JP3734440B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者により行われるステアリングホイール等の操舵手段の操作に応じて車両を操舵せしめるための車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の操舵は、車室の内部において運転者によりなされる操舵手段の操作(一般的にはステアリングホイールの回転操作)を、舵取り用の車輪(一般的には前輪)の操向のために車室の外部に配された舵取機構に伝えて行われる。
【0003】
このような操舵を行わせるための操舵装置として、近年、車室内部の操舵手段を車室外部の舵取機構から機械的に分離して配すると共に、舵取機構の一部に操舵用のアクチュエータを付設し、この操舵アクチュエータの動作を前記操舵手段の操作に応じて制御し、舵取機構に操舵力を加えて操舵を行わせる構成とした分離型の操舵装置が、例えば、本願出願人による特開平10−218000号公報等に提案されている。
【0004】
この操舵装置は、操舵手段の操作量と操舵アクチュエータの動作量との対応関係を機械的な制約を受けずに設定することができ、車速の高低、旋回速度、加減速の有無等、走行状態に応じた操舵特性の変更制御に柔軟に対応し得るという利点を有し、また、操舵手段と舵取機構とを連結する連結部材が不要であり、操舵手段の構成及び配置の制限がなく、車室内部のレイアウトの自由度が増すという利点を有する等、一般的な操舵装置では得難い多くの利点を有しており、自動車技術の発展のために有用なものとして注目されている。
【0005】
なお、前記操舵アクチュエータとしては、操舵特性の変更制御の容易性を考慮して電動モータ(操舵モータ)が用いられており、該操舵モータは、操舵手段の操作位置を検出する操舵角センサの検出角度と、舵取機構の動作位置を検出する実舵角センサの検出角度との偏差に基づいてフィードバック制御されている。また、操舵手段には反力モータが付設されており、この反力モータを、操舵に伴って舵取機構に加わる操舵反力を検出する反力センサの検出結果に基づいて駆動制御し、前記操舵手段に擬似反力を加えて、非分離型の舵取装置と同等の操舵感が得られるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
さて、以上の如く構成された分離型の操舵装置において、操舵手段に付設される操舵角センサは、操舵モータの制御に用いられる重要なセンサであり、該操舵角センサがフェイル状態に陥った場合、運転者の意志と異なる操舵がなされる虞れがある。
【0007】
そこで従来においては、前記特開平10−218000号公報に開示されているように、前記操舵角センサを2つ備え、これらのフェイルの有無を逐次判定して、一方がフェイル状態にあると判定された場合、他方の検出結果に基づいて操舵モータの制御を継続して操舵に支障を来さないようにしているが、2つの操舵角センサの配設のために操舵手段の構造が複雑となり、また、装置コストの上昇を招来するという問題があった。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、操舵手段の操作位置を検出する操舵角センサを2重系とすることなく、該操舵角センサのフェイル発生時における操舵を可能とし得る車両用操舵装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る車両用操舵装置は、操舵手段の操作位置を検出する操舵角センサと、前記操舵手段から機械的に分離された舵取機構に加わる操舵反力を検出する反力センサとを備え、前記操舵角センサの検出結果に基づいて舵取機構に付設した操舵アクチュエータを制御し、前記操舵手段の操作に対応する操舵を行わせると共に、前記反力センサの検出結果に基づいて操舵手段に付設した反力モータを制御し、前記操舵手段に疑似反力を加えるようにした車両用操舵装置において、前記反力モータとしてブラシレスモータを用い、該反力モータの回転角度を検出する回転角センサの検出値を累積して前記操舵手段の操作位置を算出する操舵角算出手段と、前記操舵角センサのフェイルの有無を判定するセンサフェイル判定手段と、該センサフェイル判定手段によりフェイル判定がなされたとき、前記操舵角算出手段の算出結果に基づいて前記操舵アクチュエータを制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、操舵手段に疑似反力を付与する反力モータが操舵手段の操作に応じて回転することを利用し、前記反力モータに備えられた回転角センサによる回転角度の検出値を逐次累積して操舵手段の操作位置を算出しておき、操舵角センサのフェイル発生時には、回転角センサの検出値から算出された操舵手段の操作位置を用いて操舵アクチュエータを制御し、運転者の意志に沿った操舵を行わせる。反力モータとして用いられるブラシレスモータにおいては、該モータの制御のために回転角センサは不可欠であり、フェイル対策のために専用のセンサを備える必要はない。また、操舵手段としてステアリングホイールを用いた場合、前記回転角センサの検出値を累積して算出されるステアリングホイールの操作角度は、これとは異なる位置にて操舵角センサにより検出される操作角度との偏差を利用して、反力モータの制御に必要なステアリングホイールに加えられる操舵トルクの算出にも用いることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る車両用操舵装置の全体構成を示すブロック図である。
【0018】
この操舵装置は、車体の左右に配された一対の舵取用の車輪10,10に舵取動作を行わせるための舵取機構1と、該舵取機構1から機械的に分離して配されたステアリングホイール(操舵手段)2と、該ステアリングホイール2の操作に応じて前記舵取機構1を動作させるべく、また前記ステアリングホイール2に操舵反力を加えるべく、後述する制御動作を行う操舵制御部3とを備えてなる。
【0019】
前記舵取機構1は、公知のラック・ピニオン式の舵取機構であり、車体の左右方向に延設されて軸長方向に移動するラック軸11の両端部を、舵取用の車輪10,10のナックルアーム12,12に各別のタイロッド13,13を介して連結し、ラック軸11の両方向への移動によりタイロッド13,13を介してナックルアーム12,12を押し引きし、前記車輪10,10を左右に操舵させる構成となっている。
【0020】
この操舵を行わせるため、ラック軸11を軸長方向への移動自在に支承する筒形をなすラックハウジングH1 の中途部外側には、これと斜交して操舵モータM1 (ブラシレスモータ)が取り付けられている。該操舵モータM1 の出力軸は、ラックハウジングH1 の内部に延設され、ボールねじ機構等の運動変換機構を介して前記ラック軸11の中途に伝動構成されている。而して、前記操舵モータM1 の回転は、前記運動変換機構によりラック軸11の軸長方向の移動に変換され、この移動に応じて前述した操舵が行われる。
【0021】
またラックハウジングH1 の一部に交叉する態様に連設されたピニオンハウジングH2 の外側には、前記操舵モータM1 のフェイル時に駆動される補助操舵モータM2 が取り付けられている。ピニオンハウジングH2 の内部には、軸心回りでの回動自在にピニオン軸14が支承されている。ピニオンハウジングH2 の上部への突出端のみが示されたピニオン軸14の下半部には、図示しないピニオンが一体形成され、ラックハウジングH1 との交叉部において、前記ラック軸11の該当部位に形成されたラック歯に噛合させてある。
【0022】
前記補助操舵モータM2 の出力軸は、ピニオンハウジングH2 の内部に、前記ピニオン軸14の軸心から離れた位置にて、該軸心と略直交する向きに延設され、ウォームギヤ機構等の減速機構を介して前記ピニオン軸14の中途に伝動構成されている。而して、補助操舵モータM2 の回転は、前記減速機構による減速下にて前記ピニオン軸14に伝達され、該ピニオン軸14の回転が、前記ピニオン及びラック歯の噛合部においてラック軸11の軸長方向の移動に変換され、この移動に応じて前述した操舵が行われる。
【0023】
操舵モータM1 及び補助操舵モータM2 には、前記操舵制御部3からの動作指令が、図示しない各別の駆動回路を介して与えられており、この動作指令に従って両操舵モータM1 ,M2 が各別に駆動制御されるようになしてある。
【0024】
この駆動に応じて前述の如く操舵される舵取用の車輪10,10の実舵角θ0 は、例えば、ラック軸11と一側のタイロッド13との連結部の変位を検出すべく構成された実舵角センサ15により検出され、操舵制御部3に与えられている。実舵角センサ15は、図1に略示するように、前記連結部とラックハウジングH1 の外側との間に検出シリンダを介装し、該検出シリンダの進退量を媒介として前記変位を検出する構成とすることができる。
【0025】
また操舵モータM1 には、これの回転角度を検出する回転角センサ16が付設されている。該回転角センサ16の出力は、操舵制御部3に与えられており、操舵モータM1 の駆動電流の位相調整を行うべく用いられると共に、後述の如く、前記実舵角センサ15のフェイル時に代替使用する実舵角の算出に用いられる。このような回転角センサ16は、例えば、公知のレゾルバにより構成することができる。
【0026】
また、両側のタイロッド13,13には、これらの軸方向に作用する軸力(引張力又は圧縮力)を検出するタイロッド軸力センサ(反力センサ)17,17が付設されており、これらの検出結果は、操舵に伴って舵取用の車輪10,10に実際に加わる操舵反力を示す信号として、操舵制御部3に与えられている。タイロッド軸力センサ17,17は、例えば、タイロッド13,13の表面に歪ゲージを貼着し、前記操舵反力を、これの作用により夫々のタイロッド13,13に生じる歪みを媒介として検出する構成とすることができる。
【0027】
以上の如く構成された舵取機構1から機械的に分離して配されたステアリングホイール2は、図1中に模式的に示す如く、その回転軸となるコラム軸20を回転自在に保持するコラムハウジングH3 を介して、図示しない車体の適宜部に支持されており、該コラムハウジングH3 の他側には、反力モータM3 (ブラシレスモータ)が取り付けられている。反力モータM3 の出力軸は、コラムハウジングH3 の内部に同軸的に延設され、減速装置21及び電磁クラッチ22を介して前記コラム軸20に連結されている。この構成により反力モータM3 の回転力は、電磁クラッチ22が係合状態にあるとき、減速装置21による減速下にてコラム軸20に伝達され、該コラム軸20の上端に取り付けたステアリングホイール2に、操作方向と逆向きの反力が付与されるようになしてある。
【0028】
反力モータM3 によるステアリングホイール2への反力付与は、操舵に伴って舵取用の車輪10,10に実際に加わる操舵反力をステアリングホイール2に擬似的に加え、運転者に体感せしめるべく行われるものであり、前記反力モータM3 には、前記操舵制御部3からの動作指令が、図示しない駆動回路を介して与えられており、この動作指令に従って駆動される。また操舵制御部3の動作指令は、前記電磁クラッチ22にも与えられており、該電磁クラッチ22は、操舵制御部3からの動作指令に従って遮断され、前記反力モータM3 をステアリングホイール2から切り離す動作を行うようになしてある。
【0029】
このような疑似反力に抗して操作されるステアリングホイール2の操舵角θ1 は、コラム軸20の中途に構成された操舵角センサ23により検出され、操舵制御部3に与えられている。操舵角センサ23は、例えば、舵角中点位置からの変位に応じて出力を変えるポテンシオメータにより構成することができる。
【0030】
また前記反力モータM3 には、これの回転角度を検出する回転角センサ24が付設されている。該回転角センサ24の出力は、操舵制御部3に与えられており、反力モータM3 の駆動電流の位相調整に用いられると共に、後述の如く、操舵角センサ23のフェイル時に代替使用する操舵角θ2 の算出に用いられる。また、以上の如く算出される操舵角θ2 は、操舵角センサ23により検出される操舵角θ1 との偏差に基づいて前記ステアリングホイール2に加えられる操舵トルクの算出に用いられる。このように算出される操舵トルクは、反力モータM3 が発生する反力のフィードバック信号として、反力モータM3 のフェイル判定に利用される。このような回転角センサ24は、操舵モータM1 に付設された回転角センサ16と同様に、公知のレゾルバにより構成することができる。
【0031】
以上の如く操舵制御部3には、舵取機構1の側にて実際に生じている舵取の状態が、実舵角センサ15、回転角センサ16及びタイロッド軸力センサ17,17からの入力として与えられ、また操舵手段としてのステアリングホイール2の操作の状態が、操舵角センサ23及び回転角センサ24からの入力として与えられている。更に、操舵制御部3の入力側には、車速、ヨーレート、横加速度等、走行状態センサ4により検出される車両の走行状態を示す種々の信号が与えられている。
【0032】
一方、操舵制御部3の出力は、前述した如く、舵取機構1に舵取動作を行わせるための操舵モータM1 又は補助操舵モータM2 と、ステアリングホイール2に反力を付与する反力モータM3 とに与えられ、更に、反力モータM3 からステアリングホイール2への伝動系に配された電磁クラッチ22に与えられている。
【0033】
図2は、操舵制御部3による操舵モータM1 の制御内容を示すフローチャートである。なお補助操舵モータM2 は、操舵モータM1 がモータロック等のフェイル状態に陥ったと判定されたとき、該操舵モータM1 と切換え駆動し、操舵不能の発生を防止すべく設けてあり、該補助操舵モータM2 に対する制御動作は、操舵モータM1 に対する以下の制御動作と全く同様に行われる。なお、前記操舵モータM1 のフェイル判定は、これの駆動電流の時間的な変化を監視する等、各種のモータにおいて通常行われているフェイル判定の手法を用いて行えばよい。
【0034】
操舵制御部3は、エンジン始動のためのキースイッチのオン操作に応じてその動作を開始し、入力側に接続された操舵角センサ23及び回転角センサ24の出力を所定のサンプリング周期にて取り込み(ステップ1)、同じく走行状態センサ4の出力を取り込む(ステップ2)。
【0035】
次いで操舵制御部3は、操舵角センサ23の出力を用いてステアリングホイール2の操舵角θ1 を算出し(ステップ3)、同じく回転角センサ24の出力を用いて操舵角θ2 を算出する(ステップ4)。
【0036】
操舵角センサ23の出力は、前述の如く、舵角中点位置からの変位に対応しており、前記操舵角θ1 の算出は、この出力に所定のゲインを乗じてなされる。また回転角センサ24の出力は、サンプリング時点における反力モータM3 の回転角度を示すものであり、前記操舵角θ2 の算出は、サンプリング周期毎に逐次取り込まれる回転角センサ24の出力を逐次累積し、得られた結果に前記減速装置21の減速比に対応する所定のゲインを乗じてなされる。
【0037】
次いで操舵制御部3は、操舵角センサ23がフェイル状態にあるか否かを判定し(ステップ5)、操舵角センサ23が正常であると判定された場合には、前記操舵角θ1 を用いて操舵の目標値となる目標舵角θを算出し(ステップ6)、操舵角センサ23がフェイル状態にあると判定された場合には、前記操舵角θ2 を用いて前記目標舵角θを算出する(ステップ7)と共に、出力側に接続された図示しない警報手段に動作指令を発し、警報出力を行わせる(ステップ8)。
【0038】
このような操舵制御部3の動作により、操舵角センサ23がフェイル状態にあるか否かの判定が常時行われ、フェイル状態にあると判定された場合、操舵角センサ23の出力を用いて算出された操舵角θ1 の使用を止め、回転角センサ24の出力を用いて算出された操舵角θ2 を用いて目標舵角θが求められる。従って、操舵角センサ23のフェイル時に、誤った検出値に基づいて目標舵角θが算出され、ステアリングホイール2を操作する運転者の意志に沿わない操舵がなされることを防止することができる。前記回転角センサ24は、反力モータM3 の制御に本来必要なセンサであり、フェイルセーフのための専用のセンサが不要となり、構成の複雑化を防ぎ、装置コストの低減に寄与することができる。
【0039】
但し、前記操舵角θ2 を用いた目標舵角θの算出は、本来の検出手段である操舵角センサ23のフェイル時における操舵不能の発生を防ぐべくなされるものである。ステップ8における警報出力は、操舵角センサ23がフェイル状態にあり、通常の操舵をなし得ない虞れがあることを運転者に報知して、例えば、走行中の車両を路肩に寄せて停止させる等の緊急処置を促すべく行われる。
【0040】
なおステップ5における操舵角センサ23のフェイル判定は、該操舵角センサ23の出力履歴を参照し、例えば、サンプリング時点毎の出力の差が、予め設定された正常範囲から外れていること、又は回転角センサ24の出力履歴との差が過度に大きいこと等を条件として行わせることができる。
【0041】
またステップ6又はステップ7における目標舵角θの算出は、車速、ヨーレート、前後加速度等、走行状態センサ4により検出される操舵に影響を与える走行状態の夫々に対して定められた補正係数を前記操舵角θ1 又はθ2 に乗じることによりなされる。例えば、車速に対する補正係数は、車速が所定速度を超えている高速走行中には小さく、車速が前記所定速度以下となる低速走行中には、車速の低下に応じて比例的に増大するように設定されており、また、車両の旋回の状態を表すヨーレートに対する補正係数は、ヨーレートが大となるに従って小さくなるように設定されている。これらの補正を行うことにより、ステップ6又はステップ7において算出される目標舵角θは、ステアリングホイール2の操作位置を示す操舵角θ1 又はθ2 に対し、高速走行中には小さく、低速走行中には大きくなり、また旋回中には、急旋回になるに従って小さくなって、逐次変化する車両の走行状態に適応する操舵特性が得られるようになる。
【0042】
以上の如く目標舵角θを算出した後、操舵制御部3は、入力側に接続された実舵角センサ15の出力を取り込み(ステップ9)、この出力を用いて舵取機構1において実現されている実舵角θ0 を求め(ステップ10)、前記目標舵角θとの偏差(舵角偏差Δθ=θ−θ0 )を算出し(ステップ11)、この舵角偏差Δθに応じた駆動電流を流すべく操舵モータM1 を駆動制御する(ステップ12)。以上の制御動作は、キースイッチがオフ操作されるまで繰り返し行われる。
【0043】
この間、操舵モータM1 に付設した前記回転角センサ16の出力は、前記実舵角センサ15のフェイル時に代替使用する実舵角θ0 の算出に用いられる。この回転角センサ16も、操舵モータM1 の制御に本来必要なセンサであり、実舵角センサ15を2重系とすることなくフェイルセーフ動作を行わせることができる。また、前記操舵モータM1 の駆動電流は、例えば、車速毎に用意された駆動電流マップ上にて前記舵角偏差Δθに対応する値として決定される。
【0044】
操舵制御部3は、以上の如き操舵モータM1 の制御に並行して、操舵手段2に付設された反力モータM3 及び電磁クラッチ22の制御動作を行う。図3は、操舵制御部3による反力モータM3 及び電磁クラッチ22の制御内容を示すフローチャートである。
【0045】
前述の如くキースイッチのオン操作に応じて動作を開始する操舵制御部3は、まず、入力側に接続されたタイロッド軸力センサ17,17の出力を取込み(ステップ21)、この出力を用いて舵取機構1に実際に加わっている実操舵反力F0 を算出する(ステップ22)。
【0046】
次いで操舵制御部3は、制御対象となる反力モータM3 がフェイル状態にあるか否かを判定し(ステップ23)、反力モータM3 が正常であり、制御可能であると判定された場合には、前記実操舵反力F0 を用いてステアリングホイール2に加えるべき操舵反力Fを算出し(ステップ24)、この操舵反力Fに応じた駆動トルクを発すべく反力モータM3 を駆動制御する(ステップ25)。
【0047】
前記操舵反力Fの算出は、タイロッド軸力センサ17,17により検出される実操舵反力F0 に所定の係数を乗じてなされる。この係数は、車速、ヨーレート、前後加速度等、走行状態センサ4により検出される走行状態に応じて変更することができる。例えば、車速及びヨーレートの検出値は、これらの増大に応じて前記係数を増量補正すべく用いられ、前後加速度の検出値は、減速状態の検出時に、その程度に応じて前記係数を増量補正すべく用いられる。
【0048】
このような補正が行われることによりステアリングホイール2は、車速の上昇に応じて重く、車速の低下に応じて軽くなり、高速走行時における直進安定性の向上と、低速走行時又は停車時における操作力の軽減とが合わせて達成される。またステアリングホイール2は、旋回程度が大となるに従って重くなり、旋回状態にあった重さを与えることができる。更にステアリングホイール2は、減速時には重くなり、減速に伴う前輪荷重の増大を運転者に体感させることができる。
【0049】
一方、ステップ23において反力モータM3 がフェイル状態にあり、制御不能であると判定された場合、操舵制御部3は、出力側の電磁クラッチ22に動作指令を発し、該電磁クラッチ22を遮断動作させる(ステップ26)と共に、図示しない警報手段に動作指令を発し、警報出力を行わせる(ステップ27)。
【0050】
電磁クラッチ22は、反力モータM3 からステアリングホイール2への伝動系に介装されており、該電磁クラッチ22が遮断動作した場合、ステアリングホイール2が反力モータM3 から切り離される。従って、操舵制御部3の前述した動作により、モータロック等のフェイル状態にある反力モータM3 がステアリングホイール2の操作を阻害する虞れがなくなり、操舵不能の発生を回避することができる。
【0051】
但し、前記電磁クラッチ22が遮断された状態でのステアリングホイール2の操作は、操舵反力が加わらない状態で行われるため、電磁クラッチ22の係合下での通常の操舵と同等の操舵感は得られない。ステップ27における警報出力は、反力モータM3 がフェイル状態にあり、操舵感が変化することを運転者に報知して、例えば、走行中の車両を路肩に寄せて停止させる等の緊急処置を促すべく行われる。
【0052】
ステップ23における反力モータM3 のフェイル判定は、例えば、ステアリングホイール2のコラム軸20に、前記反力モータM3 の回転下にて加えられる操舵トルクを検出し、これを前記操舵反力Fと比較することによりなし得る。ここで前記操舵トルクは、前述の如く、操舵角センサ23及び回転角センサ24の出力を用いてコラム軸20の異なる2か所において得られる操舵角θ1 ,θ2 の偏差に基づいて算出することができ、専用のトルクセンサを用いる必要はない。また前記フェイル判定は、反力モータM3 の駆動電流の時間的な変化を監視する等、各種のモータにおいて通常行われているフェイル判定の手法を用いて行ってもよい。
【0056】
この実施の形態においては、反力モータM3 がフェイル状態となり、ステアリングホイール2の操作が阻害される状態となったとき、該ステアリングホイール2に代えて第2の操舵手段5を操作することにより、この操作に応じた操舵制御部3の動作により緊急の操舵を行わせることができる。第2の操舵手段5の操作は、前記レバー、ハンドグリップ、スイッチ等により操舵方向を指定する程度の簡易な操作であるが、運転者により、走行中の車両を路肩に寄せて停止させる等の緊急処置を行わせることは可能である。なおこの実施の形態においても、反力モータM3 のフェイル判定に応じて警報出力を行い、運転者に第2の操舵手段5の操作を促すようにするのが望ましい。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明に係る車両用操舵装置においては、操舵手段に付設した操舵角センサのフェイル発生時に、操舵手段に操舵反力を加える反力モータに備えられた回転角センサの検出結果に基づいて操舵モータの制御が行われるから、操舵角センサのフェイル専用のセンサを必要とすることなく運転者の意志に沿った操舵を継続することができ、構成の簡素化及び製品コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る車両用操舵装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 操舵制御部による操舵モータの制御内容を示すフローチャートである。
【図3】 操舵制御部による反力モータ及び電磁クラッチの制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 舵取機構
2 ステアリングホイール(操舵手段)
3 操舵制御部
11 ラック軸
15 実舵角センサ
16 回転角センサ
17 タイロッド軸力センサ(反力センサ)
22 電磁クラッチ
23 操舵角センサ
24 回転角センサ
M1 操舵モータ(操舵アクチュエータ)
M2 補助操舵モータ(操舵アクチュエータ)
M3 反力モータ
Claims (1)
- 操舵手段の操作位置を検出する操舵角センサと、前記操舵手段から機械的に分離された舵取機構に加わる操舵反力を検出する反力センサとを備え、前記操舵角センサの検出結果に基づいて舵取機構に付設した操舵アクチュエータを制御し、前記操舵手段の操作に対応する操舵を行わせると共に、前記反力センサの検出結果に基づいて操舵手段に付設した反力モータを制御し、前記操舵手段に疑似反力を加えるようにした車両用操舵装置において、
前記反力モータとしてブラシレスモータを用い、
該反力モータの回転角度を検出する回転角センサの検出値を累積して前記操舵手段の操作位置を算出する操舵角算出手段と、
前記操舵角センサのフェイルの有無を判定するセンサフェイル判定手段と、
該センサフェイル判定手段によりフェイル判定がなされたとき、前記操舵角算出手段の算出結果に基づいて前記操舵アクチュエータを制御する制御手段と
を備えることを特徴とする車両用操舵装置。
Priority Applications (1)
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Publications (2)
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