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JP3681848B2 - 丸棒材及び旋盤加工製品 - Google Patents

丸棒材及び旋盤加工製品 Download PDF

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JP3681848B2
JP3681848B2 JP35147296A JP35147296A JP3681848B2 JP 3681848 B2 JP3681848 B2 JP 3681848B2 JP 35147296 A JP35147296 A JP 35147296A JP 35147296 A JP35147296 A JP 35147296A JP 3681848 B2 JP3681848 B2 JP 3681848B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、丸棒材及び旋盤加工製品に係り、特に旋盤チャックにより一端を回転可能に支持し他端を芯押し台により回転自在に支持して旋盤加工する通常の旋盤加工装置とは異なる旋盤加工であって、例えば丸棒材を片支持状態で回転かつ送り可能に支持して、順次送り出しを行いつつ旋盤加工を行う所謂CNC型自動旋盤(ガイドブッシュ式、スイス型CNC旋盤等)に好適な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
普通、旋盤加工において所謂長尺ものと呼ばれる丸棒材を加工するためには、旋盤装置側のチャックで丸棒材の外周の途中部位を回転可能に支持し、丸棒材の他端面部に対してセンタードリル等でセンター出し加工を行い、旋盤装置の芯押し台を用いて加工済みのセンターを回転自在に支持して、両支持状態にする。この準備工程を経た後に、バイトを搭載したエプロンを丸棒材の長手方向に移動しつつバイトで切削加工するものが一般的である。
【0003】
一方、CNC型自動旋盤は、比較的に小径の丸棒材または管材料を片支持状態で回転かつ送り可能に支持し、バイト等の切削工具に対して丸棒材を順次送り出しを行いつつ旋盤加工を行うものであり、上述のセンター加工が省略できるとともに、センター加工が困難な小径部品の加工ができることから、好適に使用されている。
【0004】
このCNC型自動旋盤によれば、例えば無人自動運転で連続加工する場合において、片支持状態で回転かつ送り可能に支持される丸棒材に対する加工精度を向上するべく、芯ブレをなくすための固定ブッシュ(ガイドブッシュ)と呼ばれるものが使用される。ちなみに、丸棒材と連動して回転する回転ブッシュを用いる回転ブッシュ式のCNC型自動旋盤も一部で実用化されている。この種の旋盤によれば、固定ブッシュ式に比較して高価であり、また芯ブレの発生が若干あることから、加工精度は固定ブッシュ式よりも劣るとされている。
【0005】
以上のような事情から、固定ブッシュ式のCNC型自動旋盤が現在多用されている。
【0006】
図を参照して、固定ブッシュ式のCNC型自動旋盤の固定ブッシュについて説明すると、図6は固定ブッシュの正面図であって、丸棒材1とともに示した図である。
【0007】
本図において、この固定ブッシュ3には図示のように略十字状に4本の割り溝3aが形成されている。また、この固定ブッシュ3にはその外径部分と同芯状になるように加工された孔部3nが紙面前後方向に穿設されている。また、この孔部3nは、上記の割り溝3aと連続形成されている。
【0008】
この孔部3nはタングステンカーバイド3c等の超硬質材料から加工形成されており、耐磨耗性を十分に確保することで、この固定ブッシュ3により丸棒材1の長手方向に沿うように送り出し可能に保持し、かつ図中の矢印方向に高速回転される丸棒材1を破線図示のバイト12に対して順次送り出すことで、片支持状態での旋盤加工を芯ブレなく行えるようにしている。
【0009】
すなわち、旋盤加工を行うときに、固定ブッシュ3の孔部3nと、丸棒材1の外周面との間の隙間を極力少なく設定して、旋盤加工することで芯ブレ発生の極めて小さな高い精度の旋盤加工を実現可能にしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように固定ブッシュを用いた旋盤加工は、例えば硫黄成分入りの快削鋼、銅等の金属材料であって、それらの外周面が上記の孔部3nに対して直に接触し、かつ高速度で回転することにより、たとえ発熱量が多くなる場合であっても、十分な摺動状態を維持することができる金属材料乃至他の工業材料に限定されている。換言すると、固定ブッシュ式のCNC型自動旋盤の供給メーカー側では、快削鋼、銅等の良切削金属材料以外の保証はしていない。
【0011】
例えば、旋盤加工が非常に困難とされる金属チタンの場合では、切削バイトのスクイ角を20度前後に設定した専用のバイトを準備するするとともに、丸棒材1の周速度を正確に管理し、かつ切削液を殆ど水に近い状態にするなどして十分に供給し冷却しつつ、ようやく旋盤加工可能となることが知られている。
【0012】
しかし、このような難切削材料の場合において、上記の固定ブッシュ3をそのまま使用すると、図6において示したようなカジリKが発生してしまう。
【0013】
このようなカジリKが発生すると、被切削材は加工不良となり、加速度的にカジリKが成長してしまう。このために、例えば無人自動運転している場合には、運転を途中で強制的に停止しなければならず、場合によっては装置が破壊されてしまい由々しき問題となる。
【0014】
したがって、難切削材料は固定ブッシュ式のCNC型自動旋盤では旋盤加工は不可能であるとするのが常識であった。
【0015】
そこで、本願発明者は、このようなカジリKの発生原因について研究、考察したところ、以下のことが判明した。
【0016】
即ち、純チタン、チタン合金、ステンレス鋼などの難加工材料は、熱伝導率が0.05(cal/cm/sec/℃)以下である。この値は、上記の快削鋼、銅等の良加工材料の熱伝導率に比べて1桁以上低いものである。
【0017】
このことから、例えばチタン棒材料からなる丸棒材1の外周面と固定ブッシュ3の孔部3nとの間の接触面で回転にともない発生する摩擦熱が、棒材料1の内部に次第に蓄熱され、この結果、熱膨張を起こし、棒材料1の外径が増大し、溶融してしまい、孔部3nと一部固着する状態になり、これがカジリKの発生原因であることが判明した。
【0018】
一方で、難加工材料を含む棒材料及び管材料は、汚れや傷の防止または錆の発生を防ぐために工場出荷時、長期保存時等において防錆紙、特殊紙などを巻き付けるようにして出荷または管理することが日常行われているが、これらの作業のために余分な工数が必要となり、コストアップを招いている。
【0019】
また、丸棒材及び管材料を含む旋盤加工製品であって、その外周面または内周面において所定厚さの固体潤滑層を形成した旋盤加工製品が数多く実用化されている。このような製品を得るためには、先ず旋盤加工を含む所定の機械加工を行った後に、所望の部位に固体潤滑層を形成するために、固体潤滑層形成の不要部分のマスキングを行い、続いて塗膜形成をしてから、乾燥焼成後に完成品を得るようにしていた。
【0020】
また、例えば特開昭54‐137569号公報には、フッ素重合物のTFE(テトラフルオロエチレン低重合物)が有する離型性を利用して鋼材の引き抜き加工を行うための組成物が開示されている。この組成物によれば引き抜き加工後の表面の光沢の確保には有効に働くようであるが、固体潤滑層の積極的な形成にはなんら寄与していないものである。したがって、当該提案でも外周面または内周面において所定厚さの固体潤滑層を形成するためには、別途工程が必要となるものである。
【0021】
以上のように固体潤滑層形成のためには、工数が増えるので、完成途中の部品管理に余分な人手が必要となり、コストアップを招いていた。
【0023】
したがって、本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであり、汚れや傷の防止または錆の発生を防ぐための余分な工数が不要となる丸棒材及び管材料の提供を目的としている。
【0024】
そして旋盤加工製品の外周面、内周面または外観面に所定厚さの固体潤滑層を形成した旋盤加工製品を、安価に提供することを目的としている。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、旋盤加工装置の本体側に設置固定されるガイドブッシュにより長手方向に沿うように送り出し可能かつ回転可能に保持され、前記ガイドブッシュから前記本体側に配設される加工工具に対して順次送り出されることで、片支持状態での旋盤加工が行なわれる丸棒材であって、外周面に予め所定厚さの固体潤滑層を形成することにより、前記ガイドブッシュによる前記保持の状態の低摩擦化を図るために、前記丸棒材は、熱伝導率が0.05( cal/cm/sec/ ) 以下の金属材料である、純チタン、チタン合金の難加工性の金属材料であることを特徴としている。
【0028】
そして、旋盤加工装置の本体側に設置固定されるガイドブッシュにより丸棒材の長手方向に沿うように送り出し可能かつ回転可能に保持し、ガイドブッシュから本体側に配設される加工工具に対して順次送り出すことで、片支持状態での旋盤加工が行なわれる旋盤加工製品であって、丸棒材として、その外周面に予め所定厚さの固体潤滑層を形成したものを用いることで、ガイドブッシュによる保持の状態の低摩擦化を図るようにして旋盤加工するとともに、固体潤滑層を残すようにするとともに、前記旋盤加工は、バイトによる旋削、切削ドリルによる孔加工用と研削装置による研削加工を含み、さらに、前記回転を停止して前記ガイドブッシュにより所定角度に保持された前記丸棒材に対する加工を行うための縦型エンドミルと研削を行うための研削装置をさらに含み、旋削加工、孔加工、切削加工、研削加工が行なわれ、前記丸棒材は、熱伝導率が0.05( cal/cm/sec/ ) 以下の金属材料である、純チタン、チタン合金の難加工性の金属材料からなる無垢材料または管材料であり、前記管材料の内周面に形成される第2の固体潤滑層を残すようにすることを特徴としている。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好適な実施形態について、添付の図面を参照して述べる。
【0030】
図1は固体潤滑層形成のための工程を示すフローチャートである。本図において、先ずステップS1において、熱伝導率が0.05(cal/cm/sec/℃)以下の金属材料である、例えば純チタン、チタン合金、ステンレス鋼、ニッケル合金、ハステロイ(商品名)、インコネル(商品名)他の難切削性の金属材料の所定直径と全長を有する無垢または管状の丸棒材1の1バッチ分を準備し、トレー内に収容する。
【0031】
これに続いて、ステップS2に進みトリクロルエチレン、四塩化炭素などの溶剤で脱脂するか水洗浄を行うことで、表面の汚れを除去し、後述の塗装ムラや塗膜の接着強度の低下を防ぐようにする。
【0032】
続く、ステップS3ではアルミナ(60から120メッシュ)によるサンドブラスト、液体ホーニングまたはこれらと同様の粗面加工を外周面、内周面を含む面に均一に行う。
【0033】
以上で丸棒材に対する物理的な処理を終了し、ステップS4に進み、高圧エアーによるフラッシングあるいは水洗により表面をきれいにする。以上のステップS2からS4までの工程を総称して下地処理工程と呼ぶ。この工程は、必要に応じていずれかの工程を適宜省略することも可能である。
【0034】
次に、ステップS5では、塗料の撹拌とシンナー等による粘度調整とを必要に応じて行い塗装の準備をする。
【0035】
ステップS6では、必要に応じてプライマーの塗装後にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を含むフッ素樹脂系の塗料をスプレーガン、ロールコータ、ディッピング等の方法により均一に塗装する。
【0036】
続くステップS7では、100℃で約30分間の予備乾燥を行い、ステップS8の焼成工程に移る。この焼成で、380℃で約30分間の焼付けを行う。
【0037】
その後、ステップS9に進み、冷却を行う。この冷却の際に、室温による冷却でも固定ブッシュの摺動に耐える耐久性は十分に確保できるが、最終製品に固体潤滑層が残り、しかも固体潤滑層が高温や蒸気に晒される場合には焼付け後に、直ちに水冷するとさらに耐久性がアップする。
【0038】
以上で、固体潤滑層2が丸棒材1の表面に形成されるので、この状態のものを工場出荷する。尚、丸棒材としては、外周面と側面とを含む外観面とパイプ状の丸棒材であって、外周面のみならず内周面においても固体潤滑層2を形成したものがある。また、固体潤滑層2を丸棒材1に形成したものを固定ブッシュ式のCNC型自動旋盤で旋盤加工するものであれば、上記の難加工材料に限定されず良加工材料であってもよい。
【0039】
この固体潤滑層2として、フッ素樹脂系、二硫化モリブデン系、二硫化タングステン系、グラファイト系、窒化ホウ素系、ポリイミド系、ポリアミド系、PBI(ポリベンゾイミダゾール)系、シリコーン樹脂系ポリサルフォン系、ポリエーテル系、ポリエーテルエーテルケトン系塗料の内の1つまたは複数を適宜組み合わせたものが用いられるが、その形成条件として極力薄く形成され、破壊しないことが挙げられる。好ましくは、固体潤滑層2を1以上100ミクロンメートル以下に設定することで、固定ブッシュによる保持状態において脆性破壊が起こらないようにするとともに、丸棒材の外径公差を一般公差内に留めるようにすると良い。
【0040】
次に、図2は固定ブッシュ式のCNC型自動旋盤で旋盤加工を行う様子を示した原理図である。
【0041】
本図において、旋盤装置の本体10の後方には、図1に示した工程を経た丸棒材1を多数収納するためのホッパー5が配設されており、このホッパー5内に収納された丸棒材1の内の最下に位置したものから、1本毎に下流側に排出するように構成されている。
【0042】
このホッパー5の下流側には、排出された丸棒材1の途中の部位を図示のようにチャック部4aで把持してから、図中の矢印D1方向に高速回転駆動し、さらに矢印D2方向に丸棒材1を一定速度で送り出しする把持回転送り機構4が配設されている。
【0043】
また、この把持回転送り機構4の下流には本体10において固定される固定ブッシュ3が配設されており、この固定ブッシュ3の孔部3n内を案内された丸棒材1の端部1aが本体10の外部に突出する状態に保持されるように構成されている。
【0044】
図4に図示の固定ブッシュ3の正面図をさらに参照して、この固定ブッシュ3には図示のように略十字状に4本の割り溝3aが形成されており、この固定ブッシュ3にはその外径部分と同芯状になるように加工された孔部3nが割り溝3aと連続形成されている。この孔部3nはタングステンカーバイド3c等の超硬質材料から加工形成されており、耐磨耗性を十分に確保することで、この固定ブッシュ3により丸棒材1の長手方向に沿うように送り出し可能に保持し、かつ図2の矢印D1方向に高速回転される丸棒材1をバイト12、ドリル15に対して順次送り出すことで、片支持状態での旋盤加工が芯ブレなく行えるようにするものである。
【0045】
このために、旋盤加工の下準備において、ネジ部3bに対して不図示のナットを螺合し、徐々に締め付けて、テーパ部3Pで発生した分力により割り溝3aが狭まるようにして、固定ブッシュ3の孔部3nと、丸棒材1の外周面との間の隙間を極力少なく設定する。この下準備後に、後述のように旋盤加工を行い、芯ブレの発生の極めて小さい高い精度の旋盤加工を実現可能にする。尚、図4では、図示の都合上から、孔部3nと丸棒材1の外周面の層2の間には隙間が開いているが、下準備後には、被加工物の精度に応じて隙間が微細になるような必要寸法(数ミクロンメートルから数十ミクロンメートル)に調整される。
【0046】
一方、本体10には、複数の種類のバイト12を備えた移動テーブル13と、異なる外径を有するドリル15を備えた移動テーブル16と、異なる縦型エンドミル17を備えた移動テーブル18が、夫々本体10に対して相対移動可能に設けられている。また、切削液を切削加工部に供給する供給部14と、加工後のワークWを収納するトレー20が本体10に設けられている。
【0047】
以上のホッパー5、把持回転送り機構4、各移動テーブル他には破線図示の信号線を介して制御装置100が接続されており、この制御装置100に接続される入力装置101、表示装置102を用いて自動旋盤加工プログラムを実行可能にしている。
【0048】
図3は、図示のような形状のワークWを加工するための自動旋盤加工プログラムの起動後の様子を示した動作説明図である。
【0049】
本図において、先ず、予め図示のような形状のワークWを加工する加工プログラムが入力装置101、表示装置102を用いて制御装置100に入力される。その後、起動されると、先ずホッパー5から矢印A方向に丸棒材1が排出されて、把持回転送り機構4で途中部位が図示のように把持される。また、丸棒材1は上述した下準備により隙間が必要最小限の寸法になるように設定された固定ブッシュ3に保持されて、回転が開始される。
【0050】
続いて、例えばドリル15によるドリル加工を行うために移動テーブル16が矢印D5方向に移動された後に、矢印D6方向に移動して孔加工が行われる。また、これに合前後して、移動テーブル13が矢印D3方向に移動されて所望のバイトが選択された後に、バイト12の矢印D4方向の切削代分の移動が行われて停止する。
【0051】
この後に、把持回転送り機構4の矢印D2方向の移動作用により丸棒材1の送り(矢印A1方向)が行われて切削加工が行われる。この時供給部14から切削液が切削部に供給されるが、難切削材であっても特別な切削液、油を使用することなく切削できる。
【0052】
以上の動作により、図示のような任意の形状のワークWが加工される。ここで、エンドミル17を備えた移動テーブル18は、固定ブッシュにより所定角度で停止状態になっている丸棒材1を切削加工するためのものであり、このエンドミルによりキー溝、ボルト頭部などの形状部を適宜加工できるので、旋盤装置の1台で所望の製品を全て加工できるものである。また、適宜グラインダー等を増設することもできる。
【0053】
以上のようにして自動供給される丸棒材1を使用した加工は、無人化された自動運転を原則としている。したがって、例えば、純チタン、チタン合金、ステンレス鋼などの難加工材料であって、その熱伝導率が0.05(cal/cm/sec/℃)以下のものをそのまま使用すると、従来は丸棒材1の外周面と固定ブッシュ3の孔部3nとの間の接触面で回転にともない発生する摩擦熱が、棒材料1の内部に次第に蓄熱されて熱膨張を起こし、棒材料1の外径が増大し、孔部3nと一部固着するカジリ状態になり、途中で自動運転を強制的に停止せざるを得ない状況となった。
【0054】
しかしならが、再度、図4を参照して、丸棒材1として、図1で述べたような工程を経ることで外周面に所定厚さの固体潤滑層2を形成したものを用いることで、固定ブッシュ3による保持状態の低摩擦化を図りつつ矢印D方向に高速回転して破線図示のバイト12により旋盤加工するができることから、摩擦に起因する発熱が防止できるようになる。この結果、たとえ難切削材料であっても良好な加工が可能となる。
【0055】
図5は、旋盤加工製品の中心断面図であり、先ず(a)は外径寸法が6mmの金属チタンの丸棒材1を使用して、上記の方法で切削加工して得られたニードル200の中心断面図である。
【0056】
このニードル200は、人の眼球の白内障の手術用の超音波メスのニードルとして使用される微調整前のものであり、全長は約35mm、先端部の外径が約0.8mmであり、貫通孔を有している。従来は、このようなニードル200を得るためには専用のバイトを準備し、専用の切削液を大量に使用する等して、1本毎に加工していたために、加工コストが非常に高くなっていた。このために、手術での使用後に消毒するなどして再利用していた。
【0057】
このようなニードル200であっても、図1乃至図4に示した旋盤を使用し、例えば全長200から250cm前後の金属チタン製の丸棒材1をホッパー5に多数セットしておき、複数の旋盤を無人自動運転し、所定回転数(2000rpm前後)で旋盤加工することで、大量かつ高い精度で安価に製造することができるようになる。
【0058】
この結果、大量に安価に製造できるようになるので、シリンジと同様に所謂ディスポーザブル品として取り扱えるようになり、院内感染などを積極的に防止できることになる。
【0059】
また、図5(b)はローラ201の中心断面図であって、固体潤滑層2を形成した状態を残すように加工して、ベアリングBを圧入する部位1cのみを加工するようにしたものである。
【0060】
このように加工することで、ローラ201の外周面に固体潤滑層2を別途形成する工程が不要となる。さらにまた、丸棒材1には固体潤滑層2が予め形成されているので、汚れや傷の防止または錆の発生を防ぐための配慮が不要となる利点がある。
【0061】
図5(c)は、パイプの外周面と内周面の両方に固体潤滑層2が夫々予め形成されている管材1を図1乃至図4に示した旋盤を使用して、旋盤加工した継ぎ手製品202の断面図である。本図において、ネジ部1dのみを旋盤加工するようにして、外周面と内周面の両方の固体潤滑層2を残すようにすることで、錆に強く、かつ内部を流れる流体との抵抗を削減することができる製品を提供することができる。尚、通常のNC旋盤、汎用旋盤等のネジ加工可能な装置、工具を使用しても図示の製品を得ることができる。
【0062】
なお、固体潤滑層2の厚さは、好ましくは1以上100ミクロンメートル以下に設定することで固定ブッシュ3の保持及び摺動による脆性破壊が起こらないようにすることを述べたが、例えば図5(c)のように格別な加工精度を要しないネジ部1dを有する継ぎ手部品202では軽い保持状態で加工できるので、固体潤滑層2の厚さを多くしても脆性破壊が起こらないので、厚く形成できることになる。
【0063】
最後に、上述の説明では丸棒材1側に固体潤滑層2を予め形成する場合を主に述べたが、必要に応じて固定ブッシュ3の孔部3n側に固体潤滑層2を予め形成しておき、固定ブッシュ3の固体潤滑層2がすぐに磨滅することを覚悟の上で旋盤加工するようにしてもよい。したがって、この場合には、自動連続運転はできなくなる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来は不可能であった難切削材料を固定ブッシュ式のCNC型自動旋盤で旋盤加工することを実現可能にするとともに、汚れや傷の防止または錆の発生を防ぐための余分な工数が不要となる丸棒材を提供することができる。
【0066】
そして、旋盤加工製品の外周面、内周面または外観面において所定厚さの固体潤滑層を形成した旋盤加工製品を安価に提供することができる。
【0067】
【図面の簡単な説明】
【図1】固体潤滑層形成のための工程を示すフローチャートである。
【図2】固定ブッシュ式のCNC型自動旋盤で旋盤加工を行う様子を示した原理図である。
【図3】固定ブッシュ式のCNC型自動旋盤で旋盤加工を行う様子を示した動作説明図である。
【図4】固定ブッシュ3の正面図である。
【図5】旋盤加工製品の中心断面図である。
【図6】従来の固定ブッシュの正面図である。
【符号の説明】
1 丸棒材
2 固体潤滑層
3 固定ブッシュ
4 把持回転送り機構
5 ホッパー
10 本体(固定ブッシュ式のCNC型自動旋盤)
12 バイト

Claims (8)

  1. 旋盤加工装置の本体側に設置固定されるガイドブッシュにより長手方向に沿うように送り出し可能かつ回転可能に保持され、前記ガイドブッシュから前記本体側に配設される加工工具に対して順次送り出されることで、片支持状態での旋盤加工が行なわれる丸棒材であって、
    外周面に予め所定厚さの固体潤滑層を形成することにより、前記ガイドブッシュによる前記保持の状態の低摩擦化を図るために、前記丸棒材は、熱伝導率が0.05( cal/cm/sec/ ) 以下の金属材料である、純チタン、チタン合金の難加工性の金属材料であることを特徴とする丸棒材。
  2. 前記固体潤滑層として、フッ素樹脂系、二硫化モリブデン系、二硫化タングステン系、グラファイト系、窒化ホウ素系、ポリイミド系、ポリアミド系、PBI(ポリベンゾイミダゾール)系、シリコーン樹脂系、ポリサルフォン系、ポリエーテル系、ポリエーテルエーテルケトン系塗料の内の1つまたは複数を組み合わせたものを用いることを特徴とする請求項に記載の丸棒材。
  3. 前記固体潤滑層の形成のために、前記丸棒材に対する下地処理工程と、前記各系の塗料を塗装する工程と、予備乾燥する工程と、焼成する工程と、冷却する工程を順次経ることを特徴とする請求項に記載の丸棒材。
  4. 前記固体潤滑層の厚さを極力小さく設定し、1以上100ミクロンメートル以下に設定することで、前記ガイドブッシュによる前記保持の状態において脆性破壊が起こらないようにするとともに、前記丸棒材の外径公差を一般公差内に留めることを特徴とする請求項に記載の丸棒材。
  5. 旋盤加工装置の本体側に設置固定されるガイドブッシュにより丸棒材の長手方向に沿うように送り出し可能かつ回転可能に保持し、前記ガイドブッシュから前記本体側に配設される加工工具に対して順次送り出すことで、片支持状態での旋盤加工が行なわれる旋盤加工製品であって、
    前記丸棒材として、その外周面に予め所定厚さの固体潤滑層を形成したものを用いることで、前記ガイドブッシュによる前記保持の状態の低摩擦化を図るようにして旋盤加工されるとともに、前記固体潤滑層の少なくとも一部が残されるようにされるとともに、前記旋盤加工は、バイトによる旋削、切削ドリルによる孔 加工用と研削装置による研削加工を含み、
    さらに、前記回転を停止して前記ガイドブッシュにより所定角度に保持された前記丸棒材に対する加工を行うための縦型エンドミルと研削を行うための研削装置をさらに含み、旋削加工、孔加工、切削加工、研削加工が行なわれ、
    前記丸棒材は、熱伝導率が0.05( cal/cm/sec/ ) 以下の金属材料である、純チタン、チタン合金の難加工性の金属材料からなる無垢材料または管材料であり、前記管材料の内周面に形成される第2の固体潤滑層を残すようにすることを特徴とする旋盤加工製品。
  6. 前記固体潤滑層として、フッ素樹脂系、二硫化モリブデン系、二硫化タングステン系、グラファイト系、窒化ホウ素系、ポリイミド系、ポリアミド系、PBI(ポリベンゾイミダゾール)系、シリコーン樹脂系、ポリサルフォン系、ポリエーテル系、ポリエーテルエーテルケトン系塗料の内の1つまたは複数を組み合わせたものを用いることを特徴とする請求項に記載の旋盤加工製品。
  7. 前記固体潤滑層の形成のために、前記丸棒材に対する下地処理工程と、前記各系の塗料を塗装する工程と、予備乾燥する工程と、焼成する工程と、冷却する工程とを順次経ることを特徴とする請求項に記載の旋盤加工製品。
  8. 前記固体潤滑層の厚さを極力小さく設定し、1以上100ミクロンメートル以下に設定することで、前記ガイドブッシュによる前記保持の状態において脆性破壊が起こらないようにするとともに、前記丸棒材の外径公差を一般公差内に留めることを特徴とする請求項に記載の旋盤加工製品。
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