JP3696121B2 - 歪み改善回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、増幅器で発生する3次歪みの上下のアンバランスを改善する手法に関する。
【0002】
【従来の技術】
増幅器では信号を増幅する場合に歪みが発生し、例えば通信信号を増幅器により増幅する通信装置では、W(Wide-banded)−CDMA(Code Division Multiple Access)の信号やマルチキャリアの信号などを増幅器で増幅する場合に発生する歪みを補償することが必要とされている。
図11には、従来において採用されている歪み補償機能付き増幅装置として、フィードフォワード方式による歪み補償回路を増幅器に付加して歪みを補償する増幅装置の構成例を示してある。
【0003】
同図に示した増幅装置では、入力信号(主信号)が分配器81により分配され、一方の分配信号が増幅器(主増幅器)82により増幅されて減算器84へ出力され、他方の分配信号が遅延線83を介して減算器84へ出力される。減算器84では、主増幅器82から入力される増幅信号の一部から遅延線83から入力される信号を減算して歪み成分を抽出し、その歪み成分が歪み増幅器85へ出力され、主増幅器82から入力される歪みを含んだ増幅信号が遅延線86を介して減算器87へ出力される。また、減算器84から歪み増幅器85に入力される減算結果の歪み成分は当該歪み増幅器85により増幅されて減算器87へ出力される。減算器87では、遅延線86から入力される歪みを含んだ増幅信号から歪み増幅器85から入力される歪み成分信号を減算した結果が歪みのない補償後の増幅信号として出力される。
【0004】
ここで、遅延線86から減算器87に入力される信号は主信号を主増幅器82で増幅したものであって当該主増幅器82で発生した歪みを含んでおり、また、歪み増幅器85から減算器87に入力される信号は当該歪みに相当するため、減算器87から出力される信号は、主信号を主増幅器82で増幅したものから当該主増幅器82で発生した歪みを除去したものとなる。なお、分配器81や減算器84や減算器87はそれぞれ例えば方向性結合器から構成される。
【0005】
しかしながら、このような増幅装置では、減算器84や遅延線86や減算器87のロス分だけ主増幅器82から出力される増幅信号が減衰させられてしまうため、装置に要求される出力レベルに対して主増幅器82からの出力レベルを増加させることが必要となってしまい、主増幅器82に関して効率の低下が生じてしまっていた。
【0006】
これに対して、図12には、プリディストーション方式を採用した歪み補償回路を備えた増幅装置の構成例を示してある。
同図に示した増幅装置では、主増幅器92の前段にプリディストーション回路91が備えられており、当該プリディストーション回路91が、主増幅器92で発生する歪みと位相が180度異なり(つまり、逆位相であり)且つ振幅が同一である歪みを主信号に対して予め発生させて、当該歪みを発生させた主信号を主増幅器92へ出力する。そして、プリディストーション回路91で発生させた歪みと主増幅器92で発生する歪みとが打ち消されることにより、当該歪みが補償される。
【0007】
このような増幅装置では、例えば主増幅器92の後段に回路が付加されないため、損失がなく、高効率を実現することが可能である。しかしながら、このような増幅装置では、プリディストーション回路91で発生させる歪みと主増幅器92で発生する歪みとが、信号の入力変動や歪みの周波数特性に関して全体にわたって互いに一致することが必要となる。
【0008】
ここで、増幅器で増幅される信号が歪むことは、AM(Amplitude Modulation)−AM(Amplitude Modulation)変換やAM(Amplitude Modulation)−PM(Phase Modulation)変換が生じるためであると解されている。
図13(a)には、一般的な増幅器のAM−AM変換の一例を示してあり、横軸は増幅器の入力レベルを示しており、縦軸は増幅器のゲインを示している。同図(a)では、理想的なゲイン特性G1と、増幅器のゲイン特性G2と、プリディストーション回路のゲイン特性G3を示してあり、プリディストーション回路のゲイン特性G3と増幅器のゲイン特性G2とを総和した結果が理想的なゲイン特性G1となるように設定されることが必要となる。
【0009】
また、同図(b)には、一般的な増幅器のAM−PM変換の一例を示してあり、横軸は増幅器の入力レベルを示しており、縦軸は増幅器の出力位相を示している。同図(b)では、理想的な位相特性P1と、増幅器の位相特性P2と、プリディストーション回路の位相特性P3を示してあり、プリディストーション回路の位相特性P3と増幅器の位相特性P2とを総和した結果が理想的な位相特性P1となるように設定されることが必要となる。
【0010】
しかしながら、同図(a)、(b)に示されるようにAM−AM変換やAM−PM変換の特性は非常に複雑なものであるため、上記した理想的な特性を実現して歪みの無い増幅装置を実現するためには、プリディストーション回路の特性が複雑な関数型となってしまい、アナログ方式或いは計算により特性曲線の係数を求めることは現実的には非常に困難なことになってしまう。
【0011】
そこで、プリディストーション方式を採用した歪み補償回路を備えた増幅装置の他の構成例として、図14に示すような構成のものが検討等されている。
同図に示した増幅装置では、入力信号である例えば無線周波数(RF:Radio Frequency)帯の信号が分岐部101により分岐され、一方の分岐信号が遅延回路102を介して振幅/位相回路107へ出力され、他方の分岐信号が振幅検波器(包絡線検波器)103へ出力される。
【0012】
振幅検波器103では入力される他方の分岐信号の振幅レベル(包絡線レベル)が検出され、当該検出結果がA/D(Analog to Digital)変換器104によりアナログ信号からデジタル信号へ変換されてテーブル部105へ出力される。
テーブル部105では、振幅を補正するための振幅補正データ及び位相を補正するための位相補正データを振幅レベルと対応付けてメモリにテーブルとして記憶しており、当該テーブルが参照されて、A/D変換器104から入力される振幅レベルの検出結果に対応した振幅補正データ及び位相補正データが読み出されてD/A(Digital to Analog)変換部106へ出力される。D/A変換部106では、テーブル部105から入力される振幅補正データ及び位相補正データがデジタル信号からアナログ信号へ変換されて振幅/位相回路107へ出力される。
【0013】
分岐部101から遅延回路102へ出力される一方の分岐信号は、上記した振幅検波器103とA/D変換器104とテーブル部105とD/A変換部106から成る処理系により他方の分岐信号(当該一方の分岐信号に対応したもの)の振幅レベルに対応した振幅補正用データの信号及び位相補正用データの信号が振幅/位相回路107に入力されるタイミングと同期するように、遅延回路102により遅延させられる。
【0014】
このような遅延により、振幅/位相回路107に入力される一方の分岐信号は、当該振幅/位相回路107において、当該一方の分岐信号の振幅レベルに対応した振幅補正データに基づく振幅歪みを与えられるとともに、当該一方の分岐信号の振幅レベルに対応した位相補正データに基づく位相歪みを与えられる。ここで、一方の分岐信号に与えられる振幅歪みや位相歪みとしては、増幅器108で発生する振幅歪みや位相歪みを打ち消すことができるような歪みが発生させられる。つまり、上記図13(a)、(b)に示したように、主増幅器108の特性が入力レベルに応じてAM−AM変換やAM−PM変換を生じることに対応して、これらの逆特性を与えることができるような振幅補正データ及び位相補正データがテーブル部105に設定され、これにより、増幅装置の全体として理想的な無歪みとなることが実現される。
【0015】
すなわち、振幅/位相回路107から出力される信号は主増幅器108により増幅され、この際に、主増幅器108で発生する振幅歪み及び位相歪みが振幅/位相回路107で与えられた振幅歪み及び位相歪みにより打ち消され、主増幅器108からは歪みの無い増幅信号が分岐部109を介して出力される。
【0016】
また、分岐部109では、主増幅器108から入力される増幅信号の一部が分岐され、当該分岐信号が歪み検知部110へ出力される。
歪み検知部110では、分岐部109から入力される分岐信号に含まれる歪み補償後に残っている歪み成分が検出され、当該検出結果がテーブル更新回路111へ出力される。
【0017】
テーブル更新回路111では、歪み検知部110から入力される検出結果に基づいて、分岐部109により取得される分岐信号に含まれる歪み成分が例えば最小となるような振幅補正データ及び位相補正データを計算して当該計算結果をテーブル部105へ出力することにより、当該テーブル部105に記憶される振幅補正データ及び位相補正データを最良の値とするように書き換えることが行われる。このようなフィードバック系を用いて振幅補正データ及び位相補性データの更新処理を行うことにより、例えば温度変化や経年変化の影響にかかわらず有効に動作することが可能な増幅装置が実現される。
【0018】
図15には、例えば上記したテーブル部105に記憶される振幅補正データや位相補正データが最適な値となったときにおいて、当該テーブル部105から出力される振幅補正データや位相補正データの値(テーブル値)の一例を示してあり、横軸は入力信号であるRF信号の包絡線レベル(=遅延回路102からの出力レベル)を示しており、図中で上向きの縦軸はテーブル値を示しており、図中で下向きの縦軸は時刻を示している。
【0019】
つまり、同図において、横軸と下向きの縦軸とから成るグラフでは時刻とRF信号の包絡線レベルとの関係が示されており、横軸と上向きの縦軸とから成るグラフではRF信号の包絡線レベルとテーブル値との関係が示されている。そして、時刻に対するRF信号の包絡線レベルが同図に示されるように変化する場合に、各時刻において当該包絡線レベルに対応した同図に示されるようなテーブル値が読み出されてテーブル部105から出力される。
【0020】
しかしながら、増幅器の一般的な特徴として、発生する歪みが周波数依存性を有してしまうという問題がある。
図16には、説明しやすい様、周波数f1の主信号と周波数f2の主信号との2波を増幅器に入力した場合に、当該増幅器から出力される当該2波の主信号及び歪みの一例を示してあり、横軸は周波数を示しており、縦軸は信号の振幅レベルを示している。ここで、歪みとしては、相互変調(IM:Intermodulation)歪み等による成分を示してあり、周波数(2・f1−f2)の下側3次歪みと周波数(2・f2−f1)の上側3次歪みとを示してある。なお、本明細書では、f2>f1とする。
【0021】
同図に示されるように、2波の主信号の振幅レベルが同一である場合には、周波数(2・f1−f2)の下側3次歪みの振幅レベルAと周波数(2・f2−f1)の上側3次歪みの振幅レベルBとの間にはΔIM(=B−A)の差が生じる。このようなΔIMの差が生じる場合には、例えば上記図12や上記図14に示したような増幅装置のプリディストーション回路が理想的に動作するとしても、全周波数に対して同じ歪み補償処理が行われることから、当該差の成分については補償することができずに歪み補償後の信号中に残ってしまうといった問題がある。
【0022】
なお、このようなΔIMの差は、増幅器で通常発生する歪みの要因以外の要因により生じるものであり、例えば増幅器で発生する通常の3次歪みの成分については下側の周波数(2・f1−f2)と上側の周波数(2・f2−f1)とで歪みの振幅レベルは同一となる。
【0023】
通常の歪み成分である3次歪み成分の特性とプリディストーション回路の特性とが逆特性であって、完全に補償できたとしても図16に示したようにΔIM分は補償できない。一例として、A=1.0であり、B=0.8であり、ΔIM=2dB=0.2である場合には、通常の歪み成分以外の歪み成分は0.1となり、通常の歪み成分は{B+(A−B)/2}=0.9となる。そして、通常の歪み成分以外の歪み成分が歪み補償後に残ることになるため、歪み補償量は|20Log(0.1/0.9)|=19dBにしかならない。また、ΔIMの大きさが大きい場合には、更に歪み補償量は悪くなる。
【0024】
ところで、一般的に、上記図11に示したようなフィードフォワード方式を採用した歪み補償回路を備えた増幅装置における歪み補償量は30dB以上とすることが可能であり、以上において例として示した歪み補償量に関しては、プリディストーション方式と比べてフィードフォワード方式を採用した場合の方が歪み補償量が良好であると言うことができる。
【0025】
なお、上記したΔIMの差が生じる要因としては、種々考えられ、例えば主増幅器を構成するトランジスタで発生する偶数次の歪みにより差周波数(f2−f1)の歪みが発生し、再びトランジスタの歪みにより周波数f1及び周波数f2の入力信号が変調されるといった要因が考えられ、これは、ABクラスの増幅器のようにドレイン電流の変動が大きい場合には顕著である。また、他の要因として、例えば周波数(2・f1)や周波数(2・f2)のように2倍波の出力成分の周波数と(f2)分や(f1)分とが混合された場合などについても同様である。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例で示したように、例えば従来のプリディストーション形歪み補償機能付き増幅装置では、増幅器で発生する上側3次歪み及び下側3次歪みのアンバランス差があるために、上側3次歪み及び下側3次歪みを精度よく補償することができないといった不具合があった。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、2波以上の周波数の信号を増幅器で増幅する場合に発生する上側3次歪み及び下側3次歪みのアンバランスを改善することを可能とする歪み改善回路を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る歪み改善回路では、次のようにして、2以上の周波数成分を含む入力信号を増幅する増幅器で発生する上側3次歪み及び下側3次歪みのアンバランス差を改善する。
すなわち、位相変調手段が入力信号の差成分を制御信号として入力信号を位相変調し、そして、当該位相変調により生じる側帯波により増幅器で発生する上側3次歪み及び下側3次歪みのアンバランス差を低減させる。
【0028】
このように、本発明に係る歪み改善回路では、2波以上の周波数成分を含む信号を増幅する増幅器において当該増幅器の歪みにより上側3次IM歪みと下側3次IM歪みとにアンバランス差が生じるような場合に、入力信号の差成分を制御信号として入力信号を位相変調して、その側帯波により増幅器の上側3次IM歪みと下側3次IM歪みとのアンバランス差分を低減させることができる。
【0029】
なお、2以上の周波数成分を含む信号を増幅する増幅器は、一般に、共通増幅器と言われている。
また、通常、相互変調(IM)歪みに起因する3次歪みはバランスがとれているが、他の要因に起因する3次歪みがアンバランス差を生じさせるため、これらを総和したものである上側3次歪み及び下側3次歪みにはアンバランス差が生じ、本発明では、このようなアンバランス差を改善する。
【0030】
また、位相変調手段としては、例えば位相変調器や後述するゲートソース容量などを用いることができる。
また、入力信号は、例えば2つの周波数成分のみから構成されてもよく、3以上の周波数成分から構成されてもよく、また、連続した周波数成分(幅を持った帯域)から構成されてもよい。
また、上側3次歪みと下側3次歪とのアンバランス差とは、上側3次歪みと下側3次歪みとで例えば位相や振幅が違っているようなことを示す。
【0031】
また、入力信号の差成分としては、入力信号に周波数f1の成分及び周波数f2の成分のみが含まれる場合には例えば周波数(f2−f1)の成分が用いられ、また、入力信号に3以上の周波数成分が含まれる場合や入力信号が幅を持った帯域の信号であるような場合には例えば入力信号に含まれる全ての異なる周波数の組について各組の差成分を総和したものが用いられる。
【0032】
なお、一般的に、3次歪みを表現するときに2波のモデルで説明が成立すれば多波モデルでも同様なことが成立し得ると言われている。nを任意の複数としてn波の場合においても、各周波数の差成分は必ず2乗検波により検出することが可能である。具体例として、周波数ω1の成分と周波数ω2の成分と周波数ω3の成分から成る3波の場合には、2乗検波により、{cos(ω1・t)+cos(ω2・t)+cos(ω3・t)}2={cos(ω1・t)+cos(ω2・t)}2+2・cos(ω3・t)・{cos(ω1・t)+cos(ω2・t)}+{cos(ω3・t)}2となって、右辺の1項目から周波数(ω2−ω1)の成分が得られ、右辺の2項目から周波数(ω3−ω1)の成分及び周波数(ω3−ω2)の成分が得られる。
【0033】
また、入力信号に3以上の周波数成分が含まれる場合などであっても、例えば入力信号に含まれる一部の周波数成分についての上側3次歪み及び下側3次歪みだけを補償すればよいような場合には、当該一部の周波数成分についての差成分だけが本発明に言う入力信号の差成分として用いられてもよく、本発明はこのような態様も包含する。
【0034】
また、本発明に言う制御信号は、好ましくは、増幅器により増幅される前の入力信号から生成されるのがよいが、例えば増幅器から出力される増幅信号から制御信号を生成することも可能である。つまり、増幅器により増幅される前の入力信号から制御信号を生成すると入力信号の波形に最も忠実な制御信号を生成できると考えられる一方、増幅器から出力される増幅信号から制御信号を生成する場合には制御信号の波形が多少悪くなることもあり得ると考えられるが、この場合でも制御信号の生成は可能である。
【0035】
また、入力信号に周波数f1の成分及び周波数f2の成分のみが含まれる場合などにおいて予め増幅器で増幅する信号の周波数成分(例えば周波数f1の成分及び周波数f2の成分、など)が設定されているような場合には、例えば入力信号を用いずに差周波数(例えば周波数(f2−f1)、など)の信号を生成して制御信号とすることも可能であり、本発明はこのような態様も包含する。
【0036】
また、側帯波とは、例えば上側3次歪みの周波数に生じる上側側帯波及び下側3次歪みの周波数に生じる下側側帯波のことである。本発明では、このような側帯波と増幅器で発生する上側3次歪み及び下側3次歪みとを加えた結果を見た場合に、当該3次歪みのアンバランス差が低減させられる。
【0037】
また、本発明に係る歪み改善回路では、一構成例として、位相変調手段は増幅器に使用するトランジスタのゲート電圧により可変する当該トランジスタ内蔵のゲートソース容量から構成されており、当該トランジスタのゲートに制御信号の電圧が印加される。
このように、位相変調手段としては、例えば増幅器に使用するトランジスタのゲート電圧により可変する内蔵ゲートソース容量を用いることもできる。この場合、制御信号の電圧によりゲートソース容量が変化させられる。
【0038】
ここで、増幅器が複数のトランジスタを使用して構成される場合には、例えばこれら複数のトランジスタの中の1以上のトランジスタが本発明に言うトランジスタとして用いられる。
【0039】
また、本発明に係る歪み改善回路では、好ましい構成例として、増幅器で発生する上側3次歪み及び下側3次歪みを改善するプリディストーション回路を増幅器の前段に備え、当該プリディストーション回路による歪み補償と位相変調手段による歪み補償を組合せて増幅器で発生する上側3次歪み及び下側3次歪みを補償する。
【0040】
なお、一例として、増幅器の歪み補償を行うために、増幅器の前段においてプリディストーション回路により歪み補償し、これによっては歪み補償できない上下の3次IMアンバランス歪みを上記した位相変調手段による歪み補償により改善することができる。つまり、一例として、プリディストーション回路により歪み補償した後にこれでは歪み補償できない3次歪みのアンバランス成分を位相変調により補償するという処理順序を用いることができる。
【0041】
また、位相変調手段ではアンバランスな上側側帯波及び下側側帯波を生じさせるのに対して、それと組合せるプリディストーション回路では、説明を簡略化した一例として、増幅器で発生する上側3次歪みの周波数及び下側3次歪みの周波数に同一の振幅及び同一の位相を有する歪み(つまり、バランスのとれた歪み)を発生させる。なお、ここでは説明の便宜上から理想的な一例を述べたが、現実のプリディストーション回路では必ずしもちょうどバランスのとれた歪みが発生するわけではない。これについては明細書中の他の部分にある同様な記載に関しても同様である。
【0042】
また、プリディストーション回路としては、一例として、AM−AM変換に対する歪み補償を行う可変減衰器とAM−PM変換に対する歪み補償を行う可変位相器とを組み合わせたようなものが用いられる。
なお、位相変調手段による歪み補償と組み合わせることが可能な歪み補償回路としては、増幅器の前段に備えられるプリディストーション回路が用いられるのが好ましいが、例えば増幅器の後段に備えられて当該増幅器で発生する歪みを補償するような回路を用いることも原理的には可能である。
【0043】
詳しく説明すると、一般的には、例えば複数のトランジスタから成る増幅器では最終段のトランジスタで歪みが発生することが多く、この理由は、最終段のトランジスタの出力レベルが高く高効率で動作させられるためである。しかしながら、全体の効率を上げるために前段部分も電流を絞り高効率化する場合もあり、このような場合、全体の歪みを補償するために、例えば直列に接続された複数のトランジスタの中間の位置(トランジスタとトランジスタとの間の位置)に歪み補償回路を挿入して設けた構成により歪み補償することも可能である。また、最終段のトランジスタの後段に歪み補償回路を設けるポストディストーション回路の構成では、歪み補償回路の損失があると最終段では更に出力を上げることが必要となるが、このような構成も原理的には可能である。
【0044】
また、本発明では、入力信号を位相変調することにより発生する側帯波を利用して増幅器で発生する上側3次歪み及び下側3次歪みのアンバランス差を改善するが、このような位相変調により発生する側帯波を用いた歪み補償を他の目的で実施することも可能であり、一例として、軽い歪み補償であれば位相変調を用いた歪み補償だけでも歪み補償が可能である場合もあると考えられる。
【0045】
次に、本発明に係る歪み改善回路の実施態様例を示す。
一例として、本発明に係る上下3次歪みのアンバランスを改善する歪み改善回路では、信号を増幅する増幅器で発生する3次相互変調歪みのアンバランス分を補償するに際して、位相変調手段が増幅器により増幅される信号を位相変調することにより当該信号に対して側帯波を発生させ、位相変調手段により発生させる側帯波を用いて増幅器で発生する3次歪みのアンバランス分を補償する。ここで、一般に、或る信号を位相変調することにより、例えば当該信号に対して下側の周波数位置及び上側の周波数位置に互いに位相が180度異なる側帯波を発生させることができる。
【0046】
従って、増幅器により増幅される信号に対して下側の周波数位置及び上側の周波数位置に互いに位相が180度異なる側帯波を発生させて、これらの側帯波を用いて増幅器で発生するアンバランス歪み分を改善することが行われるため、例えば従来のように全周波数に対して同一の位相で且つ同一の振幅であるような歪みを発生させて歪み補償が行われるプリディストーション回路と組合せた場合、大幅に歪み補償を改善することができる。
【0047】
ここで、増幅器により増幅される信号としては、種々なものであってもよく、例えばW−CDMAの信号やマルチキャリアの信号などが用いられる。
また、増幅器としては、種々なものが用いられてもよく、例えば単数の増幅器が用いられてもよく、或いは、複数の増幅器が組み合わされて用いられてもよい。
また、歪みを補償する精度としては、理想的には増幅器で発生する歪みをゼロに打ち消すのが好ましいが、実用上で有効な程度であれば、種々な精度の歪み補償が行われてもよい。
【0048】
また、位相変調の対象となる信号である増幅器により増幅される信号としては、増幅器により増幅される前の信号に限られず、例えば増幅器により増幅された後の信号などが用いられてもよい。同様に、位相変調手段としては、必ずしも増幅器の前段に備えられなくともよく、例えば増幅器の後段や、増幅器の内部に備えられてもよい。
【0049】
また、一構成例として、本発明に係る上下3次歪みのアンバランスを改善する歪み改善回路では、周波数f1の信号及び周波数f2の信号が増幅器により増幅され、増幅器では周波数(2・f2−f1)の上側3次歪み及び周波数(2・f1−f2)の下側3次歪みのアンバランスが発生する場合に、次のようにして、これらの歪みを補償する。
すなわち、位相変調制御手段が増幅器により増幅される信号に基づいて差周波数(f2−f1)の制御信号を位相変調手段へ与え、また、位相変調手段は、位相変調器から構成されており、与えられる制御信号に基づいて増幅器により増幅される信号を位相変調することにより、例えば互いに位相が180度異なり且つ振幅が同一である周波数(2・f2−f1)の上側側帯波及び周波数(2・f1−f2)の下側側帯波を当該信号に対して発生させる。
【0050】
従って、周波数f1の信号及び周波数f2の信号を増幅器で増幅する場合に、アンバランス分である例えば互いに位相が異なる周波数(2・f2−f1)の上側3次歪み及び周波数(2・f1−f2)の下側3次歪みを従来と比べて改善することを可能とすることができる。
【0051】
ここで、増幅器により増幅される信号としては、例えば周波数f1の信号及び周波数f2の信号のみであってもよく、或いは、周波数f1の信号及び周波数f2の信号と共に他の周波数の信号を含むものであってもよい。
また、位相変調制御手段により用いられる信号である増幅器により増幅される信号としては、増幅器により増幅される前の信号に限られず、例えば増幅器により増幅された後の信号などが用いられてもよい。
【0052】
また、他の構成例として、本発明に係る上下3次歪みのアンバランスを改善する歪み改善回路では、増幅器は入力信号レベルに応じて容量が変化する容量可変コンデンサを等価回路に有するトランジスタを用いて構成されており、周波数f1の信号及び周波数f2の信号が増幅器により増幅され、増幅器ではアンバランス分である例えば互いに位相が異なる周波数(2・f2−f1)の歪み及び周波数(2・f1−f2)の歪みが発生する場合に、次のようにして、これらの歪みを補償する。
すなわち、位相変調制御手段が増幅器により増幅される信号に基づいて周波数(f2−f1)の制御信号を位相変調手段へ与え、位相変調手段は、増幅器を構成するトランジスタが等価回路に有する容量可変コンデンサから構成されており、与えられる制御信号に基づいて増幅器により増幅される信号を位相変調することにより、例えば互いに位相が180度異なり且つ振幅が同一である周波数(2・f2−f1)の上側側帯波及び周波数(2・f1−f2)の下側側帯波を当該信号に対して発生させる。
【0053】
従って、周波数f1の信号及び周波数f2の信号を増幅器で増幅する場合に、アンバランス分である例えば互いに位相が異なる周波数(2・f2−f1)の上側3次歪み及び周波数(2・f1−f2)の下側3次歪みを改善することを可能とすることができる。
【0054】
ここで、トランジスタとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば電界効果トランジスタ(FET:Field-Effect Transistor)や、バイポーラトランジスタなどを用いることができる。
【0055】
また、好ましい態様として、本発明を適用したプリディストーション形の歪み補償装置では、増幅器により増幅される信号に対して例えば互いに位相が同一であり且つ振幅が同一である周波数(2・f2−f1)の上側3次歪み及び周波数(2・f1−f2)の下側3次歪みを発生させる歪み補償手段を備え、位相変調手段により発生させる側帯波及び歪み補償手段により発生させる歪みの総和により増幅器で発生する周波数(2・f2−f1)の歪み及び周波数(2・f1−f2)の歪みを補償する。
【0056】
従って、位相変調手段により発生させる例えば互いに位相が180度異なり且つ振幅が同一である周波数(2・f2−f1)の上側側帯波及び周波数(2・f1−f2)の下側側帯波と、歪み補償手段により発生させる例えば互いに位相が同一であり且つ振幅が同一である周波数(2・f2−f1)の歪み及び周波数(2・f1−f2)の歪みとを組み合わせて用いることにより、増幅器で発生する周波数(2・f2−f1)の上側3次歪み及び周波数(2・f1−f2)の下側3次歪みを精度よく補償することができる。このように、周波数f1の信号及び周波数f2の信号を増幅器で増幅する場合に発生する例えば互いに位相が異なる周波数(2・f2−f1)の歪み及び周波数(2・f1−f2)の歪みを精度よく補償することができる。
【0057】
以下で、本発明の原理を詳しく説明する。
図7(a)には、周波数f1の信号と周波数f2の信号との2波が増幅器により増幅される場合に出力されるこれら2波の信号及びIM歪みのスペクトラムの一例を示してあり、横軸は周波数を示しており、縦軸は信号のレベルを示している。
同図(b)には、同図(a)に示した周波数(2・f1−f2)の下側3次IM歪み及び周波数(2・f2−f1)の上側3次IM歪みをそれぞれベクトルDとして示してあり、横軸は周波数を示しており、縦軸は信号のレベルを示している。
【0058】
ここで、同図(b)に示したIM歪みは、AM−AM変換のみが生じてAM−PM変換が生じないとした場合のものであるが、実際には、AM−PM変換が生じることにより、IM歪みは同図(c)で示されるようなものとなる。つまり、同図(c)に示されるように、周波数(2・f1−f2)の下側3次歪み成分はベクトルDから時計回りに+θ1の位相回転を受け、同様に、周波数(2・f2−f1)の上側3次歪み成分はベクトルDから時計回りに+θ1の位相回転を受け、位相回転後におけるこれら2つの歪み成分のベクトルをaとする。なお、このような位相回転については、例えば「“Transfer Characteristic of IM3 Relative Phase for a GaAs FET Amplifier”、Suematsu、Iyama、Ishida、IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES、VOL.45、NO.12、DECEMBER 1997」に記載されている。
【0059】
更に、同図(d)に示されるように、通常の歪み発生要因以外の要因で発生する歪みを考慮して、周波数(2・f1−f2)の下側3次歪みにはベクトルbで表される歪みを付加し、周波数(2・f2−f1)の上側3次歪みには(1+x)を係数としてベクトル(1+x)bで表される歪みを付加する。ここで、付加される歪みはそれぞれ時計回りに+θ2だけ位相回転しており、同図(d)では、説明の便宜上から、この位相回転量θ2を大きく示して見易くしてある。なお、通常は、同じ要因で発生する周波数(2・f1−f2)の歪みの位相及び周波数(2・f2−f1)の歪みの位相は同じになる。
【0060】
同図(d)に示した歪みに関してベクトル加算を行うと、同図(e)に示されるように、周波数(2・f1−f2)で発生する下側3次歪みの総和はベクトルc1=a+bで表され、周波数(2・f2−f1)で発生する上側3次歪みの総和はベクトルc2=a+(1+x)bで表される。ここで、通常、|c1|<|c2|となり、IM歪みのアンバランスが発生する。
【0061】
同図(e)に示した歪みに対して、例えば上記図14に示したような歪み補償回路により理想的な歪み補償を行うと、図7(f)に示されるように、例えば各周波数の歪みに含まれるベクトル(a+b)の成分とは逆特性となるベクトル(−a−b)の成分を歪み補償回路で発生させることによりベクトル(a+b)に相当する歪み成分を打ち消すことができるが、周波数(2・f2−f1)においてはベクトル(xb)に相当する歪み成分が歪み補償後に残ってしまう。
【0062】
そこで、同図(g)に示されるように、周波数(2・f1−f2)におけるベクトルbをベクトル{b+(xb/2)−(xb/2)}と分解し、周波数(2・f2−f1)におけるベクトル{(1+x)b}をベクトル{b+(xb/2)+(xb/2)}と分解して、理想的な歪み補償を行う。すると、歪み補償回路ではベクトル{−a−b−(xb/2)}で表される歪み成分を発生させ、これにより、同図(h)に示されるように、周波数(2・f1−f2)ではベクトル(−xb/2)で表される歪み成分が残り、周波数(2・f2−f1)ではベクトル(+xb/2)で表される歪み成分が残る。
【0063】
ここで、同図(h)に示した2つの周波数の歪み成分は、互いにベクトルの方向が180度異なっており且つ振幅が同一であるため、位相変調(PM:Phase Modulation)成分を表している。そして、このような位相変調成分は、例えば増幅器に入力される周波数f1及び周波数f2の信号を位相変調して逆特性の歪みを発生させることにより、打ち消すことができる。
【0064】
なお、図8には、上記図7(d)に示した付加的な歪みに関する振幅偏差及び位相偏差に対する歪み補償量(キャンセル量)の一例を示してあり、横軸は振幅偏差(dB)を示しており、縦軸は位相偏差(degree)を示している。図8に示されるように、振幅偏差がないとすると、上記図7(d)に示したθ2が20度である場合には10dBのキャンセル量が得られ、当該θ2が10度である場合には15dBのキャンセル量が得られる。
【0065】
このため、一例として、上記図16に示したΔIM=2dB程度である場合には、上記図12や上記図14に示したような歪み補償回路を用いて通常のプリディストーション方式により歪みを19dB改善するとともに、本発明により当該歪みを10dB〜15dB改善することにより、総じて29dB〜34dB程度のキャンセル量を得ることができ、この場合、例えば上記図11に示したような歪み補償回路によるフィードフォワード方式に対して十分に対抗することができる。
【0066】
次に、位相変調等を理論的に説明する。
例えばtを時刻として角振動数ωcの信号cos(ωc・t)を変調度φ及び変調周波数pで位相変調すると、一般に、変調波信号yは式1で示される。
【0067】
【数1】
【0068】
ここで、φが非常に小さいとすると、変調波信号yは近似的に式2で示される。
【0069】
【数2】
【0070】
上記式2の右辺の2項目の符号は+となっている一方、3項目の符号は−となっており、これは2項目と3項目とが位相として180度異なっていることを示している。そして、上記図12や上記図14の回路による歪み補償後に残る上記図7(h)に示したような周波数(2・f1−f2)及び周波数(2・f2−f1)の歪み成分は位相変調波と等価とみなすことができ、この場合、例えばωcは周波数f1に対応した角振動数ω1或いは周波数f2に対応した角振動数ω2となり、pは(ω2−ω1)となる。
【0071】
また、このような歪みを改善するために、例えば角振動数ω1(周波数f1)の信号cos(ω1・t)と角振動数ω2(周波数f2)の信号cos(ω2・t)との2波を外部から強制的に変調度φ及び変調周波数Δω及び位相θで位相変調することを考える。この場合、Δω=(ω2−ω1)としてφが非常に小さいとすると、角振動数ω1の信号についての変調波信号y1は近似的に式3で示され、同様に、角振動数ω2の信号についての変調波信号y2は近似的に式4で示される。なお、[φ・sin{(Δω・t)+θ}]のように周波数Δf=(f2−f1)に対応した角振動数Δω=(ω2−ω1)を有する信号が本発明に言う制御信号として用いられる。
【0072】
【数3】
【0073】
【数4】
【0074】
変調波信号の全体y3は、上記式3で示した変調波信号y1と上記式4で示した変調波信号y2とを加えたものとなり、上述のように(φ/2)<<1を考慮すると、近似的に式5で示される。
また、上記図7(h)に示した歪み成分の信号y4は、式6で示される。
式5の最右辺の3項及び4項と式6の右辺の1項及び2項とを比べると、(φ/2)=−(x・b)/2でありθ=0、θ2=0であれば、歪みのアンバランス成分を打ち消して補償することが可能である。
また、例えばθ2が20°〜10°程度である場合のように、上記図7(d)に示したθ2が小さい場合には、キャンセル量は上記図8より10〜15dB得られ、これにより改善を図ることができる。
【0075】
【数5】
【0076】
【数6】
【0077】
ここで、図9(a)には、周波数f1の主信号を周波数Δf=(f2−f1)の制御信号を用いて位相変調した場合に得られる信号スペクトラムの一例を示してあり、周波数f1の主信号▲1▼に対して周波数(2・f1−f2)の下側側帯波▲2▼及び周波数f2の上側側帯波▲3▼が発生する。なお、同図(a)及び同図(b)〜同図(d)中の横軸は周波数を示しており、縦軸は信号のレベルを示している。
【0078】
同様に、同図(b)には、周波数f2の主信号を周波数Δf=(f2−f1)の制御信号を用いて位相変調した場合に得られる信号スペクトラムの一例を示してあり、周波数f2の主信号▲4▼に対して周波数f1の下側側帯波▲5▼及び周波数(2・f2−f1)の上側側帯波▲6▼が発生する。
【0079】
また、同図(c)には、同図(a)に示した信号スペクトラムと同図(b)に示した信号スペクトラムとを重ねたものを示してある。
ここで、位相変調の変調度が非常に小さいとすると、発生する歪み▲2▼、▲3▼、▲5▼、▲6▼のレベルは主信号▲1▼、▲4▼のレベルと比べて非常に小さくなるため、主信号▲1▼と歪み▲5▼とを加算した結果は当該主信号▲1▼とほぼ一致するとみなすことができ、主信号▲4▼と歪み▲3▼とを加算した結果は当該主信号▲4▼とほぼ一致するとみなすことができる。このため、同図(a)に示した信号スペクトラムと同図(b)に示した信号スペクトラムとを総和したものは、近似的に、同図(d)に示されるようになる。
【0080】
また、上記したΔω=(ω2−ω1)の成分は、例えば増幅器により増幅される信号z=sin(ω1・t)+sin(ω2・t)を2乗検波することにより取得することが可能である。なお、Δωは周波数差Δf=(f2−f1)に対応しており、この周波数差Δf=(f2−f1)は、周波数(2・f2−f1)と周波数f2との差に相当し、周波数f2と周波数f1との差に相当し、周波数f1と周波数(2・f1−f2)との差に相当している。
【0081】
上記した信号zを2乗検波すると、2乗検波結果y2(=z2)は式7で示される。
【0082】
【数7】
【0083】
このように、上記式7の最右辺の2項目によりΔω=(ω2−ω1)の成分が取得される。この場合、上記式7の最右辺の1項目、3項目、4項目の成分は、例えば周波数フィルタにより除去する。
なお、例えば周波数差Δf=(f2−f1)の大きさ等に応じて上記図16に示したΔIMが変化するような場合には、当該周波数差Δfの大きさ等に応じて変調度φを変化させることが必要となる。
【0084】
次に、入力信号レベルに応じて容量が変化する容量可変コンデンサを用いて位相変調を行う原理を説明する。
図10(a)には、一般的な回路として、抵抗71とコンデンサ72とが接続された回路を示してある。
また、同図(b)には、同図(a)に示した回路の振幅特性J1の一例及び位相特性J2の一例を示してあり、横軸は周波数を示してある。
【0085】
同図(b)に示されるように、例えばコンデンサ72の容量を大きくすると、振幅特性J1や位相特性J2は、実線で示したものから点線で示したものへと変化する。このため、同図(b)に示したように、或る周波数fを見ると、コンデンサ72の容量が変化することにより位相の変動が生じ、これにより、位相変調が実現される。具体的には、例えばy=sin{(ωc・t)+q}のqに関して、外部から周波数Δf=(f2−f1)の制御信号に対応した周期でコンデンサ72の容量を変化させることにより、位相変調を行うことができる。
【0086】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施例に係る増幅装置を図面を参照して説明する。
図1には、本発明に係る歪み改善回路を適用した歪み補償回路を備えた増幅装置の構成例を示してあり、この増幅装置には、分岐部1と、2乗検波器2と、レベル調整器3と、位相変調器(PM変調器)4と、主増幅器5とが備えられている。
【0087】
分岐部1は、入力信号である周波数f1の信号及び周波数f2の信号を含むRF信号を位相変調器4へ出力し、この場合に、当該RF信号の一部を分岐して2乗検波器2へ出力する。
2乗検波器2は、分岐部1から入力される信号を2乗検波し、これにより得られる周波数Δf=(f2−f1)の信号成分(Δf成分)をレベル調整器3へ出力する。
【0088】
レベル調整器3は、例えば増幅器から構成されており、2乗検波器2から入力されるΔf成分を増幅して位相変調器4へ変調信号として出力する。なお、レベル変調器3は、例えば減衰器から構成されてもよく、この場合には、2乗検波器2から入力されるΔf成分を減衰させて位相変調器4へ変調信号として出力する。ここで、レベル調整器3により行われる増幅や減衰のレベル調整については、例えば位相変調器4により行われる位相変調の変調度に応じて最適となるように設定される。
【0089】
また、レベル調整器3は、例えば少なくとも位相反転(180°変化)の機能又は位相非反転(0°変化)の機能を含んでおり、本例では、差成分(Δf成分)と変調器(位相変調器4)の極性を考慮していずれかの機能を使用する。ここで、上述のように、上記図7(d)に示したθ2が小さい場合には、キャンセル量は上記図8より10〜15dB得られ、これにより改善を図ることができる。
また、ここでレベル調整器3に関して述べた位相反転機能及び位相非反転機能などについては、例えば後述する図2に示すレベル調整器13や図3に示すレベル調整器28や図4に示すレベル調整器43や図6に示すレベル調整器58に関しても同様である。
【0090】
なお、例えば信号の位相を変化させる位相器を2乗検波器2とレベル調整器3との間や或いはレベル調整器3と位相変調器4との間に備えて、当該位相器によりΔf成分の位相を調整することも可能である。
また、本例では、2乗検波器2からはΔf成分以外の周波数成分も出力されるため、例えば2乗検波器2とレベル調整器3との間などには、入力信号の2乗検波結果からΔf成分を抽出するためのローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter)などの周波数フィルタの機能が備えられている。
【0091】
位相変調器4は、レベル調整器3から入力されるΔf成分を変調信号(制御信号)として、分岐部1から入力される信号を位相変調し、当該位相変調後の信号を主増幅器5へ出力する。
主増幅器5は、例えば共通増幅器を用いて構成されており、位相変調器4から入力される信号を増幅して出力する。
【0092】
ここで、本例の位相変調器4では、例えば上記図7(h)に示したような互いに位相が180度異なり且つ振幅が同一である周波数(2・f1−f2)の下側3次歪みアンバランス分及び周波数(2・f2−f1)の上側3次歪みアンバランス分を打ち消すような側帯波を発生させる。
この場合、位相変調器4により発生させる側帯波と主増幅器5で発生する歪みとを総和すると、例えば互いに位相が同一であり且つ振幅が同一であるような周波数(2・f1−f2)の下側3次歪み成分及び周波数(2・f2−f1)の上側3次歪み成分を残すことができ、本例では、このような残りの部分の歪み成分を例えば上記図12や上記図14に示したようなプリディストーション方式による歪み補償回路を用いて補償する。
【0093】
具体的に、図2には、上記図12に示したような歪み補償回路と上記図1に示したような本例の上下3次歪みのアンバランスを改善する歪み改善回路とを組合せて用いた増幅装置の構成例を示してあり、この増幅装置には、分岐部11と、2乗検波器12と、レベル調整器13と、位相変調器14と、プリディストーション回路15と、主増幅器16とが備えられている。
【0094】
分岐部11と2乗検波器12とレベル調整器13と位相変調器14は、上記図1に示したものと同様な構成により同様な動作を行い、これにより、位相変調器14ではΔf成分に基づいて位相変調した信号をプリディストーション回路15へ出力する。そして、プリディストーション回路15は位相変調器14から入力される信号に対して歪みを発生させて主増幅器16へ出力し、主増幅器16は入力される信号を増幅して出力する。
【0095】
この構成では、位相変調器14により信号に発生させる周波数(2・f1−f2)の下側側帯波及び周波数(2・f2−f1)の上側側帯波と、プリディストーション回路15により当該信号に発生させる周波数(2・f1−f2)の下側3次歪み及び周波数(2・f2−f1)の上側3次歪みとを総和したものが、主増幅器16で発生する周波数(2・f1−f2)の歪み及び周波数(2・f2−f1)の歪みに対して位相が180度異なり且つ振幅が同一となるようにすることで、主増幅器16で発生する歪みを補償する。
【0096】
なお、プリディストーション回路15は、例えば分岐部11と位相変調器14との間などに備えられてもよく、要は、位相変調器14による歪み(側帯波)とプリディストーション回路15による歪みとの両方を入力信号に対して与えることができる構成であればよい。つまり、プリディストーション回路15では例えば上記図7(g)に示したベクトル{a+b+(xb/2)}に相当する歪み成分を打ち消すための歪みを発生させ、位相変調器14では例えば同図(h)に示したベクトル−(xb/2)及びベクトル+(xb/2)に相当する歪み成分を打ち消すための側帯波を発生させる。
【0097】
また、図3には、上記図14に示したような歪み補償回路と上記図1に示したような本例の歪み補償回路とを組合せて用いた増幅装置の構成例を示してあり、この増幅装置には、分岐部21と、遅延回路22と、包絡線検波器(振幅検波器)23と、2乗検波器23aと、A/D変換器24と、テーブル部25と、D/A変換部26と、振幅/位相回路27と、レベル調整器28と、位相変調器29と、主増幅器30と、分岐部31と、歪み検知部32と、テーブル更新回路33とが備えられている。
【0098】
分岐部21と遅延回路22と包絡線検波器23とA/D変換器24とテーブル部25とD/A変換部26と振幅/位相回路27と分岐部31と歪み検知部32とテーブル更新回路33は、上記図14に示したものと同様な構成により同様な動作を行い、これにより、振幅/位相回路27により歪みを発生させた信号を位相変調器29へ出力する。
【0099】
また、分岐部21と2乗検波器23aとレベル調整器28と位相変調器29は、上記図1に示したものと同様な構成により同様な動作を行い、これにより、位相変調器29は、振幅/位相回路27から入力される信号に対してΔf成分に基づく位相変調を施し、当該位相変調後の信号を主増幅器30へ出力する。そして、主増幅器30は、入力される信号を増幅して当該増幅信号を分岐部31を介して出力する。
【0100】
この構成では、振幅/位相回路27により信号に発生させる周波数(2・f1−f2)の下側3次歪み及び周波数(2・f2−f1)の上側3次歪みと、位相変調器29により信号に発生させる周波数(2・f1−f2)の下側側帯波及び周波数(2・f2−f1)の上側側帯波とを総和したものが、主増幅器30で発生する周波数(2・f1−f2)の下側3次歪み及び周波数(2・f2−f1)の上側3次歪みに対して位相が180度異なり且つ振幅が同一となるようにすることで、主増幅器30で発生する歪みを補償する。
【0101】
なお、位相変調器29は、例えば分岐部21と遅延回路22との間や或いは遅延回路22と振幅/位相回路27との間などに備えられてもよく、要は、振幅/位相回路27による歪みと位相変調器29による歪み(側帯波)との両方を入力信号に対して与えることができる構成であればよい。つまり、振幅/位相回路27では例えば上記図7(g)に示したベクトル{a+b+(xb/2)}に相当する歪み成分を打ち消すための歪みを発生させ、位相変調器29では例えば同図(h)に示したベクトル−(xb/2)及びベクトル+(xb/2)に相当する歪み成分を打ち消すための側帯波を発生させる。
【0102】
以上のように、本例の上下3次歪みのアンバランスを改善する歪み改善回路(3次歪みアンバランス改善回路)を備えた増幅装置では、入力信号であるRF信号を主増幅器により共通増幅するに際して、入力信号の一部を分岐して当該分岐信号の2乗検波結果を増幅或いは減衰させて位相変調器の制御信号とし、当該位相変調器により他方の分岐信号を位相変調した後に、当該位相変調後の信号を主増幅器により共通増幅する構成により、例えば歪み改善回路の側帯波の特性と主増幅器の歪み特性とを総和した結果の特性を、周波数や入力信号の差周波数によらずに均一の歪み特性にすることができる。
【0103】
また、上記図2や上記図3に示したように、例えば位相変調器を用いた上下3次歪みアンバランス改善回路の前段や後段にプリディストーション方式による歪み補償回路を備えることにより、これらの歪み改善回路及び歪み補償回路の全体として、歪みの改善量を大きく得ることを実現することができる。
【0104】
ここで、本例では、主増幅器5、16、30が本発明に言う増幅器に相当する。
また、本例では、位相変調器4、14、29の機能により本発明に言う位相変調手段が構成されている。
また、本例では、レベル調整器3、13、28から位相変調器4、14、29へ出力されるΔf成分の信号が本発明における周波数(f2−f1)の制御信号に相当し、分岐部1、11、21や2乗検波器2、12、23aやレベル調整器3、13、28の機能により位相変調制御手段が構成されている。
また、本例では、上記図2や上記図3に示したプリディストーション方式による歪み補償回路の機能と本発明に係る上下3次歪みアンバランス改善回路の機能により大きな歪み改善量が得られている。
【0105】
次に、本発明の第2実施例に係る増幅装置を図面を参照して説明する。
図4(a)には、本発明に係る歪み改善回路を適用した歪み補償回路を備えた増幅装置の構成例を示してあり、この増幅装置には、分岐部41と、2乗検波器42と、レベル調整器43と、高周波素子インダクタ44と、入力側の整合回路45と、トランジスタ46と、出力側の整合回路47とが備えられている。
【0106】
分岐部41は、入力信号である周波数f1の信号及び周波数f2の信号を含むRF信号を整合回路45を介してトランジスタ46のゲートへ出力し、この場合に、当該RF信号の一部を分岐して2乗検波器42へ出力する。
2乗検波器42は、分岐部41から入力される信号を2乗検波し、これにより得られる周波数Δf=(f2−f1)の信号成分(Δf成分)をレベル調整器43へ出力する。
【0107】
レベル調整器43は、例えば増幅器から構成されており、2乗検波器42から入力されるΔf成分を増幅して高周波素子インダクタ44を介してトランジスタ46のゲートへ変調信号(制御信号)として出力する。なお、上記第1実施例で述べたのと同様に、レベル変調器43は、例えば減衰器から構成されてもよい。
また、例えば信号の位相を変化させる位相器が、2乗検波器42とレベル調整器43との間や或いはレベル調整器43と高周波素子インダクタ44との間に備えられてもよく、この場合には、当該位相器によりΔf成分の位相を調整することができる。
【0108】
高周波素子インダクタ44は、レベル調整器43から出力される信号に含まれる高周波f1、f2の信号である主信号を阻止し、比較的低い周波数成分であるΔf成分の信号を通過させてトランジスタ46のゲートへ出力する。つまり、本例では、高周波素子インダクタ44が、入力信号の2乗検波結果からΔf成分を抽出するフィルタの機能を実現している。
【0109】
入力側の整合回路45は、周波数f1、f2の主信号を効率よくトランジスタ46で増幅するためのインピーダンス整合回路である。具体的には、トランジスタ46は或る入力インピーダンスを有しており、信号源も或る出力インピーダンスを有しており、信号源からトランジスタ46へ効率よく信号を供給するためには入力インピーダンスと出力インピーダンスとが共役となることが必要であり、整合回路45はこのような共役を実現している。
同様に、出力側の整合回路47も、インピーダンス整合を実現している。
【0110】
トランジスタ46は、例えば共通増幅器から成る主増幅器を構成するものであり、分岐部41から整合回路45を介して出力される主信号及びレベル調整器43から高周波素子インダクタ44を介して出力されるΔf成分をゲートから入力し、当該入力信号を増幅して当該増幅信号をドレインから整合回路47を介して出力する。また、トランジスタ46のドレインには電源が接続されており、トランジスタ46のソースは接地されている。
【0111】
また、本例では、説明の便宜上から、1つのトランジスタ46を示して説明を行うが、通常は、図4(b)に示されるように、主増幅器はm段のトランジスタ増幅器T1、T2、…、Tmが直列に接続されて構成されており、この場合、例えばこれら複数のトランジスタ増幅器T1、T2、…、Tmの中のいずれか1つのトランジスタ増幅器のゲートにΔf成分を供給する構成として当該トランジスタ増幅器により後述するような位相変調を行う。なお、mは2以上の自然数である。
【0112】
図5には、トランジスタ46の等価回路の一例として、FETの等価回路を示してある。同図において、Lg、Ld、Lsはコイルを示しており、Rg、Rd、Rgd、Ri、Rc、Rsは抵抗を示しており、Cgd、C、Cdsはコンデンサを示しており、Rig、Rdsは可変抵抗を示しており、Cgsは電圧依存性のある容量可変コンデンサを示しており、gmはゲート電圧が変化したときにドレイン電流が変化する割合を示している。なお、この等価回路については、例えば「低歪み増幅器設計の基礎、高木、森、MWE2000 Microwave Workshop Digest T5−1」に記載されている。
【0113】
同図に示した等価回路では、整合回路45からの周波数f1、f2の主信号がゲートに入力されることで、当該主信号の電圧に応じてゲート電圧が変化し、ドレイン電流が変化して増幅が行われる。そして、ゲート電圧が変化することにより、容量可変コンデンサCgsの容量が入力信号の振幅電圧の変動に応じて変化し、これによりAM−PM変換が生じて、周波数(2・f1−f2)及び周波数(2・f2−f1)に相互変調(IM)歪みが発生する。
【0114】
また、同図に示した等価回路では、Δf成分がそのレベルや位相が変化させられて高周波素子インダクタ44からゲートに入力されることで、容量可変コンデンサCgsの容量が変化し、これにより、例えば上記図10を用いて説明したように、主信号が位相変調させられる。つまり、本例では、トランジスタ46の等価回路に含まれる容量可変コンデンサCgsの容量を外部からΔfの周波数で強制的に変動させることにより主信号を位相変調しており、これにより、上記第1実施例で示した位相変調器を用いた場合と同様な位相変調を行うことを実現している。
【0115】
なお、ゲート電圧を変化させると、gmも変化して振幅変調(AM:Amplitude Modulation)も生じるが、例えば位相変調度が振幅変調度と比べて大きければよく、また、例えば多少の振幅変調が生じても上記図7(g)に示した(xb/2)が増加するだけであるため、歪み補償に関して特に問題はないと考えられる。
【0116】
ここで、本例のトランジスタ46における位相変調では、例えば上記図7(h)に示したような互いに位相が180度異なり且つ振幅が同一である周波数(2・f1−f2)の下側アンバランス3次歪み及び周波数(2・f2−f1)の上側アンバランス3次歪みを打ち消すような歪み(側帯波)を発生させる。
この場合、トランジスタ46における位相変調により発生させる側帯波と当該トランジスタ46から構成される主増幅器で発生する歪みとを総和すると、例えば互いに位相が同一であり且つ振幅が同一であるような周波数(2・f1−f2)の歪み成分及び周波数(2・f2−f1)の歪み成分を残すことができ、本例では、このような残りの部分の歪み成分を例えば上記図12や上記図14に示したようなプリディストーション方式による歪み補償回路を用いて補償する。
【0117】
具体的に、図6には、上記図14に示したような歪み補償回路と上記図4(a)に示したような本例の歪み補償回路とを組合せて用いた増幅装置の構成例を示してあり、この増幅装置には、分岐部51と、遅延回路52と、包絡線検波器(振幅検波器)53と、2乗検波器53aと、A/D変換器54と、テーブル部55と、D/A変換部56と、振幅/位相回路57と、レベル調整器58と、高周波素子インダクタ59と、トランジスタ61を用いて構成される主増幅器60と、分岐部62と、歪み検知部63と、テーブル更新回路64とが備えられている。
【0118】
分岐部51と遅延回路52と包絡線検波器53とA/D変換器54とテーブル部55とD/A変換部56と振幅/位相回路57と分岐部62と歪み検知部63とテーブル更新回路64は、上記図14に示したものと同様な構成により同様な動作を行い、これにより、振幅/位相回路57により歪みを発生させた信号を主増幅器60へ出力する。
【0119】
また、分岐部51と2乗検波器53aとレベル調整器58と高周波素子インダクタ59は、上記図4(a)に示したものと同様な構成により同様な動作を行い、これにより、トランジスタ61では振幅/位相回路57から入力される信号に対してΔf成分に基づく位相変調が施され、当該位相変調されるとともに主増幅器60により増幅された信号が当該主増幅器60から分岐部62を介して出力される。
【0120】
この構成では、振幅/位相回路57により信号に発生させる周波数(2・f1−f2)の下側3次歪み及び周波数(2・f2−f1)の上側3次歪みと、トランジスタ61において信号に発生させる周波数(2・f1−f2)の下側側帯波及び周波数(2・f2−f1)の上側側帯波とを総和したものが、主増幅器60で発生する周波数(2・f1−f2)の歪み及び周波数(2・f2−f1)の歪みに対して位相が180度異なり且つ振幅が同一となるようにすることで、主増幅器60で発生する歪みを補償する。
【0121】
つまり、振幅/位相回路57では例えば上記図7(g)に示したベクトル{a+b+(xb/2)}に相当する歪み成分を打ち消すための歪みを発生させ、トランジスタ61においては例えば同図(h)に示したベクトル−(xb/2)及びベクトル+(xb/2)に相当する歪み成分を打ち消すための歪み(側帯波)を発生させる。
【0122】
また、図示は省略するが、上記図4(a)に示した分岐部41と整合回路45との間や或いは整合回路45と主増幅器との間などにプリディストーション回路を備えた構成により、上記図12に示したような歪み補償回路と上記図4(a)に示したような本例の歪み改善回路とを組合せて用いた増幅装置を構成することができる。
【0123】
この構成では、トランジスタにおいて信号に発生させる周波数(2・f1−f2)の下側側帯波及び周波数(2・f2−f1)の上側側帯波と、プリディストーション回路により信号に発生させる周波数(2・f1−f2)の下側3次歪み及び周波数(2・f2−f1)の上側3次歪みとを総和したものが、主増幅器で発生する周波数(2・f1−f2)の下側3次歪み及び周波数(2・f2−f1)の上側3次歪みに対して位相が180度異なり且つ振幅が同一となるようにすることで、主増幅器で発生する歪みを補償する。
【0124】
つまり、プリディストーション回路では例えば上記図7(g)に示したベクトル{a+b+(xb/2)}に相当する歪み成分を打ち消すための歪みを発生させ、トランジスタにおいては例えば同図(h)に示したベクトル−(xb/2)及びベクトル+(xb/2)に相当する歪み成分を打ち消すための歪み(側帯波)を発生させる。
【0125】
以上のように、本例の上下3次歪みアンバランス改善回路を備えた増幅装置では、入力信号であるRF信号を主増幅器により共通増幅するに際して、入力信号の一部を分岐して当該分岐信号の2乗検波結果を増幅或いは減衰させて高周波素子インダクタを介して位相変調の制御信号として主増幅器を構成するトランジスタのゲートへ入力し、当該トランジスタにおいて他方の分岐信号を位相変調するとともに当該主増幅器において共通増幅する構成により、例えば上下3次歪みアンバランス改善回路の側帯波の特性と主増幅器の歪み特性とを総和した結果の特性を、周波数や入力信号の差周波数によらずに均一の歪み特性にすることができる。
【0126】
また、上記図6に示したように、例えばトランジスタにおける位相変調を用いた上下3次歪みアンバランス改善回路の前段にプリディストーション方式による歪み補償回路を備えることにより、これらの歪み改善回路及び歪み補償回路の全体として、歪みの改善量を大きく得ることを実現することができる。
【0127】
ここで、本例では、トランジスタ46、61が本発明に言うトランジスタに相当し、トランジスタ46から構成される主増幅器やトランジスタ61から構成される主増幅器60が本発明に言う増幅器に相当する。
また、本例では、トランジスタ46、61が等価回路に有する容量可変コンデンサCgsが本発明に言うゲートソース容量に相当し、当該ゲートソース容量Cgsの機能により本発明に言う位相変調手段が構成されている。
【0128】
また、本例では、レベル調整器43、58から高周波素子インダクタ44、59を介してトランジスタ46、61のゲートへ出力されるΔf成分の信号が本発明における周波数(f2−f1)の制御信号に相当し、分岐部41、51や2乗検波器42、53aやレベル調整器43、58や高周波素子インダクタ44、59の機能により位相変調制御手段が構成されている。
また、本例では、上記図6に示したプリディストーション方式による歪み補償回路などの機能と本例の上下3次歪みアンバランス改善回路の機能により大きな歪み改善量が得られている。
【0129】
ここで、本発明に係る歪み改善回路などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。例えば、本例では周波数f1の信号と周波数f2の信号との2波を処理する場合を示したが、n≧3としてn波を処理する装置に本発明を適用することもできる。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。例えば、本発明に係る歪み改善回路を備えた増幅装置は、W−CDMAやマルチキャリア等の信号を送信する通信機の送信部などに設けるのに適している。
【0130】
また、本発明に係る歪み改善回路などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROMに格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【0131】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る歪み改善回路によると、例えば、信号を増幅する増幅器で発生する歪みを補償するに際して、増幅器により増幅される信号を位相変調することにより当該信号に対して上下側帯波を発生させ、当該上下側帯波を用いて増幅器で発生するアンバランス歪みを補償するようにしたため、例えば従来のように全周波数に対して同一の位相で且つ同一の振幅であるような歪みを発生させて歪み補償が行われるプリディストーション回路と組合せて、大幅に歪み補償を改善することができる。
【0132】
また、本発明に係る歪み改善回路では、例えば、周波数f1の信号及び周波数f2の信号が増幅器により増幅され、増幅器では例えば互いに位相が異なる周波数(2・f2−f1)の上側アンバランス歪み及び周波数(2・f1−f2)の下側アンバランス歪みが発生する場合に、増幅器により増幅される信号に基づいて周波数(f2−f1)の制御信号を位相変調器へ与え、位相変調器が与えられる制御信号に基づいて増幅器により増幅される信号を位相変調することにより、互いに位相が180度異なり且つ振幅が同一である周波数(2・f2−f1)の上側側帯波及び周波数(2・f1−f2)の下側側帯波を当該信号に対して発生させるようにしたため、増幅器で発生する例えば互いに位相が異なる周波数(2・f2−f1)の上側3次歪み及び周波数(2・f1−f2)の下側3次歪みのアンバランスを改善することが可能となる。
【0133】
また、本発明に係る歪み改善回路では、例えば、増幅器は入力信号レベルに応じて容量が変化する容量可変コンデンサを等価回路に有するトランジスタを用いて構成されており、周波数f1の信号及び周波数f2の信号が増幅器により増幅され、増幅器では例えば互いに位相が異なる周波数(2・f2−f1)の上側3次アンバランス歪み及び周波数(2・f1−f2)の下側3次アンバランス歪みが発生する場合に、増幅器により増幅される信号に基づいて周波数(f2−f1)の制御信号をトランジスタへ与え、トランジスタでは等価回路に有する容量可変コンデンサが与えられる制御信号に基づいて増幅器により増幅される信号を位相変調することにより、互いに位相が180度異なり且つ振幅が同一である周波数(2・f2−f1)の上側側帯波及び周波数(2・f1−f2)の下側側帯波を当該信号に対して発生させるようにしたため、増幅器で発生する例えば互いに位相が異なる周波数(2・f2−f1)の上側3次アンバランス歪み及び周波数(2・f1−f2)の下側3次アンバランス歪みを改善することが可能となる。
【0134】
また、本発明に係る歪み改善回路では、例えば、増幅器により増幅される信号に対して互いに位相が同一であり且つ振幅が同一である周波数(2・f2−f1)の歪み及び周波数(2・f1−f2)の歪みを発生させる歪み補償機能を備え、位相変調により発生させる上下側帯波を利用した上下3次歪みアンバランス改善回路により発生させる側帯波を当該歪み補償機能により発生させる歪みに付加することにより増幅器で発生する周波数(2・f2−f1)の歪み及び周波数(2・f1−f2)の歪みを補償するようにしたため、大きな改善量が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係る歪み補償回路を備えた増幅装置の構成例を示す図である。
【図2】 本発明の第1実施例に係る歪み補償回路を備えた増幅装置の構成例を示す図である。
【図3】 本発明の第1実施例に係る歪み補償回路を備えた増幅装置の構成例を示す図である。
【図4】 本発明の第2実施例に係る歪み補償回路を備えた増幅装置の構成例を示す図である。
【図5】 トランジスタの等価回路の一例を示す図である。
【図6】 本発明の第2実施例に係る歪み補償回路を備えた増幅装置の構成例を示す図である。
【図7】 歪み成分をキャンセルする仕方の一例を説明するための図である。
【図8】 振幅偏差及び位相偏差に対するキャンセル量の関係の一例を示す図である。
【図9】 2波を位相変調した結果の一例を示す図である。
【図10】 コンデンサの容量の変化により位相変調する原理を説明するための図である。
【図11】 フィードフォワード方式を採用した歪み補償回路を備えた増幅装置の一例を示す図である。
【図12】 プリディストーション方式を採用した歪み補償回路を備えた増幅装置の一例を示す図である。
【図13】 増幅器の非線型特性の一例及びプリディストーション特性の一例を示す図である。
【図14】 プリディストーション方式を採用した歪み補償回路を備えた増幅装置の他の例を示す図である。
【図15】 時刻とRF包絡線レベルとの関係の一例及びRF包絡線レベルとテーブル値との関係の一例を示す図である。
【図16】 増幅器に入力される主信号の一例及び増幅器で発生する歪みの一例を示す図である。
【符号の説明】
1、11、21、31、41、51、62・・分岐部、
2、12、23a、42、53a・・2乗検波器、
3、13、28、43、58・・レベル調整器、
4、14、29・・位相変調器、 5、16、30、60・・主増幅器、
15・・プリディストーション回路、 22、52・・遅延回路、
24、54・・A/D変換器、 25、55・・テーブル部、
26、56・・D/A変換部、 27、57・・振幅/位相回路、
32、63・・歪み検知部、 33、64・・テーブル更新部、
23、53・・包絡線検波器、 44、59・・高周波素子インダクタ、
45、47・・整合回路、 46、61、T1〜Tm・・トランジスタ、
Cgs・・容量可変コンデンサ、 71・・抵抗、 72・・コンデンサ、
Claims (3)
- 2以上の周波数成分を含む入力信号を増幅する増幅器で発生する上側3次歪み及び下側3次歪みのアンバランス差を改善する歪み改善回路であって、
前記入力信号に含まれる全ての異なる周波数成分の周波数の組について各組の差成分を総和したもの又は前記入力信号に含まれる一部の周波数成分についての上側3次歪み及び下側3次歪みだけを補償する場合には当該一部の周波数成分についてだけ異なる周波数成分の周波数の組について各組の差成分を総和したものを制御信号αとして、時刻をtと表した場合に、前記入力信号に含まれる全ての異なる周波数成分の角振動数ωについて位相変調波信号成分[cos{(ω・t)+α}]を総和した結果を位相変調の結果として取得する位相変調手段を備え、
前記位相変調手段による前記位相変調の結果に含まれる前記上側3次歪みの周波数に生じる上側側帯波及び前記下側3次歪みの周波数に生じる下側側帯波であって且つ互いに位相が180度異なるものと、前記増幅器で発生する前記上側3次歪み及び前記下側3次歪みとを、前記上側3次歪み及び前記下側3次歪みのアンバランス差を低減させるように総和することを特徴とする歪み改善回路。 - 請求項1に記載の歪み改善回路において、
前記位相変調手段は前記増幅器に使用するトランジスタのゲート電圧により可変する当該トランジスタ内蔵のゲートソース容量から構成されており、当該トランジスタのゲートに前記制御信号αの電圧が印加されることを特徴とする歪み改善回路。 - 請求項1又は請求項2に記載の歪み改善回路において、
前記増幅器で発生する前記上側3次歪み及び前記下側3次歪みを改善するプリディストーション回路を前記増幅器の前段に備え、
当該プリディストーション回路による歪み補償と前記位相変調手段による歪み補償を組合せて前記増幅器で発生する前記上側3次歪み及び前記下側3次歪みを補償することを特徴とする歪み改善回路。
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