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JP3722397B2 - 水性インキ用バインダー - Google Patents

水性インキ用バインダー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷適性に優れた水性インキ用バインダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に印刷は、印刷インキのもつ印刷適性と印刷効果によってその良否が決まる。印刷適性とは、印刷機上のインキが被印刷物に移されて印刷面を形成するまでのインキの挙動と関連する性質で、主な特性としては、インキの流動性、界面適性、乾燥性等があり、一方の印刷効果とは、印刷面を形成したインキが示す印刷の出来栄えであり、その特性には色調、光沢、耐水性、耐ブロッキング性等がある。
インキの基本的組成は、色料(染料、顔料)、ビヒクル、補助剤(流動性調整剤、乾燥性調整剤等)で構成され、この中でビヒクルが印刷適性や印刷効果に大きな影響を与える。ビヒクルの基本組成は、バインダー(樹脂)、ワックス、溶剤等であり、従ってバインダーの選択によりビヒクルの性質は大きく変化し、これによって印刷適性や印刷効果の良否が大きく左右されることになる。
【0003】
バインダーとしては、溶剤型バインダーと水性バインダーに大別されるが、最近は、大気汚染、火災の危険性、作業衛生面等の配慮から有機溶剤を使用しない水性バインダーが使用されることが多くなってきている。水性バインダーとしては、スチレン/アクリル系に代表されるアルカリ可溶性樹脂、PVAに代表される水溶性樹脂およびアクリル系エマルジョンに代表される水分散型樹脂とに大別され、古くから段ボール、紙袋等の紙を対象とする印刷インキのバインダーとして使用されているが、上述のように、最近は大気汚染等の問題から、プラスチックフィルムを対象とする印刷インキにも使用されることが増えてきている。
【0004】
一般に、水分散型樹脂をバインダーとした水性インキを用いて印刷する場合、印刷機上で室温でインキを被印刷面へ塗布し、その後、水分散型樹脂のガラス転移温度以上に乾燥して仕上げられる。このようにガラス転移温度以上に加温されると樹脂粒子同士が全体に融着を起こし、均一に皮膜化されて耐水性が発現しかつ向上する。
印刷適性のうち印刷機上での乾燥性に注目してみると、印刷インキは印刷機上ではできるだけ長時間乾燥せずに流動性を保持することが必要であり、溶剤型樹脂、アルカリ可溶性樹脂や水溶性樹脂は一旦乾燥皮膜化しても、溶剤、アルカリ水溶液や水に溶けて元の流動性を保つため問題はないが、水分散型樹脂は乾燥し樹脂粒子同士の表面の融着が起こると、水では元に戻らないため印刷ができないという問題があった。一方、アルカリ可溶性樹脂は耐アルカリ性が悪いという問題、水溶性樹脂は耐水性が悪いという問題があるため、従来のバインダーはアルカリ可溶性樹脂や水溶性樹脂と水分散型樹脂とを併用して調製されている。従って、この場合印刷適性を良くしようとすると耐アルカリ性や耐水性が劣り、耐アルカリ性や耐水性を良くしようとすると印刷適性が不十分となるのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような状況から、本発明は、アルカリ可溶性樹脂や水溶性樹脂を使用しないで水分散型樹脂のみからなり、かつ良好な印刷適性を有する水性インキ用バインダーを提供しようとしてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記の課題を解決するため鋭意検討の結果、特定範囲の単量体からなる単量体混合物を乳化重合させた特定範囲のガラス転移温度と粒子径を示す共重合体のエマルジョンにより課題解決の可能性があることを見いだし、さらに単量体の種類、量について試験を行い本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明の水性インキ用バインダーは前記の課題を解決したものであり、これは、
(イ)塩化ビニル、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類から選択される単量体 60〜99重量%
(ロ)官能基を有するエチレン性不飽和単量体から選択される単量体
1〜20重量%
(ハ)上記(イ)及び(ロ)以外のエチレン性不飽和単量体 残部
からなる単量体混合物[(イ)〜(ハ)の合計 100重量%]を乳化重合させて得られ、その乳化重合体のガラス転移温度が30〜130℃であって、平均粒子径が200〜1,000nm 、粒子径分布を示す多分散指標(P.I.)の値が0.01〜0.35であるエマルジョンからなることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明の水性インキ用バインダーに用いられるエマルジョンは前記のとおり(イ)〜(ハ)成分の単量体を原料として使用する。
(イ)成分の単量体としては、塩化ビニル、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルすなわち炭素数1〜18のアルキル基を有するアルコールとのアクリル酸エステルや炭素数1〜18のアルキル基を有するアルコールとのメタクリル酸エステルから選択されたものが使用される。
【0009】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおける炭素数1〜18のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、カプリル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基等が挙げられる
【0010】
塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等は単独でまたは2種以上混合して使用され、(イ)成分としての使用量は、インキ塗膜の適度の造膜性、塗膜強度、耐久性等の性能を得るため単量体全量のうち通常は60〜99重量%とするが、好ましくは80〜99重量%である。
【0011】
(ロ)成分の官能基を有するエチレン性不飽和単量体としては、1分子中にエチレン性不飽和基の他にカルボキシル基またはその酸無水物基、ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基、アルコキシル基、グリシジル基などの官能基を有するもの、あるいは1分子中にエチレン性不飽和基を2個以上有するものが挙げられる。
【0012】
このような単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基又はその酸無水物基含有単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有単量体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有単量体、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシル基含有単量体、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基含有単量体、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の1分子中にエチレン性不飽和基を2個以上有する単量体などが例示される。
【0013】
官能基を有するエチレン性不飽和単量体は、これらの中から1種のみまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。この単量体の使用量は、塗膜の耐水性、耐溶剤性等を向上させるためには単量体全量のうち1〜20重量%とするが、好ましくは2〜16重量%である。1重量%未満の場合には塗膜の耐水性、耐溶剤性が劣り、20重量%を超える場合には重合中に凝塊物が多く発生するようになるし、さらなる性能の向上も得られない。
【0014】
(ハ)成分は(イ)及び(ロ)成分以外のエチレン性不飽和単量体であり、上記(イ)、(ロ)成分だけでは発現できない物性、塗膜特性を付与するために、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどを使用することができるが、これらは、本発明の目的を損なわないために単量体全量のうち20重量%以下の使用量とする。
【0015】
本発明において、エマルジョンを製造するには上記各単量体を用いる公知の乳化重合法によることができる。すなわち、上記単量体を混合し、これに乳化剤、重合開始剤等を加えて水系で乳化重合を行えばよく、一括して仕込重合する方法、各成分を連続供給しながら重合する方法の各種の方法が適用できる。
乳化重合用の乳化剤としては、アルキル又はアルキルアリル硫酸塩、アルキル又はアルキルアリルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル等のノニオン性乳化剤、及び分子中にビニル基を持つ各イオン性の反応性乳化剤などが例示される。
【0016】
乳化剤によって平均粒子径、粒子径分布は大きく左右される。PVA、CMC、HEC、ポリアクリル酸ソーダ等の水溶性高分子のみを使用したり、上記乳化剤と併用したりすることは、粒子径分布が広くなり好ましくない。乳化剤の使用量は平均粒子径、粒子径分布の他に、エマルジョンの機械的、化学的安定性、乾燥皮膜の耐水性などを考慮し、単量体の合計量 100重量部に対して1〜10重量部の範囲から決められる。
【0017】
本発明で使用する、エマルジョンを製造するためのラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素水、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アゾビスアミジノプロパンの塩酸塩等の水溶性タイプ、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性タイプなどが例示される。さらに必要に応じ、N,N−ジメチルアニリン、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用したレドックス系も使用することができる。
重合開始剤の使用量は単量体の合計量 100重量部に対して通常は0.01〜5重量部とすればよいが、より好ましくは0.05〜2重量部である。
【0018】
乳化重合時の単量体/水の重量比は通常 0.2〜 2.5、重合温度は通常10〜90℃、重合時間は通常3〜40時間程度とするとよい。
なお、重合の開始時あるいは終了後に塩基性物質を加えてpHを調整することにより、エマルジョンの重合安定性、凍結安定性、機械的安定性、化学的安定性等を向上させることができる。この場合、得られるエマルジョンのpHが6〜11となるように調整することが好ましく、塩基性物質としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、苛性ソーダ、苛性カリ等を使用することができる。
【0019】
本発明においては、乳化共重合体のガラス転移温度および平均粒子径、粒子径分布を特定範囲にコントロールするが、これにより、エマルジョン中の共重合体粒子同士の接触を限りなく小さくさせて、このエマルジョンをインキに用いることにより印刷機上で被印刷物への印刷時に粒子の融着を起こさせないようにし、乾燥後の水への再分散性が良くなるようにしてある。
乳化共重合体のガラス転移温度は30〜 130℃であることが必要であり、30℃未満の場合はエマルジョン粒子の一部または全部が融着を起こし易く、印刷機上でインキが乾燥した後の水への再分散性が悪くなり、 130℃を超えると造膜が不十分になりやすい。好ましくは35〜95℃である。
なお、本明細書中に記載されたガラス転移温度は次の式により求めた。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
Tg :共重合体のガラス転移温度(絶対温度表示)
Tgi:単量体成分(i)の単独重合体のガラス転移温度(絶対温度表示)
Wi :共重合体中の成分(i)の重量分率
【0020】
さらに、本発明で使用される乳化共重合体の平均粒子径は 200〜1,000nm 、好ましくは 250〜700nm の範囲である。共重合体の平均粒子径が 200nm未満の場合はエマルジョン粒子の接触面積が大きくなるため、粒子の一部または全部の表面で融着を起こし易く、印刷機上でインキが乾燥した後の水への再分散性が悪くなり、1,000nm よりも大きくなるとインキの光沢が低下して好ましくない。この平均粒子径は SUB-MICRON PARTICLE ANALYZER (COULTER社製、MODEL N4SD)で測定したものであるが、優れた印刷適性を確実なものにするには平均粒子径の範囲に加え、粒子径分布を示す多分散指標(P.I.)の値の範囲が0.01〜0.35、好ましくは0.01〜0.25とされる。P.I.値が0.01未満の場合は単一分散系となるので重合で得られるエマルジョンではあり得ないし、0.35を超えると粒子径分布が広くなり、エマルジョン粒子の接触面積が大きくなるため、粒子の一部または全部の表面で融着を起こし易く、印刷機上でインキが乾燥した後の水への再分散性が悪くなる。P.I.の求め方は後記のとおりである。
【0021】
なお、上述のエマルジョンをバインダーに用いて水性印刷インキを製造する場合は、顔料、染料等の種々の着色剤を上述のエマルジョン中に分散又は溶解すればよく、従来公知の製造機で行なうことができる。
【0022】
【実施例】
本発明を実施例及び比較例に基づき具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、例中の部及び%はそれぞれ重量部と重量%を示す。また、実施例1〜、比較例1〜5における各特性の測定は下記のようにして行なった。
【0023】
a.平均粒子径及び粒子径分布
SUB-MICRON PARTICLE ANALYZER (COULTER社製、MODEL N4SD)で平均粒子径を測定し、粒子径分布については測定結果から得た多分散指標(P.I.)で表示した。この測定器の原理は、測定すべきエマルジョン中のブラウン運動を行っている粒子にレーザー光を照射し、その散乱光の強度変化を測定し、これから拡散係数を算出して粒子径および粒子径分布を求めるもので、次の手順で行う。
1.平均粒子径は、拡散係数(D)が次の Stokes-Einstein方程式によって粒子径の逆数に比例することから算出する。
D=KB T/3πηd
D:拡散係数
B : Boltzmann定数(1.38×10-16erg/K)
T:温度(K)
η:粘度(P)
d:粒子径(cm)
【0024】
2.散乱光の強度信号から拡散係数を求めるため、この信号を数学的に変換した結果の自己相関関数(ACF)を基に多分散指標(P.I.)を算出する。
G(τ)=<I(t)×I(t+τ)>
G(τ) :ACF
I(t) :時間tに検出された散乱光の強度
I(t+τ):時間(t+τ)に検出された散乱光の強度
τ :遅延時間
< > :時間平均
次に基準の時間チャンネルから80個のτのチャンネルのACFの基線を引き、さらに基線を差し引いたACFの個々のチャンネルの対数を計算し、結果として得られる関数を2次の項までの時間のべき級数に展開する。
In(G(τ)−baseline)=a+bτ+1/2cτ2
ACF関数Gの1次と2次の項の係数b、cを求め次式よりP.I.を計算する。
多分散指標(P.I.)=2c/b2
多分散指標は粒子径分布幅を示す数値であり、P.I.値が小さいと粒子径分布が狭く、P.I.値が大きいと粒子径分布が広い。
【0025】
b.印刷適性
エマルジョンに市販顔料 DISPERSE BLUE SD-6038(大日本インキ社製、商品名)を1%添加したものを試料とした。卓上印刷機(GRAVO-PROOF CM、日商グラビア社製)に試料をセットし、印刷ロールを1回転させ紙に印刷した。次に、このままの状態で10分間放置し、再度印刷ロールを回転させ、1,3,5,7,10分後に紙への印刷を行い、下記の基準に従って判定した。
○:1〜5分後に、もとどおり印刷できた。
△:7〜10分後に、もとどおり印刷できた。
×:10分経っても、もとどおり印刷できなかった。
【0026】
c.光沢
エマルジョンをガラス板に wet7g/m2の量となるように塗布し、 130℃で2分間乾燥して試験片とした。得られた試験片についてグロスメーターGM−3D(村上色彩技術研究所製)を用いて60度反射角の光沢度(%)を測定し、下記の基準に従って判定した。
◎:60度反射角の光沢度(%)が80〜 100%
○:60度反射角の光沢度(%)が50〜80%
△:60度反射角の光沢度(%)が20〜50%
×:60度反射角の光沢度(%)が0〜20%
【0027】
実施例1
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合器内に、窒素置換後、脱イオン水 840部、エマールO(ラウリル硫酸ソーダ、花王社製、商品名)10部、ノニポール160(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、三洋化成社製、商品名)30部を仕込み、窒素ガス雰囲気下に攪拌しながら80℃に昇温させた。次に、あらかじめ過硫酸アンモニウム4部を脱イオン水 200部に溶解した水溶液及びメチルメタクリレート 900部、エチルアクリレート60部、メタクリル酸30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部の混合液をそれぞれ上記重合器中へ5時間を要して均一に追加し、さらに80℃で2時間反応を行い30℃まで冷却して重合を終了し、その後25%アンモニア水でpHを7〜8に調整した。
得られたエマルジョンの固形分濃度は50.1%、粘度 300cP、pH 7.2であり、共重合体のガラス転移温度は94℃であった。
得られたエマルジョンについて、平均粒子径及び粒子径分布(P.I.)、印刷適性、光沢を測定したところ、結果は表3に示すとおりであった。
【0028】
実施例2
攪拌機、温度計及び窒素ガス導入口を備えた耐圧重合器内に、窒素置換後、脱イオン水 900部、メチルメタクリレート 550部、ブチルアクリレート60部、アクリル酸20部、メタクリル酸20部、ペーストH(ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、第一工業製薬社製、商品名)20部を仕込み、さらに重合器内を減圧にして塩化ビニル 350部を仕込み、窒素ガス雰囲気下に攪拌しながら60℃に昇温させた。次に、過硫酸アンモニウム1部を脱イオン水 100部に溶解した水溶液を圧入して反応を開始させ、器内温を60℃に保持しながら20時間反応を行い、30℃まで冷却して重合を終了し、その後25%アンモニア水でpHを7〜8に調整した。
得られたエマルジョンの固形分濃度は50.2%、粘度 450cP、pH7.6 であり、共重合体のガラス転移温度は81℃であった。
得られたエマルジョンについて、平均粒子径及び粒子径分布(P.I.)、印刷適性、光沢を測定したところ、結果は表3に示すとおりであった。
【0029】
実施例3〜5
実施例2と同様にして表1に示される単量体、乳化剤の種類、量で共重合を行いエマルジョンを製造した。得られたエマルジョンの特性についても同様にして評価し結果を表1、表3に示した。
【0030】
実施例6、比較例1〜5
実施例1と同様にして表1あるいは表2に示される単量体、乳化剤の種類、量で共重合を行いエマルジョンを製造した。得られたエマルジョンの特性についても同様にして評価し結果を表1、表2、表3に示した。
比較例6
実施例1と同様にして表2に示される単量体、乳化剤の種類、量で共重合を行いエマルジョンを製造しようとしたが、重合中にゲル化しエマルジョンが得られなかった。
【0031】
【表1】
Figure 0003722397
単量体のTgは℃表示、表2も同じ。
ノニポール400:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、他の乳化剤は前出、( )は製造業者名。
【0032】
【表2】
Figure 0003722397
SP-550:ヒドロキシエチルセルロース、アロンA-30:ポリアクリル酸ソーダ、( )は製造業者名。
乳化剤は前出。
【0033】
【表3】
Figure 0003722397
【0034】
実施例、比較例7、8
実施例として前記実施例3で得られたエマルジョン、比較例7として水溶性樹脂ゴーセノールGH−17(PVA、日本合成化学社製、商品名)、比較例8としてアルカリ可溶性樹脂クラプレンLIR−845(カルボキシル化ポリイソブチレン、クラレ社製、商品名)を用い、それぞれについてエマルジョンまたは溶液をガラス板上に膜厚が 0.2mmになるように塗布し、 130℃で30分間乾燥してフィルムを作製した。このフィルムの耐水性、耐アルカリ性を下記のようにして測定し、結果を表4に示した。
【0035】
d.耐水性
作製したフィルムを20℃の水に24時間浸漬し、その後のフィルム状態を観察し、下記の基準に従って評価した。
○:フィルムが溶解しなかった。
△:フィルムが一部溶解した。
×:フィルムがほとんど溶解した。
e.耐アルカリ性
作製したフィルムを20℃の5%苛性ソーダ水溶液に24時間浸漬し、その後のフィルム状態を観察し、下記の基準に従って評価した。
○:フィルムが溶解しなかった。
△:フィルムが一部溶解した。
×:フィルムがほとんど溶解した。
【0036】
【表4】
Figure 0003722397
【0037】
【発明の効果】
本発明の水性インキ用バインダーはアクリル系、塩化ビニル系エマルジョン(水分散型樹脂)からなるにもかかわらず、これを使用した印刷インキは印刷機上で溶剤型、アルカリ可溶型および水溶性バインダーと同様に一旦乾燥しても再溶解性を有するため印刷適性が良好であり、かつ従来品に比べ耐アルカリ性や耐水性に優れるため、実用的に極めて有利である。

Claims (3)

  1. (イ)塩化ビニル、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類から選択される単量体 60〜99重量%
    (ロ)官能基を有するエチレン性不飽和単量体から選択される単量体
    1〜20重量%
    (ハ)上記(イ)及び(ロ)以外のエチレン性不飽和単量体 残部
    からなる単量体混合物[(イ)〜(ハ)の合計 100重量%]を乳化重合させて得られ、その乳化重合体のガラス転移温度が30〜 130℃であって、平均粒子径が200〜1,000nm 、粒子径分布を示す多分散指標(P.I.)の値が0.01〜0.35であるエマルジョンからなることを特徴とする水性インキ用バインダー。
  2. (ハ)成分が 20 重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の水性インキ用バインダー。
  3. (イ)塩化ビニル、アルキル基の炭素数が1〜 18 の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類から選択される単量体 60 99 重量%
    (ロ)官能基を有するエチレン性不飽和単量体から選択される単量体
    1〜 20 重量%
    (ハ)上記(イ)及び(ロ)以外のエチレン性不飽和単量体 残部
    を混合し、乳化剤を単量体全量 100 重量部に対し1〜 10 重量部、重合開始剤を単量体全量 100 重量部に対し 0.01 〜5重量部加えて水系で乳化重合して、ガラス転移温度が 30 130 ℃、平均粒子径が 200 1,000nm 、粒子径分布を示す多分散指標( P.I. )の値が 0.01 0.35 の乳化重合体を得ることを特徴とする水性インキ用バインダーの製造方法。
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