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JP3709926B2 - 熱融着性に優れた防汚性防水シート - Google Patents

熱融着性に優れた防汚性防水シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱融着性に優れた防汚性防水シートに関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明はトラック幌、テント、軒出しテント、テント倉庫、又はイベントテント、及び恒久膜構造建築物などのように膜材料を使用して防水空間を形成する目的で使用される熱融着性に優れた防汚性防水シートに関するものである。
更に述べるならば、本発明は、良好な熱融着性を有し、その汚れ防止性にすぐれ、特に雨筋による汚れ付着の防止が改善された防水シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近来熱融着性及び高防水性が要求される用途等に用いられる防水シートは、基布と、その片面乃至両面を被覆している塩化ビニル系樹脂層とからなるものが多く使用されてきた。
このような従来の防水シートは、塩化ビニル系樹脂に含まれる可塑剤等の液体添加剤が防水シート表面に移行することにより空気中や雨中にある汚れ物質が防水シートの表面に吸着しやすく、一旦吸着された汚れ物質は、水洗い程度の洗浄処理では除去出来ないものであった。
この問題を解決するために、塩化ビニル系樹脂被覆防水シート表面をさらにアクリル樹脂で被覆したものが登場した。しかし、これでも汚れ付着防止性は十分でなく、比較的早期に汚染してしまうという問題点があった。汚れ防止性は更に高度なレベルを要求されるに至り、塩化ビニル系樹脂被覆防水シートの表面をさらにフッ素含有樹脂によりコーティング或いはフィルムラミネート等を施したものが開発されている。これらの防水シートは汚れ付着が少ないこと、また、簡単な洗浄により汚れが除去されることなどの防汚性を有するものである。しかし、この防水シートにおいても、テント等の建築物における垂直面に発生する雨筋による汚れを十分に防止することはできず、或いは屋根部の汚れが少ない分、かえって垂直面の雨筋汚れが目立つという問題が認められており、また熱融着部の耐久性が不十分な場合があり、大型膜構造物には使用が制限される場合があった。
【0003】
更に、最近、塗工面に自浄作用を発揮する光触媒性酸化チタンコーティングが実用化されつつある。
光触媒性酸化チタンによりコーティングされた防水シートは、防水シート同士の熱融着性が無く、防水シートを熱融着法によりつなぎあわせるときには、その部分に塗工されている光触媒性酸化チタンコーティング層を削り取るなどの除去操作が必要であり実用的ではない。更に、汎用的な塩化ビニル系樹脂からなる防水層を有する防水シートに光触媒性酸化チタンコーティングを施したものは、溶出してくる可塑剤を光触媒性酸化チタンが分解してしまうため、比較的早期に防水樹脂層の硬化が起こり、風合いが硬くなり、屈曲などの変形作用を受けた際などには防水樹脂層に亀裂を生じやすい場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、防水シートの汎用性を高めるためになされたものであり、熱融着性が高く、高レベルの防汚性、及び雨筋汚れ防止性を併せ有する防汚性防水シートを提供しようとするものである。
更に言うならば、本発明は、従来より広く使用されている塩化ビニル系樹脂等を防水性樹脂層として有する防水シートが有する良好な熱融着性と同様の熱融着性を有し、更に汚れ物質の付着定着の少なく、特に、シート構造物等の垂直面に雨筋による汚れの付着定着が非常に少ない防汚性防水シートを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートは、繊維布帛からなる基布と、この基布の少なくとも1面上に形成された防水性中間層と、この防水性中間層上に形成され、かつ、防汚性熱融着性樹脂を主成分として含む防汚性融着性樹脂最外層とを有し、
前記防汚性融着性樹脂最外層用樹脂が、アクリル重合体からなる主鎖重合体セグメントに、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びN−メチロール(メタ)アクリルアミドから選ばれた少なくとも1種の重合単位を含む単一重合体及び共重合体の少なくとも1種が、グラフト重合体セグメントとして、グラフト共重合している共重合体の1種以上を主成分樹脂として含むことを特徴とするものである。
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいて、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート重合単位中のヒドロキシアルキル基が2から8個の炭素原子を含むことが好ましい。
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいて、前記防汚性融着性樹脂最外層が、コロイダルシリカをさらに含むことが好ましい。
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいて、前記防汚性融着性樹脂最外層が、ブロックイソシアネートをさらに含むことが好ましい。
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいて、前記防汚性融着性樹脂最外層が、前記主成分樹脂と、それとは異なる少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる付加成分樹脂とを含むことが好ましい。
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいて、前記防水性中間層が天然ゴム、合成ゴム又は合成樹脂から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいて、前記防水性中間層用合成樹脂が、塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、及びフルオロオレフィン系樹脂の中から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいて、前記基布の表面上に前記防水性中間層及び防汚性融着性樹脂最外層が形成されており、その裏面上にブロックイソシアネートを含む熱可塑性樹脂裏面最外層がさらに形成されていてもよい。
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいて、防汚性融着性樹脂最外層が塗布法で形成されたものであることが好ましい。
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいて、前記ブロックイソシアネートを含む熱可塑性樹脂裏面最外層が塗布法により形成されたものであることが好ましい。
本発明の防汚性防水シートの熱融着縫製物は、前記本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートの前記防汚性融着性樹脂最外層の少なくとも一部を、同種又は異種のシートの一部に重ね合わせ、これに熱融着処理を施すことを特徴とするものである。
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートの熱融着縫製方法において、前記熱融着処理が150〜650℃の温度で施されることが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の防汚性防水シートにおいて、その基布を形成する繊維布帛には、天然繊維(例えば綿、麻など)、合成繊維、(例えばポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アクリル重合体、オレフィン重合体、又は塩化ビニル重合体からなる繊維など)、及び無機繊維(例えばガラス又はカーボンからなる繊維など)からなる1種類、あるいは2種類以上を含む紡績糸、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、又は前記合成繊維に用いられる合成樹脂のテープ糸などから形成された平織り、綾織り、畝織、朱子織、オックスフォード織り、絡み織りなどの織布などが用いられることが好ましい。
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートが、イベントテント、恒久膜構造建築物などに使用される場合、その基布には、ポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリアミド、又はポリビニルアルコールからなる繊維などの合成繊維、及び/又はガラス、カーボン繊維などの無機繊維からなる織布を用いることが好ましい。
基布用繊維布帛の目付け質量は80から550g/m2 の範囲にあることが好ましい。本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートがトラック幌、テント、軒出しテント、テント倉庫、イベントテント、恒久膜構造建築物等の構造物に用いられるときは、その必要強度等から基布の目付け量、組織を適宜に設定すればよい。
基布用繊維布帛には必要に応じて撥水処理、接着処理が施されていてもよい。
【0007】
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいて、防水性中間層は天然ゴム、合成ゴム、及び合成樹脂から選ばれた少なくとも一種類を含むものであってもよい。合成ゴムとしてはネオプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンなどが使用できる。
合成樹脂としては塩化ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニルコポリマー樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂などが使用できる。
【0008】
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいて、防水性中間層に使用される合成樹脂は熱可塑性樹脂を主成分として含むことが好ましく、より好ましくは塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、又はフルオロオレフィン系樹脂が防水性中間層の主成分として用いられる。
本発明の防水性中間層に用いられる塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニル重合体、並びに塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、及び塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体などを単独に、或いはその2種類以上を混合したものに、可塑剤、又は可塑化作用を有する重合体、及び安定剤、紫外線吸収剤、防黴剤、難燃剤、充填剤などを配合したものである。
【0009】
前記塩化ビニル系樹脂用可塑剤として用いられるフタル酸エステル系可塑剤は、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジノニルフタレート、ジ−n−デシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどを包含するものである。また、ポリエステル系可塑剤としては、アジピン酸と2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノール、などのグリコール類をエステル化したものなどを用いることができる。さらに、トリメリット酸系可塑剤としては、トリ2−エチルヘキシルトリメリレート、トリイソデシルトリメリレート、などを用いることができる。その他の可塑剤として2−エチルヘキシルピロメリレートなどのピロメリット酸系可塑剤、ビフェニルテトラカルボン酸エステル系可塑剤などを使用することができる。
【0010】
塩化ビニル系樹脂用可塑化作用を有する重合体としてはエチレン−酢酸ビニル重合体やエチレン−アクリル酸エステル重合体に一酸化炭素を導入した重合体が使用できる。
これらの可塑剤及び可塑化作用を有する重合体は単独或いは2種類以上混合して使用できる。
可塑剤及び可塑化作用を有する重合体の添加量は塩化ビニル系樹脂100質量部に対して40質量部から120質量部であることが好ましい。
【0011】
前記塩化ビニル系樹脂用安定剤としてはカルシウム・亜鉛系、バリウム・亜鉛系、カドミウム・バリウム系、鉛系、有機錫ラウレート系、有機錫メルカプタイト系、エポキシ系などを使用できる。
安定剤の添加量は塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましい。
前記塩化ビニル系樹脂用紫外線吸収剤としてはトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、サリチル酸系、ハイドロキノン系などの紫外線吸収剤が使用できる。これらの中から2−(5−メチル−2−ヒドロキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−エチルヘキシル−2−シアノ3,3−ジフェニルアクリレートを、単独に或いはその2種以上を混合したものを使用することが特に好ましく、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシルフェニル)ベンゾトリアゾールと、2−エチルヘキシル−2−シアノ3,3−ジフェニルアクリレートとを、塩化ビニル系樹脂100質量部に対してそれぞれ0.5〜1.0質量部使用すると、塩化ビニル系樹脂の劣化及び着色防止に有効である。
前記塩化ビニル系樹脂用充填剤としては炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどが使用できる。充填剤の添加量は塩化ビニル系樹脂100質量部に対して150質量部までの使用量であることが好ましい。
【0012】
塩化ビニル系樹脂用難燃剤としては三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物やモリブデン酸カルシウム亜鉛、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸炭酸カルシウム、モリブデン酸アンモンなどのモリブデン化合物を使用することができる。
さらに、デカブロモジフェニルエーテル、ペンタブロモメチルベンゼン、ヘキサブロモベンゼンなどのブロム系難燃剤やトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェートなどのリン酸エステル、及び塩素化パラフィンなどが難燃剤として使用できる。
【0013】
本発明の防水性中間層に使用できる熱可塑性ウレタン系樹脂は、ジイソシアネート化合物、ヒドロキシル基を2個以上含む化合物の中から選ばれた1種以上とイソシアネート基と反応する官能基を有する化合物とを反応させて得たものから選ぶことができる。
前記防水性中間層用熱可塑性ウレタン系樹脂用前記ジイソシアネート化合物としては芳香族、脂肪族、及び脂環式のジイソシアネート化合物が用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、o−、m−またはp−キシレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどのジイソシアネート類が用いられる。
【0014】
また前記熱可塑性ウレタン系樹脂用ヒドロキシル基を2個以上含む化合物としては、分子量300〜10000、好ましくは500〜5000であり、ジイソシアネートと反応する基を含有するものであって、炭素数2から8のグリコールから選ぶことができる。例えばエチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ヘキセン、及びプロピレングリコールなどと、炭素数4から10の飽和脂肪族ジカルボン酸であるアジピン酸、コハク酸、グルタル酸、スペリン酸、セバチン酸など、もしくは芳香族ジカルボン酸であるフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などとから得られる縮合体、アルキレングリコールとラクトン基の共重合によって得られるポリエステルグリコール類、例えばポリラクトンジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリエナントラクトンジオール等、また炭素数2から4のアルキレンオキサイドの縮合体、炭素数2から4のアルキレンオキサイドとアルキレングリコールの縮合体、炭素数2から4のポリアルキレングリコール類、及びテトラヒドロフランの開環重合などによって得られるポリアルキレンエーテルグリコール類などが用いられ、さらに、ジヒドロキシポリエステルアミド類、ジヒドロキシポリアセタール類、ジヒドロキシポリアルキレン類、ジヒドロキシポリカーボネート類なども同様に用いることができる。
さらに、前記ジオール化合物の他に、分子鎖伸長剤としてイソシアネート基と反応する官能基を有する化合物が共縮合していてもよく、この分子鎖伸長剤としては、例えば炭素数2から6の飽和脂肪族のグリコール類、具体的に述べればエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ブタン1,2−ジオール、ブタン1,3−ジオール、ブタン1,4−ジオール、ブタン2,3−ジオール、及びブタン2,4−ジオール、及びヘキサンジオール等、又は例えば芳香族グリコール、具体的に述べれば、1,4−キシレングリコール、及びフェニレンビス−β−ヒドロキシエチルエーテル等が用いられる。
その他、例えば少量の3官能性以上のアルコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール等も同時に共縮合成分として使用してよい。本発明において熱可塑性ウレタン系樹脂は上記の化合物を用いて公知の方法を用いて製造されたものを使用できる。
【0015】
これらの熱可塑性ウレタン系樹脂は、2種以上混合して使用されてもよい。なかでも耐候性、耐加水分解性などの向上のために、ポリカーボネート系ウレタン樹脂を用いることが好ましい。しかしながらポリカーボネート系ウレタン樹脂は、他の熱可塑性ウレタン系樹脂に比べて高周波ウェルダー等による熱融着性が低く、したがって安定した熱融着性を付与するためには、防水シートの耐候性が重要視されない裏面には、高周波ウェルダー等の熱融着性に優れたポリエステル系、又はポリエーテル系の熱可塑性ウレタン系樹脂を用いることが好ましい。
これらの熱可塑性ウレタン系樹脂には安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤などを適宜添加することができる。
熱可塑性ウレタン系樹脂による防水性中間層の形成は押出し、カレンダー等によりフィルム化した熱可塑性ウレタン系樹脂を基布に熱圧着する方法や熱可塑性ウレタン系樹脂を溶剤溶解しそれを基布に塗布する方法などを用いることができる。
【0016】
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートの防水性中間層に使用されるフルオロオレフィン系樹脂としてはフッ化ビニリデン重合体、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体が使用できる。
さらに、本発明においては、塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、フルオロオレフィン系樹脂を2種類以上用いて防水性中間層を形成してもよい。
【0017】
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートの防汚性融着性樹脂最外層には、その主成分として、アクリル重合体からなる主鎖重合体セグメントに、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びN−メチロール(メタ)アクリルアミドから選ばれた少なくとも1種の重合単位を含む単一重合体及び共重合体の少なくとも1種がグラフト重合体セグメントとしてグラフト重合している共重合体の1種以上を主成分樹脂として含むものである。
このときのグラフト比、すなわち、グラフト重合体セグメントと主鎖重合体セグメントの分子量比は、3:1〜2:3であることが好ましい。グラフト比が小さいと、得られる防汚性融着性樹脂最外層の親水性が不十分となり、雨筋汚れの防止性が十分に付与されないことがある。
また、グラフト比が大きいと熱融着性に優れた防汚性防水シートの熱融着縫製性が低下する場合がある。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート重合単位中のヒドロキシアルキル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。それが8を超えると、得られる防汚性融着性樹脂最外層の親水性が不十分になり、防汚性が不十分になり、雨筋汚れが発生しやすくなることがある。
グラフト重合体セグメントの分子量は500〜50000であることが好ましい。それが500を下回る場合、得られる防汚性融着性樹脂最外層の樹脂強度が不足し、熱融着部の強度が不十分となることがある。又、それが50000を超えるときは、得られる防汚性融着性樹脂最外層の熱融着性が低下し、熱融着性に優れた防汚性防水シート同士の熱融着が困難になることがある。
【0018】
本発明において、防汚性融着性樹脂最外層用樹脂は、前記主成分樹脂に、異種の熱可塑性樹脂からなる付加成分樹脂、例えば前記主成分樹脂とは異種のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、及びフッ化ビニリデン系樹脂から選ばれた1種以上が混合されていてもよく、このとき、主成分樹脂の前記異種熱可塑性樹脂からなる付加成分樹脂の添加量は主成分樹脂100質量部に対して100質量部以下であることが好ましい。この添加量が100質量部を越えると得られる防汚性融着性樹脂最外層の親水性が不十分となり、雨筋汚れ防止性が十分に付与されないことがある。
【0019】
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートの防汚性融着性樹脂最外層においいて、前記主成分樹脂に混合され得る前記異種アクリル系樹脂は、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C4アルコールのエステルを主構成モノマーとする重合体、もしくは共重合体を主成分として含むアクリル系樹脂から選ばれることが好ましい。この様なアクリル酸エステル系樹脂の主構成モノマーは、具体的にはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートから選ばれることが好ましく、特にメチルアクリレート及びメチルメタクリレートを用いることが好ましい。
前記アクリル系樹脂の、主構成モノマーと共重合させるコモノマーとしては、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C4アルコールのエステル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、及びブタジエンなどのモノマーを用いることができる。
【0020】
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートの防汚性融着性樹脂最外層において、前記主成分樹脂に混合されるウレタン系樹脂としては、高分子ポリオールとポリイソシアネート、及び必要により分子鎖伸長剤を反応させて得られた樹脂を用いることができる。このようなウレタン系樹脂に用いられる高分子ポリオールとしては、分子鎖の両末端に水酸基を有するポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエステルアミドポリオール、あるいはアクリレート系ポリオールなどを用いることができる。ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、及び脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートを用いることができる。とくにポリイソシアネート成分として脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートを用いたウレタン系樹脂は、紫外線曝露によって黄変することがなく耐候性が良好なので好適である。
【0021】
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートの防汚性融着性樹脂最外層において、前記主成分樹脂に混合されるフッ化ビニリデン系樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン単一重合体の他、フッ化ビニリデンを含有する重合体、例えば、フッ化ビニリデンと共重合可能な単量体、例えばテトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フルオロエチレンなどから選ばれる1種類以上の単量体を共重合させて得られる共重合体が用いられる。これらの共重合体はランダム共重合体に限定されるものではなく、グラフト共重合体であってもよい。
また、これらの単一重合体又は共重合体と良好な相溶性を有する他の樹脂を加えた混合物とすることもできる。このようなフッ化ビニリデン系樹脂との相溶性の良好な樹脂としては、例えば、メチルメタクリレートもしくはメチルアクリレートを主体とするアクリル重合体もしくは共重合体、又はシアノエチル化エチレン−ビニルアルコール共重合体などがある。
【0022】
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいて、防汚性融着性樹脂最外層の厚さは、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜5μmである。この厚さが0.2μm未満であると、得られる防汚性融着性樹脂最外層に十分な親水性が得られず、防汚性が低下し雨筋汚れが発生しやすくなることがある。またその厚さが10μmを超えると、得られた熱融着性に優れた防汚性防水シートを折り曲げた際に防汚性融着性樹脂最外層に亀裂が発生しやすくなり、或は折り曲げ痕跡が残るなど熱融着性に優れた防汚性防水シートの外観美観を損することがある。
【0023】
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいては、防汚性融着性樹脂最外層中にはコロイダルシリカを含有させて、防汚性融着性樹脂最外層の親水性を更に向上させ、それによって、雨筋汚れ防止性を一層向上させることができる。コロイダルシリカは二酸化ケイ素(SiO2 )の細粒又はその分散液であり、具体的には日本エアロジルのTT600、日産化学のスノーテックス30、日本触媒のカタロイド20HL、SI−30などが挙げられる。コロイダルシリカの添加量は防汚性融着性樹脂最外層の質量100質量部に対して30質量部以下とすることが好ましい。添加量が30質量部を超えると、得られる熱融着性に優れた防汚性防水シートの熱融着性が不十分になることがある。
【0024】
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいては、その防汚性融着性樹脂最外層中にブロックイソシアネートを含有させることにより、熱融着処理が施されたとき、その熱融着部の耐久性を格段に向上させることができる。本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートの防汚性融着性樹脂最外層は、例えば塩化ビニル系樹脂を防水性付与中間樹脂層として使用した熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいて、防汚性融着性樹脂最外層は、初期的にはその下層を形成している軟質塩化ビニル樹脂中間層との十分な熱融着性を有しているが、長期間屋外で風雨、熱、紫外線などに晒されると、熱融着部の強度が低下することがある。これに対して防汚性融着性樹脂最外層にブロックイソシアネートを含有させると、熱融着時に熱融着性に優れた防汚性防水シートが加熱されたとき、この熱によりブロックイソシアネートからブロック化剤を解離させ、得られたイソシアネートにより熱融着部を硬化、架橋させ、それにより、熱融着部の耐久性を格段に高めることができる。
【0025】
又、本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートにおいては、その防汚性融着性樹脂最外層に対し、反対側の面、すなわち裏面最外層にブロックイソシアネートが添加された少なくとも1種の熱可塑性樹脂層を配して、熱融着時熱融着性に優れた防汚性防水シートに与えられる熱によりブロックイソシアネートからブロック化剤を解離させ、それにより得られたイソシアネートにより熱融着部を硬化、架橋させて、熱融着部の耐久性を格段に高めることも可能である。
裏面最外層用熱可塑性樹脂としてはアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びシアノエチル化エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を用いることができる。
本発明に使用されるブロックイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、又はトリレンジイソシアネートのジマー、トリマーなどを、メチルアルコール、エチルアルコール、ジエタノールアミン、カプロラクタム、メチルエチルケトオキシムなどのブロック化剤によりブロックしたものを用いることができる。この様なブロックイソシアネートの添加量は、イソシアネート基と防汚性融着性樹脂最外層又は熱可塑性樹脂裏面最外層中に含まれるOH基の当量に対して、15%〜150%であることが好ましい。それが15%未満では、熱融着部の強度改善に効果が不十分であり、またそれが150%を超えると、得られる強度改善効果は飽和してしまう。
ブロックイソシアネートを添加した防汚性融着性樹脂最外層、もしくはブロックイソシアネートを添加した熱可塑性樹脂裏面最外層を形成する方法としては、樹脂の溶剤溶液を塗布する方法を用いることがよい。
また、樹脂の溶剤溶液を塗布した後に溶剤を乾燥する際には、ブロックイソシアネートのブロック化剤の解離温度以下で行なうことが好ましい。この乾燥温度は一般には120℃以下であり、より好ましくは80℃〜110℃である。
【0026】
通常トラック幌、テント、軒出しテント、テント倉庫、及びイベントテントなど恒久膜構造建築物用膜材料を使用して防水空間を形成するために行われる熱融着性に優れた防汚性防水シートの熱融着縫合には、熱風加熱融着法、高周波内部発熱融着法、熱ゴテ加熱融着法、超音波融着法、又は熱板加熱プレス融着法などが用いられる。
この熱融着を行なう際、熱融着性に優れた防汚性防水シートは150℃以上の温度に加熱されることが好ましく、150〜650℃に加熱することがさらに好ましく、150〜600℃に加熱することがより一層好ましい。150℃未満の温度で融着を施した場合は、防汚性融着性樹脂最外層及び熱可塑性樹脂裏面最外層中に添加されたブロックイソシアネートのブロック化剤の解離と樹脂の有する活性水素とイソシアネート基の反応の生起が不十分になり熱融着部の耐久性向上が得られないことがある。
【0027】
【実施例】
本発明を下記実施例により更に具体的に説明する。
【0028】
試験方法の説明
本発明の実施例及び比較例に用いた試験は下記のとおりである。
1.熱融着性試験
(1)熱融着部剥離強力試験
熱融着性に優れた防汚性防水シートから、たて40cm、よこ5cmの試料片を2枚作製し、表裏を合わせるように重ね合わせ、高周波ウエルダーによる融着を行い、たて30cm、よこ4cmの熱融着部を作製した。
Figure 0003709926
この熱融着部から、たて20cm、よこ3cmの剥離強力測定用試料を採取し、たて方向の剥離強力を初期及びサンシャインウエザーメーター促進試験(JIS A 1415−1997 WS型)1,000時間後に、JIS K 6328
5.3.7の剥離試験に従って測定し、下記のように評価した。
Figure 0003709926
(2)熱融着部耐熱クリープ試験
熱融着性に優れた防汚性防水シートから、たて65cm、よこ20cmの試料片を2枚作製し、よこ方向の端部から2.5cm巾を表裏が合わせるように重ね合わせ、高周波ウエルダーによる融着を行い、よこ方向の中央に熱融着部を有するたて65cm、よこ37.5cmのシート状試料を作製した。
Figure 0003709926
このシート状試料から、よこ方向に3cm巾でカットし、中央に熱融着部を有する巾3cm、長さ37.5cmの耐熱クリープ試験用試料を作製し、初期及びサンシャインウエザーメーター促進試験(JIS A 1415−1997 WS型)1,000時間後に、JIS K 6859−1974に従って、雰囲気温度60℃で1/10荷重(15kgf /3cm)及び1/2荷重(75kgf /3cm)を掛け、6時間後の熱融着部の状態を観察し、下記のように評価した。
1/2荷重で熱融着部異常なし :◎
1/10荷重で熱融着部異常なし:○
((社)日本膜構造協会 膜材料性能判定基準)
1/10荷重で熱融着部破断 :×
2.防汚性試験
試料を南向きに、傾斜角30度、及び垂直に設置して、1年間連続屋外曝露試験に供し、試料の防汚性及び雨筋汚れの発生状態を肉眼観察及び試料表面の色差ΔEを測定し、下記のように4段階に評価した。
Figure 0003709926
【0029】
(実施例1)
20番手のポリエステル紡績糸を2本撚りにし、この糸をタテ50本/インチ、ヨコ48本/インチの密度で織製して、目付量250g/m2 の基布を得た。この基布の表裏両面に下記に示す組成の塩化ビニルペーストゾルを片面当り170g/m2 ずつコーティングし、これを180℃で2分間熱処理し、両面を鏡面ロールーで加圧して鏡面キャストし、冷却して防水シートを作製した。
Figure 0003709926
更にこの防水シートの鏡面キャストされ冷却された表面に、防汚性融着性樹脂最外層として下記に示す組成の溶液状塗布液をグラビアコーターにてコーティングし、110℃の熱風で1分間乾燥させて防汚性融着性樹脂最外層を形成して、熱融着性に優れた防汚性防水シートを得た。この熱融着性に優れた防汚性防水シートを前記試験に供した。結果を表1に示す。
Figure 0003709926
【0030】
(実施例2)
実施例1と同様にして熱融着性に優れた防汚性防水シートを作製した。但し、防汚性融着性樹脂最外層用塗布液の組成を下記の通りに変更した。この熱融着性に優れた防汚性防水シートを前記試験に供した。結果を表1に示す。
Figure 0003709926
【0031】
(実施例3)
実施例1と同様にして熱融着性に優れた防汚性防水シートを作製した。但し、防汚性融着性樹脂最外層用塗布液の組成を下記の通りに変更した。この熱融着性に優れた防汚性防水シートを前記試験に供した。結果を表1に示す。
Figure 0003709926
【0032】
(実施例4)
実施例1と同様にして熱融着性に優れた防汚性防水シートを作製した。但し、防汚性融着性樹脂最外層用塗布液の組成を下記の通りに変更した。この熱融着性に優れた防汚性防水シートを前記試験に供した。結果を表1に示す。
Figure 0003709926
【0033】
(実施例5)
実施例1と同様にして熱融着性に優れた防汚性防水シートを作製した。但し、防汚性融着性樹脂最外層用塗布液の組成を下記の通りに変更した。この熱融着性に優れた防汚性防水シートを前記試験に供した。結果を表1に示す。
Figure 0003709926
実施例1〜5で得られた熱融着性に優れた防汚性防水シートは、表1に示すように、優れた熱融着性を示し、屋外曝露において優れた防汚性を示し、特に垂直部の汚れの少なく、非常に有用な熱融着性に優れた防汚性防水シートであった。
【0034】
(実施例6)
実施例1と同様にして熱融着性に優れた防汚性防水シートを作製した。但し、防汚性融着性樹脂最外層にコロイダルシリカを添加し、防汚性融着性樹脂最外層用塗布液の組成を下記の通りに変更した。この熱融着性に優れた防汚性防水シートを前記試験に供した。結果を表1に示す。
Figure 0003709926
実施例6で得られた熱融着性に優れた防汚性防水シートは、表1に示すように、防汚性において実施例1よりも更に向上しており(ΔE=2以下)、非常に優れた防汚性を示し、熱融着性にも優れ、非常に有用な熱融着性に優れた防汚性防水シートであった。
【0035】
(実施例7)
実施例1と同様にして熱融着性に優れた防汚性防水シートを作製した。但し、防汚性融着性樹脂最外層にブロックシソシアネートを添加し、防汚性融着性樹脂最外層用塗布液の組成を下記の通りに変更した。この熱融着性に優れた防汚性防水シートを前記試験に供した。結果を表1に示す。
Figure 0003709926
【0036】
(実施例8)
実施例1と同様にして熱融着性に優れた防汚性防水シートを作製した。但し、裏面の最外層にブロックシソシアネートを含む熱可塑性樹脂裏面最外層として、下記組成の樹脂組成物の溶剤希釈液を、グラビヤコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥後冷却し形成した。
Figure 0003709926
【0037】
(実施例9)
実施例1と同様にして熱融着性に優れた防汚性防水シートを作製した。但し、防汚性融着性樹脂最外層にブロックシソシアネートを含む層を下記防汚性融着性樹脂最外層用塗布液組成により形成し、また、裏面にブロックシソシアネートを含む熱可塑性樹脂裏面最外層を下記熱可塑性樹脂裏面最外層用塗布液組成により形成した。
Figure 0003709926
実施例7〜9で得られた熱融着性に優れた防汚性防水シートは、表1に示すように、熱融着部剥離強力において実施例1よりも更に向上しており(耐候促進1000時間後4.0 kgf/3cm以上)、熱融着部の耐久性が格段に優れており(耐熱クリープ、60℃、1/2荷重、6時間合格)、また防汚性にも優れ、非常に有用な熱融着性に優れた防汚性防水シートであった。
【0038】
(比較例1)
実施例1と同様にして防水シートを作製した。但し、防汚性融着性樹脂最外層を形成しなかった。この防水シートを前記試験に供した。結果を表2に示す。
比較例1で得られた防水シートは、実施例1で得られた熱融着性に優れた防汚性防水シートに比べ、防汚性が著しく劣っており、防汚性防水シートとして実用に適さないものであった。
【0039】
(比較例2)
実施例1と同様にして熱融着性に優れた防汚性防水シートを作製した。但し、防汚性融着性樹脂最外層用塗布液の組成を下記の通りとした。この熱融着性に優れた防汚性防水シートを前記試験に供した。結果を表2に示す。
Figure 0003709926
比較例2で得られた熱融着性に優れた防汚性防水シートは、実施例1で得られた熱融着性に優れた防汚性防水シートに比べ、防汚性が劣っており、特に垂直部の雨筋汚れが著しく目立ち、熱融着性に優れた防汚性防水シートとして実用に適さないものであった。
【0040】
(比較例3)
実施例1と同様にして防水シートを作製した。但し、防水シートの表裏両面に接着層を形成後、表裏面最外層にフッ化ビニリデン系樹脂層を形成した。この防汚性防水シートを前記試験に供した。結果を表2に示す。
Figure 0003709926
比較例3で得られた防汚性防水シートは、実施例1で得られた熱融着性に優れた防汚性防水シートに比べ、傾斜30度面の防汚性はほぼ同レベルであったが、垂直部の雨筋汚れは目立ちやすく、また熱融着部の耐久性も劣っており熱融着性に優れた防汚性防水シートとしては不十分なレベルであった。
【0041】
(比較例4)
実施例1と同様にして防汚性防水シートを作製した。但し、防汚性融着性樹脂最外層の代りに下記の光触媒性酸化チタンコーティング層を形成した。この防汚性防水シートを前記試験に供した。結果を表2に示す。
光触媒性酸化チタンコーティング層の形成
下記組成Aを有する接着・保護層処理液を前記防水シートの表面上にグラビアコーターで15g/m2 の塗布量で塗布し、100℃で1分間乾燥冷却して、1.5g/m2 の接着・保護層を形成した。その上に、さらに下記組成Bの光触媒防汚性層形成用塗布液をグラビアコーターで15g/m2 の塗布量で塗布し、100℃で1分間乾燥後冷却して、1.5g/m2 の光触媒防汚性層を形成して、防汚性防水シートを作製した。
<組成A>接着・保護層処理液組成質量部
シリコン含有量 3mol%のアクリルシリコン樹脂を8質量%
(固形分)含有するエタノール−酢酸エチル(50/50
質量比)溶液 100
ポリシロキサンとしてメチルシリケートMS51
(コルコート(株))の20%エタノール溶液 8
シランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン 1
<組成B>光触媒処理液組成質量部
酸化チタン含有量10質量%に相当する硝酸酸性酸化チタン
ゾルを分散させた水−エタノール(50/50質量比)分散液 50
酸化ケイ素含有量10質量%に相当する硝酸酸性シリカゾルを
分散させた水−エタノール(50/50質量比)分散液 50
比較例4で得られた防汚性防水シートは、実施例1で得られた熱融着性に優れた防汚性防水シートに比べ、更に優れた防汚性を示す(ΔE=2以下)が、従来の熱融着方法では融着せず、実用には適さないものであった。
【0042】
【表1】
Figure 0003709926
【0043】
【表2】
Figure 0003709926
【0044】
【発明の効果】
本発明の熱融着性に優れた防汚性防水シートは、旧来通りの熱融着方法を用いて容易に熱融着が可能であり、熱融着部の耐久性にも優れ、また防汚性にも優れ、特に垂直面の雨筋汚れ防止に非常に効果があり、膜構造建築物、軒出しテント、トラック幌など幅広い用途に使用されるものである。

Claims (12)

  1. 繊維布帛からなる基布と、この基布の少なくとも1面上に形成された防水性中間層と、この防水性中間層上に形成され、かつ、防汚性熱融着性樹脂を主成分として含む防汚性融着性樹脂最外層とを有し、
    前記防汚性融着性樹脂最外層用樹脂が、アクリル重合体からなる主鎖重合体セグメントに、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びN−メチロール(メタ)アクリルアミドから選ばれた少なくとも1種の重合単位を含む単一重合体及び共重合体の少なくとも1種が、グラフト重合体セグメントとしてグラフト共重合している共重合体の1種以上を主成分樹脂として含むことを特徴とする熱融着性に優れた防汚性防水シート。
  2. 前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート重合単位中のヒドロキシアルキル基が2から8個の炭素原子を含む、請求項1に記載の熱融着性に優れた防汚性防水シート。
  3. 前記防汚性融着性樹脂最外層が、コロイダルシリカをさらに含む、請求項1又は2に記載の熱融着性に優れた防汚性防水シート。
  4. 前記防汚性融着性樹脂最外層が、ブロックイソシアネートをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱融着性に優れた防汚性防水シート。
  5. 前記防汚性融着性樹脂最外層が、前記主成分樹脂と、それとは異なる少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる付加成分樹脂とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱融着性に優れた防汚性防水シート。
  6. 前記防水性中間層が天然ゴム、合成ゴム又は合成樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱融着性に優れた防汚性防水シート。
  7. 前記防水性中間層用合成樹脂が、塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、及びフルオロオレフィン系樹脂の中から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項6に記載の熱融着性に優れた防汚性防水シート。
  8. 前記基布の表面上に前記防水性中間層及び防汚性融着性樹脂最外層が形成されており、その裏面上にブロックイソシアネートを含む熱可塑性樹脂裏面最外層がさらに形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱融着性に優れた防汚性防水シート。
  9. 防汚性融着性樹脂最外層が塗布法で形成されたものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱融着性に優れた防汚性防水シート。
  10. 前記ブロックイソシアネートを含む熱可塑性樹脂裏面最外層が塗布法により形成されたものである、請求項8又は9に記載の熱融着性に優れた防汚性防水シート。
  11. 前記請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱融着性に優れた防汚性防水シートの前記防汚性融着性樹脂最外層の少なくとも一部を、同種又は異種のシートの一部に重ね合わせ、これに熱融着処理を施すことを特徴とする、防汚性防水シートの熱融着縫製物。
  12. 前記熱融着処理が150〜650℃の温度で施される請求項11に記載の防汚性防水シートの熱融着縫製方法。
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