JP3736580B2 - ジエン系ゴム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、補強剤としてシリカを配合した場合に優れた発熱性を示すとともに引張強度や耐摩耗性にも優れた4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム及びその製造方法並びにそれを含むジエン系ゴム混合物に関する。また、本発明は、4級アンモニム基含有ジエン系ゴムを含むゴム成分と補強剤とを含んでなるゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、省資源や環境対策などが重視されるにつれて、自動車の低燃費化に対する要求は、ますます厳しくなり、自動車タイヤについても、転動抵抗を小さくすることにより、低燃費化に寄与することが求められている。タイヤの転動抵抗を小さくするには、一般に、発熱性の低い加硫ゴムを与えることができるゴム材料を使用する。
【0003】
従来より、タイヤ用ゴム材料として、ジエン系ゴムに補強剤として、カーボンブラックに替えてシリカを配合したゴム組成物を用いることにより、発熱性を低めることが提案されている。ところが、シリカ配合ゴム組成物は、カーボンブラック配合ゴム組成物に比べて、十分な耐摩耗性と引張強度が得られないという問題点があった。この原因の一つは、ジエン系ゴムに対するシリカの親和性がカーボンブラックよりも小さいために、十分な補強効果を発現することができないことにあると考えられている。
【0004】
従来、シリカとジエン系ゴムとの親和性を高めるために、シリカと親和性のある置換基を導入したジエン系ゴムを用いることが検討されている。例えば、乳化重合法によるジエン系ゴムでは、3級アミノ基を導入したジエン系ゴム(特開平1−101344号公報)が、また、アニオン重合法によるジエン系ゴムでは、アルキルシリル基(特開平1−188501号公報)、ハロゲン化シリル基(特開平5−230286号公報)または置換アミノ基(特開昭64−22940号公報)などを導入したジエン系ゴムが提案されている。しかしながら、これらの置換基を導入したジエン系ゴムは、発熱性、引張強度及び耐摩耗性などの改善が十分でない。
【0005】
一方、特公昭58−41282号公報には、グリーン強度を改善する為に、主鎖中に3級アミノ基を有するブタジエン−スチレン共重合体と4,4’−ビス−(ブロモアセチル)−ジフェニルメタン(以下、BADMと略す。)などのジハロゲン化物とを反応させた生成物とカーボンブラックとからなるゴム組成物が開示されている。しかしながら、この反応生成物をシリカと配合すると、引張強度の改善はみられるが、シリカ配合の特徴である発熱性に劣り、しかも耐摩耗性などの特性も十分でないという欠点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、補強剤としてシリカを配合した場合に、転動抵抗の指標となる発熱性に優れ、しかもカーボンブラック配合物と同等の引張強度や耐摩耗性を示すジエン系ゴム及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、発熱性、引張強度及び耐摩耗性に優れたゴム組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究を重ねた結果、特定の4級アンモニウム基含有ジエン系ゴムを含むゴム成分とシリカとを配合することにより、発熱性、引張強度及び耐摩耗性に優れたゴム組成物が得られること、該4級アンモニウム基含有ジエン系ゴムが、(1)有機活性金属を開始剤にして得られる活性金属末端の重合体と変性剤を反応させて重合体鎖末端に3級アミノ基を生成させた後にアルキル化剤を反応する方法、または(2)有機活性金属アミドを開始剤にして得られる3級アミノ基が開始末端に結合した重合体とアルキル化剤を反応させる方法によって得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして本発明によれば、共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとの(共)重合体鎖の少なくとも一端に4つの炭素原子が結合した4級アンモニウム基を有し、芳香族ビニルの含有量が60重量%以下、共役ジエン結合単位のビニル結合割合が10%以上で、且つ重量平均分子量(Mw)が100,000〜2,000,000であるジエン系ゴム(i)が提供される。
本発明によれば、さらに、上記ジエン系ゴム(i)とその他のジエン系ゴム(ii)とからなるジエン系ゴム混合物が提供される。
【0009】
本発明によれば、さらに、炭化水素系溶媒中、有機活性金属を開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させて得られる重合体鎖末端に活性金属を結合した(共)重合体と、変性剤(Y)を反応させて重合体鎖末端に3級アミノ基を導入させた後に、アルキル化剤を反応させることを特徴とするジエン系ゴムの製造方法が提供される。
【0010】
本発明によれば、さらに、炭化水素系溶媒中、有機活性金属アミドを開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させ、次いでアルキル化剤を反応させることを特徴とするジエン系ゴムの製造方法が提供される。
本発明によれば、さらに、炭化水素系溶媒中、有機活性金属アミドを開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させて得られる重合体鎖末端に活性金属を結合した(共)重合体と、多官能カップリング剤及び/または変性剤(X)を反応させて、次いでアルキル化剤を反応させることを特徴とするジエン系ゴムの製造方法が提供される。
【0011】
本発明によれば、さらに、上記ジエン系ゴム(i)または上記ジエン系ゴム混合物を含んでなるゴム成分と補強剤を含有するゴム組成物が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
第4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)
本発明の第4級アンモニウム基含有のジエン系ゴム(i)は、少なくとも一つの重合体鎖末端に4つの炭素原子が結合した第4級アンモニウム基を有する共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとの(共)重合体である。
【0013】
共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンなどが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。これらの共役ジエンは、それぞれ単独、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0014】
芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン等を挙げることができる。これらの中でも、スチレンが好ましい。芳香族ビニルは、それぞれ単独、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0015】
重合体中の芳香族ビニルの含有量は、0〜60重量%で、使用目的に応じて適宜選択できる。例えば、発熱性を特に重視する場合は、通常、共役ジエン単独重合体が用いられる。一方、発熱性やウエットスキッド抵抗を高度にバランスさせるには、共役ジエンと芳香族ビニルとの共重合体が用いられ、その場合の共重合体中の各単量体の含有量は、共役ジエンが、通常40〜95重量%、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは55〜85重量%の範囲であり、芳香族ビニルが、それぞれ、60〜5重量%、好ましくは50〜10重量%、より好ましくは45〜15重量%の範囲である。芳香族ビニルの含有量が過度に多いと発熱性が十分でなく好ましくない。
【0016】
4級アンモニウム基としては、4つの炭素原子が結合したものであれば格別な限定はなく、例えば、一般式(1)
【化1】
[式中、R1、R2、R3は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基、Aはアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R4−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R4はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基、Xはハロゲン原子を示し、R1とAは一緒になってヘテロ環を形成してもよい。]で表される。4つの炭素原子が結合しない4級アンモニウム基、例えば>C=N+<型の4級アンモニム基では改質の効果が十分でなく好ましくない。
【0017】
一般式(1)中のR1、R2、R3は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、好ましくはアルキル基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などの低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などがより好ましく、メチル基、エチル基が最も好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、低級アルキル基置換のフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、低級アルキル基置換のベンジル基などが挙げられる。
【0018】
一般式(1)中のAは、アルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R4−(Mはオキシ基またはNH基、R4はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示す。
【0019】
Aの具体例としては、アルキレン基として、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ヘキシレン基などが挙げられる。アリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基などが挙げられ、一部の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよい。アルキレン−アリーレン基やアリーレン−アルキレン基などとしては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレンなどの低級アルキレン基と、フェニーレン、低級アルキル基が置換されたフェニレン基などが組み合わされた結合基などが挙げられる。
【0020】
一般式−C(=O)−O−R4−で表されるカルボニルオキシアルキレン基やカルボニルオキシアリーレン基としては、例えば、カルボニルオキシメチレン基、カルボニルオキシエチレン基、カルボニルオキシ−n−プロピレン基、カルボニルオキシイソプレピレン基、カルボニルオキシ−n−ブチレン基、カルボニルオキシ−tert−ブチレン基、カルボニルオキシ−n−ヘキシレン基、カルボニルオキシ−n−オクチレン基などのようなカルボニルオキシアルキレン基;カルボニルオキシ−1,2−フェニレン基、カルボニルオキシ−1,3−フェニレン基、カルボニルオキシ−1,4−フェニレン基などのようなカルボニルオキシアリーレン基;などが挙げられ、好ましくはカルボニルオキシエチレン基、カルボニルオキシ−n−プロピレン基、カルボニルオキシ−n−ブチレンなどである。
【0021】
一般式−C(=O)−NH−R4−で表されるカルボニルイミノアルキレン基またはカルボニルイミノアリーレン基としては、例えば、カルボニルイミノメチレン基、カルボニルイミノエチレン基、カルボニルイミノ−n−プロピレン基、カルボニルイミノイソプロピレン基、カルボニルイミノ−n−ブチレン基、カルボニルイミノ−tert−ブチレン基、カルボニルイミノ−n−ヘキレン基、カルボニルイミノ−n−オクチレン基などのようなカルボニルオキシアルキレン基;カルボニルイミノ−1,2−フェニレン基、カルボニルイミノ−1,3−フェニレン基、カルボニルイミノ−1,4−フェニレン基などのようなカルボニルイミノアリーレン基;などが挙げられる。
【0022】
また、R1とAは結合してヘテロ環を形成してもよい。具体的には、ピロリジニウム環、ピペリジニウム環などが挙げられる。
【0023】
一般式(1)中のXは、ハロゲン原子を示す。具体的には、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子などが挙げられる。これらの中でも、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが好適である。
【0024】
本発明のジエン系ゴム(i)の共役ジエン結合単位のビニル結合(1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合)割合は、10%以上、好ましくは10〜90%、より好ましくは30〜85%、最も好ましくは50〜80%の範囲である。共役ジエン結合単位中のビニル結合量が過度に少ないと、耐摩耗性に劣り好ましくない。逆に、共役ジエン結合単位中のビニル結合量が過度に多い共役ジエン−芳香族ビニル共重合体は、製造しにくい等の製造上の制約がある。ビニル結合以外の残部の共役ジエン結合単位は、1,4−結合で、1,4−シス結合、1,4−トランス結合のいずれであってもよい。
【0025】
本発明のジエン系ゴム(i)が芳香族ビニルを含有する場合の芳香族ビニル連鎖分布については、特に制限はされないが、芳香族ビニル単位1個の独立連鎖の含有量が結合芳香族ビニル量の40重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上であり、且つ芳香族ビニルが8個以上連なった芳香族ビニル長連鎖の含有量が結合芳香族ビニル量の5重量%以下、好ましくは2.5重量%以下、さらに好ましくは1.5重量%以下であるものが、発熱性、耐摩耗性、ウエットスキッド抵抗性など特性を高値にバランスさせる上で適切である。
【0026】
本発明のジエン系ゴム(i)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)で、100,000〜2,000,000、好ましくは150,000〜1,500,000、より好ましくは200,000〜1,200,000の範囲である。ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)が、過度に小さいと発熱性や耐摩耗性に劣り、逆に、過度に大きいと加工性に劣り、いずれも好ましくない。
【0027】
本発明のジエン系ゴム(i)の製造方法としては、格別な限定はなく、例えば、炭化水素系溶媒中、開始剤として有機活性金属を用いて、共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させて得られる重合体鎖末端に活性金属を結合した(共)重合体と、変性剤(Y)とを反応させて重合体鎖末端に3級アミノ基を導入させた後に、アルキル化剤を反応させる方法(製法a)、あるいは、炭化水素系溶媒中、有機活性金属アミド開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させた後にアルキル化剤を反応させる方法(製法b)などが挙げられる。
【0028】
製法aで用いられる有機活性金属としては、アニオン重合で一般に使用されるものが用いられ、例えば、有機アルカリ金属、有機アルカリ土類金属、有機酸ランタノイド系列希土類金属などが挙げられる。これらの中でも、有機アルカリ金属が特に好ましい。
【0029】
有機アルカリ金属としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどのモノ有機リチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼンなどの多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレンなどが挙げられる。これらの中でも、有機リチウム化合物が好ましく、モノ有機リチウム化合物が特に好ましい。
【0030】
有機アルカリ土類金属としては、例えば、n−ブチルマグネシウムブロミド、n−ヘキシルマグネシウムブロミド、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウム、t−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウム、エチルバリウムなどが挙げられる。
【0031】
有機酸ランタノイド系列希土類金属としては、例えば、特公昭63−64444号公報に記載されるようなバーサチック酸ネオジウム/トリエチルアルミニウムハイドライド/エチルアルミニウムセスキクロライドからなる複合触媒などが挙げられる。
【0032】
これらの有機活性金属は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。有機活性金属の使用量は、要求される生成重合体の分子量によって適宜選択され、通常、単量体100g当り0.01〜20ミリモル、好ましくは0.05〜15ミリモル、より好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲である。
【0033】
上記有機活性金属を開始剤として用いた重合反応は、該開始剤を破壊しない炭化水素系溶媒中で行われる。適当な炭化水素系溶媒としては、通常の溶液重合に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;などが挙げられ、好ましくはn−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどである。また、必要に応じて、1−ブテン、シス−2−ブテン、2−ヘキセンなどの重合性の低い不飽和炭化水素などを使用してもよい。これらの炭化水素系溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて、通常、単量体濃度が1〜30重量%になる量比で用いられる。
【0034】
重合反応に際し、共役ジエン結合単位のミクロ構造あるいは共役ジエンと共重合させる芳香族ビニルの共重合体鎖中の分布を調整するために極性化合物を用いることができる。極性化合物としては、有機活性金属を開始剤にした通常のアニオン重合で使用されるものであれば格別制限はなく、例えば、エーテル類;3級アミン類;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;などが挙げられる。これらの中でも、3級アミン類やエーテル類が好ましく、3級アミン類やオキシ基2つのジエーテル類が特に好ましい。
【0035】
3級アミン類としては、例えば、テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジンなどが挙げられ、好ましくはテトラメチルエチレンジアミンである。
【0036】
エーテル化合物としては、例えば、分子内にエーテル結合を1つ有するモノエーテル化合物、分子内にエーテル結合を2つ有するジエーテル化合物、分子内にエーテル結合を3つ以上有する多価エーテル化合物などに分類され、最も好ましくはジエーテル化合物である。エーテル化合物の炭素数は、特に限定はされないが、通常2〜100、好ましくは4〜50、より好ましくは4〜20、最も好ましくは4〜15の範囲である。
【0037】
モノエーテル化合物としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテルなどの脂肪族モノエーテル類;アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテルなどの芳香族モノエーテル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどの環状モノエーテル類;などが挙げられ、これらの中でも、脂肪族モノエーテル類や環状モノエーテル類が好ましい。
【0038】
ジエーテル化合物としては、例えば、アルキレングリコールジエーテル類、環状ジエーテル類などが挙げられ、好ましくはアルキレングリコールジエーテル類である。ジエーテル化合物の炭素数は、特に制限はないが、通常4〜30、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜15である。
【0039】
アルキレングリールジエーテルとしては、例えば、アルキレングリコールジアルキルエーテル類、アルキレングリコールアルキルアリールエーテル類、アルキレングリコールジアリールエーテル類、アルキレングリコールジアラルキルエーテル類などが挙げられ、好ましくはアルキレングリコールジアルキルエーテル類である。
【0040】
好ましいアルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジアミルエーテル、エチレングリコールジオクチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、イソプロピレングリコールジメチルエーテル、イソプロピレングリコールジエチルエーテル、ブチレングリコールジメチルエーテル、ブチレングリコールジエチルエーテル、ブチレングリコールジブチルグリコールなどのアルキレングリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールメチルフェニルエーテルなどのアルキレングリコールアルキルアリールエーテル類;エチレングリコールジフェニルエーテルなどのアルキレングリコールジアリールエーテル類;エチレングリコールジベンジルエーテルなどのアルキレングリコールジアラルキルエーテル類;などが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジアミルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどが特に好ましく、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールブチルt−ブチルエーテル、エチレングリコールジアミルエーテルなどが最も好ましい。
【0041】
環状ジエーテルとしては、例えば、ジオキサン、1,10−フェナントロリンなどや米国特許公報第4,429,091号に記載されるジオキソランアルカン類、例えば、ビス(2−オキソラニル)メタン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、1,1−ビス(2−オキソラニル)エタン、2,2−ビス(5−メチル−2−オキソラニル)プロパンなどが挙げられ、これらの中でも、ジオキサンやジオキソランアルカン類などが好ましい。
【0042】
多価エーテル化合物としては、例えば、オリゴオキシアルキレングリコールジアルキルエーテル類、オキソラニルジオキサン類、オキソラニルジオキソラン類、クラウンエーテル類などが挙げられる。
【0043】
オリゴオキシアルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルグリコール、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルなどのオリゴオキシエチレングリコールジアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジイソプロピレングリコールジアミルエーテルなどのオリゴオキシプロピレングリコールジアルキルエーテル類;ジブチレングリコールジメチルエーテルなどのオリゴオキシブチレングリコールジアルキルエーテル類;などが挙げられる。これらの中でも、オリゴオキシエチレングリコールジアルキルエーテル類が好ましく、特に、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルなどが好ましい。
【0044】
ポリオキシアルキレングリコールジアルキルエーテル類としては、例えば、ポリオキシエチレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジイソプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジブチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジオクチルエーテルなどのポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールジエチルエーテルなどのポリオキシプロピレングリコールジアルキルエーテル類;ポリオキシブチレングリコールジメチルエーテルなどのポリオキシブチレングリコールジアルキルエーテル類;などが挙げられる。
【0045】
オキソラニルジオキサン類やオキソラニルジオキソラン類としては、例えば、特公平7−74245号公報に記載される化合物などが挙げられ、具体的には、例えば、2−(2−オキソラニル)ジオキサン、2−(2−オキソラニル)−4,4,6−トリメチルジオキサン、2−(5−メチル−2−オキソラニル)−4,4,6−トリメチルジオキサン、2−(2−オキソラニル)−5,5−ジメチルジオキサン、2−(2−オキソラニル)ジオキソラン、2−(2−オキソラニル)−4−t−ブチルオキソラン、2−(2−オキソラニル)−4,5−ジメチルジオキソラン、2−(2−オキソラニル)−4,4,5,5−テトラメチルジオキソランなどが挙げられる。
【0046】
クラウンエーテル類としては、例えば、18−クラウン−6−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、12−クラウン−4−エーテル、ジベンゾ−18−クラウンエーテル、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテル、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6−エーテル、4’−ニトロベンゾ−15−クラウン−5−エーテルなどが挙げられる。
【0047】
これらの極性化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。極性化合物の使用量は、開始剤(有機活性金属または有機活性金属アミド)1モルに対して、通常、0〜200モル、好ましくは0.1〜100モル、より好ましくは0.5〜50モル、最も好ましくは0.8〜20モルである。
【0048】
重合反応は、前記共役ジエン単独あるいは前記共役ジエンと前記芳香族ビニルを(共)重合して行われる。共役ジエンと芳香族ビニルを併用する場合の各単量体の全単量体中での割合は、共役ジエンが、通常40〜95重量%、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは55〜85重量%の範囲であり、芳香族ビニルが、それぞれ、通常60〜5重量%、好ましくは50〜10重量%、より好ましくは45〜15重量%の範囲である。
【0049】
重合反応は、通常、−78〜150℃の範囲で、回分式あるいは連続式等の重合様式で行われる。また、芳香族ビニルを共重合させる場合は、芳香族ビニル単位のランダム性を向上させるため、例えば、特開昭59−140211号公報や特開昭56−143209号公報に記載されているように、重合系中の芳香族ビニルと共役ジエンの組成比における芳香族ビニル含有量が特定濃度範囲になるように共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとの混合物を、反応系に連続的あるいは断続的に供給するのが望ましい。
【0050】
重合反応により生成する重合体としては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体などが例示できる。かくして、重合体鎖の末端に活性金属が結合した重合体(以下、活性重合体という。)が得られる。
【0051】
かかる活性重合体と反応させて重合体鎖末端に3級アミノ基を導入できる変性剤(Y)は、公知であり、例えば、特開昭59−191705号公報、特開昭60−137913号公報、特開昭62−86074号公報、特開昭62−109801号公報、特開昭62−149708号公報、特開昭64−22940号公報などに開示される各種変性剤を用いることができる。
【0052】
変性剤(Y)の好ましい例としては、例えば、分子内に活性金属と反応する官能基と3級アミノ基とを有する化合物(以下、「変性剤Y−α」という。)、及び分子内にN−置換された窒素−炭素二重結合を有する化合物(以下、「変性剤Y−β」という。)などを挙げることができる。
【0053】
変性剤Y−α中の官能基としては、上記活性重合体と反応するものであれば特に限定はなく、例えば、ビニル基などの炭素−炭素不飽和基、ハロゲン原子、カルボニル基などが挙げられる。変性剤Y−α中の3級アミノ基としては、格別限定はなく、例えば、一般式(2)
【化2】
[式中、R5、R6は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基、Bはアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R7−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R7はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R5とBは結合してヘテロ環を形成してもよい。]で表される。一般式(2)中のR5及びR6の具体例は、前記一般式(1)中のR1の具体例と同様であり、一般式(2)中のBの具体例も前記一般式(1)中のAと同様である。
【0054】
変性剤Y−αの好ましい例としては、分子内にビニル基と3級アミノ基とを有する化合物;分子内にカルボニル基と3級アミノ基とを持つ化合物;などが挙げられる。
【0055】
分子内にビニル基と3級アミノ基とを有する化合物としては、例えば、N,N−ジ置換アミノアルキルアクリレート、N,N−ジ置換アミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物およびピリジル基を有するビニル化合物等が挙げられる。
【0056】
N,N−ジ置換アミノアクリレートとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフオリンなどのアクリル酸またはメタアクリル酸のエステルなどが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが好ましい。
【0057】
N,N−ジ置換アミノアルキルアクリルアミドとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド化合物またはメタアクリルアミド化合物などが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが好ましい。
【0058】
N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、N−メチル−N−エチルアミノエチルスチレン、N,N−ジエチルアミノエチルスチレン、N,N−ジプロピルアミノエチルスチレン、N,N−ジオクチルアミノエチルスチレンなどのスチレン誘導体が挙げられる。
【0059】
分子内にカルボニル基と3級アミノ基とを持つ化合物は、両基が隣接していてもよいし、また、離れていてもよい。隣接する化合物としては、例えば、N−置換アミド類、N−置換イミド類、N−置換尿素類、N−置換イソシアヌル酸類などが挙げられ、好ましくはこれらの環状化合物である。また、両基が離れている化合物としては、例えば、N−置換アミノケトン類、N−置換アミノアルデヒド類などが挙げられ、好ましくはN−置換アミノケトン類である。
【0060】
N−置換環状アミド類としては、例えば、N−メチル−β−プロピオラクタム、N−フェニル−β−プロピオラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、N−t−ブチル−2−ピロリドン、N−メチル−5−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−フェニル−2−ピペリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタム、N−メチル−ω−ラウリロラクタム、N−ビニル−ω−ラウリロラクタムなどが挙げられる。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、N−メチル−ピペリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタムなどが好ましい。
【0061】
N−置換環状尿素類としては、例えば、1,3−ジメチルエチレン尿素、1,3−ジビニルエチレン尿素、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−エチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられ、好ましくは1,3−ジメチルエチレン尿素、1,3−ジビニルエチレン尿素などである。
【0062】
N−置換アミノケトン類としては、例えば、4−N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、4−N−メチル−N−エチルアミノアセトフェノン、4−N,N−ジエチルアミノアセトフェノン、1,3−ビス(ジフェニルアミノ)−2−プロパノン、1,7−ビス(メチルエチルアミノ)−4−ヘプタノン、4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジ−t−ブチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。これらの中でも、4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノンなどが特に好ましい。
【0063】
N−置換アミノアルデヒド類としては、例えば、4−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−N.N−ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4−N,N−ジビニルアミノベンズアルデヒドなどのN−置換アミノアルデヒド類などが挙げられる。
【0064】
分子内にカルボニル基とアミノ基とを持つ化合物は、両基が隣接していてもよいし、また、離れていてもよい。隣接する化合物としては、例えば、アミド類、イミド類、尿素類、イソシアヌル酸類などが挙げられ、好ましくはこれらの環状化合物で、より好ましくはN−置換環状アミド類、N−置換環状尿素類などである。また、両基が離れている化合物としては、アミノケトン類、アミノアルデヒド類などが挙げられ、好ましくはN−置換アミノケトン類、N−置換アミノアルデヒド類などで、より好ましくはN−置換アミノケトン類である。
【0065】
N−置換環状アミド類としては、例えば、N−メチル−β−プロピオラクタム、N−フェニル−β−プロピオラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、N−t−ブチル−2−ピロリドン、N−メチル−5−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−フェニル−2−ピペリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタム、N−メチル−ω−ラウリロラクタム、N−ビニル−ω−ラウリロラクタムなどが挙げられる。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、N−メチル−ピペリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタムなどが好ましい。
【0066】
N−置換環状尿素類としては、例えば、1,3−ジメチルエチレン尿素、1,3−ジビニルエチレン尿素、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−エチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられ、好ましくは1,3−ジメチルエチレン尿素、1,3−ジビニルエチレン尿素などである。
【0067】
N−置換アミノケトン類としては、例えば、4−N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、4−N,N−ジエチルアミノアセトフェノン、1,3−ビス(ジフェニルアミノ)−2−プロパノン、1,7−ビス(メチルエチルアミノ)−4−ヘプタノン、4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジ−t−ブチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。これらの中でも、4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノンなどが特に好ましい。
【0068】
N−置換アミノアルデヒド類としては、例えば、4−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−N.N−ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4−N,N−ジビニルアミノベンズアルデヒドなどのN−置換アミノアルデヒド類などが挙げられる。
【0069】
変性剤Y−βのN−置換された窒素−炭素二重結合を有する化合物としては、例えば、N−置換カルボジイミドやシッフ塩基などが挙げられる。
【0070】
N−置換カルボジイミドとしては、例えば、ジメチルカルボジイミド、ジエチルカルボジイミド、ジプロピルカルボジイミド、ジブチルカルボジイミド、ジヘキシルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジベンジルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、メチルプロピルカルボジイミド、ブチルシクロヘキシルカルボジイミド、エチルベンジルカルボジイミド、プロピルフェニルカルボジイミド、フェニルベンジルカルボジイミドなどが挙げられる。これらの中でも、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミドなどが好ましい。
【0071】
シッフ塩基としては、例えば、N−エチルエチリデンイミン、N−メチルベンジリデンイミン、N−ヘキシルシンナミリデンイミン、N−デシル−2−エチル−1,2−ジフェニルブチリデンイミン、N−フェニルベンジリデンイミン、N−ドデシルシクロヘキサンイミン、N−プロピル−2,5−シクロヘキサジエンイミン、N−メチル−1−ナフタレンイミンなどが挙げられる。
【0072】
これらの変性剤(Y)は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用される。変性剤(Y)の使用量は、ジエン系ゴムの要求される特性によって適宜選択されるが、有機活性金属当り、通常0.1〜50当量、好ましくは0.2〜20当量、より好ましくは0.3〜10当量の範囲である。本発明の4級アンモニウム基を有するジエン系ゴム(i)を製造する場合の変性剤(Y)の使用量は、有機活性金属当り、通常1〜50当量、好ましくは1〜20当量、より好ましくは1〜10当量の範囲である。また、本発明においては、4級アンモニウム基による改質の効果が大きい為、ゴム成分中に僅かに導入するだけでも目的を達成することができる。その場合[4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)と未変性ジエン系ゴム(ii−i)とからなるジエン系ゴム(iii)を製造する場合]の変性剤(Y)の使用量は、有機活性金属当り、通常0.1〜0.9当量、好ましくは0.2〜0.8当量、より好ましくは0.3〜0.7当量の範囲である。
【0073】
変性反応は、分子中に結合した活性金属を有する前記活性重合体と変性剤(Y)とを接触させればよい。重合反応により活性重合体を製造した場合には、通常、重合停止前の活性重合体液中に変性剤(Y)を所定量添加することにより変性反応を行う。変性反応における反応温度及び反応時間は、広範囲に選択できるが、一般的に、室温〜120℃で、数秒〜数時間である。変性率は、通常10〜100%の範囲内から適宜選択される。変性率は、GPCの示差屈折計(RI)と紫外可視分光光度計(UV)で吸収強度を測定し、その(UV/RI)を求め、予め作成した検量線によって決定することができる。
【0074】
製法bで用いられる有機活性金属アミドは、前記有機活性金属と2級アミンとを前もって反応させたものを用いてもよいし、また、特開平6−199921号公報に開示される方法のように、少なくとも1部の単量体と2級アミン存在下に前記有機活性金属を加えて重合反応系中で生成しうるものであってもよい。
【0075】
2級アミンとしては、例えば、脂肪族2級アミン化合物、芳香族2級アミン化合物及び環状イミン化合物などが挙げられ、好ましくは脂肪族2級アミン化合物、環状イミン化合物である。
【0076】
脂肪族2級アミン化合物としては、例えば、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルアミルアミン、アミルヘキシルアミン、ジエチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、エチルヘキシルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、プロピルブチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、メチルシクロペンチルアミン、エチルシクロペンチルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。これらの中でも、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミンなどが好ましい。
【0077】
芳香族2級アミン化合物としては、例えば、ジフェニルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−エチルフェネチルアミンなどが挙げられる。
【0078】
環状イミン化合物としては、例えば、アジリジン、アセチジン、ピロリジン、ピペリジン、2−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、3,5−ジメチルピペリジン、2−エチルピペリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、ドデカメチレンイミン、コニイン、モルホリン、オキサジン、ピロリン、ピロール、アゼピンなどが挙げられる。これらの中でも、ピロリジン、ピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、3,5−ジメチルピペリジン、2−エチルピペリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミンなどが好ましい。
【0079】
これらの2級アミンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0080】
前もって有機活性金属と2級アミンを反応させて調整した有機活性金属アミドを用いる場合の有機活性金属アミドの使用量は、要求される生成重合体の分子量によって適宜選択されるが、単量体100g当り、通常0.1〜30mmol、好ましくは0.2〜15mmol、より好ましくは0.3〜10mmolの範囲である。
【0081】
有機活性金属と2級アミンを重合系に添加して系中で有機活性金属アミドを生成させる場合の有機活性金属の使用量は、要求される生成重合体の分子量によって適宜選択されるが、単量体100g当り、通常0.1〜30mmol、好ましくは0.2〜15mmol、より好ましくは0.3〜10mmolの範囲である。この時の2級アミンの使用量は、有機活性金属に対して、通常0.5〜2当量、好ましくは0.8〜1.5当量、より好ましくは1〜1.2当量である。
【0082】
製法bの重合反応は、常法に従って行えばよく、例えば特開平6−199921号公報に開示される方法に従って、前記単量体の少なくとも一部が存在する中で有機活性金属と2級アミン化合物を接触させて行うことができる。その他の重合条件は、前記製法aの重合条件と同様である。
【0083】
製法bの方法においては、重合反応終了後に変性剤(X)及び/または多官能カップリング剤と反応させることができる。この場合の変性剤(X)は、前記変性剤(Y)を用いてもよいし、また、その他の変性剤(Z)を用いてもよい。前記変性剤(Y)を用いた場合は、重合体鎖の2つの末端に3級アミノ基が導入されたものが得られる。
【0084】
その他の変性剤(Z)としては、通常のアニオン重合で用いられるものを使用することができ、例えば、特開昭59−191705号公報、特開昭60−137913号公報、特開昭62−86074号公報、特開昭62−109801号公報、特開昭62−149708号公報、特開昭64−22940号公報などに開示される各種変性剤を用いることができる。
【0085】
その他の変性剤(Z)の具体例としては、例えば、アセトン、ベンゾフェノン、アセチルアセトンなどのケトン類;ベンズアルデヒドなどのアルデヒド類;エポキシ類;炭素数2〜3の環状イミン化合物;などが挙げられる。
【0086】
エポキシ類としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシ−iso−ブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシ−2−ペンチルプロパン、3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセン、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロドデカン、1,2−エポキシエチルベンゼン、1,2−エポキシ−1−メトキシ−2−メチルプロパン、グリシジルメチルエーテル、グリシジルエチルエーテル、グリシジルイソプロピルエ−テル、グリシジルアリルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、グリシジルブチルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシ−iso−ブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、グリシジルメチルエーテル、グリシジルエチルエーテル、グリシジルイソプロピルエ−テル、グリシジルアリルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、グリシジルブチルエーテルなどが好ましい。
【0087】
エポキシ類としては、上記エポキシ類の少なくとも1つの水素原子をハロゲン原子で置換されたエピハロヒドリン類を用いることができる。エピハロヒドリン類としては、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、2,3−エポキシ−1,1,1−トリフルオロプロパン、1,2−エポキシ−1H,1H,2H,3H,3H,−ヘプタデカフルオロウンデカンなどが挙げられ、好ましくはエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンなどである。
【0088】
炭素数2〜3の環状イミン化合物としては、例えば、エチレンイミン、プロピレンイミンなどのN−非置換のアジリジン化合物やトリメチレンイミンなどのN−非置換アジリジン化合物などが挙げられる。
【0089】
これらの変性剤(X)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。変性剤(X)の使用量及び反応条件は、前記変性剤(Y)の具体例と同様である。
【0090】
多官能カップリング剤としては、例えば、特開昭56−143209号公報、特開昭56−17362号公報、特開昭57−55912号公報、特開昭58−162605号公報などに開示される各種多官能カップリング剤を用いることができる。
【0091】
多官能カップリング剤の具体例としては、例えば、二塩化スズ、四塩化スズ、四臭化スズ、モノメチルトリクロロスズ、モノエチルトリクロロスズ、モノブチルトリクロロスズ、モノヘキシルトリクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、ジエチルジクロロスズ、ジブチルジクロロスズ、ジブチルジブロムスズ、テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラブトキシスズ、ビストリクロロスタニルエタンなどのスズ系カップリング剤;二塩化ケイ素、二臭化ケイ素、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四ヨウ化ケイ素、モノメチルトリクロロケイ素、モノエチルトリクロロケイ素、モノブチルトリクロロケイ素、モノヘキシルトリクロロケイ素、モノメチルトリブロモケイ素、ジメチルジクロロケイ素、ジエチルジクロロケイ素、ブチルトリクロロケイ素、ジブチルジクロロケイ素、ジヘキシルジクロロケイ素、ジメチルジブロモケイ素、テトラメトキシケイ素、テトラエトキシケイ素、テトラブトキシケイ素、ジフェニルジメトキシケイ素、ジフェニルジエトキシケイ素、モノクロロトリメトキシケイ素、モノブロモトリメトキシケイ素、ジクロロジメトキシケイ素、ジブロモジメトキシケイ素、トリクロロメトキシケイ素、トリブロモメトキシケイ素、アルキルトリフェノキシケイ素、ビストリクロロシリルエタンなどのケイ素系カップリング剤;二塩化鉛、四塩化ゲルマニウムなどのハロゲン化金属系カップリング剤;エチルアクリロニトリルなどの不飽和ニトリル系カップリング剤;ジクロロメタン、ジブロモメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、ジクロロプロパン、ジブロモプロパン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、トリブロモメタン、トリクロロエタン、トリクロロプロパン、トリブロモプロパン、四塩化炭素、テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系カップリング剤;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、トリメチル酢酸エチル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、安息香メチル、安息香酸エチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、安息香酸エチル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチルなどのエステル系カップリング剤;テレフタル酸ジクロライド、フタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライドなどのハライド系カップリング剤;トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト等のリン系カップリング剤;等を挙げることができる。これらの中でも、スズ系カップリング剤、ケイ素系カップリング剤、エステル系カップリング剤、ハロゲン化炭化水素系カップリング剤などが好ましく、スズ系カップリング剤、ケイ素系カップリング剤が特に好ましい。
【0092】
これら多官能カップリング剤は、それぞれ単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。多官能カップリング剤の使用量は、要求される重量平均分子量やカップリング率、多官能カップリング剤の反応性などに応じて適宜選択することができるが、有機活性金属当り、通常、0.1〜10当量、好ましくは0.2〜5当量、より好ましくは0.3〜2当量の範囲である。カップリング反応は、通常、0〜150℃で、0.5〜20時間の反応条件で行われる。カップリング率は、適宜選択することができるが、通常、10〜100%の範囲である。カップリング率は、GPC測定により示差屈折計の高分子量と低分子量の面積比から求めることができる。
【0093】
アルキル化剤の反応は、製法a及び製法bのいずれの方法でも同様にして行うことができる。
【0094】
アルキル化剤としては、例えば、硝酸メチル、硝酸エチル、硝酸プロピル、硝酸ブチルなどの硝酸アルキル;メチル硫酸カリウム、エチル硫酸カリウムなどのアルキル硫酸カリウム;ジメチル硫酸、ジエチル硫酸などのジアルキル硫酸;アリールスルホン酸メチルエステル、アリールスルホン酸エチルエステル、アリールスルホン酸プロピルエステルなどのアリールスルホン酸アルキルエステル;モノハロゲン化物;などの挙げられ、好ましくはモノハロゲン化物である。
【0095】
モノハロゲン化物としては、例えば、一般式(3)R8X(式中、R8は低級アルキル基、アリール基またはアラルキル基、Xはハロゲン原子を示す。)で表されるものを用いることができる。一般式(3)中のR8は、前記一般式(1)中のR3の具体例と同様である。一般式(3)中のXは、前記一般式(1)中のXの具体例と同様である。
【0096】
モノハロゲン化物の好ましい例としては、、例えば、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、臭化ブチル、ヨウ化ヘキシルなどのハロゲン化アルキル;塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジルなどのハロゲン化ベンジル;などが挙げられ、ハロゲン化アルキルが好ましい。ハロゲン化アルキルの中でも、低級のハロゲン化アルキルが好ましく、ハロゲン化メチルが特に好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが好ましく、ヨウ素原子が特に好ましい。
【0097】
これらのアルキル化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。アルキル化剤の使用量は、4級化度の要求に応じて適宜選択できるが、ジエン系重合体ゴム中の含有3級アミノ基量当り、通常0.1〜50当量、好ましくは0.2〜20当量、より好ましくは0.3〜10当量の範囲である。アルキル化剤の使用量は、本発明の第4級アンモニウム基を有するジエン系ゴム(i)を製造する場合には、ジエン系重合体ゴム中の含有3級アミノ基量当り、通常1〜50当量、好ましくは1〜20当量、より好ましくは1.2〜10当量の範囲である。また、本発明においては、4級アンモニウム基による改質の効果が大きい為、ゴム成分中に僅かに導入するだけでも目的を達成することができる。その場合[4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)と3級アミン含有ジエン系ゴム(ii−ii)とからなるジエン系ゴム(iii)を製造する場合]のアルキル化剤の使用量は、ジエン系重合体ゴム中の含有3級アミノ基量当り、通常0.1〜0.9当量、好ましくは0.2〜0.8当量、より好ましくは0.3〜0.7当量の範囲である。
【0098】
アルキル化剤の反応は、特に制限はなく常法に従って行えばよく、例えば、反応温度は、通常0〜90℃、好ましくは20〜80℃であり、反応時間は、通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時間である。
【0099】
反応終了後の4級化の確認は、常法に従って行えばよく、例えば、紫外線(UV)吸収スペクトルやキンヒドロンの定性反応によって行うことができる。
【0100】
本発明において、本発明の4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)は、
(1)炭化水素系溶媒中、開始剤として有機活性金属を用いて、共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させて得られる重合体鎖末端に活性金属を結合した(共)重合体と、変性剤(Y)と反応させて重合体鎖末端に3級アミノ基を導入させた後に、アルキル化剤を反応させる製造方法、
(2)炭化水素系溶媒中、開始剤として有機活性金属アミドを用いて、共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させた後に、アルキル化剤を応させる製造方法、
(3)炭化水素系溶媒中、開始剤として有機活性金属アミドを用いて、共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させた後に、変性剤(X)及び/または多官能カップリング剤を反応させ、次いでアルキル化剤を反応させる製造方法、
によって得ることができる。
【0101】
したがって、本発明のジエン系ゴム(i)は、第4級アンモニウム基を末端に有したジエン系ゴム、その少なくとも一部が多官能カップリング剤でカップリングされたジエン系ゴムおよび/またはその少なくとも一部が変性剤Xで変性されたジエン系ゴム、及びこれらの混合物を包含する。
【0102】
ジエン系ゴム混合物
本発明のジエン系ゴム混合物は、上記4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)とその他のジエン系ゴム(ii)とを含有する。4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その他のジエン系ゴム(ii)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0103】
その他のジエン系ゴム(ii)としては、格別限定はないが、通常のゴム業界で用いられるジエン系ゴムを使用することができる。具体的には、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、溶液重合ランダムSBR(結合スチレン5〜50重量%、ブタジエン結合単位部分の1,2−ビニル結合量10〜80%)、高トランスSBR(ブタジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、低シスポリブタジエンゴム(BR)、高シスBR、高トランスBR(ブタジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、スチレン−イソプレン共重合ゴム(SIR)、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、溶液重合ランダムスチレン−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム(SIBR)、乳化重合SIBR、乳化重合スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、高ビニルSBR−低ビニルSBRブロック共重合ゴム、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体などのブロック共重合体等が挙げられ、要求特性に応じて適宜選択できる。これらの中でも、NR、BR、IR、SBR、SIBRなどが好ましい。これらのその他のゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0104】
本発明においては、さらに、その他のジエン系ゴムとして、前記未変性ジエン系ゴム(ii−i)、3級アミノ基含有ジエン系ゴム(ii−ii)、その他の変性ジエン系ゴム、及びこれらの混合物等を包含する。
【0105】
本発明の4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)の改質の効果は高く、ジエン系ゴム混合物中の少なくとも5重量%、好ましくは10重量%、より好ましくは15重量%以上であれば十分に効果が発揮できる。そのため、ジエン系ゴム混合物中の4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)とその他のジエン系ゴム(ii)の割合は、それぞれ、通常5/95〜95/5、好ましくは10/90〜90//10、より好ましくは15/85〜85/15(重量比)の割合である。
【0106】
補強剤
補強剤としては、特に制限はないが、例えば、シリカやカーボンブラックなどを用いることができる。
【0107】
シリカとしては、特に制限はないが、例えば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、及び特開昭62−62838号公報に開示される沈降シリカなどが挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが特に好ましい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0108】
シリカの比表面積は、特に制限はされないが、窒素吸着比表面積(BET法)で、通常50〜400m2/g、好ましくは100〜250m2/g、さらに好ましくは120〜190m2/gの範囲である時に、補強性、耐摩耗性、発熱性及び加工性等の改善が十分に達成され、好適である。ここで窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じBET法で測定される値である。
【0109】
カーボンブラックとしては、特に制限はないが、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどを用いることができる。これらの中でも、特にファーネスブラックが好ましく、その具体例としては、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、FEF等の種々のグレードのものが挙げられる。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0110】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、特に制限はないが、通常5〜200m2/g、好ましくは50〜150m2/g、より好ましくは80〜130m2/gの範囲である時に、引張強度や耐摩耗性が高いレベルで改善され好適である。また、カーボンブラックのDBP吸着量は、特に制限はないが、通常5〜300ml/100g、好ましくは50〜200ml/100g、より好ましくは80〜160ml/100gの範囲である時に、引張強度や耐摩耗性が高いレベルで改善され好適である。
【0111】
カーボンブラックとして、特開平5−230290号公報に開示されるセチルトリメチルアンモニウムブロマイドの吸着(CTAB)比表面積が110〜170m2/gで24,000psiの圧力で4回繰り返し圧縮を加えた後のDBP(24M4DBP)吸油量が110〜130ml/100gであるハイストラクチャーカーボンブラックを用いることにより、耐摩耗性をさらに改善できる。
【0112】
補強剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部、より好ましくは30〜120重量部である。
【0113】
本発明の目的を高度に達成するためには、補強剤として、シリカ単独で、あるいはシリカとカーボンブラックとを併用して用いることが好ましい。シリカとカーボンブラックとを併用する場合の混合割合は、用途や目的に応じて適宜選択されるが、通常、シリカ:カーボンブラック=10:90〜99:1、好ましくは30:70〜95:5、より好ましくは50:50〜90:10(重量比)である。
【0114】
シランカップリング剤
本発明においてシランカップリング剤を添加すると、発熱性や耐摩耗性がさらに改善されるので、好適である。
【0115】
シランカップリング剤としては、特に限定はないが、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、及び特開平6−248116号公報に記載されるγ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどのテトラスルフィド類などを挙げることができる。
【0116】
これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。シランカップリング剤の配合割合は、シリカ100重量部に対して、通常、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部の範囲である。
【0117】
ゴム組成物
本発明のゴム組成物は、上記成分以外に、常法に従って、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤、老化防止剤、活性剤、可塑剤、滑剤、充填剤等のその他の配合剤をそれぞれ必要量含量することができる。
【0118】
加硫剤としては、特に限定はないが、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄;一塩化硫黄、二塩化硫黄などのハロゲン化硫黄;ジクミルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシドなどの有機過酸化物;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのキノンジオキシム;トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、4,4’−メチレンビス−o−クロロアニリンなどの有機多価アミン化合物;メチロール基をもったアルキルフェノール樹脂;などが挙げられ、これらの中でも、硫黄が好ましく、粉末硫黄が特に好ましい。これらの加硫剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0119】
加硫剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、通常、0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。加硫剤の配合割合がこの範囲にある時に、引張強度や耐摩耗性に優れるとともに、耐熱性や残留ひずみ等の特性にも優れるので特に好ましい。
【0120】
加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤;チオカルボアニリド、ジオルトトリルチオウレア、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア等のチオウレア系加硫促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールシクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジエチルジチオカルバミン酸ジエチルアミン、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペコリン等のジチオカルバミン酸系加硫促進剤;イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸系加硫促進剤;などの加硫促進剤が挙げられる。
【0121】
これらの加硫促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられるが、少なくともスルフェンアミド系加硫促進剤を含むものが特に好ましい。加硫促進剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、通常0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
【0122】
加硫活性化剤としては、特に制限はないが、例えばステアリン酸などの高級脂肪酸や酸化亜鉛などを用いることができる。酸化亜鉛としては、例えば、表面活性の高い粒度5μm以下のものを用いるのが好ましく、かかる具体例としては、粒度が、例えば、0.05〜0.2μmの活性亜鉛華や0.3〜1μmの亜鉛華などを挙げることができる。また、酸化亜鉛は、アミン系の分散剤や湿潤剤で表面処理したものなどを用いることができる。
【0123】
これらの加硫活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。加硫活性化剤の配合割合は、加硫活性化剤の種類により適宜選択される。高級脂肪酸を用いる場合、ゴム成分100重量部に対して、通常0.05〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。酸化亜鉛を用いる場合は、ゴム成分100重量部に対して、通常0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.5〜2重量部である。酸化亜鉛の配合割合がこの範囲にある時に、加工性、引張強度及び耐摩耗性などの特性が高度にバランスされ好適である。
【0124】
その他の配合剤の例としては、例えば、シランカップリング剤以外のカップリング剤;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シリコーンオイルなどの活性剤;炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの充填剤;プロセス油、ワックスなどが挙げられる。
【0125】
本発明のゴム組成物は、常法に従って各成分を混練することにより得ることができる。例えば、加硫剤と加硫促進剤を除く配合剤とゴム成分を混合後、その混合物に加硫剤と加硫促進剤を混合してゴム組成物を得ることができる。加硫剤と加硫促進剤と除く配合剤とゴム成分の混合温度は、通常、80〜200℃、好ましくは100〜190℃、さらに好ましくは140〜180℃であり、混合時間は、通常、30秒以上であり、好ましくは1〜30分間である。加硫剤と加硫促進剤の混合は、通常100℃以下、好ましくは室温〜80℃まで冷却後行われ、その後、通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃の温度でプレス加硫した本発明のゴム組成物を得ることができる。
【0126】
【実施例】
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。これらの例中の部及び%は、特に断わりのない限り重量基準である。
各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。
(1)重合体中の結合スチレン量は、JIS K6383(屈折率法)に準じて測定した。
(2)重合体中のブタジエン結合単位のビニル結合割合は、赤外分光法(ハンプトン法)で測定した。
(3)重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、GPCで測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量を求めた。
(4)共重合体中のスチレン連鎖分布は、高分子学会予稿集第29巻第9号第2055頁に記載されている方法に従って、共重合体をオゾン分解した後、GPC測定を行い、スチレン単位1個の単連鎖(S1)、及びスチレン単位が8個以上連なった長連鎖(S8)の割合を算出した。
(5)引張強度は、JIS K6301に準じて300%応力(Kgf/cm2)モジュラスを測定した。この特性は、指数(引張強度指数)で表示した。この値は、高い程好ましい。
(6)発熱性は、レオメトリックス社製RDA−IIを用い、1%ねじれ、20Hzで0℃と60℃のtanδを測定した。この特性は、tanδ0℃/tanδ60℃の値を比較例100とする指数(発熱指数)で表示した。この値は、高い程好ましい。
(7)耐摩耗性は、ASTM D2228に従い、ピコ摩耗試験機を用いて測定した。この特性は、指数(耐摩耗指数)で表示した。この値は、高い程好ましい。
【0127】
製造実施例1〜6
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8000g、スチレン460g及びブタジエン700gを入れ、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)3.5ミリモルを仕込んだ後、n−ブチルリチウム11ミリモルを加え、50℃で重合を開始した。重合開始10分後に、残部のブタジエン840gを連続的に添加した。重合転化率が100%になったことを確認してから、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAP)10ミリモルを添加して、30分間反応させた。次いで、ヨウ化メチル10ミリモルを添加して、20分間反応させた。反応終了後、停止剤としてメタノールを20ミリモル添加し、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを20g添加してから、スチームストリッピング法により重合体の回収を行い、ジエン系ゴムNo.1を得た。ジエン系ゴムの性状を測定し、その結果を表1に示した。
【0128】
ジエン系ゴムNo.1と同様にして、表1記載の重合条件でジエン系ゴムNo.2〜6を得、それら重合体の性状を表1に示した。
【0129】
比較製造例1
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8000g、スチレン800g及びブタジエン400gを入れ、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)20ミリモルを仕込んだ後、n−ブチルリチウム10ミリモルを加え、50℃で重合を開始した。重合開始10分後に、残部のブタジエン800gを連続的に添加した。重合転化率が100%になったことを確認してから、N,N−ジメチルアミノスチレン(AST)10ミリモルを添加して、30分間反応させた。次いで、停止剤としてメタノールを20ミリモル添加し、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを20g添加してから、スチームストリッピング法により重合体の回収を行い、ジエン系ゴムNo.7を得た。ジエン系ゴムの性状を測定し、その結果を表1に示した。
【0130】
製造実施例7
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8000g、スチレン310g及びブタジエン600gを入れ、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)10ミリモルとジ−n−ヘキシルアミン10ミリモルを仕込んだ後、n−ブチルリチウム10ミリモルを加え、40℃で重合を開始した。重合開始10分後に、残部のブタジエン1090gを連続的に添加した。重合転化率が100%になったことを確認してから、メチルエトキシシランを1ミリモル添加して、30分間反応させた。次いで、ヨウ化メチル10ミリモルを添加して、20分間反応させた。反応終了後、停止剤としてメタノールを20ミリモル添加し、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを20g添加してから、スチームストリッピング法により重合体の回収を行い、ジエン系ゴムNo.8を得た。ジエン系ゴムの性状を測定し、その結果を表1に示した。
【0131】
比較製造例2
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8000g、スチレン400g及びブタジエン800gを入れ、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)10ミリモルを仕込んだ後、n−ブチルリチウム10ミリモルを加え、40℃で重合を開始した。重合開始10分後に、残部のブタジエン800gを連続的に添加した。重合転化率が100%になったことを確認してから、メチルエトキシシランを2.5ミリモル添加して、30分間反応させた。反応終了後、停止剤としてメタノールを20ミリモル添加し、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを20g添加してから、スチームストリッピング法により重合体の回収を行い、ジエン系ゴムNo.9を得た。ジエン系ゴムの性状を測定し、その結果を表1に示した。
【0132】
製造実施例8
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8000g、スチレン800g及びブタジエン400gを入れ、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)20ミリモルとジ−n−ヘキシルアミン10ミリモルを仕込んだ後、n−ブチルリチウム10ミリモルを加え、50℃で重合を開始した。重合開始10分後に、残部のブタジエン800gを連続的に添加した。重合転化率が100%になったことを確認してから、エチレンオキシド(EO)10ミリモル添加して、30分間反応させた。次いで、ヨウ化メチル10ミリモルを添加して、20分間反応させた。反応終了後、停止剤としてメタノールを20ミリモル添加し、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを20g添加してから、スチームストリッピング法により重合体の回収を行い、ジエン系ゴムNo.10を得た。ジエン系ゴムの性状を測定し、その結果を表1に示した。
【0133】
【表1】
【0134】
(*1)製造実施例1〜8;ジエン系ゴムNo.1〜6、8、10
比較製造例1;ジエン系ゴムNo.7、比較製造例2;ジエン系ゴムNo.9
(*2)ジ−n−ヘキシルアミン
(*3)テトラメトキシシラン
(*4)DMAP;N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、EAB;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、AST;N,N−ジメチルアミノスチレン、EO;エチレンオキシド
(*5)スチレン単位が1個の単連鎖の含有量
(*6)スチレン単位が8個以上連なった長連鎖の含有量
【0135】
配合実施例1〜8、比較例1
原料ゴムとして、製造例で作成したジエン系ゴムNo.1〜7のジエン系ゴムを用い、表2の配合処方に基づいて、容量250mlのブラベンダータイプミキサー中で、原料ゴムの全量とシリカの半量、シランカップリング剤の半量、ジエチレングリコールの半量及びステアリン酸の半量を170℃で2分間混合後、硫黄と加硫促進剤を除く残りの配合剤を添加し、同温度で2分間混練した。原料ゴム及び酸化亜鉛の配合量は表3に示した。
【0136】
次ぎに、得られた混合物と、硫黄及び加硫促進剤を50℃のオープンロールに加えて混練した後、160℃で30分間プレス加硫して試験片を作成し、各物性を測定した。結果を表3に示した。
【0137】
【表2】
【0138】
(*1)Si69(デグッサ社製)
(*2)スプレンダーR−100(花王社製)
(*3)ノクラック6C(大内新興社製)
(*4)ノクセラーCZ(大内新興社製)
【0139】
【表3】
【0140】
(*1)Z1165MP(窒素吸着比表面積=175m2/g;ローヌプーラン社製)
(*2)ウルトラジルVN3(窒素吸着比表面積=175m2/g;デグッサ社製)
(*3)ニプシルVN3(窒素吸着比表面積=240m2/g;日本シリカ社製)(*4)これらの指数は、比較例1を100とした。
【0141】
表3の結果から、本発明のジエン系ゴムを用いたゴム組成物(配合実施例1〜8)は、3級アミノ基含有ジエン系ゴムを用いたもの(比較例1)よりも、いずれの特性も優れていることがわかる。また、ジエン系ゴム中の4級化の割合は、3級アミノ基に対して10%あれば十分に改善の効果が現れること(配合実施例5及び6)、4級化の割合を上げることにより更に改質の効果が高くなること(配合実施例3及び4)、及びアルキリ化剤のアルキル基の炭素数が少ないものの方が改善の効果が高いこと(配合実施例5と6の比較)がわかる。さらに、比表面積の小さいシリカと配合することによりいずれの特性に対する改善効果が高く、特に発熱性に対する改善効果が顕著なこと(配合実施例7と8の比較)、酸化亜鉛量を限定した方が改善効果が高くなること(配合実施例1と2の比較)などがわかる。
【0142】
配合実施例9〜12、比較例2
原料ゴムとして、製造例で作成したジエン系ゴムNo.8〜10及び市販品の表5記載のジエン系ゴムを用い、表4の配合処方に基づいて、容量250mlのブラベンダータイプミキサー中で、原料ゴムの全量とシリカの半量及びシランカップリング剤の半量を170℃で2分間混合後、硫黄と加硫促進剤を除く残りの配合剤を添加し、同温度で3分間混練した。原料ゴム、シリカ及びカーボンブラックの配合量は表5に示した。
【0143】
次ぎに、得られた混合物と、硫黄及び加硫促進剤を50℃のオープンロールに加えて混練した後、160℃で30分間プレス加硫して試験片を作成し、各物性を測定した。結果を表5に示した。
【0144】
【表4】
【0145】
(*1)Z1165MP
(*2)シーストKH(東海カーボン社製)
(*3)Si69
(*4)スプレンダーR−100
(*5)ノクラック6C
(*6)ノクセラーCZ
【0146】
【表5】
【0147】
(*1)ポリブタジエン(日本ゼオン社製)
(*2)天然ゴム
(*3)これらの指数は、比較例2を100とした。
【0148】
表5の結果から、本発明のジエン系ゴムは、補強剤としてシリカとカーボンブラックを併用しても引張強度、発熱性及び耐摩耗性のいずれの特性も改善されることがわかる(配合実施例9)。また、ゴム成分として、本発明のジエン系ゴムとその他のジエン系ゴムとを併用しても高い改質効果が発揮されること、しかも他のジエン系ゴムと組み合わせることにより各特性のバランスがよくなることがわかる(配合実施例10〜12)。
【0149】
本発明の実施態様を以下に示す。
(1)共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとの(共)重合体鎖の少なくとも一端に4つの炭素原子を結合した4級アンモニム基を有し、芳香族ビニルの含有量が60重量%以下、共役ジエン結合単位のビニル結合割合が10%以上で、且つ重量平均分子量(Mw)が100,000〜2,000,000であるジエン系ゴム(i)。
(2)ジエン系ゴムが、共役ジエンの重合体である(1)記載のジエン系ゴム(i)。
(3)ジエン系ゴムが、共役ジエンと芳香族ビニルとの共重合体である(1)記載のジエン系ゴム(i)。
(4)共役ジエンと芳香族ビニルの割合が、40/60〜95/5(重量比)である(3)記載のジエン系ゴム(i)。
(5)芳香族ビニル単位1個の独立連鎖の含有量が結合芳香族ビニル量の40重量%以上、且つ芳香族ビニルが8個以上連なった芳香族ビニル長連鎖の含有量が結合芳香族ビニル量の5重量%以下である(3)または(4)記載のジエン系ゴム(i)。
【0150】
(6)共役ジエン結合単位のビニル結合割合が、10〜90%である(1)〜(5)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)。
(7)4級アンモニウム基が、一般式(1)
【化3】
[式中、R1、R2、R3は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基、Aはアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R4−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R4はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基、Xはハロゲン原子を示し、R1とAは一緒になってヘテロ環を形成してもよい。]で表されるものである(1)〜(6)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)。
(8)ジエン系ゴムが、多官能カップリング剤でカップリングされたものである(1)〜(7)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)。
(9)ジエン系ゴムが、変性剤(X)で変性されたものである(1)〜(8)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)。
【0151】
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)とその他のジエン系ゴム(ii)とからなるジエン系ゴム混合物。
(11)ジエン系ゴム(i)とその他のジエン系ゴム(ii)の割合が、重量比で、5/95〜95/5の範囲である(10)記載のジエン系ゴム混合物。
(12)その他のジエン系ゴム(ii)が、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム、未変性ジエン系ゴム(ii−i)及び3級アミノ基含有ジエン系ゴム(ii−ii)から選ばれる少なくとも1種である(10)または(11)記載のジエン系ゴム混合物。
【0152】
(13)炭化水素系溶媒中、有機活性金属を開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させて得られる重合体鎖末端に活性金属を結合した(共)重合体と、変性剤(Y)とを反応させて重合体鎖末端に3級アミノ基を導入させた後に、アルキル化剤を反応させることを特徴とするジエン系ゴムの製造方法。
(14)有機活性金属の使用量が、単量体100g当り、0.01〜20ミリモルの単位である(13)記載の製造方法。
(15)有機活性金属が、有機アルカリ金属、有機アルカリ土類金属及び有機酸ランタノイド系列希土類金属から選ばれる少なくとも1種であり、好ましくは有機アルカリ金属である(13)または(14)記載の製造方法。
(16)有機アルカリ金属が、有機リチウム化合物であり、好ましくは有機モノリチウム化合物である(15)記載の製造方法。
(17)変性剤(Y)の使用量が、有機活性金属当り、0.1〜50当量の範囲である(13)〜(16)のいずれかに記載の製造方法。
(18)変性剤(Y)が、分子内に活性金属と反応する官能基と3級アミノ基とを有する化合物(Y−α)及び分子内にN−置換された窒素−炭素二重結合を有する化合物(Y−β)から選ばれる少なくとも1種である(13)〜(17)のいずれかに記載の製造方法。
(19)変性剤Y−αの官能基が、炭素−炭素不飽和基、ハロゲン原子またはカルボニル基である(18)記載の製造方法。
(20)変性剤Y−αの3級アミノ基が、一般式(2)
【化4】
[式中、R5、R6は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基、Bはアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R7−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R7はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R5とBは結合してヘテロ環を形成してもよい。]で表されるものである(18)または(19)記載の製造方法。
(21)変性剤Y−αが、分子内にビニル基と3級アミノ基とを有する化合物及び/または分子内にカルボニル基と3級アミノ基とを持つ化合物である(18)〜(20)のいずれかに記載の製造方法。
(22)変性剤Y−βが、N−置換カルボジイミド及び/またはシッフ塩基である(18)記載の製造方法。
【0153】
(23)炭化水素系溶媒中、有機活性金属アミドを開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させた後にアルキル化剤を反応させることを特徴とするジエン役ゴムの製造方法。
(24)炭化水素系溶媒中、有機活性金属アミドを開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させ得られる重合体鎖末端に活性金属を結合した(共)重合体と、多官能カップリング剤及び/または変性剤(X)とを反応させ、次いでアルキル化剤を反応させることを特徴とするジエン系ゴムの製造方法。
【0154】
(25)有機活性金属アミドが、有機活性金属と2級アミンとを前もって反応させたもの、または、有機活性金属と2級アミンを添加して重合系中で生成しうるものである(23)または(24)記載の製造方法。
(26)有機活性金属が、有機アルカリ金属、有機アルカリ土類金属及び有機酸ランタノイド系列希土類金属から選ばれる少なくとも1種であり、好ましくは有機アルカリ金属である(25)記載の製造方法。
(27)有機アルカリ金属が、有機リチウム化合物であり、好ましくは有機モノリチウム化合物である(26)記載の製造方法。
(28)2級アミンが、脂肪族2級アミン化合物、芳香族2級アミン化合物及び環状イミン化合物から選ばれる少なくとも1種である(25)〜(27)のいずれかに記載の製造方法。
(29)変性剤(X)が、前記変性剤(Y)及び/またはその他の変性剤(Z)である(24)記載の製造方法。
(30)その他の変性剤(Z)が、ケトン類、アルデヒド類、エポキシ類及び炭素数2〜3の環状イミン化合物から選ばれる少なくとも1種である(29)記載の製造方法。
(31)多官能カップリング剤の使用量が、有機活性金属当り、0.1〜10当量の範囲である(24)〜(30)のいずれかに記載の製造方法。
(32)多官能カップリング剤が、スズ系カップリング剤、ケイ素系カップリング剤、ハロゲン化金属系カップリング剤、不飽和ニトリル系カップリング剤、ハロゲン化炭化水素系カップリング剤、エステル系カップリング剤、ハライド系カップリング剤及びリン系カップリング剤から選ばれる少なくとも1種である(24)〜(31)のいずれかに記載の製造方法。
【0155】
(33)アルキル化剤の使用量が、ジエン系重合体ゴム中の含有3級アミノ基量当り、0.1〜50当量の範囲である(13)〜(32)のいずれかに記載の製造方法。
(34)アルキル化剤が、硝酸アルキル、ジアルキル硫酸、アリールスルホン酸アルキルエステル及びモノハロゲン化物から選ばれる少なくとも1種であり、好ましくはモノハロゲン化物である(13)〜(33)のいずれかに記載の製造方法。
(35)モノハロゲン化物が、一般式(3)R8X(式中、R8は低級アルキル基、アリール基またはアラルキル基、Xはハロゲン原子を示す。)で表されるものである(34)記載の製造方法。
【0156】
(36)単量体が、共役ジエンである(13)〜(34)のいずれかに記載の製造方法。
(37)単量体が、共役ジエンと芳香族ビニルである(13)〜(36)のいずれかに記載の製造方法。
(38)共役ジエンと芳香族ビニルの割合が、40/60〜95/5(重量比)である(37)記載の製造方法。
(39)炭化水素系溶媒が、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素及び重合性の低い不飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種である(13)〜(38)記載の製造方法。
(40)極性化合物を添加して行う(13)〜(39)のいずれかに記載の製造方法。
(41)極性化合物の添加量が、開始剤(有機活性金属または有機活性金属アミド)1モルに対して、0.1〜100モルの範囲である(40)記載の製造方法。
(42)極性化合物が、エーテル化合物、3級アミン化合物、アルカリ金属アルコキシド化合物及びホスフィン化合物から選ばれる少なくとも1種である(40)または(41)記載の製造方法。
【0157】
(43)(1)〜(9)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)あるいは(10)〜(12)のいずれかに記載のジエン系ゴム混合物を含むゴム成分と補強剤を含有してなるゴム組成物。
(44)ゴム成分100重量部に対して、補強剤10〜200重量部を用いる(42)記載のゴム組成物。
(45)補強剤が、カーボンブラックである(43)または(44)記載のゴム組成物。
(46)補強剤が、シリカを含むものである(43)または(44)記載のゴム組成物。
(47)シリカの比表面積が、窒素吸着比表面積(BET法)で、50〜400m2/gである(46)記載のゴム組成物。
(48)さらにシランカップリング剤を含んだものである(43)〜(47)のいずれかに記載のゴム組成物。
(49)シランカップリング剤の配合量が、シリカ100重量部に対して0.1〜30重量部である(48)記載のゴム組成物。
(50)さらに加硫剤、加硫促進剤及び加硫活性化剤を含んだものである(43)〜(49)のいずれかに記載のゴム組成物。
(51)ゴム成分100重量部に対して、加硫剤0.1〜15重量部および加硫促進剤0.1〜15重量部である(50)記載のゴム組成物。
(52)加硫促進剤が、少なくともスルフェンアミド系加硫促進剤を含むものである(50)または(51)記載のゴム組成物。
(53)加硫活性化剤として、酸化亜鉛を含むものである(50)〜(52)のいずれかに記載のゴム組成物。
(54)酸化亜鉛の粒度が5μm以下である(53)記載のゴム組成物。
(55)酸化亜鉛の配合量が、ゴム成分100重量部に対して0.05〜10重量部である(53)または54記載のゴム組成物。
【0158】
(56)共役ジエンが、1,3−ブタジエンまたは2−メチル−1,3−ブタジエンである(1)〜(55)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)、ジエン系ゴム混合物、製造方法、ゴム組成物。
(57)芳香族ビニルが、スチレンである(1)〜(56)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)、ジエン系ゴム混合物、製造方法、ゴム組成物。
【0159】
【発明の効果】
本発明を実施することにより、シリカ配合材料の特徴である転動抵抗を損なわずに欠点とされていた引張強度と耐摩耗性を大幅に改善することができたゴム組成物が得られる。したがって、本発明のジエン系ゴム及びゴム組成物は、その特性を活かす各種用途、例えばトレッド、カーカス、サイドウオール、ビード部などのタイヤ各部位への利用、あるいはホース、窓枠、ベルト、靴底、防振ゴム、自動車部品などのゴム製品への利用、さらには耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂等の樹脂強化ゴムとして利用が可能になる。特に、本発明のゴム組成物は上記特性を活かして、特に低燃費タイヤのタイヤトレッドに優れるが、その他にもオールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、スタッドレスタイヤ等のタイヤトレッド、サイドウオール、アンダートレッド、カーカス、ビート部等に使用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、補強剤としてシリカを配合した場合に優れた発熱性を示すとともに引張強度や耐摩耗性にも優れた4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム及びその製造方法並びにそれを含むジエン系ゴム混合物に関する。また、本発明は、4級アンモニム基含有ジエン系ゴムを含むゴム成分と補強剤とを含んでなるゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、省資源や環境対策などが重視されるにつれて、自動車の低燃費化に対する要求は、ますます厳しくなり、自動車タイヤについても、転動抵抗を小さくすることにより、低燃費化に寄与することが求められている。タイヤの転動抵抗を小さくするには、一般に、発熱性の低い加硫ゴムを与えることができるゴム材料を使用する。
【0003】
従来より、タイヤ用ゴム材料として、ジエン系ゴムに補強剤として、カーボンブラックに替えてシリカを配合したゴム組成物を用いることにより、発熱性を低めることが提案されている。ところが、シリカ配合ゴム組成物は、カーボンブラック配合ゴム組成物に比べて、十分な耐摩耗性と引張強度が得られないという問題点があった。この原因の一つは、ジエン系ゴムに対するシリカの親和性がカーボンブラックよりも小さいために、十分な補強効果を発現することができないことにあると考えられている。
【0004】
従来、シリカとジエン系ゴムとの親和性を高めるために、シリカと親和性のある置換基を導入したジエン系ゴムを用いることが検討されている。例えば、乳化重合法によるジエン系ゴムでは、3級アミノ基を導入したジエン系ゴム(特開平1−101344号公報)が、また、アニオン重合法によるジエン系ゴムでは、アルキルシリル基(特開平1−188501号公報)、ハロゲン化シリル基(特開平5−230286号公報)または置換アミノ基(特開昭64−22940号公報)などを導入したジエン系ゴムが提案されている。しかしながら、これらの置換基を導入したジエン系ゴムは、発熱性、引張強度及び耐摩耗性などの改善が十分でない。
【0005】
一方、特公昭58−41282号公報には、グリーン強度を改善する為に、主鎖中に3級アミノ基を有するブタジエン−スチレン共重合体と4,4’−ビス−(ブロモアセチル)−ジフェニルメタン(以下、BADMと略す。)などのジハロゲン化物とを反応させた生成物とカーボンブラックとからなるゴム組成物が開示されている。しかしながら、この反応生成物をシリカと配合すると、引張強度の改善はみられるが、シリカ配合の特徴である発熱性に劣り、しかも耐摩耗性などの特性も十分でないという欠点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、補強剤としてシリカを配合した場合に、転動抵抗の指標となる発熱性に優れ、しかもカーボンブラック配合物と同等の引張強度や耐摩耗性を示すジエン系ゴム及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、発熱性、引張強度及び耐摩耗性に優れたゴム組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究を重ねた結果、特定の4級アンモニウム基含有ジエン系ゴムを含むゴム成分とシリカとを配合することにより、発熱性、引張強度及び耐摩耗性に優れたゴム組成物が得られること、該4級アンモニウム基含有ジエン系ゴムが、(1)有機活性金属を開始剤にして得られる活性金属末端の重合体と変性剤を反応させて重合体鎖末端に3級アミノ基を生成させた後にアルキル化剤を反応する方法、または(2)有機活性金属アミドを開始剤にして得られる3級アミノ基が開始末端に結合した重合体とアルキル化剤を反応させる方法によって得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして本発明によれば、共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとの(共)重合体鎖の少なくとも一端に4つの炭素原子が結合した4級アンモニウム基を有し、芳香族ビニルの含有量が60重量%以下、共役ジエン結合単位のビニル結合割合が10%以上で、且つ重量平均分子量(Mw)が100,000〜2,000,000であるジエン系ゴム(i)が提供される。
本発明によれば、さらに、上記ジエン系ゴム(i)とその他のジエン系ゴム(ii)とからなるジエン系ゴム混合物が提供される。
【0009】
本発明によれば、さらに、炭化水素系溶媒中、有機活性金属を開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させて得られる重合体鎖末端に活性金属を結合した(共)重合体と、変性剤(Y)を反応させて重合体鎖末端に3級アミノ基を導入させた後に、アルキル化剤を反応させることを特徴とするジエン系ゴムの製造方法が提供される。
【0010】
本発明によれば、さらに、炭化水素系溶媒中、有機活性金属アミドを開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させ、次いでアルキル化剤を反応させることを特徴とするジエン系ゴムの製造方法が提供される。
本発明によれば、さらに、炭化水素系溶媒中、有機活性金属アミドを開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させて得られる重合体鎖末端に活性金属を結合した(共)重合体と、多官能カップリング剤及び/または変性剤(X)を反応させて、次いでアルキル化剤を反応させることを特徴とするジエン系ゴムの製造方法が提供される。
【0011】
本発明によれば、さらに、上記ジエン系ゴム(i)または上記ジエン系ゴム混合物を含んでなるゴム成分と補強剤を含有するゴム組成物が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
第4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)
本発明の第4級アンモニウム基含有のジエン系ゴム(i)は、少なくとも一つの重合体鎖末端に4つの炭素原子が結合した第4級アンモニウム基を有する共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとの(共)重合体である。
【0013】
共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンなどが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。これらの共役ジエンは、それぞれ単独、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0014】
芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン等を挙げることができる。これらの中でも、スチレンが好ましい。芳香族ビニルは、それぞれ単独、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0015】
重合体中の芳香族ビニルの含有量は、0〜60重量%で、使用目的に応じて適宜選択できる。例えば、発熱性を特に重視する場合は、通常、共役ジエン単独重合体が用いられる。一方、発熱性やウエットスキッド抵抗を高度にバランスさせるには、共役ジエンと芳香族ビニルとの共重合体が用いられ、その場合の共重合体中の各単量体の含有量は、共役ジエンが、通常40〜95重量%、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは55〜85重量%の範囲であり、芳香族ビニルが、それぞれ、60〜5重量%、好ましくは50〜10重量%、より好ましくは45〜15重量%の範囲である。芳香族ビニルの含有量が過度に多いと発熱性が十分でなく好ましくない。
【0016】
4級アンモニウム基としては、4つの炭素原子が結合したものであれば格別な限定はなく、例えば、一般式(1)
【化1】
[式中、R1、R2、R3は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基、Aはアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R4−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R4はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基、Xはハロゲン原子を示し、R1とAは一緒になってヘテロ環を形成してもよい。]で表される。4つの炭素原子が結合しない4級アンモニウム基、例えば>C=N+<型の4級アンモニム基では改質の効果が十分でなく好ましくない。
【0017】
一般式(1)中のR1、R2、R3は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、好ましくはアルキル基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などの低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などがより好ましく、メチル基、エチル基が最も好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、低級アルキル基置換のフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、低級アルキル基置換のベンジル基などが挙げられる。
【0018】
一般式(1)中のAは、アルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R4−(Mはオキシ基またはNH基、R4はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示す。
【0019】
Aの具体例としては、アルキレン基として、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ヘキシレン基などが挙げられる。アリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基などが挙げられ、一部の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよい。アルキレン−アリーレン基やアリーレン−アルキレン基などとしては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレンなどの低級アルキレン基と、フェニーレン、低級アルキル基が置換されたフェニレン基などが組み合わされた結合基などが挙げられる。
【0020】
一般式−C(=O)−O−R4−で表されるカルボニルオキシアルキレン基やカルボニルオキシアリーレン基としては、例えば、カルボニルオキシメチレン基、カルボニルオキシエチレン基、カルボニルオキシ−n−プロピレン基、カルボニルオキシイソプレピレン基、カルボニルオキシ−n−ブチレン基、カルボニルオキシ−tert−ブチレン基、カルボニルオキシ−n−ヘキシレン基、カルボニルオキシ−n−オクチレン基などのようなカルボニルオキシアルキレン基;カルボニルオキシ−1,2−フェニレン基、カルボニルオキシ−1,3−フェニレン基、カルボニルオキシ−1,4−フェニレン基などのようなカルボニルオキシアリーレン基;などが挙げられ、好ましくはカルボニルオキシエチレン基、カルボニルオキシ−n−プロピレン基、カルボニルオキシ−n−ブチレンなどである。
【0021】
一般式−C(=O)−NH−R4−で表されるカルボニルイミノアルキレン基またはカルボニルイミノアリーレン基としては、例えば、カルボニルイミノメチレン基、カルボニルイミノエチレン基、カルボニルイミノ−n−プロピレン基、カルボニルイミノイソプロピレン基、カルボニルイミノ−n−ブチレン基、カルボニルイミノ−tert−ブチレン基、カルボニルイミノ−n−ヘキレン基、カルボニルイミノ−n−オクチレン基などのようなカルボニルオキシアルキレン基;カルボニルイミノ−1,2−フェニレン基、カルボニルイミノ−1,3−フェニレン基、カルボニルイミノ−1,4−フェニレン基などのようなカルボニルイミノアリーレン基;などが挙げられる。
【0022】
また、R1とAは結合してヘテロ環を形成してもよい。具体的には、ピロリジニウム環、ピペリジニウム環などが挙げられる。
【0023】
一般式(1)中のXは、ハロゲン原子を示す。具体的には、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子などが挙げられる。これらの中でも、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが好適である。
【0024】
本発明のジエン系ゴム(i)の共役ジエン結合単位のビニル結合(1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合)割合は、10%以上、好ましくは10〜90%、より好ましくは30〜85%、最も好ましくは50〜80%の範囲である。共役ジエン結合単位中のビニル結合量が過度に少ないと、耐摩耗性に劣り好ましくない。逆に、共役ジエン結合単位中のビニル結合量が過度に多い共役ジエン−芳香族ビニル共重合体は、製造しにくい等の製造上の制約がある。ビニル結合以外の残部の共役ジエン結合単位は、1,4−結合で、1,4−シス結合、1,4−トランス結合のいずれであってもよい。
【0025】
本発明のジエン系ゴム(i)が芳香族ビニルを含有する場合の芳香族ビニル連鎖分布については、特に制限はされないが、芳香族ビニル単位1個の独立連鎖の含有量が結合芳香族ビニル量の40重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上であり、且つ芳香族ビニルが8個以上連なった芳香族ビニル長連鎖の含有量が結合芳香族ビニル量の5重量%以下、好ましくは2.5重量%以下、さらに好ましくは1.5重量%以下であるものが、発熱性、耐摩耗性、ウエットスキッド抵抗性など特性を高値にバランスさせる上で適切である。
【0026】
本発明のジエン系ゴム(i)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)で、100,000〜2,000,000、好ましくは150,000〜1,500,000、より好ましくは200,000〜1,200,000の範囲である。ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)が、過度に小さいと発熱性や耐摩耗性に劣り、逆に、過度に大きいと加工性に劣り、いずれも好ましくない。
【0027】
本発明のジエン系ゴム(i)の製造方法としては、格別な限定はなく、例えば、炭化水素系溶媒中、開始剤として有機活性金属を用いて、共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させて得られる重合体鎖末端に活性金属を結合した(共)重合体と、変性剤(Y)とを反応させて重合体鎖末端に3級アミノ基を導入させた後に、アルキル化剤を反応させる方法(製法a)、あるいは、炭化水素系溶媒中、有機活性金属アミド開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させた後にアルキル化剤を反応させる方法(製法b)などが挙げられる。
【0028】
製法aで用いられる有機活性金属としては、アニオン重合で一般に使用されるものが用いられ、例えば、有機アルカリ金属、有機アルカリ土類金属、有機酸ランタノイド系列希土類金属などが挙げられる。これらの中でも、有機アルカリ金属が特に好ましい。
【0029】
有機アルカリ金属としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどのモノ有機リチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼンなどの多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレンなどが挙げられる。これらの中でも、有機リチウム化合物が好ましく、モノ有機リチウム化合物が特に好ましい。
【0030】
有機アルカリ土類金属としては、例えば、n−ブチルマグネシウムブロミド、n−ヘキシルマグネシウムブロミド、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウム、t−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウム、エチルバリウムなどが挙げられる。
【0031】
有機酸ランタノイド系列希土類金属としては、例えば、特公昭63−64444号公報に記載されるようなバーサチック酸ネオジウム/トリエチルアルミニウムハイドライド/エチルアルミニウムセスキクロライドからなる複合触媒などが挙げられる。
【0032】
これらの有機活性金属は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。有機活性金属の使用量は、要求される生成重合体の分子量によって適宜選択され、通常、単量体100g当り0.01〜20ミリモル、好ましくは0.05〜15ミリモル、より好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲である。
【0033】
上記有機活性金属を開始剤として用いた重合反応は、該開始剤を破壊しない炭化水素系溶媒中で行われる。適当な炭化水素系溶媒としては、通常の溶液重合に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;などが挙げられ、好ましくはn−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどである。また、必要に応じて、1−ブテン、シス−2−ブテン、2−ヘキセンなどの重合性の低い不飽和炭化水素などを使用してもよい。これらの炭化水素系溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて、通常、単量体濃度が1〜30重量%になる量比で用いられる。
【0034】
重合反応に際し、共役ジエン結合単位のミクロ構造あるいは共役ジエンと共重合させる芳香族ビニルの共重合体鎖中の分布を調整するために極性化合物を用いることができる。極性化合物としては、有機活性金属を開始剤にした通常のアニオン重合で使用されるものであれば格別制限はなく、例えば、エーテル類;3級アミン類;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;などが挙げられる。これらの中でも、3級アミン類やエーテル類が好ましく、3級アミン類やオキシ基2つのジエーテル類が特に好ましい。
【0035】
3級アミン類としては、例えば、テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジンなどが挙げられ、好ましくはテトラメチルエチレンジアミンである。
【0036】
エーテル化合物としては、例えば、分子内にエーテル結合を1つ有するモノエーテル化合物、分子内にエーテル結合を2つ有するジエーテル化合物、分子内にエーテル結合を3つ以上有する多価エーテル化合物などに分類され、最も好ましくはジエーテル化合物である。エーテル化合物の炭素数は、特に限定はされないが、通常2〜100、好ましくは4〜50、より好ましくは4〜20、最も好ましくは4〜15の範囲である。
【0037】
モノエーテル化合物としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテルなどの脂肪族モノエーテル類;アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテルなどの芳香族モノエーテル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどの環状モノエーテル類;などが挙げられ、これらの中でも、脂肪族モノエーテル類や環状モノエーテル類が好ましい。
【0038】
ジエーテル化合物としては、例えば、アルキレングリコールジエーテル類、環状ジエーテル類などが挙げられ、好ましくはアルキレングリコールジエーテル類である。ジエーテル化合物の炭素数は、特に制限はないが、通常4〜30、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜15である。
【0039】
アルキレングリールジエーテルとしては、例えば、アルキレングリコールジアルキルエーテル類、アルキレングリコールアルキルアリールエーテル類、アルキレングリコールジアリールエーテル類、アルキレングリコールジアラルキルエーテル類などが挙げられ、好ましくはアルキレングリコールジアルキルエーテル類である。
【0040】
好ましいアルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジアミルエーテル、エチレングリコールジオクチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、イソプロピレングリコールジメチルエーテル、イソプロピレングリコールジエチルエーテル、ブチレングリコールジメチルエーテル、ブチレングリコールジエチルエーテル、ブチレングリコールジブチルグリコールなどのアルキレングリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールメチルフェニルエーテルなどのアルキレングリコールアルキルアリールエーテル類;エチレングリコールジフェニルエーテルなどのアルキレングリコールジアリールエーテル類;エチレングリコールジベンジルエーテルなどのアルキレングリコールジアラルキルエーテル類;などが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジアミルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどが特に好ましく、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールブチルt−ブチルエーテル、エチレングリコールジアミルエーテルなどが最も好ましい。
【0041】
環状ジエーテルとしては、例えば、ジオキサン、1,10−フェナントロリンなどや米国特許公報第4,429,091号に記載されるジオキソランアルカン類、例えば、ビス(2−オキソラニル)メタン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、1,1−ビス(2−オキソラニル)エタン、2,2−ビス(5−メチル−2−オキソラニル)プロパンなどが挙げられ、これらの中でも、ジオキサンやジオキソランアルカン類などが好ましい。
【0042】
多価エーテル化合物としては、例えば、オリゴオキシアルキレングリコールジアルキルエーテル類、オキソラニルジオキサン類、オキソラニルジオキソラン類、クラウンエーテル類などが挙げられる。
【0043】
オリゴオキシアルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルグリコール、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルなどのオリゴオキシエチレングリコールジアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジイソプロピレングリコールジアミルエーテルなどのオリゴオキシプロピレングリコールジアルキルエーテル類;ジブチレングリコールジメチルエーテルなどのオリゴオキシブチレングリコールジアルキルエーテル類;などが挙げられる。これらの中でも、オリゴオキシエチレングリコールジアルキルエーテル類が好ましく、特に、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルなどが好ましい。
【0044】
ポリオキシアルキレングリコールジアルキルエーテル類としては、例えば、ポリオキシエチレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジイソプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジブチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジオクチルエーテルなどのポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールジエチルエーテルなどのポリオキシプロピレングリコールジアルキルエーテル類;ポリオキシブチレングリコールジメチルエーテルなどのポリオキシブチレングリコールジアルキルエーテル類;などが挙げられる。
【0045】
オキソラニルジオキサン類やオキソラニルジオキソラン類としては、例えば、特公平7−74245号公報に記載される化合物などが挙げられ、具体的には、例えば、2−(2−オキソラニル)ジオキサン、2−(2−オキソラニル)−4,4,6−トリメチルジオキサン、2−(5−メチル−2−オキソラニル)−4,4,6−トリメチルジオキサン、2−(2−オキソラニル)−5,5−ジメチルジオキサン、2−(2−オキソラニル)ジオキソラン、2−(2−オキソラニル)−4−t−ブチルオキソラン、2−(2−オキソラニル)−4,5−ジメチルジオキソラン、2−(2−オキソラニル)−4,4,5,5−テトラメチルジオキソランなどが挙げられる。
【0046】
クラウンエーテル類としては、例えば、18−クラウン−6−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、12−クラウン−4−エーテル、ジベンゾ−18−クラウンエーテル、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテル、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6−エーテル、4’−ニトロベンゾ−15−クラウン−5−エーテルなどが挙げられる。
【0047】
これらの極性化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。極性化合物の使用量は、開始剤(有機活性金属または有機活性金属アミド)1モルに対して、通常、0〜200モル、好ましくは0.1〜100モル、より好ましくは0.5〜50モル、最も好ましくは0.8〜20モルである。
【0048】
重合反応は、前記共役ジエン単独あるいは前記共役ジエンと前記芳香族ビニルを(共)重合して行われる。共役ジエンと芳香族ビニルを併用する場合の各単量体の全単量体中での割合は、共役ジエンが、通常40〜95重量%、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは55〜85重量%の範囲であり、芳香族ビニルが、それぞれ、通常60〜5重量%、好ましくは50〜10重量%、より好ましくは45〜15重量%の範囲である。
【0049】
重合反応は、通常、−78〜150℃の範囲で、回分式あるいは連続式等の重合様式で行われる。また、芳香族ビニルを共重合させる場合は、芳香族ビニル単位のランダム性を向上させるため、例えば、特開昭59−140211号公報や特開昭56−143209号公報に記載されているように、重合系中の芳香族ビニルと共役ジエンの組成比における芳香族ビニル含有量が特定濃度範囲になるように共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとの混合物を、反応系に連続的あるいは断続的に供給するのが望ましい。
【0050】
重合反応により生成する重合体としては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体などが例示できる。かくして、重合体鎖の末端に活性金属が結合した重合体(以下、活性重合体という。)が得られる。
【0051】
かかる活性重合体と反応させて重合体鎖末端に3級アミノ基を導入できる変性剤(Y)は、公知であり、例えば、特開昭59−191705号公報、特開昭60−137913号公報、特開昭62−86074号公報、特開昭62−109801号公報、特開昭62−149708号公報、特開昭64−22940号公報などに開示される各種変性剤を用いることができる。
【0052】
変性剤(Y)の好ましい例としては、例えば、分子内に活性金属と反応する官能基と3級アミノ基とを有する化合物(以下、「変性剤Y−α」という。)、及び分子内にN−置換された窒素−炭素二重結合を有する化合物(以下、「変性剤Y−β」という。)などを挙げることができる。
【0053】
変性剤Y−α中の官能基としては、上記活性重合体と反応するものであれば特に限定はなく、例えば、ビニル基などの炭素−炭素不飽和基、ハロゲン原子、カルボニル基などが挙げられる。変性剤Y−α中の3級アミノ基としては、格別限定はなく、例えば、一般式(2)
【化2】
[式中、R5、R6は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基、Bはアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R7−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R7はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R5とBは結合してヘテロ環を形成してもよい。]で表される。一般式(2)中のR5及びR6の具体例は、前記一般式(1)中のR1の具体例と同様であり、一般式(2)中のBの具体例も前記一般式(1)中のAと同様である。
【0054】
変性剤Y−αの好ましい例としては、分子内にビニル基と3級アミノ基とを有する化合物;分子内にカルボニル基と3級アミノ基とを持つ化合物;などが挙げられる。
【0055】
分子内にビニル基と3級アミノ基とを有する化合物としては、例えば、N,N−ジ置換アミノアルキルアクリレート、N,N−ジ置換アミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物およびピリジル基を有するビニル化合物等が挙げられる。
【0056】
N,N−ジ置換アミノアクリレートとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフオリンなどのアクリル酸またはメタアクリル酸のエステルなどが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが好ましい。
【0057】
N,N−ジ置換アミノアルキルアクリルアミドとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド化合物またはメタアクリルアミド化合物などが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが好ましい。
【0058】
N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、N−メチル−N−エチルアミノエチルスチレン、N,N−ジエチルアミノエチルスチレン、N,N−ジプロピルアミノエチルスチレン、N,N−ジオクチルアミノエチルスチレンなどのスチレン誘導体が挙げられる。
【0059】
分子内にカルボニル基と3級アミノ基とを持つ化合物は、両基が隣接していてもよいし、また、離れていてもよい。隣接する化合物としては、例えば、N−置換アミド類、N−置換イミド類、N−置換尿素類、N−置換イソシアヌル酸類などが挙げられ、好ましくはこれらの環状化合物である。また、両基が離れている化合物としては、例えば、N−置換アミノケトン類、N−置換アミノアルデヒド類などが挙げられ、好ましくはN−置換アミノケトン類である。
【0060】
N−置換環状アミド類としては、例えば、N−メチル−β−プロピオラクタム、N−フェニル−β−プロピオラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、N−t−ブチル−2−ピロリドン、N−メチル−5−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−フェニル−2−ピペリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタム、N−メチル−ω−ラウリロラクタム、N−ビニル−ω−ラウリロラクタムなどが挙げられる。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、N−メチル−ピペリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタムなどが好ましい。
【0061】
N−置換環状尿素類としては、例えば、1,3−ジメチルエチレン尿素、1,3−ジビニルエチレン尿素、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−エチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられ、好ましくは1,3−ジメチルエチレン尿素、1,3−ジビニルエチレン尿素などである。
【0062】
N−置換アミノケトン類としては、例えば、4−N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、4−N−メチル−N−エチルアミノアセトフェノン、4−N,N−ジエチルアミノアセトフェノン、1,3−ビス(ジフェニルアミノ)−2−プロパノン、1,7−ビス(メチルエチルアミノ)−4−ヘプタノン、4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジ−t−ブチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。これらの中でも、4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノンなどが特に好ましい。
【0063】
N−置換アミノアルデヒド類としては、例えば、4−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−N.N−ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4−N,N−ジビニルアミノベンズアルデヒドなどのN−置換アミノアルデヒド類などが挙げられる。
【0064】
分子内にカルボニル基とアミノ基とを持つ化合物は、両基が隣接していてもよいし、また、離れていてもよい。隣接する化合物としては、例えば、アミド類、イミド類、尿素類、イソシアヌル酸類などが挙げられ、好ましくはこれらの環状化合物で、より好ましくはN−置換環状アミド類、N−置換環状尿素類などである。また、両基が離れている化合物としては、アミノケトン類、アミノアルデヒド類などが挙げられ、好ましくはN−置換アミノケトン類、N−置換アミノアルデヒド類などで、より好ましくはN−置換アミノケトン類である。
【0065】
N−置換環状アミド類としては、例えば、N−メチル−β−プロピオラクタム、N−フェニル−β−プロピオラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、N−t−ブチル−2−ピロリドン、N−メチル−5−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−フェニル−2−ピペリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタム、N−メチル−ω−ラウリロラクタム、N−ビニル−ω−ラウリロラクタムなどが挙げられる。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、N−メチル−ピペリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタムなどが好ましい。
【0066】
N−置換環状尿素類としては、例えば、1,3−ジメチルエチレン尿素、1,3−ジビニルエチレン尿素、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−エチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられ、好ましくは1,3−ジメチルエチレン尿素、1,3−ジビニルエチレン尿素などである。
【0067】
N−置換アミノケトン類としては、例えば、4−N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、4−N,N−ジエチルアミノアセトフェノン、1,3−ビス(ジフェニルアミノ)−2−プロパノン、1,7−ビス(メチルエチルアミノ)−4−ヘプタノン、4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジ−t−ブチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。これらの中でも、4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノンなどが特に好ましい。
【0068】
N−置換アミノアルデヒド類としては、例えば、4−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−N.N−ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4−N,N−ジビニルアミノベンズアルデヒドなどのN−置換アミノアルデヒド類などが挙げられる。
【0069】
変性剤Y−βのN−置換された窒素−炭素二重結合を有する化合物としては、例えば、N−置換カルボジイミドやシッフ塩基などが挙げられる。
【0070】
N−置換カルボジイミドとしては、例えば、ジメチルカルボジイミド、ジエチルカルボジイミド、ジプロピルカルボジイミド、ジブチルカルボジイミド、ジヘキシルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジベンジルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、メチルプロピルカルボジイミド、ブチルシクロヘキシルカルボジイミド、エチルベンジルカルボジイミド、プロピルフェニルカルボジイミド、フェニルベンジルカルボジイミドなどが挙げられる。これらの中でも、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミドなどが好ましい。
【0071】
シッフ塩基としては、例えば、N−エチルエチリデンイミン、N−メチルベンジリデンイミン、N−ヘキシルシンナミリデンイミン、N−デシル−2−エチル−1,2−ジフェニルブチリデンイミン、N−フェニルベンジリデンイミン、N−ドデシルシクロヘキサンイミン、N−プロピル−2,5−シクロヘキサジエンイミン、N−メチル−1−ナフタレンイミンなどが挙げられる。
【0072】
これらの変性剤(Y)は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用される。変性剤(Y)の使用量は、ジエン系ゴムの要求される特性によって適宜選択されるが、有機活性金属当り、通常0.1〜50当量、好ましくは0.2〜20当量、より好ましくは0.3〜10当量の範囲である。本発明の4級アンモニウム基を有するジエン系ゴム(i)を製造する場合の変性剤(Y)の使用量は、有機活性金属当り、通常1〜50当量、好ましくは1〜20当量、より好ましくは1〜10当量の範囲である。また、本発明においては、4級アンモニウム基による改質の効果が大きい為、ゴム成分中に僅かに導入するだけでも目的を達成することができる。その場合[4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)と未変性ジエン系ゴム(ii−i)とからなるジエン系ゴム(iii)を製造する場合]の変性剤(Y)の使用量は、有機活性金属当り、通常0.1〜0.9当量、好ましくは0.2〜0.8当量、より好ましくは0.3〜0.7当量の範囲である。
【0073】
変性反応は、分子中に結合した活性金属を有する前記活性重合体と変性剤(Y)とを接触させればよい。重合反応により活性重合体を製造した場合には、通常、重合停止前の活性重合体液中に変性剤(Y)を所定量添加することにより変性反応を行う。変性反応における反応温度及び反応時間は、広範囲に選択できるが、一般的に、室温〜120℃で、数秒〜数時間である。変性率は、通常10〜100%の範囲内から適宜選択される。変性率は、GPCの示差屈折計(RI)と紫外可視分光光度計(UV)で吸収強度を測定し、その(UV/RI)を求め、予め作成した検量線によって決定することができる。
【0074】
製法bで用いられる有機活性金属アミドは、前記有機活性金属と2級アミンとを前もって反応させたものを用いてもよいし、また、特開平6−199921号公報に開示される方法のように、少なくとも1部の単量体と2級アミン存在下に前記有機活性金属を加えて重合反応系中で生成しうるものであってもよい。
【0075】
2級アミンとしては、例えば、脂肪族2級アミン化合物、芳香族2級アミン化合物及び環状イミン化合物などが挙げられ、好ましくは脂肪族2級アミン化合物、環状イミン化合物である。
【0076】
脂肪族2級アミン化合物としては、例えば、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルアミルアミン、アミルヘキシルアミン、ジエチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、エチルヘキシルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、プロピルブチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、メチルシクロペンチルアミン、エチルシクロペンチルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。これらの中でも、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミンなどが好ましい。
【0077】
芳香族2級アミン化合物としては、例えば、ジフェニルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−エチルフェネチルアミンなどが挙げられる。
【0078】
環状イミン化合物としては、例えば、アジリジン、アセチジン、ピロリジン、ピペリジン、2−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、3,5−ジメチルピペリジン、2−エチルピペリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、ドデカメチレンイミン、コニイン、モルホリン、オキサジン、ピロリン、ピロール、アゼピンなどが挙げられる。これらの中でも、ピロリジン、ピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、3,5−ジメチルピペリジン、2−エチルピペリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミンなどが好ましい。
【0079】
これらの2級アミンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0080】
前もって有機活性金属と2級アミンを反応させて調整した有機活性金属アミドを用いる場合の有機活性金属アミドの使用量は、要求される生成重合体の分子量によって適宜選択されるが、単量体100g当り、通常0.1〜30mmol、好ましくは0.2〜15mmol、より好ましくは0.3〜10mmolの範囲である。
【0081】
有機活性金属と2級アミンを重合系に添加して系中で有機活性金属アミドを生成させる場合の有機活性金属の使用量は、要求される生成重合体の分子量によって適宜選択されるが、単量体100g当り、通常0.1〜30mmol、好ましくは0.2〜15mmol、より好ましくは0.3〜10mmolの範囲である。この時の2級アミンの使用量は、有機活性金属に対して、通常0.5〜2当量、好ましくは0.8〜1.5当量、より好ましくは1〜1.2当量である。
【0082】
製法bの重合反応は、常法に従って行えばよく、例えば特開平6−199921号公報に開示される方法に従って、前記単量体の少なくとも一部が存在する中で有機活性金属と2級アミン化合物を接触させて行うことができる。その他の重合条件は、前記製法aの重合条件と同様である。
【0083】
製法bの方法においては、重合反応終了後に変性剤(X)及び/または多官能カップリング剤と反応させることができる。この場合の変性剤(X)は、前記変性剤(Y)を用いてもよいし、また、その他の変性剤(Z)を用いてもよい。前記変性剤(Y)を用いた場合は、重合体鎖の2つの末端に3級アミノ基が導入されたものが得られる。
【0084】
その他の変性剤(Z)としては、通常のアニオン重合で用いられるものを使用することができ、例えば、特開昭59−191705号公報、特開昭60−137913号公報、特開昭62−86074号公報、特開昭62−109801号公報、特開昭62−149708号公報、特開昭64−22940号公報などに開示される各種変性剤を用いることができる。
【0085】
その他の変性剤(Z)の具体例としては、例えば、アセトン、ベンゾフェノン、アセチルアセトンなどのケトン類;ベンズアルデヒドなどのアルデヒド類;エポキシ類;炭素数2〜3の環状イミン化合物;などが挙げられる。
【0086】
エポキシ類としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシ−iso−ブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシ−2−ペンチルプロパン、3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセン、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロドデカン、1,2−エポキシエチルベンゼン、1,2−エポキシ−1−メトキシ−2−メチルプロパン、グリシジルメチルエーテル、グリシジルエチルエーテル、グリシジルイソプロピルエ−テル、グリシジルアリルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、グリシジルブチルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシ−iso−ブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、グリシジルメチルエーテル、グリシジルエチルエーテル、グリシジルイソプロピルエ−テル、グリシジルアリルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、グリシジルブチルエーテルなどが好ましい。
【0087】
エポキシ類としては、上記エポキシ類の少なくとも1つの水素原子をハロゲン原子で置換されたエピハロヒドリン類を用いることができる。エピハロヒドリン類としては、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、2,3−エポキシ−1,1,1−トリフルオロプロパン、1,2−エポキシ−1H,1H,2H,3H,3H,−ヘプタデカフルオロウンデカンなどが挙げられ、好ましくはエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンなどである。
【0088】
炭素数2〜3の環状イミン化合物としては、例えば、エチレンイミン、プロピレンイミンなどのN−非置換のアジリジン化合物やトリメチレンイミンなどのN−非置換アジリジン化合物などが挙げられる。
【0089】
これらの変性剤(X)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。変性剤(X)の使用量及び反応条件は、前記変性剤(Y)の具体例と同様である。
【0090】
多官能カップリング剤としては、例えば、特開昭56−143209号公報、特開昭56−17362号公報、特開昭57−55912号公報、特開昭58−162605号公報などに開示される各種多官能カップリング剤を用いることができる。
【0091】
多官能カップリング剤の具体例としては、例えば、二塩化スズ、四塩化スズ、四臭化スズ、モノメチルトリクロロスズ、モノエチルトリクロロスズ、モノブチルトリクロロスズ、モノヘキシルトリクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、ジエチルジクロロスズ、ジブチルジクロロスズ、ジブチルジブロムスズ、テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラブトキシスズ、ビストリクロロスタニルエタンなどのスズ系カップリング剤;二塩化ケイ素、二臭化ケイ素、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四ヨウ化ケイ素、モノメチルトリクロロケイ素、モノエチルトリクロロケイ素、モノブチルトリクロロケイ素、モノヘキシルトリクロロケイ素、モノメチルトリブロモケイ素、ジメチルジクロロケイ素、ジエチルジクロロケイ素、ブチルトリクロロケイ素、ジブチルジクロロケイ素、ジヘキシルジクロロケイ素、ジメチルジブロモケイ素、テトラメトキシケイ素、テトラエトキシケイ素、テトラブトキシケイ素、ジフェニルジメトキシケイ素、ジフェニルジエトキシケイ素、モノクロロトリメトキシケイ素、モノブロモトリメトキシケイ素、ジクロロジメトキシケイ素、ジブロモジメトキシケイ素、トリクロロメトキシケイ素、トリブロモメトキシケイ素、アルキルトリフェノキシケイ素、ビストリクロロシリルエタンなどのケイ素系カップリング剤;二塩化鉛、四塩化ゲルマニウムなどのハロゲン化金属系カップリング剤;エチルアクリロニトリルなどの不飽和ニトリル系カップリング剤;ジクロロメタン、ジブロモメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、ジクロロプロパン、ジブロモプロパン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、トリブロモメタン、トリクロロエタン、トリクロロプロパン、トリブロモプロパン、四塩化炭素、テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系カップリング剤;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、トリメチル酢酸エチル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、安息香メチル、安息香酸エチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、安息香酸エチル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチルなどのエステル系カップリング剤;テレフタル酸ジクロライド、フタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライドなどのハライド系カップリング剤;トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト等のリン系カップリング剤;等を挙げることができる。これらの中でも、スズ系カップリング剤、ケイ素系カップリング剤、エステル系カップリング剤、ハロゲン化炭化水素系カップリング剤などが好ましく、スズ系カップリング剤、ケイ素系カップリング剤が特に好ましい。
【0092】
これら多官能カップリング剤は、それぞれ単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。多官能カップリング剤の使用量は、要求される重量平均分子量やカップリング率、多官能カップリング剤の反応性などに応じて適宜選択することができるが、有機活性金属当り、通常、0.1〜10当量、好ましくは0.2〜5当量、より好ましくは0.3〜2当量の範囲である。カップリング反応は、通常、0〜150℃で、0.5〜20時間の反応条件で行われる。カップリング率は、適宜選択することができるが、通常、10〜100%の範囲である。カップリング率は、GPC測定により示差屈折計の高分子量と低分子量の面積比から求めることができる。
【0093】
アルキル化剤の反応は、製法a及び製法bのいずれの方法でも同様にして行うことができる。
【0094】
アルキル化剤としては、例えば、硝酸メチル、硝酸エチル、硝酸プロピル、硝酸ブチルなどの硝酸アルキル;メチル硫酸カリウム、エチル硫酸カリウムなどのアルキル硫酸カリウム;ジメチル硫酸、ジエチル硫酸などのジアルキル硫酸;アリールスルホン酸メチルエステル、アリールスルホン酸エチルエステル、アリールスルホン酸プロピルエステルなどのアリールスルホン酸アルキルエステル;モノハロゲン化物;などの挙げられ、好ましくはモノハロゲン化物である。
【0095】
モノハロゲン化物としては、例えば、一般式(3)R8X(式中、R8は低級アルキル基、アリール基またはアラルキル基、Xはハロゲン原子を示す。)で表されるものを用いることができる。一般式(3)中のR8は、前記一般式(1)中のR3の具体例と同様である。一般式(3)中のXは、前記一般式(1)中のXの具体例と同様である。
【0096】
モノハロゲン化物の好ましい例としては、、例えば、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、臭化ブチル、ヨウ化ヘキシルなどのハロゲン化アルキル;塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジルなどのハロゲン化ベンジル;などが挙げられ、ハロゲン化アルキルが好ましい。ハロゲン化アルキルの中でも、低級のハロゲン化アルキルが好ましく、ハロゲン化メチルが特に好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが好ましく、ヨウ素原子が特に好ましい。
【0097】
これらのアルキル化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。アルキル化剤の使用量は、4級化度の要求に応じて適宜選択できるが、ジエン系重合体ゴム中の含有3級アミノ基量当り、通常0.1〜50当量、好ましくは0.2〜20当量、より好ましくは0.3〜10当量の範囲である。アルキル化剤の使用量は、本発明の第4級アンモニウム基を有するジエン系ゴム(i)を製造する場合には、ジエン系重合体ゴム中の含有3級アミノ基量当り、通常1〜50当量、好ましくは1〜20当量、より好ましくは1.2〜10当量の範囲である。また、本発明においては、4級アンモニウム基による改質の効果が大きい為、ゴム成分中に僅かに導入するだけでも目的を達成することができる。その場合[4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)と3級アミン含有ジエン系ゴム(ii−ii)とからなるジエン系ゴム(iii)を製造する場合]のアルキル化剤の使用量は、ジエン系重合体ゴム中の含有3級アミノ基量当り、通常0.1〜0.9当量、好ましくは0.2〜0.8当量、より好ましくは0.3〜0.7当量の範囲である。
【0098】
アルキル化剤の反応は、特に制限はなく常法に従って行えばよく、例えば、反応温度は、通常0〜90℃、好ましくは20〜80℃であり、反応時間は、通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時間である。
【0099】
反応終了後の4級化の確認は、常法に従って行えばよく、例えば、紫外線(UV)吸収スペクトルやキンヒドロンの定性反応によって行うことができる。
【0100】
本発明において、本発明の4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)は、
(1)炭化水素系溶媒中、開始剤として有機活性金属を用いて、共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させて得られる重合体鎖末端に活性金属を結合した(共)重合体と、変性剤(Y)と反応させて重合体鎖末端に3級アミノ基を導入させた後に、アルキル化剤を反応させる製造方法、
(2)炭化水素系溶媒中、開始剤として有機活性金属アミドを用いて、共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させた後に、アルキル化剤を応させる製造方法、
(3)炭化水素系溶媒中、開始剤として有機活性金属アミドを用いて、共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させた後に、変性剤(X)及び/または多官能カップリング剤を反応させ、次いでアルキル化剤を反応させる製造方法、
によって得ることができる。
【0101】
したがって、本発明のジエン系ゴム(i)は、第4級アンモニウム基を末端に有したジエン系ゴム、その少なくとも一部が多官能カップリング剤でカップリングされたジエン系ゴムおよび/またはその少なくとも一部が変性剤Xで変性されたジエン系ゴム、及びこれらの混合物を包含する。
【0102】
ジエン系ゴム混合物
本発明のジエン系ゴム混合物は、上記4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)とその他のジエン系ゴム(ii)とを含有する。4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その他のジエン系ゴム(ii)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0103】
その他のジエン系ゴム(ii)としては、格別限定はないが、通常のゴム業界で用いられるジエン系ゴムを使用することができる。具体的には、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、溶液重合ランダムSBR(結合スチレン5〜50重量%、ブタジエン結合単位部分の1,2−ビニル結合量10〜80%)、高トランスSBR(ブタジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、低シスポリブタジエンゴム(BR)、高シスBR、高トランスBR(ブタジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、スチレン−イソプレン共重合ゴム(SIR)、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、溶液重合ランダムスチレン−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム(SIBR)、乳化重合SIBR、乳化重合スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、高ビニルSBR−低ビニルSBRブロック共重合ゴム、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体などのブロック共重合体等が挙げられ、要求特性に応じて適宜選択できる。これらの中でも、NR、BR、IR、SBR、SIBRなどが好ましい。これらのその他のゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0104】
本発明においては、さらに、その他のジエン系ゴムとして、前記未変性ジエン系ゴム(ii−i)、3級アミノ基含有ジエン系ゴム(ii−ii)、その他の変性ジエン系ゴム、及びこれらの混合物等を包含する。
【0105】
本発明の4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)の改質の効果は高く、ジエン系ゴム混合物中の少なくとも5重量%、好ましくは10重量%、より好ましくは15重量%以上であれば十分に効果が発揮できる。そのため、ジエン系ゴム混合物中の4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム(i)とその他のジエン系ゴム(ii)の割合は、それぞれ、通常5/95〜95/5、好ましくは10/90〜90//10、より好ましくは15/85〜85/15(重量比)の割合である。
【0106】
補強剤
補強剤としては、特に制限はないが、例えば、シリカやカーボンブラックなどを用いることができる。
【0107】
シリカとしては、特に制限はないが、例えば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、及び特開昭62−62838号公報に開示される沈降シリカなどが挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが特に好ましい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0108】
シリカの比表面積は、特に制限はされないが、窒素吸着比表面積(BET法)で、通常50〜400m2/g、好ましくは100〜250m2/g、さらに好ましくは120〜190m2/gの範囲である時に、補強性、耐摩耗性、発熱性及び加工性等の改善が十分に達成され、好適である。ここで窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じBET法で測定される値である。
【0109】
カーボンブラックとしては、特に制限はないが、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどを用いることができる。これらの中でも、特にファーネスブラックが好ましく、その具体例としては、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、FEF等の種々のグレードのものが挙げられる。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0110】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、特に制限はないが、通常5〜200m2/g、好ましくは50〜150m2/g、より好ましくは80〜130m2/gの範囲である時に、引張強度や耐摩耗性が高いレベルで改善され好適である。また、カーボンブラックのDBP吸着量は、特に制限はないが、通常5〜300ml/100g、好ましくは50〜200ml/100g、より好ましくは80〜160ml/100gの範囲である時に、引張強度や耐摩耗性が高いレベルで改善され好適である。
【0111】
カーボンブラックとして、特開平5−230290号公報に開示されるセチルトリメチルアンモニウムブロマイドの吸着(CTAB)比表面積が110〜170m2/gで24,000psiの圧力で4回繰り返し圧縮を加えた後のDBP(24M4DBP)吸油量が110〜130ml/100gであるハイストラクチャーカーボンブラックを用いることにより、耐摩耗性をさらに改善できる。
【0112】
補強剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部、より好ましくは30〜120重量部である。
【0113】
本発明の目的を高度に達成するためには、補強剤として、シリカ単独で、あるいはシリカとカーボンブラックとを併用して用いることが好ましい。シリカとカーボンブラックとを併用する場合の混合割合は、用途や目的に応じて適宜選択されるが、通常、シリカ:カーボンブラック=10:90〜99:1、好ましくは30:70〜95:5、より好ましくは50:50〜90:10(重量比)である。
【0114】
シランカップリング剤
本発明においてシランカップリング剤を添加すると、発熱性や耐摩耗性がさらに改善されるので、好適である。
【0115】
シランカップリング剤としては、特に限定はないが、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、及び特開平6−248116号公報に記載されるγ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどのテトラスルフィド類などを挙げることができる。
【0116】
これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。シランカップリング剤の配合割合は、シリカ100重量部に対して、通常、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部の範囲である。
【0117】
ゴム組成物
本発明のゴム組成物は、上記成分以外に、常法に従って、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤、老化防止剤、活性剤、可塑剤、滑剤、充填剤等のその他の配合剤をそれぞれ必要量含量することができる。
【0118】
加硫剤としては、特に限定はないが、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄;一塩化硫黄、二塩化硫黄などのハロゲン化硫黄;ジクミルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシドなどの有機過酸化物;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのキノンジオキシム;トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、4,4’−メチレンビス−o−クロロアニリンなどの有機多価アミン化合物;メチロール基をもったアルキルフェノール樹脂;などが挙げられ、これらの中でも、硫黄が好ましく、粉末硫黄が特に好ましい。これらの加硫剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0119】
加硫剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、通常、0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。加硫剤の配合割合がこの範囲にある時に、引張強度や耐摩耗性に優れるとともに、耐熱性や残留ひずみ等の特性にも優れるので特に好ましい。
【0120】
加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤;チオカルボアニリド、ジオルトトリルチオウレア、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア等のチオウレア系加硫促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールシクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジエチルジチオカルバミン酸ジエチルアミン、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペコリン等のジチオカルバミン酸系加硫促進剤;イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸系加硫促進剤;などの加硫促進剤が挙げられる。
【0121】
これらの加硫促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられるが、少なくともスルフェンアミド系加硫促進剤を含むものが特に好ましい。加硫促進剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、通常0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
【0122】
加硫活性化剤としては、特に制限はないが、例えばステアリン酸などの高級脂肪酸や酸化亜鉛などを用いることができる。酸化亜鉛としては、例えば、表面活性の高い粒度5μm以下のものを用いるのが好ましく、かかる具体例としては、粒度が、例えば、0.05〜0.2μmの活性亜鉛華や0.3〜1μmの亜鉛華などを挙げることができる。また、酸化亜鉛は、アミン系の分散剤や湿潤剤で表面処理したものなどを用いることができる。
【0123】
これらの加硫活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。加硫活性化剤の配合割合は、加硫活性化剤の種類により適宜選択される。高級脂肪酸を用いる場合、ゴム成分100重量部に対して、通常0.05〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。酸化亜鉛を用いる場合は、ゴム成分100重量部に対して、通常0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.5〜2重量部である。酸化亜鉛の配合割合がこの範囲にある時に、加工性、引張強度及び耐摩耗性などの特性が高度にバランスされ好適である。
【0124】
その他の配合剤の例としては、例えば、シランカップリング剤以外のカップリング剤;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シリコーンオイルなどの活性剤;炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの充填剤;プロセス油、ワックスなどが挙げられる。
【0125】
本発明のゴム組成物は、常法に従って各成分を混練することにより得ることができる。例えば、加硫剤と加硫促進剤を除く配合剤とゴム成分を混合後、その混合物に加硫剤と加硫促進剤を混合してゴム組成物を得ることができる。加硫剤と加硫促進剤と除く配合剤とゴム成分の混合温度は、通常、80〜200℃、好ましくは100〜190℃、さらに好ましくは140〜180℃であり、混合時間は、通常、30秒以上であり、好ましくは1〜30分間である。加硫剤と加硫促進剤の混合は、通常100℃以下、好ましくは室温〜80℃まで冷却後行われ、その後、通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃の温度でプレス加硫した本発明のゴム組成物を得ることができる。
【0126】
【実施例】
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。これらの例中の部及び%は、特に断わりのない限り重量基準である。
各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。
(1)重合体中の結合スチレン量は、JIS K6383(屈折率法)に準じて測定した。
(2)重合体中のブタジエン結合単位のビニル結合割合は、赤外分光法(ハンプトン法)で測定した。
(3)重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、GPCで測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量を求めた。
(4)共重合体中のスチレン連鎖分布は、高分子学会予稿集第29巻第9号第2055頁に記載されている方法に従って、共重合体をオゾン分解した後、GPC測定を行い、スチレン単位1個の単連鎖(S1)、及びスチレン単位が8個以上連なった長連鎖(S8)の割合を算出した。
(5)引張強度は、JIS K6301に準じて300%応力(Kgf/cm2)モジュラスを測定した。この特性は、指数(引張強度指数)で表示した。この値は、高い程好ましい。
(6)発熱性は、レオメトリックス社製RDA−IIを用い、1%ねじれ、20Hzで0℃と60℃のtanδを測定した。この特性は、tanδ0℃/tanδ60℃の値を比較例100とする指数(発熱指数)で表示した。この値は、高い程好ましい。
(7)耐摩耗性は、ASTM D2228に従い、ピコ摩耗試験機を用いて測定した。この特性は、指数(耐摩耗指数)で表示した。この値は、高い程好ましい。
【0127】
製造実施例1〜6
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8000g、スチレン460g及びブタジエン700gを入れ、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)3.5ミリモルを仕込んだ後、n−ブチルリチウム11ミリモルを加え、50℃で重合を開始した。重合開始10分後に、残部のブタジエン840gを連続的に添加した。重合転化率が100%になったことを確認してから、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAP)10ミリモルを添加して、30分間反応させた。次いで、ヨウ化メチル10ミリモルを添加して、20分間反応させた。反応終了後、停止剤としてメタノールを20ミリモル添加し、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを20g添加してから、スチームストリッピング法により重合体の回収を行い、ジエン系ゴムNo.1を得た。ジエン系ゴムの性状を測定し、その結果を表1に示した。
【0128】
ジエン系ゴムNo.1と同様にして、表1記載の重合条件でジエン系ゴムNo.2〜6を得、それら重合体の性状を表1に示した。
【0129】
比較製造例1
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8000g、スチレン800g及びブタジエン400gを入れ、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)20ミリモルを仕込んだ後、n−ブチルリチウム10ミリモルを加え、50℃で重合を開始した。重合開始10分後に、残部のブタジエン800gを連続的に添加した。重合転化率が100%になったことを確認してから、N,N−ジメチルアミノスチレン(AST)10ミリモルを添加して、30分間反応させた。次いで、停止剤としてメタノールを20ミリモル添加し、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを20g添加してから、スチームストリッピング法により重合体の回収を行い、ジエン系ゴムNo.7を得た。ジエン系ゴムの性状を測定し、その結果を表1に示した。
【0130】
製造実施例7
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8000g、スチレン310g及びブタジエン600gを入れ、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)10ミリモルとジ−n−ヘキシルアミン10ミリモルを仕込んだ後、n−ブチルリチウム10ミリモルを加え、40℃で重合を開始した。重合開始10分後に、残部のブタジエン1090gを連続的に添加した。重合転化率が100%になったことを確認してから、メチルエトキシシランを1ミリモル添加して、30分間反応させた。次いで、ヨウ化メチル10ミリモルを添加して、20分間反応させた。反応終了後、停止剤としてメタノールを20ミリモル添加し、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを20g添加してから、スチームストリッピング法により重合体の回収を行い、ジエン系ゴムNo.8を得た。ジエン系ゴムの性状を測定し、その結果を表1に示した。
【0131】
比較製造例2
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8000g、スチレン400g及びブタジエン800gを入れ、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)10ミリモルを仕込んだ後、n−ブチルリチウム10ミリモルを加え、40℃で重合を開始した。重合開始10分後に、残部のブタジエン800gを連続的に添加した。重合転化率が100%になったことを確認してから、メチルエトキシシランを2.5ミリモル添加して、30分間反応させた。反応終了後、停止剤としてメタノールを20ミリモル添加し、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを20g添加してから、スチームストリッピング法により重合体の回収を行い、ジエン系ゴムNo.9を得た。ジエン系ゴムの性状を測定し、その結果を表1に示した。
【0132】
製造実施例8
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8000g、スチレン800g及びブタジエン400gを入れ、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)20ミリモルとジ−n−ヘキシルアミン10ミリモルを仕込んだ後、n−ブチルリチウム10ミリモルを加え、50℃で重合を開始した。重合開始10分後に、残部のブタジエン800gを連続的に添加した。重合転化率が100%になったことを確認してから、エチレンオキシド(EO)10ミリモル添加して、30分間反応させた。次いで、ヨウ化メチル10ミリモルを添加して、20分間反応させた。反応終了後、停止剤としてメタノールを20ミリモル添加し、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを20g添加してから、スチームストリッピング法により重合体の回収を行い、ジエン系ゴムNo.10を得た。ジエン系ゴムの性状を測定し、その結果を表1に示した。
【0133】
【表1】
【0134】
(*1)製造実施例1〜8;ジエン系ゴムNo.1〜6、8、10
比較製造例1;ジエン系ゴムNo.7、比較製造例2;ジエン系ゴムNo.9
(*2)ジ−n−ヘキシルアミン
(*3)テトラメトキシシラン
(*4)DMAP;N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、EAB;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、AST;N,N−ジメチルアミノスチレン、EO;エチレンオキシド
(*5)スチレン単位が1個の単連鎖の含有量
(*6)スチレン単位が8個以上連なった長連鎖の含有量
【0135】
配合実施例1〜8、比較例1
原料ゴムとして、製造例で作成したジエン系ゴムNo.1〜7のジエン系ゴムを用い、表2の配合処方に基づいて、容量250mlのブラベンダータイプミキサー中で、原料ゴムの全量とシリカの半量、シランカップリング剤の半量、ジエチレングリコールの半量及びステアリン酸の半量を170℃で2分間混合後、硫黄と加硫促進剤を除く残りの配合剤を添加し、同温度で2分間混練した。原料ゴム及び酸化亜鉛の配合量は表3に示した。
【0136】
次ぎに、得られた混合物と、硫黄及び加硫促進剤を50℃のオープンロールに加えて混練した後、160℃で30分間プレス加硫して試験片を作成し、各物性を測定した。結果を表3に示した。
【0137】
【表2】
【0138】
(*1)Si69(デグッサ社製)
(*2)スプレンダーR−100(花王社製)
(*3)ノクラック6C(大内新興社製)
(*4)ノクセラーCZ(大内新興社製)
【0139】
【表3】
【0140】
(*1)Z1165MP(窒素吸着比表面積=175m2/g;ローヌプーラン社製)
(*2)ウルトラジルVN3(窒素吸着比表面積=175m2/g;デグッサ社製)
(*3)ニプシルVN3(窒素吸着比表面積=240m2/g;日本シリカ社製)(*4)これらの指数は、比較例1を100とした。
【0141】
表3の結果から、本発明のジエン系ゴムを用いたゴム組成物(配合実施例1〜8)は、3級アミノ基含有ジエン系ゴムを用いたもの(比較例1)よりも、いずれの特性も優れていることがわかる。また、ジエン系ゴム中の4級化の割合は、3級アミノ基に対して10%あれば十分に改善の効果が現れること(配合実施例5及び6)、4級化の割合を上げることにより更に改質の効果が高くなること(配合実施例3及び4)、及びアルキリ化剤のアルキル基の炭素数が少ないものの方が改善の効果が高いこと(配合実施例5と6の比較)がわかる。さらに、比表面積の小さいシリカと配合することによりいずれの特性に対する改善効果が高く、特に発熱性に対する改善効果が顕著なこと(配合実施例7と8の比較)、酸化亜鉛量を限定した方が改善効果が高くなること(配合実施例1と2の比較)などがわかる。
【0142】
配合実施例9〜12、比較例2
原料ゴムとして、製造例で作成したジエン系ゴムNo.8〜10及び市販品の表5記載のジエン系ゴムを用い、表4の配合処方に基づいて、容量250mlのブラベンダータイプミキサー中で、原料ゴムの全量とシリカの半量及びシランカップリング剤の半量を170℃で2分間混合後、硫黄と加硫促進剤を除く残りの配合剤を添加し、同温度で3分間混練した。原料ゴム、シリカ及びカーボンブラックの配合量は表5に示した。
【0143】
次ぎに、得られた混合物と、硫黄及び加硫促進剤を50℃のオープンロールに加えて混練した後、160℃で30分間プレス加硫して試験片を作成し、各物性を測定した。結果を表5に示した。
【0144】
【表4】
【0145】
(*1)Z1165MP
(*2)シーストKH(東海カーボン社製)
(*3)Si69
(*4)スプレンダーR−100
(*5)ノクラック6C
(*6)ノクセラーCZ
【0146】
【表5】
【0147】
(*1)ポリブタジエン(日本ゼオン社製)
(*2)天然ゴム
(*3)これらの指数は、比較例2を100とした。
【0148】
表5の結果から、本発明のジエン系ゴムは、補強剤としてシリカとカーボンブラックを併用しても引張強度、発熱性及び耐摩耗性のいずれの特性も改善されることがわかる(配合実施例9)。また、ゴム成分として、本発明のジエン系ゴムとその他のジエン系ゴムとを併用しても高い改質効果が発揮されること、しかも他のジエン系ゴムと組み合わせることにより各特性のバランスがよくなることがわかる(配合実施例10〜12)。
【0149】
本発明の実施態様を以下に示す。
(1)共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとの(共)重合体鎖の少なくとも一端に4つの炭素原子を結合した4級アンモニム基を有し、芳香族ビニルの含有量が60重量%以下、共役ジエン結合単位のビニル結合割合が10%以上で、且つ重量平均分子量(Mw)が100,000〜2,000,000であるジエン系ゴム(i)。
(2)ジエン系ゴムが、共役ジエンの重合体である(1)記載のジエン系ゴム(i)。
(3)ジエン系ゴムが、共役ジエンと芳香族ビニルとの共重合体である(1)記載のジエン系ゴム(i)。
(4)共役ジエンと芳香族ビニルの割合が、40/60〜95/5(重量比)である(3)記載のジエン系ゴム(i)。
(5)芳香族ビニル単位1個の独立連鎖の含有量が結合芳香族ビニル量の40重量%以上、且つ芳香族ビニルが8個以上連なった芳香族ビニル長連鎖の含有量が結合芳香族ビニル量の5重量%以下である(3)または(4)記載のジエン系ゴム(i)。
【0150】
(6)共役ジエン結合単位のビニル結合割合が、10〜90%である(1)〜(5)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)。
(7)4級アンモニウム基が、一般式(1)
【化3】
[式中、R1、R2、R3は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基、Aはアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R4−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R4はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基、Xはハロゲン原子を示し、R1とAは一緒になってヘテロ環を形成してもよい。]で表されるものである(1)〜(6)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)。
(8)ジエン系ゴムが、多官能カップリング剤でカップリングされたものである(1)〜(7)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)。
(9)ジエン系ゴムが、変性剤(X)で変性されたものである(1)〜(8)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)。
【0151】
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)とその他のジエン系ゴム(ii)とからなるジエン系ゴム混合物。
(11)ジエン系ゴム(i)とその他のジエン系ゴム(ii)の割合が、重量比で、5/95〜95/5の範囲である(10)記載のジエン系ゴム混合物。
(12)その他のジエン系ゴム(ii)が、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム、未変性ジエン系ゴム(ii−i)及び3級アミノ基含有ジエン系ゴム(ii−ii)から選ばれる少なくとも1種である(10)または(11)記載のジエン系ゴム混合物。
【0152】
(13)炭化水素系溶媒中、有機活性金属を開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させて得られる重合体鎖末端に活性金属を結合した(共)重合体と、変性剤(Y)とを反応させて重合体鎖末端に3級アミノ基を導入させた後に、アルキル化剤を反応させることを特徴とするジエン系ゴムの製造方法。
(14)有機活性金属の使用量が、単量体100g当り、0.01〜20ミリモルの単位である(13)記載の製造方法。
(15)有機活性金属が、有機アルカリ金属、有機アルカリ土類金属及び有機酸ランタノイド系列希土類金属から選ばれる少なくとも1種であり、好ましくは有機アルカリ金属である(13)または(14)記載の製造方法。
(16)有機アルカリ金属が、有機リチウム化合物であり、好ましくは有機モノリチウム化合物である(15)記載の製造方法。
(17)変性剤(Y)の使用量が、有機活性金属当り、0.1〜50当量の範囲である(13)〜(16)のいずれかに記載の製造方法。
(18)変性剤(Y)が、分子内に活性金属と反応する官能基と3級アミノ基とを有する化合物(Y−α)及び分子内にN−置換された窒素−炭素二重結合を有する化合物(Y−β)から選ばれる少なくとも1種である(13)〜(17)のいずれかに記載の製造方法。
(19)変性剤Y−αの官能基が、炭素−炭素不飽和基、ハロゲン原子またはカルボニル基である(18)記載の製造方法。
(20)変性剤Y−αの3級アミノ基が、一般式(2)
【化4】
[式中、R5、R6は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基、Bはアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R7−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R7はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R5とBは結合してヘテロ環を形成してもよい。]で表されるものである(18)または(19)記載の製造方法。
(21)変性剤Y−αが、分子内にビニル基と3級アミノ基とを有する化合物及び/または分子内にカルボニル基と3級アミノ基とを持つ化合物である(18)〜(20)のいずれかに記載の製造方法。
(22)変性剤Y−βが、N−置換カルボジイミド及び/またはシッフ塩基である(18)記載の製造方法。
【0153】
(23)炭化水素系溶媒中、有機活性金属アミドを開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させた後にアルキル化剤を反応させることを特徴とするジエン役ゴムの製造方法。
(24)炭化水素系溶媒中、有機活性金属アミドを開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させ得られる重合体鎖末端に活性金属を結合した(共)重合体と、多官能カップリング剤及び/または変性剤(X)とを反応させ、次いでアルキル化剤を反応させることを特徴とするジエン系ゴムの製造方法。
【0154】
(25)有機活性金属アミドが、有機活性金属と2級アミンとを前もって反応させたもの、または、有機活性金属と2級アミンを添加して重合系中で生成しうるものである(23)または(24)記載の製造方法。
(26)有機活性金属が、有機アルカリ金属、有機アルカリ土類金属及び有機酸ランタノイド系列希土類金属から選ばれる少なくとも1種であり、好ましくは有機アルカリ金属である(25)記載の製造方法。
(27)有機アルカリ金属が、有機リチウム化合物であり、好ましくは有機モノリチウム化合物である(26)記載の製造方法。
(28)2級アミンが、脂肪族2級アミン化合物、芳香族2級アミン化合物及び環状イミン化合物から選ばれる少なくとも1種である(25)〜(27)のいずれかに記載の製造方法。
(29)変性剤(X)が、前記変性剤(Y)及び/またはその他の変性剤(Z)である(24)記載の製造方法。
(30)その他の変性剤(Z)が、ケトン類、アルデヒド類、エポキシ類及び炭素数2〜3の環状イミン化合物から選ばれる少なくとも1種である(29)記載の製造方法。
(31)多官能カップリング剤の使用量が、有機活性金属当り、0.1〜10当量の範囲である(24)〜(30)のいずれかに記載の製造方法。
(32)多官能カップリング剤が、スズ系カップリング剤、ケイ素系カップリング剤、ハロゲン化金属系カップリング剤、不飽和ニトリル系カップリング剤、ハロゲン化炭化水素系カップリング剤、エステル系カップリング剤、ハライド系カップリング剤及びリン系カップリング剤から選ばれる少なくとも1種である(24)〜(31)のいずれかに記載の製造方法。
【0155】
(33)アルキル化剤の使用量が、ジエン系重合体ゴム中の含有3級アミノ基量当り、0.1〜50当量の範囲である(13)〜(32)のいずれかに記載の製造方法。
(34)アルキル化剤が、硝酸アルキル、ジアルキル硫酸、アリールスルホン酸アルキルエステル及びモノハロゲン化物から選ばれる少なくとも1種であり、好ましくはモノハロゲン化物である(13)〜(33)のいずれかに記載の製造方法。
(35)モノハロゲン化物が、一般式(3)R8X(式中、R8は低級アルキル基、アリール基またはアラルキル基、Xはハロゲン原子を示す。)で表されるものである(34)記載の製造方法。
【0156】
(36)単量体が、共役ジエンである(13)〜(34)のいずれかに記載の製造方法。
(37)単量体が、共役ジエンと芳香族ビニルである(13)〜(36)のいずれかに記載の製造方法。
(38)共役ジエンと芳香族ビニルの割合が、40/60〜95/5(重量比)である(37)記載の製造方法。
(39)炭化水素系溶媒が、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素及び重合性の低い不飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種である(13)〜(38)記載の製造方法。
(40)極性化合物を添加して行う(13)〜(39)のいずれかに記載の製造方法。
(41)極性化合物の添加量が、開始剤(有機活性金属または有機活性金属アミド)1モルに対して、0.1〜100モルの範囲である(40)記載の製造方法。
(42)極性化合物が、エーテル化合物、3級アミン化合物、アルカリ金属アルコキシド化合物及びホスフィン化合物から選ばれる少なくとも1種である(40)または(41)記載の製造方法。
【0157】
(43)(1)〜(9)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)あるいは(10)〜(12)のいずれかに記載のジエン系ゴム混合物を含むゴム成分と補強剤を含有してなるゴム組成物。
(44)ゴム成分100重量部に対して、補強剤10〜200重量部を用いる(42)記載のゴム組成物。
(45)補強剤が、カーボンブラックである(43)または(44)記載のゴム組成物。
(46)補強剤が、シリカを含むものである(43)または(44)記載のゴム組成物。
(47)シリカの比表面積が、窒素吸着比表面積(BET法)で、50〜400m2/gである(46)記載のゴム組成物。
(48)さらにシランカップリング剤を含んだものである(43)〜(47)のいずれかに記載のゴム組成物。
(49)シランカップリング剤の配合量が、シリカ100重量部に対して0.1〜30重量部である(48)記載のゴム組成物。
(50)さらに加硫剤、加硫促進剤及び加硫活性化剤を含んだものである(43)〜(49)のいずれかに記載のゴム組成物。
(51)ゴム成分100重量部に対して、加硫剤0.1〜15重量部および加硫促進剤0.1〜15重量部である(50)記載のゴム組成物。
(52)加硫促進剤が、少なくともスルフェンアミド系加硫促進剤を含むものである(50)または(51)記載のゴム組成物。
(53)加硫活性化剤として、酸化亜鉛を含むものである(50)〜(52)のいずれかに記載のゴム組成物。
(54)酸化亜鉛の粒度が5μm以下である(53)記載のゴム組成物。
(55)酸化亜鉛の配合量が、ゴム成分100重量部に対して0.05〜10重量部である(53)または54記載のゴム組成物。
【0158】
(56)共役ジエンが、1,3−ブタジエンまたは2−メチル−1,3−ブタジエンである(1)〜(55)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)、ジエン系ゴム混合物、製造方法、ゴム組成物。
(57)芳香族ビニルが、スチレンである(1)〜(56)のいずれかに記載のジエン系ゴム(i)、ジエン系ゴム混合物、製造方法、ゴム組成物。
【0159】
【発明の効果】
本発明を実施することにより、シリカ配合材料の特徴である転動抵抗を損なわずに欠点とされていた引張強度と耐摩耗性を大幅に改善することができたゴム組成物が得られる。したがって、本発明のジエン系ゴム及びゴム組成物は、その特性を活かす各種用途、例えばトレッド、カーカス、サイドウオール、ビード部などのタイヤ各部位への利用、あるいはホース、窓枠、ベルト、靴底、防振ゴム、自動車部品などのゴム製品への利用、さらには耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂等の樹脂強化ゴムとして利用が可能になる。特に、本発明のゴム組成物は上記特性を活かして、特に低燃費タイヤのタイヤトレッドに優れるが、その他にもオールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、スタッドレスタイヤ等のタイヤトレッド、サイドウオール、アンダートレッド、カーカス、ビート部等に使用することができる。
Claims (6)
- 共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとの(共)重合体鎖の少なくとも一端に4つの炭素原子が結合した4級アンモニウム基を有し、芳香族ビニルの含有量が60重量%以下、共役ジエン結合単位のビニル結合割合が10%以上で、且つ重量平均分子量(Mw)が100,000〜2,000,000であるジエン系ゴム(i)。
- ジエン系ゴムが、多官能カップリング剤でカップリングされたものである請求項1記載のジエン系ゴム(i)。
- 請求項1または2に記載のジエン系ゴム(i)とその他のジエン系ゴム(ii)とからなるジエン系ゴム混合物。
- 炭化水素系溶媒中、有機活性金属を開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させて得られる重合体鎖末端に活性金属を結合した(共)重合体と、変性剤(Y)とを反応させて重合体鎖末端に3級アミノ基を導入させた後に、アルキル化剤を反応させることを特徴とするジエン系ゴムの製造方法。
- 炭化水素系溶媒中、有機活性金属アミドを開始剤として共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させた後にアルキル化剤を反応させることを特徴とするジエン系ゴムの製造方法。
- 請求項1または2に記載のジエン系ゴム(i)あるいは請求項3に記載のジエン系ゴム混合物を含むゴム成分と補強剤を含有してなるゴム組成物。
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