JP3762013B2 - 集積型薄膜光電変換装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は集積型薄膜光電変換装置の製造方法に関し、特に、その光電変換装置が光起電力を生じ得る状態になった後における水洗工程に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
太陽光のエネルギを直接電気エネルギに変換する光電変換装置である太陽電池の実用化は近年本格的に進められており、単結晶シリコンや多結晶シリコン等を利用した結晶系太陽電池は屋外の電力用太陽電池として既に実用化されている。他方、非結晶シリコン系の薄膜太陽電池は、その製造のための原材料が少なくて済みかつ大面積の集積型太陽電池が絶縁基板上に直接作製可能なことから、低コストの太陽電池として注目されている。しかし、非結晶系薄膜太陽電池は屋外用としては未だ開発段階にあり、既に普及している電卓などの民生機器の電源用途における実績をもとにして、屋外用途に発展させるために研究開発が進められている。
【0003】
薄膜太陽電池の製造においては、CVD法やスパッタリング法などによる薄膜の堆積ステップとレーザスクライブ法などによるパターニングステップの適宜の繰返しや組合せを含む製造プロセスによって、所望の構造が形成される。通常は1枚の絶縁基板上に複数の光電変換セルが電気的に直列接続された集積型構造が採用され、屋外用途のための電力用太陽電池では、たとえば0.4m×0.4mを超える大面積の基板が用いられる。
【0004】
図5は、このような集積型薄膜太陽電池の構造を模式的な断面図で示している。なお、本願の各図において、図面の明瞭化のために寸法関係は適宜に変更されていて実際の寸法関係を反映しておらず、他方、同一の参照符号は同一部分を表わしている。図5の集積型薄膜太陽電池1においては、絶縁基板2上に第1電極層3,アモルファスシリコンなどからなる半導体光電変換層5,および第2電極層7が順次積層されており、パターニングによって半導体層5に設けられた接続用開口溝6を介して、互いに左右に隣接し合う光電変換セルが電気的に直列に接続されている。第1電極層3としては、一般に酸化錫(SnO2 ),酸化亜鉛(ZnO),酸化インジウム錫(ITO)等の透明導電膜が用いられ、また、第2電極層7としては銀(Ag),アルミニウム(Al),クロム(Cr)等の金属膜が用いられる。
【0005】
図5に示されているような構造を有する集積型薄膜太陽電池1は、一般に次のような方法によって作製される。まず、ガラス基板2上にSnO2 ,ZnO,ITO等の透明導電膜が第1電極層3として堆積され、その第1電極層3を複数の光電変換セルに対応する複数の領域に分離するために、レーザスクライブ法によって下部電極分離溝4が形成される。すなわち、これらの下部電極分離溝4は、図5の紙面に直交する方向に直線状に延びている。そして、複数の領域に分離された第1電極層3を覆うように、プラズマCVD法を用いて、pin接合を含む非晶質シリコンの半導体光電変換層5が堆積される。この半導体層5には、左右に隣接する光電変換セルを電気的に直列接続するための接続用開口溝6がレーザスクライブ法によって形成される。これらの接続用開口溝6も、図5の紙面に垂直な方向に直線状に延びている。続いて、これらの接続用溝6を埋めかつ半導体層5を覆うように、Ag,Al,Cr等の金属膜の単層または複層が第2電極層7として堆積される。第1電極層3の場合と同様に、第2電極層7を複数の光電変換セルに対応する複数の領域に分離するように、上部電極分離溝8がレーザスクライブ法によって形成される。これらの上部電極分離溝8も図5の紙面に直交する方向に直線状に延びており、かつ好ましくは第1電極層5に至る深さを有している。このようにして、図5に示されているような集積型薄膜太陽電池が完成する。
【0006】
一般に、図5に示されているような集積型薄膜太陽電池の製造においては、光入射側の透明電極3やその反対側の裏面金属電極7を形成するときに、絶縁基板2の端面や下面に透明導電材料や金属材料がまわり込んで付着する。このため、集積化される個々の光電変換セルが基板上面で互いに分離されていても、基板端面や基板下面に付着した透明導電材料や金属材料を介して互いに導通し、その集積型薄膜太陽電池の出力特性が低下させられる。
【0007】
この問題を改善するために、図6の平面図に示されているように、集積型薄膜太陽電池の裏面金属電極7および上部分離溝8を含むセル集積領域とその周縁に沿った周縁領域10とを互いに電気的に分離する絶縁ラインとしての周縁分離溝9がフォトリソグラフィ法等によって作製される。すなわち、周縁分離溝9を形成することによって、基板端面や基板下面に付着した透明導電材料や金属材料による光電変換セル相互間の短絡が防止され、集積型太陽電池の出力特性,絶縁特性,および耐電圧特性が改善される。フォトリソグラフィ法によって形成される周縁分離溝は、一般に0.1mm〜1.0mmの範囲内の幅を有し、このスクライブラインによってセル集積領域と周縁領域10とが電気的に分離される。なお、図6においては図面の明瞭化のために12段の直列接続されたセルが例示されているが、実際にはさらに多くの段数のセルが形成され得る。
【0008】
このような周縁分離溝9が形成された後に、集積型太陽電池の裏面金属電極7上を封止する前に、その集積型太陽電池を清浄にすることを目的として水洗浄が行なわれる。このような水洗浄の間に、その集積型太陽電池は製造工程室内の光を受けて発電し、起電力を発生する。ここで、実用向けの集積型太陽電池はたとえば63段のセル集積段数を有し、その1段当りに約0.85Vの開放電圧を有している。すなわち、このような集積型太陽電池の正極側と負極側では、電位差が約53Vにもなる。
【0009】
このように正負両極間で約53Vの電位差がある状態で、図7に示されているように、洗浄工程において絶縁ライン9aの一部を覆うように水滴11がいずれかのセルに付着すれば、周縁領域10はその水滴11の付着した段のセルと短絡し、その段のセルの電位に等しくなる(なお、図7において、図面の明瞭化のために周縁分離溝9aはその幅が拡大されて示されている)。その結果、水滴11より正極側の段のセルと周縁領域10との間では、セルが周縁領域10に対して高電位になる。他方、水滴11より負極側の段のセルと周縁領域10との間では、セルに対して周縁領域10の方が高電位になる。
【0010】
続いて、このような電位差がある状態で図8に示されているように別の新たな水滴12,13が絶縁ライン9aを覆うように付着すれば、それらの水滴12,13中には電位差が存在するので、周縁領域10とセルとの間で低電位側から高電位側に向かってたとえば銀の金属電極層から銀のマイグレーションが発生し、樹枝状の銀結晶14,15が成長する。このような銀のマイグレーションが起こる速度は、水滴のようなイオンパスが形成された場合には、電界強度が数百V/mmであれば、その成長速度が0.1mm/秒に近い大きな値となる。このようにして、洗浄工程において金属電極層から金属マイグレーションが発生し、セル集積領域と周縁領域10との間に絶縁不良が生じる。
【0011】
実際の水洗工程では集積型太陽電池1がコンベアで洗浄チャンバ内へ搬送されるので、水洗が開始される際には、前方からの水の飛沫が集積型太陽電池セル上に付着する。そして、そのような飛沫による水滴が、図8を参照して説明されたように、周縁分離溝9a内で金属イオンマイグレーションを生じさせる。しかも、このマイグレーションによる樹枝状金属結晶の成長速度が十分に速いので、集積型太陽電池全体を水が覆ってすべてのセルが同電位になる前に、セルと周縁部10との間の電位差に起因して、金属マイグレーションによる金属樹枝状晶の短絡通路が形成されてしまう。すなわち、金属電極層からのイオンマイグレーションによってセル集積領域と周縁領域とが導通させられ、集積型太陽電池の出力特性,絶縁特性,および耐電圧特性が低下させられる原因となっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような先行技術の課題に鑑み、本発明は、集積型薄膜光電変換装置の周縁分離溝中にイオンマイグレーションによる短絡を生じさせることのない洗浄工程を可能にし、それによって、出力特性,絶縁特性,および耐電圧特性の優れた集積型薄膜光電変換装置の製造方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの態様による集積型薄膜光電変換装置の製造方法は、絶縁性基板上に順次積層された第1電極層,半導体光電変換層,および第2電極層を含む積層体を備え、第1と第2の電極層の少なくとも一方は金属層を含み、積層体は周縁分離溝によって光電変換セル集積領域と周縁領域とに分離されており、セル集積領域は複数の光電変換セルを形成するように分割されかつそれらの複数のセルの少なくとも一部は電気的に直列接続されている集積型薄膜光電変換装置の製造方法であって、その光電変換装置の水洗工程においては直列接続された複数のセルのうちの正極および負極のセルまたはそれらに近いセルと周縁領域との間は周縁分離溝によって完全には分離されずに電気的にショートさせられており、その水洗工程の完了後に正極と負極のセルまたはそれらに近いセルと周縁領域との間にも完全な周縁分離溝を形成することによってその電気的ショートを除去することを特徴としている。
【0014】
本発明のもう1つの態様による集積型薄膜光電変換装置の製造方法は、その光電変換装置の水洗工程において、直列接続された複数のセルのうちの正極および負極のセルまたはそれらに近いセルと周縁領域との間は導電体によって電気的にショートさせられており、その水洗工程の完了後にその電気的にショートさせる導電体を除去することを特徴としている。
【0015】
本発明のさらに他の態様による集積型薄膜光電変換装置の製造方法は、その光電変換装置の水洗工程において、光から遮蔽された水洗チャンバ内で水洗が行なわれることを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の種々の実施の形態に対応した種々の実施例を説明する。
【0018】
(実施例1)
まず、図5の場合と同様に、基板2上に透明電極層3,半導体光電変換層5,および裏面金属電極層7が形成された。このとき、基板2として、910mm×455mmの面積と4mmの厚さを有するガラス基板が用いられた。ガラス基板2上には、熱CVD法によって透明導電膜層3が形成された。そして、波長0.53μmのYAGレーザの第2高調波を上方から照射してスクライブライン4を形成することによって、透明導電膜層3は複数の短冊状の領域に分割された。
【0019】
次に、透明電極層3を覆うように、200℃の基板温度と0.5〜1.0Torrの反応圧力の下に、モノシラン,メタンおよびジボランを含む第1の混合ガス、モノシランおよび水素を含む第2の混合ガス、さらにモノシラン,水素およびホスフィンを含む第3の混合ガスをこの順序で容量結合型グロー放電分解装置内で分解することにより、p型,i型およびn型の非晶質半導体層が積層された。このpin半導体層5には、ガラス基板2を介して、透明電極3にダメージを与えないように前述のレーザ光を照射することによって接続用溝6が形成された。
【0020】
これに続いて、金属層7として、スパッタリング法によって300nm厚さの銀層が形成された。この銀層7と半導体光電変換層5には、フォトリソグラフィ法を用いて、上部電極分離溝8が形成された。これによって、基板2上で複数の光電変換セルが直列接続された集積型非晶質シリコン太陽電池が形成された。
【0021】
その後、図1に示されているように、セル集積領域と周縁領域10とを分離するために、周縁分離溝9,9aがフォトリソグラフィ法によって形成された。ただし、正極端側のセルおよび負極端側セルと周縁領域10とが同電位になるように、周縁分離溝9aは部分的に途切れている。すなわち、正極端側および負極端側のセルは、周縁分離溝9aが途切れた微小領域10aによって周縁領域10と連続している。
【0022】
この結果、セル集積領域と周縁領域10とが電気的に接続されており、2つの短絡領域10aの間にある各段のセルと周縁領域10とが同電位になる。この後に、集積型太陽電池の両端には正極と負極の出力取出し電極が設けられた。これらの取出し電極として、半田めっきされた銅箔が用いられ、ガラス基板との接着は超音波半田付け法によって行なわれた。
【0023】
このように、微小短絡領域10aを残した状態で、裏面金属電極7の表面を清浄にする目的で水洗浄が行なわれた。水洗浄後に乾燥を行ない、周縁領域10とセル集積領域の正負極とを導通させていた微小短絡領域10aを新たにフォトリソグラフィまたはレーザを用いてカットし、その後にこの集積型薄膜太陽電池の出力特性および絶縁特性が測定された。
【0024】
以上の実施例1の水洗工程を含む方法を用いて28枚の集積型薄膜太陽電池のサンプルが作製された。他方、比較例として、図1に示されているような微小な短絡領域10aが残されていないことを除けば実施例1と同じ条件で水洗工程を経て製造されたサンプル54枚が作製さた。これらの実施例1と比較例による集積型薄膜太陽電池において出力特性と絶縁特性を比較したところ、出力特性に関しては大きな相違は見られなかった。しかしながら、絶縁特性に関しては、実施例1によるサンプルではセル集積領域と周縁領域との間で1MΩ以上の抵抗を有していて絶縁不良は見られなかったが、比較例によるサンプルでは54枚中の43枚が1MΩ未満の低い抵抗を有し、絶縁不良が見られた。また、その絶縁不良が見られた比較例のサンプルのいずれにおいても、マイグレーションによる銀結晶のパスができたことによる絶縁不良であった。
【0025】
(実施例2)
実施例2における集積型薄膜太陽電池も、基本的には実施例1の場合と同様に作製された。ただし実施例2における集積型太陽電池では、実施例1における場合のように残存させられた微小短絡領域10aを含んでおらず、周縁分離溝9はセル集積領域を周縁領域10から完全に分離している。他方、この実施例2においては、正極側セルおよび負極側セルと周縁領域とが同一電位になるように、図2に示されているようなリード線10bが半田付けされた。この状態で実施例1の場合と同様に水洗工程を行なって乾燥させた後に、これらのリード線10bを取外し、積層型薄膜太陽電池の出力特性および絶縁特性が測定された。このような実施例2による水洗工程を経た50枚の集積型薄膜太陽電池について調べた結果、出力特性に関しては前述の比較例のものと大きな相違は見られなかったが、実施例2によるいずれの太陽電池もセル集積領域と周縁領域との間で1MΩ以上の十分な抵抗を有しており、絶縁不良は見出されなかった。
【0026】
(実施例3)
図3は、実施例3による集積型薄膜太陽電池の水洗工程を説明するための模式的な断面図である。
【0027】
この実施例3による水洗工程は、実施例1の図1に示された状態の太陽電池や実施例2の図2に示された状態の太陽電池のみならず、先行技術の図6に示された状態の太陽電池の水洗のためにも好ましく用いられ得る。
【0028】
図3に示された水洗装置20Aは、複数の水洗チャンバ21を含んでいる。それらの複数の水洗チャンバ21に続いて乾燥チャンバ22が設けられている。乾燥チャンバ22は、たとえば矢印22aで表されているような温風乾燥機を設けることができる。集積型薄膜太陽電池1はコンベア23によって搬送され、複数の水洗チャンバ21を通過した後に乾燥チャンバ22において乾燥させられる。水洗チャンバ21内においては、上方からの水洗スプレー(図示せず)を設けてもよく、さらにそれに加えて下方からの水洗スプレー(図示せず)を設けてもよい。また、コンベア23はメッシュ状または梯子状のものを用いてもよい。各水洗チャンバ21や乾燥チャンバ22の境界には、好ましくは、たとえば短冊状に切断されたゴムまたはポリマーのシートからなるカーテン24が設けられてもよい。
【0029】
これらの水洗チャンバ21や乾燥チャンバ22は、光を遮断する光遮蔽ガード25によって包囲されている。したがって、図3に示されているような水洗装置において集積型薄膜太陽電池を水洗すれば、その水洗工程中に太陽電池が光起電力を生じることがないので、周縁分離溝9のいずれかの位置に部分的に水滴が付着したとしても、セル集積領域と周縁領域との間に電位差が生じていないのでイオンマイグレーションによる短絡を生じることがない。
【0030】
この実施例3に関して、基本的に実施例1の場合と同様の製造条件で図6に示されているような集積型太陽電池が16枚作製された。これら16枚の太陽電池について図3に示されているような水洗工程を行なった後に絶縁特性を測定したが、イオンマイグレーションの発生による絶縁不良を生じたものは1枚も存在しなかった。
【0031】
(実施例4)
図4は、実施例4による水洗工程に用いられる水洗装置を示す模式的な断面図である。図4の水洗装置20Bは図3のものに類似しているが、光遮蔽ガード25が設けられていない。その代わりに、最初の水洗チャンバ21の前段に付加的な噴水ノズル26が設けられている。
【0032】
この実施例4の図4による水洗工程においては、実施例3の図3における場合と同様に、図6に示されているような先行技術による集積型薄膜太陽電池の水洗にも好ましく用いられ得る。
【0033】
図4に示されているような水洗方法においては、集積型太陽電池1が最初の水洗チャンバ21内に搬送される前段において、その太陽電池1が噴水ノズル26の直下に搬送されたことを光センサ等(図示せず)によって検知し、その瞬間に噴水ノズル26から水を噴射させ、周縁分離溝9の全領域が瞬間的に同時に濡らされることになる。すなわち、集積型太陽電池1が光を受けて起電力を発生している状態であっても、周縁分離溝9の全領域が同一瞬時に濡らされるので、セル集積領域と周縁領域10との全体が瞬時に同電位となる。その結果、濡れた周縁分離溝9内において電位差が存在しないので、イオンマイグレーションが生じることがなく、セル集積領域と周縁領域とが金属の樹枝状晶によって短絡されることがない。
【0034】
基本的に実施例1の場合と同様の製造条件で図6に示されているような14枚の集積型太陽電池を製造し、図4に示されているような水洗工程を施したが、イオンマイグレーションの発生による絶縁不良を生じた集積型太陽電池は1枚も見出されなかった。
【0035】
なお、以上の実施例においては透明絶縁基板上に透明電極,半導体光電変換層および金属電極が順次積層された集積型光電変換装置について説明されたが、たとえば絶縁被膜を有するステンレス基板上に金属電極、半導体光電変換層および透明電極が順次積層された集積型光電変換装置にも本発明の製造方法が適用し得ることはいうまでもない。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、周縁分離溝を有する集積型薄膜太陽電池の水洗工程において金属イオンマイグレーションによる絶縁不良を防止することができ、電流リークのない集積型薄膜太陽電池を製造し得る方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による水洗工程における集積型薄膜太陽電池の状態を示す模式的な平面図である。
【図2】本発明の第2実施例による水洗工程における集積型薄膜太陽電池の状態を示す模式的な平面図である。
【図3】本発明の第3実施例による水洗工程に用いられ得る水洗装置の一例を示す模式的な断面図である。
【図4】本発明の第4実施例による水洗工程に用いられ得る水洗装置を示す模式的な断面図である。
【図5】集積型薄膜光電変換装置の構造を示す模式的な断面図である。
【図6】先行技術による集積型薄膜太陽電池を示す模式的な平面図である。
【図7】先行技術による集積型薄膜太陽電池の周縁分離溝上に局所的な水滴が付着した状態を示す模式的な平面図である。
【図8】先行技術による集積型薄膜太陽電池の周縁分離溝内に金属樹枝状晶が成長した状態を示す模式的な平面図てある。
【符号の説明】
1 集積型薄膜太陽電池
2 透明絶縁基板
3 透明電極
4 下部電極分離溝
5 半導体光電変換層
6 接続用開口溝
7 裏面金属電極
8 上部電極分離溝
9,9a 周縁分離溝
10 周縁領域
10a 残された微小短絡領域
11,12,13 水滴
14,15 金属樹枝状晶
20A,20B 水洗装置
21 水洗チャンバ
22 乾燥チャンバ
22a 温風ドライヤ
23 コンベア
24 ゴムまたはポリマーの短冊状カーテン
25 光遮蔽ガード
26 噴水ノズル
Claims (3)
- 絶縁性基板上に順次積層された第1電極層,半導体光電変換層,および第2電極層を含む積層体を備え、前記第1と第2の電極層の少なくとも一方は金属層を含み、前記積層体は周縁分離溝によって光電変換セル集積領域と周縁領域とに分離されており、前記セル集積領域は複数の光電変換セルを形成するように分割されかつそれらの複数のセルの少なくとも一部は電気的に直列接続されている集積型薄膜光電変換装置の製造方法であって、
前記光電変換装置の水洗工程においては前記直列接続された複数のセルのうちの正極と負極のセルまたはそれらに近いセルと前記周縁領域との間は前記周縁分離溝によって完全には分離されずに電気的にショートさせられており、
前記水洗工程の完了後に前記正極と負極のセルまたはそれらに近いセルと前記周縁領域との間にも完全な分離溝を形成することによって前記電気的ショートを除去することを特徴とする集積型薄膜光電変換装置の製造方法。 - 絶縁性基板上に順次積層された第1電極層,半導体光電変換層,および第2電極層を含む積層体を備え、前記第1と第2の電極層の少なくとも一方は金属層を含み、前記積層体は周縁分離溝によって光電変換セル集積領域と周縁領域とに分離されており、前記セル集積領域は複数の光電変換セルを形成するように分割されかつそれらの複数のセルの少なくとも一部は電気的に直列接続されている集積型薄膜光電変換装置の製造方法であって、
前記光電変換装置の水洗工程においては前記直列接続された複数のセルのうちの正極と負極のセルまたはそれらに近いセルと前記周縁領域との間は導電体によって電気的にショートさせられており、
前記水洗工程の完了後に前記ショートさせる導電体を除去することを特徴とする集積型薄膜光電変換装置の製造方法。 - 絶縁性基板上に順次積層された第1電極層,半導体光電変換層,および第2電極層を含む積層体を備え、前記第1と第2の電極層の少なくとも一方は金属層を含み、前記積層体は周縁分離溝によって光電変換セル集積領域と周縁領域とに分離されており、前記セル集積領域は複数の光電変換セルを形成するように分割されかつそれらの複数のセルの少なくとも一部は電気的に直列接続されている集積型薄膜光電変換装置の製造方法であって、
前記光電変換装置の水洗工程においては光から遮蔽された水洗チャンバ内で水洗が行なわれることを特徴とする集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
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