JP3705072B2 - 電動モータの制御装置およびそれを用いた電気式動力舵取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動モータの制御装置およびそれを用いた電気式動力舵取装置に関し、電動モータに与えた電圧およびそれに流れた電流により電動モータの回転数を制御する電動モータの制御装置およびそれを用いた電気式動力舵取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動モータに与えた電圧およびそれに流れた電流により電動モータの回転数を制御するものとして、特開平8−149873号公報に開示されるものがある。これは、電動パワーステアリング装置のアシストトルクを発生させる電動モータを制御するもので、電動モータの電圧と電流を測定し、この測定した電圧と電流から電動モータの回転数を算出するとともに、この回転数に応じて電動モータへの印加電圧を制御する。
つまり、この種の電動モータの制御装置を適用した電気式動力舵取装置では、例えば図5に示すような電気的構成を採ることにより、車速またはアシストトルクに従って決定される指令回転数と、測定したモータ電圧および電流から算出した回転数との偏差に基づいてECU10およびモータ駆動回路16により電動モータMを制御する。
【0003】
具体的には、トルクセンサにより検出された操舵トルク、または車速センサ12により検出された車速および電圧/電流センサ13により検出された電動モータの電圧と電流を、インターフェース14を介してCPU15に入力すると、CPU15では、これらに基づいて指令回転数を決定し、電動モータ駆動回路16ではCPU15から送出された指令回転数に対応する駆動電圧を電動モータMへ出力する。これにより、電動モータMは、操舵力を補助するための回転数を発生する。
【0004】
ここで、電動モータMの制御装置は、図5に示す電圧/電流センサ13、インターフェース14、CPU15およびモータ駆動回路16により構成され、例えば図6に示すような構成を採る。即ち、電圧/電流センサ13は、モータ電圧Vmを検出するオペアンプ90と、モータ電流Imを抵抗Rの両端に現れる電圧として検出するオペアンプ91とにより構成され、またフィルタ92、93、増幅器94、96、加算器95、97および比例積分制御部(以下「PI制御部」という)98は、CPU15による各演算処理より実現され、モータ駆動回路16にはPWM回路99および電力用MOSFETであるスイッチング素子Qを含めて構成される。これにより、次式(1)により演算される回転数N(rpm) を算出している。なお、Rmは電動モータMの内部抵抗値(Ω)、Keは電動モータMの誘起電圧定数(V/rpm) である。
【0005】
N = (Vm−Im×Rm)/Ke ・・・(1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示すような電動モータの制御装置によると、式(1)に基づいて算出した電動モータMの回転数Nを指令回転数N* から引いて得られた偏差(図6に示す加算器95により得られる)に基づいて電動モータMをPI制御する構成を採るため、モータ電流Imの増加に従って電動モータMの駆動電圧が上昇する。すると、さらにモータ電流Imの増加を招くことから、電動モータMの駆動電圧は発散的に上昇し得る。つまり、外乱やノイズ等に対し比較的影響を受け易い構成になっている。
【0007】
また、式(1)にからわかるように、電動モータMのトルク変動によってモータ電流Imに脈動が生じると、算出された回転数Nはその脈動による誤差の影響を受けることになる。そのため、このような誤差を含んだ回転数Nと指令回転数N* との偏差に基づいて電動モータMを制御すると、モータ電流Imの脈動に起因した変動を電動モータMの回転数に与えるため、その影響は、電気式動力舵取装置においてはステアリングホイールの振動やモータのうなり音として現れる。これは、運転者の操舵感覚に不自然さを与え、その他の乗員にも不快音を与える要因となる。
【0008】
そこで、図6に示すような電動モータMの制御装置では、モータ電圧Vmを検出するオペアンプ90とモータ電流Imを検出するオペアンプ91との後段に所定の周波数よりも低い周波数成分を除去可能なフィルタ92、93をそれぞれ挿入し、繰り返し周波数がある程度以上高い電流脈動や外乱ノイズ等を除去し得る構成を採っている。
【0009】
ところが、このような従来の電動モータMの制御装置によると、かかるフィルタ92、93は、遮断周波数が所定周波数に固定されているため、電動モータMの回転数変動およびトルク変動によって繰り返し周波数と振幅の変化するモータ電流Imの脈動には、適宜対応することができない。つまり、フィルタ92、93によって除去できる電流脈動や外乱ノイズ等は、その周波数の下限が固定されているため、周波数の変動する電流脈動や外乱ノイズ等に対して必ずしも有効に働くわけではない。
【0010】
また、フィルタ92、93の遮断周波数を低く設定するほど、電流脈動や外乱ノイズ等に対しては影響を受け難くなるが、その反面、要求される高速応答に追従できなくなる。つまり、電流脈動や外乱ノイズ等に対する安定性と、高速応答に対する追従性とは、相反する事象になっているという技術的な課題がある。
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、電動モータの回転数変動およびトルク変動による電流脈動の影響を受けることなく、高速応答を可能に制御し得る電動モータの制御装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、高速応答性能を確保しながら、良好な操舵感覚を運転者等に与え得る電気式動力舵取装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の電動モータの制御装置では、
電動モータに与えた電圧およびそれに流れた電流により求められた該電動モータの回転数と、該電動モータの指令回転数との偏差に基づいて該電動モータを帰還制御する電動モータの制御装置であって、
前記電動モータに与えた電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電動モータに流れた電流を検出する電流検出手段と、
所定の定数に基づき設定される周波数成分を、前記電流検出手段により検出した検出電流から除去するフィルタ手段と、
前記周波数成分を除去された検出電流および前記電圧検出手段により検出された検出電圧に基づいて前記電動モータの回転数を求める回転数算出手段と、
前記回転数算出手段により求めた前記回転数および前記周波数成分を除去された前記検出電流に基づいて前記所定の定数を決定する定数決定手段と、
を備えることを技術的特徴とする。
【0013】
また、請求項2の電気式動力舵取装置では、電動モータの制御装置では、
電動モータに与えた電圧およびそれに流れた電流により求められた該電動モータの回転数と、該電動モータの指令回転数との偏差に基づいて該電動モータを帰還制御する電動モータの制御装置であって、
前記電動モータに与えた電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電動モータに流れた電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段により検出した検出電流および前記電圧検出手段により検出した検出電圧に基づいて前記電動モータの回転数を求める回転数算出手段と、
前記電動モータの回転数と前記指令回転数との偏差に基づいて前記電動モータを所定の利得により制御するモータ制御手段と、
前記回転数算出手段により求めた前記回転数および前記検出電流に基づいて前記所定の利得を決定する利得決定手段と、
を備えることを技術的特徴とする。
【0014】
上記別の目的を達成するため、請求項3の電気式動力舵取装置では、
ステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいて操舵力を補う電動モータを備えた電気式動力舵取装置であって、
前記電動モータは、請求項1または2記載の電動モータの制御装置により制御されることを技術的特徴とする。
【0015】
請求項1の発明では、電圧検出手段、電流検出手段、フィルタ手段、回転数算出手段および定数決定手段を備える。これにより、フィルタ手段によって除去される周波数成分は所定の定数に基づき設定され、この定数は電動モータの回転数および検出電流に基づいて決定される。即ち、このフィルタ手段によって除去される周波数成分は、電動モータの回転数および検出電流に基づいて決定される。そのため、このフィルタ手段では、電動モータの回転数および検出電流に基づいて決定される周波数成分を、電流検出手段により検出した検出電流から除去するので、電動モータの回転数および電流に比例する「電動モータのトルク変動による電流脈動」をリアルタイムに選択的に除くことができる。
【0016】
請求項2の発明では、電圧検出手段、電流検出手段、回転数算出手段、モータ制御手段および利得決定手段を備える。これにより、モータ制御手段によって行われる電動モータの制御は所定の利得に従い、この利得は電動モータの回転数および検出電流に基づいて決定される。即ち、この電動モータの制御は、その利得によって応答速度が変化し、この応答速度は電動モータの回転数および検出電流に基づいて決定される。そのため、電動モータの回転数および検出電流に基づいてこの利得を設定することによって、電動モータの回転数および電流に比例する「電動モータのトルク変動による電流脈動」による影響を受けない最適な応答速度をリアルタイムに設定することができる。
【0017】
請求項3の発明では、ステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいて操舵力を補う電動モータは、請求項1または2記載の電動モータの制御装置により制御される。これにより、この電動モータの回転数変動およびトルク変動による電流脈動の影響を受けることなく、ステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいて操舵力を高速に応答して補うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電動モータの制御装置(以下、発明の実施の形態において「モータ制御装置」という。)の実施形態について図を参照して説明する。
図1に示すように、モータ制御装置50は、電動モータMに与えた電圧Vmおよびそれに流れた電流Imにより求められた電動モータMの回転数Nと、この電動モータMの指令回転数N* との偏差に基づいて電動モータMをモータ制御手段により帰還制御するもので、電圧検出手段、電流検出手段、フィルタ手段、回転数算出手段および定数決定手段により構成される。なお、図1に示す破線による枠内(符号15)は、CPUによる演算処理によって実現される各機能を表す。
【0019】
電圧検出手段は、オペアンプ90からなり、その差動入力端子は電動モータMに電気的に並列に接続され、出力端子に接続されるフィルタ92にモータ電圧Vmを出力し得るように構成されている。なお、このフィルタ92は、CPUによる所定の演算処理によって実現される低域通過フィルタで、所定の遮断周波数よりも高い周波数成分の通過を阻止し得るものである。これにより、このフィルタ92を介して加算器95に入力されるモータ電圧Vmは、所定の高周波成分を除去されたものになる。
【0020】
電流検出手段は、オペアンプ91と抵抗Rとからなる。この抵抗Rは、電動モータMに電気的に直列に接続され、オペアンプ91の差動入力端子は、この抵抗Rに電気的に並列に接続される。これにより、抵抗Rを流れるモータ電流Imに比例した電流に比例して生じる電位差をオペアンプ91に差動入力するため、その出力端子にモータ電流Imに比例した電圧を後段のアクティブフィルタ53に出力し得るように構成されている。
【0021】
フィルタ手段は、図2(A) に示すブロック線図による概念からなる低域通過フィルタにより構成されており、フィルタ定数τをモータ電流Imおよびモータ回転数Nに対応して変化させることによって遮断周波数を任意に可変し得るアクティブフィルタ53を構成する。具体的には、後述するフィルタ定数マップ55から一義的に得られるフィルタ定数τと、次式(2)に示すフィルタ演算式とによりCPUによって演算処理を行うことで、アクティブフィルタ53を実現する。なお、このフィルタ出力値vは加重平均をとって適正化される。
【0022】
v(n) = ((A−1)×v(n-1)+Vs)/A ・・・(2)
ここで、Vsはフィルタ入力値、vはフィルタ出力値、Aはτ/サンプリング時間、τはフィルタ定数、nは自然数である。
【0023】
これにより、電動モータMの回転数Nおよびモータ電流Imの変動に応じて、逐次その遮断周波数を可変し得るアクティブフィルタ53を実現することができるので、電動モータMのトルク変動等の種々の外乱要因によるモータ電流Imの脈流、その他高周波成分等をこのアクティブフィルタ53によって除去することができる。
【0024】
回転数算出手段は、前述した式(1)に基づいてモータの回転数を算出するもので、増幅器94、増幅器96および加算器95により構成される。即ち、アクティブフィルタ53を介して電流検出手段から出力されたモータ電流Im相当の電圧は、増幅器94によりRm倍に増幅され(Im×Rm)、フィルタ92を介して電圧検出手段から出力されたモータ電圧Vmとの差分を加算器95により得た後(Vm−Im×Rm)、増幅器96により1/Ke倍に増幅される((Vm−Im×Rm)/Ke)。これにより前記式(1)から、モータ電圧Vmおよびモータ電流Imによりモータ回転数Nが推定値として算出される。
【0025】
定数決定手段は、図2(B) にその概念を示すフィルタ定数マップ55により構成される。このフィルタ定数マップ55は例えば3次元からなり、前述したアクティブフィルタ53のフィルタ定数τをモータ電流Imおよびモータ回転数Nに基づいて決定するためのものである。例えばモータ電流Imの増加に伴ってフィルタ定数τも増加するように設定する一方で、モータ回転数Nの増加に対してはフィルタ定数τが減少するように設定される。
【0026】
なお、このフィルタ定数τは、このようなマップにより設定するものに限られることなく、例えば次式(3)によるモータ電流Imとモータ回転数Nとの関数によって決定しても良い。これにより、メモリ等の記憶素子上にフィルタ定数マップ55としてのマップ領域を確保する必要がなくなるので、その分、記憶素子による記憶容量を削減することでき、モータ制御装置50を低廉に実現し得る効果がある。
【0027】
τ = f(N) ×f(Im) ・・・(3)
ここで、f(N) はモータ回転数Nによる関数、f(Im)はモータ電流Imによる関数である。
【0028】
モータ制御手段は、PI制御部98、PWM回路99およびスイッチング素子Qから構成される。PI制御部98は、図2(C) に示すブロック線図による概念からなる比例積分動作を行うものであり、所定のP利得(Gp)およびI利得(Gi)が設定されている。これらの利得を制御することにより、PI制御部98自体がアクティブフィルタ53と同様な低域通過フィルタの働きをもすることから、後述するような他の実施形態を実現することもできる。
【0029】
PWM回路99は、CPUとは異なるハードウェアにより実現されるパルス幅変調回路であり、入力信号に応じたパルス幅をもつパルス信号を出力し得るように構成されている。これにより、出力側に接続されるスイッチング素子Qのゲートにパルス信号を与えると、スイッチング素子Qをパルス幅に応じてオンオフ動作させることができる。つまり、PWM回路99に入力される信号に応じてスイッチング素子Qをオンオフ制御することができるため、電動モータMの駆動を任意に制御することができる。なお、スイッチング素子Qは、例えば電力用MOSFETからなるものである。
【0030】
ここで、本発明のモータ制御装置に係る他の実施形態を図3に基づいて説明する。この実施形態によるモータ制御装置60は、PI制御部68のP利得(Gp)またはI利得(Gi)をモータ電流Imおよびモータ回転数Nに基づいて決定するゲイン定数を制御する点が、前述したモータ制御装置50と異なる。
即ち、図3に示すように、オペアンプ91の後段に遮断周波数を所定周波数に固定した低域通過型のフィルタ93を設け、モータ電流Imおよびモータ回転数Nに基づいてPI制御部のゲイン定数を決定する利得決定手段を設けてこれによりPI制御部68のP利得またはI利得を設定するものである。
なお、利得決定手段は、前述したフィルタ定数マップ55と同様、例えば3次元からなるゲイン定数マップ65により構成され、モータ電流Imおよびモータ回転数Nに基づいてゲイン定数を一義的に決定するものである。
【0031】
これにより、モータ制御手段であるPI制御部68によって行われる電動モータMの制御は、そのP利得またはI利得によって応答速度が変化し、この応答速度はモータ回転数Nおよびモータ電流Imに基づいて決定される。このため、モータ回転数Nおよびモータ電流Imに基づいてこのP利得またはI利得を設定することによって、モータ回転数Nおよびモータ電流Imに比例する「電動モータMのトルク変動による電流脈動」の影響を受けない最適な応答速度をリアルタイムに設定することができる。したがって、電動モータMのトルク変動による電流脈動の影響を受けることなく、高速応答を可能に電動モータMを制御し得る効果がある。
【0032】
次に、前述のモータ制御装置50を、動力舵取装置のポンプを回転駆動するモータの制御に適用した電気式動力舵取装置の一実施形態を図4に基づいて説明する。なお、この実施形態では、本発明の電気式動力舵取装置として、自動車等の車両に備えられた電気式動力舵取装置を例に挙げて説明する。また図5に示した従来の電気式動力舵取装置と同一の構成については、同一の符号を用いるものとし、その説明を省略する。図4には、図5に基づいて説明したECU10およびモータ駆動回路16の主な電気的構成が示されており、同図による電気式動力舵取装置の構成および動作を以下説明する。
【0033】
電気式動力舵取装置は、指令回転数決定手段23、増幅手段24、PWM回路25、車速パルス検出手段27、加算器29、電圧/電流検出手段31および回転数推定手段32により構成される。
ここで、前述のモータ制御装置50との対応関係を説明すると、次のようになる。まず電圧/電流検出手段31は、電圧検出手段および電流検出手段に相当しこれらはオペアンプ等のハードウェアにより構成される。次に、回転数推定手段32は、フィルタ手段、回転数算出手段および定数決定手段に相当し、これらは図5に示すCPU15による演算処理によって実現される。そして、加算器29、増幅手段24、PWM回路25は、加算器97、PI制御部98、PWM回路99にそれぞれ相当する。加算器29、増幅手段24は、回転数推定手段32と同様、CPU15による演算処理によって実現されが、PWM回路25はPWM回路99と同様にCPU15とは異なるハードウェアにより実現されるパルス幅変調回路である。
【0034】
このような構成を採ることにより、図4および図5に示す電気式動力舵取装置は、車速センサ12により検出された車速および電圧/電流センサ13により検出された電動モータの電圧と電流を、インターフェース14を介してCPU15に入力すると、CPU15では、これらに基づいて指令回転数決定手段23により指令回転数を決定する。そして、この電動モータMの指令回転数N* と、電動モータMに与えた電圧Vmおよび電流Imを電圧/電流検出手段31により検出することで回転数推定手段32により求めたモータ回転数Nと、の偏差に基づいて電動モータMを帰還制御する。
【0035】
これにより、モータ制御装置50により電動モータMは、車速に応じた回転数となるようにポンプPを制御する。即ち、電動モータMのトルク変動による電流脈動等の外乱要因となる高周波成分を、モータ回転数Nおよびモータ電流Imに基づいた遮断周波数によるアクティブフィルタ53によってリアルタイムに除去するので、この電動モータMのトルク変動による電流脈動の影響を受けることなく、モータMを制御することができる。したがって、電流脈動等の外乱要因による影響を抑制するため、ステアリングホイールの振動やモータのうなり音を防ぎながらも、操舵による高速応答に対応することができる。つまり、高速応答性能を確保しながら、良好な操舵感覚を運転者等に与え得る効果がある。またこれにより、トルク変動による電流脈動が大きくなりがちな安価な電動モータを使用しても、高速応答性能を確保しながら、良好な操舵感覚を運転者等に与え得るため、廉価な電気式動力舵取装置を構築し得る効果もある。
【0036】
以上説明したように本実施形態によるモータ制御装置50によると、「電圧検出手段であるオペアンプ90」、「電流検出手段であるオペアンプ91および抵抗R」、「フィルタ手段であるアクティブフィルタ53」、「回転数算出手段である増幅器94、加算器95、増幅器96」および「定数決定手段であるフィルタ定数マップ55」を備える。これにより、アクティブフィルタ53によって除去される周波数成分は所定の定数に基づき設定され、この定数は、フィルタ定数マップ55によりモータ回転数Nおよびモータ電流Imに基づいて決定される。即ち、このアクティブフィルタ53によって除去される周波数成分は、モータ回転数Nおよびモータ電流Imに基づいて決定される。そのため、このアクティブフィルタ53では、モータ回転数Nおよびモータ電流Imに基づいて決定される周波数成分を、オペアンプ91等により検出したモータ電流Im相当の電圧から除去するので、モータ回転数Nおよびモータ電流Imに比例する「電動モータMのトルク変動による電流脈動」をリアルタイムに選択的に除くことができる。したがって、電動モータMのトルク変動による電流脈動の影響を受けることなく、高速応答を可能に電動モータを制御し得る効果がある。
【0037】
【発明の効果】
請求項1の発明では、電圧検出手段、電流検出手段、フィルタ手段、回転数算出手段および定数決定手段を備える。これにより、フィルタ手段によって除去される周波数成分は所定の定数に基づき設定され、この定数は電動モータの回転数および検出電流に基づいて決定される。即ち、このフィルタ手段によって除去される周波数成分は、電動モータの回転数および検出電流に基づいて決定される。そのため、このフィルタ手段では、電動モータの回転数および検出電流に基づいて決定される周波数成分を、電流検出手段により検出した検出電流から除去するので、電動モータの回転数および電流に比例する「電動モータのトルク変動による電流脈動」をリアルタイムに選択的に除くことができる。したがって、電動モータの回転数変動およびトルク変動による電流脈動の影響を受けることなく、高速応答を可能に電動モータを制御し得る効果がある。
【0038】
請求項2の発明では、電圧検出手段、電流検出手段、回転数算出手段、モータ制御手段および利得決定手段を備える。これにより、モータ制御手段によって行われる電動モータの制御は所定の利得に従い、この利得は電動モータの回転数および検出電流に基づいて決定される。即ち、この電動モータの制御は、その利得によって応答速度が変化し、この応答速度は電動モータの回転数および検出電流に基づいて決定される。そのため、電動モータの回転数および検出電流に基づいてこの利得を設定することによって、電動モータの回転数および電流に比例する「電動モータのトルク変動による電流脈動」の影響を受けない最適な応答速度をリアルタイムに設定することができる。したがって、電動モータの回転数変動およびトルク変動による電流脈動の影響を受けることなく、高速応答を可能に電動モータを制御し得る効果がある。
【0039】
請求項3の発明では、ステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいて操舵力を補う電動モータは、請求項1または2記載の電動モータの制御装置により制御される。これにより、この電動モータの回転数変動およびトルク変動による電流脈動の影響を受けることなく、ステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいて操舵力を高速に応答して補うことができる。したがって、高速応答性能を確保しながら、良好な操舵感覚を運転者等に与え得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電動モータの制御装置の主な電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図2(A) は図1に示すアクティブフィルタの概念を示すブロック線図であり、図2(B) は図1に示すフィルタ定数マップの概念を示す説明図であり、図2(C) は図1に示すPI制御部の概念を示すブロック線図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る電動モータの制御装置の主な電気的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電動モータの制御装置を適用した電気式動力舵取装置を構成するECUおよびモータ駆動回路の主な電気的構成を示すブロック図である。
【図5】従来の電動モータの制御装置を適用した電気式動力舵取装置の主な電気的構成を示すブロック図である。
【図6】従来の電動モータの制御装置の主な電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 ECU
13 電圧/電流センサ
15 CPU
16 モータ駆動回路
24 増幅手段
25 PWM回路
29 加算器
31 電圧/電流検出手段(電圧検出手段、電流検出手段)
32 回転数推定手段 (回転数算出手段、定数決定手段)
50、60 モータ制御装置
53 アクティブフィルタ(フィルタ手段)
55 フィルタ定数マップ(定数決定手段)
65 ゲイン定数マップ (利得決定手段)
68 PI制御部 (モータ制御手段)
90 オペアンプ (電圧検出手段)
91 オペアンプ (電流検出手段)
94、96 増幅器 (回転数算出手段)
95 加算器 (回転数算出手段)
99 PWM回路 (モータ制御手段)
M 電動モータ
Q スイッチング素子 (モータ制御手段)
R 抵抗 (電流検出手段)
Claims (3)
- 電動モータに与えた電圧およびそれに流れた電流により求められた該電動モータの回転数と、該電動モータの指令回転数との偏差に基づいて該電動モータを帰還制御する電動モータの制御装置であって、
前記電動モータに与えた電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電動モータに流れた電流を検出する電流検出手段と、
所定の定数に基づき設定される周波数成分を、前記電流検出手段により検出した検出電流から除去するフィルタ手段と、
前記周波数成分を除去された検出電流および前記電圧検出手段により検出された検出電圧に基づいて前記電動モータの回転数を求める回転数算出手段と、
前記回転数算出手段により求めた前記回転数および前記周波数成分を除去された前記検出電流に基づいて前記所定の定数を決定する定数決定手段と、
を備えることを特徴とする電動モータの制御装置。 - 電動モータに与えた電圧およびそれに流れた電流により求められた該電動モータの回転数と、該電動モータの指令回転数との偏差に基づいて該電動モータを帰還制御する電動モータの制御装置であって、
前記電動モータに与えた電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電動モータに流れた電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段により検出した検出電流および前記電圧検出手段により検出した検出電圧に基づいて前記電動モータの回転数を求める回転数算出手段と、
前記電動モータの回転数と前記指令回転数との偏差に基づいて前記電動モータを所定の利得により制御するモータ制御手段と、
前記回転数算出手段により求めた前記回転数および前記検出電流に基づいて前記所定の利得を決定する利得決定手段と、
を備えることを特徴とする電動モータの制御装置。 - ステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいて操舵力を補う電動モータを備えた電気式動力舵取装置であって、
前記電動モータは、請求項1または2記載の電動モータの制御装置により制御されることを特徴とする電気式動力舵取装置。
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