JP3712334B2 - 異方導電性接着フィルム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、LCD(液晶ディスプレイ)とTCP(テープキャリヤパッケージ)との接続や、TCPとPCB(プリント回路基板)との接続などの微細な回路同士の電気的接続に使用される異方導電性接着フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、異方導電性接着剤を用いた微細接続方法がLCDとTCPやTCPとPCBとの接続などの各種微細回路接続工程において多用されてきている。異方導電性接着剤とは、エポキシ樹脂などの各種熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などの接着性樹脂中にニッケルや鉄、コバルトなど金属粒子や表面に金属層を有する合成樹脂粒子などの導電性粒子を分散したものであり、使用方法としては、接続したい部材間に異方導電性接着剤を挟み、加熱加圧することによって接着し、上下の端子間では電気的導通を得て、面方向の隣接端子間では電気的絶縁性を保つものである。
【0003】
このような異方導電性接着剤にはその製品形態として液状やペースト状の異方導電性接着剤をシリンジなどの適当な容器に詰めたものや、例えば特開昭61−55809号公報に挙げられる様な、可とう性のあるフィルム基材上にこの異方導電性接着剤層を形成したテープ状のものを適当な巻芯に巻き重ねたロール状の異方導電性接着フィルム巻重体が有る。特に、この異方導電性接着フィルム巻重体は被着体に対して均一な厚み、幅で連続的に異方導電性接着剤を供給し、被着体に仮付けした後、基材フィルムを剥がして異方導電性接着剤のみを被着体上に残すため、接着接続工程の自動化、接着精度アップにもつながるという特徴を有する。
【0004】
また、より細幅のロールとすることも可能で、例えばLCDパネルの額縁などのように極めて細幅の接着面にも対応できる。また、逆に広幅のロールとして被着体に対してシートとして供給でき、面積の大きな被着体や、多数の被着体を一括して接着接続することも可能である。さらに液状やペースト状の異方導電性接着剤で懸念される液ダレや糸引きによる被着体やその周辺部材の汚染の恐れがないという特徴もあるため、現在異方導電性接着剤の製品形態として主流になっている。
【0005】
しかしこのような異方導電性接着フィルム巻重体では、これまで使用時巻き出しする際に基材フィルム背面に異方導電性接着剤が転着してしまうトラブルや、被着体上に異方導電接着剤を仮付けする際に基材フィルムから剥がれないトラブルが発生するという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するため、例えば実開平4−87118号公報に挙げられるようにシリコン離型処理や粗面処理、プラズマ処理などの各種表面処理を組み合わせることによって、基材フィルムの異方導電性接着剤に対する密着性をコントロールすることも提案された。
【0007】
しかし、もともと剥離性の無いポリエチレンテレフタレートなどの基材フィルムに対してシリコン離型処理などの剥離性処理を施し、表裏の密着性を変えた場合には、異方導電性接着剤の基材背面への転着トラブルの無いことや基材からの剥離性は良好であるものの、剥離剤の耐溶剤性や基材フィルムと剥離剤との密着性、接着剤の種類などによっては、剥離性能の異常や接着剤層の表面に剥離剤が移行することによる異方導電性接着剤の性能低下、被着体の汚染トラブルなどに対する心配が残るため、どのような剥離性処理を施したものでも良いという訳には行かず、異方導電性接着フイルムに最適な剥離性処理を施す必要があった。
【0008】
またもともと剥離性のある、例えばフッ素樹脂製の基材フィルムに対して粗面処理やプラズマ処理を施し、一方の面の密着性を上げる事で表裏の差を付けた場合には、異方導電性接着剤に対して密着性が逆に高くなりすぎて基材フィルムから剥がれない場合があったり、処理効果が長期間持続しない場合もあるという問題があった。
【0009】
一方、特開平6−103818号公報に挙げられるような異方導電性接着剤層を2層化し最上層に基材フィルムとの密着性の低い層を設けるなどの提案もなされているが、基材フィルム上への塗布工程が2回必要になり、製造工程の複雑化、コストアップなどの問題があった。
【0010】
一方で、上記のような問題点を比較的簡便に解決できる方法として、密着性の異なる2種類の剥離性フィルム(ベースフィルム、カバーフィルム)を用いて異方導電性接着剤層をサンドイッチした3層構造の製品形態も提案されている。このような形態は、使用する際に一方の剥離性フィルムを剥がしながら、異方導電性接着剤層を被着体に貼り付けてゆくため、異方導電性接着剤層が使用直前まで異物や被着体以外のものとの接触から保護されているという利点があるものの、剥離性フィルムを剥がす際に発生する静電気(剥離帯電)によって、LCDパネルの電子部品を破損したり、貼り付け設備に剥離性フィルムがまとわり付き、設備トラブルを引き起こすなどの問題があった。
【0011】
上記のようなフィルムの剥離帯電によるトラブルを防止する方法としては、フィルム基材表面に界面活性剤など帯電防止材を塗布する方法、フィルム基材にカーボンなどの導電性フィラーや界面活性剤を練り込んだフィルムを使用する方法、2枚のフィルムを界面活性剤を含有する接着剤で貼りあわせる方法などが知られている。しかし3層構造の異方導電フィルム使用時のカバーフィルム剥離速度や巻きだし速度、異方導電接着剤の種類によるカバーフィルムやベースフィルムへの粘着性変化などによって帯電防止効果が無くなったり、帯電防止剤の保存性、異方導電性接着剤への影響等の事を考慮すると単に帯電防止処理されていれば良いというのではなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術のこのような問題に鑑みて種々の検討の結果なされたものであり、その目的とするところは、LCDとTCPとの接続や、TCPとPCBとの接続などの微細回路同士の電気的接続に使用される3層構造の異方導電性接着フィルムにおいて、静電気によるトラブルが無く、且つ接続信頼性などの接着特性にも問題の無い3層構造の異方導電性接着フィルムを提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
剥離性フィルム(ベースフィルム)の剥離面上に異方導電性接着剤層を形成したテープの接着剤層の上に、別の剥離性フィルム(カバーフィルム)を重ねた3層構造の異方導電性接着フィルムにおいて、剥離性フィルム(ベースフィルム)の剥離面がポリシリコーン側鎖又はポリオレフィン側鎖を有するアルキド樹脂とメラミン樹脂との硬化物でコーティングされており、且つ剥離性フィルム(カバーフィルム)の剥離面がフロロアルキルシラン化合物でコーティングされており、さらにそれぞれの剥離性フィルムの一方あるいは両方が帯電防止処理されている異方導電性接着フィルム巻重体である。
【0014】
更に好ましい形態としては、上記帯電防止処理が帯電防止剤のコーティングであり、帯電防止剤が4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤である異方導電性接着フィルムである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ポリシリコーン側鎖あるいはポリオレフィン側鎖を有するアルキド樹脂とメラミン樹脂との硬化物でコーティングされている剥離性フィルム(ベースフィルム)が、主鎖がアルキド樹脂とメラミン樹脂との硬化物であるためフィルム基材との密着性や耐溶剤性、耐熱性に優れ、さらに側鎖がポリシリコーンあるいはポリオレフィンであるため異方導電性接着剤に対して適度な剥離性を有する事から、3層構造の異方導電性接着フィルムに用いる剥離性フィルム(ベースフィルム)として最適である事を見いだした。
【0016】
またフロロアルキルシラン化合物をコーティングした剥離性フィルム(カバーフィルム)が、フロロアルキルシラン化合物に含有されるフロロアルキルシリル基により通常のシリコン離型剤などに比べフィルム基材との密着性や耐溶剤性、耐熱性、異方導電性接着剤に対する剥離性に優れるので、3層構造の異方導電性接着フィルムに用いる剥離性フィルム(カバーフィルム)として最適である事を見いだした。
さらにそれらの剥離性フィルム(ベースフィルム、カバーフィルム)が帯電防止処理を施されることによって静電気を防止できることを見いだした。
【0017】
その事により、上記の剥離性フィルム(ベースフィルム、カバーフィルム)を用いることによって、使用時巻き出しする際やカバーフィルムを剥がす際に発生する静電気によるトラブルや、接続信頼性低下や接着特性低下の心配の無い、3層構造の異方導電性接着フィルムの得られることを見いだした。
【0018】
本発明に用いられる剥離性フィルム(ベースフィルム、カバーフィルム)の基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミドなどの各種フィルム基材を用いることができる。また、これらのフィルム基材は透明性、半透明性、不透明性のいずれも適用可能であり、着色されているもの、無機あるいは有機フィラーを含有するもの、さらに予めコロナ処理、プラズマ処理、粗面化処理など各種表面処理を施されたものも用いることが可能である。
【0019】
フロロアルキルシラン化合物としては、例えば一般式(1)〜一般式(4)に示されるような分子中にフロロアルキルシリル基を有する化合物であれば特に限定されない。
【0020】
【化1】
(式中、m:1〜100の整数、n:1〜100の整数)
【0021】
【化2】
(式中、m:1〜100の整数、n:1〜100の整数)
【0022】
【化3】
(式中、n:1〜100の整数)
【0023】
【化4】
(式中、n:1〜100の整数)
【0024】
また、フロロアルキルシラン化合物の種類によっては加熱処理やUV処理、適当な触媒、架橋剤などによって硬化させて用いることも可能である。さらに、剥離性能をコントロールするため、これらフロロアルキルシラン化合物と反応性のあるポリシロキサン(例えば一般式(5)、(6)に示される化合物)をフィルム基材との密着性や耐溶剤性、耐熱性、異方導電性接着剤に対する剥離性が低下しない範囲でブレンドしたり、フロロアルキルシリル基含有量の異なる化合物を混合して用いることも可能である。
【0025】
【化5】
(式中、m:1〜100の整数、n:1〜100の整数)
【0026】
【化6】
(式中、m:1〜100の整数、n:1〜100の整数)
【0027】
フィルム基材上に塗布する際のコーティング方法や使用する溶剤、コーティング厚なども、使用されるフルオロアルキルシラン化合物の種類や剥離性コントロールのため適切なものを選択できる。それらは使用される異方導電性接着剤やフィルム基材との組み合わせによって適切なものを選択できることは言うまでもない。さらに、コーティング後フィルムを巻き取る際、別のフィルムを重ねて巻き取ることでフロロアルキルシラン化合物コーティング面を保護したり、コーティング背面にフロロアルキルシラン化合物が付着するのを防止することもできる。
【0028】
ポリシリコーン側鎖あるいはポリオレフィン側鎖を有するアルキド樹脂とメラミン樹脂との硬化物は、例えば一般式(7)あるいは一般式(8)に示されるようなポリシリコーン側鎖あるいはポリオレフィン側鎖を有するアルキド樹脂とメラミン樹脂とを加熱処理することによって硬化させたものであれば、主鎖の分子量や側鎖の分子量、側鎖の割合、アルキド樹脂とメラミン樹脂との比率など特に限定されるものではない。
【0029】
【化7】
(繰返し数pで示される繰返し単位と、繰返し数qで示される繰返し単位とはランダムでもブロックでもよい。式中、p:1〜100の整数、q:1〜100の整数、r:1〜100の整数)
【0030】
【化8】
(繰返し数pで示される繰返し単位と、繰返し数qで示される繰返し単位とはランダムでもブロックでもよい。式中、p:1〜100の整数、q:1〜100の整数、r:1〜100の整数)
【0031】
剥離性能をコントロールしたり、耐熱性や耐溶剤性、フィルム基材との密着性アップを図るため、主鎖の分子量や側鎖の分子量、側鎖の割合、アルキド樹脂とメラミン樹脂との比率を変えたり、2種類以上混合して用いることも可能である。
【0032】
本発明に用いられる剥離性フィルムの帯電防止処理方法としては、フィルム基材表面に界面活性剤を塗布する方法、導電性を有する無機フィラーや界面活性剤を練り込むなどの方法があげられるが、フィルム基材表面に界面活性剤を塗布する方法と導電性を有する無機フィラーや界面活性剤を練り込むなどの方法とでは、表面に塗布する方法のほうが帯電防止効果が大きくより望ましい。
【0033】
界面活性剤としては、4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(例えば一般式(9)に示される化合物)、ポリオキシエチレンアルキルアミン型ノニオン界面活性剤(例えば一般式(10)に示される化合物)、アニオン型界面活性剤(例えば一般式(11)に示される化合物)などをあげることができるが、中でも4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤が、耐久性と帯電防止効果に優れることから、より好適に用いることができる。
【化9】
【0034】
また、表面に界面活性剤を塗布する場合、剥離性フィルムの剥離処理の下側に塗布する方法と剥離処理の裏側に塗布する方法とがあるが、剥離処理の安定性や帯電防止効果の大きさ、異方導電性接着剤への影響から剥離性面の裏面へ処理するのがより好ましい。
【0035】
本発明の異方導電性接着剤に使用される導電性粒子としては、例えばNi,Co,Al,Ag,Au,Cu,Feなどの金属粒子やそれらの合金、あるいは酸化物を単独あるいは混合して用いることが可能である。また、これら金属をガラスや、合成樹脂の表面にコーティングしたものを用いることもできる。導電粒子の含有量や粒子の大きさ、使用される粒子の種類は被着体の回路幅や材質などから、接着後の絶縁性や接続信頼性などを加味して選択できることは当然である。
【0036】
接着性樹脂としては、エポキシ樹脂やポリビニルアセタール樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリレート樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂などが適用可能であり単独あるいは2種類以上混合して用いることもできる。また、各種粘着付与剤や可塑剤、硬化剤、架橋剤、分散剤、カップリング剤などを添加して使用することもできる。
【0037】
異方導電フィルムは、フィルム巻重体とすることにより、保管、運搬などの取扱が容易になるため巻重体とされることが多く、本発明の構成は巻重体とした場合特に好ましい。フィルム巻重体とする際の巻き芯の材質はプラスチック製のものが、紙製のものに比べて異方導電性接着剤に異物が付かないので好ましい。また、巻き長や幅は使用方法を加味して適切なものであればよく、予め長尺広幅のロールとした後別の巻き芯に細幅にスリットしながら巻き取って、細幅の異方導電性接着フィルム巻重体とすることもできる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により説明する。
(実施例1)
一般式(7)に示されるポリシリコーン側鎖を有するアルキド樹脂(分子量:3000)とメラミン樹脂とを3:1の割合でトルエンに溶解した3%溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾燥後樹脂の重量が1平方メートルあたり約0.2gになるよう塗布し、150℃で3分間乾燥機を通して加熱硬化して剥離性フィルム(ベースフィルム)を得た。
さらに(1)式と(2)式に示されるフロロアルキルシラン化合物を1:1の割合でn−ヘキサンに溶解した2%溶液に白金触媒0.1%を添加したワニスを、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾燥後樹脂の重量が1平方メートルあたり約0.1gになるよう塗布し、160℃で2分間乾燥機を通して加熱硬化して剥離性フィルム(カバーフィルム)を得た。
上記ベースフィルム及びカバーフィルムの剥離性面の裏面に一般式(9)に示される4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(分子量:500)の1%水溶液を塗布し150℃で3分間加熱乾燥して帯電防止処理を施した。
【0039】
上記ベースフィルムのポリシリコーン側鎖を有するアルキド樹脂とメラミン樹脂との硬化物がコートされている面上に、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量200g/eq)100重量部と2−メチルイミダゾール20重量部、ポリビニルアセタール樹脂(重合度500,アセタール化度70mol%)70重量部をトルエン中に40重量%溶解した溶液中に、ポリスチレン粒子の表面にNiを被覆し更にAuを被覆した平均粒径約10ミクロンの導電粒子を2重量部分散させた異方導電性接着剤溶液を、乾燥後接着性樹脂層の厚みが25ミクロンになるよう塗布、加熱乾燥しながら塩化ビニール製の巻き芯に上記カバーフィルムと共に巻き取り、巻重体の形とした3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0040】
(実施例2)
ベースフィルムを作製する際、一般式(8)に示されるポリオレフィン側鎖を有するアルキド樹脂(分子量:3000)を使用する以外は、実施例1と同様にして3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0041】
(実施例3)
ベースフィルム及びカバーフィルムの剥離性面の裏面に一般式(10)に示されるノニオン型界面活性剤(分子量:1000)の1%水溶液を塗布し150℃で3分間加熱乾燥して帯電防止処理を施す以外は実施例1と同様にして3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0042】
(実施例4)
ベースフィルム及びカバーフィルムの剥離性面の裏面に一般式(11)に示されるアニオン型界面活性剤(分子量:1000)の1%水溶液を塗布し150℃で3分間加熱乾燥して帯電防止処理を施す以外は実施例1と同様にして3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0043】
(実施例5)
カバーフィルムにのみ4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を用いて帯電防止処理を施す以外は、実施例1と同様にして3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0044】
(実施例6)
ベースフィルムにのみ4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を用いて帯電防止処理を施す以外は、実施例1と同様にして3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0045】
(実施例7)
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に一般式(9)に示される4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(分子量:500)の1%水溶液を塗布し150℃で3分間加熱乾燥して帯電防止処理を施した後、帯電防止処理した面上に1式と2式に示されるフロロアルキルシラン化合物を1:1の割合でn−ヘキサンに溶解した2%溶液に白金触媒0.1%を添加したワニスを、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾燥後樹脂の重量が1平方メートルあたり約0.1gになるよう塗布し、160℃で2分間乾燥機を通して加熱硬化してカバーフィルムを得た後、実施例1と同様にして3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0046】
(実施例8)
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に一般式(9)に示される4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤1%水溶液を塗布し150℃で3分間加熱乾燥して帯電防止処理を施した後、帯電防止処理した面上に一般式(7)に示されるポリシリコーン側鎖を有するアルキド樹脂とメラミン樹脂とを3:1の割合でトルエンに溶解した3%溶液を乾燥後樹脂の重量が1平方メートルあたり約0.2gになるよう塗布し、150℃で3分間乾燥機を通して加熱硬化してベースフィルムを得た後、実施例1と同様にして3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0047】
(比較例1)
カバーフィルムを作製する際、フィルム基材の片側にフロロアルキルシラン化合物をコートしない事以外は、実施例1と同様にして異方導電性接着フィルムを得た。
(比較例2)
ベースフィルムを作製する際、ポリシリコーン側鎖を有するアルキド樹脂とメラミン樹脂とを塗布しない事以外は、実施例1と同様にして異方導電性接着フィルムを得た。
【0048】
(比較例3)
カバーフィルムを作製する際、フロロアルキルシラン化合物の代わりに一般式(5)と一般式(6)に示されるシリコーン樹脂(各分子量:1000)を1:1の割合で使用したこと以外は実施例1と同様にして異方導電性接着フィルムを得た。
【0049】
(比較例4)
ベースフィルム及びカバーフィルムを作製する際、帯電防止処理を施さない事以外は、実施例1と同様にして異方導電性接着フィルムを得た。
【0050】
<評価方法の説明>
(帯電性評価方法)
異方導電性フィルムの巻重体の巻き芯を軸に通し、カバーフィルムの端部を持って勢い良くひっぱり出し、何ら問題無いものを〇、カバーフィルムやベースフィルムがやや帯電して設備周辺に引付けられる傾向が見られるものを△、カバーフィルムやベースフィルムが完全に帯電して設備周辺にまとわり付くものを×とした。
(保存後帯電性評価方法)
異方導電性フィルムの巻重体を30℃90%、3ヶ月放置後、巻き芯を軸に通し、カバーフィルムの端部を持って勢い良くひっぱり出し、何ら問題無いものを〇、カバーフィルムやベースフィルムがやや帯電して設備周辺に引付けられる傾向が見られるものを△、カバーフィルムやベースフィルムが完全に帯電して設備周辺にまとわり付くものを×とした。
【0051】
(巻き出し性評価方法)
異方導電性フィルムの巻重体の巻き芯を軸に通し、カバーフィルムの端部を持って勢い良くひっぱり出し、何ら問題無いものを〇、接着性樹脂がフィルム基材から剥がれたり、カバーフィルム背面に転着するものを×とした。
(仮付け性評価方法)
厚さ1.1mmのガラス上に、異方導電フィルムの巻重体から2mm幅にカットしたものをのせ、温度70℃、圧力5kg/cm2で、2秒間加熱加圧して貼り付けた後、両面剥離性フィルム基材端部をピンセットでつまみ上げた。フィルム基材のみ剥がれたものを〇、接着性樹脂ごと剥がれたものを×とした。
【0052】
(接着強度、接続信頼性評価サンプルの作製)
銅箔/ポリイミド=25/75μmに0.4μmの錫メッキを施したTCP(ピッチ0.10mm、端子数200本)とシート抵抗値30Ωのインジウム/錫酸化物皮膜を全面に形成した厚さ1.1mmのガラス(以下ITOガラス)との間に、異方導電フィルム巻重体から2mm幅にカットし、フィルム基材から剥がした接着性樹脂を挟み、温度180℃、圧力30kg/cm2、20秒間の条件で加熱加圧接着し、評価サンプルを作製した。
【0053】
(接着強度測定方法)
得られた評価サンプルをテンシロンを用いて、引っ張り速度50mm/分で90゜剥離し、接着強度を求めた。
(接続信頼性評価方法)
評価サンプル作製直後および温度85℃、湿度85%、100時間放置後の隣接端子間の接続抵抗を測定した。また測定できないものを導通不良(OPEN)とした。
【0054】
以上の実施例、比較例の評価結果を表1に示す。
【表1】
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の剥離性フィルム(ベースフィルム)の剥離面上に異方導電性接着剤層を形成したテープの接着剤層の上に、別の剥離性フィルム(カバーフィルム)を重ねた3層構造のテープを巻き芯に多重巻き重ねた異方導電性接着フィルムにおいて発生していた、使用時巻き出しする際やカバーフィルムを剥がす際に発生する静電気によるトラブルや、カバーフィルムへの異方導電性接着剤の転着トラブル、被着体上に異方導電接着剤を仮付けする際にベースフィルムから剥がれないというトラブル、接続信頼性の低下や接着特性の低下などの問題の無い、異方導電性接着フィルムを提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、LCD(液晶ディスプレイ)とTCP(テープキャリヤパッケージ)との接続や、TCPとPCB(プリント回路基板)との接続などの微細な回路同士の電気的接続に使用される異方導電性接着フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、異方導電性接着剤を用いた微細接続方法がLCDとTCPやTCPとPCBとの接続などの各種微細回路接続工程において多用されてきている。異方導電性接着剤とは、エポキシ樹脂などの各種熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などの接着性樹脂中にニッケルや鉄、コバルトなど金属粒子や表面に金属層を有する合成樹脂粒子などの導電性粒子を分散したものであり、使用方法としては、接続したい部材間に異方導電性接着剤を挟み、加熱加圧することによって接着し、上下の端子間では電気的導通を得て、面方向の隣接端子間では電気的絶縁性を保つものである。
【0003】
このような異方導電性接着剤にはその製品形態として液状やペースト状の異方導電性接着剤をシリンジなどの適当な容器に詰めたものや、例えば特開昭61−55809号公報に挙げられる様な、可とう性のあるフィルム基材上にこの異方導電性接着剤層を形成したテープ状のものを適当な巻芯に巻き重ねたロール状の異方導電性接着フィルム巻重体が有る。特に、この異方導電性接着フィルム巻重体は被着体に対して均一な厚み、幅で連続的に異方導電性接着剤を供給し、被着体に仮付けした後、基材フィルムを剥がして異方導電性接着剤のみを被着体上に残すため、接着接続工程の自動化、接着精度アップにもつながるという特徴を有する。
【0004】
また、より細幅のロールとすることも可能で、例えばLCDパネルの額縁などのように極めて細幅の接着面にも対応できる。また、逆に広幅のロールとして被着体に対してシートとして供給でき、面積の大きな被着体や、多数の被着体を一括して接着接続することも可能である。さらに液状やペースト状の異方導電性接着剤で懸念される液ダレや糸引きによる被着体やその周辺部材の汚染の恐れがないという特徴もあるため、現在異方導電性接着剤の製品形態として主流になっている。
【0005】
しかしこのような異方導電性接着フィルム巻重体では、これまで使用時巻き出しする際に基材フィルム背面に異方導電性接着剤が転着してしまうトラブルや、被着体上に異方導電接着剤を仮付けする際に基材フィルムから剥がれないトラブルが発生するという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するため、例えば実開平4−87118号公報に挙げられるようにシリコン離型処理や粗面処理、プラズマ処理などの各種表面処理を組み合わせることによって、基材フィルムの異方導電性接着剤に対する密着性をコントロールすることも提案された。
【0007】
しかし、もともと剥離性の無いポリエチレンテレフタレートなどの基材フィルムに対してシリコン離型処理などの剥離性処理を施し、表裏の密着性を変えた場合には、異方導電性接着剤の基材背面への転着トラブルの無いことや基材からの剥離性は良好であるものの、剥離剤の耐溶剤性や基材フィルムと剥離剤との密着性、接着剤の種類などによっては、剥離性能の異常や接着剤層の表面に剥離剤が移行することによる異方導電性接着剤の性能低下、被着体の汚染トラブルなどに対する心配が残るため、どのような剥離性処理を施したものでも良いという訳には行かず、異方導電性接着フイルムに最適な剥離性処理を施す必要があった。
【0008】
またもともと剥離性のある、例えばフッ素樹脂製の基材フィルムに対して粗面処理やプラズマ処理を施し、一方の面の密着性を上げる事で表裏の差を付けた場合には、異方導電性接着剤に対して密着性が逆に高くなりすぎて基材フィルムから剥がれない場合があったり、処理効果が長期間持続しない場合もあるという問題があった。
【0009】
一方、特開平6−103818号公報に挙げられるような異方導電性接着剤層を2層化し最上層に基材フィルムとの密着性の低い層を設けるなどの提案もなされているが、基材フィルム上への塗布工程が2回必要になり、製造工程の複雑化、コストアップなどの問題があった。
【0010】
一方で、上記のような問題点を比較的簡便に解決できる方法として、密着性の異なる2種類の剥離性フィルム(ベースフィルム、カバーフィルム)を用いて異方導電性接着剤層をサンドイッチした3層構造の製品形態も提案されている。このような形態は、使用する際に一方の剥離性フィルムを剥がしながら、異方導電性接着剤層を被着体に貼り付けてゆくため、異方導電性接着剤層が使用直前まで異物や被着体以外のものとの接触から保護されているという利点があるものの、剥離性フィルムを剥がす際に発生する静電気(剥離帯電)によって、LCDパネルの電子部品を破損したり、貼り付け設備に剥離性フィルムがまとわり付き、設備トラブルを引き起こすなどの問題があった。
【0011】
上記のようなフィルムの剥離帯電によるトラブルを防止する方法としては、フィルム基材表面に界面活性剤など帯電防止材を塗布する方法、フィルム基材にカーボンなどの導電性フィラーや界面活性剤を練り込んだフィルムを使用する方法、2枚のフィルムを界面活性剤を含有する接着剤で貼りあわせる方法などが知られている。しかし3層構造の異方導電フィルム使用時のカバーフィルム剥離速度や巻きだし速度、異方導電接着剤の種類によるカバーフィルムやベースフィルムへの粘着性変化などによって帯電防止効果が無くなったり、帯電防止剤の保存性、異方導電性接着剤への影響等の事を考慮すると単に帯電防止処理されていれば良いというのではなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術のこのような問題に鑑みて種々の検討の結果なされたものであり、その目的とするところは、LCDとTCPとの接続や、TCPとPCBとの接続などの微細回路同士の電気的接続に使用される3層構造の異方導電性接着フィルムにおいて、静電気によるトラブルが無く、且つ接続信頼性などの接着特性にも問題の無い3層構造の異方導電性接着フィルムを提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
剥離性フィルム(ベースフィルム)の剥離面上に異方導電性接着剤層を形成したテープの接着剤層の上に、別の剥離性フィルム(カバーフィルム)を重ねた3層構造の異方導電性接着フィルムにおいて、剥離性フィルム(ベースフィルム)の剥離面がポリシリコーン側鎖又はポリオレフィン側鎖を有するアルキド樹脂とメラミン樹脂との硬化物でコーティングされており、且つ剥離性フィルム(カバーフィルム)の剥離面がフロロアルキルシラン化合物でコーティングされており、さらにそれぞれの剥離性フィルムの一方あるいは両方が帯電防止処理されている異方導電性接着フィルム巻重体である。
【0014】
更に好ましい形態としては、上記帯電防止処理が帯電防止剤のコーティングであり、帯電防止剤が4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤である異方導電性接着フィルムである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ポリシリコーン側鎖あるいはポリオレフィン側鎖を有するアルキド樹脂とメラミン樹脂との硬化物でコーティングされている剥離性フィルム(ベースフィルム)が、主鎖がアルキド樹脂とメラミン樹脂との硬化物であるためフィルム基材との密着性や耐溶剤性、耐熱性に優れ、さらに側鎖がポリシリコーンあるいはポリオレフィンであるため異方導電性接着剤に対して適度な剥離性を有する事から、3層構造の異方導電性接着フィルムに用いる剥離性フィルム(ベースフィルム)として最適である事を見いだした。
【0016】
またフロロアルキルシラン化合物をコーティングした剥離性フィルム(カバーフィルム)が、フロロアルキルシラン化合物に含有されるフロロアルキルシリル基により通常のシリコン離型剤などに比べフィルム基材との密着性や耐溶剤性、耐熱性、異方導電性接着剤に対する剥離性に優れるので、3層構造の異方導電性接着フィルムに用いる剥離性フィルム(カバーフィルム)として最適である事を見いだした。
さらにそれらの剥離性フィルム(ベースフィルム、カバーフィルム)が帯電防止処理を施されることによって静電気を防止できることを見いだした。
【0017】
その事により、上記の剥離性フィルム(ベースフィルム、カバーフィルム)を用いることによって、使用時巻き出しする際やカバーフィルムを剥がす際に発生する静電気によるトラブルや、接続信頼性低下や接着特性低下の心配の無い、3層構造の異方導電性接着フィルムの得られることを見いだした。
【0018】
本発明に用いられる剥離性フィルム(ベースフィルム、カバーフィルム)の基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミドなどの各種フィルム基材を用いることができる。また、これらのフィルム基材は透明性、半透明性、不透明性のいずれも適用可能であり、着色されているもの、無機あるいは有機フィラーを含有するもの、さらに予めコロナ処理、プラズマ処理、粗面化処理など各種表面処理を施されたものも用いることが可能である。
【0019】
フロロアルキルシラン化合物としては、例えば一般式(1)〜一般式(4)に示されるような分子中にフロロアルキルシリル基を有する化合物であれば特に限定されない。
【0020】
【化1】
(式中、m:1〜100の整数、n:1〜100の整数)
【0021】
【化2】
(式中、m:1〜100の整数、n:1〜100の整数)
【0022】
【化3】
(式中、n:1〜100の整数)
【0023】
【化4】
(式中、n:1〜100の整数)
【0024】
また、フロロアルキルシラン化合物の種類によっては加熱処理やUV処理、適当な触媒、架橋剤などによって硬化させて用いることも可能である。さらに、剥離性能をコントロールするため、これらフロロアルキルシラン化合物と反応性のあるポリシロキサン(例えば一般式(5)、(6)に示される化合物)をフィルム基材との密着性や耐溶剤性、耐熱性、異方導電性接着剤に対する剥離性が低下しない範囲でブレンドしたり、フロロアルキルシリル基含有量の異なる化合物を混合して用いることも可能である。
【0025】
【化5】
(式中、m:1〜100の整数、n:1〜100の整数)
【0026】
【化6】
(式中、m:1〜100の整数、n:1〜100の整数)
【0027】
フィルム基材上に塗布する際のコーティング方法や使用する溶剤、コーティング厚なども、使用されるフルオロアルキルシラン化合物の種類や剥離性コントロールのため適切なものを選択できる。それらは使用される異方導電性接着剤やフィルム基材との組み合わせによって適切なものを選択できることは言うまでもない。さらに、コーティング後フィルムを巻き取る際、別のフィルムを重ねて巻き取ることでフロロアルキルシラン化合物コーティング面を保護したり、コーティング背面にフロロアルキルシラン化合物が付着するのを防止することもできる。
【0028】
ポリシリコーン側鎖あるいはポリオレフィン側鎖を有するアルキド樹脂とメラミン樹脂との硬化物は、例えば一般式(7)あるいは一般式(8)に示されるようなポリシリコーン側鎖あるいはポリオレフィン側鎖を有するアルキド樹脂とメラミン樹脂とを加熱処理することによって硬化させたものであれば、主鎖の分子量や側鎖の分子量、側鎖の割合、アルキド樹脂とメラミン樹脂との比率など特に限定されるものではない。
【0029】
【化7】
(繰返し数pで示される繰返し単位と、繰返し数qで示される繰返し単位とはランダムでもブロックでもよい。式中、p:1〜100の整数、q:1〜100の整数、r:1〜100の整数)
【0030】
【化8】
(繰返し数pで示される繰返し単位と、繰返し数qで示される繰返し単位とはランダムでもブロックでもよい。式中、p:1〜100の整数、q:1〜100の整数、r:1〜100の整数)
【0031】
剥離性能をコントロールしたり、耐熱性や耐溶剤性、フィルム基材との密着性アップを図るため、主鎖の分子量や側鎖の分子量、側鎖の割合、アルキド樹脂とメラミン樹脂との比率を変えたり、2種類以上混合して用いることも可能である。
【0032】
本発明に用いられる剥離性フィルムの帯電防止処理方法としては、フィルム基材表面に界面活性剤を塗布する方法、導電性を有する無機フィラーや界面活性剤を練り込むなどの方法があげられるが、フィルム基材表面に界面活性剤を塗布する方法と導電性を有する無機フィラーや界面活性剤を練り込むなどの方法とでは、表面に塗布する方法のほうが帯電防止効果が大きくより望ましい。
【0033】
界面活性剤としては、4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(例えば一般式(9)に示される化合物)、ポリオキシエチレンアルキルアミン型ノニオン界面活性剤(例えば一般式(10)に示される化合物)、アニオン型界面活性剤(例えば一般式(11)に示される化合物)などをあげることができるが、中でも4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤が、耐久性と帯電防止効果に優れることから、より好適に用いることができる。
【化9】
【0034】
また、表面に界面活性剤を塗布する場合、剥離性フィルムの剥離処理の下側に塗布する方法と剥離処理の裏側に塗布する方法とがあるが、剥離処理の安定性や帯電防止効果の大きさ、異方導電性接着剤への影響から剥離性面の裏面へ処理するのがより好ましい。
【0035】
本発明の異方導電性接着剤に使用される導電性粒子としては、例えばNi,Co,Al,Ag,Au,Cu,Feなどの金属粒子やそれらの合金、あるいは酸化物を単独あるいは混合して用いることが可能である。また、これら金属をガラスや、合成樹脂の表面にコーティングしたものを用いることもできる。導電粒子の含有量や粒子の大きさ、使用される粒子の種類は被着体の回路幅や材質などから、接着後の絶縁性や接続信頼性などを加味して選択できることは当然である。
【0036】
接着性樹脂としては、エポキシ樹脂やポリビニルアセタール樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリレート樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂などが適用可能であり単独あるいは2種類以上混合して用いることもできる。また、各種粘着付与剤や可塑剤、硬化剤、架橋剤、分散剤、カップリング剤などを添加して使用することもできる。
【0037】
異方導電フィルムは、フィルム巻重体とすることにより、保管、運搬などの取扱が容易になるため巻重体とされることが多く、本発明の構成は巻重体とした場合特に好ましい。フィルム巻重体とする際の巻き芯の材質はプラスチック製のものが、紙製のものに比べて異方導電性接着剤に異物が付かないので好ましい。また、巻き長や幅は使用方法を加味して適切なものであればよく、予め長尺広幅のロールとした後別の巻き芯に細幅にスリットしながら巻き取って、細幅の異方導電性接着フィルム巻重体とすることもできる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により説明する。
(実施例1)
一般式(7)に示されるポリシリコーン側鎖を有するアルキド樹脂(分子量:3000)とメラミン樹脂とを3:1の割合でトルエンに溶解した3%溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾燥後樹脂の重量が1平方メートルあたり約0.2gになるよう塗布し、150℃で3分間乾燥機を通して加熱硬化して剥離性フィルム(ベースフィルム)を得た。
さらに(1)式と(2)式に示されるフロロアルキルシラン化合物を1:1の割合でn−ヘキサンに溶解した2%溶液に白金触媒0.1%を添加したワニスを、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾燥後樹脂の重量が1平方メートルあたり約0.1gになるよう塗布し、160℃で2分間乾燥機を通して加熱硬化して剥離性フィルム(カバーフィルム)を得た。
上記ベースフィルム及びカバーフィルムの剥離性面の裏面に一般式(9)に示される4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(分子量:500)の1%水溶液を塗布し150℃で3分間加熱乾燥して帯電防止処理を施した。
【0039】
上記ベースフィルムのポリシリコーン側鎖を有するアルキド樹脂とメラミン樹脂との硬化物がコートされている面上に、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量200g/eq)100重量部と2−メチルイミダゾール20重量部、ポリビニルアセタール樹脂(重合度500,アセタール化度70mol%)70重量部をトルエン中に40重量%溶解した溶液中に、ポリスチレン粒子の表面にNiを被覆し更にAuを被覆した平均粒径約10ミクロンの導電粒子を2重量部分散させた異方導電性接着剤溶液を、乾燥後接着性樹脂層の厚みが25ミクロンになるよう塗布、加熱乾燥しながら塩化ビニール製の巻き芯に上記カバーフィルムと共に巻き取り、巻重体の形とした3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0040】
(実施例2)
ベースフィルムを作製する際、一般式(8)に示されるポリオレフィン側鎖を有するアルキド樹脂(分子量:3000)を使用する以外は、実施例1と同様にして3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0041】
(実施例3)
ベースフィルム及びカバーフィルムの剥離性面の裏面に一般式(10)に示されるノニオン型界面活性剤(分子量:1000)の1%水溶液を塗布し150℃で3分間加熱乾燥して帯電防止処理を施す以外は実施例1と同様にして3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0042】
(実施例4)
ベースフィルム及びカバーフィルムの剥離性面の裏面に一般式(11)に示されるアニオン型界面活性剤(分子量:1000)の1%水溶液を塗布し150℃で3分間加熱乾燥して帯電防止処理を施す以外は実施例1と同様にして3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0043】
(実施例5)
カバーフィルムにのみ4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を用いて帯電防止処理を施す以外は、実施例1と同様にして3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0044】
(実施例6)
ベースフィルムにのみ4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を用いて帯電防止処理を施す以外は、実施例1と同様にして3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0045】
(実施例7)
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に一般式(9)に示される4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(分子量:500)の1%水溶液を塗布し150℃で3分間加熱乾燥して帯電防止処理を施した後、帯電防止処理した面上に1式と2式に示されるフロロアルキルシラン化合物を1:1の割合でn−ヘキサンに溶解した2%溶液に白金触媒0.1%を添加したワニスを、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾燥後樹脂の重量が1平方メートルあたり約0.1gになるよう塗布し、160℃で2分間乾燥機を通して加熱硬化してカバーフィルムを得た後、実施例1と同様にして3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0046】
(実施例8)
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に一般式(9)に示される4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤1%水溶液を塗布し150℃で3分間加熱乾燥して帯電防止処理を施した後、帯電防止処理した面上に一般式(7)に示されるポリシリコーン側鎖を有するアルキド樹脂とメラミン樹脂とを3:1の割合でトルエンに溶解した3%溶液を乾燥後樹脂の重量が1平方メートルあたり約0.2gになるよう塗布し、150℃で3分間乾燥機を通して加熱硬化してベースフィルムを得た後、実施例1と同様にして3層構造の異方導電性接着フィルムを得た。
【0047】
(比較例1)
カバーフィルムを作製する際、フィルム基材の片側にフロロアルキルシラン化合物をコートしない事以外は、実施例1と同様にして異方導電性接着フィルムを得た。
(比較例2)
ベースフィルムを作製する際、ポリシリコーン側鎖を有するアルキド樹脂とメラミン樹脂とを塗布しない事以外は、実施例1と同様にして異方導電性接着フィルムを得た。
【0048】
(比較例3)
カバーフィルムを作製する際、フロロアルキルシラン化合物の代わりに一般式(5)と一般式(6)に示されるシリコーン樹脂(各分子量:1000)を1:1の割合で使用したこと以外は実施例1と同様にして異方導電性接着フィルムを得た。
【0049】
(比較例4)
ベースフィルム及びカバーフィルムを作製する際、帯電防止処理を施さない事以外は、実施例1と同様にして異方導電性接着フィルムを得た。
【0050】
<評価方法の説明>
(帯電性評価方法)
異方導電性フィルムの巻重体の巻き芯を軸に通し、カバーフィルムの端部を持って勢い良くひっぱり出し、何ら問題無いものを〇、カバーフィルムやベースフィルムがやや帯電して設備周辺に引付けられる傾向が見られるものを△、カバーフィルムやベースフィルムが完全に帯電して設備周辺にまとわり付くものを×とした。
(保存後帯電性評価方法)
異方導電性フィルムの巻重体を30℃90%、3ヶ月放置後、巻き芯を軸に通し、カバーフィルムの端部を持って勢い良くひっぱり出し、何ら問題無いものを〇、カバーフィルムやベースフィルムがやや帯電して設備周辺に引付けられる傾向が見られるものを△、カバーフィルムやベースフィルムが完全に帯電して設備周辺にまとわり付くものを×とした。
【0051】
(巻き出し性評価方法)
異方導電性フィルムの巻重体の巻き芯を軸に通し、カバーフィルムの端部を持って勢い良くひっぱり出し、何ら問題無いものを〇、接着性樹脂がフィルム基材から剥がれたり、カバーフィルム背面に転着するものを×とした。
(仮付け性評価方法)
厚さ1.1mmのガラス上に、異方導電フィルムの巻重体から2mm幅にカットしたものをのせ、温度70℃、圧力5kg/cm2で、2秒間加熱加圧して貼り付けた後、両面剥離性フィルム基材端部をピンセットでつまみ上げた。フィルム基材のみ剥がれたものを〇、接着性樹脂ごと剥がれたものを×とした。
【0052】
(接着強度、接続信頼性評価サンプルの作製)
銅箔/ポリイミド=25/75μmに0.4μmの錫メッキを施したTCP(ピッチ0.10mm、端子数200本)とシート抵抗値30Ωのインジウム/錫酸化物皮膜を全面に形成した厚さ1.1mmのガラス(以下ITOガラス)との間に、異方導電フィルム巻重体から2mm幅にカットし、フィルム基材から剥がした接着性樹脂を挟み、温度180℃、圧力30kg/cm2、20秒間の条件で加熱加圧接着し、評価サンプルを作製した。
【0053】
(接着強度測定方法)
得られた評価サンプルをテンシロンを用いて、引っ張り速度50mm/分で90゜剥離し、接着強度を求めた。
(接続信頼性評価方法)
評価サンプル作製直後および温度85℃、湿度85%、100時間放置後の隣接端子間の接続抵抗を測定した。また測定できないものを導通不良(OPEN)とした。
【0054】
以上の実施例、比較例の評価結果を表1に示す。
【表1】
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の剥離性フィルム(ベースフィルム)の剥離面上に異方導電性接着剤層を形成したテープの接着剤層の上に、別の剥離性フィルム(カバーフィルム)を重ねた3層構造のテープを巻き芯に多重巻き重ねた異方導電性接着フィルムにおいて発生していた、使用時巻き出しする際やカバーフィルムを剥がす際に発生する静電気によるトラブルや、カバーフィルムへの異方導電性接着剤の転着トラブル、被着体上に異方導電接着剤を仮付けする際にベースフィルムから剥がれないというトラブル、接続信頼性の低下や接着特性の低下などの問題の無い、異方導電性接着フィルムを提供することができる。
Claims (3)
- 剥離性フィルム(ベースフィルム)の剥離面上に異方導電性接着剤層を形成したテープの接着剤層の上に、別の剥離性フィルム(カバーフィルム)を重ねた3層構造の異方導電性接着フィルムにおいて、剥離性フィルム(ベースフィルム)の剥離面がポリシリコーン側鎖又はポリオレフィン側鎖を有するアルキド樹脂とメラミン樹脂との硬化物でコーティングされており、且つ剥離性フィルム(カバーフィルム)の剥離面がフロロアルキルシラン化合物でコーティングされており、さらにそれぞれの剥離性フィルムの一方あるいは両方が帯電防止処理されていることを特徴とする異方導電性接着フィルム。
- 該帯電防止処理が帯電防止剤のコーティングである請求項1記載の異方導電性接着フィルム。
- 該帯電防止剤が4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤である請求項1または2記載の異方導電性接着フィルム。
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