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JP3730265B2 - 電池用水素吸蔵合金,その製造方法およびニッケル水素電池 - Google Patents

電池用水素吸蔵合金,その製造方法およびニッケル水素電池 Download PDF

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JP3730265B2 JP08757294A JP8757294A JP3730265B2 JP 3730265 B2 JP3730265 B2 JP 3730265B2 JP 08757294 A JP08757294 A JP 08757294A JP 8757294 A JP8757294 A JP 8757294A JP 3730265 B2 JP3730265 B2 JP 3730265B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電池用水素吸蔵合金,その製造方法およびその合金を使用したニッケル水素電池に係り、特に合金を電池の負電極に使用した場合において、高い電極容量(電池容量),繰返しの使用に耐える長寿命特性(長サイクル特性)および良好な初期活性の三大特性さらには大電流放電特性を共に満足させることが可能な電池用水素吸蔵合金,その製造方法およびニッケル水素電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子技術の進歩による省電力化、実装技術の進歩により従来では予想し得なかった電子機器が小型化およびポータブル化されてきている。それに伴い、前記電子機器の電源である二次電池に対する高容量化,長寿命化,放電電流の安定化が特に要求されている。例えばパーソナル化、ポータブル化が進むOA機器,電話機,AV機器においては、特に小型軽量化,およびコードレスでの機器使用時間の延伸などの目的で高性能電池の開発が所望されている。このような要求に対応する電池として、従来の焼結式ニッケルカドミウム電池の電極基板を三次元構造体とした非焼結式ニッケルカドミウム電池が開発されたが、顕著な容量増加は達成されていない。
【0003】
そこで、近年、負極として水素吸蔵合金粉末を集電体に固定した構造のものを使用したアルカリ二次電池(ニッケル水素電池)が提案され、脚光を浴びている。このニッケル水素電池に使用される負極は、一般に、下記の手順で製造される。すなわち、高周波溶解法やアーク溶解法などによって水素吸蔵合金を溶解した後に、冷却・粉砕し、得られた粉砕粉に導電剤や結合剤を添加して混練物を形成し、この混練物を集電体に塗布または圧着して製造される。この水素吸蔵合金を使用した負極は、従来の代表的なアルカリ二次電池用負極材料であるカドミウムに比較し、単位重量当りまたは容積当りのエネルギ密度を大きくすることができ、電池の高容量化を可能とする他、毒性が少なく環境汚染のおそれが少ないという特徴を持っている。
【0004】
しかしながら、水素吸蔵合金を含む負極は、二次電池に組み込まれた状態において電解液である濃厚なアルカリ水溶液に浸漬される他、過充電時には正極より発生する酸素に曝されるため、水素吸蔵合金が腐食して劣化し易い。さらに、充放電時において前記水素吸蔵合金中への水素の吸蔵、放出に伴って体積が膨張、収縮するため、水素吸蔵合金に割れを生じ、水素吸蔵合金粉末の微粉化が進行する。水素吸蔵合金の微粉化が進行すると、水素吸蔵合金の比表面積が加速度的に増加するため、水素吸蔵合金表面のアルカリ性電解液による劣化面積の割合が増加する。しかも、水素吸蔵合金粉末と集電体との間の導電性も劣化するため、サイクル寿命が低下する上に電極特性も劣化する。
【0005】
そこで、上述した問題を解決するために水素吸蔵合金粉末表面または水素吸蔵合金を含む負極表面にニッケル薄膜をめっき法、蒸着法等により付着させ機械的強度を増加させて割れを防止したり、あるいはアルカリ溶液中へ浸漬後、乾燥させることにより水素吸蔵合金表面の劣化を抑制したりという方法が提案されているが、必ずしも十分な改善を図ることができなかった。
【0006】
上記アルカリ二次電池に用いられる他の水素吸蔵合金として、LaNi5 で代表されるAB5 系合金がある。この六方晶構造を有する合金系を使用した負極は、従来の代表的なアルカリ二次電池用負電極材料であるカドミウムを使用した場合と比較して、電池の単位重量または単位容積当りのエネルギ密度を大きくすることが可能であり、電池の高容量化を可能とする上に、カドミウム公害等の環境汚染を発生するおそれも少なく、電池特性も良好であるという特徴を有している。ちなみにLm−Ni−Co−Al系合金(LmはLa富化ミッシュメタル)から成るAB5 系水素吸蔵合金を含む負極を使用した電池の電極容量は200mAh/g未満という低い状態であり、また電池の充放電によるサイクル寿命は400サイクル程度である。また上記AB5 系合金を使用した電池では放電電流を高く設定できる長所がある。しかしながら、昨今の技術的要求水準である電極容量およびサイクル寿命を共に満足する段階には到達していない。
【0007】
そこで上記AB5 系水素吸蔵合金を使用した電池の電極容量を増加するために、Aサイトの含有比率を相対的に高める手法も採用されている。この手法によれば電極容量を3割程度増加させることができる反面、充放電のサイクル寿命が短縮される欠点がある。
【0008】
またAサイトの構成材となるミッシュメタル(Mm:Laを10〜50wt%,Ceを30〜60wt%,Prを2〜10wt%,Ndを10〜45wt%等を含有する希土類元素の混合体)中のLa含有量を高める手法も採用されている。すなわちミッシュメタル中のCe元素を除去してLa含有量を相対的に高めたミッシュメタルを使用することにより、電極容量を3割程度増大することも可能である。しかしながら、この場合もサイクル寿命を長期化することは困難であった。
【0009】
このように従来から二次電池を評価する基準特性として、放電容量,サイクル寿命および放電電圧が特に重視されていた。これらの特性のうち、放電電圧は、ニッケル・水素二次電池の場合、正極のニッケル酸化物の酸化還元反応および負極の水素反応により、ほぼ決定されてしまうため、水素吸蔵合金を改良しても放電電圧が大きく変化することは少ない。一方、実際に水素吸蔵合金を改良して大きく改善される容量電池特性としては、放電容量およびサイクル寿命の2大特性がある。
【0010】
またこれらの特性以外に、水素吸蔵合金を改良することにより改善される電池特性として、容量立上り性(活性の容易さ)がある。すなわち電池組立後において僅かな回数の活性化操作(充放電操作)のみで高い電極容量が得られるという特性である。この容量立上り性は製品としての電池をユーザが使用する上では注目する必要がない特性であるが、この容量立上り性が不良であると電池の製造工数が増大し、電池の製造コストを大きく引き上げることになるため、メーカーサイドで電池設計を行なう場合に、重視される特性の1つとなる。
【0011】
従来の主たる使用用途となっているハンディカムコーダやセルラーホンに装着する電池においては、上記の放電容量,サイクル寿命および容量立上り性の3大特性に注目して改善することにより、最終ユーザの要求を充分に満足する電池とすることが可能となるとともに、電池自体の製造コストも低減することが可能となった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら近年、各種電子機器のアナログ方式からデジタル方式への転換が急速に進展していることから、上記3大特性のみを改善した電池では、実稼動時間を延長することが困難になってきた。すなわち従来のアナログ方式の電子機器においては、電池からの放電電流はほぼ一定の値であったのに対して、デジタル方式の電子機器においては、放電電流がパルス的に大幅に変化し、しかもそのパルス電流のピーク値が大きくなる特徴がある。したがって、放電容量の放電電流依存性が高い電池の場合、換言すれば放電電流が大きくなるに従って放電容量が急激に低下するような特性を有する従来の電池では、アナログ方式の電子機器において長時間稼動が可能であっても、デジタル方式の電子機器では短時間の稼動しかできない問題点があった。したがって、アナログ方式は勿論のこと、電子機器のデジタル化に対応するためには、上記3大特性に加えて大電流放電特性とを考え併せて電池設計を行なうことが極めて重要になってきている。
【0013】
しかしながら昨今の技術的要求水準とする電極容量、サイクル寿命および初期立上り特性に加えて上記大電流放電特性を共に満足するニッケル・水素電池に好適な電池用水素吸蔵合金は未だ実用化されていない現状である。
【0014】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、高い電極容量、長寿命特性および良好な立上り特性の三大特性に加えて大電流放電特性を共に満足させることが可能な電池用水素吸蔵合金,その製造方法およびニッケル水素電池を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願発明者らは電極容量の増加が容易である点および常温常圧付近で水素を吸蔵および放出できる点に着目してAB5 系水素吸蔵合金を研究対象に選択した。そしてこのAB5 系合金成分を種々の元素で置換し、また種々製法を換えて各種組成の水素吸蔵合金を試作し、その組成、製法、熱処理条件等が大電流放電特性などの電池特性に及ぼす効果を比較研究した。その結果、以下のような知見が段階的に得られた。
【0016】
まず第1に、水素吸蔵合金の粒界量をある一定の範囲に設定したときに大電流放電特性に優れ、かつ放電容量,サイクル寿命および容量立上り性の3大特性をバランス良く満足する水素吸蔵合金が得られることを見出した。
【0017】
上記比較研究過程で得られた知見から粒界量に最適範囲が存在する理由は、次のように考えられる。すなわち、水素吸蔵合金は、その表面での電気化学反応の結果生じる水素を、合金内部に吸脱蔵することで電極として作用している。この電極が大電流で高容量を維持するためには、合金内部から表面まで、または表面から合金内部までの水素の拡散が速かに進行することが必要である。この拡散速度は合金粒子内部より、粒界の方が大きい。そのため拡散の経路となる粒界が多い方が大電流放電特性に優れた電極とすることができる。しかし、粒界は水素拡散の経路となると同時に電解液による水素吸蔵合金腐食の開始点ともなるため、粒界量が多過ぎると大電流放電特性は優れる反面、サイクル寿命が短かい電極となってしまう。したがって、粒界量をある特定の範囲に調整制御することにより初めて上記4大特性を満足する電極を形成することが可能になるという知見を得たのである。
【0018】
また第2に、AB5 系水素吸蔵合金の一部をMnで置換したときに、電極容量280mAh/g程度まで大幅に改善されることが判明した。しかしながら、Mnの置換量が一定量を超えると、当該合金を使用した電池の寿命特性は却って低下してしまう事実が発見された。
【0019】
そこで本願発明者らは上記Mnの添加によって電池の寿命特性が低下する原因を究明した。そしてMnを添加した各種AB5 系合金組織の構成元素をX線マイクロアナライザ(EPMA)によって分析したところ、Mn添加量の増加とともに各合金組織におけるMnの偏析量が増加するという傾向が確認された。この傾向から推察するところ、Mn添加量の増加とともに進行する電池の寿命低下の原因は主としてMnの偏析によることが判明した。
【0020】
つまり、従来の水素吸蔵合金の製造技術である、冷却の能力が低い鋳込み法では冷却過程において、結晶の成長が等方的に起きるため、水素吸蔵合金の粒子内で粒界が不規則となり易く、粒界部への偏析が生じ易くなる。また冷却能力が高い鋳込み法を用いて部分的に柱状晶を形成した場合においても、柱状晶の短径が極めて大きくなり、偏析が大きく、合金の耐食性も低下し易い。またMnは他の合金構成元素よりも脆い特徴がある。その結果、前記粒界部への偏析が腐食の開始点となったり、機械的強度を低下させるため、水素の吸蔵,放出に伴う合金の微粉化が顕著になる。
【0021】
また吸蔵合金内の偏析は、局部電池を形成し易く、その電食作用によってMnがアルカリ電解液中に溶出したり、合金表面のMnがMn(OH)2 に変化したりして合金の腐食が加速され、水素吸蔵合金自体の水素吸蔵量が減少したり、または腐食により水素吸蔵合金が電極集電体から剥離することにより電池の容量低下が起こると考えられる。さらに上記偏析による粒界強度の低下に起因する合金の微粉化が進行して電池特性の経時劣化も進行すると考えられる。
【0022】
これらのことからMnの偏析を少なくすれば高容量でかつ長寿命の水素吸蔵合金電極を得ることができることが期待される。
【0023】
そこで、Mnの偏析を少なくする方法として、次のような手法を試行した。
【0024】
(1)合金材料の溶解時に、構成元素をできるだけ細かくしてよく混ぜ合せてから溶解坩堝に仕込んだ。しかしながら、溶融状態では比較的よく混ざり合っているものの、冷却時に数十μm〜数百μmの大きさの偏析が形成された。
(2)溶融時に使用する加熱装置として抵抗発熱体を使わずに高周波加熱装置を使用し、強制的に溶湯の撹拌を行なった。この場合、溶融状態では非常に均一に撹拌されているものの、冷却時に数十μm〜数百μmの大きさの偏析が形成された。
(3)合金溶湯を鋳込む際に溶湯の温度を可及的に高めて、合金溶湯の粘性を下げることにより溶湯の均質化を図った。この場合、冷却時に数十μm〜数百μmの大きさの偏析が形成された。
(4)キャスト後に熱処理(例えば、1000℃・8h)を行なうことにより偏析を低減した。この場合、効果は大きいものの数十μm大きさの偏析は残ってしまった。
【0025】
このように、たとえ上記手法の1つ、あるいは2以上を組み合せて処理を行なっても、偏析は減るものの要求特性を充分に満足させることができなかった。
【0026】
そこで本発明者らは上記Mnの偏析を充分に抑制し、さらにMnの溶出を防止するなどの電池特性の劣化防止を目的として種々の組成の水素吸蔵合金を調製し、その特性を比較検討した結果、特定の組成を有する合金溶湯に対して適切な急冷速度を適用することにより、上記の課題を解消できるという知見を得た。
【0027】
本発明は上記各種の知見に基づいて完成されたものである。すなわち本発明に係る電池用水素吸蔵合金は、一般式A Nia Mnb Alc Cod e (但し、AはY(イットリウム)を含む希土類元素より選択される少なくとも1種の元素、MはW,Ta,Mo,Nb,In,Ga,Sn,Zn,Cr,V,Ti,ZrおよびHfの中から選択される少なくとも1種の元素、3.5≦a≦5,0.1≦b≦1,0≦c≦1,0.1≦d≦1,0<e≦0.6,4.5≦a+b+c+d+e≦6)で表わされる組成を有する合金から成り、この合金が少なくとも一部に柱状晶組織を有し、この柱状晶の平均短径が5〜30μmであることを特徴とする。また、柱状晶の短径と長径との比(アスペクト比)が1:2以上となる柱状晶組織の面積比率を50%以上に設定するとよい。
【0028】
本発明に係る電池用水素吸蔵合金の第1の製造方法は、一般式A Nia Mnb Alc Cod e (但し、AはY(イットリウム)を含む希土類元素より選択される少なくとも1種の元素、MはW,Ta,Mo,Nb,In,Ga,Sn,Zn,Cr,V,Ti,ZrおよびHfの中から選択される少なくとも1種の元素、3.5≦a≦5,0.1≦b≦1,0≦c≦1,0.1≦d≦1,0<e≦0.6,4.5≦a+b+c+d+e≦6)で表わされる組成を有する合金溶湯を、回転する冷却ロールの走行面に射出して急冷凝固せしめ、少なくとも一部に柱状晶組織を有する溶湯急冷合金を調製して電池用水素吸蔵合金とすることを特徴とする。
【0029】
また、第2の製造方法は、一般式A Nia Mnb Alc Cod e (但し、AはY(イットリウム)を含む希土類元素より選択される少なくとも1種の元素、MはW,Ta,Mo,Nb,In,Ga,Sn,Zn,Cr,V,Ti,ZrおよびHfの中から選択される少なくとも1種の元素、3.5≦a≦5,0.1≦b≦1,0≦c≦1,0.1≦d≦1,0<e≦0.6,4.5≦a+b+c+d+e≦6)で表わされる組成を有する合金溶湯を急冷処理して溶湯急冷合金を調製し、得られた溶湯急冷合金を、250〜1000℃の温度範囲で少なくとも10分間熱処理して電池用水素吸蔵合金を形成することを特徴とする。また上記急冷処理によって、柱状晶の平均粒径を5〜30μmの範囲に設定する。さらに合金溶湯の急冷処理は、真空下またはArなどの不活性ガス雰囲気で実施するとよい。また熱処理は、不活性ガス雰囲気中で実施するとよい。
【0030】
本発明に係るニッケル水素電池は、一般式A Nia Mnb Alc Cod e (但し、AはY(イットリウム)を含む希土類元素より選択される少なくとも1種の元素、MはW,Ta,Mo,Nb,In,Ga,Sn,Zn,Cr,V,Ti,ZrおよびHfの中から選択される少なくとも1種の元素、3.5≦a≦5,0.1≦b≦1,0≦c≦1,0.1≦d≦1,0<e≦0.6,4.5≦a+b+c+d+e≦6)で表わされる組成を有する合金から成り、この合金が少なくとも一部に柱状晶組織を有し、この柱状晶の平均短径が5〜30μmである電池用水素吸蔵合金を有する負極と、ニッケル酸化物から成る正極との間に電気絶縁性を有するセパレータを介装して密閉容器内に収容し、この密閉容器内にアルカリ電解液を充填したことを特徴とする。また水素吸蔵合金の柱状晶の短径と長径との比(アスペクト比)が1:2と以上なる柱状晶組織の面積比率が50%以上であることを特徴とする。
【0031】
すなわち柱状晶の平均短径が5〜30μmである上記溶湯急冷合金から成る電池用水素吸蔵合金を有する負極と、ニッケル酸化物から成る正極との間に電気絶縁性を有するセパレータを介装して密閉容器内に収容し、この密閉容器内にアルカリ電解液を充填したことを特徴とする。
【0032】
上記柱状晶の平均短径は、電池特性に大きな影響を及ぼすものであり、本発明では5〜30μmの範囲に設定される。平均粒径が5μm未満となり、粒界量が過多になると、水素の拡散の経路となる粒界が多くなり大電流放電特性が良好となる反面に合金の電解液による腐食の開始点となる粒界の割合が相対的に高まり耐食性が低下するため、電池のサイクル寿命が短縮されてしまう。一方、柱状晶の平均短径が30μmを超える場合には、粒界量が減少し、耐食性は向上する反面、機械的強度が低下し易くなる。したがって、電池の4大特性を共に満足させるために、柱状晶の平均短径は上記5〜30μmの範囲に設定されるが、より好ましい範囲は10〜20μmである。
【0033】
本発明に係る電池用水素吸蔵合金は、一般式A Nia Mnb Alc Cod e なる組成を有する単一相であることが必要である。Nia Mnb Alc Cod e の総和をBで表すと本発明に係る合金組成は、4.5≦a+b+c+d+e≦6よりAB4.5 〜AB6 となる。溶湯急冷法を使用してAB5 系の水素吸蔵合金を製造すると、非化学量論組成を含むAB4.5 〜AB6 の範囲でCaCu5 構造の単一相の結晶組織が得られる。Bの組成比率(すなわちa+b+c+d+eの値)が上記範囲外になると、合金中にAB4.5 〜AB6 以外の相(例えばAB,AB2 ,AB3 ,A2 7 等から成る相およびBサイトを構成する元素単体から成る相[以下第2相という])が生成する。そして水素吸蔵合金中に上記第2相を含む2種以上の異種組成の合金相が互いに接する割合が高くなる。このような異種合金相の界面は、機械的強度が弱く、この界面を起点として、水素の吸蔵・放出に伴い割れが発生し易くなる。
【0034】
また上記界面には、偏析が生じ易く、その偏析物を起点として水素吸蔵合金の腐食が生じ易くなるなど、いずれにしろ水素吸蔵合金を電極材として使用した場合において、電極容量および寿命の低下を引き起こす。したがって、(a+b+c+d+e)の値は4.5〜6の範囲に設定される。より好ましい合金組成はAB4.8 〜AB5.6 の範囲である。
【0035】
また本発明に係るA Nia Mnb Alc Cod e を構成するA成分は、Yを含む希土類元素(具体的にはY,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)のうちから選ばれる少なくとも1種を示す。なお、高純度の希土類元素または単体の希土類元素は極めて高価である。そこで複数の希土類元素の混合体であるミッシュメタル(以下MmまたはLmと略記する。)を使用することにより水素吸蔵合金の材料コストを大幅に低減することが可能である。上記Mmとしては、通常La10〜50wt%,Ce30〜60wt%,Pr2〜10wt%,Nd10〜45wt%の組成のものや、La含有量を高めたLa富化ミッシュメタル(例えばLa50〜70重量%,Ce0〜10重量%,残部PrまたはNdなど)が使用される。
【0036】
また、Niは本発明合金系の基本となる結晶構造であるCaCu5 構造の根幹を成す成分であり、その組成比率aの値を3.5〜5の範囲に限定したのは次のような理由によるものである。aの値を3.5未満にすると水素吸蔵量が過少になり、電極の容量が低下するため、電池の負極活物質としては好ましくない。一方、前記aが5を超えると結晶構造を維持しつつ単一相を得る条件では他の合金成分の配合が困難になり、長寿命化が困難となる。好ましいaの範囲は3.2〜4.8であり、さらに好ましくは3.5〜4.5である。
【0037】
さらにMnは、水素の吸蔵放出圧力(解離圧)の低減による高容量化に有効であるため、本発明合金の必須構成元素とした。Mnはその組成比率bが1以下となる範囲で添加される。一方組成比率bが1を超えると、偏析の制御が困難であり、電池の長寿命化の阻害要因となるため、組成比率bの上限は1に設定した。さらに好ましくは0.2〜0.8である。
【0038】
Alは合金表面に比較的多く析出し、Mnと同様に水素の吸蔵放出圧力(解離圧)の低減による高容量化に有効であるが、その組成比率cが大き過ぎると水素吸蔵量の低減をもたらすため、組成比率cは0〜1の範囲とした。好ましくは、0.1〜0.8の範囲である。
【0039】
CoはNiの一部を置換することにより、電池の長寿命化が達成できるものであり、具体的には水素の吸収時の格子の膨脹が比較的小さくなるため、微粉化が進行しにくくなるために添加されるが、多過ぎると水素吸収量が少なくなってしまう。したがって、この配合比率dは0.1〜1.0の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.8の範囲である。
【0040】
また、一般式中のM成分はW,Ta,Mo,Nb,In,Ga,Sn,Zn,Cr,V,Ti,ZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種を示す。上記M成分はいずれも水素吸蔵合金の電解液に対する化学安定性を増し、電池の長寿命化に有効な元素であり、その組成比率eが0.01〜0.6の範囲で添加される。上記組成比率eが0.6を超えると合金により形成した電極の容量が低下してしまうため、上限は1に設定した。好ましくは0.03〜0.5の範囲である。
【0041】
上記M成分のうち、特にIn,Ga,Sn,Zn,等の軟質金属は合金にねばりを与えて微粉化を抑制する効果が高い。またW,Ta,Mo,Nbなどの硬質金属は、原料溶湯の急冷処理時に一部で組織内にとり込まれたり、粒界に析出して粒界強度を上昇させるとともに耐食性を向上させる効果が高く、さらに触媒作用により合金の活性を高める効果もある。。
【0042】
またM成分のうち、Crは、電解液等に対する合金粒界の耐食性(耐酸化性)を向上させる上で有効であり、合金の酸化および微粉化は顕著に抑制される。
【0043】
上記のような組成を有する合金を、アルゴン(Ar)などの不活性雰囲気中、あるいは真空中で適切な冷却速度で溶融状態から急冷凝固せしめることにより、所定の柱状晶組織を有する水素吸蔵合金が得られる。そしてこの合金を含有する負極を組み込んで電池を形成した場合に電池の長寿命化が図れることが判明した。
【0044】
本発明に係る電池用水素吸蔵合金の製造方法としては、偏析を防止し強固な結晶組織が得られ、また所定の柱状晶が得られる方法であれば特に限定されないが、以下に図面を参照して詳述する単ロール法、双ロール法のような溶湯急冷法を用い、冷却ロールの材質、冷却ロールの回転数(走行面の周速)、溶湯温度、冷却チャンバ内のガス種、圧力、溶湯噴射量など冷却速度を規定する諸条件を最適化することにより大量に製造することが可能になる。
【0045】
単ロール法
図1は、単ロール法による水素吸蔵合金製造装置を示す。この製造装置は、直径300mm程度の冷却ロール5と、取鍋2から供給された水素吸蔵合金溶湯3を貯留した後に前記冷却ロール5の走行面に噴射する注湯ノズル4とを備えた構成となっている。前記冷却ロール5等は不活性ガス雰囲気に調整された冷却チャンバー1内に収納されている。また、前記冷却ロール5の周速は、冷却ロール5の濡性と冷却速度および水素吸蔵合金溶湯3の噴射量に依存するが、概ね1〜10m/sec の範囲に設定される。
【0046】
なお、冷却ロール5としては、CuCr,CuBeなどの銅基合金ロール,S45C,SUJ2,ステンレス鋼などのFe基合金ロール,Ni基合金ロール、およびこれらのロール本体にCrめっきしたCuロールまたはFe基ロールが好ましい。
【0047】
上述した図1に示す製造装置において、取鍋2から供給された水素吸蔵合金溶湯3を注湯ノズル4より冷却ロール5の走行面へ噴射すると、合金溶湯は冷却ロール5に接する面より固化し、結晶成長が始まり、冷却ロール5より離脱するまでに完全に固化が終了する。その後、冷却チャンバー1内を飛翔する間に更に冷却が進み、偏析が少なく結晶成長方向が揃った水素吸蔵合金6が製造される。急冷処理によって得られる水素吸蔵合金(溶湯急冷合金)6の厚さは、50〜200μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは60〜180μmの範囲である。
【0048】
双ロール法
図2は、双ロール法による水素吸蔵合金製造装置を示す。この製造装置は、冷却チャンバー1内に各走行面が対向するように配置された1対以上の冷却ロール5a,5bと、原料金属を溶解し水素吸蔵合金溶湯3を調製する溶解炉7と、この溶解炉7からの水素吸蔵合金溶湯3をタンディッシュ8を経て前記冷却ロール5a,5bの間に噴射する注湯ノズル4を備えた構成になっている。
【0049】
前記冷却ロール5a,5bは、銅,ニッケル,鉄等の熱導伝性に優れた材質で形成された直径50mm程度のものであるが、特にFe基合金製ロールが好ましい。前記冷却ロール5a,5bは0〜0.5mm程度の微少な間隙dを維持しながら0.5〜10m/sec 程度のロール周速で高速回転する。なお、冷却ロールとしては図2に示すように走行面が平行になっているものの他、走行面の断面形状をU字型やV字型とした、いわゆる型ロールを採用することもできる。また、冷却ロール5a,5bの間隙dを過大にすると、冷却方向が揃わず、その結果結晶成長方向が揃わない水素吸蔵合金が製造されるため、0.2mm以下に設定することが好ましい。
【0050】
上述した図2に示す製造装置において、注湯ノズル4から水素吸蔵合金溶湯3を冷却ロール5a,5bの間隙方向へ噴射すると、水素吸蔵合金溶湯が両側の冷却ロール5a,5bに接する側より固化、結晶成長が始まり、冷却ロール5a,5bより離脱するまでに完全に固化が終了する。その後、冷却チャンバー1内を飛翔する間に更に冷却が進み、偏析が少なく結晶成長方向が揃った水素吸蔵合金6が製造される。合金6の厚さは50〜200μm程度が好ましい。
【0051】
上記のような溶湯急冷法を使用して、リボン状またはフレーク状の水素吸蔵合金を製造する場合、冷却ロールの材質、合金溶湯の冷却速度等の条件により等軸晶や柱状晶が合金組織内に形成される。本発明に係る電池用水素吸蔵合金では、特に上記柱状晶組織を発達させたものを使用する。
【0052】
図3は上記溶湯急冷法によって調製した電池用水素吸蔵合金の金属組織を部分的に示す電子顕微鏡写真である。図3に示すように、短径に対する長径の比が大きな柱状晶が充分に発達した合金が望ましい。柱状晶の短径と長径との比は、1:2以上が望ましく、さらに好ましくは1:3以上である。また得られた柱状晶組織の平均短径は5〜30μmが好ましい。
【0053】
なお、前記溶湯急冷法において調製した溶湯急冷合金では、平均短径が2〜3μm程度の微細な柱状晶が形成される場合がある。この場合、溶湯急冷合金をさらに熱処理することにより粒成長させて、柱状晶の平均短径を5〜30μmの範囲に調整することもできる。上記熱処理は、温度250〜1000℃で10分から100時間の時間で行なうことができる。なお熱処理時の雰囲気としては、真空中でも不活性ガス雰囲気中でもよいが、特に高温度で熱処理を実施する場合には、Mnなどの比較的に蒸気圧が高い元素の揮散を防止するために、アルゴンなどを封入した加熱炉で実施することが望ましい。
【0054】
上記柱状晶組織においては、等軸晶組織とは異なり、結晶方位が揃っているため、粒界の乱れが少なく、水素の吸蔵量が増し、電極容量を増大化できることが本発明者らの実験により確認された。すなわち柱状晶組織においては、その界面に沿って、水素分子または水素原子の通路が形成されるため、合金内への水素の吸蔵あるいは放出が容易になり、電極容量が増加する。また柱状晶組織における偏析は、EPMAによる検出限界値以下と極めて少なくなる。従って偏析による局部電池の形成が少なく、合金の微細化による寿命低下も効果的に防止できる。
【0055】
また溶湯急冷処理して水素吸蔵合金を製造しているため、合金を構成する各結晶粒径が微細化し、合金強度が高まるとともに、粒界の乱れが減少するため、水素の吸蔵量が増大し、電極容量を高めることができる。
【0056】
上記溶湯急冷処理によって製造した水素吸蔵合金の結晶組織は、水素吸蔵合金電極として電池に組み込んだ際に、電池特性を向上させる観点から、水素吸蔵合金の厚さ方向の断面における柱状結晶組織の面積率を50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上にする必要がある。柱状晶の面積率が50%以上となる場合には、この合金を用いた負電極のサイクル寿命が、鋳造法により製造された水素吸蔵合金を用いた負電極のサイクル寿命と比較して長くなる。特に溶湯急冷合金の全体を柱状晶で形成した場合、特に偏析が少なくなり、合金電極の容量および寿命をさらに改善することができる。一方上記面積率が50%未満の場合には、鋳造合金を使用した負電極と比較してサイクル寿命に顕著な差異が現われない。すなわち上記溶湯急冷処理によって製造し、厚さ方向の断面における柱状結晶組織の面積率が50%以上となる本発明の水素吸蔵合金を用いることにより、電極容量が240mAh/g以上でサイクル寿命が600回以上という優れた電池特性が同時に得られる。電極容量のより好ましい値は250mAh/g以上、さらに好ましくは260mAh/g以上である。またサイクル寿命のより好ましい値は650回以上、さらに好ましくは700回以上である。
【0057】
ここで柱状晶とは、短径と長径との比(アスペクト比)が1:2以上である柱状結晶粒をいう。
【0058】
次に、本発明に係るニッケル水素電池(円筒形ニッケル水素二次電池)について図4を参照して説明する。
【0059】
水素吸蔵合金を含む水素吸蔵合金電極(負極)11は、非焼結式ニッケル電極(正極)12との間にセパレータ13を介在して渦巻状に捲回され、有底円筒状の容器14内に収納されている。アルカリ電解液は、前記容器14内に収容されている。中央に穴15を有する円形の封口板16は、前記容器14の上部開口部に配置されている。リング状の絶縁性ガスケット17は、前記封口板16の周縁と前記容器14の上部開口部内面との間に配置され、前記上部開口部を内側に縮径するカシメ加工により前記容器14に前記封口板16を前記ガスケット17を介して気密に固定している。正極リード18は、一端が前記正極12に接続され、他端が前記封口板16の下面に接続されている。帽子形状をなす正極端子19は、前記封口板16上に前記穴15を覆うように取り付けられている。ゴム製の安全弁20は、前記封口板16と前記正極端子19で囲まれた空間内に前記穴15を塞ぐように配置されている。封口リング21は、前記正極端子19および前記容器14の上端に載置される鍔紙22を固定するように前記容器14の上端付近に嵌合して取り付けられている。
【0060】
前記水素吸蔵合金電極11は、以下に説明するペースト式および非ペースト式のものが用いられる。
【0061】
(1)ペースト式水素吸蔵合金電極は、上記溶湯急冷合金を粉砕することにより得た水素吸蔵合金粉末と高分子結着剤と必要に応じて添加される導電性粉末とを混合してペースト状とし、このペーストを集電体である導電性基板に塗布、充填、乾燥した後、ローラープレス等を施すことにより作製される。
(2)非ペースト式水素吸蔵合金電極は上記水素吸蔵合金粉末と高分子結着剤と必要に応じて添加される導電性粉末とを撹拌し、集電体である導電性基板に散布した後ローラープレス等を施すことにより作製される。
【0062】
前記水素吸蔵合金の粉砕方法としては、例えばボールミル、パルペライザー、ジェットミル等の機械的粉砕方法、または高圧の水素を吸蔵・放出させ、その際の体積膨張により粉砕する方法が採用される。
【0063】
前記高分子結着剤としては、例えばポリアクリル酸ソーダ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。このような高分子結着剤は、前記水素吸蔵合金100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で配合することが好ましい。ただし、前記(2)の非ペースト式水素吸蔵合金電極を作製する場合には撹拌により繊維化して前記水素吸蔵合金粉末および必要に応じて添加される導電性粉末を三次元状(網目状)に固定することが可能なポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を高分子結着剤として用いることが好適である。
【0064】
前記導電性粉末としては、例えば黒鉛粉末、ケッチェンブラックなどのカーボン粉末、またはニッケル、銅、コバルトなどの金属粉末を挙げることができる。このような導電性粉末は、前記水素吸蔵合金100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で配合することが好ましい。
【0065】
前記導電性基板としては、例えばパンチドメタル、エキスパンドメタル、金網等の二次元基板、または発泡メタル基板、網状焼結繊維基板、不織布へ金属をめっきしたフェルトめっき基板等の三次元基板を挙げることができる。ただし、前記(2)の非ペースト式水素吸蔵合金電極を作製する場合には水素吸蔵合金粉末を含む合剤が散布されることから二次元基板を導電性基板として用いることが好適である。
【0066】
前記非焼結式ニッケル電極12は、例えば水酸化ニッケルと必要に応じて添加される水酸化コバルト(Co(OH)2 )、一酸化コバルト(CoO)、金属コバルト等との混合物にカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸ソーダなどのポリアクリル酸塩を適宜配合してペーストとし、このペーストを発泡メタル基板、網状焼結繊維基板、不織布へ金属をめっきしたフェルトめっき基板などの三次元構造の基板に充填し、乾燥した後、ローラープレス等を施すことにより作製される。
【0067】
前記セパレータ13に使用される高分子繊維不織布としては、例えばナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの単体高分子繊維、またはこれら高分子繊維を混紡した複合高分子繊維を挙げることができる。
【0068】
アルカリ電解液としては、例えば6規定から9規定の濃度を有する水酸化カリウム溶液または前記水酸化カリウム溶液に水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどを混合したものが使用される。
【0069】
【作用】
上記構成に係る電池用水素吸蔵合金によればMn,Coを必須元素とするAB5 型合金であり、構成成分の偏析が少なく、さらに耐食性が良好であるため、高容量でかつサイクル寿命および初期特性が優れ、さらに放電電位が安定したニッケル水素電池用の負極材料を提供することができる。特に従来の電池特性を改善した上に、大電流放電特性に優れた電池を形成することができるため、アナログ方式は勿論のこと、大電流放電を多用するデジタル方式の各種電子機器の電源として極めて有用である。
【0070】
【実施例】
以下本発明の実施例についてより具体的に説明する。
【0071】
実施例1〜31
溶湯急冷法による冷却を行って得られる溶湯急冷合金が表1に示す組成となるように、溶解時の減耗を見込んで各種の原料混合体を調製した。なおミッシュメタル(Lm)としては、Ce3重量%,La50重量%,Nd40重量%,Pr5重量%,その他希土類元素2重量%から成るLa富化ミッシュメタルを使用した。次に各原料混合体をAl2 3 製るつぼに投入し、高周波誘導加熱法により溶解して各種合金溶湯を調製した。次に得られた各合金溶湯を図1に示す単ロール法装置の冷却ロール表面に射出することにより厚さ50〜150μmのフレーク状の溶湯急冷合金を調製した。ここで冷却ロールとしては直径300mmのCuCr製ロールを用い、射出ノズルと冷却ロールとの間隙幅は20mmに設定するとともに射出圧力は0.5kgf/cm2 に設定した。また急冷処理はAr雰囲気中で実施し、冷却ロールの回転数は、100〜300rpmに設定した。
【0072】
次に得られた各溶湯急冷合金を粉砕して200メッシュ以下に分級して電池用水素吸蔵合金粉末を調製した。次に調製した電池用水素吸蔵合金粉末と、PTFE粉末と、カーボン粉末とをそれぞれ重量%で95.5%、4.0%、0.5%になるように秤量後、混練圧延して各電極シートを作成した。電極シートを所定の大きさに切り出してニッケル製集電帯に圧着し、水素吸蔵合金電極をそれぞれ作成した。
【0073】
一方、水酸化ニッケル90重量%と一酸化コバルト10重量%とに少量のCMC(カルボキシメチルセルロース)と水とを添加し撹拌混合してペーストを調製した。このペーストを、三次元構造を有するニッケル多孔体に充填乾燥後、ローラプレスによって圧延することによりニッケル極を製造した。
【0074】
そして上記各水素吸蔵合金電極とニッケル極とを組み合わせて各実施例のAA型(単三型)ニッケル水素電池を組み立てた。ここで各電池の容量はニッケル極の理論容量である650mAhとなるように設定し、電解液としては、7規定の水酸化カリウムと1規定の水酸化リチウムとの混合水溶液を使用した。
【0075】
そして、各水素吸蔵合金電極について、合金1g当り220mAの電流値(220mA/g)で300mAh/gまで充電した後に、上記電流値でHg/HgO参照電極に対して−0.5Vの電位になるまで放電させたときの最大電極容量を測定して表1に示す結果を得た。また各電極の活性回数を測定した。ここで活性回数は、製造した電極が最大容量を示すまでに必要な充放電サイクル数であり、電池特性の立上りの良否を判定する指標となる。
【0076】
次に各電池について、650mAで1.5時間充電後、電池電圧が1Vになるまで1Aの電流で放電する充放電サイクルを繰り返し、電池容量が初期容量の80%になるまでのサイクル数を電池寿命として測定した。
【0077】
さらに各電池について大電流放電特性の良否を測定した。この大電流放電特性を規定する方法として、ここでは2つの電流値で放電した際に得られる各放電容量の比で規定する方法を採用した。すなわち電池の公称容量である650mAhを1時間で放電する650mAの電流を1Cとし、1Cで放電した時の放電容量をCap(1C)、その5倍の電流である5Cで放電した時の放電容量をCap(5C)としてそれぞれ測定し、2つの放電容量の比であるCap(1C)/Cap(5C)の値を大電流放電特性とし、以下、本文中で使用することとする。各電池の大電流放電特性の測定値を表1に併せて示す。
【0078】
また各電池を組み立て、10サイクル充放電した後、電池を分解して負電極に使用した水素吸蔵合金の金属組織の分析を行った。なお一旦電池に組み込まれた水素吸蔵合金粉末は高分子結着剤などと一体化しており、また電解液や,微細構造観察時に使用するエッチング液により部分的に腐食されているため、そのままでは金属組織を観察することは困難である。そこで以下に示すような(1)〜(3)項の手順で分析試料を作成し、さらに(4)項に示す方法で金属組織の分析を実施した。
【0079】
(1)負極の取出し
完全に放電させない状態で電池を分解すると、負極に含有される水素吸蔵合金が発火する危険性があるため、ニッケル水素電池を完全に放電させた後に電池を分解し負極を取り出す。発火を防止するため、電池から取り出した負極はすぐに水洗し乾燥させる。水洗や乾燥が不十分であると次工程の樹脂埋めの際に樹脂とのなじみが悪く剥離するおそれがある。
【0080】
(2)樹脂による負極の埋め込み
乾燥させた負極から10mm×5mmの試料片を10枚切り出し、1〜10の試料番号を付する。これらの試料片を成形用型の中に長辺が下になるように垂直に立て、その間隙部に樹脂を流し込み硬化させ複合体を形成する。この埋め込み用の樹脂としては、エポキシ樹脂等の粘性が低い樹脂を用いる。また試料片と樹脂との密着度を高めるため、樹脂の温度を高めて粘性を下げた状態で成形型中に流し込むとよい。
【0081】
(3)複合体の研摩
硬化した複合体の表面を耐水研摩紙(#600)〜(#1500)を順次使用して研摩し、水素吸蔵合金の断面を露出させる。この研摩操作は研摩機械によって実施してもよいが、衝撃力が大きいため、電極内の水素吸蔵合金が剥離し易くなる。従って上記研摩は手作業で実施することが好ましい。
【0082】
(4)合金組織の観察
上記試料片に含有される水素吸蔵合金の金属組織をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察する場合、水素吸蔵合金が高分子結着剤などと一体化しており、部分的に金属組織を明確に確認できないものもある。従って金属組織を確認できる合金のみを観察の対象とする。
【0083】
上記観察は、金属組織が最も多く写真撮影できるように視野を選択して、電極断面に露出した水素吸蔵合金の金属組織を、SEMを用いて300〜2000倍程度の倍率で写真撮影したときに、図5,図10および図15に示すように、結晶粒が視認できる不定形な全結晶組織のうち、その結晶組織の内接する最大長方形で区画される領域Rの範囲内で行なった。このとき、負極に含有される本発明の水素吸蔵合金の一個一個について、確認できる金属組織内において、アスペクト比が1:2以上の結晶粒子が占める割合は、50%以上が好ましい。より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。上記割合が50%未満の場合には、結晶粒界が増え、その結果、偏析も増加して合金粒子の劣化が顕著になるからである。かつ、上記アスペクト比が1:2以上の結晶粒子数の割合が、確認できる金属組織に含まれる全粒子数に対して30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上であることが必要である。上記結晶粒子数の割合が30%未満の場合には、劣化し易い結晶粒子数が相対的に多くなり、電池を形成した場合に寿命が顕著に短縮してしまうからである。
【0084】
ここでアスペクト比とは、結晶粒の短径と長径との比であり、長径とは結晶粒の軸方向の最大長さであり、短径とは、その軸直角方向の最大長さをいう。
【0085】
次に水素吸蔵合金の金属組織を構成する柱状晶のアスペクト比を求める方法を具体的に説明する。
【0086】
図5は実施例に係る水素吸蔵合金の金属組織例を示す模写図であり、単ロール装置の冷却ロールに接した溶湯急冷合金の厚さ方向の破断面を示している。上記水素吸蔵合金は粉砕する前のフレーク状の溶湯急冷合金である。図5において、破断面の左側が冷却ロールに当接していた冷却面であり、右側が自由面側である。溶湯急冷処理により、冷却面側から垂直方向に種々のアスペクト比を有する柱状晶が成長している状態が明瞭に識別できる。
【0087】
しかしながら実際の電池の負極には、上記フレーク状の溶湯急冷合金を粉砕したものが使用されており、またその粉砕粉も電解液によって侵食されている場合もあるため、SEMにより観察を行った場合に必ずしも鮮明な柱状晶が観察できるとは限らない。例えば柱状晶の短径に相当する端面のみが観察されるため、あたかも等軸晶のように観察される場合や、柱状晶が部分的に観察されるが、それ以外の部分は、電解液に侵食されているため、全体として金属組織を明瞭に識別することが困難な場合や、水素吸蔵合金の一部が、SEM観察時に使用するエッチング液によって侵食されているため、金属組織全体が明瞭に識別できない場合などがある。
【0088】
そこで負電極に含有される水素吸蔵合金の金属組織を分析する場合には、対象面を鏡面研摩した後に、その金属組織の結晶粒界を露出させるために、エッチング処理を行なう。しかしながら、このエッチング液が水素吸蔵合金の組成に適合していない場合には、エッチング液が合金全体を過度に侵食してしまうため、結晶粒界を鮮明に露出させることは不可能になる。したがって、たとえ柱状晶が形成されていても、侵食度が大きい場合には、金属組織全体を識別することが困難になる。一方、侵食度が小さい場合でも、柱状晶の形態は、かろうじて視認できるが、結晶粒界を鮮明に識別することは困難である。なお上記以外に冷却ロール面に対して斜めの破断面が観察される場合には、冷却ロール面と破断面とのなす角度によっては柱状晶があたかも等軸晶のように観察される場合がある。したがってこの場合には、柱状晶の面積率を測定する場合には注意を要する。
【0089】
図5,図10および図15は実際に使用した電池から取り出した負極に含有される水素吸蔵合金粒子の模写図である。
【0090】
次に上記模写図やSEM写真に基づいて、アスペクト比が1:2以上である結晶粒が、全結晶粒に占める割合を算定する方法について述べる。まず研摩された1個の負極片の断面に観察される全水素吸蔵合金粒子のうち、金属組織が鮮明に表われている合金粒子数を計数し、その値をN1 とする。このとき、合金粒子が水素吸蔵合金であることを確認するために、X線マイクロアナライザ(EPMA)または、エネルギ分散型X線アナライザ(EDX)などを使用して、希土類元素からの特有な信号を検出する。この特有な信号が検出されない場合には、粉砕片のような付着物と推定され、水素吸蔵合金粒子ではないと判定し、合金粒子数から除外する。
【0091】
次に上記N1 個の合金粒子のうち、アスペクト比が1:2以上の結晶粒が、金属組織面積の50%以上を占める合金粒子数N1 ′を計数する。以下、負極の各試料片1〜10について同様に計数する。
【0092】
こうして求めたN1 〜N10およびN1 ′〜N10′の値を下記式に代入して柱状晶組織の割合が算出される。
【0093】
【数1】
Figure 0003730265
【0094】
次に上記柱状晶組織が金属組織において占める割合の算定法について述べる。なお、上記柱状晶としてはアスペクト比が1:2以上の長尺の結晶粒を調査の対象とした。またアスペクト比が1:2未満の結晶粒には、等軸晶のみならず、チル晶や各種付着物にも含んでいる。上記柱状晶の占有面積はイメージアナライザ(LUZEX500型,日本レギュレータK.K.製)を使用して測定した。すなわち図3に示すような金属組織を撮影したSEM写真上に薄いトレーシングペーパ(坪量:40g/m2 程度)を載せ、結晶粒界をペーパー上に写し取り、例えば図5に示すような模写図を作成する。図5に示す水素吸蔵合金粒子において、柱状晶31の左側には、電解液によって侵食された侵食部30が形成されている。また領域R内の中央には、粉砕物のかけら等の付着物33が介在している。
【0095】
次に作成した模写図においてアスペクト比が1:5以上の柱状晶に相当する部分を黒く塗りつぶし、図6を得る。同様にアスペクト比が1:4以上の柱状晶部分を塗りつぶし、図7を得る。以下同様にアスペクト比が1:3の場合、1:2以上の場合について塗りつぶしてそれぞれ図8および図9を得る。次に図6〜9について、イメージアナライザを使用して画像処理を行い、当該アスペクト比に該当する柱状晶の面積割合を光学的に解析し演算する。すなわちイメージアナライザは対象範囲R内の柱状晶の有無を色の濃淡で識別し、柱状晶に相当する黒部分の面積割合を算出する。
【0096】
図10〜14、および図15〜19は他の合金組織について上記面積割合を累積的に算出した例を示している。すなわち他の実施例に係る水素吸蔵合金粒子を示すSEM写真に写る合金粒子のうち、結晶組織が鮮明に識別できる特定の合金粒子の結晶組織をトレースして図10に示す模写図が得られる。図10において、上縁の直線部は冷却ロールに対する当接面34であり、この当接面34に沿って、冷却ロールの超急冷作用によって生じた微細なチル晶35が生成している。なおチル晶35は微細であるため、結晶粒界は図示していない。また領域Rの右側に付着物33が介在している。
【0097】
以下、前記実施例の場合と同様にしてアスペクト比が1:5以上、1:4以上、1:3以上、1:2以上の柱状晶部分を黒く塗りつぶしてそれぞれ図11〜14の模写図が得られる。
【0098】
その他の実施例に係る水素吸蔵合金についても、同様に、SEM写真から結晶組織を示す図15の模写図を作成し、以下各アスペクト比の範囲毎に該当する柱状晶を塗りつぶし、図16〜19を作成し、各図についてイメージアナライザによって解析し、柱状晶部分の面積割合が求められる。
【0099】
図5〜図19から明らかなように、いずれの結晶組織においても、柱状晶31が充分に成長している一方、組織内に部分的に等軸晶32も存在することが確認された。
【0100】
なお上記解析を行う範囲は、図5,図10および図15に示すように、結晶粒が視認できる不定形な全結晶組織のうち、その結晶組織に内接する最大長方形で区画される領域Rの範囲内とした。なお上記領域Rの境界上に存在する柱状晶は領域R内のみの面積を採用する一方、アスペクト比は領域外に存在する部分を含めた柱状晶全体の形状から算定した。
【0101】
このようにして実施例1〜31に係る各水素吸蔵合金の柱状晶の面積割合、柱状晶の短径、その水素吸蔵合金を使用した電池の最大電極容量、充放電サイクル数(寿命)、活性回数および大電流放電特性をまとめて下記表1および表2に示す。
【0102】
【表1】
Figure 0003730265
【0103】
【表2】
Figure 0003730265
【0104】
表1〜2に示す結果から明らかなように、Mn,Al,Coを添加した所定組成の合金溶湯を急冷処理して調製した実施例1〜31に係る電池用水素吸蔵合金によれば、いずれも結晶組織に十分に柱状晶が成長するとともに構成元素の偏析が極めて少ないため、負電極材料として使用した場合に寿命を損うことなく電極容量を大幅に改善することができた。
【0105】
また最大電極容量に達するまでに必要な充放電サイクル数、すなわち活性回数が2サイクルと少ないため、電池特性の初期の立上りが迅速であり、電池製造コストを削減できる上に電池の機動性を向上させることができた。
【0106】
なお、実施例1〜31において作成した各水素吸蔵合金粉末について、電極を作成する前に下記(A),(B)項および前記(4)項に示す手順で金属組織の分析を行なった。
【0107】
(A)樹脂埋め込み
合金試料約100mgを採取し、直径20mmのSEM試料用樹脂埋め込み枠(ポリプロピレン製)中央部に散布する。次いで、SEM試料埋め込み用樹脂として市販されているエポキシ樹脂(ビューラー社製EPO−MIX)と硬化剤とを良く混合した後、混合体を上記埋め込み枠に注入し硬化させる。この際、試料と樹脂との密着性を向上させるため、樹脂を予め60℃程度まで加温して粘度を低下させたり、樹脂注入後、真空デシケータ中で真空引きして脱泡を行なうことが望ましい。
【0108】
(B)研磨
上記手順により埋め込みを行なった試料を、次いで研磨機で鏡面仕上げとなるまで研磨する。水素吸蔵合金試料は水と反応し易いため、研磨はメチルアルコールを滴下しながら耐水研磨紙の目の荒さを180番,400番,800番と順に細かくしながら200rpmで回転する回転式研磨機により研磨した後、同じく回転研磨機にフェルトをセットしダイアモンドペーストの粒度を15ミクロン,3ミクロン,0.25ミクロンの順に細かくしながら研磨し鏡面仕上げした。
【0109】
以上の手順で得られた各試料片について、前記(4)項に示される方法で、水素吸蔵合金の柱状晶の面積割合および柱状晶の短径を測定した。その結果、実施例1〜31に係る水素吸蔵合金は、10サイクル充放電を行なったニッケル水素電池から取り出した負極に含有された合金の柱状晶についての各測定値(表1〜2)とほぼ同じ値を示すことを確認した。
【0110】
実施例32
溶湯急冷法による冷却を行って得られる溶湯急冷合金の組成が、LmNi3.7 Co0.3 Mn0.5 Al0.2 Zr0.1 Nb0.1 Ga0.1 (LmはLa富化ミッシュメタルであり、Ce:3重量%,La:50重量%,Nd:40重量%,Pr:5重量%,他の希土類元素:2重量%から成る。)となるように、溶解時の減耗を予め見込んで組成を調整したAB5 型水素吸蔵合金インゴット200gを高周波誘導加熱炉にて溶解して合金溶湯を調製した。次に得られた合金溶湯を図1に示す単ロール法装置の冷却ロール表面に滴下することにより厚さ80μmのフレーク状溶湯急冷合金を調製した。
【0111】
この溶湯急冷合金をアルゴン雰囲気中で表3に示すように温度200〜1200℃で4時間熱処理した後に、または熱処理せずに溶湯急冷したままで(as
quenched )粉砕し、200メッシュ以下に分級した各合金粉末を電池用水素吸蔵合金とした。
【0112】
次に熱処理しない合金粉末または熱処理を行なった各合金粉のいずれかと、PTFE粉末と、カーボン粉末とをそれぞれ重量%で95.5%、4.0%、0.5%になるように秤量後、混練して各電極シートを作成した。電極シートを所定の大きさに切り出してニッケル製集電帯に圧着し、水素吸蔵合金電極を作成した。
【0113】
一方、水酸化ニッケル90重量%と一酸化コバルト10重量%とに少量のCMC(カルボキシメチルセルロース)と水とを添加し撹拌混合してペーストを調製した。このペーストを、三次元構造を有するニッケル多孔体に充填乾燥後、ローラプレスによって圧延することによりニッケル極を製造した。
【0114】
そして上記各水素吸蔵合金電極とニッケル極とを組み合わせてAA型(単三型)ニッケル水素電池を組み立てた。ここで各電池の容量はニッケル極の理論容量である650mAhとなるように設定し、電解液としては、7規定の水酸化カリウムと1規定の水酸化リチウムとの混合水溶液を使用した。
【0115】
そして、各水素吸蔵合金電極について、合金1g当り220mAの電流値(220mA/g)で300mAh/gまで充電した後に、上記電流値でHg/HgO参照電極に対して−0.5Vの電位差になるまで放電させたときの最大電極容量を測定して図20に示す結果を得た。
【0116】
次に各電池について、650mAで1.5時間充電後、電池電圧が1Vになるまで1Aの電流で放電する充放電サイクルを繰り返し、電池容量が初期容量の80%になるまでのサイクル数を電池寿命として測定し、下記表3に示す結果を得た。
【0117】
【表3】
Figure 0003730265
【0118】
図20および表3に示す結果から明らかなように、熱処理を実施した合金粉を使用すると、いずれもより高い電極容量が得られた。また寿命特性においても、熱処理を実施した合金粉を使用した電池はほぼ800サイクルと,より特性を向上できることが確認された。さらに大電流特性についても良好な結果が得られた。
【0119】
実施例33
実施例32と同様の溶湯急冷法により、Mn添加量xを変化させた各種溶湯急冷合金を調製した。溶湯急冷合金の組成式はLmNi4.4-x Co0.3 Mnx Al0.1
Mo0.2 であり、Mn添加量xを0,0.1,0.3,0.5,0.8,1.2と変化させた。またLmはLa富化ミッシュメタルであり、実施例32と同一のものを使用した。得られた溶湯急冷合金を熱処理せずに、そのまま使用し、合金電極を形成し、さらにこの合金電極とニッケル電極と組み合わせて電池を調製し、その電極容量および電池寿命を測定した。
【0120】
一方比較例として溶湯急冷法ではなく溶解鋳造法によって調製し、
LmNi4.0 Co0.4 Mn0.3 Al0.1 Mo0.2 の組成を有する水素吸蔵合金インゴットを使用して同一仕様の電極および電池を製作して、同様に電極容量および電池寿命を測定して下記表4に示す結果を得た。
【0121】
【表4】
Figure 0003730265
【0122】
表4に示す結果から明らかなように、Mnを含有しない合金組成では、電極容量の改善効果は小さい。一方Mnを含有した合金組成では、電極容量および電池寿命ともに大幅な改善効果が得られた。しかしながらMnの添加比率が1を超え1.2になると、電池寿命が急激に低下し、従来の溶解鋳造合金インゴットと溶湯急冷合金との特性上の有意差がなくなってしまった。
【0123】
一方、溶解鋳造合金インゴットにおいては、構成成分の偏析が結晶組織の広い範囲に発生しており、また柱状晶の発達が少ないため、電池特性の改善は困難であった。
【0124】
実施例34
実施例33と同様な溶湯急冷処理法により、Zr添加量xを変化させた5種類の溶湯急冷合金を調製した。溶湯急冷合金の組成は、LmNi4.3-x Co0.3
Mn0.5 Al0.1 Zrx であり、Zr添加量xは、それぞれ0,0.3,0.5,0.8,1.2とした。
【0125】
一方比較例として溶解鋳造法によって調製した組成LmNi4.2 Mn0.5
Co0.3 Al0.1 Zr0.3 の水素吸蔵合金インゴットを用意した。
【0126】
そして上記各種溶湯急冷合金および水素吸蔵合金インゴットを使用して実施例11と同様に合金電極およびAA型ニッケル水素電池を製作し、その電極容量および電池寿命を測定した。
【0127】
なお、上記溶湯急冷合金および水素吸蔵合金インゴットについて、Arガス雰囲気中で温度600℃で4時間熱処理している。そして熱処理した各種合金を使用して水素吸蔵合金電極およびAA型ニッケル水素電池を製作し、実施例33と同様な測定方法によって、電極容量および電池寿命を測定して、下記表5に示す結果を得た。
【0128】
【表5】
Figure 0003730265
【0129】
表5に示す結果において、Zrの添加量の増加に伴って電極容量が低下し、特に添加量が1以上になると急激な容量低下が発生する傾向が確認された。また添加量が1を超えると急激に短寿命になることも確認された。
【0130】
以上の実施例32〜34に係る電池用水素吸蔵合金によれば、所定組成の合金溶湯を急冷処理して調製しているため、偏析が少なく、高電極容量で長寿命の合金電極および電池を形成することができる。
【0131】
実施例35〜45
直径300mmのFe基合金材(SUJ−2)製の冷却ロール2個を対向配置した図2に示すような双ロール装置を使用して、Ar雰囲気中で合金溶湯を急冷処理することにより、最終的に表6に示す組成を有する実施例35〜45に係る水素吸蔵合金フレークをそれぞれ調製した。なお、冷間ロール間のギャップはゼロとし、冷却ロールの回転数は30〜100rpmの範囲に設定した。
【0132】
次に得られた各水素吸蔵合金フレークを実施例1〜31と同一条件で処理して、それぞれ対応する水素吸蔵合金電極を調製した。さらに各水素吸蔵合金電極(負極)とニッケル電極(正極)とを組み合わせてAA型ニッケル水素電池を製造した。
【0133】
以下実施例1等と同一条件で水素吸蔵合金の柱状晶の面積割合、柱状晶の平均短径、最大電極容量、寿命(充放電サイクル数)、初期電池特性の立上り(活性回数)および大電流放電特性を測定して下記表6に示す結果を得た。
【0134】
【表6】
Figure 0003730265
【0135】
表6に示す結果から明らかなように各実施例における水素吸蔵合金はいずれも柱状晶の面積割合が高く、かつ柱状晶の平均粒径も20〜28μmと最適化されているため、この水素吸蔵合金を負極活物質として含有するニッケル水素電池は、いずれも電極容量,充放電サイクル数,活性回数および大電流放電特性の4大特性がバランス良く改善されていことが判明した。
【0136】
比較例1
実施例1で使用した直径300mmの銅製の冷却ロールを有する単ロール装置を使用して、合金溶湯を急冷処理して最終的にMm Ni4.0 Co0.4 Al0.3 Mn0.3 なる組成を有する比較例1に係る水素吸蔵合金を調製した。また冷却ロールの回転数は600rpmに設定した。なお、急冷処理は、真空中で実施し、合金溶湯を射出する射出ノズル先端と冷却ロールとの間隔は50mmとした。
【0137】
比較例2
一方、実施例35において使用した直径100mmのFe基合金製冷却ロールを2個対向配置した双ロール装置を使用して、合金溶湯を急冷処理し、最終的にMmNi3.2 Co1.0 Mn0.6 Al0.2 の組成を有する比較例2に係る水素吸蔵合金をそれぞれ調製した。なお上記急冷処理は、1気圧のArガス雰囲気中で実施し、合金溶湯の射出ノズル先端と冷却ロールとの間隙は50mm、射出圧力は0.1kgf/cm2 に設定した。また冷却ロールの回転数は、1000rpmに設定した。またMmは、La30重量%,Nd15重量%,Ce50重量%,Pr5重量%から成るミッシュメタルである。
【0138】
比較例3
合金インゴットの組成がMm Ni3.0 Co1.4 Al0.6 となるように調製した水素吸蔵合金粉末原料をアルミナ製坩堝内に投入し、坩堝外周に配設した高周波誘導加熱コイルにより1400℃に加熱して溶解し、合金溶湯を調製した。次に得られた合金溶湯を銅製の水冷鋳型へ鋳込み、鋳型面間隔55mm、鋳造速度3kg/秒/m2 で合金インゴットを調製し、比較例3に係る水素吸蔵合金を調製した。
【0139】
こうして得られた比較例1〜3に係る溶湯急冷合金または水素吸蔵合金をスタンプミルを用いて粉砕し、200メッシュ以下に分級したものを電池用水素吸蔵合金粉末として用意した。以下、各電池用水素吸蔵合金粉末を使用して実施例1と同様な手順で水素吸蔵合金電極(負極)を作成し、ニッケル極(正極)と組み合せてAA型ニッケル水素電池を組み立てた。そして実施例1と同様な測定方法に従って電極容量、充放電サイクル数(寿命)、活性回数および大電流放電特性を測定して、下記の表7に示す結果を得た。
【0140】
【表7】
Figure 0003730265
【0141】
表7に示す結果から明らかなように比較例1〜3に示す水素吸蔵合金においては、いずれも金属組織における柱状晶の面積割合が、表1〜2および表6に示す実施例のものと比較して小さく、偏析量も多くなっている。したがって、この合金を使用した電池の電極容量および大電流放電特性も低く、充放電サイクル数で示す電池寿命も低いことが確認できた。
【0142】
また比較例の電極において、最大電極容量を得るまでに必要な充放電サイクル数(活性回数)は3〜8回であり、実施例の2回と比較して大きくなっており、電池の初期立上り性も低いことが確認された。
【0143】
特に実施例と同様にMn,Co,Alを添加した比較例1に係る水素吸蔵合金においては、柱状晶の成長が充分ではなく、等軸晶組織の割合が多くなるものがあり、表1〜2および表6に示す実施例と比較して電池特性は低下した。また柱状晶の平均粒径が2〜3μmと小さい場合には、粒界量の増加に伴う耐食性の低下が顕著であり、電池寿命も低下し易いことが判明した。
【0144】
【発明の効果】
以上説明の通り、本発明に係る電池用水素吸蔵合金によれば、Mn,Al,Coを必須元素とするAB5 型合金であり、構成成分の偏析が少なく、さらに耐食性が良好であるため、高容量でかつサイクル寿命および初期特性が優れ、さらに放電電位が安定したニッケル水素電池用の負極材料を提供することができる。特に従来の電池特性を改善した上に、大電流放電特性に優れた電池を形成することができるため、アナログ方式は勿論のこと、大電流放電を多用するデジタル方式の各種電子機器の電源としても極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】単ロール法による溶湯急冷装置を示す概略図。
【図2】双ロール法による溶湯急冷装置を示す概略図。
【図3】溶湯急冷処理したフレーク状の水素吸蔵合金の金属組織を示す電子顕微鏡写真。
【図4】本発明に係るニッケル水素電池の構成例を示す斜視図。
【図5】水素吸蔵合金の金属組織の柱状晶を模写した模写図。
【図6】図5に示す金属組織においてアスペクト比が1:5以上の柱状晶組織を示す模写図。
【図7】図5に示す金属組織においてアスペクト比が1:4以上の柱状晶組織を示す模写図。
【図8】図5に示す金属組織においてアスペクト比が1:3以上の柱状晶組織を示す模写図。
【図9】図5に示す金属組織においてアスペクト比が1:2以上の柱状晶組織を示す模写図。
【図10】他の実施例に係る水素吸蔵合金の金属組織の柱状晶を模写した模写図。
【図11】図10に示す金属組織においてアスペクト比が1:5以上の柱状晶組織を示す模写図。
【図12】図10に示す金属組織においてアスペクト比が1:4以上の柱状晶組織を示す模写図。
【図13】図10に示す金属組織においてアスペクト比が1:3以上の柱状晶組織を示す模写図。
【図14】図10に示す金属組織においてアスペクト比が1:2以上の柱状晶組織を示す模写図。
【図15】その他の実施例に係る水素吸蔵合金の金属組織の柱状晶を模写した模写図。
【図16】図15に示す金属組織においてアスペクト比が1:5以上の柱状晶組織を示す模写図。
【図17】図15に示す金属組織においてアスペクト比が1:4以上の柱状晶組織を示す模写図。
【図18】図15に示す金属組織においてアスペクト比が1:3以上の柱状晶組織を示す模写図。
【図19】図15に示す金属組織においてアスペクト比が1:2以上の柱状晶組織を示す模写図。
【図20】熱処理温度と放電容量と充放電サイクル数との関係を示す特性図。
【符号の説明】
1 冷却チャンバ
2 取鍋
3 合金溶湯
4 注湯ノズル(射出ノズル)
5,5a,5b 冷却ロール
6 水素吸蔵合金
7 溶解炉
8 タンディシュ
11 水素吸蔵合金電極(負極)
12 非焼結式ニッケル電極(正極)
13 セパレータ
14 容器
15 穴
16 封口板
17 絶縁性ガスケット
18 正極リード
19 正極端子
20 安全弁
21 封口リング
22 鍔紙
30 侵食部
31 柱状晶
32 等軸晶
33 付着物
34 冷却ロールに対する当接面
35 チル晶

Claims (6)

  1. 一般式A Ni Mn Al Co (但し、AはY(イットリウム)を含む希土類元素より選択される少なくとも1種の元素、MはW,Ta,Mo,Nb,In,Ga,Sn,Zn,Cr,V,Ti,ZrおよびHfの中から選択される少なくとも1種の元素、3.5≦a≦5,0.1≦b≦1,0≦c≦1,0.1≦d≦1,0<e≦0.6,4.5≦a+b+c+d+e≦6)で表わされる組成を有する合金から成り、この合金が少なくとも一部に柱状晶組織を有し、この柱状晶の平均短径が5〜30μmであり柱状晶の割合が面積比で70%以上であることを特徴とする電池用水素吸蔵合金。
  2. 一般式A Ni Mn Al Co (但し、AはY(イットリウム)を含む希土類元素より選択される少なくとも1種の元素、MはW,Ta,Mo,Nb,In,Ga,Sn,Zn,Cr,V,Ti,ZrおよびHfの中から選択される少なくとも1種の元素、3.5≦a≦5,0.1≦b≦1,0≦c≦1,0.1≦d≦1,0<e≦0.6,4.5≦a+b+c+d+e≦6)で表わされる組成を有する合金溶湯を、回転する冷却ロールの走行面に射出して急冷凝固せしめ、少なくとも一部に柱状晶組織を有し、この柱状晶の平均短径が5〜30μmであり、柱状晶の割合が面積比で70%以上である溶湯急冷合金を調製して電池用水素吸蔵合金とすることを特徴とする電池用水素吸蔵合金の製造方法。
  3. 一般式A Ni Mn Al Co (但し、AはY(イットリウム)を含む希土類元素より選択される少なくとも1種の元素、MはW,Ta,Mo,Nb,In,Ga,Sn,Zn,Cr,V,Ti,ZrおよびHfの中から選択される少なくとも1種の元素、3.5≦a≦5,0.1≦b≦1,0≦c≦1,0.1≦d≦1,0<e≦0.6,4.5≦a+b+c+d+e≦6)で表わされる組成を有する合金溶湯を急冷処理して少なくとも一部に柱状晶組織を有し、この柱状晶の平均短径が5〜30μmであり、柱状晶の割合が面積比で70%以上である溶湯急冷合金を調製し、得られた溶湯急冷合金を、250〜1000℃の温度範囲で少なくとも10分間熱処理して電池用水素吸蔵合金を形成することを特徴とする電池用水素吸蔵合金の製造方法。
  4. 合金溶湯の急冷処理を、真空中または不活性ガス雰囲気中で実施することを特徴とする請求項または記載の電池用水素吸蔵合金の製造方法。
  5. 熱処理は、真空中または不活性ガス雰囲気中で実施することを特徴とする請求項記載の電池用水素吸蔵合金の製造方法。
  6. 一般式A Ni Mn Al Co (但し、AはY(イットリウム)を含む希土類元素より選択される少なくとも1種の元素、MはW,Ta,Mo,Nb,In,Ga,Sn,Zn,Cr,V,Ti,ZrおよびHfの中から選択される少なくとも1種の元素、3.5≦a≦5,0.1≦b≦1,0≦c≦1,0.1≦d≦1,0<e≦0.6,4.5≦a+b+c+d+e≦6)で表わされる組成を有する合金から成り、この合金が少なくとも一部に柱状晶組織を有し、この柱状晶の平均短径が5〜30μmであり柱状晶の割合が面積比で70%以上である電池用水素吸蔵合金を有する負極と、ニッケル酸化物から成る正極との間に電気絶縁性を有するセパレータを介装して密閉容器内に収容し、この密閉容器内にアルカリ電解液を充填したことを特徴とするニッケル水素電池。
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