JP3737563B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、業務用および家庭用の空調等に使用されるスクロール圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷凍用の電動圧縮機としては、圧縮部がレシプロ式のもの、ロータリー式のものが有り、いずれの方式も家庭用、業務用の空調分野で使用されてきており、現在はコスト、性能面等でそれぞれ特徴を生かして成長してきている。そしてスクロール式の圧縮機がその低騒音、低振動という特徴を生かして実用化されてきた。従来、空調用に使用されているスクロール圧縮機としては、特開平6−307356号公報に開示されたものが知られている。
【0003】
図11に従来のスクロール圧縮機の縦断面図、図12に図11の要部縦断面図、さらに図13に図11のスラスト軸受け部の平面図を示す。
【0004】
密閉容器1の内部には、固定スクロール2aと固定スクロール2aに対して旋回運動する可動スクロール2bを噛み合せた圧縮機構2と、可動スクロール2bを支えるスラスト軸受3、スラスト軸受3を支承する軸受部品4を上部に設けている。そして可動スクロール2bの軸2cを、クランク軸5の端部5aに設けられた穴部の偏芯軸受6に挿入し可動スクロール2bをクランク軸5により旋回運動させる。クランク軸5には電動機7の回転子7aが取り付けられており、密閉容器1に焼き嵌め固定された固定子7bとともに軸受部品4の下部に配設されている。クランク軸5は、軸受部品4の主軸受8で支えられている。密閉容器1の下方底部には潤滑油9を貯溜する油だめ10が設けられている。また密閉容器1の側部にはガスの吸入管11が設けられている。そして密閉容器1の内部のスペーサー22より下側には吸入側のガス圧力が、スぺーサーより上側には圧縮側のガス圧力が作用する構成となっている。前記軸受部品4には主軸受8、偏芯軸受6、スラスト軸受3を潤滑、冷却した潤滑油9を排出する油排出口12が設けられている。クランク軸5には潤滑油9を各軸受部、即ち主軸受8、偏芯軸受6、スラスト軸受3へ供給する貫通穴13を設け、かつクランク軸5の下端には油ガイド14を圧入または、焼き嵌め固定して取り付け、潤滑油9を吸い上げるようにしている。15は固定スクロールの上部に設けられた吐出チャンバー、16は密閉容器1の外へ圧縮ガスを出す吐出管である。固定スクロール2aと軸受部品4とはスペーサー22をはさんでボルトで締結されている。スペ−サ−22は、その外周で密閉容器1に密封溶接固定されており、下方の吸入圧力部と上方の圧縮圧力部の仕切りとなっている。19は停止時に可動スクロール2bが逆転するのを防ぐための逆止弁、24は逆止弁の動きを規制する逆止弁ガイド、20は可動スクロール2bを固定スクロール2aに対して旋回運動させるための自転防止用のオルダムリング、21は圧縮機構2へ低圧ガスを吸い込ませる軸受部品4に設けた吸入口である。
【0005】
次に上記構成からなる圧縮機構の作用を説明する。低圧ガスは吸入管11より戻り、圧縮機構2に吸入される。固定スクロール2aに対して可動スクロール2bを自転しないよう公転させながら旋回運動させることにより、固定スクロール2aと可動スクロール2bとで形成された複数の圧縮空間が外方から内方へ向かって次第に縮小させられて圧縮が行われる。圧縮されたガスは高圧ガスとなり、一旦吐出チャンバー15へ入る。そして吐出管16より密閉容器1外へ吐出し、再び低圧ガスを循環させ、周知の圧縮サイクルを構成する。
【0006】
一方、油ガイド14で吸い上げられた潤滑油9は、クランク軸5の貫通穴13の中を上昇し、偏芯軸受6、スラスト軸受3、主軸受8を潤滑、冷却して、油排出口12から固定子7b上部へ排出し、固定子7bの切り欠き部18を通って油だめ10に戻る潤滑サイクルを形成している。
【0007】
このように、可動スクロール2bは、圧縮された高圧ガスによってスラスト軸受け面に非常に大きな力で押しつけられながら小さな旋回半径の旋回運動を行うものであるが、図13に示したような円板状平面のみでスラスト軸受け3を構成し、可動スクロール2bとスラスト軸受け面の間に潤滑油を供給して、可動スクロール2bあるいはスラスト軸受け面が摩耗しないようにしていた。
【0008】
従来は潤滑性の非常に高い冷媒HCFC22等を作動冷媒に用い、また、潤滑油も潤滑性の高い鉱油系を用いることができたため、平面円板のみのスラスト軸受け3であっても、大きな摩耗が発生して大きな損失を招くことはなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構成のスラスト軸受け3では、可動スクロール2bは自転するのではなく10mm以下の小さな旋回径で公転運動するのみであるため、低摺動速度となり、また油圧発生機構もないため摺動面には油膜が維持されにくかった。このため、圧縮機全損失に占めるスラスト軸受け損失が大きかった。また、油膜内の圧力も高められないので、摺動条件が非常に過酷なものとなり、スラスト軸受け3の表面と可動スクロール2bは金属接触が生じやすく、可動スクロール2bあるいはスラスト軸受け3表面に摩耗が発生する場合があった。この様に摩耗が発生すると、コンプッレッサの効率を低下させるだけでなく、信頼性も損ねていた。
【0010】
さらに、今後使用せねばならない代替冷媒とそれに対応した潤滑油を用いた場合、潤滑性が乏しくなるため、スラスト軸受け部での摩耗発生が考えられる。しかしながら、従来の平面円板状のスラスト軸受けでは負荷能力をさらに高めることは困難である。
【0011】
本発明は、上記従来のスクロール圧縮機の課題に鑑み、スラスト軸受け部の耐摩耗性の向上による高信頼性化、および高効率化を可能とするスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明のスクロール圧縮機は、第1の解決手段として、可動スクロールを支えるスラスト軸受上に、リング状板材を設置し、このリング状板材の表面に複数のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは複数のテーパランド軸受け機構を形成し、さらに裏面に単一のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは単一のテーパランド軸受け機構を形成したものである。
【0013】
また、第2の解決手段として、可動スクロールを支えるスラスト軸受上に、複数枚のリング状板材を設置し、最上部のリング状板材の表面に複数のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは複数のテーパランド軸受け機構を形成し、さらに下層のリング状板材の表裏に単一のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは単一のテーパランド軸受け機構を形成したものである。
【0014】
また、第3の解決手段として、可動スクロールを支えるスラスト軸受上に、複数枚のリング状板材を設置し、最上部のリング状板材の表面に複数のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは複数のテーパランド軸受け機構を形成し、この裏面に単一のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは単一のテーパランド軸受け機構を形成し、さらに下層のリング状板材の裏面に単一のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは単一のテーパランド軸受け機構を形成したものである。
【0015】
また、第4の解決手段として、可動スクロールを支えるスラスト軸受上に、複数枚のリング状板材を設置し、最上部のリング状板材に板材を貫通するパターンからなる複数のスパイラル溝付き軸受け機構を形成し、さらに下層のリング状板材の裏面に単一のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは単一のテーパランド軸受け機構を形成したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の第一の実施形態におけるスクロール圧縮機のスラスト軸受け部の要部断面図、図2は図1に示したスラスト軸受け部の平面図、図3はリング状板材(表面)の平面図、図4は図3に示したリング状板材(表面)に形成したスパイラル溝付き軸受機構の拡大平面図、図5はリング状板材(裏面)の平面図である。
【0017】
ここで図1から図5に示す本実施の形態のスクロール圧縮機は、図11から図13で詳述した従来のスクロール圧縮機とスラスト軸受け部を除いてほぼ同一の構成であり、同一機能部品については同一番号を使用する。したがって、従来例と同一の構成および作用の説明は省くことにする。
【0018】
可動スクロール2bを支えるスラスト軸受25、スラスト軸受25を支承する軸受部品4を密閉容器1内部の上部に設けている。そして、可動スクロール2bとスラスト軸受25の間に、回転自在なリング状板材26を設置している。このリング状板材26の可動スクロール2bと接する摺動面(表面)には、図3に示すように、図4に示したスパイラル溝付き軸受機構27を計10個設けている。さらにリング状板材26のスラスト軸受25と接する裏面には、図5に示す単一のスパイラル溝付き軸受け機構28を形成している。
【0019】
リング状板材26の可動スクロール2bと接する摺動面(表面)に設けたスパイラル溝付き軸受け機構27の直径は可動スクロール2bの旋回径である9mmに等しく設定し、多数のスパイラル溝付き軸受け機構27はリング状板材26の表面上にエッチング加工あるいは機械加工等によって、浅い螺旋状の溝部29と非加工部のランド部30を交互に設けることにより形成した。溝部29とランド部30の高さの差は、0.15mmである。
【0020】
リング状板材26の裏面にも、エッチング加工あるいは機械加工等によって、一つのスパイラル溝付き軸受け機構28を形成した。スパイラル溝付き軸受け機構28の直径はスラスト軸受25の径、リング状板材26の径にほぼ等しくした。溝部とランド部の高さの差は同様に0.15mmである。リング状板材26の表面と裏面に設けたスパイラル溝付き軸受け機構27、28は、相似形であり、表面に設けたスパイラル溝付き軸受け機構27の大きさは、裏面のスパイラル溝付き軸受け機構28の大きさの約1/8である。
【0021】
次に、可動スクロール2bの軸2cを、クランク軸5の端部5aに設けられた穴部の偏芯軸受6に挿入し、可動スクロール2bをクランク軸5により旋回運動させる。前記軸受部品4には主軸受8、偏芯軸受6、スラスト軸受3を潤滑、冷却した潤滑油を排出する排出口12が設けられている。クランク軸5には潤滑油を各軸受部、即ち主軸受8、偏芯軸受6、スラスト軸受3へ供給する貫通穴13を設け、潤滑油を吸い上げるようにしている。20は可動スクロール2bを固定スクロールに対して旋回運動させるための自転防止用のオルダムリング、21は圧縮機構2へ低圧ガスを吸い込ませる軸受部品4に設けた吸入口である。
【0022】
次に上記構成からなる圧縮機構の作用を説明する。低圧ガスは吸入管より戻り、圧縮機構に吸入される。固定スクロール2aに対して可動スクロール2bを自転しないよう公転させながら旋回運動させることにより、固定スクロール2aと可動スクロール2bとで形成された複数の圧縮空間が外方から内方へ向かって次第に縮小させられて圧縮が行われる。圧縮されたガスは高圧ガスとなる。
【0023】
一方、潤滑油はクランク軸5の貫通口13の中を上昇し、偏芯軸受6、スラスト軸受3、主軸受8を潤滑、冷却して、油排出口12から固定子上部へ排出され、油だめに戻る潤滑サイクルを形成している。
【0024】
このように、可動スクロール2bは、圧縮された高圧ガスによってスラスト軸受け25表面に非常に大きな力で押しつけられながら小さな旋回運動を行うものである。しかしながら、本実施の形態では、可動スクロール2bを支えるスラスト軸受25面上に、回転自在なリング状板材26を設置し、このリング状板材26の表面に旋回径と同一径の多数のスパイラル溝付き軸受け機構27を形成しているため、可動スクロール2bの旋回運動によって潤滑油をリング状板材26の表面のスパイラル溝付き軸受け機構27の溝部29へ誘い込み、溝流路断面積を減少させることにより、大きな油膜圧力を発生させるとともに、回転自在なリング状板材26に回転力を与えることが可能となる。そのため、可動スクロール2bの旋回運動によって、リング状板材26は回転運動を行うことになる。また、リング状板材26の表面に設けたスパイラル溝付き軸受け機構27の径を可動スクロール2bの旋回径と同一とすることによって、可動スクロール2bの旋回運動により、潤滑油がより効率的にスパイラル状の溝部29に送り込まれることになるため、リング状板材26表面で油膜が切れて金属接触が発生することも防ぐことができる。
【0025】
さらに、リング状板材26の裏面にリング状板材26の径と同じ大きさのスパイラル溝付き軸受け機構28を一つ形成しているため、リング状板材26の回転運動によって、リング状板材26裏面とスラスト軸受25の間にも、大きな油膜圧力を発生させることができ、リング状板材26裏面で油膜が切れて金属接触が発生することも防ぐことができるとともに、摩擦係数を低下させることができる。
【0026】
しかも、可動スクロール2bとスラスト軸受面の間に浮動リングを挿入することになるため、可動スクロール2bの旋回にともなってリング状板材26も回転運動し、両者間の摩擦を減少させることができる。さらに、可動スクロール2bとスラスト軸受の間に、両者とは異なる材料のリング状板材26を挿入することになるため、低摩擦係数を有するリング状板材とすることが可能となり、摺動損失を減少できる。
【0027】
このように、可動スクロール2bとリング状板材26とスラスト軸受面の間に常に圧力の高い油膜を形成し、摺動状態を流体潤滑状態とすることにより、スラスト軸受の摺動損失を減少させ、かつ摩耗を防ぐことができる。したがって、軸受け負荷能力を高めることができ、スラスト軸受の摺動損失を減少させ、摩耗を防ぐことが可能となる。
【0028】
したがって、本発明によれば、スラスト軸受の摺動損失を減少させ、かつ摩耗を防ぐことが可能となる。
【0029】
また、このように負荷能力の高い軸受けであるから、今後使用せねばならない潤滑性に乏しい代替冷媒とそれに対応した潤滑油を用いた場合でも、スラスト軸受け部で摩耗が発生することはない。
【0030】
さらに、このような構成とすることにより、リング状板材の表面上にスパイラル溝付き軸受け機構を形成した後、そのリング状板材をスラスト軸受上に設置できるため、工法上非常に容易となる。すなわち、小さく薄いリング状板材を加工するため、量産性に優れ製造コストを低下させることが可能となる。
【0031】
なお、本実施の形態では、スパイラル溝付き軸受け機構としたが、スパイラル溝付き軸受けの代わりに同様な機能を有する内外から溝を形成したへリングボーン溝軸受け、あるいは外周部のみに溝を形成した部分溝付き軸受けであっても、同様な効果が得られる。
(実施の形態2)
以下本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。図6は本発明の第2の実施の形態におけるスクロール圧縮機のスラスト軸受け部の平面図、図7はリング状板材(表面)の平面図、図8は図7に示したリング状板材(表面)に形成したテーパランド軸受け機構の拡大平面図、図9は図8のテーパランド軸受け機構の要部断面図である。
【0032】
第1の実施の形態と異なるのは、リング状板材32(表面)にスパイラル溝付き軸受け機構27の代わりに、図8に示すテーパランド軸受け機構33を形成した点である。リング状板材32(表面)上に旋回方向に傾斜をつけたテーパ部34と一定高さのランド部35が多数円形状に形成されて、一つのテーパランド軸受け機構33を構成している。テーパランド軸受け機構33の直径は可動スクロールの旋回径である9mmであり、リング状板材32の表面上にエッチング加工あるいは機械加工等によって、テーパ部34と一定高さのランド部35を交互に設けることにより形成した。さらに、スラスト軸受31と接するリング状板材32の裏面には、リング状板材32の径と同じ大きさのテーパランド軸受け機構33を一つ形成している。
【0033】
このように、可動スクロール2bを支えるスラスト軸受31面上に、回転自在なリング状板材32を設置し、このリング状板材32の表面に旋回径と同一径の多数のテーパランド軸受け機構33を形成し、さらにリング状板材32の裏面にリング状板材32の径と同じ大きさのテーパランド軸受け機構33を一つ形成しているため、可動スクロール2bの旋回運動によって潤滑油をリング状板材32の表面のテーパランド軸受け機構33へ誘い込むことによって、テーパ部34でくさび効果が発生し、その結果、大きな油膜圧力を生じさせるとともに、リング状板材32に回転力を与えることが可能となる。また、テーパ部34の油膜がランド部35に可動スクロール2bの旋回運動により引っぱり込まれることにより、油膜形成も容易となる。
【0034】
さらに、リング状板材32の裏面にリング状板材32の径と同じ大きさのステーパランド軸受け機構33を一つ形成しているため、リング状板材32の回転運動によって、リング状板材32裏面とスラスト軸受31の間にも、大きな油膜圧力を発生させることができるため、リング状板材32裏面で油膜が切れて金属接触が発生することも防ぐことができるとともに、摩擦係数を低下させることができる。
【0035】
したがって、可動スクロールとスラスト軸受面の間に常に圧力の高い油膜を形成し、摺動状態が流体潤滑状態とすることにより、スラスト軸受の摺動損失を減少させ、かつ摩耗を防ぐことができる。
【0036】
なお、リング状板材32の裏面に、テーパランド軸受け機構33の代わりに、スパイラル溝付き軸受け機構28を形成しても、同様な効果が得られることは言うまでもない。
(実施の形態3)
図10は本発明の他の実施の形態におけるスクロール圧縮機のスラスト軸受け部の要部断面図である。
【0037】
第1の実施形態と異なるのは、可動スクロール2bを支えるスラスト軸受36上に、2枚のリング状板材37、38を重ねて設置し、上部のリング状板材37の表面に図4に示した直径9mmのスパイラル溝付き軸受け機構27を10個形成し、さらに下部のリング状板材38の表裏にそれぞれ同じ直径75mmの図5に示したスパイラル溝付き軸受け機構28を形成した点である。すなわち、可動スクロール2bとスラスト軸受け36面の間に、複数のスパイラル溝付き軸受け機構27を形成したリング状板材37と、表裏にそれぞれリング状板材38の径と同じ大きさのスパイラル溝付き軸受け機構28を形成したリング状板材38を、挿入する構成とした。
【0038】
このような構成とすることにより、第1の実施形態と同様に、上部のリング状板材37の表面に高い油膜圧力を発生させるとともに、可動スクロール2bの旋回運動をリング状板材37の回転運動に変換することができる。さらに、本実施形態では、二枚目の下部のリング状板材38で、一枚目の上部のリング状板材37の回転運動のスラスト軸受けを受け持つことが可能となる。単なる、回転運動のスラスト軸受けは、従来から良く知られているように、二枚目の下部のリング状板材38に設けたスパイラル溝付き軸受け機構28あるいはテーパランド軸受け機構33で、効率よく支持することができる。
【0039】
このように、本発明の実施の形態を用いることにより、旋回スラスト軸受けの役割を分割(すなわち一枚目のリング状板材には油圧発生と回転運動への変換の役目、二枚目のリング状板材には回転運動専用のスラスト軸受の役目)でき、一枚目と二枚目のリング状板材の仕様をそれぞれ最適化するのが容易となる。したがって、旋回スラスト軸受けの摺動損失を小さくすることが可能である。
(実施の形態4)
第4の実施の形態を以下に示す。可動スクロール2bを支えるスラスト軸受上に、2枚のリング状板材を重ねて設置し、上部のリング状板材の表面に直径9mmのスパイラル溝付き軸受け機構27を10個形成した点は第3の実施形態と同じであるが、本実施形態が異なるのは、一枚目のリング状板材の裏面に単一のスパイラル溝付き軸受け機構28を形成し、さらに2枚目のリング状板材には裏面のみに単一のスパイラル溝付き軸受け機構28を形成した点である。
【0040】
このように、2枚目のリング状板材には裏面のみに単一のスパイラル溝付き軸受け機構を形成するため、表裏両面に油圧発生機構を形成する場合に比較して工法上非常に容易となる。すなわち、量産を容易にしかも低コストで行うことが可能となる。
(実施の形態5)
第5の実施の形態を以下に示す。可動スクロール2bを支えるスラスト軸受上に、2枚のリング状板材を重ねて設置し、2枚目のリング状板材には裏面のみに単一のスパイラル溝付き軸受け機構28を形成した点は第4の実施形態と同じであるが、本実施形態が異なるのは、1枚目のリング状板材に板材を貫通するパターンからなる10個のスパイラル溝付き軸受け機構を形成した点である。すなわち、これまでの実施形態のスパイラル溝付き軸受け機構27では、溝部29はランド部30から深さ0.15mmエッチングしていたが、本実施形態では、スパイラル溝付き軸受け機構のパターンを完全にエッチングで抜いてしまっている。すなわち、溝部の深さはリング状板材の板厚に等しい。
【0041】
このような構成とすることにより、スパイラル溝付き軸受け機構の溝部の深さが最大となるため、スパイラル溝付き軸受け機構で発生した油圧の回転方向成分が最も大きくなり、一枚目の上部のリング状板材に作用するリング状板材の回転力を高めることができる。このため、可動スクロール2bの旋回運動をリング状板材の回転運動へ変換する効率が非常に高くなる。回転運動のスラスト軸受けは、スパイラル溝付き軸受け機構あるいはテーパランド軸受け機構で、効率よく支持することができるため、本実施形態とすることにより、旋回スラスト軸受けの効率を非常に高く、すなわち摺動損失を小さくすることが可能である。
【0042】
なお、以上の説明では、スラスト軸受上に2枚のリング状板材を設けた場合の例で説明したが、リング状板材の枚数は2枚以上であれば同様な効果が得られることは言うまでもない。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、可動スクロールを支えるスラスト軸受面上に設けたリング状板材の表面上に油膜が容易に形成されるだけでなく、その油膜圧力を高くすることが可能となるため、その摺動状態が流体潤滑状態となる。
【0044】
さらに、可動スクロールの旋回運動がリング状板材の回転運動を引き起こし、このリング状板材の回転運動をリング状板材の裏面に設けた油圧発生機構で支持することにより、スラスト軸受の摺動損失を減少させ、かつ摩耗を防ぐことができるという顕著な効果が得られる。その結果、潤滑性の低い代替冷媒および代替冷媒対応潤滑油に対しても、スラスト軸受け部の耐摩耗性の向上による高信頼性化、および高効率化を可能とするスクロール圧縮機を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるスクロール圧縮機のスラスト軸受け部の要部縦断面図である。
【図2】同実施の形態のスラスト軸受け部の平面図である。
【図3】同実施の形態のリング状板材の表面の平面図である。
【図4】同実施の形態のスパイラル溝付き軸受け機構の平面図である。
【図5】同実施の形態のリング状板材の表面の平面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるスラスト軸受け部の平面図である。
【図7】同実施の形態のリング状板材の表面の平面図である。
【図8】同実施の形態のテーパランド軸受け機構の平面図である。
【図9】同実施の形態のテーパランド軸受け機構の要部縦断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態におけるスクロール圧縮機のスラスト軸受け部の要部縦断面図である。
【図11】従来のスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図12】同従来例のスラスト軸受け部の要部縦断面図である。
【図13】同従来例のスラスト軸受け部の平面図である。
【符号の説明】
2…圧縮機構
2a…固定スクロール
2b…可動スクロール
3、25、31、36…スラスト軸受
4…軸受部品
8…主軸受
26、32、37、38…リング状板材
27、28…スパイラル溝付き軸受け機構
29…溝部
30、35…ランド部
33…テーパランド軸受け機構
34…テーパ部
Claims (7)
- 密閉容器の内部に、固定スクロールとこの固定スクロールに対して旋回運動する可動スクロールを噛みあわせた構成の圧縮機構と、前記可動スクロールを支えるスラスト軸受と、軸受部品と、前記可動スクロールを旋回駆動させるクランク軸と、前記クランク軸に取り付けた回転子及び前記密閉容器に取り付けた固定子を有する電動機と、前記密閉容器の内部に潤滑油を貯蔵する油だめとを備え、前記可動スクロールを支えるスラスト軸受上にリング状板材を設置し、このリング状板材の可動スクロールと接する面に、複数のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは複数のテーパランンド軸受け機構を形成し、さらに前記リング状板材のスラスト軸受と接する面に、単一のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは単一のテーパランド軸受け機構を形成したことを特徴とするスクロール圧縮機。
- 密閉容器の内部に、固定スクロールとこの固定スクロールに対して旋回運動する可動スクロールを噛みあわせた構成の圧縮機構と、前記可動スクロールを支えるスラスト軸受と、軸受部品と、前記可動スクロールを旋回駆動させるクランク軸と、前記クランク軸に取り付けた回転子及び前記密閉容器に取り付けた固定子を有する電動機と、前記密閉容器の内部に潤滑油を貯蔵する油だめとを備え、前記可動スクロールを支えるスラスト軸受上に複数枚のリング状板材を設置し、この最上部リング状板材の可動スクロールと接する摺動面に、複数のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは複数のテーパランド軸受け機構を形成し、さらに前記最上部リング状板材に接する下層のリング状板材の表裏に単一のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは単一のテーパランド軸受け機構を形成したことを特徴とするスクロール圧縮機。
- 密閉容器の内部に、固定スクロールとこの固定スクロールに対して旋回運動する可動スクロールを噛みあわせた構成の圧縮機構と、前記可動スクロールを支えるスラスト軸受と、軸受部品と、前記可動スクロールを旋回駆動させるクランク軸と、前記クランク軸に取り付けた回転子及び前記密閉容器に取り付けた固定子を有する電動機と、前記密閉容器の内部に潤滑油を貯蔵する油だめとを備え、前記可動スクロールを支えるスラスト軸受上に複数枚のリング状板材を設置し、この最上部リング状板材の可動スクロールと接する摺動面に、複数のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは複数のテーパランド軸受け機構を形成し、このリング状板材の裏面に、単一のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは単一のテーパランド軸受け機構を形成し、さらに前記最上部リング状板材に接する下層のリング状板材の裏面に、単一のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは単一のテーパランド軸受け機構を形成したことを特徴とするスクロール圧縮機。
- 密閉容器の内部に、固定スクロールとこの固定スクロールに対して旋回運動する可動スクロールを噛みあわせた構成の圧縮機構と、前記可動スクロールを支えるスラスト軸受と、軸受部品と、前記可動スクロールを旋回駆動させるクランク軸と、前記クランク軸に取り付けた回転子及び前記密閉容器に取り付けた固定子を有する電動機と、前記密閉容器の内部に潤滑油を貯蔵する油だめとを備え、前記可動スクロールを支えるスラスト軸受上に複数枚のリング状板材を設置し、可動スクロールと接する最上部リング状板材に板材を貫通するパターンからなる複数のスパイラル溝付き軸受け機構を形成し、さらに前記最上部リング状板材に接する下層のリング状板材の裏面に単一のスパイラル溝付き軸受け機構もしくは単一のテーパランド軸受け機構を形成したことを特徴とするスクロール圧縮機。
- リング状板材の可動スクロールと接する摺動面に形成したスパイラル溝付き軸受け機構の径が可動スクロールの旋回径に実質上等しい請求項1、2、3もしくは4記載のスクロール圧縮機。
- リング状板材の可動スクロールと接する摺動面に形成したテーパランド軸受け機構の径が可動スクロールの旋回径に実質上等しい請求項1、2、3もしくは4記載のスクロール圧縮機。
- リング状板材の材質を、可動スクロールの材質およびスラスト軸受の材質と異ならせた請求項1、2、3もしくは4記載のスクロール圧縮機。
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