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JP3759776B2 - 高クロムフェライト系耐熱鋼 - Google Patents

高クロムフェライト系耐熱鋼 Download PDF

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JP3759776B2 JP34247895A JP34247895A JP3759776B2 JP 3759776 B2 JP3759776 B2 JP 3759776B2 JP 34247895 A JP34247895 A JP 34247895A JP 34247895 A JP34247895 A JP 34247895A JP 3759776 B2 JP3759776 B2 JP 3759776B2
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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、分子軌道理論を応用してボイラ用フェライト系鉄基合金を製造する方法によって開発された高強度のボイラ用フェライト系耐熱鋼に関する。さらに、高い高温強度と優れた耐水蒸気酸化特性を有し、高温、高圧蒸気条件で使用されるボイラ用材料としてきわめて好適なフェライト系耐熱鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
火力発電システムでは発電効率を高めるため蒸気温度を上昇させる傾向にあり、その結果、主蒸気配管、管寄等の大径厚肉鋼管、および過熱器管、再熱器管等の熱交換器鋼管等に使用されるボイラ材料に要求される特性は一段と高度なものとなりつつある。中でも、高温クリープ強度の向上と、ボイラ鋼管内部に発生する水蒸気酸化スケールの抑制は大きな課題である。
【0003】
ボイラ用材料としては、主に9〜12%のCrを含むフェライト系耐熱鋼が使用される。この種の耐熱鋼は、Crの外に、C、Si、Mn、Ni、Mo、W、V、Nb、Ti、B (ボロン) 、N (窒素)、Cu等をそれぞれ 0.004〜2.0%の範囲で選択し、組み合わせて含有させたものが殆どである。なお、この明細書では、特に断らない限り合金元素の含有量に関する%は質量%(mass%)を意味する。
【0004】
表1は、既存の主なフェライト系耐熱鋼の組成を示すものである(「耐熱鋼の組成、組織とクリープ特性」日本金属学会、日本鉄鋼協会九州支部、第78回講演討論会資料、平成4年9月25日・・文献1・・参照)。これらの鋼種は各合金元素の添加量を少しずつ変化させた膨大な実験によって開発されてきた。そのような実験によって知られた各合金元素の作用効果は概ね下記のようにまとめることができる。
【0005】
Cr: 耐食、耐酸化性を向上させる元素であり、鋼材の使用温度の上昇とともにその添加量を増加させる必要がある。
【0006】
W、Mo: 固溶強化と析出強化により、高温強度を増大させる。
【0007】
しかし、添加量が増大すると延性脆性遷移温度(DBTT)が上昇する。脆化を抑制するためには、Mo当量〔Mo+(1/2)W〕を1.5%以下にすることが必要である。この方針に従って、従来の多くの合金のMo当量は1.5%近傍にある。
【0008】
V、Nb: 炭、窒化物による析出強化が期待できる。1050℃での焼なまし時の固溶限は、Vでは0.2%、Nbでは0.03%である。これ以上添加量が増えると固溶できない元素が焼なまし時に、炭・窒化物として析出する。これまでの実験結果によれば、クリープ破断強度から判断してVは0.2%、Nbは0.05%が最適とされている。このNbの値は固溶限を超えているが、固溶できなかったNbはNbCとなり、焼なまし時のオーステナイト粒の粗大化を抑制するのに効果がある。
【0009】
Cu: オーステナイト安定化元素であるためδフェライト相および炭化物の析出を抑制する。また Ac1点を低下させる作用が小さく、焼入れ性改善の効果を持つ。この外、溶接熱影響部(heat affected zone、通常、HAZと略記される)の軟化層の生成を抑制する。しかし、1%以上入れるとクリープ破断絞りが減少する。
【0010】
C、N: 鋼の組織および強度に影響する元素である。クリープ特性に関しては、V、Nb等の添加量により、クリープ破断強度に最適なC含有量、N含有量は変化する。
【0011】
B: 0.005%程度の添加により鋼の焼入れ性が向上する。また組織が微細になり、強度と靱性の向上に効果があるといわれている。
【0012】
Si: Siには水蒸気酸化を抑制する効果があり、ボイラ材ではある程度の含有量を確保するのがよいと言われている。
【0013】
P、S、Mn: 鋼の脆性抑制のためこれらの元素はできるだけ少ない方が良いとされている。
【0014】
上記のように、従来の合金開発の方法によって、各合金元素の効果はある程度明らかにされてきた。
【0015】
【表1】
Figure 0003759776
【0016】
表1に開示されているような耐熱鋼は、化学組成を変えた多数の試験片を作製し、長時間のクリープ試験をはじめとする種々の試験を繰り返すという試行錯誤的手法で開発されてきた。新たな鋼種を開発するためには、さらに膨大な実験が必要となる。例えば5種の合金元素からなる鋼の各元素の含有量を、それぞれ3種類づつ変えて調べるとすれば、単純に計算して、3(=243)もの鋼を溶製し、それぞれから各種の試験片を作製して実験を繰り返すことが必要となる。最近の耐熱鋼は10種類に余る合金元素から成る。従って、この種の新規な鋼を従来の手法で開発するとすれば多大な労力、時間および費用を必要とする。
【0017】
本発明者らの一人は、先に分子軌道理論に基づく新しい金属材料の設計方法を開発した。その方法の概要は、「日本金属学会会報」第31巻、第7号(1992)、599〜603頁(文献2)および「アルトピア」1991,9,23〜31頁(文献3)等に開示している。また、本発明者らの一人は、上記の方法を用いて、ニッケル基合金およびオーステナイト系鉄合金を製造する方法について特許出願を行った〔特許第1831647号(特公平5−40806号公報)および米国特許第4,824,637号明細書、参照〕。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
発電効率の一層の向上を図るには、蒸気の圧力および温度を高める必要があり近年、246〜351kgf/cmgの圧力、538〜649℃の温度という過酷な蒸気条件の採用が進められている。このような蒸気条件で使用されるボイラ材料として、これまでに開発されたボイラ材料ではその高温特性が十分でない。
【0019】
本発明の目的は、前記の分子軌道理論を用いて、従来のような試行錯誤を繰り返す実験手法によらず、理論的な予測によって効率的にフェライト系耐熱鋼を製造する方法を利用し、既存の同種の耐熱鋼に優る特性を持ち、特にボイラ用として好適なフェライト系耐熱鋼を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の(1)から(3)までのボイラ用フェライト系耐熱鋼を要旨とする。
【0021】
(1)質量%で、
炭素(C):0.02〜0.14%、 クロム(Cr):9.0〜13.5%、
モリブデン(Mo):0.02〜0.80%、 バナジウム(V):0.10〜0.30%、
ニオブ(Nb):0.02〜0.25%、 タングステン(W):0.5〜2.6%、
コバルト(Co):1.0%を超えて4.3%まで、珪素(Si):0.101〜0.500%、
ニッケル(Ni):0.40%以下、 硼素(B):0.002〜0.020%、
窒素(N):0.005〜0.100%、 レニウム(Re):0〜3.0%、
ならびにジルコニウム(Zr):0.001〜0.600%、チタン(Ti):0.001〜0.200%およびハフニウム(Hf):0.001〜0.600%の中の1種以上
を含み、残部が鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、体心立方晶の鉄基合金中における各種合金元素について、d電子軌道エネルギーレベル(Md)および鉄(Fe)との結合次数(Bo)をDV−Xαクラスター法によって求め、下記(1)式および(2)式でそれぞれ表される平均Bo値および平均Md値が図5の点AとB、BとC、CとD、DとAをそれぞれ結ぶ直線で囲まれる領域(線上を含む)にあるボイラ用フェライト系耐熱鋼。
【0022】
平均Bo値=ΣX i・(Bo)i ・・・・・(1)
平均Md値=ΣX i・(Md)i ・・・・・(2)
ただし、Xi は合金元素iのモル分率、(Bo)iおよび (Md)iはそれぞれi元素のBo値およびMd値である。
【0023】
質量%で、
炭素(C):0.02〜0.14%、 クロム(Cr):9.0〜13.5%、
モリブデン(Mo):0.02〜0.80%、 バナジウム(V):0.10〜0.30%、
ニオブ(Nb):0.02〜0.25%、 タングステン(W):0.5〜2.6%、
コバルト(Co):1.0%を超えて4.3%まで、珪素(Si):0.101〜0.500%、
窒素(N):0.005〜0.100%、 硼素(B):0.002〜0.020%、
ニッケル(Ni):0.40%以下、 りん(P):0.02%以下、
マンガン(Mn):0.60%以下、 レニウム(Re):0〜3.0%、
ならびにジルコニウム(Zr):0.001〜0.600%、チタン(Ti):0.001〜0.200%およびハフニウム(Hf):0.001〜0.600%の中の1種以上を含み、残部が鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、前記の平均Bo値および平均Md値が図5の点AとB、BとC、CとD、DとAをそれぞれ結ぶ直線で囲まれる領域(線上を含む)にあるボイラ用フェライト系耐熱鋼。
【0024】
上記(1)または(2)に記載の合金成分に加えて、さらにタンタル(Ta)を0.001〜0.800質量%含有する上記(1)または(2)のボイラ用フェライト系耐熱鋼。
【0025】
上記の(1)から(3)までの鋼において、レニウム(Re)の含有量を0.01〜3.0質量%とすることが望ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
I. 鉄基合金または耐熱鋼の製造方法について
この方法の最大の特徴は、分子軌道計算法の一つであるDV−Xαクラスター法(Discrete-Variation-Xαクラスター法)を用いて体心立方晶(以下、BCCと記す)の鉄基合金中の各種元素の合金パラメータを導出し、その合金パラメータにより、合金元素の特徴を解明して、所望の特性を持つボイラ用フェライト系耐熱鋼にふさわしい合金元素およびその含有量の選定を行うことにある。上記の合金パラメータを用いれば、フェライト系耐熱鋼の相安定性と高温クリープ特性が評価できる。従って、フェライト系耐熱鋼の理論的な評価が可能であり、その評価結果を新しい耐熱鋼の開発に役立てることができる。
【0027】
DV−Xαクラスター法の詳細は、例えば、三共出版「量子材料化学入門」(文献4)および前掲の特公平5−40806号公報に開示されている。表2にこの方法で計算して得られた二つの合金パラメータの値を示す。その一つは、Fe−M原子間の電子雲の重なり度合を表す結合次数(Bond Order:Boと略記する)である。このBoが大きいほど原子間の結合は強い。もう一つは、合金元素Mのd軌道エネルギーレベル(Mdと略記する)である。このMdは、電気陰性度や原子半径と相関のあるパラメータである。Mdの単位はエレクトロン・ボルト(eV)であるが、簡単のため以下の説明では単位を省略する。
【0028】
表2に示した非遷移金属元素の炭素(C)、窒素(N)、および珪素(Si)のMdの値は、状態図や実験データを基にして決定した。d電子を持たないこれらの元素を遷移金属と同じ枠組みの中で議論するために、このような取り扱いを行った。
【0029】
【表2】
Figure 0003759776
【0030】
合金においては次式のように各元素の組成平均をとり、平均のBoおよびMdを定義する。
【0031】
平均Bo値=ΣX i・(Bo)i ・・・・・(1)
平均Md値=ΣX i・(Md)i ・・・・・(2)
ここで、Xiは合金元素iのモル分率、(Bo)iおよび(Md)iは、それぞれi元素のBo値およびMd値であり、フェライト鋼では表2の値を使う。なお、表2中に記載されていない元素のMdおよびBoはともに0とする。
【0032】
i. 合金パラメータによる添加元素の選択
図1は、各元素(M)の合金パラメータを「平均Bo−平均Mdマップ」上にまとめたものである。ここではFe−1mol%M合金の位置を●印で示した。このように、合金元素によってその位置は大きく変化する。○印で示すFeの位置より右上方にある元素はMnを除いてすべてフェライト形成元素である。一方、Mnと左下方にある元素はオーステナイト形成元素である。
【0033】
フェライト系耐熱鋼の合金元素としては、Boは高く、Mdは低い方が良い。
【0034】
Boが高ければ原子間の結合力が強くなるので、材料強化に有効である。一方、Mdは、後述するように合金の相安定性と関係しており、合金の平均Mdが高くなると第2相(δフェライト相など)が析出してくる(例えば、鉄と鋼、第78巻(1992)p.1377・・文献4・・参照)。高平均Bo、低平均Mdという観点から図1をみると、Crが最もこの条件に合致している。合金ベクトルの傾き、すなわち「平均Bo/平均Md」比は、Crが最も大きいからである。Cr以下、この比は、Mo、W、Re、V、Nb、Ta、Zr、Hf、Tiの順に小さくなる。
【0035】
一方、オーステナイト形成元素について注目すると、Mnを除き、「平均Bo/平均Md」比は負になり、その大きさはCo、Ni、Cuの順に小さくなる。
【0036】
上記の理論的な推定から、フェライト系耐熱鋼の添加元素として好ましいと思われる元素であるにもかかわらず、これまで積極的に使われていない元素としてReがある。
【0037】
フェライト系耐熱鋼は、焼もどし処理をして焼もどしマルテンサイト単相の組織とする場合が多い。長時間の高温クリープ破断強度を上昇させるためには、できるだけ高い温度での焼もどしが必要である。従って、焼もどし温度の上限となるAc1変態点を上昇させる必要がある。Ac1変態点は経験的に次式で与えられている。
【0038】
Ac1点(℃)=760.1−23.6Mn−58.6Ni−8.7Co−6.0Cu
+4.2Cr+25.7Mo+10.3W+84V ・・・・・・(3)
なお、(3)式の元素記号はそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。
【0039】
図2にbccFeに各元素を1mol%添加したときの平均MdとAc1点の変化(△Ac1)との関係を示す。上述のようにMd値が小さくて、Ac1点を上昇させる元素が耐熱鋼の合金元素として適している。この視点から図2をみると「△Ac1/平均Md」の比が比較的大きなVは有効な元素であるといえる。また、Crは△Ac1の上昇にはほとんど寄与しない元素である。一方、オーステナイト形成元素であるNiとCoを比べれば、Coの方がAc1点をあまり低下させない元素である。この点から、NiよりもCoの方が、合金元素としては適していると言える。
【0040】
Mnは、Ac1点を下げ、かつBoもあまり大きくないので、できればその含有量を減少させた方がよい元素である。また、CuのAc1点を下げる作用は、Coとほぼ同程度である。
【0041】
ii. フェライト系耐熱鋼の相安定性
フェライト系耐熱鋼では、クリープ特性および靱性の向上のために、δフェライト相の生成を抑える必要がある。本発明方法ではかなりの精度でδフェライト相の生成が予測できる。
【0042】
図3は、1050℃で焼ならしをしたNi含有量の異なる材料中に残留するδフェライト量を平均Md値によって整理した結果である。δフェライト相はNiが無添加の場合、平均Mdが 0.852を超えたあたりから生成し始め、平均Mdが高くなるにしたがって、その量は比例的に増加する。またオーステナイト形成元素であるNiの添加によって、生成境界の平均Md値は若干高くなる傾向がある。δフェライト量を合金組成から予測し、その生成を抑えることができるため、この平均Mdによる予測は、フェライト系耐熱鋼の合金設計にきわめて有用である。また、Laves相(Fe2W、Fe2Moなど)の生成もNiを含まない時は予測できる。Laves相はNi添加により生成しやすくなる。
【0043】
このほか、δフェライトが生成しない範囲で平均Bo値を増加させると、高温クリープ強度が向上する。その例を図4に示す。
【0044】
図4は、これまでに知られている主なフェライト系耐熱鋼の600℃での許容応力を縦軸にとり、横軸の平均Boとの関係を示したものである。図中の□印の合金はδフェライト相が現れる材料である。一方、●印で示した合金は、δフェライト相の現れない材料である。δフェライト相が現れない材料の許容応力は、平均Boとともに直線的に増加していることがわかる。一方δフェライト相が現れる材料の許容応力はどれも小さく、直線より下にくる。δフェライト相の存在は溶接性を高めるために有効であるかも知れないが、許容応力を上げるには、その生成を抑制することが必要である。
【0045】
iii. 「平均Bo−平均Mdマップ」上での最適範囲
以上をまとめてみると、平均Md値と平均Bo値が図5の矩形領域(直線EB、BF、FDおよびDEで囲まれる領域)にあるとき高温特性に優れたフェライト系耐熱鋼が得られると言える。図5において、A、B、C、D、EおよびFの各点の座標点は下記のとおりである。
【0046】
A点・・・平均Md値=0.8563、 平均Bo値=1.817
B点・・・平均Md値=0.8520、 平均Bo値=1.805
C点・・・平均Md値=0.8585、 平均Bo値=1.805
D点・・・平均Md値=0.8628、 平均Bo値=1.817
E点・・・平均Md値=0.8520、 平均Bo値=1.817
F点・・・平均Md値=0.8628、 平均Bo値=1.805
図5の直線BFは平均Bo値が1.805の直線であり、これより平均Bo値を下げるとクリープ特性が劣化する(図4参照)。
【0047】
直線EDは平均Bo値が1.817の直線であり、相安定性を保ったままで、これより平均Bo値を上げることは実際上不可能である。直線DFは、平均Md値が0.8628の線であり、これは材料の実際の製造時にδフェライトを生成させないための安全上限値である。B点(平均Bo値が1.805、平均Md値が0.8520)の値よりも更に平均Bo値と平均Md値を下げるのは、合金の高温特性上、好ましくない。従って、高温クリープ特性に優れたフェライト系耐熱鋼の製造に当たっては、平均Bo値が1.805から1.817の範囲で、かつ平均Md値が0.8520から0.8628の範囲になるように成分設計を行えばよい。
【0048】
さらに、太線の平行四辺形で囲った領域、即ち、点AとB、BとC、CとD、DとAをそれぞれ結ぶ直線で囲まれる領域(線上を含む)がフェライト系耐熱鋼の「平均Bo−平均Mdマップ」上での最適範囲である。
【0049】
図5のABおよびCDの直線の方向は、図1に示したように、Cr、V、Mo、W、Nb、Ta、Re、Mn、Coの合金ベクトルの方向に近く、平均Bo値を上げると平均Md値がこの方向に沿って上がることを示している。即ち、平均Bo値と平均Md値が図5の直線AB、BC、CDおよびDAで囲まれる範囲にある耐熱鋼(前記(3)の本発明の鋼)は、最も理想的なフェライト系耐熱鋼である。
【0050】
II. 本発明のフェライト系耐熱鋼について
i. 本発明耐熱鋼の基本的特徴
これまでに述べた理論および経験則を基にして開発された本発明の前記(1)から(3)までの鋼の基本的特徴は下記のとおりである。
【0051】
1) CrとCの含有量の範囲は、高クロムフェライト系耐熱鋼の基本的な特性を確保する範囲とする。
【0052】
2) δフェライト相の析出を抑え、靱性ならびにクリープ特性を改善する。Coの0.5%は、δフェライト相の出現を避けるための最小限の量である。Coの含有量は、1.0%を超える範囲が望ましい。一方、Coを4.3%を超えて含有させても、クリープ特性の大きな改善はない。Coは、Ac1変態点を低下させる元素であるから、その含有量は4.3%までにとどめるべきである。
【0053】
3) Crは、耐酸化性および高温耐食性を高め、さらに合金中に固溶して高温クリープ強度を高めるために不可欠の元素である。そこで、Crの含有量はδフェライトを出さない範囲で、鋼の平均Md値と平均Bo値をできるだけ高くするように調整した。Cr含有量が増えれば、鋼のAc1点も高くなりクリープ特性が向上する。
【0054】
4) Ac1変態点をできるだけ高温にしてクリープ特性を改善した。Niはクリープ特性を劣化させるので、その使用を避け、不純物として混入する量も0.40%以下に抑える。なお、Niはできるだけ少ないことが望ましい。
【0055】
5) Wは、Bo値の大きな元素であり、高温クリープ特性を改善するには必須の合金元素である。従って、0.5〜2.6%の範囲で添加する。
【0056】
6) 図3に示したように、δフェライトの生成を抑えるには、Niが0.40%以下の場合、平均Md値を0.8540以下とすることが必要であるが、Coを含有させることにより、平均Md値は0.8628まで高めることができる。
【0057】
7) クリープ特性と平均Bo値との間には図4に示したような相関がある。平均Bo値が高くなるほど、材料の融点も上がるため、クリープ特性も向上すると考えてよい。そこで、δフェライト相が生成しない範囲、即ち、平均Md値が0.8628以下である範囲で、できるだけ結合次数が高くなるように化学組成を選択する。
【0058】
8) 前記のように、オーステナイト安定化元素であるCoを必須成分とし、さらに高温強度の向上が必要な場合にはReの添加を行う。
【0059】
9) 耐水蒸気酸化特性の改善のためにSiを添加する。
【0060】
10) 靱性の経時劣化の防止のためにMnおよびPの含有量を低くする。
【0061】
11) その他の合金元素は、平均Bo値と平均Md値が前述の最適範囲(図5の平行四辺形の領域)に収まるように、その種類と含有量を選定する。
【0062】
ii. 本発明耐熱鋼の具体的な組成
前述の各成分元素の外の元素も選定し、その含有量を定めたボイラ用材料として最も望ましいフェライト系耐熱鋼の化学組成と各合金成分の作用効果および含有量の限定理由を説明する。
【0063】
C:0.02〜0.14%
Cは、マルテンサイト変態を促進させるとともに、合金中のFe、Cr、Mo、V、Nb、Taなどと結合して炭化物を形成して高温強度を高めるために不可欠の元素であり、このような観点から最低0.02%を必要とする。しかし、Cの含有量が0.14%を超えると、炭化物の粗大化が起こりやすくなり高温クリープ強度が劣化するので、その含有量を0.02〜0.14%に限定した。高強度化と高温クリープ強度維持のバランスをとるには、下限を0.05%、上限を0.13%とするのが望ましい。
【0064】
Cr:9.0〜13.5%
Crは、δフェライトを出さない範囲で、鋼の平均Md値と平均Bo値をできるだけ高くするように調整しなければならない。そして、前記のとおり、Crは、鋼に優れた耐酸化性と高温耐食性を持たせるため、さらに合金中に固溶して高温クリープ強度を高めるために不可欠の元素であり、最低9.0%必要である。一方、13.5%を超えると有害なδフェライトを生成しやすく、高温強度および靱性を低下させるので、含有量を9.0〜13.5%に限定した。なお、Cr含有量の一層望ましい範囲は10.0〜12.5%である。
【0065】
Mo:0.02〜0.80%
Moは合金中に固溶して低温および高温における強度を高めるとともに、微細炭化物を形成し、高温クリープ強度を向上させる。また、焼戻し脆化の抑制にも寄与する元素である。このため、最低0.02%の添加が必要である。一方、0.80%を超えるとδフェライトを生成して、クリープ強度が低下するので上限を0.80%に限定する。なお、Mo含有量の望ましい範囲は0.05〜0.60%である。
【0066】
V:0.10〜0.30%
Vは、微細炭化物、炭窒化物を形成して、高温クリープ強さを向上させるのに有効であり、最低0.10%必要とする。一方、0.30%を超えると炭素を過度に固定し、炭化物の析出量が増して高温強度を低下させるので0.10〜0.30%に限定する。望ましいのは0.15〜0.25%である。
【0067】
Nb:0.02〜0.25%
Nbは、微細炭化物、炭窒化物を形成し、高温クリープ強度を向上させるとともに、結晶粒の微細化を促進し、低温靱性を向上させる。このため、最低0.02%必要である。一方、0.25%を超えると、粗大な炭化物および炭窒化物が析出し靱性を低下させるので、上限を0.25%に限定する。望ましい範囲は0.03〜0.15%である。
【0068】
W: 0.5〜2.6%
Wは、Bo値の大きな元素であり、高温クリープ特性を改善するには必須の合金元素で、また、Wは、炭化物の凝集、粗大化を抑制し、また合金中に固溶してマトリックスを固溶強化するので高温強度の向上に有効である。これらの効果を発揮させるのは最低0.5%必要である。一方、2.6%を超えるとδフェライトやラーベス相を生成しやすくなり、高温強度を低下させ、さらに耐酸化性も損なうので0.5〜2.6%に限定する。W含有量の一層望ましい範囲は、1.5〜2.5%である。なお、Wが過剰になれば、上記のような悪影響を及ぼすおそれがあるのでWの一部をこのような弊害のないReで補うのが望ましい。
【0069】
Co:1.0%を超えて4.3%まで
Coは、δフェライトの生成を抑制し、高温強度を向上させる。δフェライトの生成を防止するためには0.5%以上の含有が必要であり、特に靱性を重視する場合は1.0%を超える範囲が望ましい。しかし、4.3%を超えて含有させてもクリープ特性の向上は期待できず、延性が低下し、また材料コストが上昇するので、含有量を1.0%を超えて4.3%までに限定する。さらに望ましい含有量は2.0〜4.0%である。
【0070】
Si:0.101〜0.500%
脱酸元素として必要な元素であると同時に、鋼の耐水蒸気酸化特性を向上させるのに必要な元素であり、その効果を発揮させるためには、0.101%以上が必要である。しかし、その含有量が0.500%を超えると靱性が低下し、クリープ強度に対しても有害となる。従って、Si含有量は0.101〜0.500%とするが、一層好ましいのは0.15〜0.40%である。
【0071】
B:0.002〜0.020%
Bは微量で鋼の焼入れ性が増大させ、靱性を向上させるとともに粒界及び粒内の炭化物の析出凝集を抑え、高温クリープ強度の向上に寄与する元素であり、本発明鋼では重要な元素の一つである。これらの効果を十分に得るためには0.002%以上の含有が必要である。一方、0.020%を超えると高温クリープ延性が著しく低下するため、その含有量を0.002〜0.020%に限定した。なお、B含有量の望ましい範囲は0.050〜0.015%である。
【0072】
N:0.005〜0.100%
平均Md値を調整するために、Md値が負であるN(窒素)の含有量の範囲を0.005〜0.100%とした。
【0073】
NはNb、V、Zrなどと結合して窒化物を形成し、高温クリープ強度を向上させる作用があり、これらの作用効果を得るためには 0.005%以上の含有が必要である。一方、Nの含有量が 0.100%を超えると、熱間加工性が悪くなるため、上限を 0.100%とした。なお、N含有量の望ましい範囲は0.010〜0.070%である。
【0074】
Re:0〜3.0%
Reは、図1に示したとおり、「平均Bo/平均Md」の比が大きく、フェライト系耐熱鋼の合金成分として好ましい元素である。ただし、高価な成分であるから、必要に応じて添加する。Reは極微量の添加で固溶強化に著しく寄与し、高温クリープ強度を向上させる効果を有するので所望により含有させる。0.01%程度の微量でも効果はあるが、上記の効果を確実にし、かつ長時間側まで安定したクリープ強度を確保するには、その含有量は0.1%以上とするのがよい。しかしながら、Reの含有量が3.0%を超えると、合金の相安定性が悪くなる。従って、その上限を3.0%とした。
【0075】
Zr:0.001〜0.600%、Ti:0.001〜0.200%、Hf:0.001〜0.600%
これらの元素は強窒化物形成元素であり、窒化物をマトリックス組織に微細分散させてクリープ強度を向上させる。またP、S、Oなどの有害不純物元素を固定してクリープ強度を向上される働きもある。
【0076】
上記の効果を得るために、それぞれの元素で下限以上の含有が必要であるが、過量に含有させると窒化物が粗大化したクリープ強度が低下するため、それぞれ上限を定めた。なお、それぞれの下限を、Zrで0.005%、Tiで0.005%、Hfで0.005%とし、上限を、Zrで0.150%、Tiで0.100%、Hfで0.150%とするのが望ましい。
【0077】
Ta:0.001〜0.800%
Taは、Nb同様、微細炭化物、炭窒化物を形成し、高温クリープ強度を向上させるととも、結晶粒の微細化を促進し、低温靱性を向上させる元素である。TaはNbより高融点の金属であり、Nb添加量の少ないときには、添加すればよい。しかし、Taの含有量が0.80%を超えると、粗大な炭化物および炭窒化物が析出し、靱性を低下させるので、上限を0.80%に限定する。なお、Taの上限は0.40%とするのが望ましい。
【0078】
Mn:0.60%以下
Mnは、溶解時の脱酸、脱硫剤として一般的に使用されているが、過剰に添加すると非金属介在物を形成して、靱性を低下させるとともに、靱性の経時劣化を助長させ、また、高温クリープ強度を低下させるので、過剰にならないようにするのが望ましい。本発明では、精錬技術や材料のリサイクルからの限界を考慮してMn含有量の上限を0.60%とした。0.20%以下に制限するのが一層望ましい。
【0079】
P:不純物としての許容上限が0.02%
Pは、焼戻し脆化感受性を増大させる元素であり、靱性の経時劣化を助長するので、鋼の経年劣化を減少させ、信頼性を向上させるためには、極力低減することが望ましい。ただし、その許容含有量は精錬技術や材料のリサイクルからの限界を考慮して0.02%以下とした。なお、Pは0.010%以下に制限するのが望ましく、さらに0.005%以下に限定するのが一層望ましい。
【0080】
Ni:不純物としての許容上限が0.40%
前記のとおり、本発明鋼には1.0%を超えて4.3%までのCoを含有させた。Niに比べて、Coのオーステナイト安定化能は、約1/2である。従って、δフェライト相の出現境界の平均Md値は、3.0%Coの場合は約0.860と推定される。これらの平均Md値は、図3において、1.5%Niのときのδ相出現境界値に対応している。
【0081】
前記(3)式から明らかなように、CoはNiに較べてAc1点を低下させる作用がはるかに小さい。従って、Niに代えてCoを添加すれば、Ac1点を高く維持することができ、焼もどしを高温で行うことができるという大きな利点がある。前記のとおり、Niは鋼のクリープ特性を劣化させるので本発明鋼ではNiをCoで置換することを原則とする。従って、Niの含有量は低い程望ましいのであるが、この種の鋼の製造にはスクラップを使用するので、製造コストの面からある程度のNiの混入は許容せざるを得ない。この実生産上の都合と図3に示したδフェライトの生成条件を考慮して本発明ではNiの許容上限を0.40%とする。なお、Niは0.25%以下とするのが更に望ましい。
【0082】
これらの個々の合金元素の組成範囲の中で、平均Bo値および平均Md値を図5に示す最適範囲内に収める。
【0083】
本発明鋼の標準的な熱処理は、焼きならし−焼きもどし処理であり、焼きならし温度は前の加工で生じる粗大析出物を十分固溶させるとともに、鋳造偏析等による固溶合金元素の偏析を均一化する目的でAc3変態点以上とする。上限は酸化スケールの生成防止とδフェライトの多量析出抑制のため1200℃までとする。焼ならしの望ましい温度範囲は1000〜1150℃である。
【0084】
焼きならし後の焼きもどし処理は、高温クリープ強度の安定化のために、マルテンサイト中の転位密度を低下させる必要から、使用温度よりも100〜200℃高いAc1変態点以下の温度域で行う。
【0085】
【実施例】
表3に供試材の化学組成を示す。No.1〜28が本発明鋼であり、XとYは比較鋼である。
【0086】
本発明鋼および比較鋼はいずれも150kg真空高周波溶解後、インゴットを1150〜950℃で鍛造して、厚さ20mmの板材にした。これに「1050℃×1時間→空冷」の焼きならしと「770℃×1時間→空冷」の焼きもどし処理を施した。
【0087】
比較鋼のX鋼およびY鋼は、各々、表1のNF616鋼およびHCM12A鋼に相当するものであり、いずれも既存の代表的な高Cr高強度フェライト系耐熱鋼である。これらの鋼の試験片も本発明鋼と同様に作製し、熱処理は「1050℃×1時間→空冷」の焼きならしと「770℃×1時間空冷」の焼きもどしとした。
【0088】
【表3−1】
Figure 0003759776
【0089】
【表3−2】
Figure 0003759776
【0090】
1. クリープ試験
平行部直径6mm、標点間距離30mmの丸棒試験片を用い、600、650、700℃の3温度で最長10,000時間程度の試験を行い、これらのデータをラルソンミラーパラメータ法(定数は40を採用)で整理し、600℃および625℃での10時間クリープ破断強度を内挿することにより求めた。
【0091】
2. 水蒸気酸化試験
厚さ2mm、幅10mm、長さ25mmの板状試験片を用い、650℃の水蒸気中で1000時間の試験を行い、スケール厚さを測定した。
【0092】
これらの試験結果を表4にまとめて示す。
【0093】
【表4】
Figure 0003759776
【0094】
本発明鋼の1〜28鋼はいずれも600℃および625℃での10時間クリープ破断強度が既存鋼の中でも最も高強度の比較鋼(X、Y鋼)より著しく高いことがわかる。また、本発明鋼の水蒸気酸化スケール厚さは比較鋼(X、Y鋼)より著しく薄く、耐水蒸気酸化特性が大幅に向上していることがわかる。なお、本発明鋼の27と28は、Ni含有量が比較的高いものである。これらの鋼を、他の合金成分の含有量がほぼ同一の鋼2および1とそれぞれ対比してみると、クリープ破断強度においてやや劣り、クリープ特性向上のためにはNi含有量を低くするのが望ましいことが分かる。
【0095】
以上、具体的に示したように、本発明鋼は従来の高Crフェライト系耐熱鋼よりはるかに高いクリープ強度と優れた耐水蒸気酸化特性を有しており、ボイラ用鋼としてきわめて好適である。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のように膨大な時間、費用、労力を要する実験を行うことなく、理論的予測によりフェライト系鉄基合金の設計を行うことができる。この方法を使用すれば、優れた特性を持つフェライト系耐熱鋼をきわめて効率よく製造でき、実施例に示したような、既存の最高レベルの材料を凌ぐ、優れた特性を有するフェライト系耐熱鋼も理論的に効率よく設計できる。
【0097】
本発明のフェライト系耐熱鋼は、Crを主合金成分とする組成からも伺えるように、優れた耐食、耐酸化性も備えている。従って、本発明の鋼は、苛酷な蒸気条件にさらされる火力発電ボイラ材料としてきわめて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Feに1mol%の各種元素を添加した合金の平均Boと平均Mdの位置と合金ベクトルを示す図である。
【図2】 Feに各元素を1mol%を添加したときの平均MdとAc1点の変化を示す図である。
【図3】 平均Mdとδフェライト相の量との関係を示す図である。
【図4】 ボイラ用9〜12Cr鋼の600℃における許容応力と平均Boとの関係を示す図である。
【図5】 本発明の耐熱鋼の平均Md値と平均Bo値の領域を示す図である。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    炭素(C):0.02〜0.14%、 クロム(Cr):9.0〜13.5%、
    モリブデン(Mo):0.02〜0.80%、 バナジウム(V):0.10〜0.30%、
    ニオブ(Nb):0.02〜0.25%、 タングステン(W):0.5〜2.6%、
    コバルト(Co):1.0%を超えて4.3%まで、珪素(Si):0.101〜0.500%、
    ニッケル(Ni):0.40%以下、 硼素(B):0.002〜0.020%、
    窒素(N):0.005〜0.100%、 レニウム(Re):0〜3.0%、
    ならびにジルコニウム(Zr):0.001〜0.600%、チタン(Ti):0.001〜0.200%およびハフニウム(Hf):0.001〜0.600%の中の1種以上
    を含み、残部が鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、体心立方晶の鉄基合金中における各種合金元素について、d電子軌道エネルギーレベル(Md)および鉄(Fe)との結合次数(Bo)をDV−Xαクラスター法によって求め、下記(1)式および(2)式でそれぞれ表される平均Bo値および平均Md値が図5の点AとB、BとC、CとD、DとAをそれぞれ結ぶ直線で囲まれる領域(線上を含む)にあるボイラ用フェライト系耐熱鋼。
    平均Bo値=ΣXi・(Bo)i ・・・・・(1)
    平均Md値=ΣXi・(Md)i ・・・・・(2)
    ただし、Xiは合金元素iのモル分率、(Bo)iおよび(Md)iはそれぞれi元素のBo値およびMd値である。
  2. 質量%で、
    炭素(C):0.02〜0.14%、 クロム(Cr):9.0〜13.5%、
    モリブデン(Mo):0.02〜0.80%、 バナジウム(V):0.10〜0.30%、
    ニオブ(Nb):0.02〜0.25%、 タングステン(W):0.5〜2.6%、
    コバルト(Co):1.0%を超えて4.3%まで、珪素(Si):0.101〜0.500%、
    窒素(N):0.005〜0.100%、 硼素(B):0.002〜0.020%、
    ニッケル(Ni):0.40%以下、 りん(P):0.02%以下、
    マンガン(Mn):0.60%以下、 レニウム(Re):0〜3.0%、
    ならびにジルコニウム(Zr):0.001〜0.600%、チタン(Ti):0.001〜0.200%およびハフニウム(Hf):0.001〜0.600%の中の1種以上を含み、残部が鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、体心立方晶の鉄基合金中における各種合金元素について、d電子軌道エネルギーレベル(Md)および鉄(Fe)との結合次数(Bo)をDV−Xαクラスター法によって求め、下記(1)式および(2)式でそれぞれ表される平均Bo値および平均Md値が図5の点AとB、BとC、CとD、DとAをそれぞれ結ぶ直線で囲まれる領域(線上を含む)にあるボイラ用フェライト系耐熱鋼。
    平均Bo値=ΣXi・(Bo)i ・・・・・(1)
    平均Md値=ΣXi・(Md)i ・・・・・(2)
    ただし、Xiは合金元素iのモル分率、(Bo)iおよび(Md)iはそれぞれi元素のBo値およびMd値である。
  3. 請求項1または請求項2に記載の合金成分に加えて、さらにタンタル(Ta)を0.001〜0.800質量%含有する請求項1または請求項2に記載のボイラ用フェライト系耐熱鋼。
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