフィン構造等の熱交換に適した構造であることが好ましく、更にやはりフィン構造等の長手方向が排ガスの流れに対して平行になるように配置されることが熱交換効率上好ましい。
【0030】
熱回収器15は一般的に、熱交換器であり、本実施の形態においてはエンジン6の冷却水が、エンジン6から分岐して、図1に示すように冷却水回路7を介して導かれており、該冷却水と排ガス間における熱交換を実施し、冷却水はその後エンジン6へ環流し、エンジン6と熱回収器15を結ぶ配管回路を循環する。従って図1から分かるように、熱回収器15の熱交換部の大部分は排ガス管2内に収容される。熱回収器15は、図2に示されるように、例えば冷却水が通る複数のチューブが平行に配置された構成であっても良く、これとは別に熱交換上好適な技術的に既知な別の構成であっても良い。熱回収器15の構成も熱電素子10と同様に排ガスの流れを考慮して、熱交換効率が良くなるようなものとされることが好ましい。この構成については熱電素子10と同様な考え方であるので具体的な詳細については省略する。
【0031】
熱回収器15に導かれていて排ガスと熱交換する熱媒体は一般的に、エンジン6の冷却水であることが好ましいが、例えばこのエンジン6の冷却水が一般的によく利用されるように、車両の空調装置に熱媒体として導かれるものであっても良い。また後に述べるようにエンジン6の低回転時において熱回収器15において回収された排ガスの廃熱を利用できる、例えば空調装置の暖房用の媒体がエンジン6の冷却水の代わりに熱回収器15に導かれても良い。
【0032】
排ガスの流量は、エンジン6の低回転時(低出力時)においては小さく、高回転時(高出力時)において大きくなるので、熱回収器15を通る排ガスの流れの管路抵抗(通気圧力損失)は、低回転時小さく、高回転時大きくなる。熱回収器15により十分な熱回収を実現しようとすると熱回収器15での排ガスの流れの抵抗損失が大きくなることは避けられず、このことはエンジン6の高回転時即ち高負荷時においてエンジン6の出力低下を招くことになる。一方熱電素子10の排ガス(通気)管路抵抗を熱回収器15の管路抵抗より小さく抑えれば、エンジン6の高回転時、即ち高負荷時において排ガスの流れを熱電素子10を通すことにより、この場合でもエンジン6の出力低下を招かないように出来る。このことは図12に示されており、図12の説明は後述する。
【0033】
本実施の形態においては、排ガス管2内の熱回収器15と熱電素子10の下流には開閉弁8が設置される。開閉弁8は、例えば板状のダンパ、フラッパー等排ガスの流れを単純に開閉する弁であっても良いし、開閉機能と共に流量調整機能を有する弁構造のものであっても良い。開閉弁8は、図1に実線で示すように、エンジン6の低回転時において熱電素子通路4及びバイパス通路5を閉じるように操作されて、排ガスを熱回収器15のみに流し、排ガスと熱回収器15により熱交換し、熱回収器15を流れるエンジン6の冷却水を温める。開閉弁8は、図示されない制御装置により制御される。この場合開閉弁8は、エンジン出力又は回転数に応じて制御されるが、具体的には制御パラメータとして、エンジン始動からの時間、エンジン回転数、エンジン出力、排ガス圧力、又はエンジン冷却水温度とバッテリ電圧等が使用されても良く、更にあるいは、前記の各項目の内の複数が組み合わされて、前記制御装置を介する開閉弁8の制御に使用されても良い。この様にして、エンジン6の始動時等の低回転時においてエンジン6の冷却水を温めることによりエンジン6自体を素早く温めることが可能である。これにより始動時の燃費及びエミッションが改善され、前記エンジン6始動時の問題が改善される。更にこれによりエンジン6始動時の暖気運転が不要になるか又は短縮可能になる。またエンジン6の冷却水が空調装置の暖房用に利用されてエネルギの効率的利用が図られても良い。この場合において排ガス流量は少ないので、排ガスの管路抵抗による背圧によるエンジン6の出力低下を招くこともない。
【0034】
開閉弁8は、図1に実線で示すように、エンジン6の高回転時において熱電素子通路4及びバイパス通路5を開いて熱回収器通路3を閉じるように操作されて、排ガスを熱回収器15に流さずに熱電素子10に流して、熱電素子10により排ガスの廃熱を回収して発電する。この場合エンジン排ガスの温度は十分に高く熱電素子10の高温側と低温側の間で十分な温度差を有することが出来るので効率的な発電が可能である。また熱電素子10の管路抵抗は低く設定されているので、排ガス流量が大きくても排ガスの管路抵抗による背圧によるエンジン6の出力低下を招かない。この場合、開閉弁8により熱回収器通路3が閉じられるので熱回収器15には排ガスは流れず、エンジン6の冷却水が暖められ過ぎて温度が高くなることもない。
【0035】
この様に開閉弁8を適宜操作して、エンジン6の始動時等の低回転時には排ガスを熱回収器15のみに流してエンジン6の冷却水の冷却水を早く温めてエンジン6自体をやはり早く温め燃費及びエミッションを改善することによりエンジン6の始動時の問題を改善することが出来、更にエンジン6の高回転時には開閉弁8を切り換えて、排ガスを熱回収器15には流さず熱電素子10に流して効率的な発電をすることが出来る。この場合、排ガスの背圧増大によるエンジン出力低下を招くこともない。これとは別に高負荷時においても熱回収器通路3を全閉せず熱回収器15による熱回収を行っても良い。
【0036】
図12は、本実施の形態における、熱回収器15及び熱電素子10のエンジン6の回転数(即ち排ガス流量)に対する通気圧力損失性能の設計の一例を図解的に示しており、本発明の思想が分かり易いように表示されており、実際の設計を正確に表すものではない。図中において、熱回収器通路側で表される線は、排ガスが熱回収器通路3のみを通る場合の通気圧力損失であり、熱電素子通路側で表される線は、排ガスが熱電素子通路4のみを通る場合の通気圧力損失である。両方で表される線は、排ガスが熱回収器通路3と熱電素子通路4を同時に流れる場合の通気圧力損失である。図12に示されるように、熱電素子通路4、即ち熱電素子10の通気圧力損失は、熱回収器通路3、即ち熱回収器15の通気圧力損失より十分低くなるように熱電素子10は設計される。本実施の形態の開閉弁8の制御に従い、上記のごとく開閉弁8をエンジン6の低回転時と高回転時で切り換えた場合の通気圧力損失を図12において実線で示す。この例ではエンジン6の回転数が2500rpmで、開閉弁8を切り換える例を示している。図12で示されるように、エンジン6の高回転時に熱電素子通路4をへ排ガスを通すように開閉弁8を切り換えることにより、排ガス管2全体の通気圧力損失を低く抑えられることを示す。
【0037】
図1においてエンジン6の冷却水回路7に水温センサ9が具備されて冷却水温を検知し、該冷却水温データを使用して該冷却水温が高くなり過ぎないように、熱回収器15へ流される冷却水流量を制御することにより、エンジン6のオーバーヒートを防止するように構成されても良い。この冷却水の制御は、例えば温度流量調整弁等の既存技術により可能にされても良い。
【0038】
図3と4に本発明の第2の実施の形態を示す。図3と4に示される構成要素で図1又は2に示されるものと同様の構成要素は、図1又は2と同じ符号が付けられている。図3及び4の図1及び2との相違点は、熱電素子10と熱回収器15の排ガス管2内における位置関係、及び開閉弁8の位置にある。この実施の形態において熱電素子10と熱回収器15は、並んで配置されておらず、熱電素子10が上流側、熱回収器15は下流側に配置される。更に開閉弁8は熱回収器15の上流側で、熱電素子10の下流側、即ち熱電素子10と熱回収器15との間に配置される。図3において開閉弁8は、熱回収器通路3を閉じて、熱電素子通路4を開けるように調整されており、この場合はエンジン負荷が大きくエンジン6の回転数が高い場合であり、排ガスは、熱電素子通路4を通されて熱電素子10により発電する。排ガスは熱電素子10により冷却され、排ガス体積が減少するので、バイパス通路5を通る際に通気圧力損失抗が減少し、エンジン6の出力低下は生じない。この場合排ガスは熱回収器15を通過しないので熱回収は行われず、エンジン6の冷却水温度もほとんど上昇しない。
【0039】
図4において開閉弁8は、熱回収器通路3を開けて、熱電素子通路4及びバイパス通路5を閉じるように調整されており、この場合はエンジン負荷が小さくエンジン6の回転数が低い場合であり、排ガスは、熱回収器通路3を通されて熱回収器15により熱回収器される。この場合排ガスは熱電素子10を通過しないので発電は行われない。
【0040】
図5と6に本発明の第3の実施の形態を示す。図5と6に示される構成要素で図1又は2に示されるものと同様の構成要素は、図1又は2と同じ符号が付けられている。図5及び6の図1及び2との相違点はやはり、熱電素子10と熱回収器15の排ガス管2内における位置関係、及び開閉弁8の位置である。この実施の形態において熱電素子10と熱回収器15はやはり、並んで配置されておらず、熱電素子10が下流側、熱回収器15は上流側に配置される。更に開閉弁8は熱電素子10と熱回収器15との間に配置される。図5において開閉弁8は、熱回収器通路3を閉じて、バイパス通路5を開けるように調整されており、この場合はエンジン負荷が大きくエンジン6の回転数が高い場合であり、排ガスは、バイパス通路5及び熱電素子通路4を通されて熱電素子10により発電する。
【0041】
図6において開閉弁8は、熱回収器通路3を開けて、バイパス通路5を閉じるように調整されており、この場合はエンジン負荷が小さくエンジン6の回転数が低い場合であり、全ての排ガスは、熱回収器通路3を通されて熱回収器15により熱回収される。全ての排ガスが熱回収器15を通過するので、熱回収器15による回収熱量は最大になる。更に排ガスはその後熱電素子10も通過するので、熱電素子10による発電も行われる。この様にこの実施の形態においては熱電素子10を全てのエンジン6の運転領域で使用可能であり、排ガスの再利用廃熱量を増大できる。
【0042】
図7と8に本発明の第4の実施の形態を示す。図7と8に示される構成要素で図1又は2に示されるものと同様の構成要素は、図1又は2と同じ符号が付けられている。この実施の形態では、上記第3の実施の形態において、熱電素子10は熱回収器15の下流側で、しかも排ガス管2の全断面をカバーするように設置される。開閉弁8は熱回収器15の下流側で、熱電素子10と熱回収器15との間に配置されており、熱回収器通路3とバイパス通路5の開閉を行う。
図7において開閉弁8は、熱回収器通路3を閉じて、バイパス通路5を開けるように調整されており、この場合はエンジン負荷が大きくエンジン6の回転数が高い場合であり、排ガスは、バイパス通路5を通されて、全ての排ガスが下流の排ガス管2の全断面をカバーする熱電素子10による発電に寄与する。
【0043】
図8において開閉弁8は、熱回収器通路3を開けて、バイパス通路5を閉じるように調整されており、この場合はエンジン負荷が小さくエンジン6の回転数が低い場合であり、全ての排ガスは、熱回収器通路3を通されて熱回収器15により熱回収される。全ての排ガスが熱回収器15を通過するので、熱回収器15による回収熱量は最大になる。更に排ガスはその後熱電素子10も通過するので、熱電素子10による発電も行われる。この様にこの実施の形態においては熱電素子10を全てのエンジン6の運転領域で使用可能であり、更に排ガスの流れの全量が熱電素子10を通過するので、排ガスの再利用廃熱量を増大できる。この場合排ガス流量は少なく、熱電素子での圧力損失も小さいので、排ガス背圧がエンジンに悪影響を与えることはない。
【0044】
図9と10に本発明の第5の実施の形態を示す。図9と10に示される構成要素で図1又は2に示されるものと同様の構成要素は、図1又は2と同じ符号が付けられている。この実施の形態において熱電素子10の冷却部11は外気に接触して冷却されるのではなく、熱回収器15の冷却側(低温側)であるエンジン6からの冷却水管路と接触して冷却されるように配置される。従って一般的に、図1に示されるような熱回収器通路3と熱電素子通路4の間のバイパス通路5は一般的には存在しない。図9及び10の図1及び2との相違点は、熱電素子10の冷却部11の冷却方法にある。本実施の形態の場合冷却部11の冷却媒体は一般的に水であり、第1の実施の形態の空気に比べて、熱媒体の比熱が大きい点において、冷却熱交換の面で有利である。また排ガス管2の外へ突出する部分も、第1の実施の形態に比べて少なくなり、配置上の優位要因を有する。開閉弁8の操作制御によるエンジン排ガス再利用装置1の運転については第1の実施の形態と同様であるので記載の重複を避け省略する。
【0045】
図11に本発明の第6の実施の形態を示す。図11に示される構成要素で図1又は2に示されるものと同様の構成要素は、図1又は2と同じ符号が付けられている。図11では、図1及び2の第1の実施の形態においてカーボン捕捉フィルタ21が、熱電素子10と熱回収器15の下流の排ガス管2内に排ガス管2の全断面をカバーするように設置されている。図12の図1及び2に対する相違点はこの点だけである。排ガスは、流量の大きく通気抵抗も大きい高回転数時においても、熱電素子10を通り流れて発電する際に、冷却されてその体積を減少し通気抵抗が減少するので、通気抵抗を増大させるカーボン捕捉フィルタ21をこの様に設置しても、エンジン6の出力低下を生じない。カーボン捕捉フィルタ21は、第1の実施の形態だけではなく、前述の第2から第5の実施の形態においても同様に設置可能である。
【0046】
上記のように、本発明によれば、熱電素子と共に熱交換器である熱回収器を共に具備して、それぞれの短所を補うようにそれらを使用することにより効果的で有用なエンジン排ガスの廃熱の再利用が可能になる。
即ち、熱電素子の利用による従来のエンジン排ガスの熱エネルギ回収において、車両のエンジンの運転状況が変動するために回収エネルギが一定せず、エンジンの始動時等の低負荷時に排ガス温度が低いため熱電素子のエネルギ回収性能が良くないという問題に対処して、エンジンの低回転数時(低負荷時)には熱回収器により熱回収し、更に回収熱をエンジンの冷却水の昇温に使用して、エンジンの始動時等の燃費及びエミッションの改善を可能にすると共にエンジンの暖気運転時間を短縮する。
【0047】
更にエンジン高回転数時(高負荷時)においては、高い排ガス温度により生じる大きな温度差を利用して熱電素子により効率的に発電する。また、エンジン排ガスラインへ前記熱回収装置の設置した場合、それによりエンジン高負荷時において排ガス流量の増大による管路抵抗の増大が生じるおそれがあるが、本発明によれば排ガス流量が大きい時に通気圧力損失の小さい熱電素子を使用することにより排ガス背圧の上昇を抑えて、エンジン出力低下を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図である。
【図2】図2は、図1の線I−Iによる図解的な断面図である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図であり、図1の第1の実施の形態と相違する部分を部分的に示しており、開閉弁8が熱回収器通路3を閉じた状態を示す。
【図4】図4は、図3と同様な本発明の第2の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図であり、開閉弁8が熱電素子通路4を閉じた状態を示す。
【図5】図5は、本発明の第3の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図であり、図1の第1の実施の形態と相違する部分を部分的に示しており、開閉弁8が熱回収器通路3を閉じた状態を示す。
【図6】図6は、図5と同様な本発明の第3の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図であり、開閉弁8が熱回収器通路3を開けた状態を示す。
【図7】図7は、本発明の第4の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図であり、図1の第1の実施の形態と相違する部分を部分的に示しており、開閉弁8が熱回収器通路3を閉じた状態を示す。
【図8】図8は、図7と同様な本発明の第4の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図であり、開閉弁8が熱回収器通路3を開けた状態を示す。
【図9】図9は、本発明の第5の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図である。
【図10】図10は、図9の線II−IIによる図解的な断面図である。
【図11】図11は、本発明の第6の実施の形態によるエンジン排ガス再利用装置の図解図である。
【図12】図12は、本発明の熱回収器15と熱電素子10及び両者に排ガスを通した場合の排ガス量に対する通気圧力損失の関係の例を図解的に示しており、本発明に従う一例において、開閉弁8を操作した場合の通気圧力損失と排ガス量の関係を実線で示す。
【符号の説明】
1…エンジン排ガス再利用装置
2…排ガス管
3…熱回収器通路
4…熱電素子通路
5…バイパス通路
6…エンジン
7…冷却水回路
8…開閉弁
9…水温センサ
10…熱電素子
11…冷却部
12…加熱部
15…熱回収器
16…冷却水管
Claims (16)
- エンジン排ガスと熱交換して該排ガスの廃熱を利用可能な熱回収器と、熱電効果を利用して前記エンジン排ガスのエネルギを再利用する熱電素子とを具備するエンジン排ガス再利用装置において、このエンジン排ガス再利用装置が、エンジン排ガス管路に設置されており、
該エンジン排ガス管路が、前記熱回収器を備える熱回収器通路と、前記熱電素子を備える熱電素子通路とを具備しており、
前記エンジン排ガス再利用装置が、
前記熱回収器通路と前記熱電素子通路を流れる排ガスの流れを調整制御するように、前記排ガス管路内に設けられる開閉弁と、
該開閉弁を制御する制御装置と、を更に具備しており、
前記開閉弁は、エンジン回転数又は出力が低い場合には前記熱回収器通路を開けて前記熱電素子通路を閉じて、前記熱回収器に排ガスの少なくとも多くの部分を導入し、エンジン回転数又は出力が高い場合には前記熱回収器通路を閉じて前記熱電素子通路を開けて、前記熱電素子に排ガスの少なくとも多くの部分を導入するように制御される
ことを特徴とするエンジン排ガス再利用装置。 - 前記開閉弁は、前記熱回収器と前記熱電素子より下流側の前記排ガス管路内に設置されることを特徴とする請求項1に記載のエンジン排ガス再利用装置。
- 該エンジン排ガス管路が、前記熱回収器通路と前記熱電素子通路に加えて、これらの通路に平行に走るバイパス通路を具備することを特徴とする請求項1に記載のエンジン排ガス再利用装置。
- 前記開閉弁は、前記熱回収器と前記熱電素子より下流側の前記排ガス管路内に設置されており、前記開閉弁は前記熱電素子通路と共に前記バイパス通路を同時に開閉することを特徴とする請求項3に記載のエンジン排ガス再利用装置。
- エンジン排ガスと熱交換して該排ガスの廃熱を利用可能な熱回収器と、熱電効果を利用して前記エンジン排ガスのエネルギを再利用する熱電素子とを具備するエンジン排ガス再利用装置において、このエンジン排ガス再利用装置が、エンジン排ガス管路に設置されており、
該エンジン排ガス管路が、前記熱回収器を備える熱回収器通路と、前記熱電素子を備える熱電素子通路と,前記熱回収器通路に隣接して平行に走るバイパス通路とを具備しており、
前記熱電素子が前記熱回収器より上流に位置しており、前記バイパス通路は前記熱電素子通路に連結していて下流に位置しており、前記開閉弁は、前記排ガス管路内で前記熱電素子の下流側で前記熱回収器の隣接する上流側に設置されており、
前記エンジン排ガス再利用装置が、
前記熱回収器通路と前記熱電素子通路を流れる排ガスの流れを調整制御するように、前記排ガス管路内に設けられる開閉弁と、
該開閉弁を制御する制御装置と、を更に具備しており、
前記開閉弁は、エンジン回転数又は出力が低い場合には前記熱回収器通路を開けて前記熱電素子通路を閉じて、前記熱回収器に排ガスの少なくとも多くの部分を導入し、エンジン回転数又は出力が高い場合には前記熱回収器通路を閉じて前記熱電素子通路を開けて、前記熱電素子に排ガスの少なくとも多くの部分を導入するように制御される
ことを特徴とするエンジン排ガス再利用装置。 - エンジン排ガスと熱交換して該排ガスの廃熱を利用可能な熱回収器と、熱電効果を利用して前記エンジン排ガスのエネルギを再利用する熱電素子とを具備するエンジン排ガス再利用装置において、このエンジン排ガス再利用装置が、エンジン排ガス管路に設置されており、
該エンジン排ガス管路が、前記熱回収器を備える熱回収器通路と、前記熱電素子を備える熱電素子通路と、前記熱回収器通路に隣接して平行に走るバイパス通路とを具備しており、
前記熱電素子が前記熱回収器より下流に位置しており、前記バイパス通路は前記熱電素子通路に連結していて上流に位置しており、前記開閉弁は、前記排ガス管路内で前記熱電素子の上流側で前記熱回収器の隣接する下流側に設置されており、前記エンジン排ガス再利用装置が、
前記熱回収器通路と前記バイパス通路を流れる排ガスの流れを調整制御するように、前記排ガス管路内に設けられる開閉弁と、
該開閉弁を制御する制御装置と、を更に具備しており、
前記開閉弁は、エンジン回転数又は出力が低い場合には前記熱回収器通路を開けて前記バイパス通路を閉じて、前記熱回収器に排ガスの少なくとも多くの部分を導入し、エンジン回転数又は出力が高い場合には前記熱回収器通路を閉じて前記バイパス通路を開けて、前記熱電素子に排ガスの少なくとも多くの部分を導入するように制御される
ことを特徴とするエンジン排ガス再利用装置。 - 前記熱電素子は、前記排ガス管の断面積のほとんどの部分をカバーすることを特徴とする請求項6に記載のエンジン排ガス再利用装置。
- 前記開閉弁は、エンジン始動からの時間、エンジン回転数、エンジン出力、排気ガス圧力、又はエンジン冷却水温度とバッテリ電圧、のいずれかのうち少なくとも一つの検知項目により、調整制御されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のエンジン排ガス再利用装置。
- エンジンの冷却水が、前記熱回収器において排ガスと熱交換する熱媒体として導入される冷却水回路を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のエンジン排ガス再利用装置。
- 前記冷却水回路に水温センサが具備されており、該水温センサが冷却水温度を検出し、該冷却水温度に応じてエンジンがオーバーヒートしないように前記熱回収器へ供給される前記冷却水流量が調整されることを特徴とする請求項9に記載のエンジン排ガス再利用装置。
- 該水温センサにより検出された前記冷却水温度に応じた前記熱回収器への冷却水供給制御において、該冷却水流量は、目標に達するまで絞られて、その後エンジンがオーバーヒートしない冷却水温度になるように、前記温度センサにより前記冷却水流量が調整されることを特徴とする請求項10に記載のエンジン排ガス再利用装置。
- 前記熱電素子の冷却部は、外気に接しており、外気により冷却されることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のエンジン排ガス再利用装置。
- 前記熱電素子の冷却部は、その長手方向が車両の進行方向に平行になるように配置されており、それにより該冷却部を構成する面が車両の進行により生じる外気の流れが、速い速度で前記冷却部を構成する面に接触して、前記冷却部の面積当りの熱交換量が最大になることを特徴とする請求項12に記載のエンジン排ガス再利用装置。
- 前記熱電素子の冷却部は、フィン構造であることを特徴とする請求項12又は13のいずれかに記載のエンジン排ガス再利用装置。
- 前記熱電素子の前記冷却部は、前記熱回収器の低温側熱媒体が通る管に接しており、該熱媒体管を通る熱媒体に前記熱電素子の熱が伝達されて前記熱電素子が冷却されることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のエンジン排ガス再利用装置。
- 該エンジン排ガス再利用装置は、前記排ガス管路において、前記熱回収器と前記熱電素子の下流側で前記排ガス管路全断面をカバーするカーボン捕捉フィルタを具備することを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載のエンジン排ガス再利用装置。
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