JP3754780B2 - 誘電体磁器組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波,ミリ波等の高周波領域において、高いQ値を有する誘電体磁器組成物に関するものであり、例えば、マイクロ波やミリ波などの高周波領域において使用される種々の共振器用材料やMIC用誘電体基板材料、誘電体導波路用材料や積層型セラミックコンデンサ等に用いることができる誘電体磁器組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
誘電体磁器は、マイクロ波やミリ波等の高周波領域において、誘電体共振器、MIC用誘電体基板や導波路等に広く利用されている。
【0003】
従来より、この種の誘電体磁器としては、例えば、特開昭57−69607号公報に開示されるようなものが知られている。この公報に開示される誘電体磁器は、BaO−xTiO2 において3.9≦x≦4.1の組成物100重量部に対して、1〜26重量部のZnOを添加してなるものである。
【0004】
このような誘電体磁器では、比誘電率が30〜40で、測定周波数f=3.5GHzにおけるQ値が4500程度となり、さらに共振周波数の温度係数τfを−25〜+25ppm/℃の範囲で制御することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、すます使用周波数が高周波となり、しかも温度変化に対しても高精度の制御が必要になっている。これに対し、上記特開昭57−69607号公報に開示される誘電体磁器ではQf値が15750GHz程度と未だ低く、また、共振周波数の温度係数τfの曲がり、即ち温度ドリフトの直線性が低いという問題があった。
【0006】
そのため、この誘電体磁器を用いた共振器や誘電体基板等では、高周波での損失が大きく、また温度ドリフトの直線性が低いため温度変化に伴う特性変化を高精度に制御することが困難であるという不都合があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題点を解決すべく、鋭意検討した結果、Ba−Ti系誘電体磁器組成物において、MgおよびZnを所定量添加含有することにより、比誘電率が34〜41で、Qf値が25000GHz以上であり、共振周波数の温度係数τfを−15〜15ppm/℃の範囲で、かつ、共振周波数の温度係数τfの曲がり(温度ドリフト)を−2〜2ppm/℃の範囲(−40〜85℃)で制御できることを見出し、本発明に至った。
【0008】
即ち、本発明の誘電体磁器組成物は、金属元素として少なくともBa、Tiを含有し、これらのモル比による組成式を、BaO−xTiO2 と表した時、前記xが3.9≦x≦4.1を満足する主成分100重量部に対して、MgをMgCO3 換算で0.01〜5重量部含有し、さらにZnをZnO換算で20重量部以下含有するものである。
【0009】
【作用】
本発明においては、組成式BaO−xTiO2で表されるBa−Ti系誘電体磁器組成物にMgとZnを添加することにより、Qf値を25000GHz以上と向上することができる。
【0010】
また、Mgを添加することにより、誘電率を大きくし、共振周波数の温度係数τfを−15〜15ppm/℃の範囲で、かつ共振周波数の温度係数τfの曲がり(温度ドリフト:Δτf)を−2〜2ppm/℃の範囲に制御することが可能となる。
【0011】
さらに、主成分にZnを添加することによって共振周波数の温度係数τfをプラスからマイナス側に移行させ、制御することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の誘電体磁器組成物は、Ba−Ti系誘電体磁器組成物において、MgおよびZnを所定量添加含有するものである。
【0013】
モル比による組成式を、BaO−xTiO2 と表した時、xが3.9≦x≦4.1の範囲内としたのは、Qf値を向上することができるからである。xの値が3.9より小さい場合は、Qf値向上の効果が小さく、xが4.1よりも大きくなると、Qf値が低下するからである。さらに、Qfの値を低下させないためにはxの値は3.92〜4.08以下が望ましい。
【0014】
また、主成分100重量部に対してMgをMgCO3 換算で0.01〜5重量部含有させたのは、Mgが0.01重量部より少ない場合や、5重量部よりも多い場合には共振周波数の温度係数τfの曲がりを表すΔτfが−2〜2ppm/℃の範囲外となり、また、5重量部より多い場合にはQfの値が低下し、τfが15ppm/℃よりも大きくなり、いずれの場合も実用的でないからである。
【0015】
さらに、τfを−15〜15ppm/℃に制御し、かつΔτfをより0に近くし、またQf値を向上させるという観点から、Mgの含有量は主成分100重量部に対してMgCO3 換算で0.2〜3重量部の範囲とすることが望ましい。
【0016】
また、主成分100重量部に対して、Znの含有量をZnO換算で20重量部以下としたのは、ZnがZnO換算で20重量部よりも多い場合には、Qf値が低下したり、共振周波数の温度係数τfが−15ppm/℃より小さくなり、実用的でないからである。なお、温度係数τfを0付近にするという観点からは、ZnはZnO換算で主成分100重量部に対して1〜15重量部の範囲で含有することが望ましい。
【0017】
以上のように、本発明の誘電体磁器組成物における最適な範囲は、BaO−xTiO2 の組成式において、3.92≦x≦4.08であり、この主成分100重量部に対して、MgをMgCO3 換算で0.1〜3重量部、ZnをZnO換算で1〜15重量部含有させることが望ましい。
【0018】
この場合には、Qf値が30000GHz以上、共振周波数の温度係数τfが−12〜12ppm/℃の範囲、共振周波数の温度係数τfの曲がり(温度ドリフト:Δτf)を−1.2〜1.2ppm/℃の範囲内に制御することができる。
【0019】
また、本発明の誘電体磁器組成物には、BaTi4O9結晶相が主結晶相として存在し、Znを添加することにより磁器中にBa3Ti12Zn7O34結晶相が均一に分散する。一方で、その他の結晶が少々析出していても良い。本発明ではBaTi4O9結晶相を主結晶相とすることによって高いQf値を得ることができ、しかもZnの添加によってBa3Ti12Zn7O34結晶相を析出させることにより、さらにQf値を向上するとともに、温度係数τfをプラス側からマイナス側に制御することができる。
【0020】
なお、これらの結晶相は磁器をX線回折で分析することによって確認することができる。そして、BaTi4 O9 結晶相を主結晶相とするとは、X線回折による最大ピークがBaTi4 O9 結晶からなることを意味し、Ba3 Ti12Zn7 O34結晶相が均一に分散するとは、Ba3 Ti12Zn7 O34結晶のピークが存在することを意味する。
【0021】
実際に、本発明の誘電体磁器組成物をX線回折で分析した際のチャート図を図1に示すように、BaTi4 O9 結晶のピークAが最大ピークとなり、しかもBa3 Ti12Zn7 O34結晶のピークBが存在することがわかる。
【0022】
次に、本発明の誘電体磁器組成物の製造方法を説明する。
【0023】
本発明の誘電体磁器組成物は、原料粉末として、BaCO3 、TiO2 、ZnO、MgCO3 粉末を準備し、これらを上記した組成比となるように秤量し、ZrO2 ボールにより粉砕混合し、この混合粉末を仮焼した後、再度ZrO2 ボールにより粉砕混合し、この仮焼粉末を公知の方法により所定形状に成形し、大気中または酸素雰囲気中において1150〜1300℃で0.1〜10時間焼成することにより得られる。
【0024】
上記原料粉末は、焼成により酸化物を生成する水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の金属塩を用いても良く、またMgCO3 は仮焼後に添加しても良い。さらに、本発明の誘電体磁器中には、製造工程における不可避不純物として、Al,Si,Ca,Mg,Fe,Hf,Sn等が各元素当たり0.5重量%以下含まれることもある。
【0025】
なお、本発明の誘電体磁器組成物においてZnを添加してBaTi4O9結晶相中にBa3Ti12Zn7O34結晶相を均一に分散させるためには、特に上記原料粉末を1050〜1200℃の温度で0.1時間以上仮焼することが必要である。その理由は、1050℃よりも低温で0.1時間未満の仮焼では、Ba3Ti12Zn7O34結晶相が形成され難いからである。
【0026】
【実施例】
原料として純度99%以上のBaCO3 、TiO2 、ZnO、MgCO3 の粉末を用いて、上記した組成式のx、Mg含有量(MgCO3 換算)およびZn含有量(ZnO換算)が表1に示す割合となるように秤量し、純水を媒体とし、ZrO2 ボールを用いたボ−ルミルにて20時間湿式混合した。次にこの混合物を乾燥(脱水)し、1150℃で2時間仮焼した。
【0027】
この仮焼物を粉砕し、バインダ−を混合した後、誘電特性評価用の試料として直径12mm高さ6.3mmの円柱状に1ton/cm2 の圧力でプレス成形し、これを酸化雰囲気中において1150〜1270℃で2時間焼成し、直径およそ10mm、高さ5.3mmの円柱状の試料を得た。
【0028】
誘電特性の評価は、前記試料を用いて誘電体円柱共振器法にて周波数6〜7GHzにおける比誘電率とQ値を測定し、Q値と測定周波数fとの積で表されるQf値を表1に記載した。
【0029】
また、−40〜85℃の温度範囲における共振周波数を測定し、25℃での共振周波数を基準にして共振周波数の温度係数τfを算出して、これらの結果を表1に記載した。尚、表1におけるτf1 は−40℃における共振周波数の温度係数であり、τf2 は85℃における共振周波数の温度係数である。さらに、共振周波数の温度係数の曲がりΔτfをΔτf=τf1 −τf2 の式から求め、結果を表1に記載した。
【0030】
この表1から、主成分のモル比が本発明の範囲外であるもの(No.13、14)はQf値が低く、またMg含有量が本発明の範囲外であるもの(No.15)は共振周波数の温度係数τf及び温度係数の曲がりΔτfが大きいものであった。さらにZn含有量が本発明の範囲外である20重量部を超えるもの(No.16)では共振周波数の温度係数τfが大きかった。
【0031】
これらに対し、本発明の誘電体磁器組成物(No.1〜12)では、比誘電率が34以上、Qf値が25000GHz以上、共振周波数の温度係数τfが−15〜15ppm/℃の範囲内で、かつ共振周波数の温度係数τfの曲がりΔτfが−2〜2〔ppm/℃〕の優れた特性を有することが確認された。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、Ba−Ti系誘電体磁器組成物においてMgおよびZnを所定量添加含有することにより、比誘電率が34〜41で、Qfが25000GHz以上であり、共振周波数の温度係数τfを−15〜15ppm/℃の範囲内で、かつ、共振周波数の温度係数τfの曲がりを−2〜2ppm/℃の範囲内とすることができる。
【0034】
したがって、本発明の誘電体磁器組成物は、高周波領域における損失が小さく、温度変化に伴うよる特性の制御を極めて高精度に行うことができ、マイクロ波やミリ波などの周波数領域において使用される種々の共振器用材料やMIC用誘電体基板材料、誘電体導波路用材料として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体磁器組成物のX線回折の結果を示すチャート図である。
Claims (1)
- 金属元素としてBa、Tiを含有し、これらのモル比による組成式を、BaO―xTiO2と表した時、前記xが、3.9≦x≦4.1を満足する主成分100重量部に対して、MgCO3換算で0.01〜5.0重量部のMgと、ZnO換算で20重量部以下のZnを含有したことを特徴とする誘電体磁器組成物。
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JP34170296A JP3754780B2 (ja) | 1996-12-20 | 1996-12-20 | 誘電体磁器組成物 |
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JPH10182222A JPH10182222A (ja) | 1998-07-07 |
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-
1996
- 1996-12-20 JP JP34170296A patent/JP3754780B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH10182222A (ja) | 1998-07-07 |
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