JP3722174B2 - 回転電機 - Google Patents
回転電機 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3722174B2 JP3722174B2 JP02292897A JP2292897A JP3722174B2 JP 3722174 B2 JP3722174 B2 JP 3722174B2 JP 02292897 A JP02292897 A JP 02292897A JP 2292897 A JP2292897 A JP 2292897A JP 3722174 B2 JP3722174 B2 JP 3722174B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- coil
- rotor
- sides
- rotating electrical
- electrical machine
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Iron Core Of Rotating Electric Machines (AREA)
- Insulation, Fastening Of Motor, Generator Windings (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特にロータコイルの両側の巻線端部を絶縁固定するガイド部を有する回転子を備えた発電機等の回転電機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、図12ないし図14に示したように、ハウジング101内に回転自在に支持された回転軸102と、この回転軸102と一体的に回転するランデル型のポールコア103と、このポールコア103にコイルボビン104を介して巻装されたロータコイル105と、回転軸102の端部外周に設けられたスリップリング106と、ロータコイル105の両側の巻線端部107とスリップリング106とを電気的に接続するターミナル108とを備えた車両用交流発電機(オルタネータ)が知られている。そして、ロータコイル105の両側の巻線端部107は、ポールコア103との電気的な絶縁を確保するために、円管状の絶縁チューブ109により覆われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、車両用交流発電機等の回転電機においては、価格競争が激しく、工程の廃止または部品点数の削減により、回転電機の製品価格の低減化を図ることが望まれている。
【0004】
ところが、従来の車両用交流発電機においては、ロータコイル105の両側の巻線端部107に絶縁チューブ109を組み付ける必要があり、部品点数や組付工数が多いという問題が生じていた。そして、その絶縁チューブ109の組み付けを自動化するには、図14に示したように、ロータコイル105の両側の巻線端部107の真直を保つことが必須である。したがって、絶縁チューブ109の組み付け前に数回に渡り、巻線端部107の真直修正を行っており、工程が多いという問題が生じていた。
【0005】
また、スリップリング106の2個のターミナル108とコイルボビン104の巻線端部107との2つの結線位置は、対称位置(180°)に設定されており、両者の結線部はポールコア103の外周に設けられる、隣設する2つの爪状部間に配置されている。しかしながら、上記のような結線部の位置では、電気的な正極(プラス)側と負極(マイナス)側とを誤結線する可能性があり、工程上、電極チェックが必要となり、工程が増えるという問題も生じている。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、ロータコイルの両側の巻線端部の固定機能および絶縁機能を、回転電機の構成上必要な他の部品に持たせるという点に着目し、工程の一部を廃止したり、部品点数を削減したりすることにより、製品価格を低減できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、ロータコアとロータコイルとを電気的に絶縁するコイルボビンの樹脂成形時に、ロータコイルの両側の巻線端部を絶縁固定するガイド部を一体成形することで、ロータコイルの両側の巻線端部の固定機能および絶縁機能を、コイルボビンに持たせることができる。そして、コイルボビンの回転による遠心力にてロータコイルの両側の巻線端部が食み出さないように、コイルボビンの回転方向にロータコイルの巻線端部の線径よりも小さい開口(スリット)が、ガイド部に形成されている。そして、ロータコイルの巻線作業時は、ロータコイルの両側の巻線端部をガイド部に差し込んで固定する。これにより、ロータコイルの両側の巻線端部に絶縁チューブを組み付ける工程を廃止でき、しかも絶縁チューブが廃止されるので部品点数を減少できることにより、製品価格を低減できる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、ロータコイルの両側の巻線端部と集電部材の2個の接続端子との結線位置を非対称な位置となるように設定している。この結果、ロータコイルの両側の巻線端部と集電部材の2個の接続端子との電気的な正極側と負極側とを誤結線する心配がなくなるので、製造工程の中で誤結線をチェックするための電極検査工程を廃止できる。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、複数枚の冷却翼および支持板部よりなる冷却ファンを一体成形した樹脂成形品である端子保護部材に、接続端子とロータコアとを電気的に絶縁する樹脂成形品にロータコイルの両側の巻線端部を絶縁固定するガイド部を一体成形することで、ロータコイルの両側の巻線端部の固定機能および絶縁機能を樹脂成形品である端子保護部材に持たせることができる。これにより、ロータコイルの両側の巻線端部に絶縁チューブを組み付ける工程を廃止でき、しかも絶縁チューブが廃止されるので、さらに部品点数および組付工数を減少できることにより、製品価格を低減できる。
【0010】
請求項4に記載の発明によれば、ロータコイルは、コイルボビンの外周に巻装されている。そして、ガイド部は、冷却ファンの支持板部からコイルボビンに接触するように延長され、内部にロータコイルの両側の巻線端部が挿通する挿通穴が形成されている。
【0011】
【発明の実施の形態】
〔第1実施例の構成〕
図1ないし図5は本発明の回転電機を車両用交流発電機に適用した第1実施例を示したもので、図1は車両用交流発電機の主要構造を示した図で、図2は車両用交流発電機の全体構造を示した図である。
【0012】
本実施例の車両用交流発電機1は、車両に搭載されたエンジン(図示せず)により回転駆動される回転軸2と、この回転軸2を2個の軸受3、4を介して回転自在に支持する後記するハウジングと、このハウジングの内面に固定された後記するステータと、ハウジングの内部に回転自在に収容された後記するロータとを備えている。なお、回転軸2は、ローレット嵌合により後記するフロント側、リヤ側ポールコア21、22の軸心部に圧入固定されており、前端部(フロント側部)が、ベルト(図示せず)を介してエンジンの回転動力を回転軸2に伝達するためのプーリ5に連結されている。
【0013】
ハウジングは、多数の通風口11が形成されたフロントハウジング6と、多数の通風口12および多数の排気口13が形成されたリヤハウジング7とから構成されている。リヤハウジング7内には、電圧調整装置8、三相整流装置9およびブラシ10が配設されている。なお、ブラシ10は、金属板、例えば銅合金のバネ材である燐青銅またはベリリウム銅等の導電性の薄板弾性材製で、電圧調整装置8のケースと一体成形されたブラシホルダ14内にインサート成形されたターミナル15と電気的に接続されている。ステータは、電機子として働く部分で、ステータコア16、およびこのステータコア16に巻装された三相のステータコイル17により構成されている。
【0014】
次に、本実施例のロータを図1ないし図5に基づいて説明する。ロータは、界磁装置として働く部分で、回転軸2と一体的に回転する。このロータは、回転軸2に固定されたランデル型のポールコアを構成するフロント側、リヤ側ポールコア21、22と、このフロント側、リヤ側ポールコア21、22に巻装されたフィールドコイル23と、フロント側、リヤ側ポールコア21、22とフィールドコイル23とを電気的に絶縁するコイルボビン24と、フィールドコイル23に励磁電流を供給するための2個のスリップリング25と、これらのスリップリング25とフィールドコイル23との間に介在する2個のスリップリング端子26と、これらのスリップリング端子26を保護する端子保護部材27とから構成されている。
【0015】
次に、本実施例のフロント側、リヤ側ポールコア21、22を図1ないし図3に基づいて説明する。ここで、図3はリヤ側ポールコア22のリヤ側面を示した図である。フロント側、リヤ側ポールコア21、22は、本発明のロータコアに相当する部品で、低炭素鋼を鍛造成形することにより所定の形状に形成された8極、12極、14極または16極の磁極部で、中央の円筒状空間内にコイルボビン24を介してフィールドコイル23が巻かれている。このフロント側、リヤ側ポールコア21、22には、フロント側とリヤ側に互いに噛み合うように複数個(本例では6個)の爪状磁極片28と複数個(本例では6個)の爪状磁極片29が、各円筒状部の外周側より放射状に突出するように設けられている。なお、リヤ側ポールコア22において対称的な位置に配される、隣設する2個の爪状磁極片29の根元部分間には、後記する端子保護部材27の2個のガイド部がそれぞれ差し込まれる2個のV溝部(略逆三角形状の凹部)30が形成されている。
【0016】
フィールドコイル23は、本発明のロータコイルに相当する部品で、線径が例えば0.5mm〜2.0mmの銅線が利用され、コイルボビン23の外周に所定の巻数巻装されるコイル部31、およびこのコイル部31のリヤ側端部より軸方向に引き出された2本のコイルリード部(本発明の巻線端部に相当する)32を有している。そして、フィールドコイル23に励磁電流が流れると、フロント側、リヤ側ポールコア21、22を磁化する界磁巻線である。具体的には、フィールドコイル23に励磁電流が流れると、一方の爪状磁極片28が全てN極(またはS極)になり、他方の爪状磁極片29が全てS極(またはN極)になる。
【0017】
コイルボビン24は、ナイロン樹脂等の絶縁性樹脂を例えば射出成形することにより成形されている。ここで、コイルボビン24は、フィールドコイル23の2本のコイルリード部32の引出し位置を対称位置となるように形成している。なお、コイルボビン24は、円筒形状の底壁、この底壁の筒方向のフロント側に設けられた円環板形状の係止壁、底壁の筒方向のリヤ側に設けられた円環板形状の係止壁53を有している。
【0018】
2個のスリップリング25は、本発明の集電部材に相当する部品で、例えば銅合金の発泡骨格金属を金属母体とした炭素粉末、天然黒鉛または金属黒鉛等の炭素質部材により円環形状に形成され、回転軸2のリヤ側端部の外周に設けられ、互いに電気的に独立している。これらのスリップリング25の外周面には、2個のブラシ10がそれぞれ接触する。
【0019】
2個のスリップリング端子26は、本発明の接続端子に相当する部品で、対称的な位置(180°間隔)に配設され、例えば板厚が0.8mm〜1.5mmの銅板等の金属板を断面形状が略コの字形状となるように折り曲げられた導電部材である。これらのスリップリング端子26は、一端部が2個のスリップリング25にインサートされることで2個のスリップリング25に機械的、且つ電気的にそれぞれ接続されている。
【0020】
また、2個のスリップリング端子26の他端部には、フィールドコイル23の2本のコイルリード部32の各々に先端に設けられた結線部33に、フュージング溶接等の溶接手段により機械的、且つ電気的に接続される結線部34がそれぞれ設けられている。なお、両者の結線部33、34は、溶接作業を行い易いように、後記する端子保護部材27の支持板部42のリヤ側面より所定量(例えば10mm程度)だけ突出している。
【0021】
次に、本実施例の端子保護部材27を図1ないし図5に基づいて説明する。ここで、図4は端子保護部材27のリヤ側面とブラシホルダ14を示した図で、図5は端子保護部材27のフロント側面を示した図である。端子保護部材27は、本発明の樹脂成形品に相当する部品で、電気絶縁性および耐熱性に優れ、高強度で寸法安定性に優れる例えばポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)等の電気絶縁性樹脂を例えば射出成形することにより成形されている。この端子保護部材27は、遠心式冷却ファンの冷却翼を構成する複数枚のファンブレード41、これらのファンブレード41を支持する円環板形状の支持板部42、および支持板部42の内周側よりリヤ側に突出するように設けられた円筒状部43を有している。
【0022】
複数枚のファンブレード41は、図4に示したように、支持板部42の外周部のリヤ側面上に円環状に配列されており、ロータの回転に伴ってハウジングの内部に冷却風を吸引して、電圧調整装置8、三相整流装置9、三相のステータコイル17およびフィールドコイル23等の発熱部品を冷却する。
【0023】
支持板部42は、フロント側、リヤ側ポールコア21、22のリヤ側面に固定され、2個のスリップリング端子26の径方向部分をインサート成形する凸状部44を有している。この支持板部42のフロント側面の外周側の対称的な位置(180°間隔)には、図1、図2および図5に示したように、フィールドコイル23の2本のコイルリード部32の絶縁とコイルリード部32を真直方向(軸方向)に引き出すための筒形状のガイド部45が一体成形されている。
【0024】
2個のガイド部45は、支持板部42のフロント側面からコイルボビン24の係止壁53に接触するように延長され、内部にフィールドコイル23のコイルリード部32が挿通する挿通穴46が形成されている。その挿通穴46の内径は、フィールドコイル23の線径よりも0.5mm程度大きければ良い。つまりガイド部45とフィールドコイル23との間のクリアランスは0.5mm程度あれば良い。なお、複数枚のファンブレード41と支持板部42とから冷却ファンが構成される。
【0025】
また、支持板部42のリヤ側面には、ブラシホルダ14のスリップリングカバー部分との間に断面形状が略U字形状の微小間隙(ラビリンスシール)を形成する凸部47が形成されている。これにより、2個のブラシ10および2個のスリップリング25を収容する円筒形状の収容室48は、端子保護部材27とブラシホルダ14とにより気密的にシールされている。
【0026】
円筒状部43は、2個のスリップリング25および2個のスリップリング端子26の軸方向部分を絶縁固定する絶縁固定部材で、2個のスリップリング25および2個のスリップリング端子26の軸方向部分と一体化されて回転軸2のリヤ側端部の外周にローレット嵌合により圧入固定されている。
【0027】
〔第1実施例の製造方法〕
次に、本実施例の車両用交流発電機1のロータの製造方法を図1ないし図5に基づいて簡単に説明する。
【0028】
先ず、溶融状態の電気絶縁性樹脂(例えばナイロン樹脂)を成形型(図示せず)内に入れて固形化することによりコイルボビン24を成形する。したがって、円筒形状の底壁、円環板形状の係止壁および円環板形状の係止壁53を有する略円筒形状の樹脂成形品が得られる。そして、巻き始め側のコイルリード部32を係止壁53に形成される一方のスリット(図示せず)に固定した後に、コイルボビン24の底壁の外周に所定の巻回数だけ巻装してコイル部31を形成する。その後に、巻き終り側のコイルリード部32を係止壁53に形成される他方のスリット(図示せず)に固定する。なお、一方のスリットと他方のスリットとは、対称的な位置(180°間隔)に設けられている。したがって、フィールドコイル23は、コイルボビン24の係止壁53の対称的な位置(180°間隔)からリヤ側に向けて、2本のコイルリード部32が引き出されることになる。
【0029】
一方、略円環形状の炭素質部材を、2個のスリップリング端子26をインサートした状態で焼成することにより2個のスリップリング25を成形する。なお、スリップリング端子26のインサートされる部分の両端面または一端面に、例えばショットブラスト法、ショットピーニング法またはプレス加工により凹凸を形成することにより、スリップリング25とスリップリング端子26との接触面積を増加させてスリップリング25とスリップリング端子26との接触抵抗を減少させても良い。
【0030】
次に、溶融状態の電気絶縁性樹脂(PPS樹脂)を成形型(図示せず)内に入れて、2個のスリップリング25および2個のスリップリング端子26をインサート成形することにより端子保護部材27を成形する。このとき、端子保護部材27のうちの複数枚のファンブレード41を支持する支持板部42のフロント側面に、略円筒形状のガイド部45も一体的に成形されることにより、対称的な位置(180°間隔)に2個のガイド部45を備えた樹脂成形品が得られる。
【0031】
次に、低炭素鋼を鍛造成形することにより所定の形状に成形されたフロント側、リヤ側ポールコア21、22間に、フィールドコイル23を巻装したコイルボビン24を挟み込むと、係止壁と係止壁53の外周端が爪状磁極片28、29の内周面により略くの字状に押し返される。これにより、コイル部31を底壁、係止壁および係止壁53で囲むことになり、コイルボビン24が絶縁部材で構成されているので、フロント側、リヤ側ポールコア21、22とフィールドコイル23との電気的な絶縁が施される。
【0032】
次に、回転軸2を、中央の円筒状空間内にフィールドコイル23およびコイルボビン24を配設したフロント側、リヤ側ポールコア21、22の軸心部にローレット嵌合により圧入することにより、回転軸2の中央部の外周にフロント側、リヤ側ポールコア21、22を組み付ける。
【0033】
さらに、回転軸2の後端部の外周に、2個のスリップリング25と2個のスリップリング端子26を内装し、且つ支持板部42のリヤ側面に複数枚のファンブレード41を一体成形した端子保護部材27を圧入固定する。このとき、リヤ側ポールコア22の隣設する2個の爪状磁極片29の根元部分間のV溝部30内に2個のガイド部45が差し込まれるように、端子保護部材27の支持板部42のフロント側面がリヤ側ポールコア22のリヤ側面に接触するまで圧入する。
【0034】
次に、フィールドコイル23の2本のコイルリード部32を、端子保護部材27の2個のガイド部45の挿通穴46内を挿通させて、支持板部42のリヤ側面より所定量だけ引き出した後に、コイルリード部32の先端側の結線部33とスリップリング端子26の先端側で折り曲げれた結線部34とをフュージング溶接等の溶接手段により接合する。そして、結線部33、34を、図示しない含浸剤(エポキシ樹脂系樹脂)により覆って絶縁保護しても良い。
以上により、車両用交流発電機1のロータが製造される。
【0035】
〔第1実施例の作用〕
次に、本実施例の車両用交流発電機1の作用を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。
【0036】
車両に搭載されたエンジンが始動すると、エンジンの回転動力がベルトを介してプーリ5に伝達され、回転軸2が回転することによりロータが回転する。すなわち、回転軸2と一体的にフロント側、リヤ側ポールコア21、22、フィールドコイル23および2個のスリップリング25が回転する。そして、電圧調整装置8がフィールドコイル23の給電を開始すると、フロント側、リヤ側ポールコア21、22が磁化する。これにより、一方の6個の爪状磁極片28が全てN極になり、他方の6個の爪状磁極片29が全てS極になる。
【0037】
そして、フロント側、リヤ側ポールコア21、22の外側に配されたステータコア16に巻装された三相のステータコイル17に順次交流電流が誘起し、三相整流装置9でその交流電流が整流されて直流電流に変換される。そして、その直流電流がバッテリに供給されてバッテリが充電される。
【0038】
また、回転軸2と一体的に回転する複数枚のファンブレード41によって、フロントハウジング6に形成された多数の通風口11、およびリヤハウジング7に形成された多数の通風口12からハウジング内部に吸い込まれた冷却風は、三相のステータコイル17およびフィールドコイル23を冷却した後に多数の排気口13よりハウジングの外部に吹き出す。
【0039】
〔第1実施例の効果〕
以上のように、車両用交流発電機1のロータにおいては、複数枚のファンブレード41および支持板部42よりなる遠心式冷却ファンを一体成形した樹脂成形品である端子保護部材27に、フィールドコイル23の2本のコイルリード部32をフロント側、リヤ側ポールコア21、22から電気的に絶縁すると共に、2本のコイルリード部32を真直方向に引き出すための2個のガイド部45を一体成形している。
【0040】
したがって、従来の絶縁チューブの代わりにガイド部45を設け、さらにそのガイド部45を端子保護部材27に一体成形することにより、フィールドコイル23の2本のコイルリード部32に絶縁チューブを組み付ける組付工程を廃止できる。しかも、ロータを構成する部品から絶縁チューブを廃止できるので、部品点数を減少できることによって、車両用交流発電機1のロータの製品価格を低減することができる。
【0041】
〔第2実施例〕
図6ないし図8は本発明の回転電機を車両用交流発電機に適用した第2実施例を示したもので、図6はコイルボビンを示した図で、図7はコイルボビンを示した図である。
【0042】
本実施例では、フィールドコイル23の2本のコイルリード部32を絶縁固定する2個のガイド部54を、樹脂製のコイルボビン24に一体成形している。具体的には、このコイルボビン24は、フィールドコイル23のコイル部31が巻回される円筒形状の底壁51、この底壁51の筒方向のフロント側に設けられた円環板形状の係止壁52、底壁51の筒方向のリヤ側に設けられた円環板形状の係止壁53を有している。
【0043】
底壁51は、フロント側、リヤ側ポールコア21、22の円筒部分とフィールドコイル23のコイル部31とを電気的に絶縁する部分である。係止壁52は、フロント側、リヤ側ポールコア21、22の一方の爪状磁極片28とフィールドコイル23のコイル部31とを電気的に絶縁する部分である。
【0044】
係止壁53は、フロント側、リヤ側ポールコア21、22の他方の爪状磁極片29とフィールドコイル23のコイル部31とを電気的に絶縁する部分である。そして、係止壁53のリヤ側面からは、略円管形状のガイド部54がリヤ側に突出するように延長されている。
【0045】
そして、2個のガイド部54には、コイルボビン24の回転方向にフィールドコイル23の両側の各コイルリード部32(巻き始め側のコイルリード部32、巻き終り側のコイルリード部32)の線径よりも小さい開口(スリット)55が形成されている。さらに、ガイド部54の内部には、コイルリード部32が圧入されて挿通する挿通穴56が形成されている。また、ガイド部54付近には、フィールドコイル23のコイルリード部32を係止壁53の径方向外方より差し込むための差込溝57が形成されている。なお、ガイド部54のコイルリード部32を差し込む差込み方向は、コイルボビン24の回転による遠心力にてコイルリード部32が食み出さないように外周方向は避ける。
【0046】
以上のように、本実施例では、コイルボビン24の樹脂成形(射出成形)時に、フィールドコイル23の2本のコイルリード部32を絶縁固定できる2個のガイド部54を一体成形している。そして、フィールドコイル23の巻線作業時は、巻き始め側のコイルリード部32を一方のガイド部54に差し込んで固定し、同様に、巻き終り側のコイルリード部32を他方のガイド部54に差し込んで固定する。これにより、従来行っていた絶縁チューブの組み付け前のリードコイル部32の真直修正工程を廃止できる。さらに、ガイド部54が絶縁機能を兼ね備えていることから絶縁チューブも廃止できる。その結果、部品点数を減少できることによって、車両用交流発電機1のロータの製品価格を低減することができる。
【0047】
〔第3実施例〕
図9ないし図11は本発明の回転電機を車両用交流発電機に適用した第3実施例を示したもので、図9は端子保護部材のリヤ側面を示した図で、図10はコイルボビンのリヤ側面を示した図で、図11はリヤ側ポールコアのリヤ側面を示した図である。
【0048】
本実施例では、フィールドコイル23の2本のコイルリード部32の結線部33と2個のスリップリング25の2個のスリップリング端子26の結線部34との結線位置が、プラス、マイナスの誤結線を防止するために、対称位置(180°間隔)から非対称位置(120°間隔または60°間隔)となるように設定している。なお、この実施例の端子保護部材27には、複数枚のファンブレード41はなく、支持板部42の外周側からスリップリング端子26の径方向部分を保持する端子保持部49が2本突出している。
【0049】
先ず、図9に示したように、端子保持部材27のうち、支持板部42の外周側に突出する2本の端子保持部49の間隔を所定の角度θ1 (例えば120°または60°)に設定している。これにより、2個のスリップリング端子26の結線部34の結線位置も、対称位置から非対称位置、つまり所定の角度θ1 (例えば120°または60°)に設定される。
【0050】
また、図10に示したように、コイルボビン24の係止壁53からリア側に突出する2個のガイド部54の間隔を所定の角度θ2 (例えば120°または60°)に設定している。これにより、ガイド部54内に通されるコイルリード部32の結線部33の結線位置も、対称位置から非対称位置、つまり所定の角度θ2 (例えば120°または60°)に設定される。
【0051】
したがって、2個のスリップリング端子26の結線部34の結線位置の間隔である角度θ1 とコイルリード部32の結線部33の結線位置の間隔である角度θ2 とは、同一の角度(例えば120°または60°)であり、リヤ側ポールコア22のうち隣設する2個の爪状磁極片29間のV字溝30内にコイルリード部32が位置するように配線し、スリップリング端子26との結線を行う。その結果、2本のコイルリード部32の結線部33と2個のスリップリング端子26の結線部34とのプラス、マイナスの誤結線やそのチェックのための電極検査工程を廃止することができるので、車両用交流発電機1のロータの製品価格をさらに低減することができる。
【0052】
〔変形例〕
本実施例では、本発明を車両用交流発電機1に適用したが、本発明をその他の交流発電機、交流電動機、直流発電機または直流電動機等の回転電機に適用しても良い。また、本実施例では、ロータを界磁としたが、ロータを電機子として用いても良い。さらに、本実施例では、回転軸2がエンジンに回転駆動される車両用交流発電機1に本発明を用いたが、電動モータ等の他の駆動源により回転駆動される交流発電機に本発明を用いても良い。
【0053】
本実施例では、図3に一点鎖線で示したように、ガイド部45を略円筒形状に形成したが、図3に破線で示したように、ガイド部40を略逆三角筒形状に形成しても良い。この場合には、リヤ側ポールコア22のうち隣設する2個の爪状磁極片29間のV字溝30内にガイド部45が位置ずれすることなく嵌め込まれるので回転性能が良くなる。
【0054】
本実施例では、ランデル型のロータコアを一対のフロント側、リヤ側ポールコア21、22(2つの磁極部材)により構成したが、ランデル型のロータコアを1つの磁極部材にて構成しても良い。また、爪状磁極片28、29の個数は、爪状磁極片28、29の個数が同一の個数であれば自由に選定できる。
【0055】
本実施例では、樹脂製の遠心式冷却ファンを設けたが、樹脂製の斜流式冷却ファン、金属製の斜流式冷却ファンまたは金属製の遠心式冷却ファンを設けても良い。また、遠心式冷却ファンに斜流式冷却翼が混在していても良い。そして、冷却ファンは、フロント側ポールコア21のフロント側面に固定されていても、リヤ側ポールコア22のリヤ側面に固定されていても良く、ハウジングの外に設けられていても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用交流発電機の主要構造を示した断面図である(第1実施例)。
【図2】車両用交流発電機の全体構造を示した断面図である(第1実施例)。
【図3】リヤ側ポールコアのリヤ側面を示した断面図である(第1実施例)。
【図4】端子保護部材のリヤ側面とブラシホルダを示した断面図である(第1実施例)。
【図5】端子保護部材のフロント側面を示した側面図である(第1実施例)。
【図6】コイルボビンのリヤ側面を示した側面図である(第2実施例)。
【図7】コイルボビンを示した概略図である(第2実施例)。
【図8】コイルボビンの主要構造を示した拡大図である(第2実施例)。
【図9】端子保護部材のリヤ側面を示した側面図である(第3実施例)。
【図10】コイルボビンのリヤ側面を示した側面図である(第3実施例)。
【図11】リヤ側ポールコアのリヤ側面を示した側面図である(第3実施例)。
【図12】車両用交流発電機の全体構造を示した断面図である(従来の技術)。
【図13】ロータコイルの巻線端部と絶縁チューブを示した斜視図である(従来の技術)。
【図14】コイルボビンと絶縁チューブを示した概略図である(従来の技術)。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機(回転電機)
2 回転軸
8 電圧調整装置
9 三相整流装置
10 ブラシ
14 ブラシホルダ
15 ターミナル
16 ステータコア
17 ステータコイル
21 フロント側ポールコア(ロータコア)
22 リヤ側ポールコア(ロータコア)
23 フィールドコイル(ロータコイル)
24 コイルボビン
25 スリップリング(集電部材)
26 スリップリング端子(接続端子)
27 端子保護部材(樹脂成形品)
28 爪状磁極片
29 爪状磁極片
30 V字溝
31 コイル部
32 コイルリード部
33 結線部
34 結線部
41 ファンブレード(冷却ファン)
42 支持板部(冷却ファン)
45 ガイド部
54 ガイド部
Claims (4)
- (a)回転軸と一体的に回転するロータコアと、
(b)このロータコアに巻装され、両側に巻線端部を有するロータコイルと、
(c)前記ロータコアに配設され、前記ロータコアと前記ロータコイルとを電気的に絶縁すると共に、前記巻線端部を絶縁固定するガイド部が一体成形された樹脂製のコイルボビンと
を備えた回転電機において、
前記ガイド部には、前記コイルボビンの回転方向に前記巻線端部の線径よりも小さい開口が形成されていることを特徴とする回転電機。 - (a)回転軸と一体的に回転するロータコアと、
(b)このロータコアに巻装され、両側に巻線端部を有するロータコイルと、
(c)このロータコイルへの給電を行う2個の集電部材と、
(d)前記ロータコイルの両側の巻線端部と前記2個の集電部材との間に介在して前記ロータコイルの両側の巻線端部と前記2個の集電部材とを電気的にそれぞれ接続する2個の接続端子と、
(e)前記ロータコアと前記ロータコイルとを電気的に絶縁すると共に、前記ロータコイルの両側の巻線端部を絶縁固定するガイド部が一体成形されたコイルボビンと
を備えた回転電機において、
前記ロータコイルの両側の巻線端部と前記2個の接続端子との結線位置を非対称な位置とすることを特徴とする回転電機。 - (a)回転軸と一体的に回転するロータコアと、
(b)このロータコアに巻装され、両側に巻線端部を有するロータコイルと、
(c)このロータコイルへの給電を行う集電部材と、
(d)前記巻線端部と前記集電部材との間に介在して前記巻線端部と前記集電部材とを電気的に接続する接続端子と、
(e)前記接続端子と前記ロータコアとを電気的に絶縁すると共に、前記巻線端部を絶縁固定するガイド部が一体成形された樹脂成形品である端子保護部材と
を備えた回転電機において、
前記端子保護部材は、前記回転電機の発熱部に冷却風を送る複数枚の冷却翼、およびこれらの冷却翼を支持する支持板部よりなる冷却ファンであって、
前記ガイド部は、前記冷却ファンの支持板部に一体成形されていることを特徴とする回転電機。 - 請求項3に記載の回転電機において、
前記ロータコイルは、コイルボビンの外周に巻装されており、
前記ガイド部は、前記支持板部から前記コイルボビンに接触するように延長され、内部に前記ロータコイルの両側の巻線端部が挿通する挿通穴が形成されていることを特徴とする回転電機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02292897A JP3722174B2 (ja) | 1997-02-05 | 1997-02-05 | 回転電機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02292897A JP3722174B2 (ja) | 1997-02-05 | 1997-02-05 | 回転電機 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10225039A JPH10225039A (ja) | 1998-08-21 |
JP3722174B2 true JP3722174B2 (ja) | 2005-11-30 |
Family
ID=12096300
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02292897A Expired - Fee Related JP3722174B2 (ja) | 1997-02-05 | 1997-02-05 | 回転電機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3722174B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101644863B1 (ko) * | 2012-04-19 | 2016-08-02 | 이래오토모티브시스템 주식회사 | 자동차용 교류발전기 |
JP6308002B2 (ja) * | 2014-04-25 | 2018-04-11 | 株式会社デンソー | 回転電機の回転子 |
KR102579568B1 (ko) | 2015-11-12 | 2023-09-18 | 엘지이노텍 주식회사 | 버스바 및 이를 포함하는 모터 |
-
1997
- 1997-02-05 JP JP02292897A patent/JP3722174B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10225039A (ja) | 1998-08-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7545074B2 (en) | Rotor for automotive alternator having improved magnet holder | |
US6057626A (en) | Commutator for a dynamo-electric machine and method of manufacture therefor | |
US20030159270A1 (en) | Method of forming stator winding of rotary electric machine | |
US7598636B2 (en) | Automotive alternator with cooling fan having projections for preventing foreign particles | |
EP1717929B1 (en) | Method for magnetizing magnetic bodies of a rotor for dynamo-electric machine | |
US10326327B2 (en) | Claw rotor comprising clip for securing end wire of winding, and associated electrical machine | |
JP4697292B2 (ja) | 回転電機の回転子 | |
US20070114879A1 (en) | Dynamoelectric rotor | |
US8362664B2 (en) | Rotating electrical machine | |
US8429810B2 (en) | Method of manufacturing rotor for dynamoelectric machine | |
JP3722174B2 (ja) | 回転電機 | |
JP3767136B2 (ja) | 回転電機の回転子及びその製造方法 | |
JP2006325376A (ja) | 車両用回転電機 | |
JP2003259613A (ja) | 回転電機の固定子巻線の製造方法 | |
JPH08205496A (ja) | 車両用交流発電機の回転子 | |
EP0822642B1 (en) | A rectifier for an alternator, particularly for motor vehicles | |
JP4743257B2 (ja) | 回転電機の回転子およびその製造方法 | |
JP2005218233A (ja) | 交流発電機 | |
CN114640198A (zh) | 用于旋转电机的滚动轴承装置 | |
US20040108786A1 (en) | Rotor of rotary electric machine having commutator surface facing axial rear end | |
JP3656347B2 (ja) | 回転電機の回転子 | |
US7015608B2 (en) | Method and apparatus to suppress electrical noise in a rotor assembly for an electrical machine | |
JP2001037132A (ja) | 回転電機およびその製造方法 | |
US20020101127A1 (en) | Apparatus and method for securing wires of a rotor | |
JPH08126261A (ja) | 車両用交流発電機の回転子 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050531 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050607 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050802 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050824 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050906 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080922 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110922 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |