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JP3714747B2 - 自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物および自動車等速ジョイントブーツ成形品 - Google Patents

自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物および自動車等速ジョイントブーツ成形品 Download PDF

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JP3714747B2 JP30440996A JP30440996A JP3714747B2 JP 3714747 B2 JP3714747 B2 JP 3714747B2 JP 30440996 A JP30440996 A JP 30440996A JP 30440996 A JP30440996 A JP 30440996A JP 3714747 B2 JP3714747 B2 JP 3714747B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステルエラストマー(以下、TPEEと略す)を用いて、より高溶融粘度に変性した耐摩耗性、機械的特性、柔軟性に優れる自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物および当該組成物をブロー成形した自動車等速ジョイントブーツ成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車等速ジョイントブーツはフロント、リアアクセルに使用されステアリング操作、バウンドリバウンド等の交差、摺動運動を繰り返しながら回転する。このため、蛇腹部は伸縮、屈曲を繰り返す。この自動車等速ジョイントブーツの本来の機能はジョイントの保護であり、外部からの水、ダスト等の侵入を防ぐと共に内部のグリースを保持するところにある。使用環境条件からブーツに求められる特性として、柔軟性、耐屈曲疲労性、耐摩耗性、耐水性、耐破性、耐寒性、耐候性、耐グリース性などがある。
【0003】
従来、これらの特性を満足するために、一般的には、ゴム材料が使用されている。特に、耐屈曲疲労性や耐候性に優れ、他の特性もバランス良く兼ね備えたクロロプレンゴムが好んで使用されている。しかし、クロロプレンゴムも長期間使用していくと、飛び石やオゾンクラック等による破壊がしばしば発生しており、信頼性向上、長寿命化、高速化、軽量化といった近年の車両ニーズに対する対応が困難になってきている。
【0004】
このようなことから、ゴムに替わる材料として軽量で高剛性かつ耐疲労性、耐寒性に優れたTPEEの検討がなされてきた。その結果、欧米を中心にTPEE製自動車等速ジョイントブーツが採用されてきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のTPEE製自動車等速ジョイントブーツはゴム製ブーツより硬いために製造工程での組付けが困難であるという問題があった。これらはTPEE製自動車等速ジョイントブーツの硬度を低下させれば対策可能と考えられるが、硬度を低下させると耐久性(耐摩耗性)が悪化する傾向にあり、これまで、表面硬度(ショアーD)が45以下の耐久性に優れたTPEE製自動車等速ジョイントブーツは見い出されていなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目標を達成するために鋭意研究した結果、TPEE(A)と有機ポリイソシアネート化合物(B)とシリコーン化合物(C)とを特定の重量割合で溶融混合して得られる熱可塑性樹脂組成物は、高溶融粘度かつ特定硬度を有する様になり、しかも耐摩耗性、柔軟性に優れたものとなること、加えてそれを所定形状にブロー成形して得られる自動車等速ジョイントブーツ成形品は柔軟で製造工程での組付けが容易で、耐久性に優れる事を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明はポリエステルエラストマー(A)100重量部に対して、有機ポリイソシアネート化合物(B)0.05〜7.0重量部とシリコーン化合物(C)0.1〜5.0重量部とを溶融混合して得られる表面硬度(ショアーD)が34〜44であることを特徴とする自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物及びそれを用いて得られる自動車等速ジョイントブーツ成形品に関し、高溶融粘度に変性された特定硬度のTPEEを含んでなる、耐摩耗性、柔軟性に優れる自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物およびそれをブロー成形してなる自動車等速ジョイントブーツ成形品を提供するものである。
【0008】
本発明におけるTPEE(A)は公知慣用のポリエステルエラストマーが使用できる。このTPEE(A)としては、例えば低分子量ジオール、ジカルボン酸、脂肪族ポリエーテル及び/または脂肪族ポリエステル、或いはこれらのエステル形成性誘導体同志を必須成分として反応させて得られたものが使用できる。
【0009】
TPEE(A)としてはアルキレングリコールと、テレフタル酸及び/またはそのエステル形成性誘導体アルキルエステルと、ポリ(オキシアルキレン)グリコール、或いはそれらのエステル形成性誘導体を反応させて得たアルキレンテレフタレート系TPEEが好ましく、特に柔軟性、弾性回復性に優れる点で、テトラメチレンテレフタレート系TPEEが好ましい。
【0010】
TPEE(A)としては、例えば測定方法JIS K−6301による反発弾性率55〜85%のポリエステルエラストマーが好ましい。
【0011】
さらにTPEE(A)としては、通常、表面硬度(ショアーD)が30〜50であるものを用いるが、特に、柔軟性の点で、33〜46のものが好ましい。
【0012】
TPEE(A)は、一般的に、分子構造から見て、ハードセグメントとソフトセグメントとから構成される。ハードセグメントは低分子量ジオール、ジカルボン酸及び/またはそのアルキルエステルから構成される単位であり、ソフトセグメントは脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルとジカルボン酸及び/またはそのアルキルエステルから構成される単位から成る。
【0013】
本発明のTPEE(A)としては分子構造中のソフトセグメントとハードセグメントの割合が前者/後者(重量比)=40/60〜75/25であるものが好ましい。
【0014】
本発明のTPEE(A)を得るための低分子量ジオールとしては例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2,2−ジメチル−トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール等のアルキレングリコール、p−キシリレングリコール、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
【0015】
またジカルボン酸及び/またはアルキルエステルとしては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、4,4−スルホニルジ安息香酸等の芳香族ジカルボン酸、炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸、或いはこれらのジアルキルエステルが挙げられる。
【0016】
さらに脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルとしては例えばポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール等のポリ(オキシアルキレン)グリコール、これらポリ(アルキレンエーテル)グリコール類の混合物もしくは共重合体、ポリーεカプロラクトン、炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族グリコールから得られるポリエステル、例えばポリエチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリネオペンチルセバケート、ポリテトラメチレンドデカネート、ポリテトラメチレンアセテート、ポリヘキサメチレンアセテートなど、また上記脂肪族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルを組み合わせたポリエステルポリエーテル共重合体等が挙げられる。
【0017】
本発明のTPEE(A)を得るに当たっては、必要であればオキシ酸としてp−オキシ安息香酸、p−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸等を原料成分として少量併用してもさしつかえない。
【0018】
本発明におけるTPEE(A)は公知慣用の重縮合反応により得ることが出来、代表的なTPEEは例えばテレフタル酸又はテレフタル酸ジメチル、1,4−ブタンジオールおよびポリ(オキシテトラメチレン)グリコールを必須成分として反応せしめることにより製造できる。
【0019】
モル比としては、前記ジオールとグリコールとの合計1モル当たり、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体0.7〜1.5モルである。前記ジオールとグリコールとのモル比は、前記ジオール/前記グリコール=98/3〜55/45(モル%)、好ましくは95/5〜60/40(モル%)である。
【0020】
この際には、これらを同時に反応させる様にしても良いし、テレフタル酸又はテレフタル酸ジメチルと1,4−ブタンジオールとを反応させてプレポリマーを得て、それにポリ(オキシテトラメチレン)グリコールを反応させてもよい。
【0021】
またTPEE(A)としては予め調製したテレフタル酸又はアルキルエステルと1,4−ブタンジオールとを反応させたハードセグメント形成のプレポリマーとテレフタル酸又はそのアルキルエステルエステルとポリ(オキシテトラメチレン)グリコール及び/または脂肪族ポリエステルとを反応させたソフトセグメント形成プレポリマーとを後記有機ポリイソシアネート化合物(B)と反応させた変性ポリエーテルエステルブロック共重合体または変性ポリエステルエステルブロック共重合体からなるTPEEも使用できる。
【0022】
TPEE(A)は、後述する有機ポリイソシアネート化合物(B)と反応させてより高分子量とするのが好ましく、そのためにイソシアネート基と反応しうる活性水素原子を有するTPEEを用いることが好ましい。イソシアネート基と反応しうる活性水素原子としては、例えば水酸基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0023】
イソシアネート基と反応しうる活性水素原子を有するTPEEは、上記TPEEを得る反応において、カルボン酸と水酸基含有化合物との官能基当量比(モル比)をそれらの反応率を考慮して調節することに得ることが出来る。
【0024】
理論的には、カルボキシル基過剰の反応条件下では、活性水素原子としてカルボキシル基のみを有するTPEEが得られ、一方、水酸基過剰の反応条件下では、活性水素原子として水酸基のみを有するTPEEが得られ、それらが等量の反応条件下では、活性水素原子としてカルボキシル基と水酸基の両方を有するTPEEが得られる。カルボキシル基及び水酸基の存在は、例えば、順に酸価、水酸基価により把握することが出来る。
【0025】
本発明の組成物は、TPEE(A)と、有機ポリイソシアネート化合物(B)と、シリコーン化合物(C)とを必須成分として溶融混合して得られる。
【0026】
TPEE(A)と、実質的に、有機ポリイソシアネート化合物(B)と、シリコーン化合物(C)のみを溶融混合してもよいし、それらに必要に応じてその他の成分を併用して溶融混合してもよい。
【0027】
本発明においては、TPEE(A)は溶融混合により反応する様に選択されるのが好ましい。尚、TPEE(A)として、イソシアネート基と反応しうる活性水素原子を有するTPEEを用いるのが好ましい。
【0028】
本発明においては、TPEE(A)は、少なくとも水酸基を有するTPEE、中でも水酸基価0.5〜4.0mg(KOH)/gであるものを用いる様にするのが好ましい。
【0029】
本発明で使用される有機ポリイソシアネート化合物(B)は、脂肪族あるいは芳香族化合物中に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、公知慣用のものがいずれも使用できる。また、マスキングされた有機ポリイソシアネート化合物も使用できる。
【0030】
有機ポリイソシアネート化合物(B)としては、公知慣用の化合物がいずれも使用できるが、例えばトルエン−2,4−ジイソシアネート、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−イソプロピル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−クロル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−ブトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアネート−ジフェニルエーテル、メチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、4,4−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、2,4−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等が挙げられる。マスキング化された有機ポリイソシアネート化合物とは前記有機ポリイソシアネート化合物をマスキング剤と共に溶媒中または溶融状態で加熱反応させることにより得られる。
マスキング剤としてはアルコール類、フェノール類、アルキルフェノール類、ε-カプロラクタム、メチルエチルケトオキシム等である。
【0031】
溶融混合時に用いる有機ポリイソシアネート化合物(B)としては4,4−メチレンビス(フェニルイソシアネート)が増粘効果の高い点で好ましい。
【0032】
有機ポリイソシアネート化合物(B)の使用量は、本発明で規定する範囲内で多い程、溶融粘度はより高くなる。
【0033】
本発明で使用されるシリコーン化合物(C)はシロキサン結合を骨格とし各種の重合度を有し、場合によって側鎖に各種有機基を有していても良いシリコーンオイルである。シリコーン化合物(C)としては例えば分子構造式(1)によって表されるものが挙げられる。
【0034】
【化1】
Figure 0003714747
【0035】
〔式中、Rは同一でも異なっていてもよいメチル基、フェニル基又は水素原子、nは整数〕
【0036】
具体的には、前記分子構造式(1)において、Rが全てメチル基の化合物に相当するジメチルシリコーンオイル、メチル基の一部をフェニル基に変えてフェニルメチルシリコーンオイル、Rの1つがメチル基で、他の1つが水素原子の化合物に相当するメチル水素シリコーンオイル等が挙げられる。
【0037】
本発明では重合度nを調節した任意の粘度のシリコーンオイルを用いることが出来るが、中でも測定温度23℃において、1000〜10万センチストークス(CS)のジメチルシリコーンオイルが好適である。
【0038】
シリコーン化合物(C)の使用量は、本発明で規定する範囲内で多い程、耐摩耗性はより良好になる。
【0039】
本発明の自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物は前記TPEE(A)と有機ポリイソシアネート化合物(B)とシリコーン化合物(C)とを必須成分として、より良好な成形性を得るための高溶融粘度化(高分子量化)を行うため、それらを所定の重量割合で溶融混合する事にある。
【0040】
自動車等速ジョントブーツ成形品を得るためには、上記溶融混合後の反発弾性率が60〜80%となる様に樹脂組成物が調製される。
【0041】
この溶融混合により、用いたTPEE(A)は有機ポリイソシアネート化合物(B)により高分子量化されて増粘する。最終的に得られるポリエステルエラストマー樹脂組成物は表面硬度34〜44となる様に、TPEE(A)、有機ポリイソシアネート化合物(B)及びシリコーン化合物(C)の使用量が調整される。
【0042】
それらの使用量はTPEE(A)100重量部に対して有機ポリイソシアネート化合物(B)が0.05〜7.0重量部であり、好ましくは0.10〜5.0重量部である。同様にTPEE(A)100重量部に対して、シリコーン化合物(C)が0.1〜5.0重量部であり、好ましくは0.3〜4.0重量部である。
この範囲で、上記反発弾性率の範囲となる様に組成物は調製される。
【0043】
これら混合方法は特に問わないが、粒状、粉末状、フレーク状、液状等の前記(A)〜(C)を必須成分として溶融混合する。例えば次の様な方法がある。▲1▼前記(A)〜(C)を同時に溶融混合する▲2▼予め作製した(B)及び/又は(C)のマスターバッチと、TPEE(A)とを溶融混合する。これらを溶融混合すると急激に粘度が上昇するために、通常エクストルーダー等溶融押出混練機が用いられる。
【0044】
溶融混合時の温度や混合時間は特に限定されるものではなく、溶融混合の方式や目的とする物性に応じて調整される。通常、TPEE(A)の溶融温度以上で行えばよいが、その結晶融点より高い温度から260℃までの範囲が好ましい。混合時間は、粘度が飽和し一定になるまで行えばよいが、通常10秒〜120分程度である。
【0045】
本発明の自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物には前記(A)〜(C)のみからなるものでも充分優れた特性を有しているが、必要に応じて無機及び/または有機の充填材や添加剤を添加することができる。この際には、例えば離型剤、カップリング剤、着色剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候性安定剤、発泡剤、防錆剤、難燃剤、加水分解防止剤、滑剤、着色剤、充填材、強化材等を添加してもよい。
【0046】
さらには、必要なら、他のポリエステルエラストマーやそれ以外の熱可塑性樹脂、例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーを本発明の効果を損なわない範囲で添加する事もできる。
【0047】
この様にして得られた表面硬度34〜44のポリエステルエラストマー樹脂組成物は、所望の形状となる様に成形され、自動車等速ジョイントブーツ成形品として使用される。
【0048】
本発明の自動車等速ジョイントブーツ成形品としては本発明の等速ジョイントブーツ用樹脂組成物単体で構成されても良いし、プラスチック、金属等の補強材を複合して構成されるものでも良い。また、その形状も特に限定されないが、揺動、摺動、往復動等に追随するために蛇腹状、釣鐘状といった変形に対して柔軟に対応できる形状が好ましい。
【0049】
本発明の自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物はその形状がらブロー成形にて成形するのが適している。そのブロー成形法としては例えば十分乾燥させた硬度34〜44の本発明の樹脂組成物をブロー成形機の加熱シリンダー内で可塑化し金型内で冷却固化して所定の成形品とする方法が挙げられる。
【0050】
通常、成形を行うに当たってはシリンダー温度、押し出し速度、パリソン肉厚、吹き込み時間、金型温度等の各条件を適宜選択され、良好な条件で成形が行われる。
【0051】
【発明の実施の形態】
次に本発明の好ましい実施形態について、具体的に説明する。
前記ソフトセグメント/前記ハードセグメント(重量比)=40/60〜75/25であり、表面硬度(ショアーD)が33〜46の、平均分子量800〜3000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールを用いた、カルボキシル基と水酸基とを両方有する、水酸基価0.5〜4.0mg(KOH)/gかつ酸価0.5〜3.0mg(KOH)/gで、反発弾性率55〜80%のテトラメチレンテレフタレート系TPEE(A)100重量部に、4,4−メチレンビス(フェニルイソシアネート)0.10〜5重量部、5000〜6万センチストークスの粘度のジメチルシリコーンオイル0.3〜4.0重量部を予め均一に混合して、190〜250℃で溶融混合する。
【0052】
この様にして、反発弾性率60〜80%、表面硬度(ショアーD)が34〜44の範囲にあり、230℃における溶融粘度が7500〜25000ポイズ、引っ張り強さ18〜30Mpaの自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物を得る。
【0053】
前記樹脂組成物を、シリンダー温度210〜250℃、押し出し速度5〜15mm/秒、パリソン肉厚2〜5mm、吹き込み時間1〜10秒、金型温度20〜40℃の条件で、ブロー成形機で成形することにより、自動車等速ジョイントブーツ成形品を得ることが出来る。
【0054】
この様にして得られる好適な成形品は本発明の効果として柔軟性、耐摩耗性のいずれにも優れているばかりでなく、副次的効果として、耐屈曲疲労性、耐水性、耐破性、耐寒性、耐候性、耐グリース性、耐オゾン性や機械的特性にも優れ、実用上極めて有用なものである。
【0055】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、実施例における溶融粘度、耐摩耗性、硬度、引張り強さ、引張り伸びは下記の要領に従って測定した。
実施例中の部は、重量部を示す。
【0056】
(1)溶融粘度
キャピラリーレオメーターを用いて、溶融混合にて得られたペレットを測定。
温度:230℃
ダイ:0.5mm×5.0mm
【0057】
(2)硬度
ASTM D−2240に従い、ショアーDを測定。測定温度は23℃。
(3)引張り強さ、引張り伸び
JIS K−6301に従い、測定。測定温度は23℃。
(4)反発弾性率
JIS K−6301に従い、測定。測定温度は23℃。
【0058】
(5)自動車等速ジョイントブーツ成形品での耐摩耗性
ブロー成形機を用いて得られた成形品を温度25±3℃、湿度40〜50%の雰囲気中に24時間以上放置した後、下記条件で自動車等速ジョイントブーツとしての機能評価試験を行い、300時間後の製品表面(接触部)の摩耗深さを測定した。
【0059】
測定条件
回転数:600rpm
揺動角度:25〜40゜
揺動サイクル:30サイクル/分
雰囲気温度:23℃
【0060】
〔TPEE(A1)の製造例〕
テレフタル酸ジメチル22.1kgと1,4−ブタンジオール10.8kg及び分子量が約1000のポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG−1000)27.5kgを用いてエステル交換反応を行い脱メタノールしてから、テトラブチルチタネート(触媒)の存在下、温度245℃にて3時間重縮合反応を行ってTPEEを得た。このTPEEは、前記ソフトセグメント/前記ハードセグメント(重量比)=62/38で、カルボキシル基と水酸基とを両方有する、水酸基価1.97mg(KOH)/gかつ酸価1.19mg(KOH)/gであった。
【0061】
得られたTPEEペレットの固有粘度、溶融粘度と射出成形にて成形した成形シート(2mm厚)の表面硬度(ショアーD)と反発弾性率を表−1に示す。尚、硬度は柔軟性の一つの尺度である。
【0062】
【表1】
Figure 0003714747
【0063】
実施例1〜6
上記得られたTPEE−A1を表−2に示した配合組成物に予め均一に混合する。240℃に設定された40mmφ1軸押出機によって溶融混練した後、ストランドとして引き出し冷却し、ペレタイザーにてカッティングしてペレットを得た。
【0064】
このペレットを用いてインラインスクリュー式射出成形機によりシリンダー温度250℃、金型温度40℃、射出スピード中速にて成形して評価用成形品を得た。得られたTPEEペレットの固有粘度、溶融粘度と射出成形にて成形した成形シート(2mm厚)の表面硬度(ショアーD)、反発弾性率、引張り強さ、引張り伸びを上記と同様にして測定した結果を表−2に示す。これら成形品は良好な外観光沢を有するものであった。
【0065】
また、表−2に示した各配合組成物を用いて、以下の条件でブロー成形による自動車等速ジョイントブーツ成形品を成形して耐摩耗性を評価した。この結果を表−2に示す。尚、前記成形品形状は図1に示した通りとした。
【0066】
ブロー成形条件
押出速度 :220℃
押出回転数 :10mm/秒
パリソン肉厚 :2〜5mm
吹込時間 :1〜10秒
金型温度 :20〜40℃
【0067】
【表2】
Figure 0003714747
【0068】
表中、MDIは 4,4-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、TDIは 2,4-トリレンジイソシアネートを示す。
【0069】
比較例1
実施例1〜6に示したのと同様に、表−3の配合組成物について評価した。
この結果を表−3に示す。
【0070】
【表3】
Figure 0003714747
【0071】
実施例2と比較例1〜2との対比からわかる通り、実施例の組成物から得られるジョイントブーツの耐摩耗性は、従来のTPEEを用いて、シリコーン化合物のみ又は有機ポリイソシアネート化合物のみを用いて溶融混合した各々の組成物から得た各々のジョイントブーツからは予想できない格別顕著なものである。
【0072】
実施例2と比較例1〜2との対比からわかる通り、有機ポリイソシアネート化合物とシリコーン化合物とを用いて溶融混合した自動車等速ジョイントブーツは良好な柔軟性と耐摩耗性を有しており、製造工程時の組み付けが極めて容易である上、組み付け後の実使用時における耐久性にも優れている。
【0073】
【発明の効果】
本発明の自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物はTPEE(A)を特定量の有機ポリイソシアネート化合物(B)で変性するとともに、特定量のシリコーン化合物(C)を併用してそれに含有させ、特定硬度範囲の樹脂組成物とするので、柔軟性と耐摩耗性を兼備する組成物が得られるという格別顕著な効果を奏する。
【0074】
しかも、前記組成物をブロー成形して得られる自動車等速ジョイントブーツ成形品はその良好な柔軟性により、硬い場合に作業性が悪かった自動車製造工程時のジョイント部分への組み付け作業が極めて容易でより短時間で出来るとともに、その良好な耐摩耗性により、組み付け後の実使用時における耐久性がより高く出来るという格別顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で得た、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物製自動車等速ジョイントブーツの半断面図である。
【符号の説明】
1 等速ジョイントブーツ
2 小径リング部
3 蛇腹部
4 大径リング部
5 シャフト
6 自在継手
7 小径バンド
8 大径バンド

Claims (9)

  1. ポリエステルエラストマー(A)100重量部に対して、有機ポリイソシアネート化合物(B)0.05〜7.0重量部とシリコーン化合物(C)0.1〜5.0重量部とを溶融混合して得られる表面硬度(ショアーD)が34〜44であることを特徴とする自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物。
  2. ポリエステルエラストマー(A)が、イソシアネート基と反応しうる活性水素原子を含有するポリエステルエラストマーである請求項1記載の自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物。
  3. ポリエステルエラストマー(A)が、反発弾性率55〜85%のポリエステルエラストマーである請求項1記載の自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物。
  4. ポリエステルエラストマー(A)が、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と1,4−ブタンジオールとポリ(オキシテトラメチレン)グリコールとを必須成分として反応させたポリエステルエラストマーである請求項1記載の自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物。
  5. 溶融混合後の反発弾性率が60〜80%である請求項1記載の自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物。
  6. ポリエステルエラストマー(A)の表面硬度(ショアーD)が30〜50である請求項1記載の自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物。
  7. 有機ポリイソシアネート化合物(B)が4,4−メチレンビス(フェニルイソシアネート)である請求項1記載の自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物。
  8. シリコーン化合物(C)がジメチルシリコーンオイルである請求項1記載の自動車等速ジョイントブーツ用樹脂組成物。
  9. ポリエステルエラストマー(A)100重量部に対して、有機ポリイソシアネート化合物(B)0.05〜7.0重量部とシリコーン化合物(C)0.1〜5.0重量部とを溶融混合して得られる表面硬度(ショアーD)が34〜44の樹脂組成物をブロー成形した自動車等速ジョイントブーツ成形品。
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