JP3712063B2 - 双方向番組の受信装置および受信方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、応答が電話回線によって行なわれる双方向番組の受信装置および受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、テレビショッピング、アンケート調査や、視聴者参加型のクイズ番組などにおいて、テレビジョン放送側で、その応答のための受付電話番号が、適宜の時間だけ、スーパーインポーズで画面に表示され、視聴者からの応答は、電話やファクシミリによって行なうようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、電話回線による応答では、1回の応答に対して、送信側・受信側の双方とも、処理にかなりの時間と労力が必要とされると共に、魅力的な番組であればあるほど、視聴者からの通話および通話要求が、応答の受信側、つまり、放送局の回線を管理する特定の電話局の回線に集中して、その回線の処理能力を超えてしまい、電話がつながらない、つながっても混線してしまう(以下、この状態を電話回線のパンクという)などの問題があった。
【0004】
このような回線のパンクの問題を解消するために、放送局側では、双方向番組の中で、例えば司会者が、応答の発信を許可する視聴者の電話番号末尾の数字を指定したりする発信制限の呼びかけを行なうことがよくある。
【0005】
しかしながら、この呼びかけは、視聴者の善意に依存するものであるため、絶対的な効力はなく、指定されない電話番号の視聴者がアクセスすることができなくなるわけではない。
【0006】
そして、電話回線のパンクは、実際に回線が接続された状態だけでなく回線を接続しようとする動作の部分で既に負荷がかかることから発生する仕組みになっている。つまり、受話器を上げただけで既に1回線分の容量を取ってしまうために、例えば、ある電話局で管理している地域の電話すべてが同時に受話器を上げると、それだけで回線はパンクすることになる。
【0007】
現実には、前記のパンク状態は、地域災害などによって急にある地域からの電話の利用が生起される場合に発生するが、双方向番組の放送の場合、相当の視聴率でない限り、起こるとは考えられない。どちらかといえば、応答の受信側つまり放送局の回線を管理する電話局でこの問題が発生することが予想される。つまり、実際に回線がつながらなくても、回線接続のために多くの回線使用要求が一つの電話局の回線に集中してしまうことに問題があり、たとえ、受信(通話)自体を行なわなくても、発信自体を止めなければ、回線へ負荷がかかることに変わりはない。
【0008】
また、このような回線のパンクを避ける目的ではなく、例えばCATV網や、衛星放送などによって、ローカル放送局などで、そのローカル放送局に対応した特定の地域に応答者を限った双方向番組の放送をしたい場合がある。しかし、ローカル放送局の番組であっても、他の地域での視聴が可能な現在では、ローカル放送局の双方向番組であるからといって、その地域の住民だけが視聴者とは限らない。このため、上述の場合と同様にして、番組の中で応答可能地域の制限の放送をしても、その地域以外の視聴者からの応答を禁止することは実質上できなかった。
【0009】
また、近時、アクセス先の電話番号に多数の視聴者が同時に発呼を行なうことによる電話回線の輻輳の問題を解消するものとして、「テレゴング」と呼ばれる電話投票サービスや、「テレドーム」と呼ばれる大量情報提供サービスが電話会社により提供されるようになった。
【0010】
電話投票サービスは、例えば、テレビやラジオの番組におけるアンケート調査やクイズなどにおいて、1つの設問に対する複数の回答のそれぞれごとに、受付のための応答先電話番号がそれぞれ割り付けられて、個々の応答先電話番号に対する着信の回数、即ち、視聴者からの応答の件数を電話局側でカウントし集計して、放送局側に通知するものである。
【0011】
放送局側では、電話局から通知された集計結果を放送番組に反映するべく、例えば、集計結果のグラフなどの画面の放送を行なう。
【0012】
電話投票サービスにあっては、応答者の応答は、電話局への着信時点で、実質的な完了となり、回線を切断することができて、電話回線への負荷が軽減されると共に、視聴者側では、着信直後にオンフックすることができるので、回線使用料の負担が軽減される。
【0013】
また、電話投票サービスにおいては、加入者交換局で着信し、地域毎に電話投票の集計を分散するため、中継回線の輻輳を回避することができ、短時間に比較的大量の発呼を投票数として放送局側に通知することができる。現在のシステムでは、例えば5分間に最大で50万コールを処理することができる。
【0014】
この電話投票サービスを双方向番組に対する応答に利用する場合においても、放送局側から双方向番組の中で視聴者に呼び掛けを行なって、投票エリアを指定するなどして発信制限をすることができるが、上述したローカル放送局で応答を地域制限したい場合と同様に、たとえ、応答の発信制限を、ローカル放送局の双方向番組の中で放送しても、指定した地域の住民だけが視聴者とは限らない。このため、例えばローカル局の地域だけに電話投票サービスを期待しても、対象地域外から電話投票サービスの電話番号にアクセスされる可能性がある。
【0015】
そして、対象地域外から前記の電話投票サービスにアクセスされた場合、そのアクセスは無効となり、「現在この番号は使われておりません。」のメッセージが送出されるか、または、その対象地域外で別の双方向番組が放送されている等の場合には、その別の双方向番組などに対する電話投票サービスの応答になってしまう。これは、回線に無駄な付加を与えるばかりでなく、上述の別の双方向番組など、他の電話投票サービスの使用者に迷惑をかけることになる。
【0016】
一方、大量情報提供サービスは、音源回線や音源装置を放送局などのサービス加入者が用意し、電話会社が設定する所定の電話番号(例えば0180−99−××××)へ多数の利用者が電話をかけると、上記音源からの音声情報が前記多数の利用者に同時に提供できるようにするものである。この大量情報提供サービスの場合には、多数の利用者による上記電話番号へのアクセスに対して、回線のパンクを避けて、当該多数の利用者に同時に音声情報を提供でき、例えば、テレビやラジオのスポーツ中継番組などが時間切れになった場合に、その後の放送内容を、放送局側から電話会社を介して、視聴者に提供することができる。
【0017】
この大量情報提供サービスを双方向番組に対する応答に利用する場合においても、放送番組の中で、利用可能エリアを指定することができるが、前述した電話投票サービスと同様の問題が生ずる。
【0018】
この発明は、以上の点に鑑み、受信側からの応答の発信を所望の地域のみに確実に制限することができる双方向番組の受信装置および双方向番組の受信方法を提供することにより、受信側からのアクセスの量を確実に制御することができるとともに、応答の発信可能地域の確実な制限を行なうことができるようにすることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、この発明による双方向番組の受信装置は、
双方向番組に対する受信者の応答の発信を許可若しくは禁止する地域を特定するための地域発信制限情報を含む双方向番組関連情報が多重された放送信号を受信する受信手段と、
前記双方向番組に対する応答の操作をするための操作入力手段と、
電話回線を通じて前記応答の発信を行う発信手段と、
前記放送信号に多重された地域発信制限情報を取得する取得手段と、
予め登録された自己の地域情報を保存する保存手段と、
前記取得手段で取得された前記地域発信制限情報と、前記保存手段に保存されている地域情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づいて、前記応答の発信を許可若しくは禁止する制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0020】
また、この発明による双方向番組に対する応答方法は、
双方向番組に対する受信者の応答の発信を制限する地域を特定するための地域発信制限情報を含む双方向番組関連情報が多重された放送信号を受信する受信工程と、
前記双方向番組に対する応答の操作を受け付ける操作入力工程と、
電話回線を通じて前記応答の発信を行う発信工程と、
前記放送信号に多重された地域発信制限情報を取得する取得工程と、
予め登録された自己の地域情報を保存しておく保存工程と、
前記取得工程で取得された前記地域発信制限情報と、前記保存工程により保存されている地域情報とを比較する比較工程と、
前記比較工程での比較結果に基づいて、前記応答の発信を許可若しくは禁止する制御工程と
を備えることを特徴とする。
【0021】
放送側から提供される地域発信制限情報は、放送信号に多重するのではなく、双方向番組において提供された指示に応じて、双方向番組の受信者が特定の電話番号にアクセスすることにより、電話回線を介して取得するようにすることもできる。
【0022】
【作用】
上述のこの発明の構成によれば、放送側からは、地域発信制限情報によって、応答の発信を許可するあるいは禁止する地域を指定するため、応答装置の保存手段に予め保存されている地域情報を含む地域発信制限情報を多重放送する。あるいは、電話回線を通じて応答装置に対してこの地域発信制限情報を送信する。
【0023】
応答装置は、この地域発信制限情報を取得して、保存手段に保存されている自己の地域情報と比較参照する。そして、例えば、地域発信制限情報により応答の発信を許可する地域が指定されている場合には、取得した地域発信制限情報に、自己の地域情報が含まれている場合には、応答装置の制御手段は、自己の応答装置からの応答の発信が許可されているとして、応答操作に応じて応答の発信を行なう。
【0024】
逆に、取得した地域発信制限情報に、自己の地域情報が含まれていない場合には、応答装置の制御手段は、自己の応答装置からの応答の発信が禁止されているとして、応答操作が利用者から行なわれても、その応答の発信を行なわないようにする。
【0025】
例えば、地域発信制限情報により応答の発信を許可する地域が指定されている場合には、応答装置での応答に対する発信制限の態様が、前記とは逆になる。
【0026】
以上のように、放送局側から、応答の発信を制限する地域を、受信者の応答装置に保存されている地域情報により指定することにより、確実に応答者の地域制限を行なうことができ、特定の地域の回線のパンクを防止したり、特定の地域からの応答を募る双方向番組の制作などを行なうことができる。
【0027】
【実施例】
以下にこの発明による双方向番組の受信装置および受信方法の一実施例を、テレビジョン放送に適用した場合について説明する。
【0028】
この実施例では、放送局側は、双方向番組に対する受信者の応答のための情報として、双方向番組関連情報を放送信号に多重化して放送する。そして、特に、この実施例では、その双方向番組関連情報を、電話回線の選択などに利用される多周波数信号としてDTMF(Dual Tone Multi Frequency )信号を使用して、放送音声信号に多重化(混声)する。
【0029】
一方、受信側では、受信した放送音声信号からDTMF信号を分離・デコードして、双方向番組関連情報を再生し、メモリに記憶して、サービス局などとの電話通信や番組予約などに利用する。
【0030】
そして、この例の場合、地域発信制限情報は、この双方向番組関連情報の一部として、放送信号に多重化して放送する。この例の地域発信制限情報は、電話番号のうちの地域を限定する情報、例えば市外局番や市内局番が使用される。
【0031】
一方、この例の受信側の応答装置には、予め受信ユーザーの加入者電話番号が登録されてメモリに保存されている。そして、双方向番組関連情報に地域発信制限情報が含まれている場合には、応答装置は、それにより指定される市外局番や市内局番と、受信側の応答装置に保存されている加入者電話番号とを比較し、その比較結果により、応答の発信を可能としたり、応答の発信を禁止したりして、応答の発信を制御する。
【0032】
まず、図2を参照しながら、DTMF信号について説明する。
【0033】
[DTMF信号]
DTMF信号方式は、1つは低周波数のグループ(低群)、そしてもう1つは高周波数のグループ(高群)の2つのトーンを同時に送る音声帯域信号方式である。これらの低周波数および高周波数のグループの各々は、どの2つも調音の関係にない4つの音声帯域周波数のトーンからなっている。
【0034】
DTMF信号では、低群の4周波数は、例えば、697Hz、770Hz、852Hz、941Hzとされ、高群の4周波数は、例えば、1209Hz、1336Hz、1477Hz、1633Hzとされている。そして、これら低群と高群の中のそれぞれ1周波数ずつを組み合わせ、その組み合わせからなる各DTMF信号(この各DTMF信号のそれぞれを、以下機能信号という)が、図2に示すように、4行4列に配設されたプッシュボタン「0」〜「D」にそれぞれ割り付けられる。
【0035】
電話通信では、DTMF信号の16の組み合わせの機能信号のうち、単に12個が一般に加入者アドレス(電話番号)の信号に用いられている。つまり、電話機でいわゆるテンキーとして使用されている「0」〜「9」の数字と、「*」や「#」の記号に対して、前記の12個の組み合わせの機能信号が対応する。図2に破線で示した「A」、「B」、「C」、「D」の文字に対応する機能信号は、日本国内では一般には利用しておらず、プッシュボタン(PB)ダイアルを利用したデータ伝送に利用されているのみである。
【0036】
このようなDTMF信号を使って電話番号による回線選択を行なう場合、信号の送出条件は、図3に示すように規定されている。
【0037】
上述のような2周波数の組み合わせと送出条件とによって、DTMF信号は、自然界では滅多に発生しないものとなり、人の声などのような自然音と明確に区別することができるので、通常の放送音声信号に多重(混声)して放送することができて、受信側での分離も比較的容易である。
【0038】
ちなみに、DTMF信号は、多機能電話においても利用されており、外出先からプッシュボタン式の電話のボタン操作によって、自宅の電話に留守番録音されている用件を再生させたり、留守番録音の応答メッセージを録音、再生したり、用件を消去したりすることができる。
【0039】
[双方向番組関連情報の多重放送]
この実施例の送信側、つまり放送局側においては、双方向番組関連情報の送信に当たって、上述のようにPB回線選択には使用されていない「A」、「B」、「C」、「D」を意味する機能信号のうち、「A」、「B」、「C」の機能信号は、双方向番組関連情報の送信開始情報として用い、「D」の機能信号は送信終了情報として用いる。
【0040】
送信開始情報が3種類あるので、この例では、3種類の双方向番組関連情報を区別して送信することができる。つまり、3種の双方向番組関連情報は、その種別ごとに、「A」、「B」、「C」の機能信号のいずれかと、「D」の機能信号とで区切られて放送される。
【0041】
例えば、双方向番組への応答アクセスに関する情報、例えば応答の送信先の電話番号、伝送レートなどの双方向番組関連情報は、「A」の機能信号を送信開始情報とし、送信終了情報である「D」の機能信号との間に挟まれた状態の信号として送信される。
【0042】
同様に、応答側の地域発信制限情報や現在時刻設定などの環境設定に関する双方向番組関連情報は、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に、受信データのクリアに関する情報は「C」の機能信号と「D」の機能信号との間に、それぞれ挟まれた状態の信号として多重化されて放送される。
【0043】
そして、受信側においては、送信開始情報としての「A」、「B」、「C」の機能信号のいずれかと、送信終了情報としての「D」の機能信号とに挟まれた数値や記号データが双方向番組関連情報のデータ列(情報群)とみなされて、後述のように、メモリの所定の格納域にそれぞれ区別されて保存される。
【0044】
例えば、応答アクセスに関する情報として、インタラクティブ(対話型)テレビジョン規格バージョンが00の受信機に対して、受付電話番号0990−1234−1234に、伝送レート300bpsで120分間アクセスを許可する場合は、双方向番組関連情報は、
00#120#0990*1234*1234
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「A」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で、放送音声信号に多重化されて送出される。
【0045】
ここで、データ列のうち、最初の00は、インタラクティブ(対話型)テレビジョン規格バージョンが00(伝送レート300bps)を示し、次の記号「#」の後の数値データは応答アクセスの許可時間が120分であることを示し、2個目の記号「#」の後の数値データは応答受付電話番号である。
【0046】
また、インタラクティブテレビジョン規格バージョンが01の受信機に対し、電話番号0990−1234−1235に、伝送レート1200bpsで60分間アクセスを許可する場合には、
01#060#0990*1234*1235
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「A」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で放送音声信号に多重化されて送出される。
【0047】
ここで、データ列のうち、最初の01は、インタラクティブ(対話型)テレビジョン規格バージョンが01(伝送レート1200bps)を示し、次の記号「#」の後の数値データは応答アクセスの許可時間が60分であることを示し、2個目の記号「#」の後の数値データは応答受付電話番号である。
【0048】
なお、上述のような応答アクセスに関するデータ列では、記号「#」がセパレータを表わし、記号「*」がポーズを表わす。
【0049】
環境設定に関する情報として、特定の地域の視聴者のみにアクセスを制限するために地域発信制限情報を多重放送する場合、例えば、電話番号の市外局番が「03」の東京地域の視聴者のみに応答の発信を許可するときは、
0#03
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、また、電話番号の市外局番が「044」の川崎地域の視聴者のみに応答の発信を許可するときは、
0#044
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、それぞれ、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で、放送音声信号に多重化されて送出される。
【0050】
この場合、記号「#」の前の数字「0」は、記号「#」の後の数字列を、市外局番として有する電話番号からの応答の発信を許可することを意味する。
【0051】
また、東京地域と川崎地域のみに応答の発信を許可するときは、
0#03*0#044
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、それぞれ、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で、放送音声信号に多重化されて送出される。ここでは、記号「*」は論理和を意味している。
【0052】
なお、電話番号の市内局番までを地域発信制限情報とすることにより、より細かな地域制限をすることもできる。例えば、東京地域であって、市内局番が「3343」である地域のみの視聴者の応答の発信を許可する場合には、
0#03*3343
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、それぞれ、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で、放送音声信号に多重化されて放送される。
【0053】
逆に、この例では、東京地域の視聴者の応答の発信を禁止する場合には、
1#03
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で、放送音声信号に多重化されて送出される。この場合、記号「#」の前の数字「1」は、記号「#」の後の数字列を、市外局番として有する電話番号からの応答の発信を禁止することを意味する。
【0054】
上述のような地域制限のために、各応答装置への、視聴者による電話番号の登録は、市外局番から登録させる。このとき、応答装置側では、例えば、電話番号の先頭の「0」が入力されたか否かにより、登録のチェックを行なうことができる。
【0055】
なお、上述の例では、放送局側で多重する地域発信制限情報の市外局番には、先頭の「0」をも含ませたが、この先頭の「0」は省略して、エリア番号のみでもよい。
【0056】
その他の双方向番組関連情報としては、次のようなものがある。例えば、放送番組の受信予約や録画予約などのための時刻情報として、例えば、現在時刻が1995年03月23日木曜日7時00分の場合は、
2#1995032340700
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で、主放送音声信号に多重化されて送出される。
【0057】
また、ある放送番組が、現時点から見て、次の日曜の7時00分から7時29分まで放送される場合は、
10#07000729
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれて送出され、別の放送番組が次の月曜の12時00分から14時15分まで放送される場合には、
11#12001415
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれて送出される。
【0058】
さらに、受信データのクリアに関する情報として、例えば、番号制限のクリアの場合は、
99#0
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「C」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれて送出され、また、応答受付電話番号のクリアの場合には、
99#1
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「C」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれて送出される。
なお、受信データのクリアに関する情報は、これを受信すると、番号制限などのデータが直ちにクリアされるので、いわば、消去指令である。
【0059】
上述のように、電話回線の選択信号としては使用されていない「A」、「B」、「C」;「D」の機能信号を、双方向番組関連情報の送信開始情報および送信終了情報とすることによって、例えば、ドラマの電話をかけるシーンなどで、DTMF音が発信されても、双方向番組関連情報と混同されることはない。また、双方向番組関連情報を確実に送受することができる。
【0060】
[応答装置の構成]
次に、図1,図4〜図6を参照しながら、この発明による双方向放送の応答装置の一実施例の機能を搭載したテレビジョン受信機の一実施例について説明する。
【0061】
図1において、10はテレビジョン受信機の信号系であり、20はその制御系である。
【0062】
アンテナ1で受信された放送電波が信号系10のチューナ11に供給される。チューナ11には制御系20から選局信号が供給されて、このチューナ11において所望のチャンネルの放送信号が選択されて、中間周波信号に変換される。この中間周波信号は中間周波回路12に供給される。この中間周波回路12には、映像復調器13と音声復調器14とが含まれ、映像信号および音声信号が復調される。
【0063】
映像復調器13からの映像信号Svは、映像信号処理回路15を経て、受像管16に供給される。音声復調器14からの音声信号Saは音声多重デコーダ17に供給されて、2か国語信号またはステレオ信号SL、SRがデコードされる。そして、これら信号SL、SRが、それぞれ増幅器18L、18Rを通じて、左右のスピーカ19L、19Rに供給される。
【0064】
音声復調器14からの音声信号Saは、また、前処理回路31を介してDTMFデコーダ32に供給される。このDTMFデコーダ32は、その入力信号中のDTMF信号を常時サーチし、DTMF信号を検知すると、そのDTMF信号がいずれの機能信号であるかのデコードを行う。つまり、「0」〜「9」の番号、「#」、「*」、「A」〜「D」がデコードされる。そして、そのデコードしたデータを制御系20に供給する。
【0065】
この例の場合には、このDTMFデコーダ32としては、広く普及している市販のDTMFデコーダを用いる。前処理回路31は、このようにDTMFデコーダ32として市販のDTMFデコーダを使用しても、より精度の高いDTMF信号のデコードを行うことができるようにするための前処理を行うために設けられる。すなわち、前処理回路31は、音声信号Saについて、DTMF信号以外の周波数成分を除去して、DTMFデコーダ32の入力信号が、市販のDTMFデコーダが許容する信号となるようにするもので、フィルタ回路からなる。
【0066】
また、この実施例では、視聴者参加型番組への応答など、双方向番組に対応するために、データ通信用のモデム(変復調装置)33が設けられる。
このモデム33には、オンフック、オフフック、ダイアルなどの電話機機能部分である、ネットワーク制御ユニット(Network Control Unit)33NCが内蔵される。また、NCU33NCは、トーンリンガを備える。
【0067】
このモデム33の回線接続端子Lineには電話回線2が接続され、電話端子Tel には電話機3が接続される。このモデム33が、制御系20のシステムバス200に接続される。また、モデム33からのデータが、DTMFデコーダ32に供給されており、電話回線2を介して送られてくるDTMF信号をこのDTMFデコーダ32でデコードして、制御系20に取り込むことができるようにされている。
【0068】
制御系20は、CPU21と、ROM22と、EEPROM22Eと、DRAM23と、SRAM24と、ビデオRAM(VRAM)25とを備え、それぞれがシステムバス200に接続される。
【0069】
ROM22には、後述するDTMFデータの受信取り込み処理プログラムのほか、各種の制御プログラムが格納されると共に、表示に用いるフォントやグラフィックのデータも格納される。DRAM23は主に演算のための作業領域として利用される。SRAM24には、このテレビジョン受信機自身の設定情報などが保存され、EEPROM22Eには、ID情報(この例のテレビジョン受信機の識別番号)や、このテレビジョン受信機のユーザーの加入者電話番号などが登録保存される。
【0070】
ユーザーの加入者電話番号のROM22Eへの登録が、例えば、このテレビジョン受信機の設置時に際して、予めユーザーにより実施されるように、テレビジョン受信機では、案内メッセージが表示される。ユーザーは、この案内メッセージにしたがって、自己の加入者電話番号を入力して登録をすることになる。
【0071】
そして、VRAM25は表示に用いられる。このVRAM25に対しては表示制御回路25Cが設けられている。この表示制御回路25Cは、VRAM25へのビデオデータの読み出し及び書き込みを制御するとともに、読み出したビデオデータをアナログ映像信号に変換する。
【0072】
制御系20は、また、I/Oポート261、262、263、264およびVTRの制御ポート27を備える。I/Oポート261を通じて制御信号が映像信号処理回路15および音声多重デコーダ17に供給される。
【0073】
また、遠隔制御用の送信機(以下コマンダと呼ぶ)34からの、例えば赤外線搬送式の遠隔制御信号が遠隔制御用の受信機35で受信され、その受信された遠隔制御信号がデコード回路36でデコードされ、そのデコードされた遠隔制御信号が、I/Oポート261より制御系20に取り込まれる。
【0074】
そして、コマンダ34での視聴者の操作に応じた制御や前述のユーザーの加入者電話番号の登録が、ROM22のプログラムにしたがってCPU21により行なわれる。例えば、ユーザーがこの例のテレビジョン受信機を購入して初めて電源を投入すると、ROM22のプログラムにしたがい、例えば「ご自分の電話番号を市外局番から順に入力して下さい」というメッセージが受像管16の画面に表示される。すなわち、必要な文字や記号の表示のためのフォントデータが、ROM22から読み出されてVRAM25へ転送され、このVRAM25のデータが、表示制御回路25Cにおいてアナログ映像信号に変換されて、映像信号Svと合成(例えばスーパーインポーズ)されることにより、受像管16の画面に適宜の時間、表示される。
【0075】
そして、ユーザーがそのメッセージにしたがい電話番号を入力すると、ROM22のプログラムにしたがって、その入力された電話番号がEEPROM22Eに保存される。保存が終了すると、受像管16の画面の前記メッセージが消え、電話番号が登録されたことが所定時間表示された後、消える。
【0076】
なお、同様にして、例えば、選局や音量制御などの遠隔操作の場合、チューナ選局や音量制御が実行されると同時に、必要な文字や記号の表示のためのフォントデータが、ROM22から読み出されてVRAM25へ転送される。このVRAM25のデータが、表示制御回路25Cにおいてアナログ映像信号に変換されて、映像信号Svと合成(例えばスーパーインポーズ)されることにより、受像管16の画面に適宜の時間、表示される。
【0077】
そして、選局や音量制御などのデータは、それぞれの操作の都度、不揮発性のSRAM24に書き込まれて、電源を一旦オフとした後に再度オンとした場合、電源オフ直前と同音量で同じチャンネルを試聴する、いわゆる、ラストメモリ機能が実現される。
【0078】
I/Oポート263を通じては、選局信号がチューナ11に供給される。また、この実施例では、実時間の通知や所定の時間の割り込み発生のためのタイマ回路37からの時間データがI/Oポート264を通じて制御系20に入力される。
【0079】
また、VTRの制御ポート27は、この例では3台のVTR1、VTR2、VTR3に対しての制御が可能に構成されている。制御系20は、この制御ポート27を通じてVTRに制御信号を供給すると共に、VTRからのステータス信号を取り込み、VTRに対して所望の制御を行うことができる。
【0080】
なお、各VTRは、チューナと中間周波数回路を内蔵しており、例えば分配器を介してアンテナ1に接続されて、後述のように、制御系20の制御の下に、予約録画をすることができる。
【0081】
[多重化情報の受信処理]
次に、図4および図5のフローチャートを参照しながら、図1の実施例の多重化情報の受信処理について説明する。
【0082】
テレビジョン受信機の電源がオンの状態では、前処理回路31およびDTMFデコーダ32を使用して、現在選択されているチャンネルの番組の音声信号に混声されているDTMF信号を、常時、監視する。すなわち、CPU21は、I/Oポート262を通じてDTMFデコーダ32の出力を、常時、あるいは所定の周期でサーチし(ステップ101)、現に受信中の放送番組の音声信号SaにDTMF信号が混声されていることを検知したときは(ステップ102)、そのDTMF信号のデコード出力D32を、前述したような番号や記号として取り込む(ステップ103)。
【0083】
このとき、前述のような送出条件、すなわち、DTMF信号の続く長さが50msec以上か、DTMF信号がなくなってから次の信号の立上がりまでのポーズ時間は30msec以上か、DTMF信号の長さとポーズ時間との合計が規定値の120msec以上かなどのチェックを行い、本当に検出された信号がDTMF信号かをチェックする(ステップ104)。これにより、放送電波の受信状態の悪いときのエラーデータの受信を防ぐことができると共に、通常の音声に、偶然、DTMF信号と同じ周波数成分が含まれていた場合の誤受信を防ぐことができる。
【0084】
ステップ104において、受信データがDTMF信号でないと判断した場合は、ステップ105に進んで、DRAM23の一時格納域をクリアすると共に、保存ポインタを初期設定した後、ステップ101に戻って、DTMFデコーダ32の出力チェックを継続する。
【0085】
また、受信データがDTMFであると判断した場合は、ステップ106に進んで、保存ポインタアドレスが一時格納域の範囲内にあるか否かをチェックする。そして、保存ポインタアドレスが一時格納域の範囲内にない場合は、電源オン直後の状態、または、エラー状態であるため、ステップ106からステップ107に進んで、リセットの意味から、保存ポインタに一時格納域のアドレスを初期設定する。これにより、保存ポインタの示すアドレスが不定のまま、DRAM23にデータが書き込まれ、誤動作ないしはソフトウエア暴走の原因となることが防止される。
【0086】
ステップ106でポインタアドレスが一時格納域の範囲内にあると判別したとき、また、ステップ107でポインタに一時格納域のアドレスを初期設定した後には、ステップ108に進んで受信データが“0”〜“9”までの番号や、“#”や“*”などの記号データであるかを判別する。これら数値や記号であると判別したときには、ステップ108からステップ109に進んで、一時格納域に空きがあるか否かをチェックする。
【0087】
そして、受信データがこれらの数値や記号データであって、かつ、一時格納域に空きがある場合、つまりポインタが一時格納域の範囲内を指示している場合は、ステップ110に進んで、DRAM23の、そのポインタが示すアドレスへ受信したデータ(“0”〜“9”、“#”、“*”)を格納する。そして、その後、ステップ111に進んでポインタを1文字分だけ更新する。その後、ステップ101に戻ってDTMF信号の受信チェックを継続する。
【0088】
また、ステップ109において、一時格納域に空きがないと判断した場合は、受信エラーなので、ステップ112に進んで一時格納域をクリアし、ポインタに一時格納域のアドレスを初期設定する。
【0089】
また、上述のステップ108において、受信データが、“0”〜“9”,“#”,“*”のような数値や記号データでない場合は、前述の4つの機能信号に対応する文字データ“A”,“B”,“C”,“D”のいずれかであるので、図4の区分格納のルーチン120に入る。このルーチン120は、図5に示す内容のもので、まず、ステップ121において、ポインタに一時格納域の先頭アドレスをセットする。次いで、ステップ122、123、124で、受信データが“A”、“B”、“C”の3つの機能信号のいずれであるかを順次チェックする。
【0090】
そして、ステップ122で受信データが“A”の機能信号であると判断した場合は、ステップ125に進んで、ポインタの示すアドレスに「A」を設定する。また、ステップ123で受信データが“B”の機能信号であると判断した場合は、ステップ126に進んで、ポインタの示すアドレスに「B」を設定する。さらに、ステップ124で受信データが“C”の機能信号であると判断した場合は、ステップ127に進んで、ポインタの示すアドレスに「C」を設定する。
【0091】
そして、これらステップ125、126、127の後は、ステップ111に進んで、ポインタを1文字分だけ更新する。その後、ステップ101に戻ってDTMF信号の受信チェックを継続する。
【0092】
上述のステップ122〜124において、“A”、“B”、“C”の3つの機能信号のいずれでもないと判断した場合は、残りの文字“D”の機能信号であると判断し、ここまでに一時格納域に格納されたデータを1つのデータ列(情報群)として処理する。
【0093】
すなわち、放送側は、DTMF信号の送信時には、送信開始信号として、“A”、“B”、“C”の機能信号のいずれかを送出するので、ステップ125〜127の結果、一時格納域の先頭には、「A」、「B」、「C」のいずれかが格納されている。そこで、次のステップ128においては、一時格納域の先頭が「A」、「B」、「C」の文字データのいずれであるかを判別する。
【0094】
この判別の結果、一時格納域の先頭が「A」であれば、ステップ129に進んで、一時格納域の先頭からポインタの示す最後の部分までのデータ列を、対応する格納域Gaに保存する。また、一時格納域の先頭が「B」であれば、ステップ130に進んで、一時格納域の先頭からポインタの示す最後の部分までのデータ列を、対応する格納域Gbに保存する。さらに、一時格納域の先頭が「C」であれば、ステップ131に進んで、一時格納域の先頭からポインタの示す最後の部分までのデータ列を、対応する格納域Gcに保存する。これら格納域Ga、Gb、Gcは、DRAM23またはSRAM24に設定される。
【0095】
そして、次にステップ132に進んで、受信したデータ列の評価、解析を行ない、格納域Ga、Gb、Gcに格納された情報が、受信時に実行することが必要なコマンドである場合、そのコマンドに対応した処理、例えば、受信されている情報の一部または全部のクリア、現在時刻のタイマーへの設定、メニュー表示選択処理などを行なう。しかる後、ステップ101に戻って受信チェックを継続する。
【0096】
以上のように、この実施例の多重データの受信処理では、放送番組の音声信号を常時監視しながら、DTMF信号の内の機能信号に対応する文字データ“A”と“D”、“B”と“D”、“C”と“D”の機能信号に挟まれたデータ列を1つの情報とみなし、前述のような情報の種類に応じて区分して、それぞれの情報を別々の格納域Ga、Gb、Gcへ自動的に保存する。こうして、この実施例では、受信情報を分類して保存することができる。
【0097】
例えば、始端が“A”の機能信号であれば、双方向番組への応答アクセスに関する情報として、データ列は格納域Gaに保存される。また、始端が“B”の機能信号であれば、環境設定に関する情報として、格納域Gbに保存される。そして、始端が“C”の機能信号であれば、受信データのクリアに関する情報として、格納域Gcに保存される。
【0098】
応答アクセスに関する情報など双方向番組に対応する一時的な情報は、番号クリア信号の受信時にクリアすることが考えられるが、クリア信号受信時にチャンネルが切り替わっていたりする可能性を考えると、電源オフのタイミングで、古い番号がクリアされることが望ましい。したがって、応答アクセスに関する情報は、DRAM23にそのまま保存してもよい。つまり、格納域GaはDRAM23上に設定してもよい。
【0099】
一方、環境設定に関する情報には、前述のように、放送番組の受信予約や録画予約などのための時刻情報が含まれており、予約された番組の時刻情報は、例えば、1週間を超えるような比較的長い期間にわたって保存する必要がある。そこで、これらの情報は、不揮発性のSRAM24上に転送した方がよい。
【0100】
したがって、この実施例では、格納域Ga、Gb、Gcは、その保存すべきデータの性質、つまり長期保存が必要か、電源オフで消去してもよいものか、などの条件に応じて、揮発性のDRAM23あるいは不揮発性のSRAM24上に設定される。
【0101】
そして、応答の送信に一般の電話回線を利用した簡易型インタラクティブテレビジョンの、後述のような応答処理に際しては、DRAM23上の格納域Gaに保存された、宛先電話番号や通信条件などの必要な情報を、自動的に読み出して、利用することができる。
【0102】
また、後述のような録画予約に際しても、DRAM23上の格納域GbからSRAM24上に転送された予約番組の時刻情報を、自動的に、利用することができる。
【0103】
[双方向番組に対する応答の地域発信制限]
次に、図6のフローチャートを参照しながら、図1の実施例の地域発信制限処理について説明する。この例は、放送側から送られてきた地域発信制限情報中の地域情報と、応答装置の地域情報、つまり、EEPROM22Eに保存された電話番号の市外局番ないし市内局番が一致したときには、応答の発信が禁止される場合の例である。
【0104】
図6のステップ141において、視聴者がコマンダ34を操作することにより、このコマンダ34から送信された遠隔制御信号(コマンド)が、遠隔制御受信機35に受信される。そして、受信したコマンドが、例えば、視聴者参加型のクイズ番組のような、双方向番組に対する応答コマンドであるか否かが判断される(ステップ142)。
【0105】
受信したコマンドが、例えば、チャンネル切り換えのような一般のコマンドである場合、そのコマンドに対応する処理がなされる(ステップ140)。
受信したコマンドが応答コマンドの場合は、前述の図4,図5に示したような受信処理によって、応答先の受付電話番号や通信速度などのアクセス情報が既に受信されて、DRAM23上に保存されているか否かが判断され(ステップ143)、受信されていない場合は、エラーを示すアイコンやメッセージにより、アクセス情報が受信されていないことが受像管16の画面に一定時間だけ表示される(ステップ144)。
【0106】
また、応答先の電話番号などの応答アクセスのための情報が受信済みの場合は、同時に受信した双方向番組関連情報中に地域発信制限情報があるか否かの判断を行ない(ステップ145)、地域発信制限情報が含まれていれば、そのうちの地域情報と、EEPROM22Eに保存されている電話番号とが比較されて、発信制限条件に該当するか否かが判断される(ステップ146)。
【0107】
例えば、放送局側から、前述のような環境設定に関する情報として地域発信制限情報が送られてきており、それが、この例の場合に、応答禁止の地域情報として電話番号の市外局番「03」の東京地域のみを指定している場合には、市外局番が一致する東京地域の視聴者の応答の発信が禁止となり、市外局番が異なる東京以外の地域の視聴者は、応答の発信ができるようになる。
【0108】
そこで、ステップ146において、上記の応答禁止の地域情報と、保存された視聴者の地域情報とが一致していると判断されたときには、当該視聴者は応答の発信は禁止され、ステップ146からステップ147に進んで、「応答の発信が制限されているため応答できない」旨のメッセージが受像管16上に一定時間だけ表示される。
【0109】
そして、ステップ146において、上記の応答禁止の地域情報と、保存された視聴者の地域情報とが不一致であって応答の発信が禁止されていない場合には、ステップ151に進む。また、ステップ145で、双方向番組関連情報中に地域発信制限情報が存在しないと判断された場合にもステップ151に進む。
【0110】
そして、ステップ151においては、例えば、双方向番組に対する応答として、所定の応答情報に視聴者のID番号が付加されて、応答情報が作成され、上述のような応答先情報に従って通信速度が設定されて、DRAM23上に保存されている所定の電話番号に宛てて、モデム33を通じて、送信される。なお、このような所定の応答情報の形式ではなく、応答が電話投票サービスへの投票である場合には、応答は、その指定された投票番号の選択であって、応答の送信先として、各投票番号に対してそれぞれ指定された電話番号への発呼で終了となる。
【0111】
次のステップ152では、この送信が成功したか否かが判断され、正常に終了した場合は回線が切断されて(ステップ153)、送信が成功した旨のメッセージが一定時間だけ表示される(ステップ154)。送信が不首尾に終わった場合は、その旨のメッセージが一定時間だけ表示される(ステップ155)。
【0112】
なお、以上の例は、地域発信制限情報により応答の発信を禁止する地域を指定する場合であるが、前述したように、地域発信制限情報を、応答の発信の許可する地域情報とすることができる。その場合には、図6のフローチャートにおいて、ステップ146での判断の結果の「YES」「NO」の後のステップが逆になり、地域発信制限情報の地域情報と一致する地域の視聴者のみの応答の発信が可能になる。
【0113】
このように地域発信制限をすることにより、放送側では、視聴者側からの応答の量を制御しながら、容易に双方向放送を実施することができる。また、地域発信制限情報を応答の発信の許可する地域情報とする場合には、特定の地域の視聴者のみを応答者とする双方向番組を容易に提供することができる。
【0114】
また、視聴者側では、アクセスを制限されているときに誤って無効な応答操作をしても、発信が行なわれないので、回線に無用の負荷をかけることがなく、無駄な回線使用料の発生もない。また、他の双方向番組の応答結果に影響を与えることもない。
【0115】
なお、ステップ146の発信制限の条件として、前述のような応答アクセスに関する応答許可時間範囲や応答禁止時間範囲の情報などの時間制限情報とを組み合わせることにより、特定地域の視聴者に対し、例えば一定時間だけアクセスを禁止あるいは許可し、その後にアクセスを許可あるいは禁止するなど、双方向番組として種々の態様の番組を提供することもできる。
【0116】
[他の実施例]
前述の実施例では、発信を制限するための地域情報として、電話番号の市外局番を利用することにより、または、市外局番と市内局番とを併せて利用することにより、特定地域の視聴者の応答の発信の制限(禁止あるいは許可)をするようにしたが、発信を制限するための地域情報として、わが国では郵便番号、米国ではジップコード(Zip Code)など、各国の郵便番号を基準とすることもできる。この郵便番号は、対象地域が階層的に明確に限定されると共に、情報が一括管理され、更新も厳格に行なわれており、電話の市外局番+市内局番に比べて、より細かく地域限定をすることができる。
【0117】
また、視聴者に電話番号の代わりに、その住所を入力させることにより、これを都道府県や市区町村を表す、例えばJISコードや特定のコードに変換してメモリに保存しておき、地域発信制限情報の地域情報として、都道府県コードないし市区町村コードを指定するようにしてもよい。
【0118】
また、前述の実施例では、発信を制限するための地域情報を、DTMF信号形式で、放送音声信号に多重して放送するようにしたが、次のようにして、予め地域発信制限情報などの双方向関連情報を提供する音源を設定しておき、その音源に対して視聴者が必ず電話を掛けて、その音源から前記の地域発信制限情報を視聴者側の応答装置が取得するようにすることもできる。
【0119】
例えば、双方向番組において、応答を期待する番組内容を放送する前に、前述のような電話投票サービスや大量情報提供サービスの電話番号を案内し、必ず、その電話投票サービスや大量情報提供サービスに視聴者に電話をかけさせるようにする。そして、視聴者が、これら電話投票サービスや大量情報提供サービスの電話番号にアクセスすると、その自動応答の音声情報として、発信制限のための地域発信制限情報を、DTMF信号形式で、視聴者に通知するのである。このとき、応答の受付電話番号も併せて送信して、この電話投票サービスや大量情報提供サービスにアクセスした視聴者のみが応答が可能とする。
【0120】
すなわち、例えば電話投票サービスでは、着信すると、「ご投票ありがとうございました。」のような応答メッセージが自動的に送出されるが、例えば、これに加えて、あるいは、この応答メッセージに代えて、上述したような特定地域の視聴者からの応答の発信を制限するための地域発信制限情報と応答先の電話番号などを含む双方向番組関連情報を、DTMF信号形式や、その他のモデムで受信およびデコード可能な状態のデータ形式でサービス側から送出する。
【0121】
大量情報提供サービスの場合には、その音源回線あるいは音源として、上述のような、応答先の電話番号と、地域発信制限情報とを含む双方向番組関連情報をDTMF信号や、その他のモデムで受信およびデコーダ可能なデータ形式で用意すればよい。
【0122】
一方、受信側では、サービス側から電話回線を通じて受信した、DTMF信号形式や前記のデータ形式の双方向番組関連情報を、図1のモデム33により、データに変換して制御系20に取り込み、SRAM24などに格納する。
【0123】
これにより、放送側では、前述の実施例と同様に、視聴者側からの応答の量を制御しながら、容易に双方向放送を実施することができる。
【0124】
更に、前述の実施例では、応答の返信先に関する情報、例えば電話投票サービスの10桁の電話番号[01800×××××](×は0〜9の間の任意の数字)をすべて多重放送するようにしたが、このような長い電話番号と、各電話番号に対応する短い識別番号との変換テーブルを、受信機の制御系のEEPROM(図1参照)に搭載しておき、放送局側から、各電話番号に対応する短い識別番号を多重放送すると共に、受信側では、変換テーブルを用いて、受信した短い識別番号を10桁の電話番号に復元することもできる。
【0125】
これにより、複数個の応答先の電話番号の情報量が圧縮されて、前述のDTMF信号の周期から明かなように、8文字/秒程度の遅い伝送レートによる、所要の伝送時間を短縮することができる。
【0126】
なお、上述の変換テーブルは、電話投票サービスや大量情報提供サービスの自動応答によって、発信制限のための地域情報を、例えばDTMF信号形式で、電話回線を通じて視聴者に通知する場合にも用いることができる。すなわち、例えば、双方向番組で、当該番組に参加するか否かの問い合わせを、例えば「参加ならば11」「不参加ならば22」のようにして、視聴者に識別番号を放送する。もし、視聴者の選択が、「参加」であり、視聴者が「11」を操作すると、双方向関連情報のデータを送信する電話投票サービスや大量情報提供サービスの電話番号の識別番号が「11」であるので、自動的に当該電話投票サービスや大量情報提供サービスにアクセスされ、双方向番組関連情報が取得される。
【0127】
また、この変換テーブルを用いる例の場合、受信機のEEPROMに搭載された、応答受付電話番号と識別番号との変換テーブルは、地域の放送局側から、電話回線を介して随時書き換えることができるので、変換テーブルの存在によって、受信機の設置地域が制限されることはない。
【0128】
そして、前述の各実施例では、DTMFデコーダやモデムを内蔵したテレビジョン受信機にこの発明を適用した場合について説明したが、多重方法がDTMF信号を放送音声に混声するものであれば、DTMFデコーダやモデムと、関連の制御系とを、テレビジョン受信機とは別個の筐体に収納し、テレビジョン受信機に対するアダプタとしてまとめてもよい。
【0129】
すなわち、図7はその場合の構成例である。この例の場合、テレビジョン受信機40は従来の構造のままとする。一方、アダプタ50は、電話回線Lに接続されるアダプタ本体51と、応答操作や電話番号を入力するためのリモコンのコマンダ52とからなる。アダプタ本体51は、コマンダ52からの赤外線コマンドを受け取る受光部を備える。
【0130】
また、アダプタ本体51は、テレビジョン受信機40のスピーカ40SPの再生音を収音するマイクロホン53を備えると共に、DTMFデコーダと、双方向関連情報を記憶するメモリと、全体を制御するマイクロコンピュータとを備える。なお、54は電話機である。
【0131】
DTMF信号形式の双方向番組関連情報が多重化されている場合には、テレビジョン受信機40のスピーカ40SPからはDTMF音が放送音声に混声して再生される。アダプタ本体51は、マイクロホン53により、このスピーカ40SPの再生音を収音し、その中からDTMF音をDTMFデコーダで分離し、再生する。そして、応答先の受付電話番号や地域発信制限情報をメモリに取り込む。そして、コマンダ52からユーザーが応答操作をすると、前述と同様にして双方向番組に対する応答ができ、地域発信制限情報に応じた応答の発信制御が行なわれる。
【0132】
以上は、この発明をテレビジョン放送および受信機に適用した場合について説明したが、この発明は、応答のアクセス用データを放送信号に多重して放送すると共に、受信側の電話番号の市外局番のような地域情報を特定して応答の情報の送信を許可または禁止する地域発信制限情報を、放送信号に多重して放送するものであるから、アクセス用データや、地域発信制限用データなどの情報を、比較的狭い音声帯域内の例えばDTMF信号を用いて構成するときは、AM、FMのラジオ放送やPCM音声放送と、それぞれ対応の受信機に適用することも可能である。
【0133】
また、上述の各実施例では、放送音声信号にDTMF信号形式の地域発信制限情報を多重して放送するようにしたが、文字多重放送形式で、地域発信制限情報を映像信号に多重して放送するようにしても、上述の実施例と同様の効果が期待できる。
【0134】
また、地域発信制限情報を含む双方向番組関連情報は、音声多重放送のサブチャンネルに多重化するようにしてもよい。さらには、FM文字多重方式によって、前記の双方向番組関連情報を多重化するようにしてもよい。
【0135】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、受信側では、応答装置に予め登録された当該応答装置側に固有の地域情報と、取得した前記地域発信制限情報とを比較参照し、その結果に基づいて、応答の発信を制御するようにしたので、受信側からのアクセスの量を、放送側で、確実に制御することができると共に、特定の地域からの応答に制限する双方向番組を容易に提供することができるなど、双方向番組の制作の自動度が高くなる。
【0136】
また、受信側では、アクセスを制限されているときに、誤って無効な応答操作をしても、発信が行なわれないので、回線に無用の負荷をかけることがなく、無駄な回線使用料の発生もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による双方向番組の受信装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】DTMF信号を説明するための概念図である。
【図3】DTMF信号の送出条件を説明するための図である。
【図4】図1の実施例のDTMF信号による双方向番組関連情報の受信動作の全体を説明するための流れ図である。
【図5】図4の流れ図の一部の流れ図である。
【図6】図1の実施例における双方向番組に対する応答処理動作を説明するための流れ図である。
【図7】この発明による双方向番組の受信装置の他の実施例の構成例を示す図である。
【符号の説明】
10・・・信号系、14・・・音声復調器、20・・・制御系、21・・・CPU、23・・・DRAM、24・・・SRAM、31・・・前処理回路、32・・・DTMFデコーダ、33・・・モデム
【産業上の利用分野】
この発明は、応答が電話回線によって行なわれる双方向番組の受信装置および受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、テレビショッピング、アンケート調査や、視聴者参加型のクイズ番組などにおいて、テレビジョン放送側で、その応答のための受付電話番号が、適宜の時間だけ、スーパーインポーズで画面に表示され、視聴者からの応答は、電話やファクシミリによって行なうようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、電話回線による応答では、1回の応答に対して、送信側・受信側の双方とも、処理にかなりの時間と労力が必要とされると共に、魅力的な番組であればあるほど、視聴者からの通話および通話要求が、応答の受信側、つまり、放送局の回線を管理する特定の電話局の回線に集中して、その回線の処理能力を超えてしまい、電話がつながらない、つながっても混線してしまう(以下、この状態を電話回線のパンクという)などの問題があった。
【0004】
このような回線のパンクの問題を解消するために、放送局側では、双方向番組の中で、例えば司会者が、応答の発信を許可する視聴者の電話番号末尾の数字を指定したりする発信制限の呼びかけを行なうことがよくある。
【0005】
しかしながら、この呼びかけは、視聴者の善意に依存するものであるため、絶対的な効力はなく、指定されない電話番号の視聴者がアクセスすることができなくなるわけではない。
【0006】
そして、電話回線のパンクは、実際に回線が接続された状態だけでなく回線を接続しようとする動作の部分で既に負荷がかかることから発生する仕組みになっている。つまり、受話器を上げただけで既に1回線分の容量を取ってしまうために、例えば、ある電話局で管理している地域の電話すべてが同時に受話器を上げると、それだけで回線はパンクすることになる。
【0007】
現実には、前記のパンク状態は、地域災害などによって急にある地域からの電話の利用が生起される場合に発生するが、双方向番組の放送の場合、相当の視聴率でない限り、起こるとは考えられない。どちらかといえば、応答の受信側つまり放送局の回線を管理する電話局でこの問題が発生することが予想される。つまり、実際に回線がつながらなくても、回線接続のために多くの回線使用要求が一つの電話局の回線に集中してしまうことに問題があり、たとえ、受信(通話)自体を行なわなくても、発信自体を止めなければ、回線へ負荷がかかることに変わりはない。
【0008】
また、このような回線のパンクを避ける目的ではなく、例えばCATV網や、衛星放送などによって、ローカル放送局などで、そのローカル放送局に対応した特定の地域に応答者を限った双方向番組の放送をしたい場合がある。しかし、ローカル放送局の番組であっても、他の地域での視聴が可能な現在では、ローカル放送局の双方向番組であるからといって、その地域の住民だけが視聴者とは限らない。このため、上述の場合と同様にして、番組の中で応答可能地域の制限の放送をしても、その地域以外の視聴者からの応答を禁止することは実質上できなかった。
【0009】
また、近時、アクセス先の電話番号に多数の視聴者が同時に発呼を行なうことによる電話回線の輻輳の問題を解消するものとして、「テレゴング」と呼ばれる電話投票サービスや、「テレドーム」と呼ばれる大量情報提供サービスが電話会社により提供されるようになった。
【0010】
電話投票サービスは、例えば、テレビやラジオの番組におけるアンケート調査やクイズなどにおいて、1つの設問に対する複数の回答のそれぞれごとに、受付のための応答先電話番号がそれぞれ割り付けられて、個々の応答先電話番号に対する着信の回数、即ち、視聴者からの応答の件数を電話局側でカウントし集計して、放送局側に通知するものである。
【0011】
放送局側では、電話局から通知された集計結果を放送番組に反映するべく、例えば、集計結果のグラフなどの画面の放送を行なう。
【0012】
電話投票サービスにあっては、応答者の応答は、電話局への着信時点で、実質的な完了となり、回線を切断することができて、電話回線への負荷が軽減されると共に、視聴者側では、着信直後にオンフックすることができるので、回線使用料の負担が軽減される。
【0013】
また、電話投票サービスにおいては、加入者交換局で着信し、地域毎に電話投票の集計を分散するため、中継回線の輻輳を回避することができ、短時間に比較的大量の発呼を投票数として放送局側に通知することができる。現在のシステムでは、例えば5分間に最大で50万コールを処理することができる。
【0014】
この電話投票サービスを双方向番組に対する応答に利用する場合においても、放送局側から双方向番組の中で視聴者に呼び掛けを行なって、投票エリアを指定するなどして発信制限をすることができるが、上述したローカル放送局で応答を地域制限したい場合と同様に、たとえ、応答の発信制限を、ローカル放送局の双方向番組の中で放送しても、指定した地域の住民だけが視聴者とは限らない。このため、例えばローカル局の地域だけに電話投票サービスを期待しても、対象地域外から電話投票サービスの電話番号にアクセスされる可能性がある。
【0015】
そして、対象地域外から前記の電話投票サービスにアクセスされた場合、そのアクセスは無効となり、「現在この番号は使われておりません。」のメッセージが送出されるか、または、その対象地域外で別の双方向番組が放送されている等の場合には、その別の双方向番組などに対する電話投票サービスの応答になってしまう。これは、回線に無駄な付加を与えるばかりでなく、上述の別の双方向番組など、他の電話投票サービスの使用者に迷惑をかけることになる。
【0016】
一方、大量情報提供サービスは、音源回線や音源装置を放送局などのサービス加入者が用意し、電話会社が設定する所定の電話番号(例えば0180−99−××××)へ多数の利用者が電話をかけると、上記音源からの音声情報が前記多数の利用者に同時に提供できるようにするものである。この大量情報提供サービスの場合には、多数の利用者による上記電話番号へのアクセスに対して、回線のパンクを避けて、当該多数の利用者に同時に音声情報を提供でき、例えば、テレビやラジオのスポーツ中継番組などが時間切れになった場合に、その後の放送内容を、放送局側から電話会社を介して、視聴者に提供することができる。
【0017】
この大量情報提供サービスを双方向番組に対する応答に利用する場合においても、放送番組の中で、利用可能エリアを指定することができるが、前述した電話投票サービスと同様の問題が生ずる。
【0018】
この発明は、以上の点に鑑み、受信側からの応答の発信を所望の地域のみに確実に制限することができる双方向番組の受信装置および双方向番組の受信方法を提供することにより、受信側からのアクセスの量を確実に制御することができるとともに、応答の発信可能地域の確実な制限を行なうことができるようにすることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、この発明による双方向番組の受信装置は、
双方向番組に対する受信者の応答の発信を許可若しくは禁止する地域を特定するための地域発信制限情報を含む双方向番組関連情報が多重された放送信号を受信する受信手段と、
前記双方向番組に対する応答の操作をするための操作入力手段と、
電話回線を通じて前記応答の発信を行う発信手段と、
前記放送信号に多重された地域発信制限情報を取得する取得手段と、
予め登録された自己の地域情報を保存する保存手段と、
前記取得手段で取得された前記地域発信制限情報と、前記保存手段に保存されている地域情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づいて、前記応答の発信を許可若しくは禁止する制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0020】
また、この発明による双方向番組に対する応答方法は、
双方向番組に対する受信者の応答の発信を制限する地域を特定するための地域発信制限情報を含む双方向番組関連情報が多重された放送信号を受信する受信工程と、
前記双方向番組に対する応答の操作を受け付ける操作入力工程と、
電話回線を通じて前記応答の発信を行う発信工程と、
前記放送信号に多重された地域発信制限情報を取得する取得工程と、
予め登録された自己の地域情報を保存しておく保存工程と、
前記取得工程で取得された前記地域発信制限情報と、前記保存工程により保存されている地域情報とを比較する比較工程と、
前記比較工程での比較結果に基づいて、前記応答の発信を許可若しくは禁止する制御工程と
を備えることを特徴とする。
【0021】
放送側から提供される地域発信制限情報は、放送信号に多重するのではなく、双方向番組において提供された指示に応じて、双方向番組の受信者が特定の電話番号にアクセスすることにより、電話回線を介して取得するようにすることもできる。
【0022】
【作用】
上述のこの発明の構成によれば、放送側からは、地域発信制限情報によって、応答の発信を許可するあるいは禁止する地域を指定するため、応答装置の保存手段に予め保存されている地域情報を含む地域発信制限情報を多重放送する。あるいは、電話回線を通じて応答装置に対してこの地域発信制限情報を送信する。
【0023】
応答装置は、この地域発信制限情報を取得して、保存手段に保存されている自己の地域情報と比較参照する。そして、例えば、地域発信制限情報により応答の発信を許可する地域が指定されている場合には、取得した地域発信制限情報に、自己の地域情報が含まれている場合には、応答装置の制御手段は、自己の応答装置からの応答の発信が許可されているとして、応答操作に応じて応答の発信を行なう。
【0024】
逆に、取得した地域発信制限情報に、自己の地域情報が含まれていない場合には、応答装置の制御手段は、自己の応答装置からの応答の発信が禁止されているとして、応答操作が利用者から行なわれても、その応答の発信を行なわないようにする。
【0025】
例えば、地域発信制限情報により応答の発信を許可する地域が指定されている場合には、応答装置での応答に対する発信制限の態様が、前記とは逆になる。
【0026】
以上のように、放送局側から、応答の発信を制限する地域を、受信者の応答装置に保存されている地域情報により指定することにより、確実に応答者の地域制限を行なうことができ、特定の地域の回線のパンクを防止したり、特定の地域からの応答を募る双方向番組の制作などを行なうことができる。
【0027】
【実施例】
以下にこの発明による双方向番組の受信装置および受信方法の一実施例を、テレビジョン放送に適用した場合について説明する。
【0028】
この実施例では、放送局側は、双方向番組に対する受信者の応答のための情報として、双方向番組関連情報を放送信号に多重化して放送する。そして、特に、この実施例では、その双方向番組関連情報を、電話回線の選択などに利用される多周波数信号としてDTMF(Dual Tone Multi Frequency )信号を使用して、放送音声信号に多重化(混声)する。
【0029】
一方、受信側では、受信した放送音声信号からDTMF信号を分離・デコードして、双方向番組関連情報を再生し、メモリに記憶して、サービス局などとの電話通信や番組予約などに利用する。
【0030】
そして、この例の場合、地域発信制限情報は、この双方向番組関連情報の一部として、放送信号に多重化して放送する。この例の地域発信制限情報は、電話番号のうちの地域を限定する情報、例えば市外局番や市内局番が使用される。
【0031】
一方、この例の受信側の応答装置には、予め受信ユーザーの加入者電話番号が登録されてメモリに保存されている。そして、双方向番組関連情報に地域発信制限情報が含まれている場合には、応答装置は、それにより指定される市外局番や市内局番と、受信側の応答装置に保存されている加入者電話番号とを比較し、その比較結果により、応答の発信を可能としたり、応答の発信を禁止したりして、応答の発信を制御する。
【0032】
まず、図2を参照しながら、DTMF信号について説明する。
【0033】
[DTMF信号]
DTMF信号方式は、1つは低周波数のグループ(低群)、そしてもう1つは高周波数のグループ(高群)の2つのトーンを同時に送る音声帯域信号方式である。これらの低周波数および高周波数のグループの各々は、どの2つも調音の関係にない4つの音声帯域周波数のトーンからなっている。
【0034】
DTMF信号では、低群の4周波数は、例えば、697Hz、770Hz、852Hz、941Hzとされ、高群の4周波数は、例えば、1209Hz、1336Hz、1477Hz、1633Hzとされている。そして、これら低群と高群の中のそれぞれ1周波数ずつを組み合わせ、その組み合わせからなる各DTMF信号(この各DTMF信号のそれぞれを、以下機能信号という)が、図2に示すように、4行4列に配設されたプッシュボタン「0」〜「D」にそれぞれ割り付けられる。
【0035】
電話通信では、DTMF信号の16の組み合わせの機能信号のうち、単に12個が一般に加入者アドレス(電話番号)の信号に用いられている。つまり、電話機でいわゆるテンキーとして使用されている「0」〜「9」の数字と、「*」や「#」の記号に対して、前記の12個の組み合わせの機能信号が対応する。図2に破線で示した「A」、「B」、「C」、「D」の文字に対応する機能信号は、日本国内では一般には利用しておらず、プッシュボタン(PB)ダイアルを利用したデータ伝送に利用されているのみである。
【0036】
このようなDTMF信号を使って電話番号による回線選択を行なう場合、信号の送出条件は、図3に示すように規定されている。
【0037】
上述のような2周波数の組み合わせと送出条件とによって、DTMF信号は、自然界では滅多に発生しないものとなり、人の声などのような自然音と明確に区別することができるので、通常の放送音声信号に多重(混声)して放送することができて、受信側での分離も比較的容易である。
【0038】
ちなみに、DTMF信号は、多機能電話においても利用されており、外出先からプッシュボタン式の電話のボタン操作によって、自宅の電話に留守番録音されている用件を再生させたり、留守番録音の応答メッセージを録音、再生したり、用件を消去したりすることができる。
【0039】
[双方向番組関連情報の多重放送]
この実施例の送信側、つまり放送局側においては、双方向番組関連情報の送信に当たって、上述のようにPB回線選択には使用されていない「A」、「B」、「C」、「D」を意味する機能信号のうち、「A」、「B」、「C」の機能信号は、双方向番組関連情報の送信開始情報として用い、「D」の機能信号は送信終了情報として用いる。
【0040】
送信開始情報が3種類あるので、この例では、3種類の双方向番組関連情報を区別して送信することができる。つまり、3種の双方向番組関連情報は、その種別ごとに、「A」、「B」、「C」の機能信号のいずれかと、「D」の機能信号とで区切られて放送される。
【0041】
例えば、双方向番組への応答アクセスに関する情報、例えば応答の送信先の電話番号、伝送レートなどの双方向番組関連情報は、「A」の機能信号を送信開始情報とし、送信終了情報である「D」の機能信号との間に挟まれた状態の信号として送信される。
【0042】
同様に、応答側の地域発信制限情報や現在時刻設定などの環境設定に関する双方向番組関連情報は、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に、受信データのクリアに関する情報は「C」の機能信号と「D」の機能信号との間に、それぞれ挟まれた状態の信号として多重化されて放送される。
【0043】
そして、受信側においては、送信開始情報としての「A」、「B」、「C」の機能信号のいずれかと、送信終了情報としての「D」の機能信号とに挟まれた数値や記号データが双方向番組関連情報のデータ列(情報群)とみなされて、後述のように、メモリの所定の格納域にそれぞれ区別されて保存される。
【0044】
例えば、応答アクセスに関する情報として、インタラクティブ(対話型)テレビジョン規格バージョンが00の受信機に対して、受付電話番号0990−1234−1234に、伝送レート300bpsで120分間アクセスを許可する場合は、双方向番組関連情報は、
00#120#0990*1234*1234
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「A」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で、放送音声信号に多重化されて送出される。
【0045】
ここで、データ列のうち、最初の00は、インタラクティブ(対話型)テレビジョン規格バージョンが00(伝送レート300bps)を示し、次の記号「#」の後の数値データは応答アクセスの許可時間が120分であることを示し、2個目の記号「#」の後の数値データは応答受付電話番号である。
【0046】
また、インタラクティブテレビジョン規格バージョンが01の受信機に対し、電話番号0990−1234−1235に、伝送レート1200bpsで60分間アクセスを許可する場合には、
01#060#0990*1234*1235
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「A」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で放送音声信号に多重化されて送出される。
【0047】
ここで、データ列のうち、最初の01は、インタラクティブ(対話型)テレビジョン規格バージョンが01(伝送レート1200bps)を示し、次の記号「#」の後の数値データは応答アクセスの許可時間が60分であることを示し、2個目の記号「#」の後の数値データは応答受付電話番号である。
【0048】
なお、上述のような応答アクセスに関するデータ列では、記号「#」がセパレータを表わし、記号「*」がポーズを表わす。
【0049】
環境設定に関する情報として、特定の地域の視聴者のみにアクセスを制限するために地域発信制限情報を多重放送する場合、例えば、電話番号の市外局番が「03」の東京地域の視聴者のみに応答の発信を許可するときは、
0#03
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、また、電話番号の市外局番が「044」の川崎地域の視聴者のみに応答の発信を許可するときは、
0#044
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、それぞれ、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で、放送音声信号に多重化されて送出される。
【0050】
この場合、記号「#」の前の数字「0」は、記号「#」の後の数字列を、市外局番として有する電話番号からの応答の発信を許可することを意味する。
【0051】
また、東京地域と川崎地域のみに応答の発信を許可するときは、
0#03*0#044
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、それぞれ、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で、放送音声信号に多重化されて送出される。ここでは、記号「*」は論理和を意味している。
【0052】
なお、電話番号の市内局番までを地域発信制限情報とすることにより、より細かな地域制限をすることもできる。例えば、東京地域であって、市内局番が「3343」である地域のみの視聴者の応答の発信を許可する場合には、
0#03*3343
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、それぞれ、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で、放送音声信号に多重化されて放送される。
【0053】
逆に、この例では、東京地域の視聴者の応答の発信を禁止する場合には、
1#03
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で、放送音声信号に多重化されて送出される。この場合、記号「#」の前の数字「1」は、記号「#」の後の数字列を、市外局番として有する電話番号からの応答の発信を禁止することを意味する。
【0054】
上述のような地域制限のために、各応答装置への、視聴者による電話番号の登録は、市外局番から登録させる。このとき、応答装置側では、例えば、電話番号の先頭の「0」が入力されたか否かにより、登録のチェックを行なうことができる。
【0055】
なお、上述の例では、放送局側で多重する地域発信制限情報の市外局番には、先頭の「0」をも含ませたが、この先頭の「0」は省略して、エリア番号のみでもよい。
【0056】
その他の双方向番組関連情報としては、次のようなものがある。例えば、放送番組の受信予約や録画予約などのための時刻情報として、例えば、現在時刻が1995年03月23日木曜日7時00分の場合は、
2#1995032340700
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で、主放送音声信号に多重化されて送出される。
【0057】
また、ある放送番組が、現時点から見て、次の日曜の7時00分から7時29分まで放送される場合は、
10#07000729
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれて送出され、別の放送番組が次の月曜の12時00分から14時15分まで放送される場合には、
11#12001415
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれて送出される。
【0058】
さらに、受信データのクリアに関する情報として、例えば、番号制限のクリアの場合は、
99#0
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「C」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれて送出され、また、応答受付電話番号のクリアの場合には、
99#1
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「C」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれて送出される。
なお、受信データのクリアに関する情報は、これを受信すると、番号制限などのデータが直ちにクリアされるので、いわば、消去指令である。
【0059】
上述のように、電話回線の選択信号としては使用されていない「A」、「B」、「C」;「D」の機能信号を、双方向番組関連情報の送信開始情報および送信終了情報とすることによって、例えば、ドラマの電話をかけるシーンなどで、DTMF音が発信されても、双方向番組関連情報と混同されることはない。また、双方向番組関連情報を確実に送受することができる。
【0060】
[応答装置の構成]
次に、図1,図4〜図6を参照しながら、この発明による双方向放送の応答装置の一実施例の機能を搭載したテレビジョン受信機の一実施例について説明する。
【0061】
図1において、10はテレビジョン受信機の信号系であり、20はその制御系である。
【0062】
アンテナ1で受信された放送電波が信号系10のチューナ11に供給される。チューナ11には制御系20から選局信号が供給されて、このチューナ11において所望のチャンネルの放送信号が選択されて、中間周波信号に変換される。この中間周波信号は中間周波回路12に供給される。この中間周波回路12には、映像復調器13と音声復調器14とが含まれ、映像信号および音声信号が復調される。
【0063】
映像復調器13からの映像信号Svは、映像信号処理回路15を経て、受像管16に供給される。音声復調器14からの音声信号Saは音声多重デコーダ17に供給されて、2か国語信号またはステレオ信号SL、SRがデコードされる。そして、これら信号SL、SRが、それぞれ増幅器18L、18Rを通じて、左右のスピーカ19L、19Rに供給される。
【0064】
音声復調器14からの音声信号Saは、また、前処理回路31を介してDTMFデコーダ32に供給される。このDTMFデコーダ32は、その入力信号中のDTMF信号を常時サーチし、DTMF信号を検知すると、そのDTMF信号がいずれの機能信号であるかのデコードを行う。つまり、「0」〜「9」の番号、「#」、「*」、「A」〜「D」がデコードされる。そして、そのデコードしたデータを制御系20に供給する。
【0065】
この例の場合には、このDTMFデコーダ32としては、広く普及している市販のDTMFデコーダを用いる。前処理回路31は、このようにDTMFデコーダ32として市販のDTMFデコーダを使用しても、より精度の高いDTMF信号のデコードを行うことができるようにするための前処理を行うために設けられる。すなわち、前処理回路31は、音声信号Saについて、DTMF信号以外の周波数成分を除去して、DTMFデコーダ32の入力信号が、市販のDTMFデコーダが許容する信号となるようにするもので、フィルタ回路からなる。
【0066】
また、この実施例では、視聴者参加型番組への応答など、双方向番組に対応するために、データ通信用のモデム(変復調装置)33が設けられる。
このモデム33には、オンフック、オフフック、ダイアルなどの電話機機能部分である、ネットワーク制御ユニット(Network Control Unit)33NCが内蔵される。また、NCU33NCは、トーンリンガを備える。
【0067】
このモデム33の回線接続端子Lineには電話回線2が接続され、電話端子Tel には電話機3が接続される。このモデム33が、制御系20のシステムバス200に接続される。また、モデム33からのデータが、DTMFデコーダ32に供給されており、電話回線2を介して送られてくるDTMF信号をこのDTMFデコーダ32でデコードして、制御系20に取り込むことができるようにされている。
【0068】
制御系20は、CPU21と、ROM22と、EEPROM22Eと、DRAM23と、SRAM24と、ビデオRAM(VRAM)25とを備え、それぞれがシステムバス200に接続される。
【0069】
ROM22には、後述するDTMFデータの受信取り込み処理プログラムのほか、各種の制御プログラムが格納されると共に、表示に用いるフォントやグラフィックのデータも格納される。DRAM23は主に演算のための作業領域として利用される。SRAM24には、このテレビジョン受信機自身の設定情報などが保存され、EEPROM22Eには、ID情報(この例のテレビジョン受信機の識別番号)や、このテレビジョン受信機のユーザーの加入者電話番号などが登録保存される。
【0070】
ユーザーの加入者電話番号のROM22Eへの登録が、例えば、このテレビジョン受信機の設置時に際して、予めユーザーにより実施されるように、テレビジョン受信機では、案内メッセージが表示される。ユーザーは、この案内メッセージにしたがって、自己の加入者電話番号を入力して登録をすることになる。
【0071】
そして、VRAM25は表示に用いられる。このVRAM25に対しては表示制御回路25Cが設けられている。この表示制御回路25Cは、VRAM25へのビデオデータの読み出し及び書き込みを制御するとともに、読み出したビデオデータをアナログ映像信号に変換する。
【0072】
制御系20は、また、I/Oポート261、262、263、264およびVTRの制御ポート27を備える。I/Oポート261を通じて制御信号が映像信号処理回路15および音声多重デコーダ17に供給される。
【0073】
また、遠隔制御用の送信機(以下コマンダと呼ぶ)34からの、例えば赤外線搬送式の遠隔制御信号が遠隔制御用の受信機35で受信され、その受信された遠隔制御信号がデコード回路36でデコードされ、そのデコードされた遠隔制御信号が、I/Oポート261より制御系20に取り込まれる。
【0074】
そして、コマンダ34での視聴者の操作に応じた制御や前述のユーザーの加入者電話番号の登録が、ROM22のプログラムにしたがってCPU21により行なわれる。例えば、ユーザーがこの例のテレビジョン受信機を購入して初めて電源を投入すると、ROM22のプログラムにしたがい、例えば「ご自分の電話番号を市外局番から順に入力して下さい」というメッセージが受像管16の画面に表示される。すなわち、必要な文字や記号の表示のためのフォントデータが、ROM22から読み出されてVRAM25へ転送され、このVRAM25のデータが、表示制御回路25Cにおいてアナログ映像信号に変換されて、映像信号Svと合成(例えばスーパーインポーズ)されることにより、受像管16の画面に適宜の時間、表示される。
【0075】
そして、ユーザーがそのメッセージにしたがい電話番号を入力すると、ROM22のプログラムにしたがって、その入力された電話番号がEEPROM22Eに保存される。保存が終了すると、受像管16の画面の前記メッセージが消え、電話番号が登録されたことが所定時間表示された後、消える。
【0076】
なお、同様にして、例えば、選局や音量制御などの遠隔操作の場合、チューナ選局や音量制御が実行されると同時に、必要な文字や記号の表示のためのフォントデータが、ROM22から読み出されてVRAM25へ転送される。このVRAM25のデータが、表示制御回路25Cにおいてアナログ映像信号に変換されて、映像信号Svと合成(例えばスーパーインポーズ)されることにより、受像管16の画面に適宜の時間、表示される。
【0077】
そして、選局や音量制御などのデータは、それぞれの操作の都度、不揮発性のSRAM24に書き込まれて、電源を一旦オフとした後に再度オンとした場合、電源オフ直前と同音量で同じチャンネルを試聴する、いわゆる、ラストメモリ機能が実現される。
【0078】
I/Oポート263を通じては、選局信号がチューナ11に供給される。また、この実施例では、実時間の通知や所定の時間の割り込み発生のためのタイマ回路37からの時間データがI/Oポート264を通じて制御系20に入力される。
【0079】
また、VTRの制御ポート27は、この例では3台のVTR1、VTR2、VTR3に対しての制御が可能に構成されている。制御系20は、この制御ポート27を通じてVTRに制御信号を供給すると共に、VTRからのステータス信号を取り込み、VTRに対して所望の制御を行うことができる。
【0080】
なお、各VTRは、チューナと中間周波数回路を内蔵しており、例えば分配器を介してアンテナ1に接続されて、後述のように、制御系20の制御の下に、予約録画をすることができる。
【0081】
[多重化情報の受信処理]
次に、図4および図5のフローチャートを参照しながら、図1の実施例の多重化情報の受信処理について説明する。
【0082】
テレビジョン受信機の電源がオンの状態では、前処理回路31およびDTMFデコーダ32を使用して、現在選択されているチャンネルの番組の音声信号に混声されているDTMF信号を、常時、監視する。すなわち、CPU21は、I/Oポート262を通じてDTMFデコーダ32の出力を、常時、あるいは所定の周期でサーチし(ステップ101)、現に受信中の放送番組の音声信号SaにDTMF信号が混声されていることを検知したときは(ステップ102)、そのDTMF信号のデコード出力D32を、前述したような番号や記号として取り込む(ステップ103)。
【0083】
このとき、前述のような送出条件、すなわち、DTMF信号の続く長さが50msec以上か、DTMF信号がなくなってから次の信号の立上がりまでのポーズ時間は30msec以上か、DTMF信号の長さとポーズ時間との合計が規定値の120msec以上かなどのチェックを行い、本当に検出された信号がDTMF信号かをチェックする(ステップ104)。これにより、放送電波の受信状態の悪いときのエラーデータの受信を防ぐことができると共に、通常の音声に、偶然、DTMF信号と同じ周波数成分が含まれていた場合の誤受信を防ぐことができる。
【0084】
ステップ104において、受信データがDTMF信号でないと判断した場合は、ステップ105に進んで、DRAM23の一時格納域をクリアすると共に、保存ポインタを初期設定した後、ステップ101に戻って、DTMFデコーダ32の出力チェックを継続する。
【0085】
また、受信データがDTMFであると判断した場合は、ステップ106に進んで、保存ポインタアドレスが一時格納域の範囲内にあるか否かをチェックする。そして、保存ポインタアドレスが一時格納域の範囲内にない場合は、電源オン直後の状態、または、エラー状態であるため、ステップ106からステップ107に進んで、リセットの意味から、保存ポインタに一時格納域のアドレスを初期設定する。これにより、保存ポインタの示すアドレスが不定のまま、DRAM23にデータが書き込まれ、誤動作ないしはソフトウエア暴走の原因となることが防止される。
【0086】
ステップ106でポインタアドレスが一時格納域の範囲内にあると判別したとき、また、ステップ107でポインタに一時格納域のアドレスを初期設定した後には、ステップ108に進んで受信データが“0”〜“9”までの番号や、“#”や“*”などの記号データであるかを判別する。これら数値や記号であると判別したときには、ステップ108からステップ109に進んで、一時格納域に空きがあるか否かをチェックする。
【0087】
そして、受信データがこれらの数値や記号データであって、かつ、一時格納域に空きがある場合、つまりポインタが一時格納域の範囲内を指示している場合は、ステップ110に進んで、DRAM23の、そのポインタが示すアドレスへ受信したデータ(“0”〜“9”、“#”、“*”)を格納する。そして、その後、ステップ111に進んでポインタを1文字分だけ更新する。その後、ステップ101に戻ってDTMF信号の受信チェックを継続する。
【0088】
また、ステップ109において、一時格納域に空きがないと判断した場合は、受信エラーなので、ステップ112に進んで一時格納域をクリアし、ポインタに一時格納域のアドレスを初期設定する。
【0089】
また、上述のステップ108において、受信データが、“0”〜“9”,“#”,“*”のような数値や記号データでない場合は、前述の4つの機能信号に対応する文字データ“A”,“B”,“C”,“D”のいずれかであるので、図4の区分格納のルーチン120に入る。このルーチン120は、図5に示す内容のもので、まず、ステップ121において、ポインタに一時格納域の先頭アドレスをセットする。次いで、ステップ122、123、124で、受信データが“A”、“B”、“C”の3つの機能信号のいずれであるかを順次チェックする。
【0090】
そして、ステップ122で受信データが“A”の機能信号であると判断した場合は、ステップ125に進んで、ポインタの示すアドレスに「A」を設定する。また、ステップ123で受信データが“B”の機能信号であると判断した場合は、ステップ126に進んで、ポインタの示すアドレスに「B」を設定する。さらに、ステップ124で受信データが“C”の機能信号であると判断した場合は、ステップ127に進んで、ポインタの示すアドレスに「C」を設定する。
【0091】
そして、これらステップ125、126、127の後は、ステップ111に進んで、ポインタを1文字分だけ更新する。その後、ステップ101に戻ってDTMF信号の受信チェックを継続する。
【0092】
上述のステップ122〜124において、“A”、“B”、“C”の3つの機能信号のいずれでもないと判断した場合は、残りの文字“D”の機能信号であると判断し、ここまでに一時格納域に格納されたデータを1つのデータ列(情報群)として処理する。
【0093】
すなわち、放送側は、DTMF信号の送信時には、送信開始信号として、“A”、“B”、“C”の機能信号のいずれかを送出するので、ステップ125〜127の結果、一時格納域の先頭には、「A」、「B」、「C」のいずれかが格納されている。そこで、次のステップ128においては、一時格納域の先頭が「A」、「B」、「C」の文字データのいずれであるかを判別する。
【0094】
この判別の結果、一時格納域の先頭が「A」であれば、ステップ129に進んで、一時格納域の先頭からポインタの示す最後の部分までのデータ列を、対応する格納域Gaに保存する。また、一時格納域の先頭が「B」であれば、ステップ130に進んで、一時格納域の先頭からポインタの示す最後の部分までのデータ列を、対応する格納域Gbに保存する。さらに、一時格納域の先頭が「C」であれば、ステップ131に進んで、一時格納域の先頭からポインタの示す最後の部分までのデータ列を、対応する格納域Gcに保存する。これら格納域Ga、Gb、Gcは、DRAM23またはSRAM24に設定される。
【0095】
そして、次にステップ132に進んで、受信したデータ列の評価、解析を行ない、格納域Ga、Gb、Gcに格納された情報が、受信時に実行することが必要なコマンドである場合、そのコマンドに対応した処理、例えば、受信されている情報の一部または全部のクリア、現在時刻のタイマーへの設定、メニュー表示選択処理などを行なう。しかる後、ステップ101に戻って受信チェックを継続する。
【0096】
以上のように、この実施例の多重データの受信処理では、放送番組の音声信号を常時監視しながら、DTMF信号の内の機能信号に対応する文字データ“A”と“D”、“B”と“D”、“C”と“D”の機能信号に挟まれたデータ列を1つの情報とみなし、前述のような情報の種類に応じて区分して、それぞれの情報を別々の格納域Ga、Gb、Gcへ自動的に保存する。こうして、この実施例では、受信情報を分類して保存することができる。
【0097】
例えば、始端が“A”の機能信号であれば、双方向番組への応答アクセスに関する情報として、データ列は格納域Gaに保存される。また、始端が“B”の機能信号であれば、環境設定に関する情報として、格納域Gbに保存される。そして、始端が“C”の機能信号であれば、受信データのクリアに関する情報として、格納域Gcに保存される。
【0098】
応答アクセスに関する情報など双方向番組に対応する一時的な情報は、番号クリア信号の受信時にクリアすることが考えられるが、クリア信号受信時にチャンネルが切り替わっていたりする可能性を考えると、電源オフのタイミングで、古い番号がクリアされることが望ましい。したがって、応答アクセスに関する情報は、DRAM23にそのまま保存してもよい。つまり、格納域GaはDRAM23上に設定してもよい。
【0099】
一方、環境設定に関する情報には、前述のように、放送番組の受信予約や録画予約などのための時刻情報が含まれており、予約された番組の時刻情報は、例えば、1週間を超えるような比較的長い期間にわたって保存する必要がある。そこで、これらの情報は、不揮発性のSRAM24上に転送した方がよい。
【0100】
したがって、この実施例では、格納域Ga、Gb、Gcは、その保存すべきデータの性質、つまり長期保存が必要か、電源オフで消去してもよいものか、などの条件に応じて、揮発性のDRAM23あるいは不揮発性のSRAM24上に設定される。
【0101】
そして、応答の送信に一般の電話回線を利用した簡易型インタラクティブテレビジョンの、後述のような応答処理に際しては、DRAM23上の格納域Gaに保存された、宛先電話番号や通信条件などの必要な情報を、自動的に読み出して、利用することができる。
【0102】
また、後述のような録画予約に際しても、DRAM23上の格納域GbからSRAM24上に転送された予約番組の時刻情報を、自動的に、利用することができる。
【0103】
[双方向番組に対する応答の地域発信制限]
次に、図6のフローチャートを参照しながら、図1の実施例の地域発信制限処理について説明する。この例は、放送側から送られてきた地域発信制限情報中の地域情報と、応答装置の地域情報、つまり、EEPROM22Eに保存された電話番号の市外局番ないし市内局番が一致したときには、応答の発信が禁止される場合の例である。
【0104】
図6のステップ141において、視聴者がコマンダ34を操作することにより、このコマンダ34から送信された遠隔制御信号(コマンド)が、遠隔制御受信機35に受信される。そして、受信したコマンドが、例えば、視聴者参加型のクイズ番組のような、双方向番組に対する応答コマンドであるか否かが判断される(ステップ142)。
【0105】
受信したコマンドが、例えば、チャンネル切り換えのような一般のコマンドである場合、そのコマンドに対応する処理がなされる(ステップ140)。
受信したコマンドが応答コマンドの場合は、前述の図4,図5に示したような受信処理によって、応答先の受付電話番号や通信速度などのアクセス情報が既に受信されて、DRAM23上に保存されているか否かが判断され(ステップ143)、受信されていない場合は、エラーを示すアイコンやメッセージにより、アクセス情報が受信されていないことが受像管16の画面に一定時間だけ表示される(ステップ144)。
【0106】
また、応答先の電話番号などの応答アクセスのための情報が受信済みの場合は、同時に受信した双方向番組関連情報中に地域発信制限情報があるか否かの判断を行ない(ステップ145)、地域発信制限情報が含まれていれば、そのうちの地域情報と、EEPROM22Eに保存されている電話番号とが比較されて、発信制限条件に該当するか否かが判断される(ステップ146)。
【0107】
例えば、放送局側から、前述のような環境設定に関する情報として地域発信制限情報が送られてきており、それが、この例の場合に、応答禁止の地域情報として電話番号の市外局番「03」の東京地域のみを指定している場合には、市外局番が一致する東京地域の視聴者の応答の発信が禁止となり、市外局番が異なる東京以外の地域の視聴者は、応答の発信ができるようになる。
【0108】
そこで、ステップ146において、上記の応答禁止の地域情報と、保存された視聴者の地域情報とが一致していると判断されたときには、当該視聴者は応答の発信は禁止され、ステップ146からステップ147に進んで、「応答の発信が制限されているため応答できない」旨のメッセージが受像管16上に一定時間だけ表示される。
【0109】
そして、ステップ146において、上記の応答禁止の地域情報と、保存された視聴者の地域情報とが不一致であって応答の発信が禁止されていない場合には、ステップ151に進む。また、ステップ145で、双方向番組関連情報中に地域発信制限情報が存在しないと判断された場合にもステップ151に進む。
【0110】
そして、ステップ151においては、例えば、双方向番組に対する応答として、所定の応答情報に視聴者のID番号が付加されて、応答情報が作成され、上述のような応答先情報に従って通信速度が設定されて、DRAM23上に保存されている所定の電話番号に宛てて、モデム33を通じて、送信される。なお、このような所定の応答情報の形式ではなく、応答が電話投票サービスへの投票である場合には、応答は、その指定された投票番号の選択であって、応答の送信先として、各投票番号に対してそれぞれ指定された電話番号への発呼で終了となる。
【0111】
次のステップ152では、この送信が成功したか否かが判断され、正常に終了した場合は回線が切断されて(ステップ153)、送信が成功した旨のメッセージが一定時間だけ表示される(ステップ154)。送信が不首尾に終わった場合は、その旨のメッセージが一定時間だけ表示される(ステップ155)。
【0112】
なお、以上の例は、地域発信制限情報により応答の発信を禁止する地域を指定する場合であるが、前述したように、地域発信制限情報を、応答の発信の許可する地域情報とすることができる。その場合には、図6のフローチャートにおいて、ステップ146での判断の結果の「YES」「NO」の後のステップが逆になり、地域発信制限情報の地域情報と一致する地域の視聴者のみの応答の発信が可能になる。
【0113】
このように地域発信制限をすることにより、放送側では、視聴者側からの応答の量を制御しながら、容易に双方向放送を実施することができる。また、地域発信制限情報を応答の発信の許可する地域情報とする場合には、特定の地域の視聴者のみを応答者とする双方向番組を容易に提供することができる。
【0114】
また、視聴者側では、アクセスを制限されているときに誤って無効な応答操作をしても、発信が行なわれないので、回線に無用の負荷をかけることがなく、無駄な回線使用料の発生もない。また、他の双方向番組の応答結果に影響を与えることもない。
【0115】
なお、ステップ146の発信制限の条件として、前述のような応答アクセスに関する応答許可時間範囲や応答禁止時間範囲の情報などの時間制限情報とを組み合わせることにより、特定地域の視聴者に対し、例えば一定時間だけアクセスを禁止あるいは許可し、その後にアクセスを許可あるいは禁止するなど、双方向番組として種々の態様の番組を提供することもできる。
【0116】
[他の実施例]
前述の実施例では、発信を制限するための地域情報として、電話番号の市外局番を利用することにより、または、市外局番と市内局番とを併せて利用することにより、特定地域の視聴者の応答の発信の制限(禁止あるいは許可)をするようにしたが、発信を制限するための地域情報として、わが国では郵便番号、米国ではジップコード(Zip Code)など、各国の郵便番号を基準とすることもできる。この郵便番号は、対象地域が階層的に明確に限定されると共に、情報が一括管理され、更新も厳格に行なわれており、電話の市外局番+市内局番に比べて、より細かく地域限定をすることができる。
【0117】
また、視聴者に電話番号の代わりに、その住所を入力させることにより、これを都道府県や市区町村を表す、例えばJISコードや特定のコードに変換してメモリに保存しておき、地域発信制限情報の地域情報として、都道府県コードないし市区町村コードを指定するようにしてもよい。
【0118】
また、前述の実施例では、発信を制限するための地域情報を、DTMF信号形式で、放送音声信号に多重して放送するようにしたが、次のようにして、予め地域発信制限情報などの双方向関連情報を提供する音源を設定しておき、その音源に対して視聴者が必ず電話を掛けて、その音源から前記の地域発信制限情報を視聴者側の応答装置が取得するようにすることもできる。
【0119】
例えば、双方向番組において、応答を期待する番組内容を放送する前に、前述のような電話投票サービスや大量情報提供サービスの電話番号を案内し、必ず、その電話投票サービスや大量情報提供サービスに視聴者に電話をかけさせるようにする。そして、視聴者が、これら電話投票サービスや大量情報提供サービスの電話番号にアクセスすると、その自動応答の音声情報として、発信制限のための地域発信制限情報を、DTMF信号形式で、視聴者に通知するのである。このとき、応答の受付電話番号も併せて送信して、この電話投票サービスや大量情報提供サービスにアクセスした視聴者のみが応答が可能とする。
【0120】
すなわち、例えば電話投票サービスでは、着信すると、「ご投票ありがとうございました。」のような応答メッセージが自動的に送出されるが、例えば、これに加えて、あるいは、この応答メッセージに代えて、上述したような特定地域の視聴者からの応答の発信を制限するための地域発信制限情報と応答先の電話番号などを含む双方向番組関連情報を、DTMF信号形式や、その他のモデムで受信およびデコード可能な状態のデータ形式でサービス側から送出する。
【0121】
大量情報提供サービスの場合には、その音源回線あるいは音源として、上述のような、応答先の電話番号と、地域発信制限情報とを含む双方向番組関連情報をDTMF信号や、その他のモデムで受信およびデコーダ可能なデータ形式で用意すればよい。
【0122】
一方、受信側では、サービス側から電話回線を通じて受信した、DTMF信号形式や前記のデータ形式の双方向番組関連情報を、図1のモデム33により、データに変換して制御系20に取り込み、SRAM24などに格納する。
【0123】
これにより、放送側では、前述の実施例と同様に、視聴者側からの応答の量を制御しながら、容易に双方向放送を実施することができる。
【0124】
更に、前述の実施例では、応答の返信先に関する情報、例えば電話投票サービスの10桁の電話番号[01800×××××](×は0〜9の間の任意の数字)をすべて多重放送するようにしたが、このような長い電話番号と、各電話番号に対応する短い識別番号との変換テーブルを、受信機の制御系のEEPROM(図1参照)に搭載しておき、放送局側から、各電話番号に対応する短い識別番号を多重放送すると共に、受信側では、変換テーブルを用いて、受信した短い識別番号を10桁の電話番号に復元することもできる。
【0125】
これにより、複数個の応答先の電話番号の情報量が圧縮されて、前述のDTMF信号の周期から明かなように、8文字/秒程度の遅い伝送レートによる、所要の伝送時間を短縮することができる。
【0126】
なお、上述の変換テーブルは、電話投票サービスや大量情報提供サービスの自動応答によって、発信制限のための地域情報を、例えばDTMF信号形式で、電話回線を通じて視聴者に通知する場合にも用いることができる。すなわち、例えば、双方向番組で、当該番組に参加するか否かの問い合わせを、例えば「参加ならば11」「不参加ならば22」のようにして、視聴者に識別番号を放送する。もし、視聴者の選択が、「参加」であり、視聴者が「11」を操作すると、双方向関連情報のデータを送信する電話投票サービスや大量情報提供サービスの電話番号の識別番号が「11」であるので、自動的に当該電話投票サービスや大量情報提供サービスにアクセスされ、双方向番組関連情報が取得される。
【0127】
また、この変換テーブルを用いる例の場合、受信機のEEPROMに搭載された、応答受付電話番号と識別番号との変換テーブルは、地域の放送局側から、電話回線を介して随時書き換えることができるので、変換テーブルの存在によって、受信機の設置地域が制限されることはない。
【0128】
そして、前述の各実施例では、DTMFデコーダやモデムを内蔵したテレビジョン受信機にこの発明を適用した場合について説明したが、多重方法がDTMF信号を放送音声に混声するものであれば、DTMFデコーダやモデムと、関連の制御系とを、テレビジョン受信機とは別個の筐体に収納し、テレビジョン受信機に対するアダプタとしてまとめてもよい。
【0129】
すなわち、図7はその場合の構成例である。この例の場合、テレビジョン受信機40は従来の構造のままとする。一方、アダプタ50は、電話回線Lに接続されるアダプタ本体51と、応答操作や電話番号を入力するためのリモコンのコマンダ52とからなる。アダプタ本体51は、コマンダ52からの赤外線コマンドを受け取る受光部を備える。
【0130】
また、アダプタ本体51は、テレビジョン受信機40のスピーカ40SPの再生音を収音するマイクロホン53を備えると共に、DTMFデコーダと、双方向関連情報を記憶するメモリと、全体を制御するマイクロコンピュータとを備える。なお、54は電話機である。
【0131】
DTMF信号形式の双方向番組関連情報が多重化されている場合には、テレビジョン受信機40のスピーカ40SPからはDTMF音が放送音声に混声して再生される。アダプタ本体51は、マイクロホン53により、このスピーカ40SPの再生音を収音し、その中からDTMF音をDTMFデコーダで分離し、再生する。そして、応答先の受付電話番号や地域発信制限情報をメモリに取り込む。そして、コマンダ52からユーザーが応答操作をすると、前述と同様にして双方向番組に対する応答ができ、地域発信制限情報に応じた応答の発信制御が行なわれる。
【0132】
以上は、この発明をテレビジョン放送および受信機に適用した場合について説明したが、この発明は、応答のアクセス用データを放送信号に多重して放送すると共に、受信側の電話番号の市外局番のような地域情報を特定して応答の情報の送信を許可または禁止する地域発信制限情報を、放送信号に多重して放送するものであるから、アクセス用データや、地域発信制限用データなどの情報を、比較的狭い音声帯域内の例えばDTMF信号を用いて構成するときは、AM、FMのラジオ放送やPCM音声放送と、それぞれ対応の受信機に適用することも可能である。
【0133】
また、上述の各実施例では、放送音声信号にDTMF信号形式の地域発信制限情報を多重して放送するようにしたが、文字多重放送形式で、地域発信制限情報を映像信号に多重して放送するようにしても、上述の実施例と同様の効果が期待できる。
【0134】
また、地域発信制限情報を含む双方向番組関連情報は、音声多重放送のサブチャンネルに多重化するようにしてもよい。さらには、FM文字多重方式によって、前記の双方向番組関連情報を多重化するようにしてもよい。
【0135】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、受信側では、応答装置に予め登録された当該応答装置側に固有の地域情報と、取得した前記地域発信制限情報とを比較参照し、その結果に基づいて、応答の発信を制御するようにしたので、受信側からのアクセスの量を、放送側で、確実に制御することができると共に、特定の地域からの応答に制限する双方向番組を容易に提供することができるなど、双方向番組の制作の自動度が高くなる。
【0136】
また、受信側では、アクセスを制限されているときに、誤って無効な応答操作をしても、発信が行なわれないので、回線に無用の負荷をかけることがなく、無駄な回線使用料の発生もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による双方向番組の受信装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】DTMF信号を説明するための概念図である。
【図3】DTMF信号の送出条件を説明するための図である。
【図4】図1の実施例のDTMF信号による双方向番組関連情報の受信動作の全体を説明するための流れ図である。
【図5】図4の流れ図の一部の流れ図である。
【図6】図1の実施例における双方向番組に対する応答処理動作を説明するための流れ図である。
【図7】この発明による双方向番組の受信装置の他の実施例の構成例を示す図である。
【符号の説明】
10・・・信号系、14・・・音声復調器、20・・・制御系、21・・・CPU、23・・・DRAM、24・・・SRAM、31・・・前処理回路、32・・・DTMFデコーダ、33・・・モデム
Claims (10)
- 双方向番組に対する受信者の応答の発信を許可若しくは禁止する地域を特定するための地域発信制限情報を含む双方向番組関連情報が多重された放送信号を受信する受信手段と、
前記双方向番組に対する応答の操作をするための操作入力手段と、
電話回線を通じて前記応答の発信を行う発信手段と、
前記放送信号に多重された地域発信制限情報を取得する取得手段と、
予め登録された自己の地域情報を保存する保存手段と、
前記取得手段で取得された前記地域発信制限情報と、前記保存手段に保存されている地域情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づいて、前記応答の発信を許可若しくは禁止する制御手段と
を備える双方向番組の受信装置。 - 請求項1に記載の双方向番組の受信装置において、
前記保存手段に保存される前記地域情報は電話番号の情報であり、
前記地域発信制限情報は、前記電話番号のうちの地域を示す番号を含む情報である
ことを特徴とする双方向番組の受信装置。 - 請求項1に記載の双方向番組の受信装置において、
前記保存手段に保存される前記地域情報は郵便番号の情報であり、
前記地域発信制限情報は、前記郵便番号を含む情報である
ことを特徴とする双方向番組の受信装置。 - 請求項1に記載の双方向番組の受信装置において、
前記地域発信制限情報は、前記双方向番組関連情報の送信開始情報と送信終了情報との間に挟まれた状態で送信される
ことを特徴とする双方向番組の受信装置。 - 双方向放送番組に対する応答の操作をするための操作入力手段と、
上記応答を電話回線を通じて上記放送側に送信する送信手段と、
上記応答の発信を許可若しくは禁止する地域を特定するための地域発信制限情報を電話回線を通じて受信し、再生する手段と、
予め登録された地域情報を保存する保存手段と、
上記再生された地域発信制限情報と、上記保存手段の地域情報とを参照して、その結果に基づいて上記応答の発信を許可若しくは禁止する制御手段と
を備える双方向番組に対する応答装置。 - 双方向番組に対する受信者の応答の発信を制限する地域を特定するための地域発信制限情報を含む双方向番組関連情報が多重された放送信号を受信する受信工程と、
前記双方向番組に対する応答の操作を受け付ける操作入力工程と、
電話回線を通じて前記応答の発信を行う発信工程と、
前記放送信号に多重された地域発信制限情報を取得する取得工程と、
予め登録された自己の地域情報を保存しておく保存工程と、
前記取得工程で取得された前記地域発信制限情報と、前記保存工程により保存されている地域情報とを比較する比較工程と、
前記比較工程での比較結果に基づいて、前記応答の発信を許可若しくは禁止する制御工程と
を備える双方向番組の受信方法。 - 請求項6に記載の双方向番組の受信方法において、
前記保存工程により保存される前記地域情報は電話番号の情報であり、
前記地域発信制限情報は、前記電話番号のうちの地域を示す番号を含む情報である
ことを特徴とする双方向番組の受信方法。 - 請求項6に記載の双方向番組の受信方法において、
前記保存工程により保存される前記地域情報は郵便番号の情報であり、
前記地域発信制限情報は、前記郵便番号を含む情報である
ことを特徴とする双方向番組の受信方法。 - 請求項6に記載の双方向番組の受信方法において、
前記地域発信制限情報は、前記双方向番組関連情報の送信開始情報と送信終了情報との間に挟まれた状態で送信される
ことを特徴とする双方向番組の受信方法。 - 双方向放送番組に対する応答の操作を受け付ける操作入力工程と、
前記応答を電話回線を通じて前記放送側に送信する送信工程と、
前記応答の発信を許可もしくは禁止する地域を特定するための地域発信制限情報を前記電話回線を通じて受信し、再生する工程と、
予め登録された地域情報を保存する保存工程と、
前記再生された地域発信制限情報と、前記保存工程により保存されている前記地域情報とを参照して、その結果に基づいて前記応答の発信を許可若しくは禁止する制御工程と
を備える双方向番組の受信方法。
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