JP3687796B2 - 水性インク組成物及びそれを用いた記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水性インク組成物に関し、より詳しくはカラー画像形成用インクジェット記録用水性インク組成物及びそれを用いた記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェットプリンターは低騒音、低ランニングコストといった利点から普及し、普通紙印字可能なカラープリンターも市場に投入されている。しかしながら、画像の色再現性、耐水性、耐光性、画像の乾燥性と画像にじみと吐出の信頼性を全て満足することは難しい。特にカラープリンターの場合、イエロー、マゼンタ、シアンの淡色印字部で画像劣化がなくとも、レッド、グリーン、ブルーの2色重ね部分で画像の劣化が発生しやすい。
【0003】
特に定着装置を用いないで乾燥を行なう場合、特開昭55−29546号公報のように浸透性を高めるために界面活性剤を添加することにより乾燥は向上するが、紙質により著しくにじむ。
【0004】
また、特公昭60−23793号公報には界面活性剤としてジアルキルスルホコハク酸を用いることにより乾燥性が向上し、画質劣化が少ないとされているが、紙による画素径が著しく異なり画像濃度の低下も著しいといった問題や、アルカリ側では活性剤が分解し、保存時に活性効果がなくなるといった問題がある。
【0005】
また特公昭58−6752号公報には、アセチレン結合を有するエチレンオキサイド付加体を界面活性剤に用いることにより、浸透性を向上させることによりにじみの少ない速乾性インクが開示されている。しかしながら、染料によって、例えばDKB168等の直接性染料とは疎水性相互作用のため乾燥速度が向上しないといった問題がある。
【0006】
また、特開昭56−57862号公報等には強塩基性物質を添加するインクが開示されているが、ロジンサイズされた酸性紙では効果があるものの、アルキルケテンダイマーやアルケニルスルホコハク酸をサイズ剤とした紙には効果がない。また酸性紙でも2色重ね部分では効果がない。
【0007】
一方、浸透性を増加させ乾燥性を向上させた際のにじみ防止剤として種々の化合物が添加されている。例えば特開平1−203483号公報には多価アルコール誘導体及びペクチンを含有することを特徴とした記録液が開示されているが、これは増粘剤としてペクチンを添加し、にじみを防止するものであるが、ペクチンは水酸基を親水基とする非イオン性であるため印字休止後の吐出安定性にかけるという問題があった。
【0008】
特開平3−252468号公報等にはカルボン酸基を有するシュウ酸、安息香酸等のアミン塩によりにじみが低減されるインクが開示されているが、カラー画像では色境界でのにじみが発生し、乾燥性が不十分であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、インクジェットインクとして諸特性を満足し、乾燥性に優れ且つ画質の劣化が少なく特に2色の境界部分における画像の境界にじみが改良された水性インク組成物及びそれを用いて良好に画像を形成するための記録方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、以下のようにして課題を解決した。
(1)水に分散又は溶解する着色剤、水及び湿潤剤とともに、下記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物で、その対イオンがナトリウム、リチウム又は下記一般式(III)で表される第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミンであるものの少なくとも一種を含み、また下記一般式(IV)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩及び/又は下記一般式(V)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩からなる界面活性剤を含むことからなり、その動的表面張力が50mN/m以下であることを特徴とする水性インク組成物。
【化8】
【化9】
(式中、Mはアルカリ金属、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミンを表す。)
【化10】
(式中、Xは窒素又はリンを表し、R1〜R4は各々炭素数2〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン化アルキル基を表す。)
【化11】
【化12】
(式中、Mはアルカリ金属、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミンを,R5は炭素数6〜14の分岐してもよりアルキル基を、R6は炭素数5〜7の分岐したアルキル基を、mは3〜12の整数を表す。)
(2)前記一般式(IV)、(V)の対イオンがナトリウム、リチウム又は下記一般式(III)で表される第4級アンモニム、第4級ホスホニウム、アルカノ−ルアミンであることを特徴とする前記(1)記載の水性インク組成物。
【化13】
(式中、Xは窒素又はリンを表し、R1〜R4は各々炭素数2〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン化アルキル基を表す。)
(3)前記(1)記載の水性インクにおいて、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、又は下記一般式(III)で表される対イオンの水酸化物の少なくとも一種を添加して該インクのpHを6以上にしたことを特徴とする水性インク組成物。
【化14】
(式中、Xは窒素又はリンを表し、R1〜R4は各々炭素数2〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン化アルキル基を表す。)
(4)前記(1)ないし(3)記載の水性インク組成物を微細な吐出口より吐出して液滴として飛翔させ、ステキヒトサイズ度が3秒以上の被記録材に付着せしめることによりカラー画像を形成することを特徴とする記録方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0012】
本発明は前記一般式(I)、(II)の化合物を用いることにより、紙面より供給されるプロトンにより同化合物の析出もしくはインクが増粘されるため紙のにじみがより少なくなることを見出すと共に、紙への浸透性を高める目的で前記一般式(IV)又は一般式(V)の化合物を添加して表面張力を50mN/m以下に低下させることにより、インクと紙表面との濡れ性を向上させることができることを見出したものである。
【0013】
更に、インクのpHを6以上にすると保存安定性が向上し、一般に使用されているpHが5〜6のコピー用紙や用箋等の記録紙にインクを30〜60μmの微細な吐出口より吐出し重量が30ng〜160ngの液滴として6〜20m/sで飛翔させ、ステキヒトサイズ度が3秒以上の所謂普通紙に記録することにより高画質、高解像の記録画像を形成する記録方式を提供することが出来る。但しpHが9以上では保存時に一般式(V)の活性剤は分解による物性の変化が起こりやすいため、一般式(V)の活性剤を用いる場合にはpHを6から9にすることが好ましい。
【0014】
本発明で使用することが出来る一般式(IV)、(V)の添加量は0.05〜10重量%でプリンターシステムにより要求されるインク特性に対し、所望の浸透性を与えることが出来る。0.05重量%以下ではいずれの場合でも2色重ね部の境界でのにじみが発生し、10重量%以上添加する場合は化合物自体が低温で析出しやすかったり、染料の析出等も発生することがあるため上記範囲が好ましい。
【0015】
本発明で用いられる各化合物の具体例は、一般式(I)としては乳酸Naが、一般式(II)としてはリンゴ酸Naが挙げられ、これらの化合物で他の対イオンのものはこれらのNa塩をイオン交換等の方法により得ることが出来る。これらの化合物の添加量はその他インク添加物の物性により異なるが、0.1重量%〜10重量%の範囲で用いることができ、0.1重量%未満では効果が低下し、10重量%以上では染料との相互作用が大きいため、染料の沈殿、インクの増粘が著しくなるなどの欠点がある。
【0016】
本発明で用いる一般式(IV)又は一般式(V)の化合物を遊離酸型にて具体的に示すと下記のとおりであるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
【表1】
【0018】
本発明の水溶性染料及び界面活性剤は、保存時の溶解安定性を与えたり、熱エネルギーを与えることにより吐出を行なう記録方法での信頼性を向上させるために、対イオンをリチウム、ナトリウム、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミンにすることが好ましい。例えばリチウム塩の場合は水酸化リチウムを添加することにより行なわれ、一般式(III)の第4級アンモニウム、ホスホニウム、アルカノールアミンに関しては、具体的には以下に示す水酸化物を添加することにより行なわれる。
【0019】
【表2】
【0020】
なお、本発明では各化合物の対イオンの全てがナトリウム、リチウム及び/又は上記一般式(III)である必要はなく、他のアルカリイオンと混合することもできる。ナトリウム、リチウム及び/又は上記一般式(III)のイオンの量としては一般式(I)又は一般式(II)の化合物のモル数に対して30%以上、より好ましくは50%以上となるように添加されることが好ましい。
【0021】
本発明のインク組成物は水を液媒体として使用するものであるが、記録液を所望の物性にするため、インクの乾燥を防止するため、本発明の化合物の溶解安定性を向上するため等の目的で下記の水溶性有機溶媒を使用することが出来る。
【0022】
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環式化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等である。これらの溶媒は水と共に単独もしくは複数を混合して用いられる。
【0023】
これらの中で特に好ましいものはジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレングリコール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタンジオール、N−メチル−2−ピロリドンであり、これらを用いることにより本発明の化合物の高い溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる。
【0024】
本発明の一般式(IV)又は一般式(V)の化合物以外で表面張力を調整する目的で添加できる浸透剤としては、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、フッ素系界面活性剤、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類が上げられるが、特に好ましいのはジエチレングリコールモノブチルエーテルである。
【0025】
本発明における表面張力は紙への浸透性を示す指標であり特に表面形成されてから1秒以下の短時間での動的表面張力で、飽和時間で測定される静的表面張力とは異なる。この測定方法としては特開昭63−31237号公報等に記載の公知の方法で測定できるが、本発明ではWilhelmy式の吊り板式表面張力計を用いて測定した。表面張力の値は50mN/m以下が好ましく、より好ましくは40mN/m以下で、このようにすることで優れた乾燥性を得ることが出来る。
【0026】
着色剤として用いられる水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料で、耐水、耐光性に優れたものが用いられる。
【0027】
これらの染料の具体例としては以下のものが上げられるがこれらに限定されるものではない。
【0028】
(酸性染料及び食用染料)
C.I.アシッド.イエロー 17,23,42,44,79,142
C.I.アシッド.レッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289
C.I.アシッド.ブルー 9,29,45,92,249
C.I.アシッド.ブラック 1,2,7,24,26,94
C.I.フード.イエロー 3,4
C.I.フード.レッド 7,9,14
C.I.フード.ブラック 1,2
【0029】
(直接染料)
C.I.ダイレクト.イエロー 1,12,24,26,33,44,50,120,132,142,144,86
C.I.ダイレクト.レッド 1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227
C.I.ダイレクト.オレンジ 26,29,62,102
C.I.ダイレクト.ブルー 1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,89,163,165,199,202
C.I.ダイレクト.ブラック 19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171
【0030】
(塩基性染料)
C.I.ベーシック.イエロー 1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91
C.I.ベーシック.レッド 2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112
C.I.ベーシック.ブルー 1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155
C.I.ベーシック.ブラック 2,8
【0031】
(反応性染料)
C.I.リアクティブ.ブラック 3,4,7,11,12,17
C.I.リアクティブ.イエロー 1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67
C.I.リアクティブ.レッド 1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97
C.I.リアクティブ.ブルー 1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95
【0032】
これらの染料のうちでは、特に酸性染料および直接染料が好ましく用いることが出来る。
【0033】
顔料としては有機顔料としてアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラック等が上げられ、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉等があげられる。
【0034】
顔料分散剤としては親水性高分子として、天然系ではアラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子、半合成系ではメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子、純合成系ではポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸及びそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物等があげられる。
【0035】
本発明のインクには上記着色剤、溶媒のほかに従来より知られている添加剤を加えることが出来る。
【0036】
例えば防腐防かび剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が使用できる。
【0037】
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpH7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用出来る。例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアリカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等があげられる。
【0038】
キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等があげられる。
【0039】
防錆剤としては、例えば酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリストール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
【0040】
その他目的に応じて水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤、界面活性剤等を添加することもできる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
下記処方の組成物を60℃で攪拌溶解し、室温にて放冷後、pHが8.5になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整し、これを0.22μmのテフロンフィルターにて濾過しイエローインク1を調製した。
C.I.アシッドイエロー23 1重量%
化合物(I)の遊離酸 1.5 〃
グリセロール 5 〃
N−ヒドロキシエチルピロリドン 5 〃
具体例(IV−1) 0.8 〃
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2 〃
イオン交換水 86.5 〃
【0043】
(実施例2)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、水酸化ナトリウムでpHを8.8にしてマゼンタインク1を調製した。
C.I.アシッドレッド254 1.5重量%
化合物(II)の遊離酸 2 〃
1,2,6−ヘキサトリオール 4 〃
ダイレクドレッド227 0.5 〃
1,5−ペンタジオール 8 〃
具体例(V−1) 1.2 〃
具体例(III−1)の25%水溶液 0.8 〃
2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム 0.2 〃
イオン交換水 91 〃
【0044】
(実施例3)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、水酸化リチウムでpHを8.5にしてシアンインク1を調製した。
C.I.アシッドブルー249 2.0重量%
化合物(II)の遊離酸 1 〃
ジエチレングリコール 5 〃
グリセロール 2 〃
具体例(IV−4) 2 〃
具体例(III−3)の25%水溶液 0.2 〃
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2 〃
イオン交換水 87.8 〃
【0045】
(実施例4)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、水酸化リチウムでpHを7.5にしてブラックインク1を調製した。
C.I.フードブラック2 3重量%
化合物(II)の遊離酸 1.2 〃
エチレングリコール 5 〃
1,5−ペンタンジオール 10 〃
グリセロール 2 〃
具体例(V−2) 0.8 〃
具体例(III−4)の25%水溶液 2 〃
安息香酸ナトリウム 0.2 〃
イオン交換水 75.8 〃
【0046】
(実施例5)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、水酸化ナトリウムでpHを7.8にしてイエローインク2を調製した。
C.I.ダイレクトイエロー132 1.5重量%
化合物(I)の遊離酸 1.2 〃
化合物(II)の遊離酸 0.5 〃
トリエチレングリコール 5 〃
ペントリオール 10 〃
具体例(V−5) 2 〃
具体例(III−2)の25%水溶液 1.5 〃
イオン交換水 78.5 〃
【0047】
(実施例6)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、水酸化リチウムでpHを9にしてシアンインク2を調製した。
C.I.ダイレクトブルー199 2.2重量%
化合物(I)の遊離酸 1.8 〃
N−メチル−2−ピロリドン 8 〃
1,5−ペンタンジオール 8 〃
具体例(V−4) 0.8 〃
安息香酸ナトリウム 0.1 〃
イオン交換水 79.1 〃
【0048】
(実施例7)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、水酸化ナトリウムでpHを7.5にしてブラックインク2を調製した。
C.I.ダイレクブラック168 3.5重量%
化合物(I)の遊離酸 5.0 〃
化合物(II)の遊離酸 0.5 〃
チオジエタノール 5 〃
グリセロール 10 〃
具体例(IV−4) 1.5 〃
安息香酸 0.1 〃
イオン交換水 74.4 〃
【0049】
(比較例1)
実施例1において具体例(IV−1)を除き、化合物(I)を安息香酸・トリエチレンアミン塩にかえた以外は同様にして比較用のイエローインク1を調製した。
【0050】
(比較例2)
実施例6において化合物(I)を除いた以外は同様にして比較用のシアンインク1を調製した。
【0051】
(比較例3)
実施例7の化合物(I)、(II)にかえて安息香酸・トリエチレンアミン塩を使用した以外は同様にして比較用のブラックインク1を調製した。
【0052】
次に上記実施例及び比較例について下記の試験を行なった。結果を表3に示す。
【0053】
画像の鮮明性
サーマルインクジェット方式の300dpiのノズルを有するインクジェットプリンターA及び積層PZTを液室流路の加圧に使用した300dpiのノズルを有するインクジェットプリンターBにて印字を行ない、2色重ね部境界のにじみ、画像にじみ、色調、濃度を目視により総合的に判断した。印字用紙には市販の再生紙、上質紙及びボンド紙の3種類を用いた。
【0054】
画像の乾燥性
印字後の画像に一定条件で濾紙を押しつけインクが濾紙に転写しなくなるまでの時間を測定した。いずれの紙においても10秒以内で乾燥した場合には○と判定した。
【0055】
保存安定性
各インクをポリエチレン容器に入れ、−20℃、5℃、20℃、70℃のそれぞれの条件下で3ヵ月間保存し、保存後の表面張力、粘度及び沈殿物析出の有無を調べた。いずれの条件下で保存しても物性等の変化がないものを○とした。
【0056】
印字休止時の信頼性
プリンターBにおいてプリンター動作中にキャップ、クリーニング等を行なわないで印字休止した後、復帰できるかを調べ、どれだけの時間(秒)で噴射方向がずれるか、あるいは吐出液滴の重量が変化するかで、その信頼性を評価した。
【0057】
【表3】
【0058】
【発明の効果】
表3の結果から明らかなように、本発明の水性インク組成物は紙表面に対する濡れ性が改善され、インクジェットインクとしての諸特性を満足し、乾燥性に優れ且つ画質の劣化が少なく、特に2色の境界部分における画像の境界にじみが改良されるとともに、対イオンを規定することにより、より吐出安定性及び保存安定性等の信頼性に優れたインクジェット記録用水性インク組成物を提供することが出来る。また本発明の水性インク組成物により所謂普通紙とインクジェット用コート紙のいずれに対しても良好な濡れ性を示し、にじみの少ないカラー画像を形成できる記録方法を提供することが出来る。
Claims (4)
- 水に分散又は溶解する着色剤、水及び湿潤剤とともに、下記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物で、その対イオンがナトリウム、リチウム又は下記一般式(III)で表される第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミンであるものの少なくとも一種を含み、また下記一般式(IV)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩及び/又は下記一般式(V)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩からなる界面活性剤を含むことからなり、その動的表面張力が50mN/m以下であることを特徴とする水性インク組成物。
- 前記一般式(IV)、(V)の対イオンがナトリウム、リチウム又は下記一般式(III)で表される第4級アンモニム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミンであることを特徴とする請求項1記載の水性インク組成物。
- 請求項1記載の水性インクにおいて、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、又は下記一般式(III)で表される対イオンの水酸化物の少なくとも一種を添加して該インクのpHを6以上にしたことを特徴とする水性インク組成物。
- 請求項1ないし3記載の水性インク組成物を微細な吐出口より吐出して液滴として飛翔させ、ステキヒトサイズ度が3秒以上の被記録材に付着せしめることによりカラー画像を形成することを特徴とする記録方法。
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