JP3747167B2 - 導電性組成物、導電体及びその形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインドール誘導体三量体を含有する導電性組成物、該導電性組成物から形成された導電体及びその形成方法に関するものである。本発明の導電性組成物は、塗布、スプレー、キャスト、ディップ等の簡便な手法を用いることにより各種帯電防止剤、コンデンサー、電池,EMIシールド、化学センサー、表示素子、非線形材料、防食剤、接着剤、繊維、帯電防止塗料、防食塗料、電着塗料、メッキプライマー、静電塗装用導電性プライマー、電気防食、電池の蓄電能力向上などの用途に適用可能である。また本発明の導電体は、半導体、電器電子部品などの工業用包装材料、オーバーヘッドプロジェクタ用フィルム、スライドフィルムなどの電子写真記録材料等の帯電防止フィルム、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピュータ用テープ、フロッピィディスクなどの磁気記録用テープの帯電防止、更に透明タッチパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、液晶ディスプレイなどの入力及び表示デバイス表面の帯電防止や透明電極、有機エレクトロルミネッセンス素子を形成する発光材料、バッファ材料、電子輸送材料、正孔輸送材料及び蛍光材料として利用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、導電性組成物の導電成分としては金属系粉末、カーボン粉末、ITOなどの無機系導電剤、界面活性剤などの有機系導電剤、及びポリアニリン、スルホン化ポリアニリンなどの導電性ポリマーが知られている。
【0003】
これらの中でカーボン粉末や金属粉末と高分子化合物からなる導電性組成物から形成した導電膜は、塗膜の耐久性に優れるが導電成分の添加量が10質量部〜30質量部程度必要となり透明性に欠けるという欠点がある。また、透明性を発現させるため、導電成分の添加量を低減すると十分な導電性能は得られない欠点がある。一方アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性などの半透明な界面活性剤などをプラスチックフィルム中に練り込んだり、プラスチックフィルム表面にコーティングすることにより、親水性とイオン性を与えてフィルム表面に導電性を付与したものが知られている。しかし、この方法で得られる導電膜はイオン導電性のため、その導電性が大気中の湿度の影響を受け易く、低湿度の条件では単位面積当たりの表面抵抗値が109Ω以下の導電性を安定的に得ることができないという欠点がある。
【0004】
導電成分としてITO(インジウム―スズ酸化物)を蒸着して得られる導電体は、透明性及び導電性に優れていることが知られている。しかし、その薄膜を形成させるために真空蒸着装置が必要のため導電膜の作成が煩雑であり、またその装置は高価である。しかも材料として用いられるITOも高価であるため、得られる導電体も高価になってしまうという欠点がある。
【0005】
ポリアニリンなどをドープした導電性ポリマーは良く知られているが、ほとんど全ての溶剤に不溶であり成形、加工が難しいという欠点がある。また、アニリンを電解酸化重合する方法[特開昭60−235831号公報、J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,26,1531(1988)]は電極上にポリアニリンのフィルムを形成することが可能であるが、単離操作が煩雑になること及び大量合成が困難であるという欠点がある。一方、アニリンの化学酸化重合によって得られた脱ドープ状態のポリアニリンと酸解離定数pKaが4.8以下であるプロトン酸のアンモニウム塩からなる導電性組成物(特開平3−285983号公報)が報告されているが、脱ドープ状態のポリアニリンはN−メチル−2−ピロリドン等の溶解力の極めて強い特殊な溶媒にのみ可溶であるため、塗工基材に影響を与えるなどの欠点があり汎用ワニスとして適するとは言い難い。更に該組成物から得られる塗膜は、導電性ポリマー独特の緑〜青色の着色を有しており、基材の色調及び上塗のコーティング材料の色調に影響を与えるため適用用途が制限されるなどの課題がある。
【0006】
導電性ポリマーの溶解性に対する課題を解決するためポリアニリンにスルホン酸基などの酸性基を有する導電性ポリマー(スルホン化ポリアニリン)を用いた導電性組成物が提案されている(特許第03051308号、特開平8−143662号公報)。この組成物は溶媒として水が使用可能であり、湿度依存性がなく高い導電性を発現し、成膜性、成形性、透明性に優れた導電体を形成することが報告されている。しかし、該組成物から得られる塗膜の色調についても、スルホン化ポリアニリンによって黄色に着色しており、基材の色調及び上塗のコーティング材料の色調に影響を与えるため適用用途が制限されるなどの課題がある。
【0007】
一方、[Synthetic Metals,80(1996)309頁]では、インドールを原料として電解反応により導電性を有する無置換のインドール三量体を合成する方法が報告されている。しかし本報告では、単に電極上に無置換インドール三量体を形成させただけであり溶媒に溶解した導電性組成物として使用した例はなく、また電極反応であるため、基材の形状や材質が限定されてしまうという欠点も有する。
【0008】
また、インドール誘導体であるインドール−5−カルボニトリル、インドール−5−カルボン酸をアセトニトリル中において電解酸化重合する方法[Phys.Chem.Chem.Phys.,2,1241−1248(2000)]により電極上にインドール誘導体三量体を形成することが報告されているが、これも電解反応であるため基材の形状や材質が限定されてしまうという欠点を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来技術の諸々の問題を解決するためになされたものであり、温度依存性がなく高い導電性を発現し、成膜性、成形性、無色透明性に優れた導電性組成物、及び該組成物を利用して湿度依存性がなく高い導電性を発現し、表面抵抗のばらつきが小さく、成膜性、成形性、無色透明性に優れた導電性膜を形成させて得られる導電体及びその形成方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決するため鋭意研究をした結果、インドール誘導体の三量体を含む組成物がこの目的に適することを見出して、本発明に到達した。すなわち、本発明の第1は、インドール誘導体三量体(A)及び溶媒(B)を含むことを特徴とする導電性組成物である。この導電性組成物は塩基性化合物(C)、高分子化合物(D)、界面活性剤(E)、及び/または無機塩(F)をさらに含むことで性能の向上がはかれる。また、このインドール誘導体三量体が層間隔0.1〜0.6nmの層構造であると高性能を示す。
【0011】
また、本発明の第2は、該導電性組成物より形成される透明導電性膜を有することを特徴とする導電体である。この透明性導電性膜に酸がドーパントとして付加していることで更に性能の向上がはかれる。
【0012】
本発明の第3は、基材の少なくとも一つの面上に、該導電性組成物を塗布し透明導電性膜を形成した後に、常温で放置あるいは加熱処理を行うことを特徴とする導電体の形成方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の導電性組成物及び該導電性組成物より形成した導電体ならびにその形成方法について詳細に説明する。
【0014】
本発明の導電性組成物及び導電体を構成するのインドール誘導体三量体(A)としては、
【化5】
(上記式中、R1〜R12は、水素、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のアシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のカルボン酸エステル基、スルホン酸基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のスルホン酸エステル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基及びハロゲン基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた置換基である。また、Xa-は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、ほうフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、及びトリフルオロメタンスルホン酸イオンよりなる1〜3価の陰イオン群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、1〜3の整数であり、mはドープ率であり、その値は0〜0.5である。)が例示される。
【0015】
好ましくは、
【化6】
(上記式中、R13〜R24は、水素、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のアシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のカルボン酸エステル基、スルホン酸基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のスルホン酸エステル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基及びハロゲン基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた置換基で示され、R13〜R24のうち少なくとも1つがシアノ基、ニトロ基、アミド基またはハロゲン基から選ばれた基である。またXa-は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、ほうフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、及びトリフルオロメタンスルホン酸イオンよりなる1〜3価の陰イオン群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、1〜3の整数であり、mはドープ率であり、その値は0〜0.5である。)で示されるインドール誘導体三量体、
【0016】
【化7】
(上記式中、R25〜R36は、水素、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のアシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のカルボン酸エステル基、スルホン酸基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のスルホン酸エステル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基及びハロゲン基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた置換基で示され、R25〜R36のうち少なくとも1つがスルホン酸基またはカルボキシル基である。またXa-は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、ほうフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、及びトリフルオロメタンスルホン酸イオンよりなる1〜3価の陰イオン群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、1〜3の整数であり、mはドープ率であり、その値は0〜0.5である。)で示されるインドール誘導体三量体などが挙げられる。
【0017】
これらのインドール誘導体三量体のうち、カルボキシル基置換インドール三量体類、スルホン酸基置換インドール三量体類、シアノ基置換インドール三量体類、ニトロ基置換インドール三量体類、アミド基置換インドール三量体類、ハロゲン基置換インドール三量体類などが実用上好ましく、カルボキシル基置換インドール三量体類、スルホン酸基置換インドール三量体類などの酸性基を有する三量体は、水溶性のため溶媒として水を使用できるため、人体及び環境への安全性の面からも特に好ましく用いることができる。
【0018】
本発明で用いられるインドール誘導体三量体(A)は、化学的合成及び電気化学的合成などの各種合成法によって得られるインドール誘導体三量体(A)を用いることができる。
【0019】
本発明では、特に、下記一般式(4)
【化8】
(上記式中、R37〜R40は、水素、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のアシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のカルボン酸エステル基、スルホン酸基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のスルホン酸エステル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基及びハロゲン基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた置換基である。)で示される少なくとも一種のインドール誘導体を、少なくとも一種の酸化剤と少なくとも一種の溶媒を含む反応混合物中において反応させることにより得られるインドール誘導体三量体(A)が好ましく用いられる。
【0020】
前記のインドール誘導体三量体(A)の合成法で用いられる一般式(4)で示されるインドール誘導体は、具体的には、4―メチルインドール、5―メチルインドール、6―メチルインドール、7―メチルインドール、4―エチルインドール、5―エチルインドール、6―エチルインドール、7―エチルインドール、4―n−プロピルインドール、5―n−プロピルインドール、6―n−プロピルインドール、7―n−プロピルインドール、4―iso−プロピルインドール、5―iso−プロピルインドール、6―iso−プロピルインドール、7―iso−プロピルインドール、4―n−ブチルインドール、5―n−ブチルインドール、6―n−ブチルインドール、7―n−ブチルインドール、4―sec−ブチルインドール、5―sec−ブチルインドール、6―sec−ブチルインドール、7―sec−ブチルインドール、4―t−ブチルインドール、5―t−ブチルインドール、6―t−ブチルインドール、7―t−ブチルインドールなどのアルキル基置換インドール類、4―メトキシインドール、5―メトキシインドール、6―メトキシインドール、7―メトキシインドール、4―エトキシインドール、5―エトキシインドール、6―エトキシインドール、7―エトキシインドール、4―n−プロポキシインドール、5―n−プロポキシインドール、6―n−プロポキシインドール、7―n−プロポキシインドール、4―iso−プロポキシインドール、5―iso−プロポキシインドール、6―iso−プロポキシインドール、7―iso−プロポキシインドール、4―n−ブトキシインドール、5―n−ブトキシインドール、6―n−ブトキシインドール、7―n−ブトキシインドール、4―sec−ブトキシインドール、5―sec−ブトキシインドール、6―sec−ブトキシインドール、7―sec−ブトキシインドール、4―t−ブトキシインドール、5―t−ブトキシインドール、6―t−ブトキシインドール、7―t−ブトキシインドールなどのアルコキシ基置換インドール類、4―アセチルインドール、5―アセチルインドール、6―アセチルインドール、7―アセチルインドールなどのアシル基置換インドール類、インドール―4―カルバルデヒド、インドール―5―カルバルデヒド、インドール―6―カルバルデヒド、インドール―7―カルバルデヒドなどのアルデヒド基置換インドール類、インドール―4―カルボン酸、インドール―5―カルボン酸、インドール―6―カルボン酸、インドール―7―カルボン酸などのカルボキシル基置換インドール類、インドール―4―カルボン酸メチル、インドール―5―カルボン酸メチル、インドール―6―カルボン酸メチル、インドール―7―カルボン酸メチルなどのカルボン酸エステル基置換インドール類、インドール―4―スルホン酸、インドール―5―スルホン酸、インドール―6―スルホン酸、インドール―7―スルホン酸などのスルホン酸基置換インドール類、インドール―4―スルホン酸メチル、インドール―5―スルホン酸メチル、インドール―6―スルホン酸メチル、インドール―7―スルホン酸メチルなどのスルホン酸エステル基置換インドール類、インドール―4―カルボニトリル、インドール―5―カルボニトリル、インドール―6―カルボニトリル、インドール―7―カルボニトリルなどのシアノ基置換インドール類、4―ヒドロキシインドール、5―ヒドロキシインドール、6―ヒドロキシインドール、7―ヒドロキシインドールなどのヒドロキシ基置換インドール類、4―ニトロインドール、5―ニトロインドール、6―ニトロインドール、7―ニトロインドールなどのニトロ基置換インドール類、4―アミノインドール、5―アミノインドール、6―アミノインドール、7―アミノインドールなどのアミノ基置換インドール類、4―アミドインドール、5―アミドインドール、6―アミドインドール、7―アミドインドールなどのアミド基置換インドール類、4―フルオロインドール、5―フルオロインドール、6―フルオロインドール、7―フルオロインドール、4―クロロインドール、5―クロロインドール、6―クロロインドール、7―クロロインドール、4―ブロモインドール、5―ブロモインドール、6―ブロモインドール、7―ブロモインドール、4―ヨードインドール、5―ヨードインドール、6―ヨードインドール、7―ヨードインドールなどのハロゲン基置換インドール類などを挙げることができる。
【0021】
このなかでカルボキシル基置換インドール類、スルホン酸基置換インドール類、シアノ基置換インドール類、ニトロ基置換インドール類、アミド基置換インドール類、ハロゲン基置換インドール類などが実用上好ましく、カルボキシル基置換インドール類、スルホン酸基置換インドール類が特に好ましい。
【0022】
前記のインドール誘導体三量体(A)の合成法で用いる酸化剤は、特に限定されないが、例えば塩化第二鉄6水和物、無水塩化第二鉄、硝酸第二鉄9水和物、硫酸第二鉄n水和物、硫酸第二鉄アンモニウム12水和物、過塩素酸第二鉄n水和物、テトラフルオロホウ酸第二鉄、塩化第二銅、硝酸第二銅、硫酸第二銅、テトラフルオロホウ酸第二銅、テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過沃素酸カリウムなどを挙げることができる。このなかで塩化第二鉄6水和物、無水塩化第二鉄、塩化第二銅、テトラフルオロホウ酸第二銅、過硫酸アンモニウムが実用上好ましく、その中でも塩化第二鉄6水和物、無水塩化第二鉄が最も実用上好ましい。なお、これらの酸化剤はそれぞれ単独で用いても、また2種以上を任意の割合で併用して用いてもよい。
【0023】
前記のインドール誘導体三量体(A)の合成法で用いるインドール誘導体と、酸化剤とのモル比は、インドール誘導体:酸化剤=1:0.5〜100、好ましくは1:1〜50で用いられる。ここで、酸化剤の割合が低いと反応性が低下して原料が残存し、逆にその割合があまり高いと生成した三量体を過酸化して、生成物の劣化を引き起こすことがある。
【0024】
前記のインドール誘導体三量体(A)の合成法で用いる溶媒は、水、有機溶媒が使用できる。有機溶媒は特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、γ―ブチルラクトン、プロピレンカーボネート、スルホラン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、N−メチルピロリドン、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどが用いられる。なお、これらの溶媒はそれぞれ単独で用いても、また2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。これら溶媒のなかでは、アセトン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミドなどが好ましく、とくにアセトニトリルが実用上もっとも好ましい。
【0025】
また、前記のインドール誘導体三量体(A)の合成法では水と有機溶媒を共存させて反応させることが特に好ましい。前記インドール誘導体と、水との使用モル比は、インドール誘導体:水=1:1000〜1000:1、好ましくは1:100〜100:1で用いられる。ただし、酸化剤が結晶水を持っている場合は、その結晶水量も水として計量する。ここで、水の割合が低いと反応が暴走して三量体を過酸化して構造劣化すると同時に、三量体に対してドーパントとなるXa−が効率良くドープできない場合があり、導電率が低下することがある。逆にその割合が高すぎると酸化反応の進行を妨げて反応収率が低下することがある。
【0026】
前記のインドール誘導体三量体(A)の合成法では、反応時のインドール誘導体の濃度は、溶媒に対して0.01質量%以上、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%の範囲である。
【0027】
本発明で用いられる一般式(1)〜(3)で示されるインドール誘導体三量体(A)中のXa−はドーパントであり、重合中の酸化剤等に由来するプロトン酸の陰イオンである。具体的には、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、ほうフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等の1〜3価の陰イオンであり、好ましくは塩素イオン、硫酸イオン、ホウフッ化イオンなどの1〜2価の陰イオンである。最も好ましいのは塩素イオンなどの1価の陰イオンである。例えば、酸化剤として無水塩化第二鉄を選んで重合を行った場合、インドール誘導体三量体中のドーパントXa−は塩素イオンとなり、トリフルオロ酢酸第二銅を用いて重合を行った場合は、ドーパントXa−はトリフルオロ酢酸イオンとなる。
【0028】
前記のインドール誘導体三量体(A)の合成法で得られるインドール誘導体三量体(A)は、酸化剤として過酸化水素やオゾンを用いる場合以外はドープ型のインドール誘導体三量体(A)であり、その繰り返し単位に対するドーパントXa−のモル比(ドープ率)mは0.001〜0.5である。酸化剤として過酸化水素またはオゾンを用いるとm=0となる。
【0029】
インドール誘導体三量体(A)は、溶媒(B)への溶解性をより向上する目的で脱ドープ処理をしたものを用いることができる。脱ドープの処理方法としては特に限定されるものではないが、例えば従来から各種導電性ポリマー、電荷移動錯体の脱ドープ工程として公知の方法が用いられる。すなわちアンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ性溶液中にインドール誘導体三量体(A)を懸濁させてドーパントXa−を除去する方法、または還元処理により脱ドープ型のインドール誘導体三量体(すなわち、ドープ率m=0)を得る方法が挙げられる。
【0030】
インドール誘導体三量体(A)は、積層構造を有することにより、より導電性能が優れる場合がある。特に、層間隔0.1〜0.6nmである積層構造を有していることが好ましい。このような超微細積層構造をもつ化合物は、剛性、強度、耐熱性などの物性が良好である。ただし、層間隔が0.1nm以上で積層構造がより安定となる傾向にあり、また0.6nm以下で三量体相互間での電子ホッピング伝導がより容易になり、導電性が向上する傾向がある。
【0031】
本発明の導電性組成物を構成する溶媒(B)としてはインドール誘導体三量体(A)、塩基性化合物(C)、高分子化合物(D)、界面活性剤(E)、無機塩(F)を溶解或いは分散するものであれば特に限定されず水や有機溶媒が用いられる。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン、などのケトン類、イソプロピルエーテル、メチル―t―ブチルエーテルなどのエーテル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、メチルプロピレングリコール、エチルプロピレングリコールなどのプロピレングリコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどのピロリドン類などが好ましく用いられる。特にインドール誘導体三量体への溶解性の点で水、メタノール、イソプロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンがより好ましい。なお、これらの溶媒はそれぞれ単独で用いても、また任意の割合で混合して用いてもよい。
【0032】
インドール誘導体三量体(A)の使用割合は、溶媒(B)100質量部に対して0.01〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部である。インドール誘導体三量体(A)の割合が20質量部以下では溶解性がよく導電性がより向上する。
【0033】
本発明の導電性組成物を構成する塩基性化合物(C)は、導電性組成物中に添加することによりインドール誘導体三量体(A)を脱ドープし、溶媒(B)への溶解性をより向上させる効果がある。またカルボキシル基置換インドール三量体類、スルホン酸基置換インドール三量体類の場合、スルホン酸基及びカルボキシル基と塩を形成することにより水への溶解性が特段に向上する。塩基性化合物(C)としては、特に限定されるものではないが、例えばアミン類やアンモニウム塩類などが好ましく用いられる。
【0034】
塩基性化合物(C)として用いられるアミン類の構造式を下式に示す。
【化9】
式中、R41〜R43は各々互いに独立に水素、炭素数1〜4(C1〜C4)のアルキル基、CH2OH、CH2CH2OH、CONH2またはNH2を表す。
【0035】
塩基性化合物(C)として用いられるアンモニウム塩類の構造式を下式に示す。
【化10】
式中、R44〜R47は各々互いに独立に水素、炭素数1〜4(C1〜C4)のアルキル基、CH2OH、CH2CH2OH、CONH2またはNH2を表し;X−はOH−、1/2・SO4 2−、NO3 −、1/2CO3 2−、HCO3 −、1/2・(COO)2 2−、またはR‘COO−[式中、R‘は炭素数1〜3(C1〜C3)のアルキル基である]を表す。
【0036】
塩基性化合物(C)は2種以上を混合して用いても良い。例えば、アミン類とアンモニウム塩類を混合して用いることにより更に導電性を向上させることができる。具体的には、NH3/(NH4)2CO3、NH3/(NH4)HCO3、NH3/CH3COONH4、NH3/(NH4)2SO4、N(CH3)3/CH3COONH4、N(CH3)3/(NH4)2SO4などが挙げられる。またこれらの混合比は任意の割合で用いることができるが、アミン類/アンモニウム塩類=1/10〜10/0が好ましい。
【0037】
塩基性化合物(C)の使用割合は、溶媒(B)100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。塩基性化合物(C)の割合が10質量部以下の時、溶解性が良く、導電性に優れるなど好ましい。
【0038】
本発明の前記導電性組成物及び導電体を構成する高分子化合物(D)は、溶媒(B)に溶解するもの、或いはエマルションを形成するものであれば特に限定されるものではない。例えばポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルコール類、ポリアクリルアマイド、ポリ(N−t−ブチルアクリルアマイド)、ポリアクリルアマイドメチルプロパンスルホン酸などのポリアクリルアマイド類、ポリビニルピロリドン類、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂、マレイン酸樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル/スチレン共重合樹脂、酢酸ビニル/アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン/マレイン酸共重合樹脂、フッ素樹脂及びこれらの共重合体などが用いられる。またこれらの高分子化合物(D)は2種以上を任意の割合で混合したものであってもよい。
【0039】
高分子化合物(D)の使用割合は溶媒(B)100質量部に対して0.1〜400質量部であり、好ましくは0.5〜300質量部である。0.1質量部以上では成膜性、成形性、強度がより向上し、一方400質量部以下の時、インドール誘導体三量体(A)の溶解性の低下が少なく、高い導電性が維持される。
【0040】
本発明の導電性組成物は、インドール誘導体三量体(A)、溶媒(B)、塩基性化合物(C)及び高分子化合物(D)の成分のみでも性能の良い膜を形成することが可能であるが、界面活性剤(E)を加えると更に平坦性、塗布性及び導電性などが向上する。本発明の導電性組成物及び導電体の成分である界面活性剤(E)は、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルカルボン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、α−スルホン化脂肪酸、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スルホン酸、アルキル硫酸、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物及びこれらの塩などのアニオン系界面活性剤、第一〜第三脂肪アミン、四級アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウムアルキルピリジニウム、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム、N,N−ジアルキルモルホリニウム、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の第四級アンモニウム及びこれらの塩などのカチオン系界面活性剤、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビスポリオキシエチレンアンモニウム硫酸エステルベタイン、2−アルキル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのベタイン類、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩などのアミノカルボン酸類などの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、トリアルキルアミンオキサイドなどの非イオン系界面活性剤及びフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールなどのフッ素系界面活性剤が用いられる。ここで、アルキル基は炭素数1〜24が好ましく、炭素数3〜18がより好ましい。なお、界面活性剤は二種以上用いても何らさしつかえない。
【0041】
界面活性剤(E)の使用割合は、溶媒(B)100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。
【0042】
本発明の導電性組成物は、更に無機塩(F)を加えると溶媒(B)に対するインドール誘導体三量体(A)の溶解度が向上する。無機塩(F)は特に限定されないがアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが好ましく用いられる。例えば塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、しゅう酸リチウム、りん酸リチウム、硫酸リチウムが好ましく用いられる。なお、無機塩は二種以上用いても何らさしつかえない。
【0043】
無機塩(F)の使用割合は、溶媒(B)100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。
【0044】
さらに本発明に用いられる導電性組成物には、必要に応じて、保存安定剤、接着助剤、架橋剤などを添加することができる。
【0045】
本発明による導電性組成物はインドール誘導体三量体(A)、溶媒(B)、塩基性化合物(C)、界面活性剤(E)、無機塩(F)を室温下でまたは加熱攪拌して完全に溶解するか、または混和して調製する。また、本発明の導電体は、前記のようにして調製した導電性組成物を基材に塗布することにより形成することが可能である。
【0046】
本発明の導電体は、このままでも優れた導電性を有するものであるが、基材の少なくとも一つの面上に、導電性組成物を塗布し透明導電性膜を形成した後に、酸によりドーピング処理を行い、次いで常温で放置あるいは加熱処理をすることにより、さらに導電性を向上させることができる。
【0047】
酸によるドーピング処理方法については特に限定されるものではなく公知の方法を用いることが出来るが、例えば酸性溶液中に導電体を浸漬させるなどの処理をすることによりドーピング処理を行うことができる。酸性溶液は、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸や、p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、安息香酸及びこれらの骨格を有する誘導体などの有機酸や、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン)スルホン酸、ポリビニル硫酸及びこれらの骨格を有する誘導体などの高分子酸を含む水溶液、あるいは、水―有機溶媒の混合溶液である。なお、これらの無機酸、有機酸、高分子酸はそれぞれ単独で用いても、また2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
【0048】
本発明の導電体の形成方法としては、一般の塗料に用いられる方法によって導電性組成物を基材の表面に加工することが出来る。例えばグラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーティング、スクリーンコーティングなどの塗布法、スプレーコーティングなどの噴霧法、ディップなどの浸漬法などが用いられる。
【0049】
導電性組成物によって形成される透明導電性膜は、膜厚0.01〜1000μmに成膜が可能であるが、膜厚が大きいと透明導電性膜の透明性が低下する傾向があるので、通常はなるべく薄いことが好ましく、好ましくは0.01〜500μmの範囲、更に好ましくは0.02〜100μmの範囲とするのがよい。また、上記の厚さの透明導電性膜を得るためには、導電性組成物の粘度を1000cp以下、好ましくは1〜500cpの範囲とし、固形分量0.1〜80重量%の範囲とすることが好ましい。
【0050】
導電性組成物を塗工する基材としては、高分子化合物、木材、紙材、セラミックス及びそのフィルムまたはガラス板などが用いられる。例えば高分子化合物及びフィルムとしては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ABS樹脂、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルニトリル、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート及びそのフィルムなどがある。これらの高分子フィルムは、少なくともその一つの面に透明導電性高分子膜を形成させるため、該高分子膜の密着性を向上させる目的で上記フィルム表面をコロナ表面処理またはプラズマ処理することが好ましい。また、基材に透明導電性膜を形成した後、加熱することにより塩基性化合物(C)の残分が減り導電性が向上し250℃以下、好ましくは40〜200℃の範囲で加熱処理することにより性能の向上した導電体が形成される。
【0051】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に具体的に説明する
【0052】
なお、インドール誘導体三量体合成例において、元素分析測定は、サーモクエスト社製 EA1110で測定した。導電率測定は、三菱化学製ロレスター計 MCP−T350(4端子法:電極間距離1mm)で測定した。さらに、X線回折解析(XRD)は、理学電機株式会社製RINT−1100(管球:CuKαX線)で測定した。
【0053】
合成例1
インドール−5−カルボン酸三量体の合成
200mlの三ツ口フラスコにアセトニトリル10mlを入れ、インドール−5−カルボン酸1.42gを溶解した。一方、酸化剤溶液の調製はアセトニトリル40mlに対して、無水塩化第二鉄16.2g、水5.4gを溶解して10分間攪拌した。次に、インドール−5−カルボン酸水溶液に30分間かけて、調製した酸化剤溶液を滴下した後、60℃で10時間攪拌した。反応溶液は若干の発熱を伴いながら薄黄色から淡緑色に変化し、そのpHは1以下であった。反応終了後、桐山漏斗で吸引濾過し、アセトニトリル次いでメタノールで洗浄し、乾燥して、淡緑色の6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−2,9,14−トリカルボン酸、(インドール−5−カルボン酸三量体)1.12g(収率79%)を得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.41S/cmであった。元素分析の結果は(C9.00H4.90N1.09O1.98Cl0.11)3であった。また、X線回折結晶解析の結果、層間隔は0.48nmであった。
【0054】
合成例2
インドール−6−カルボン酸三量体の合成
合成例1においてインドール−5−カルボン酸の代わりにインドール−6−カルボン酸を使用する以外は合成例1と同様な方法で重合を行った。淡緑色の6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−3,8,13−トリカルボン酸、(インドール−6−カルボン酸三量体)1.16g(収率82%)を得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.50S/cmであった。元素分析の結果は(C9.00H4.93N1.07O1.98Cl0.12)3であった。
【0055】
合成例3
インドール−5−スルホン酸三量体の合成
合成例1においてインドール−5−カルボン酸の代わりにインドール−5−スルホン酸を使用する以外は合成例1と同様な方法で重合を行った。緑色の6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−2,9,14−トリスルホン酸、(インドール−5−スルホン酸三量体)1.01g(収率71%)を得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.56S/cmであった。元素分析の結果は(C8.00H4.85N1.06O3.01S1.06Cl0.11)3であった。
【0056】
合成例4
インドール−4−カルボン酸三量体の合成
合成例1においてインドール−5−カルボン酸の代わりにインドール−4−カルボン酸を使用する以外は合成例1と同様な方法で重合を行った。淡緑色の6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−1,10,15−トリカルボン酸、(インドール−4−カルボン酸三量体)1.10g(収率77%)を得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.52S/cmであった。元素分析の結果は(C9.00H4.81N1.02O1.98Cl0.11)3であった。
【0057】
合成例5
インドール−4−スルホン酸三量体の合成
合成例1においてインドール−5−カルボン酸の代わりにインドール−4−スルホン酸を使用する以外は合成例1と同様な方法で重合を行った。緑色の6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−2,9,14−トリスルホン酸、(インドール−4−スルホン酸三量体)1.01g(収率71%)を得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.46S/cmであった。元素分析の結果は(C8.00H4.95N1.01O3.02S1.00Cl0.15)3であった。
【0058】
合成例6
5−フルオロインドール三量体の合成
合成例1においてインドール−5−カルボン酸の代わりに5−フルオロインドールを使用する以外は合成例1と同様な方法で重合を行った。暗青色の2,9,14−トリフルオロ−6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール、(5―フルオロインドール三量体)1.00g(収率70%)を得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.57S/cmであった。元素分析の結果は(C8. 0 0H4.01N0.99F0.97Cl0.1 6)3であった。また、X線回折結晶解析の結果、層間隔は0.38nmであった。
【0059】
合成例7
インドール−5−カルボニトリル三量体の合成
合成例1においてインドール−5−カルボン酸の代わりにインドール−5−カルボニトリルを使用する以外は合成例1と同様な方法で重合を行った。緑色の6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−2,9,14−トリカルボニトリル、(インドール−5−カルボニトリル三量体)1.22g(収率86%)を得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.50S/cmであった。元素分析の結果は(C9.00H4.03N1.97Cl0.10)3であった。また、X線回折結晶解析の結果、層間隔は0.44nmであった。
【0060】
合成例8
5−アミドインドール三量体の合成
合成例1においてインドール−5−カルボン酸の代わりに5−アミドインドールを使用する以外は合成例1と同様な方法で重合を行った。暗青色の2,9,14−トリアミド−6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール、(5―アミドインドール三量体)1.07g(収率75%)を得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.59S/cmであった。元素分析の結果は(C9. 0 0H6.01N2.02O1.97Cl0.15)3であった。
【0061】
合成例9
6−ニトロインドール三量体の合成
合成例1においてインドール−5−カルボン酸の代わりに6−ニトロインドールを使用する以外は合成例1と同様な方法で重合を行った。暗青色の6,11−ジヒドロ−3,8,13−トリニトロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール、(6―ニトロインドール三量体)1.12g(収率79%)を得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.53S/cmであった。元素分析の結果は(C8. 0 0H4.00N2.02O1.97Cl0.15)3であった。
【0062】
合成例10
脱ドープ状態のインドール−5−カルボニトリル三量体の合成
合成例7にて合成したインドール−5−カルボニトリル三量体1.00gを、1Mアンモニア水中で分散させ、1時間攪拌した。攪拌後、桐山漏斗で吸引濾過し、水、次いでメタノールで洗浄し、乾燥して、黒色の脱ドープ状態のインドール−5−カルボニトリル三量体0.95gを得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.04S/cm以下であった。元素分析の結果は(C9.00H4.02N2.02)3であった。
【0063】
合成例11
脱ドープ状態のポリアニリンの合成
アニリン100mmolを25℃で1mol/L 硫酸水溶液に攪拌溶解し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間更に攪拌した後に反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、重合体粉末8gを得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、1.0S/cm以下であった。この重合体を25℃で1時間で1mol/Lアンモニア水中で分散攪拌した後に濾別洗浄後乾燥し、脱ドープ状態の重合体粉末5gを得た。
【0064】
合成例12
ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)の合成(スルホン化ポリアニリン)
2−アミノアニソール−4−スルホン酸100mmolを25℃で4mol/Lのアンモニア水溶液に攪拌溶解し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間更に攪拌した後に反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、重合体粉末15gを得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.11S/cm以下であった。
【0065】
実施例1
上記合成例1の6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−2,9,14−トリカルボン酸、(インドール−5−カルボン酸三量体)0.2質量部をジメチルホルムアミド100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、100℃で乾燥させた。膜厚0.1μmの表面の平滑な表面抵抗値6.4×108Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0066】
実施例2
インドール−5−カルボン酸三量体5質量部、アンモニア1質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚3.5μmの表面の平滑な表面抵抗値2.2×106Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0067】
実施例3
インドール−5−カルボン酸三量体3質量部、アクリルエマルション「ダイヤナールMX−1708」(三菱レイヨン社製)20質量部、アンモニア1.0質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚3.0μmの表面の平滑な表面抵抗値1.4×107Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0068】
実施例4
上記合成例2の6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−3,8,13−トリカルボン酸、(インドール−6−カルボン酸三量体)3質量部、ビニルエマルション「ぺガールP365」(高圧ガス化学社製)4質量部、モノメチルアミン0.2質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚3.0μmの表面の平滑な表面抵抗値6.0×107Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0069】
実施例5
上記合成例3の6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−2,9,14−トリスルホン酸、(インドール−5−スルホン酸三量体)3質量部、アクリルエマルション「ダイヤナールMX−1708」(三菱レイヨン社製)20質量部、アンモニア0.4質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚2.0μmの表面の平滑な表面抵抗値2.9×107Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0070】
実施例6
上記合成例4の6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−1,10,15−トリカルボン酸、(インドール−4−カルボン酸三量体)3質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸1質量部、トリエチルアミン2質量部を水50質量部、メタノール50質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚2.0μmの表面の平滑な表面抵抗値2.2×107Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0071】
実施例7
インドール−5−カルボン酸三量体5質量部、アンモニア2質量部、アクリルエマルション「ダイヤナールMX−1708」(三菱レイヨン社製)20質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸1質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚5.0μmの表面の平滑な表面抵抗値2.5×106Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0072】
実施例8
上記合成例5の6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−1,10,15−トリスルホン酸(インドール−4−スルホン酸三量体)3質量部、アンモニア2質量部、ウレタンエマルション「アデカボンタイターUX−1845」(旭電化社製)4質量部、パーフルオロドデシルカルボン酸1質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をPETフィルム上にバーコード法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚2.0μmの表面の平滑な表面抵抗値2.8×107Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0073】
実施例9
インドール−5−カルボン酸三量体1質量部、水溶性ポリエステル樹脂「アラスター300」(荒川化学工業社製)4質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸1質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をPETフィルム上にバーコード法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚1.0μmの表面の平滑な表面抵抗値5.0×107Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0074】
実施例10
インドール−4−カルボン酸三量体1質量部、臭化リチウム2質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚1.0μmの表面の平滑な表面抵抗値1.0×108Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0075】
実施例11
インドール−6−カルボン酸三量体3質量部、アンモニア2質量部、塩化リチウム2質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をPETフィルム上にバーコード法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚3.0μmの表面の平滑な表面抵抗値1.0×107Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0076】
実施例12
インドール−5−カルボン酸三量体0.5質量部、アンモニア1質量部、水溶性ポリエステル樹脂「アラスター300」(荒川化学工業社製)3質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚0.5μmの表面の平滑な表面抵抗値2.0×108Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0077】
実施例13
インドール−5−カルボン酸三量体1質量部、アンモニア1質量部、水溶性ポリエステル樹脂「アラスター300」(荒川化学工業社製)3質量部、塩化リチウム1質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚1.0μmの表面の平滑な表面抵抗値5.0×107Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0078】
実施例14
インドール−6−カルボン酸三量体3質量部、アンモニア0.5質量部、ウレタンエマルション「アデカボンタイターUX−1845」(旭電化社製)3質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸1質量部、塩化リチウム2質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をPETフィルム上にバーコード法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚3.0μmの表面の平滑な表面抵抗値2.5×107Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0079】
実施例15
インドール−5−スルホン酸三量体3質量部、水溶性ポリエステル樹脂「アラスター300」(荒川化学工業社製)3質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸1質量部、塩化リチウム2質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚3.0μmの表面の平滑な表面抵抗値2.5×107Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0080】
実施例16
インドール−5−カルボン酸三量体5質量部、アンモニア3質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸1質量部、塩化リチウム2質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚3.0μmの表面の平滑な表面抵抗値2.5×106Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0081】
実施例17
上記合成例6の2,9,14−トリフルオロ−6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール(5−フルオロインドール三量体)1質量部、ポリエステル樹脂(東洋紡バイロン290)4質量部、アンモニア0.2質量部をイソプロパノール100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にキャストコート法により塗布し、70℃で乾燥させた。膜厚3.0μmの表面の平滑な表面抵抗値1.0×108Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0082】
実施例18
上記合成例7の6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−2,9,14−トリカルボニトリル、(インドール−5−カルボニトリル三量体)1質量部、ポリエステル樹脂(東洋紡バイロン290)0.5質量部、アンモニア0.7質量部をアセトン100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にディップ法により塗布し、70℃で乾燥させた。膜厚1.0μmの表面の平滑な表面抵抗値3.0×107Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0083】
実施例19
5−フルオロインドール三量体3質量部、ポリエステル樹脂(東洋紡バイロン290)0.5質量部をジメチルホルムアミド100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、100℃で乾燥させた。膜厚3.0μmの表面の平滑な表面抵抗値2.0×107Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0084】
実施例20
上記合成例8の2,9,14−トリアミド−6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール、(5―アミドインドール三量体)3質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸1質量部をジメチルホルムアミド100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をPETフィルム上にバーコード法により塗布し、100℃で乾燥させた。膜厚2.0μmの表面の平滑な表面抵抗値2.5×107Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0085】
実施例21
5−シアノインドール三量体1質量部、ポリエステル樹脂(東洋紡バイロン290)3質量部、塩化リチウム2質量部をメタノール100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、70℃で乾燥させた。膜厚3.0μmの表面の平滑な表面抵抗値5.0×107Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0086】
実施例22
上記合成例9の6,11−ジヒドロ−3,8,13−トリニトロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール、(6―ニトロインドール三量体)1質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸1質量部、塩化リチウム2質量部をジメチルアセトアミド100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、100℃で乾燥させた。膜厚1.0μmの表面の平滑な表面抵抗値5.0×107Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0087】
実施例23
上記合成例10の脱ドープ状態のインドール−5−カルボニトリル三量体8質量部をジメチルホルムアミド100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、150℃で乾燥させた。このガラス基板を1M硫酸水溶液中に5分間浸漬した後、100℃にて乾燥させた。膜厚2.0μmの表面の平滑な表面抵抗値1.1×106Ωの無色透明フィルムが得られた。
【0088】
比較例1
上記合成例11の脱ドープ状態のポリアニリン1質量部、アクリルエマルション「ダイヤナールMX−1708」(三菱レイヨン社製)20質量部、パーフルオロドデシルカルボン酸1質量部をN−メチル−2−ピロリドン100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、150℃で乾燥させた。このガラス基板を1M硫酸水溶液に10分浸漬させ100℃で乾燥させ、膜厚1.0μmの表面の平滑な表面抵抗値3.0×109Ωの濃青色フィルムが得られた。
【0089】
比較例2
カーボンブラック1質量部、アクリルエマルション「ダイヤナールMX−1708」(三菱レイヨン社製)20質量部、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム1質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚1.0μmの表面の平滑な表面抵抗値3.0×1012Ωの黒色フィルムが得られた。
【0090】
比較例3
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム1質量部、アクリルエマルション「ダイヤナールMX−1708」(三菱レイヨン社製)20質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚0.7μmの表面の平滑な表面抵抗値5.0×1013Ωのフィルムが得られた。
【0091】
比較例4
上記合成例12のポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)(スルホン化ポリアニリン)1質量部、アンモニア1質量部、水溶性ポリエステル樹脂「アラスター300」(荒川化学工業社製)3質量部、塩化リチウム1質量部を水100質量部に室温で攪拌溶解し導電性組成物を調整した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚1.0μmの表面の平滑な表面抵抗値7.5×107Ωの黄色透明フィルムが得られた。
【0092】
【発明の効果】
1.本発明による導電性組成物は、該組成物を適当な基材に塗布、スプレー、キャスト、ディップ及び加熱処理のみで湿度依存性がなく高い導電性を発現し成膜性、成形性、無色透明性に優れた導電性薄膜を得ることができる。
2.本発明においては、インドール誘導体三量体を成膜性、成形性、無色透明性に優れた透明導電性高分子膜を、適当な基材に塗布、スプレー、キャスト、ディップなどの加工により形成後、常温で放置あるいは加熱処理のみで湿度依存性がなく高い導電性を発現し、表面抵抗のばらつきが小さい導電体を得ることができる。
Claims (15)
- インドール誘導体三量体(A)、及び溶媒(B)を含むことを特徴とする導電性組成物。
- 導電性組成物が塩基性化合物(C)を含むことを特徴とする請求項1記載の導電性組成物。
- 導電性組成物が高分子化合物(D)を含むことを特徴とする請求項1または2記載の導電性組成物。
- 導電性組成物が界面活性剤(E)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性組成物。
- 導電性組成物が無機塩(F)を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性組成物。
- インドール誘導体三量体(A)が、
- インドール誘導体三量体(A)が、
- インドール誘導体三量体(A)が、
- インドール誘導体三量体(A)が
- インドール誘導体三量体(A)が積層構造であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性組成物。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の導電性組成物より形成される透明導電性膜を有することを特徴とする導電体。
- 透明導電性膜に酸がドーパントとして付加していることを特徴とする請求項11記載の導電体。
- 基材の少なくとも一つの面上に、請求項1〜10のいずれか1項に記載の導電性組成物を塗布し透明導電性膜を形成した後に、常温で放置あるいは加熱処理を行うことを特徴とする導電体の形成方法。
- 透明導電性膜を形成した後に、酸によるドーピング処理を行い、次いで常温で放置あるいは加熱処理を行うことを特徴とする請求項13記載の導電体の形成方法。
- 加熱処理を常温から250℃の温度範囲で行うことを特徴とする請求項13または14記載の導電体の形成方法。
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