JP3733188B2 - パワーアンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるオーディオ信号等の低周波信号を電力増幅するためのパワーアンプに係り、特に、回路の低消費電力化を図ったものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種々の回路としては、例えば、図5に示されたようなものが公知・周知となっている。
すなわち、同図を参照しつつこの従来のパワーアンプについて説明すれば、まず、このパワーアンプは、差動出力端子を有する差動増幅器Amp1と、この差動増幅器Amp1のそれぞれの差動出力信号を増幅するためのトランジスタQ1〜Q4を用いてなる増幅回路とを具備してなるものである。
差動増幅器Amp1の反転入力端子(−IN)と非反転入力端子(+IN)とには同一振幅の信号が、それぞれ印加され、出力側には、入力信号が反転増幅された反転出力信号と、入力信号が非反転増幅された非反転出力信号との2つの差動出力信号がそれぞれ得られるようになっいる。
【0003】
そして、2つの差動出力信号の内、一方は、トランジスタQ2のベースに印加され、このトランジスタQ2により増幅され、このトランジスタQ2のコレクタ側に接続されるトランジスタQ5,Q6からなるいわゆるカレントミラー回路を介して、出力端子に増幅出力されるようになっている。また、差動増幅回路Amp1の2つの差動出力信号の内、他方は、トランジスタQ4のベースに印加され、このトランジスタQ4により増幅されて出力端子に出力されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
とろこで、上述のような回路において、差動増幅器Amp1の出力電圧利得は、トランジスタQ2のバイアスを決定する抵抗であって、同時に差動増幅器Amp1の負荷抵抗ともなる抵抗R1及びトランジスタQ4のバイアスを決定する抵抗であって、同時に差動増幅器Amp1の負荷抵抗ともなる抵抗R2のそれぞれの大きさで定まることとなるが、電圧利得を大とする観点からは、これら抵抗R1,R2の値を大とすればよいが、トランジスタQ2,Q4のバイアスを適切なものとする観点からは、あまりその値を大とすることはできす、結局、差動増幅器Amp1の電圧利得を充分大きなものとすることはできない。
したがって、最終出力として大きな電圧利得を得ようとすると、後段側に複数の増幅回路を設ける必要が生じ、いわゆるゲインステージの増加を招くこととなる。換言すれば、素子数の増加を招くこととなり、このことは、信号位相の回転の増加を意味し、回路の不安定さを生む要因となる。
【0005】
また、上述の構成の場合、差動増幅器Amp1の出力段の飽和防止のために、順方向電圧の低いショットキーダイオードD1,D2が必要となる。これは、差動増幅器Amp1の最終出力段の回路構成に起因するものである。すなわち、差動増幅器Amp1の最終出力段は、例えばpnp型トランジスタのエミッタを電源側に、npn型トランジスタのエミッタをアース側に、それぞれ接続すると共に、相互のコレクタを接続し、この接続点を出力端子とするような構成となっている。このような構成の場合、npn型トランジスタが完全に飽和状態、すなわち、コレクタ・エミッタ間のいわゆるVCEが零となると、このnpn型トランジスタがこのような状態から非導通状態へ復帰する際の動作スピードが低下するばかりか、その出力波形の歪み等を生ずることとなる。そこで、先のショットキーダイオードD1,D2が差動増幅器Amp1の出力端に接続されることで、この出力点の電圧、すなわち、上述したような最終出力段のnpn型トランジスタの導通時におけるVCEが、少なくともショットキーダイオードの順方向電圧に保持され、完全に飽和状態となることが防止されることとなり、上述のような不都合が回避されるようになっている。
【0006】
しかしながら、特に、上述の回路をIC化するような場合には、このようなショットキーダイオードを必要とするものにあっては、製造プロセスの制限を招き、それに伴う製造費用の増加による高価格化を生ずる結果となる。
さらに、上述した従来回路においては、差動増幅器の出力電圧利得が充分でないため、出力トランジスタQ4,Q6の立ち上がりが緩慢なものとなり、そのため、B級アンプに特有の出力トランジスタのベース・エミッタ電圧VBEに起因する出力歪みが大となる。この出力歪みを抑圧するためには、出力トランジスタに、数mAのいわゆるアイドリング電流を入力信号がない場合にも流す必要があり、回路全体の消費電力の増大を招くこととなる。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、IC化の際に製造プロセスの制限を招くようなことがない回路構成を有し、消費電力が小さなパワーアンプを提供するものである。
また、本発明の他の目的は、出力歪みを改善するために出力段のトランジスタに大きなアイドリング電流を流す必要がなく、しかも、出力歪みの小さなパワーアンプを提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、いわゆるゲインステージの増加を要することなく電力増幅が可能で、かつ、消費電力が小さくて済むパワーアンプを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明に係るパワーアンプは、
入力信号に対して2つの差動出力信号を出力する差動増幅回路と、
前記差動増幅回路の2つの差動出力信号をそれぞれ増幅して出力する出力回路と、
前記差動増幅回路の差動出力信号の極性に応じて前記差動増幅回路の2つの差動出力信号が出力される一方の出力端子側の電圧を所定電圧に保持する電圧保持回路と、を具備してなるものである。
【0009】
かかる構成においては、差動増幅回路は、いわゆる電流出力型のものが好適である。このため、差動増幅回路側からのみた入力インピーダンスを高くすることができ、大きな利得が得易いものとなる。
また、この差動増幅回路の2つの差動出力信号の極性に応じて、その何れか一方の出力端子側の電圧が、電圧保持回路により所定の電圧に保持されることとなるため、従来と異なり、出力回路の前段回路の出力電圧飽和防止のために順方向電圧の小さな、例えばショットキーダイオードのようなものを設けるような回路構成を採る必要がなく、そのため、特に、パワーアンプ全体をIC化するような場合に、従来のような製造プロセス上の制限がなくなるものである。
【0010】
特に、差動増幅回路は、差動出力信号を出力する電流出力型の差動増幅器を用いてなるものである一方、
出力回路は、差動増幅回路の非反転出力信号を増幅する電流出力型の第1の出力用増幅器と、
前記第1の出力用増幅器の出力電流の向きを反転して出力端子に出力するカレントミラー回路と、
差動増幅回路の反転出力信号を増幅して出力端子に出力する電流出力型の第2の出力用増幅器と、を具備してなるものが好適である。
また、電圧保持回路は、所定電圧が一方の入力端子に印加された演算増幅器と、
差動増幅回路の差動出力信号端子の何れか一方を、差動出力信号の極性に応じて選択的に前記演算増幅器の他方の入力端子に接続状態とするスイッチング素子と、を具備してなると共に、
前記演算増幅器の出力信号が、前記スイッチング素子を介して前記演算増幅器の他方の入力端子へ帰還されるよう構成されてなるものが好適である。
【0011】
かかる構成においては、電流出力型の差動増幅器の入力側からみた入力インピーダンスを高くすることができ、大きな利得が得易いものとなる。
また、この差動増幅器の2つの差動出力信号の極性に応じて、電圧保持回路のスイッチング素子の動作により、その何れか一方の出力端子側の電圧が、電圧保持回路の演算増幅器の他方の入力端子へ印加され、演算増幅器の一方の入力端子の所定電圧との差動増幅がなされ、しかも、演算増幅器の出力が、先のスイッチング素子へ戻されることで、いわゆるボルテージフォロア動作を得ることができ、差動増幅器の何れか一方の出力側は、所定電圧に保持されるようになっている。したがって、従来と異なり、出力回路の前段回路の出力電圧飽和防止のために順方向電圧の小さな素子、例えばショットキーダイオードのようなものを設けるような回路構成を採る必要がなく、そのため、特に、パワーアンプ全体をIC化するような場合に、従来のような製造プロセス上の制限がなくなるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図4を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
まず、図1を参照しつつ本発明の実施の形態におけるパワーアンプの基本構成について説明する。
このパワーアンプは、差動増幅回路1と、ボルテージフォロア回路2と、出力回路3と、に大別されてなるものである。
差動増幅回路1は、例えば、公知・周知の電流出力型の差動増幅器4を用いて構成されてなるもので、2つの差動出力が得られるようになっているものである。この差動増幅回路1の2つの出力信号は、それぞれ後述するボルテージフォロア回路2及び出力回路3に印加されるようになっている。
電圧保持回路としてのボルテージフォロア回路2は、演算増幅器5と、バッファ6a,6bと、第1乃至第3のトランジスタ7〜9とを主たる構成要素として構成されたものとなっている。
【0013】
すなわち、演算増幅器5の非反転入力端子には、互いのエミッタと互いのコレクタとがそれぞれ接続されて並列接続状態にあるpnp型の第1及び第2のトランジスタ(図1においては、それぞれ「Q1」、「Q2」と表記)7,8のコレクタが接続され、演算増幅器5の反転入力端子には、pnp型の第3のトランジスタ(図1においては「Q3」と表記)9のコレクタが接続されている。
これら第1乃至第3のトランジスタ7〜9のエミッタは、第1の定電流源15に接続される一方、第1のトランジスタ7のベースは、差動増幅器4の反転出力端子(図1において「−」符号の付された側の出力端子)に、第2のトランジスタ8のベースは、差動増幅器4の非反転出力端子(図1においては「+」符号の付された側の出力端子)に、それぞれ接続されると共に、第3のトランジスタ9のベースには、所定のバイアス電圧Vbが印加されるようになっている。
【0014】
また、演算増幅器5の出力端子には、2つのバッファ6a,6bが接続されて、出力信号が2つに分岐されるようになっており、一方のバッファ6aの出力端子は、差動増幅器4の反転出力端子と共に、出力回路3を構成する第1の出力用増幅器19に、他方のバッファ6bの出力端子は、差動増幅器4の非反転出力端子と共に、出力回路3を構成する第2の出力用増幅器20に、それぞれ接続されている。
そして、結局、第1又は第2のトランジスタ7,8を介して演算増幅器5の非反転入力端子に電圧が印加され、また、第3のトランジスタ9を介して反転入力端子に印加され、演算増幅された出力信号が、バッファ6a,6bを介して、第1乃至第3のトランジスタ7〜9のベース側にフィードバックされることで、この第1乃至第3のトランジスタ7〜9、演算増幅器5及びバッファ6a,6bからなる回路は、全体としてはいわゆるボルテージフォロアとして動作するようになっている(詳細は後述)。
【0015】
出力回路3は、反転増幅を行う第1及び第2の出力用増幅器19,20とカレントミラー回路21とを有して構成されている。
第1及び第2の出力用増幅器19,20は、例えば、電流出力型の演算増幅器を用いてなるものである。第1の出力用増幅器19の出力信号は、このパワーアンプの出力端子22に直接出力されるようになっている一方、第2の出力用増幅器20の出力信号は、カレントミラー回路21を介して反転された後、出力端子22に印加されるようになっており、この出力端子22には、180度の位相差を有する2つの信号が得られるようになっている。
【0016】
次に、上記構成におけるパワーアンプの動作について説明する。
まず、差動増幅器4の反転入力端子及び非反転入力端子に入力された信号が、正の半周期にある場合、非反転出力端子には、差動増幅器4が有する増幅度で増幅された入力信号に対応する正の半周期の信号が、反転出力端子には、差動増幅器4が有する増幅度で反転増幅された入力信号に対応する負の半周期の信号が、それぞれ出力されることとなる。
そして、第1のトランジスタ7のベース電圧は負極側に増大するため、第1のトランジスタ7は動作状態となり、第1のトランジスタ7を介して差動増幅器4の反転出力端子側の電圧が演算増幅器5の非反転入力端子に印加されることとなる一方、第2のトランジスタ8のベース電圧は、正極側に増大するため、第2のトランジスタ8は非動作状態となる。
【0017】
ところで、演算増幅器5の反転入力端子には、第3のトランジスタ9を介してバイアス電圧Vbが印加され、しかも、この演算増幅器5の出力は、バッファ6aを介して第1のトランジスタ7のベースにフィードバックされるため、演算増幅器5を中心としたこの回路部分は、いわゆるボルテージフォロアとして作用することとなる。この結果、第1のトランジスタ7のベース側、すなわち、差動増幅器4の反転出力端子側は、略バイアス電圧Vbに保持されることとなる。
一方、差動増幅器4の非反転出力端子側は、反転出力端子側と異なり、バイアス電圧Vbには保持されないため、非反転出力信号が出力回路3の第2の出力用増幅器20に印加されることとなる。
したがって、出力回路3の第1の出力用増幅器19の入力段は、バイアス電圧Vbに保持された状態であるため、その出力側には、一定の電流が流れるだけであるが、第2の出力用増幅器20には、差動増幅器4の非反転出力信号が印加されることから、第2の出力用増幅器20の出力側には、その非反転出力信号が反転増幅された信号が出力されることとなる。そして、この第2の出力用増幅器20の出力信号は、カレントミラー回路21によってその電流の方向が変えられて出力端子22に出力されることとなる。
すなわち、入力信号と同様の正の半周期の増幅信号が出力端子22に得られることとなる。
【0018】
一方、差動増幅器4の入力信号として負の半周期が入力された場合は、差動増幅器4の非反転出力端子には、差動増幅器4が有する増幅度で増幅された入力信号に対応する負の半周期の信号が、反転出力端子には、差動増幅器4が有する増幅度で反転増幅された入力信号に対応する正の半周期の信号が、それぞれ出力されることとなる。
そして、この場合には、先に説明した入力信号が正の半周期の場合とは逆に、第1のトランジスタ7のベースには正電圧が、第2のトランジスタ8のベースには負電圧が、それぞれ印加されることとなり、第1のトランジスタ7が非動作状態となる一方、第2のトランジスタ8が動作状態となる。
このため、第2のトランジスタ8のベース側、すなわち、差動増幅器4の非反転出力端子側は、バイアス電圧Vbに保持される一方、第1のトランジスタ7のベース側、すなわち、差動増幅器4の反転出力端子側には、差動増幅器4への入力信号が反転増幅されたものに対応する電圧変化が生ずることとなる。
したがって、差動増幅器4からの反転出力信号が出力回路3の第1の出力用増幅器19によって反転増幅され、出力端子22に出力される結果、出力端子22には、入力信号に対応した負の半周期の信号が得られることとなる。
このパワーアンプにおいては、上述したように、差動増幅器4の出力側が所定のバイアス電圧Vbにクランプされるため、従来のように、この差動増幅器4の出力の飽和を防止する観点から、差動増幅器4の出力側に、順方向電圧の低いショットキーダイオードを設ける必要がないものとなっている。
【0019】
次に、より具体的な回路構成例について、図2を参照しつつ説明することとする。なお、図1に示された基本回路例における構成要素と同一のものについては、同一の符号を付してその詳細な説明を省略し、以下の説明においては、異なる点を中心に説明することとする。
最初に、回路構成について説明すれば、このパワーアンプは、差動増幅回路1と、ボルテージフォロア回路2と、出力回路3と、に大別されてなる点は、図1に示されたものと同様のものである。
差動増幅回路1は、図1に示された回路同様、電流出力型の差動増幅器4を用いて構成されてなるものである。
【0020】
ボルテージフォロア回路2は、演算増幅器5の入力段に、第1乃至第3のトランジスタ7〜9が接続される点は、先の図1に示された回路例と同様であるが、演算増幅器5の反転及び非反転入力端子との接続が先の場合と丁度逆になっている。すなわち、第1乃至第3のトランジスタ7〜9のエミッタが相互に接続されて、第1の定電流源15に接続される点は変わらないが、第1及び第2のトランジスタ7,8のコレクタは、共に演算増幅器5の反転入力端子に、第3のトランジスタ9のコレクタは、非反転入力端子に、それぞれ接続されている。
【0021】
また、バアイス電圧Vbを発生するために、電源電圧Vccとアースとの間に、第2の定電流源16と、いわゆるダイオード接続された第6のトランジスタ(図2において「Q6」と表記)12とが直列接続されている。すなわち、npn型の第6のトランジスタ12は、ベースとコレクタとが相互に接続されると共に、第3のトランジスタ9のベース及び第2の定電流源16に接続される一方、エミッタはアースに接続されており、ダイオード接続された第6のトランジスタ12に第2の定電流源16による定電流I2が供給されることによって生ずる定電圧が、バアイス電圧Vbとして第3のトランジスタ9のベースに印加されるようになっている。
【0022】
さらに、一方のバッファ6aは、pnp型の第5のトランジスタ(図2においては「Q5」と表記)11及び第4の定電流源18により、他方のバッファ6bは、pnp型の第4のトランジスタ(図2においては「Q4」と表記)10及び第3の定電流源17により、それぞれ構成されたものとなっている。
具体的には、第4のトランジスタ10及び第5のトランジスタ11の各々のエミッタには、電源電圧Vccが印加されるようになっており、第4のトランジスタ10のコレクタは、第3の定電流源17へ接続されると共に、差動増幅器4の非反転出力端子及び第1のトランジスタ7のベースに接続され、この接続点は、さらに、出力回路3を構成する第7のトランジスタ(図2においては「Q7」と表記)13のベースに接続されている。
また、第5のトランジスタ11のコレクタは、第4の定電流源18へ接続されると共に、差動増幅器4の反転出力端子及び第2のトランジスタ8のベースに接続され、この接続点は、さらに、出力回路3を構成する第8のトランジスタ(図2においては「Q8」と表記)14のベースに接続されている。
そして、第4のトランジスタ10及び第5のトランジスタ11の各々のベースは、演算増幅器5の出力端子に接続されており、この第4又は第5のトランジスタ10,11及び第1のトランジスタ7又は第2のトランジスタ8を介して、演算増幅器5の出力信号が、その入力側にフィードバックされて、いわゆるボルテージフォロア動作が得られるようになっている。
【0023】
出力回路3は、差動増幅器4の非反転出力信号に対して増幅作用を行うnpn型の第7のトランジスタ13と、この第7のトランジスタ13の出力電流の方向を反転するためのpnp型の第9及び第10のトランジスタ(図2においてはそれぞれ「Q9」、「Q10」と表記)15,16からなるカレントミラー回路21と、差動増幅器4の反転出力信号に対して増幅作用を行うnpn型の第8のトランジスタ14とを具備してなるものである。
すなわち、第7のトランジスタ13のベースには、既に述べたように、差動増幅器4の非反転出力信号が印加されるようになっている一方、そのコレクタは、第9のトランジスタ15のコレクタに接続されおり、エミッタは、アースに接続されるようになっている。
また、第8のトランジスタ14のベースには、既に述べたように、差動増幅器4の反転出力信号が印加されるようになっている一方、そのコレクタは、出力端子22に接続され、エミッタは、アースに接続されるようになっている。
カレントミラー回路21は、第9及び第10のトランジスタ15,16からなり、この第9及び第10のトランジスタ15,16の各々のエミッタには電源電圧Vccが印加されるようになっている一方、第9及び第10のトランジスタ15,16のベースが相互に接続されると共に、第9のトランジスタ15のベースとコレクタとが相互に接続されて、第9のトランジスタ15はいわゆるダイオード接続となっている。そして、第10のトランジスタ16のコレクタは、出力端子22に接続されており、この出力端子22を介して、第10のトランジスタ16のコレクタと第8のトランジスタ14のコレクタとが接続されるようになっている。
【0024】
次に、上記構成における動作について説明する。
まず、差動増幅器4の反転入力端子及び非反転入力端子に入力された信号が、正の半周期にある場合、非反転出力端子には、差動増幅器4が有する増幅度で増幅された入力信号に対応する正の半周期の信号が、反転出力端子には、差動増幅器4が有する増幅度で反転増幅された入力信号に対応する負の半周期の信号が、それぞれ出力されることとなる。
そして、第1のトランジスタ7のベース電圧は正極側に増大するため、第1のトランジスタ7は非動作状態となる一方、第2のトランジスタ8のベース電圧は、負極側に増大するため、第2のトランジスタ8は動作状態となり、この第2のトランジスタ8を介してC点(図2参照)、すなわち、差動増幅器4の反転出力端子と、第5のトランジスタ11のコレクタと、第2のトランジスタ8のベースとの接続点における電圧が演算増幅器5の反転入力端子に印加されることとなる。
【0025】
ところで、演算増幅器5の非反転入力端子には、第3のトランジスタ9を介して、この第3のトランジスタ9のベースと、第2の定電流源16と、第6のトランジスタ12のコレクタ及びベースとの接続点であるA点に生ずる定電圧がバイアス電圧Vbとして印加される。しかも、この演算増幅器5の出力は、第5のトランジスタ11を介して第2のトランジスタ8のベースにフィードバックされるため、演算増幅器5を中心としたこの回路部分は、いわゆるボルテージフォロアとして作用することとなる。この結果、先のC点は、A点の電圧に保持、すなわち、略バイアス電圧Vbに保持されることとなる。
一方、差動増幅器4の非反転出力端子側、すなわち、差動増幅器4の非反転出力端子と、第4のトランジスタ10のコレクタと、第3の定電流源17と、第1のトランジスタ7のベースとの接続点であるB点の電位は、C点と異なり、バイアス電圧Vbには保持されないため、非反転出力信号が出力回路3の第7のトランジスタ13のベースに印加されることとなる。
【0026】
したがって、出力回路3の第8のトランジスタ14のベース電圧は、バイアス電圧Vbに保持された状態であるため、第8のトランジスタ14は定電流源として作用することとなり、その出力側には、一定の電流が流れる。これに対して、第7のトランジスタ13は、アンプとして作用し、そのコレクタ側には、差動増幅器4の非反転出力信号が増幅された電流が流れることとなり、この電流がカレントミラー回路21によって、その電流の向きが反転される結果、出力端子22から図示されいな外部の負荷へ向かって第7のトランジスタ13のコレクタ電流に対応する大きさの電流が流れ出ることとなる。換言すれば、入力信号と同様の正の半周期の増幅信号が出力端子22から得られることとなる。
【0027】
一方、差動増幅器4の入力信号として負の半周期が入力された場合は、差動増幅器4の非反転出力端子には、差動増幅器4が有する増幅度で増幅された入力信号に対応する負の半周期の信号が、反転出力端子には、差動増幅器4が有する増幅度で反転増幅された入力信号に対応する正の半周期の信号が、それぞれ出力されることとなる。
そして、この場合には、先に説明した入力信号が正の半周期の場合とは逆に、第2のトランジスタ8のベースには正電圧が、第1のトランジスタ7のベースには負電圧が、それぞれ印加されることとなり、第2のトランジスタ8が非動作状態となる一方、第1のトランジスタ7が動作状態となる。
このため、第1のトランジスタ7のベース側、すなわちB点がバイアス電圧Vbに保持される一方、第2のトランジスタ8のベース側、すなわちC点には、差動増幅器4の反転出力信号に応じた電圧変化が生ずることとなる。
したがって、この場合には、差動増幅器4の反転出力信号は、第8のトランジスタ14の増幅を受けて、出力端子22に入力信号に対応した負の半周期の信号として出力されることとなる。一方、第7のトランジスタ13は、定電流源として作用して、そのコレクタ側には一定の電流が流れることとなる。
【0028】
ところで、上記構成におけるパワーアンプにおいて、差動増幅器4への入力信号が無い場合、すなわち、無信号時における出力回路3におけるいわゆるアイドリング電流は、次述するようなものとなる。
まず、無信号時において、第6のトランジスタ12と第7のトランジスタ13をいわゆるカレントミラー回路を構成するいわゆるカレントペアととらえることができ、また、第6のトランジスタ12と第8のトランジスタ14も同様にカレントぺアととらえられる。
第6のトランジスタ12には、第2の定電流源16による定電流I2が常時流れ、無信号時には、この電流I2がカレントペアである第7及び第8のトランジスタ13,14に、それぞれ各トランジスタの面積比に応じて分配され、この電流が出力段におけるアイドリング電流I0となる。したがって、アイドリング電流I0は、下記する式で表すことができる。
【0029】
I0=I2(AQ6/2AQ7)または、
【0030】
I0=I2(AQ6/2AQ8)となる。
【0031】
ここで、AQ6は、第6のトランジスタ12の面積を、AQ7は、第7のトランジスタ13の面積を、AQ8は、第8のトランジスタ14の面積を、それぞれ表すものである。
したがって、第6乃至第8のトランジスタ12〜14の面積を適宜に選択することにより、従来と異なり、アイドリング電流を確実に必要最小限の大きさに設定することが容易にでき、そのため、消費電力の低減が図れることとなるものである。
【0032】
図3には、本発明に係るパワーアンプにおける出力特性のシュミレーション結果が、図4には従来回路における出力特性のシュミレーション結果が、それぞれ示されており、以下、この出力特性について説明する。
本発明に係るパワーアンプでは、出力トランジスタ(第7及び第8のトランジスタ13,14)へのバイアスが、従来回路に比して大きく確保できるため、出力トランジスタの立ち上がリは、従来(図4(b)参照)に比して急峻となっている(図3(b)参照)。このため、従来と異なり、出力トランジスタの立ち上がりを急峻にするために多くのアイドリング電流を流す必要がない。
なお、図3及び図4において、Qaは上述したQ10に対応するシュミレーション時の出力トランジスタを、Qbは上述したQ8に対応するシュミレーション時の出力トランジスタを、それぞれ意味する。
【0033】
上述した発明の実施の形態におけるトランジスタの種類は、あくまでも一例であり、pnp型をnpn型に、npn型をpnp型に、それぞれ代えても同様に実現できることは勿論であり、さらには、例えば、電界効果トランジスタ(FET)等のバイポーラ以外のトランジスタを用いてもよいものである。
【0034】
【発明の効果】
以上、述べたように、本発明によれば、極力少ない増幅段で大きな利得が得られ、しかも、出力電流の立ち上がりがよく、消費電力が比較的少なくて済むような構成とすることにより、従来と異なり、差動増幅回路の出力飽和防止のために、ショットキーダイオードのような順方向電圧の低いダイオードを設けることなく、飽和防止がなされるため、IC化の際に製造プロセスの制限を招くようなことがなく、IC化に適したパワーアンプを提供することができる。
また、特に、電流出力型の回路を用いることにより、入力インピーダンスを容易に大きく採ることができるので、従来と異なり、いわゆるゲインステージの増加を要することなく電力増幅が可能である。さらに、出力回路へ印加される被増幅信号を従来に比して容易に大とすることができるため、従来と異なり、出力電流の立ち上がりが急峻な出力歪みの少ない出力信号を得ることができ、しかも、そのために、出力回路におけるいわゆるアイドリング電流が小さくて済み、消費電力の低減を図ることができるものである。
またさらに、回路中のトランジスタの飽和防止のため、ショットキーダイオードを設け、このダイオードとトランジスタが電源とアースとの間で直列接続状態となるような従来のような回路構成を必要としないため、電源電圧を従来に比して小さくでき、装置の小型化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における第1の例としてのパワーアンプの基本構成例を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態における第2の例としてのパワーアンプの具体的回路例を示す回路図である。
【図3】本発明のパワーアンプにおける出力特性のシュミレーション結果の例を示す特性線図であり、図3(a)は出力電圧特性を、図3(b)は出力電流特性を示す特性線図である。
【図4】従来の回路における出力特性のシュミレーション結果の例を示す特性線図であり、図4(a)は出力電圧特性を、図4(b)は出力電流特性を示す特性線図である。
【図5】従来パワーアンプの回路例を示す回路図である。
【符号の説明】
1…差動増幅回路
2…ボルテージフォロア回路
3…出力回路
4…差動増幅器
7…第1のトランジスタ
8…第2のトランジスタ
9…第3のトランジスタ
13…第7のトランジスタ
14…第8のトランジスタ
19…第1の出力用増幅器
20…第2の出力用増幅器
21…カレントミラー回路
Claims (6)
- 入力信号に対して2つの差動出力信号を出力する差動増幅回路と、
前記差動増幅回路の2つの差動出力信号をそれぞれ増幅して出力する出力回路と、
前記差動増幅回路の差動出力信号の極性に応じて前記差動増幅回路の2つの差動出力信号が出力される一方の出力端子側の電圧を所定電圧に保持する電圧保持回路と、
を具備してなることを特徴とするパワーアンプ。 - 差動増幅回路は、差動出力信号を出力する電流出力型の差動増幅器を用いてなるものである一方、
出力回路は、差動増幅回路の非反転出力信号を増幅する電流出力型の第1の出力用増幅器と、
前記第1の出力用増幅器の出力電流の向きを反転して出力端子に出力するカレントミラー回路と、
差動増幅回路の反転出力信号を増幅して出力端子に出力する電流出力型の第2の出力用増幅器と、
を具備してなることを特徴とする請求項1記載のパワーアンプ。 - 電圧保持回路は、所定電圧が一方の入力端子に印加された演算増幅器と、
差動増幅回路の差動出力信号端子の何れか一方を、差動出力信号の極性に応じて選択的に前記演算増幅器の他方の入力端子に接続状態とするスイッチング素子と、を具備してなると共に、
前記演算増幅器の出力信号が、前記スイッチング素子を介して前記演算増幅器の他方の入力端子へ帰還されるよう構成されてなることを特徴とする請求項2記載のパワーアンプ。 - スイッチング素子は、2つのpnp型トランジスタを用いてなり、この2つのpnp型トランジスタのエミッタ同士は相互に接続されると共に定電流源に接続される一方、コレクタ同士は相互に接続されると共に演算増幅器の他方の入力端子に接続され、前記2つのpnp型トランジスタの内、一方のトランジスタのベースは、差動増幅回路の一方の差動出力信号端子に、他方のトランジスタのベースは、差動増幅回路の他方の差動出力信号端子に、それぞれ接続されてなることを特徴とする請求項3記載のパワーアンプ。
- pnp型トランジスタに代えてnpn型トランジスタを用いてなることを特徴とする請求項4記載のパワーアンプ。
- pnp型トランジスタに代えて電界効果トランジスタを用いてなることを特徴とする請求項4記載のパワーアンプ。
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