JP3765416B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排出ガスの空燃比をほぼリニアに検出する空燃比センサの出力信号に基づいて空燃比を目標空燃比に合わせるようにフィードバック制御する内燃機関の空燃比制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、空燃比フィードバック制御に用いられる空燃比センサは、大気側と排出ガス側との酸素分圧(酸素濃度)の差に応じた起電力を発生し、この起電力によって空燃比が検出される。高地走行中は、空燃比センサに作用する大気側の酸素分圧が低下し、排出ガス側の酸素分圧との差が少なくなるため、空燃比センサにより検出される空燃比が実際よりもリッチに検出されてしまい、フィードバック特性が悪化する欠点がある。
【0003】
この欠点を解消するため、例えば特許文献1(特公平5−85742号公報)に示すように、目標空燃比を理論空燃比よりリーン側に設定して運転するリーンバーンシステムでは、大気圧を大気圧検出手段により検出し、大気圧の低下に応じて目標空燃比をリッチ側に補正するようにしたものがある。
【0004】
【特許文献1】
特公平5−85742号公報(第1頁等)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1は、目標空燃比を理論空燃比よりリーン側に設定するリーンバーンシステムに対する高地補正であり、空燃比を理論空燃比付近で制御する通常のエンジンに対しては、目標空燃比を変動させると、却ってフィードバック特性が悪化してしまう。
【0006】
また、限界電流式の空燃比センサは、リッチ状態の排出ガスに長時間さらされると、センサ部の酸素濃度が極端に少なくなって酸欠状態に陥ってしまい、センサ出力が実際の空燃比よりリーンになって、フィードバック特性が悪化する欠点がある。
【0007】
本発明はこれらの事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、空燃比の制御特性を改善できて、エミッションやドライバビリティを向上することができる内燃機関の空燃比制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、内燃機関の排出ガスの空燃比をほぼリニアに検出する空燃比センサの出力信号に基づいて空燃比を目標空燃比に合わせるようにフィードバック制御するものにおいて、大気圧を検出する大気圧検出手段と、前記大気圧検出手段により検出した大気圧の変化に応じて前記空燃比センサの出力信号が変化するのに対応して空燃比制御のフィードバックゲインを可変設定するゲイン設定手段とを備えた構成としたものである(請求項1)。
【0009】
前記ゲイン設定手段は、前記大気圧が低下するほど前記空燃比制御のフィードバックゲインを増大させるようにしても良い(請求項2)。
【0010】
【作用】
本発明によれば、大気圧を大気圧検出手段により検出し、その大気圧の変化に応じて前記空燃比センサの出力信号が変化するのに対応して空燃比制御のフィードバックゲインをゲイン設定手段により可変設定する。これにより、空燃比を理論空燃比近傍で制御する通常のエンジンでも、大気圧変動時のフィードバック特性を改善できる(請求項1)。
【0011】
更に、請求項2では、大気圧が低下するほど空燃比制御のフィードバックゲインを増大させる。これにより、高地走行時のエミッションやドライバビリティが改善される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1乃至図11に基づいて説明する。まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に吸気温度Tamを検出する吸気温センサ14が設けられ、この吸気温センサ14の下流側にスロットルバルブ15とスロットル開度THを検出するスロットル開度センサ16とが設けられている。更に、スロットルバルブ15の下流側には、吸気管圧力PMを検出する吸気管圧力センサ17が設けられ、この吸気管圧力センサ17の下流側にサージタンク18が設けられている。このサージタンク18には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド19が接続され、この吸気マニホールド19の各気筒の分岐管部にそれぞれ燃料を噴射するインジェクタ20が取り付けられている。
【0013】
また、エンジン11には各気筒毎に点火プラグ21が取り付けられ、各点火プラグ21には、点火回路22で発生した高圧電流がディストリビュータ23を介して供給される。このディストリビュータ23には、720℃A(クランク軸2回転)毎に例えば24個のパルス信号を出力するクランク角センサ24が設けられ、このクランク角センサ24の出力パルス間隔によってエンジン回転数Neを検出するようになっている。また、エンジン11には、エンジン冷却水温Thwを検出する水温センサ38が取り付けられている。
【0014】
一方、エンジン11の排気ポート(図示せず)には、排気マニホールド25を介して排気管26(排気通路)が接続され、この排気管26の途中に、排出ガス中の有害成分(CO,HC,NOx等)を低減させる三元触媒等の触媒27が設けられている。この触媒27の上流側には、排出ガスの空燃比に応じたリニアな空燃比信号を出力する空燃比センサ28が設けられ、また、触媒27の下流側には、排出ガス中の空燃比がリッチかリーンかによって出力が反転する酸素センサ29が設けられている。
【0015】
上述した各種のセンサの出力は電子制御回路30内に入力ポート31を介して読み込まれる。電子制御回路30は、マイクロコンピュータを主体として構成され、CPU32、ROM33、RAM34、バックアップRAM35を備え、各種センサ出力から得られたエンジン運転状態パラメータを用いて燃料噴射量TAUや点火時期Ig等を演算し、その演算結果に応じた信号を出力ポート36からインジェクタ20や点火回路22に出力する。
【0016】
更に、この電子制御回路30は、触媒27上流側の空燃比センサ28に基づいて目標空燃比と実空燃比との偏差を小さくするように空燃比を制御する。以下、この電子制御回路30による空燃比制御の内容を具体的に説明する。
【0017】
まず、図2に基づいて空燃比補正係数FAFを演算するFAF演算ルーチンの処理の流れを説明する。このFAF演算ルーチンは、燃料噴射タイミングで繰り返し実行される。処理が開始されると、まず、ステップ101で、フィードバック実行条件が成立したか否かを判定する。ここで、フィードバック実行条件としては、▲1▼エンジン冷却水温Thwが所定温度以上であること、▲2▼空燃比センサ28及び酸素センサ29が十分に活性化されていること等があり、これらの条件が全て満たされたときにフィードバック実行条件が成立して、ステップ102に進み、見込み補正フラグXOTPが0(見込み補正せず)であるか否かを判定し、XOTP=0の場合に、ステップ103以降の処理に進む。
【0018】
上述したフィードバック実行条件が不成立の場合、又は見込み補正フラグXOTP=1(見込み補正実行)の場合には、ステップ112に進んで、空燃比補正係数FAFを1.0に設定し、続くステップ113で、制御モードフラグF1を見込み制御(オープンループ制御)を示す“1”にセットし、本ルーチンを終了する。
【0019】
一方、フィードバック実行条件が成立し、且つ、見込み補正フラグXOTP=0(見込み補正せず)の場合には、目標空気過剰率λTGを後述する図3のλTG設定ルーチンによって設定する。
【0020】
ここで、目標空気過剰率λTG=目標空燃比/理論空燃比であり、目標空気過剰率λTGを設定することで、目標空燃比を設定することになる。次のステップ104では、吸気管圧力センサ17の出力信号に基づいて大気圧を後述する図4の大気圧演算ルーチンによって演算する。そして、この大気圧に基づいて、次のステップ105で、フィードバックゲインK1〜K4,KAを後述する図5のフィードバックゲイン設定ルーチンによって設定する。
【0021】
この後、ステップ106で、制御モードフラグF1が“1”であるか否か、つまり前回が見込み制御で今回がフィードバック制御に切り替えられたか否かを判定し、「No」の場合、つまり前回も今回もフィードバック制御である場合には、ステップ107に進んで、フィードバックゲインが前回と同じか否かを判定する。これらステップ106,107の判定処理は、次のステップ108の積分項ZIの初期値演算を行うか否かを判断するためのものであり、積分項ZIの初期値演算を行うタイミングは、前回が見込み制御で今回がフィードバック制御に切り替えられたとき、又はフィードバック制御実行中にフィードバックゲインが切り替えられたときである。積分項ZIの初期値演算は、次式により行われる。
【0022】
ここで、(i)は今回値を示し、(i−1)は前回値、(i−2)は前々回値、(i−3)は前々々値を示している。また、K1〜K4はフィードバックゲインであり、λは空燃比センサ28により検出した空気過剰率である。このようにして、見込み制御からフィードバック制御に切り替えられる毎に、或は、フィードバック制御実行中にフィードバックゲインが切り替えられる毎に、上式により積分項ZIの初期値を演算することで、制御切替時やフィードバックゲイン切替時の制御特性を向上させる。
【0023】
そして、次のステップ109で、実空気過剰率λ(i)と目標空気過剰率λTGとの偏差とフィードバックゲインKAを用いて積分項ZIを次式により演算する。
ZI=ZI(i−1)+KA{λ(i)−λTG}
この積分項ZIを用いて、次のステップ110で、空燃比補正係数FAFを次式により演算する。
【0024】
この式により、実空気過剰率λ(i)と目標空気過剰率λTGとの偏差を小さくするようにFAF(i)が設定される。この後、ステップ111で、制御モードフラグF1をフィードバック制御を示す“0”にセットし、本ルーチンを終了する。
【0025】
次に、前述した図2のステップ103で実行される目標空気過剰率λTG設定ルーチンの処理内容を図3に基づいて説明する。本ルーチンの処理が開始されると、まずステップ121で、エンジン回転数Ne、吸気管圧力PM等の運転状態パラメータに応じて図7に示す目標空気過剰率λTG設定マップから目標空気過剰率λTGを検索して求める。この後、ステップ122で、目標空気過剰率λTGを次式によりなまし処理する。
λTG=λTG(i−1)+1/n・λTG
ここで、λTG(i−1)は、前回のλTGであり、1/nはなまし定数である。
【0026】
次のステップ123で、後述する見込み制御カウンタCOTPが所定値KOTPBに達したか否かを判定し、達していなければ、ステップ124に進んで、目標空気過剰率補正量λTGDを0に設定して本ルーチンを終了するが、見込み制御カウンタCOTPが所定値KOTPBに達していれば、ステップ125に進んで、目標空気過剰率補正量λTGDを次式により算出する。
λTGD=λTGD(i−1)+KλTGD
ここで、λTGD(i−1)は前回のλTGDであり、KλTGDは1回当たりの補正量(定数)である。
【0027】
そして、次のステップ126で、目標空気過剰率λTGを次式により算出し、リッチ側に補正する。
λTG=λTG−λTGD
【0028】
この後、目標空気過剰率λTGをガード処理するために、目標空気過剰率λTGがガード値KλTGL以上であるか否かを判定し、λTG≧KλTGLであれば、そのλTGをそのまま用いるが、λTG<KλTGLであれば、ステップ128に進んで、目標空気過剰率λTGをガード値KλTGLに設定し、次のステップ129で、次式により目標空気過剰率補正量λTGDを算出する。
λTGD=λTG−KλTG
【0029】
以上の処理により、見込み制御中は、見込み制御カウンタCOTPが所定値KOTPBに達する毎に、λTG≧KλTGLの範囲内で、目標空気過剰率λTGが順次リッチ側に更新される。
【0030】
次に、前述した図2のステップ104で実行される大気圧演算ルーチンの処理内容を図4に基づいて説明する。本ルーチンは、特許請求の範囲でいう大気圧検出手段として機能し、所定時間毎又は所定クランク角毎に繰り返し処理される。処理が開始されると、まずステップ131にて、スロットル開度センサ16から出力されるスロットル開度信号LSを読み込む。続くステップ132で、エンジン11の運転状態が定常状態であるか否かを判定する。この定常状態の判定は、例えば、RAM33に格納した吸気管圧力PMの変化量|ΔPM|が所定値以下であるか否か、或は|PM−PMAV|(但しPMAVは吸気管圧力のなまし処理値)が所定値以下であるか否かによって判断する。
【0031】
このステップ132で定常状態であると判断された場合には、ステップ133に進んで、RAM33に格納したエンジン回転数Neが所定回転数N0より小さいか否かを判断し、Ne<N0と判断された場合には、ステップ134に移る。一方、上記ステップ132で定常状態でないと判断された場合や、ステップ133でNe≧N0と判断された場合には、後述するステップ139に移行する。
【0032】
上述したように、定常状態で且つNe<N0の場合には、ステップ134に進んで、第8図に示すマップを用いてエンジン回転数Neに応じた吸気管圧力補正値PMADDを求める。そして、次のステップ135で、前記ステップ131で読み込んだスロットル開度信号LSがハイレベルであるか否か、つまり、スロットル開度θが所定開度θ0以上であるか否かを判断する。このステップ135でLSがハイレベルであると判断された場合には、ステップ136に進み、前回の処理で算出された検出大気圧PMOが吸気管圧力PMと吸気管圧力補正値PMADDとの和より大きいか否かを判断し、PMO>PM+PMADDと判断された場合には、続くステップ138で、上記吸気管圧力PMと吸気管圧力補正値PMADDとの和を検出大気圧PMOに代入する。
【0033】
尚、ステップ138で、PMO≦PM+PMADDと判断された場合には、後述するステップ180に移行する。以上説明したステップ135,136,138の処理により、運転車両が高地に移動して大気圧が低下するに従って、検出大気圧PMOが小さくなるように更新される。
【0034】
一方、前述したステップ135で、スロットル開度信号LSがハイレベルでないと判断された場合には、ステップ137に進み、PMO≦PM+PMADDであるか否かを判断し、PMO≦PM+PMADDと判断された場合には、ステップ138で、上記吸気管圧力PMと吸気管圧力補正値PMADDとの和を検出大気圧PMOに代入する。尚、ステップ137でPMO≦PM+PMADDと判定された場合には、後述するステップ139に移行する。以上説明したステップ135,137,138の処理により、運転車両が高地から低地に移動して大気圧が上昇するに従って、検出大気圧PMOが大きくなるように更新される。
【0035】
以上のようにして検出大気圧PMOを更新した後、検出大気圧PMOをガード処理するために、ステップ139に進み、検出大気圧PMOが760mmHgより高いか否かを判断し、PMO>760の場合には、ステップ140に進んで、検出大気圧PMOに760mmHgを代入し、本ルーチンを終了する。
【0036】
一方、ステップ139でPMO≦760と判断された場合には、ステップ141に進み、検出大気圧PMOが550mmHgより小さいか否かを判断し、PMO<550の場合には、ステップ142に進み、検出大気圧PMOに550mmHgを代入して、本ルーチンを終了する。一方、ステップ141でPM≧550と判断された場合には、検出大気圧PMOをガード処理することなく、本ルーチンを終了する。
【0037】
このようにして、ステップ131〜138にて、検出大気圧PMOが吸気管圧力PMを基に演算され、続くステップ139〜142の処理により、上記演算された検出大気圧PMOが、日本国内の走行可能な海抜2700mにおける大気圧550mmHgから海抜0mにおける大気圧760mmHgまでの範囲に納まるよう、ガード処理され、検出大気圧PMOが760mmHgを上回った場合には760mmHgに設定され、550mmHgを下回った場合には550mmHgに設定される。
【0038】
次に、前述した図2のステップ105で実行されるゲイン設定ルーチンの処理内容を図5に基づいて説明する。本ルーチンは、特許請求の範囲でいうゲイン設定手段として機能し、上記図4の大気圧演算ルーチンで算出した大気圧PMOに応じてフィードバックゲインK1〜K4,KAを可変設定する処理を行う。このゲイン設定ルーチンでは、ステップ151〜153の処理により、大気圧が次の4つのグループのいずれに該当するか否かを判定する。
▲1▼大気圧>700mmHg
▲2▼700mmHg≧大気圧>650mmHg
▲3▼650mmHg≧大気圧>600mmHg
▲4▼600mmHg≧大気圧
【0039】
大気圧が▲1▼〜▲4▼のいずれに該当するか判定されると、それぞれ該当するステップ154〜157に進み、フィードバックゲインIKを予め設定されたマップから求める。この際、大気圧が低下するほど、フィードバックゲインIKが増大するように設定される。尚、ステップ154において、IK700(1,2,3,4,A)は大気圧>700mmHgの場合のフィードバックゲインK1〜K4,KAを示す(ステップ155〜157においても同様である)。
【0040】
次に、図6に基づいて見込み制御ルーチンの処理の流れを説明する。まず、ステップ201で、空燃比センサ28から出力される空燃比信号を読み込み、続くステップ202で、空燃比を空気過剰率λに次式により変換する。
空気過剰率λ=空燃比/理論空燃比
【0041】
次のステップ203では、空気過剰率λが1.0以下(リッチ)であるか否かを判定し、λ>1.0(リーン)であれば、ステップ204に進み、見込み制御カウンタCOTPを0にクリアし、続くステップ207で、見込み補正フラグXOTPを0(見込み補正せず)に設定した後、ステップ208で、見込み補正係数FOTPを1.0に設定し、本ルーチンを終了する。
【0042】
一方、前述したステップ203で、λ≦1.0(リッチ)の場合には、ステップ205に進んで、見込み制御カウンタCOTPを次式によりカウントアップする。
COTP=COTP+KCOTP×(1.0−λ)×QA
【0043】
ここで、KCOTPは定数、(1.0−λ)はリッチ度合、QAは吸入空気量である。従って、見込み制御カウンタCOTPのカウントアップ量は、リッチ度合が強いほど、また吸入空気量が多いほど、大きくなる。そして、次のステップ206で、見込み制御カウンタCOTPが所定値KOTPAに達したか否かを判定し、COTP<KOTPAであれば、ステップ207に進み、見込み補正フラグXOTPを0(見込み補正せず)に設定した後、ステップ208で、見込み補正係数FOTPを1.0に設定し、本ルーチンを終了する。
【0044】
これに対し、上述したステップ206で、COTP≧KOTPAの場合には、ステップ209に進み、見込み補正フラグXOTPが0(見込み補正せず)であるか否か、つまり前回見込み補正を行わなかったか否かを判定し、XOTP=0であれば、ステップ210に進み、XOTP=1(見込み補正実行)に設定し、空燃比制御モードを見込み制御に切り替える。つまり、λ≦1.0(リッチ)の状態が見込み制御カウンタCOTP≧KOTPAとなるまで続いた時に、空燃比制御モードが見込み制御に切り替えられる。そして、次のステップ211で、見込み補正係数FOTPの初期値を次式により算出する。
FOTP=1.0−(FAFAV−1.0)
ここで、FAFAVは、所定時間内のフィードバック補正係数FAFの平均値である。そして、次のステップ212で、そのときの目標空気過剰率λTGをλTGAとして記憶し、本ルーチンを終了する。
【0045】
一方、上述したステップ209でXOTP=1(見込み補正実行)であれば、ステップ213に進み、目標空気過剰率λTGが変化したか否かを判定し、変化していなければ、本ルーチンを終了するが、変化していれば、ステップ214に進み、見込み補正係数FOTPを次式にて算出する。
FOTP=1.0+(λTGA−λTG)
ここで、λTGAは前回の処理で記憶した目標空気過剰率であり、λTGは現在の目標空気過剰率である。そして、次のステップ212で、そのときの目標空気過剰率λTGをλTGAとして記憶し、本ルーチンを終了する。
【0046】
上述した各ルーチンによって空燃比制御を行った場合の挙動を図9及び図10のタイムチャートに示している。図9はフィードバック制御から見込み制御へ切り替える際の挙動を示すタイムチャートであり、図10は高負荷域・リッチ域でのフィードバック特性を示すタイムチャートである。エンジン負荷(エンジン回転数Ne,吸気管圧力PM)が上昇するに従って、目標空気過剰率λTGがリッチ側に補正され、それに伴ってフィードバック補正係数FAFが増大する。フィードバック制御中は見込み補正係数FOTPが1.0に維持され、見込み制御に切り替えられると、見込み補正係数FOTPの初期値が図6のステップ211により算出される。見込み制御は、目標空気過剰率λTGが変化する毎に見込み補正係数FOTPが図6のステップ214によって更新される。
【0047】
以上説明した実施例では、図11に示すように、大気圧に応じて空燃比センサ28の出力電流値が変化することを考慮し、吸気管圧力センサ17により検出した吸気管圧力PMから大気圧を演算し、その大気圧に応じて空燃比制御のフィードバックゲインを可変設定するようにしたので、空燃比を理論空燃比近傍で制御する通常のエンジンでも、大気圧変動時のフィードバック特性を改善できて、エミッションやドライバビリティを向上することができる。尚、上記実施例では、吸気管圧力センサ17の出力信号を用いて大気圧を演算するようにしたが、大気圧を検出する大気圧センサを設けるようにしても良いことは言うまでもない。
【0048】
ところで、限界電流式の空燃比センサ28は、リッチ状態の排出ガスに長時間さらされると、センサ部の酸素濃度が極端に少なくなって酸欠状態に陥ってしまい、センサ出力が実際の空燃比よりリーンになる。この状態では、空燃比フィードバックが益々リッチ側に働く悪循環に陥り、エミッションやドライバビリティが著しく悪化する。
【0049】
そこで、上記実施例では、λ≦1.0(リッチ)の状態が見込み制御カウンタCOTP≧KOTPAとなるまで続いた時に、空燃比制御モードをフィードバック制御から見込み制御に切り替えるようにしている。これにより、上述したように空燃比センサ28が酸欠状態になったとしても、空燃比フィードバックがリッチ側に働く悪循環を招かずに済み、空燃比を適正な方向に補正することが可能となる。
【0050】
ところで、排出ガス浄化用の触媒27の温度上昇による溶損を防止するために高負荷域では空燃比をリッチ側に制御する手法が一般的である。従来は、高負荷域ではフィードバック制御せずに見込み制御のみで空燃比をリッチ側に制御していた。しかし、高負荷域でも、エミッション低減・燃費向上という観点から、リッチ域で正確なフィードバック制御を行いたいという要求が増えている。この場合に問題となるのは、触媒27の温度上昇と目標空燃比との関係である。つまり、エミッション低減・燃費向上のためには、目標空燃比をなるべくリーン側に設定したいが、触媒27の温度上昇抑制のためには、目標空燃比をリッチ側に設定する必要がある。
【0051】
そこで、上記実施例では、目標空燃比(目標空気過剰率λ)を徐々にリッチ側に設定する運転領域(図10のA領域)では、目標空燃比をエミッション低減・燃費向上を図る空燃比に設定し、明らかに触媒27の温度上昇が考えられる運転領域(図10のB領域)では、目標空燃比を経過時間に応じてリッチ側へ徐々に変化させることで、高負荷域・リッチ域でも正確なフィードバック制御が可能となると共に、触媒27の温度上昇抑制とエミッション低減・燃費向上とを両立させることができる。
【0052】
以上説明した実施例では、大気圧に応じて空燃比制御のフィードバックゲインを変えるようにしたが、図12及び図13に示す比較例では、検出した大気圧に応じて空燃比センサ28の出力信号を補正するようにしている。即ち、図12に示す空燃比制御ルーチンでは、まずステップ301で、空燃比センサ28の電流値を検出し、次のステップ302で大気圧を検出する。この大気圧検出は、前記実施例のように吸気管圧力センサ17により検出した吸気管圧力PMから大気圧を演算しても良いし、大気圧センサを設けて大気圧を直接検出するようにしても良い。
【0053】
そして、次のステップ303では、検出した大気圧に応じて、図13のマップからセンサ出力補正率を算出し、続くステップ304で、空燃比センサ28の出力電流値にセンサ出力補正率を乗算し、その値から空燃比(空気過剰率)を算出する。これ以降の処理は、前記実施例と同じで良い。このように、大気圧に応じて空燃比センサ28の出力信号を補正するようにしても、前記実施例のように大気圧に応じて空燃比制御のフィードバックゲインを可変設定するのとほぼ同様の効果が得られる。
【0054】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の請求項1の構成によれば、大気圧を検出し、その大気圧の変化に応じて前記空燃比センサの出力信号が変化するのに対応して空燃比制御のフィードバックゲインを可変設定するようにしたので、空燃比を理論空燃比近傍で制御する通常のエンジンでも、大気圧変動時のフィードバック特性を改善できる。
【0055】
更に、請求項2では、大気圧が低下するほど空燃比制御のフィードバックゲインを増大させるようにしたので、高地走行時の大気圧低下による空燃比のずれを精度良く補正することができて、高地走行時のエミッションやドライバビリティを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すエンジン制御システム全体の概略構成図
【図2】FAF演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図3】λTG演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図4】大気圧演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図5】ゲイン設定ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図6】見込み制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図7】目標空気過剰率λTG設定マップのデータを概念的に示す図
【図8】エンジン回転数NeとPMADDとの関係を示す図
【図9】フィードバック制御から見込み制御へ切り替える際の挙動を示すタイムチャート
【図10】高負荷域・リッチ域でのフィードバック特性を示すタイムチャート
【図11】大気圧と空燃比センサの出力電流値との関係を説明する図
【図12】比較例における空燃比制御の流れの一部を示すフローチャート
【図13】大気圧とセンサ出力補正率との関係を示す図
【符号の説明】
11…エンジン(内燃機関)、15…スロットルバルブ、16…スロットル開度センサ、17…吸気管圧力センサ、20…インジェクタ、24…クランク角センサ、26…排気管、27…触媒、28…空燃比センサ、29…酸素センサ、30…電子制御回路(大気圧検出手段,ゲイン設定手段)。
Claims (2)
- 内燃機関の排出ガスの空燃比をほぼリニアに検出する空燃比センサの出力信号に基づいて空燃比を目標空燃比に合わせるようにフィードバック制御する内燃機関の空燃比制御装置において、
大気圧を検出する大気圧検出手段と、
前記大気圧検出手段により検出した大気圧の変化に応じて前記空燃比センサの出力信号が変化するのに対応して空燃比制御のフィードバックゲインを可変設定するゲイン設定手段と
を備えたことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。 - 前記ゲイン設定手段は、前記大気圧が低下するほど前記空燃比制御のフィードバックゲインを増大させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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